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【発明の名称】 圧縮機及び冷凍機
【発明者】 【氏名】田口 芳人

【氏名】内田 年雄

【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【要約】 【課題】可動コイルに接続されるリード線の断線が発生しにくい圧縮機を提供する。

【解決手段】圧縮ピストンを駆動するための可動コイルとハーメチックコネクタに設けられた電流導入端子とを接続するためのリード線39として、撚り線39aに、ねじりが与えられたポーラスPTFE被覆39bを設けたもの(両端を固定しなかった場合、円弧状の形態をとるもの)を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮ピストンが可動コイルによって駆動される圧縮機であって、前記可動コイルと圧縮機外殻に設けられている電流導入端子とを接続するために用いられているリード線が、両端を固定しない状態での形態が円弧状となる被覆を有する撚り線であることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】 前記リード線は、ねじりが与えられた被覆を有することを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
【請求項3】 前記被覆が、ポリテトラフルオロエチレンからなるポーラスな被覆であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の圧縮機。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧縮機を備えたことを特徴とする冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮ピストンを駆動するために可動コイルが用いられた圧縮機と、そのような圧縮機を用いて構成される冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、小型冷凍機で用いられる圧縮機には、圧縮ピストンの駆動に可動コイル(リニアモータ)が用いられたものが存在している。そのような圧縮機では、図4に示したように、圧縮ピストン71に対して固定された可動コイル72に対して圧縮機外部から電流を供給するために、圧縮機外殻に電流導入端子73が設けられている。そして、当該電流導入端子73の圧縮機内部側の端と可動コイル72とが、単線にポリイミド、ポリエステル等の被覆を施したリード線74によって接続されている。
【0003】なお、この構成の圧縮機においては、リード線74の電気抵抗値が許容限度内であること(リード線74がある程度の線径を有するものであること)が必要とされる。ただし、過度に線径を大きくした場合には、リード線74の柔軟性が不足する結果として、可動コイル72(圧縮ピストン71)の動作が阻害されてしまう。このため、リード線74の線径は、電気抵抗値、柔軟性の双方を考慮して決められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の圧縮機を組み立てる際には、元々は直線状であるリード線74で、可動コイル72と電流導入端子73とを接続することになる。また、その際には、可動コイル72の動作が阻害されないようにするために、リード線74が円弧状の形態を取るように、リード線72の各端が可動コイル72、電流導入端子73へ取り付けられる。従来の圧縮機では、この作業時に、リード線74が、一部に応力が集中するような形態(すなわち、断線が発生しやすい形態)で取り付けられてしまうことがあった。
【0005】また、リード線74として、ポリイミド、ポリエステル等の比較的機械的強度の弱い被覆を有するものが用いられていた。このため、組立時や運転時に、リード線74が他の部材と接触(摺動)することにより、被覆が損傷してしまうことがあった。そして、その損傷が、冷凍機の運転に伴い広がり、短絡等のトラブルが発生することがあった。
【0006】このように、従来の圧縮機は、圧縮機内部に設けられるリード線に起因する障害が発生しやすいものとなっていた。
【0007】そこで、本発明の課題は、リード線に起因する障害が発生しにくい圧縮機と冷凍機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、圧縮ピストンが可動コイルによって駆動される圧縮機を構成するに際して、可動コイルと圧縮機外殻に設けられている電流導入端子とを接続するためのリード線として、両端を固定しない状態での形態が円弧状となる被覆を有する撚り線を用いる。
