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【発明の名称】 冷凍機、圧縮機、膨張機及び冷凍機の製造方法
【発明者】 【氏名】田口 芳人

【氏名】内田 年雄

【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【要約】 【課題】リークが発生しにくい、作業性良く製造できる冷凍機を提供する。

【解決手段】冷凍機の圧縮機13のガス導入部55を、エラストマーシールプラグ45aによって内部空間を密封できるバルブ45と、そのバルブ45で密封された内部空間をメタルシール47によって密封できるバルブキャップ46とを取り付け可能なように構成する。この構成の圧縮機13は、バルブ45のみを取り付けた状態で最終工程以外の各製造工程を行い、最終工程でバルブキャップ46をさらに取り付けるといった手順で製造が行える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部空間に繋がる外郭容器に設けられた開口部内に、エラストマーシールによって前記内部空間を密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された前記内部空間をメタルシールによって密封する第2シール部とが形成されていることを特徴とする冷凍機。
【請求項2】 内部空間に冷媒ガスを導入するためのガス導入部を有する冷凍機用の圧縮機において、前記ガス導入部内で、エラストマーシールと第1バルブとによって前記内部空間を密封する第1シール部が形成され、その第1シール部で密封された前記内部空間をメタルシールと第2バルブとによって密封する第2シール部が形成されていることを特徴とする圧縮機。
【請求項3】 前記エラストマーシールと第1バルブとが一体化されていることを特徴とする請求項2記載の圧縮機。
【請求項4】 ディスプレーサと、前記ディスプレーサのシリンダとして機能する部分を有するシリンダ部と、前記シリンダ部に対して固定されることにより前記ディスプレーサの外殻容器をなすキャップ部とを備え、前記キャップ部と前記シリンダ部との間に、前記シリンダ部の内部空間をエラストマーシールにより密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された前記内部空間をメタルシールにより密封する第2シール部とが形成されていることを特徴とする膨張機。
【請求項5】 内部空間に繋がる外郭容器に設けられた開口部内に、エラストマーシールによって前記内部空間を密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された前記内部空間をメタルシールによって密封する第2シール部とが形成可能な構成を有する冷凍機の製造方法であって、前記内部空間が密封されていることが必要な製造工程のうち最終工程を除く製造工程は、前記開口部内に前記第1シール部のみを形成して行い、最終工程で前記第2シール部を形成することを特徴とする冷凍機の製造方法。
【請求項6】 内部空間に冷媒ガスを導入するためのガス導入部を有し、当該ガス導入部内で、エラストマーシールを備えた第1バルブによって前記内部空間を密封する第1シール部と、その第1シール部で密封された前記内部空間をメタルシールと第2バルブとによって密封する第2シール部とが形成可能な構成を有する圧縮機を備える冷凍機の製造方法であって、前記内部空間が密封されていることが必要な製造工程のうち最終工程を除く製造工程は、前記ガス導入部内に前記第1シール部のみを形成して行い、最終工程で前記第2シール部を形成することを特徴とする冷凍機の製造方法。
【請求項7】 ディスプレーサと、前記ディスプレーサのシリンダとして機能する部分を有するシリンダ部と、前記シリンダ部に対して固定されることにより前記ディスプレーサの外殻容器をなすキャップ部とを備え、前記キャップ部と前記シリンダ部との間に、前記シリンダ部の内部空間をエラストマーシールにより密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された前記内部空間をメタルシールにより密封する第2シール部とが形成可能な構成を有する膨張機を備える冷凍機の製造方法であって、前記内部空間が密封されていることが必要な製造工程のうち最終工程を除く製造工程は、前記キャップ部と前記シリンダ部との間に前記第1シール部のみを形成して行い、最終工程で前記第2シール部を形成することを特徴とする冷凍機の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍機、及び冷凍機を構成するために用いられる圧縮機、膨張機、冷凍機の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スプリット式スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機のような小型冷凍機では、その大部分の部品間の接続が溶接により行われているが、メンテナンスや組立作業の便宜のために、分解可能なように構成されている部分も存在している。