【0009】すなわち、本発明の圧縮機は、可動コイルに電流を供給するために圧縮機内部に設けられるリード線として撚り線が使用される。撚り線のリード線は、同一抵抗の単線のリード線に比して柔軟性に富むので、本発明の圧縮機は、従来の圧縮機に比してリード線の断線が生じにくいものとなる。さらに、本発明の圧縮機は、リード線として、両端を固定しない状態での形態が円弧状となるものが使用される。従って、リード線が、その一部に応力が集中するような形態で取り付けられてしまうことがないので、この観点からも、リード線の断線が発生しにくいものとなる。
【0010】なお、両端を固定しない状態での形態が円弧状となるリード線としては、例えば、撚り線に、ねじりを与えた被覆を設けたものを用いることができる。
【0011】また、リード線の被覆としては、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene, PTFE)からなるポーラスな被覆を用いることが望ましい。このような被覆は、従来のポリイミド、ポリエステル被覆に比して機械強度が高いため、他の部材と接触しても損傷が発生することが少ない。また、柔軟であるため、可動コイルの動作を阻害しない。さらに、材料としての吸水率が低い上にポーラスであるため、アウトガスによって冷媒ガスが汚染されることもない。
【0012】そして、本発明の冷凍機は、上記構成の圧縮機を用いて構成される。従って、本発明の冷凍機は、寿命が長い(圧縮機におけるリード線に起因する障害が生じにくい)冷凍機として機能する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0014】図1に、本発明の一実施形態に係る冷凍機の構成を示す。図から明らかなように、実施形態の冷凍機は、いわゆる、スプリット型スターリング冷凍機であり、膨張機(コールドヘッド)11と圧縮機13と、それらを接続するキャピラリチューブ12とからなる。
【0015】図1(A)に示したように、膨張機11は、熱交換のための蓄冷材(金網など)を収納した円柱状の、その一端に、外周に螺旋溝が形成された部分(以下、バネ座と表記する)を有するディスプレーサ20、ディスプレーサ20がその内部を往復動するシリンダパイプ21を備える。また、膨張機11は、コールドチップ22とシリンダホルダ23とホルダキャップ24とコイルバネ25とを備える。コールドチップ22は、シリンダパイプ21の一端を塞ぐことができる形状を有する部材であり、銀ろう付け等によりシリンダパイプ21に固定される。
【0016】シリンダホルダ23は、熱伝導度の良い材料からなる部材であり、シリンダパイプ21が銀ろう付け等により固定される柱状空洞60と、膨張機11内の空間をキャピラリチューブ12を介して圧縮機内の空間に連絡するための空洞61を有する。
【0017】ホルダキャップ24は、シール部材27を挟んだ形でシリンダホルダ23にボルト(図示せず)によって固定されることにより、膨張機11内に、キャピラリチューブ12を介してのみ外界(圧縮機の内部空間)と連絡される空間を形成する。また、ホルダキャップ24は、シリンダホルダ23に取り付けられる側の面に、その外周に螺旋溝が形成された円柱状の構造(バネ座)を有する部材ともなっている。なお、当該バネ座は、ホルダキャップ24がシリンダホルダ23に取り付けられたときに、シリンダパイプ21内のディスプレーサ20のバネ座と同軸になるように形成されている。
【0018】コイルバネ25は、ディスプレーサ20のシリンダパイプ21内での位置を制御するためのバネであり、コイルバネ25の両端は、それぞれ、ホルダキャップ24のバネ座とディスプレーサ20のバネ座に取り付けられている。
【0019】圧縮機13は、左右対称な構造を有しており、図1(B)に示したように、センタ部31、センタ部31の各面に対して固定されたシリンダ部32と耐圧ケーシング40、耐圧ケーシング40に対して固定されたハーメチックコネクタ48を備える。
【0020】センタ部31には、圧縮空間52(シリンダ部32と圧縮ピストン34で画定される空間)をキャピラリチューブ12を介して膨張機11内の空間に繋がる空洞部56が設けられている。また、センタ部31には、圧縮機13内に冷媒ガス(通常、ヘリウム)を導入するための、プラグ45によってシールが行われるガス導入部55も設けられている。
【0021】ハーメチックコネクタ41は、耐圧ケーシング40とともに、シリンダ部32等が収容される密閉空間を形成する部材である。ハーメチックコネクタ41には、その表面に螺旋溝が形成されたバネ座42と2つの電流導入端子43とが設けられている。シリンダ部32は、センタ部31の空洞部56に繋がる円柱状の空洞58と、空洞58と同心円状の溝59とを有する。シリンダ部32には、溝59の外側内壁をなすように環状のマグネット33が取り付けられている。
【0022】また、圧縮機13は、シリンダ部32の空洞58内に挿入された有底筒状の圧縮ピストン34、環状溝59に挿入された環状の可動コイル36を備える。圧縮ピストン34と可動コイル36とは、部材35によって相互に固定されている。なお、部材35は、可動コイル36が形成されるボビンとなっている。また、圧縮ピストン34の内部最奥端には、その外周に螺旋溝が形成された円柱状のバネ座37が、バネ座42と同軸となるように取り付けられている。
【0023】さらに、圧縮機13は、圧縮ピストン34に固定されたバネ座37とハーメチックコネクタ41に固定されたバネ座42とにその両端が取り付けられたコイルバネ38、コイル36と電流導入端子43とをつなぐリード線39を備える。
【0024】以下、図2、3を用いて、実施形態に係る圧縮機13の、リード線39が関係する部分の構成をさらに具体的に説明する。
【0025】図2(A)に示したように、リード線39は、撚り線39a(本実施形態では、線径0.05mmの銅線を22本束ねた撚り線を3本束ねたもの)に、ポーラスPTFE(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)被覆39bを設けたものである。また、ポーラスPTFE被覆39bは、矢印81、82で模式的に示してあるように、ねじりが与えられた被覆となっている。すなわち、リード線39は、ポーラスPTFE被覆39bに与えられているねじりに因り、図2(B)に示してあるように、その両端が固定されていなかった場合に円弧状の形態をとるものとなっている。
【0026】そして、図3に示したように、圧縮機13では、このリード線39を用いて、可動コイル36と電流導入端子43とが接続されている。すなわち、元々、円弧状の形態をとっているリード線39の両端を、可動コイル36と電流導入端子43とに接続することによって、圧縮機13は構成される。
【0027】このように、実施形態に係る圧縮機13は、撚り線39aに、ねじりが与えられたポーラスPTFE(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)被覆39bを設けたリード線39を用いて、可動コイル36と電流導入端子43との間の電気的接続が行われている。このリード線39は、同一抵抗の単線のリード線に比して柔軟性に富み、また、その一部に応力が集中するような形態で取り付けられてしまうことがないので、圧縮機13は、従来構成の圧縮機に比して、極めて、リード線39の断線が発生しにくいものとなる。
【0028】また、リード線39の被覆がポーラスPTFE被覆39bであるので、リード線39は、従来のポリイミド、ポリエステルエステル被覆に比して機械的強度が高いものとなっている。さらに、材料としての吸水率が低い上にポーラスであるので、アウトガスによって冷媒ガスが汚染されることもない。このように、リード線39は、従来構成の圧縮機で生じていたリード線関連の問題が生じにくいものとなっているため、リード線39を用いて構成された圧縮機13、また、圧縮機13を備える実施形態の冷凍機は、リード線関連の障害が生ずる確率が極めて低い装置として動作する。
【0029】実際、上記構成の冷凍機を10台製造し、寿命試験を行ったところ、9600時間にわたる連続運転では、いずれの冷凍機においてもリード線の断線や被覆の破れは生じなかった。また、アウトガスによる冷媒ガスの汚染も認められなかった。
【0030】なお、実施形態として示した圧縮機は、いわゆる外バネ式の圧縮機であったが、本技術を内バネ式の圧縮機に適用しても良い。また、実施形態の冷凍機は、スターリング冷凍機であったが、本技術を、パルスチューブ冷凍機に適用しても良いことは当然である。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、リード線の断線が発生しにくいが故に、長期に渡って安定的に動作する圧縮機、冷凍機を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成11年3月17日(1999.3.17)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−266419(P2000−266419A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−71962