【0003】例えば、図3に示したように、スプリット式スターリング冷凍機の膨張機(コールドヘッド)71は、ディスプレーサ73とそれを収容する外郭容器からなるが、膨張機71の製造時には、図示したような形態に組み立てた後、ディスプレーサ73を取り出すことがある。このため、膨張機71の外郭容器は、幾つかの部品を溶接して製造されたシリンダ部72に、シール部材74を挟んだ形態でキャップ部75をボルト(図示せず)で固定することによって構成されている。また、圧縮機81には、冷凍機内部に冷媒ガス(通常は、ヘリウム)を充填するためのガス導入部82であって、冷媒ガスの充填後、先端にシールプラグ83aを有するバルブ83が取り付けられるガス導入部82が設けられている。
【0004】さて、キャップ部75やバルブ83は、動圧に対する追従性が良く、冷媒ガス(通常、ヘリウム)に対するシール性が高い状態でシリンダ部72やガス導入部82に取り付けられることが望まれる。また、取り外しや再取り付けが容易に行えることも望まれる。すなわち、シール部材74やシールプラグ83aが、上記のような条件を満たすものであることが望まれるのであるが、現存するエラストマーシール材やメタルシール材は、上記条件を全て満たすことができないものとなっている。すなわち、一般的に、動圧に対する追従性は、エラストマーシールの方が良くなっており、冷媒ガスに対するシール性はメタルシールの方が良くなっている。また、エラストマーシールを用いた場合、部品の着脱が容易であり、かつ、エラストマーシール自体の再利用も可能であるが、メタルシールを用いた場合、良好な取り付けを行うためには熟練を要し、一度使用したメタルシールを再利用することはできない。
【0005】このように、エラストマーシールとメタルシールとは異なる特性を有するシールとなっている。このため、従来は、組立時には、作業性を優先してエラストマーシールを使用しておき、製品として最終的に出荷する直前に、エラストマーシールの代わりにメタルシールを付けるといったことが行われていた。すなわち、シール部材74としてエラストマー材料からなるものを、バルブ83として、エラストマー材料からなるシールプラグ83aを備えるものを用いて組立、調整等を行った後、シール部材74をメタル材料からなるものに変え、さらに、バルブ83をメタル材料からなるシールプラグ83aを備えるものに変えるといった作業が行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来、製品として出荷されている冷凍機は、メタルシールが用いられたものであったため、長期にわたって運転した場合、メタルシールの動圧に対する追従性の悪さに起因して、リークが発生してしまうことがあった。
【0007】また、その製造時には、シールの付け替え作業が行われているが、冷凍機内部にコンタミネーションを付着させることなくシールの付け替えを行うためには、クリーンベンチ等の特殊設備内での作業が必要であった。すなわち、従来の冷凍機は、製造コストがかかる構成を有するものともなっていた。
【0008】そこで、本発明の課題は、リークが生じにくい冷凍機、圧縮機、膨張機を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の課題は、リークが生じにくい冷凍機を容易に製造できる冷凍機の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の冷凍機は、内部空間に繋がる外郭容器に設けられた開口部内に、エラストマーシールによって内部空間を密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された内部空間をメタルシールによって密封する第2シール部とが形成された構成を有する。この構成によれば、エラストマーシールとメタルシールとによる2重のシールが行われることになるので、両シール材料の長所を生かした形で内部空間が密封できることになる。従って、本発明の冷凍機は、動圧に対する追従性も良く、シール性も高い状態でシールが行われた冷凍機、すなわち、リークが極めて発生しにくい冷凍機として機能することになる。
【0011】また、本発明の圧縮機は、内部空間に冷媒ガスを導入するためのガス導入部内で、エラストマーシールと第1バルブとによって内部空間を密封する第1シール部が形成され、その第1シール部で密封された内部空間をメタルシールと第2バルブとによって密封する第2シール部が形成された構成を有する。この構成によれば、エラストマーシールとメタルシールとによる2重のシールが行われることになるので、両シール材料の長所を生かした形で内部空間が密封できることになる。従って、本発明の圧縮機は、動圧に対する追従性も良く、シール性も高い状態でシールが行われた圧縮機、すなわち、リークが極めて発生しにくい圧縮機として機能することになる。
【0012】なお、本発明の圧縮機を実現する際には、第1シール部の形成を容易に行えるようにするために、例えば、第1バルブの先端にエラストマー材料からなるシール部材を取り付けるなどの加工を予め行っておくことによって、エラストマーシールと第1バルブとを一体化しておくことが望ましい。
【0013】また、本発明の膨張機は、ディスプレーサと、ディスプレーサのシリンダとして機能する部分を有するシリンダ部と、シリンダ部に対して固定されることによりディスプレーサの外殻容器をなすキャップ部とを備える膨張機であって、キャップ部とシリンダ部との間に、シリンダ部の内部空間をエラストマーシールにより密封する第1シール部と、その第1シール部により密封された内部空間をメタルシールにより密封する第2シール部とが形成された構成を有する。この構成によれば、エラストマーシールとメタルシールとによる2重のシールが行われることになるので、両シール材料の長所を生かした形で膨張機の内部空間が密封できることになる。従って、本発明の膨張機は、動圧に対する追従性も良く、シール性も高い状態でシールが行われた膨張機、すなわち、リークが極めて発生しにくい膨張機として機能することになる。
【0014】また、本発明の冷凍機、本発明の膨張機或いは圧縮機を備える冷凍機を製造するに際して、内部空間が密封されていることが必要な製造工程のうち最終工程を除く製造工程は、開口部内、ガス導入部内或いはキャップ部とシリンダ部との間に第1シール部のみを形成して行い、最終工程で第2シール部を形成するといった手順を採用すれば、シールの付け替え作業を行うことなく冷凍機を製造できるので、冷凍機の製造コストを低減できることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0016】本発明の一実施形態に係る冷凍機は、いわゆる、スプリット式スターリング冷凍機であり、膨張機(コールドヘッド)と圧縮機とそれらを接続するキャピラリチューブとからなる。図1に、実施形態に係る冷凍機の膨張機の構成を示し、図2に、圧縮機の構成を示す。なお、図示した膨張機、圧縮機の構成は、冷凍機の製造(組立)が完了した時点の構成、すなわち、出荷時の構成である。以下、これらの図を用いて、実施形態に係る冷凍機の構成、製造手順を説明する。
【0017】図1に示したように、膨張機(コールドヘッド)11は、ディスプレーサ20、シリンダパイプ21、コールドチップ22、シリンダホルダ23、ホルダキャップ24、コイルバネ25とからなる。
【0018】ディスプレーサ20は、熱交換のための蓄冷材(金網など)を収納した一種のピストンであり、その一端には、外周に螺旋溝が形成された円柱状のバネ座部が設けられている。シリンダパイプ21は、ディスプレーサ20が内部を往復動する部材であり、その両端には、コールドチップ22とシリンダホルダ23とが固定される。
【0019】コールドチップ22は、シリンダパイプ21の一端を塞ぐことができる形状を有する部材であり、銀ろう付け等によりシリンダパイプ21に固定される。シリンダホルダ23は、熱伝導度の良い材料からなり、シリンダパイプ21が銀ろう付け等により固定される柱状空洞60を有する。また、シリンダホルダ23は、シリンダパイプ21及び柱状空洞60等からなる膨張機11内の空間をキャピラリチューブ12を介して圧縮機内の空間に連絡するための管路61も有する。以下、説明の便宜上、シリンダパイプ21とシリンダチップ22とシリンダホルダ23とからなる部分をシリンダ部と表記する。
【0020】ホルダキャップ24は、膨張機11内にキャピラリチューブ12を介してのみ外界(圧縮機の内部空間)と連絡される空間を形成するために、シリンダホルダ23にボルト28によって固定される部材である。ホルダキャップ24は、シリンダホルダ23の端面に接触する円盤状部分と、シリンダホルダ23の柱状空洞60の内径よりもわずかに小さい外径を持ちその外周に溝が形成された円柱状部分とを備える。また、ホルダキャップ23は、外周に螺旋溝が形成された円柱状の部分(以下、バネ座部と表記する)を備え、そのバネ座部と、ディスプレーサ20のバネ座部との間にコイルバネ25が取り付けられた状態でシリンダホルダ23(シリンダ部)に挿入、固定される。すなわち、ホルダキャップ23は、ディスプレーサ20がコイルバネ25によって取り付けられた状態で、シリンダ部に固定される。
【0021】このホルダキャップ23は、ディスプレーサ20をその後に取り外す必要がある工程では、その円柱状部分の外周に設けられた溝にエラストマーシール26(いわゆる、Oリング)が取り付けられた状態で、シリンダ部(シリンダホルダ23)に固定される。すなわち、ホルダキャップ24とシリンダ部との間のシールがエラストマーシール26のみによって行われた状態で、ホルダキャップ24はシリンダホルダ23に固定される。
【0022】そして、ディスプレーサ20を取り外す必要がなくなったときに、ホルダキャップ24は、メタルシール27がシリンダホルダ23との接触面に配置された形態で、シリンダ部に固定される。すなわち、ディスプレーサ20を取り外す必要がなくなったときに、ホルダキャップ24とシリンダ部との間のシールがエラストマーシール26とメタルシール27とによって行われた状態が形成される。
【0023】また、図2(A)に示したように、実施形態に係る冷凍機に用いられている圧縮機13は、左右対称な構造を有しており、センタ部31、センタ部31の各面に対して固定されたシリンダ部32と耐圧ケーシング40、耐圧ケーシング40に対して固定されたハーメチックコネクタ41を備える。
【0024】センタ部31は、圧縮機11内に冷媒ガス(通常、ヘリウム)を導入するためのガス導入部55(詳細は後述)、圧縮空間52をキャピラリチューブ12を介して膨張機11内の空間に接続するための空洞部56等を有する。
【0025】ハーメチックコネクタ41は、耐圧ケーシング40とともに、シリンダ部32等が収容される密閉空間を形成する部材である。ハーメチックコネクタ41には、その表面に螺旋溝が形成された円柱状のバネ座42と2つの電流導入端子43とが設けられている。シリンダ部32は、センタ部31の空洞部56に繋がる円柱状の空洞58と、空洞58と同心円状の溝59とを有する。シリンダ部32には、溝59の外側内壁をなすように環状のマグネット33が取り付けられている。
【0026】また、圧縮機13は、圧縮ピストン34、その表面に螺旋溝が形成されたバネ座37、環状のコイル36、圧縮ピストン34とコイル36とを相互に固定する部材35とで構成されたピストン部を備える。ピストン部の要素である圧縮ピストン34は、シリンダ部32の円柱状空洞58内に挿入され、コイル36は、シリンダ部32の環状溝59に挿入されている。さらに、圧縮機13は、圧縮ピストン34に固定されたバネ座37と、ハーメチックコネクタ41のバネ座42とにその両端が取り付けられたコイルバネ38、コイル36と電流導入端子43とをつなぐコード39を備える。
【0027】このように、圧縮機13の基本的な構成は通常の圧縮機と同様のものとなっているが、圧縮機13のガス導入部55は、図2(B)に示してあるように、エラストマー材料からなるシールプラグ45aが取り付けられたバルブ45によってシールを行った上で、さらに、メタルシール47とバルブキャップ46とによってシールが行える形状を有している。なお、バルブ45、バルブキャップ46は、同じ呼び径、ピッチを持つおねじとなっており、ガス導入部55は、それらに対応するめねじとなっている。
【0028】そして、この圧縮機13の製造過程において、圧縮機13(冷凍機)内を密封する必要があり、かつ、その後にガス導入部55から冷媒ガスの出し入れをする可能性がある各工程は、ガス導入部55にバルブ45のみを取り付けた状態で行われる。そして、ガス導入部55から冷媒ガスの出し入れをする必要がなくなったときに、ガス導入部55にメタルシール47を挟んだ形態でバルブキャップ46が取り付けられる。
【0029】以上説明したように、実施形態に係る冷凍機は、取り外し可能な部分が、エラストマーシール材とメタルシール材とで2重にシールすることができる構成であって、エラストマーシール材のみによってもシールできる構成を有しているので、安価に、かつ、容易に製造できるものとなっている。また、最終的には、取り外し可能な部分が、エラストマーシール材とメタルシール材とで2重にシールされた状態が形成されるので、極めてリークが発生しにくい冷凍機として機能することになる。
【0030】なお、実施形態に係る冷凍機は、スプリット式スターリング冷凍機であったが、本技術を用いて、パルスチューブ冷凍機を構成しても良いことは当然である。また、ガス導入部55等の具体的な構成が、実施形態として示したものと異なっていても良いことも当然である。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、リークが発生しにくい冷凍機を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような冷凍機を、簡単に製造できる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成11年3月17日(1999.3.17)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−266420(P2000−266420A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−71963