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【発明の名称】 切換え弁と、流体圧縮機およびヒートポンプ式冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】小津 政雄

【要約】 【課題】本発明は、誤動作のない高い信頼性を有する流路切換えをなし、かつ切換えたあとは省電力化を保持する切換え弁と、流体圧縮機と、ヒートポンプ式冷凍サイクルを提供する。

【解決手段】切換え弁Kとして、複数のパイプ6,8,10が接続されるベースボディ5と、2つのパイプを流通可能に切換えるガス通路28およびガス通路と外部を連通するバランスポート29を備えたスライダ17と、このバランスポートを開閉するパイロット弁32と、その周面にねじ部が設けられ外部から駆動力を受けて正逆回転する駆動スリーブ20と、このねじ部に螺合し駆動スリーブと一体に回転自在であってスライダを所定方向に回動付勢し、かつパイロット弁をスライダのバランスポートと接離する方向に移動付勢する被駆動スリーブ22および弁ドライブ25からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の流体流路が接続されるベースボディと、上記ベースボディに接続される複数の流体流路のうちの2つの流体流路を流通可能に切換えるガス通路を備えたスライダと、上記スライダに設けられ上記ガス通路とスライダ外部を連通するバランスポートと、上記バランスポートを開閉するパイロット弁と、このパイロット弁を動作させるねじ機構による動作手段と、を具備したことを特徴とする切換え弁。
【請求項2】上記動作手段は、その周面にねじ部が設けられ、かつ外部から駆動力を受けて正逆回転する駆動体と、この駆動体のねじ部に螺合するねじ部を有し、駆動体と一体に回転自在であって上記スライダを所定方向に回動付勢するとともに上記パイロット弁をスライダのバランスポートと接離する方向に移動付勢する被駆動体と、からなることを特徴とする請求項2記載の切換え弁。
【請求項3】上記被駆動体は、上記駆動体のねじ孔に螺合するねじ孔部を有する被駆動スリーブと、この被駆動スリーブに一体に設けられ、被駆動スリーブが所定方向に回動したときのみスライダを所定方向に回動付勢し、かつ回転に応じて被駆動スリーブが軸方向に移動したときにパイロット弁をスライダのバランスポートと接離する方向に移動付勢する弁ドライブと、からなることを特徴とする請求項2記載の切換え弁。
【請求項4】上記ベースボディは、被駆動体の自転を規制して軸方向への移動を許容するガイドピンを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切換え弁。
【請求項5】ケース体内に圧縮機構部を備えた流体圧縮機であり、請求項1記載の切換え弁をケース体内に収容したことを特徴とする流体圧縮機。
【請求項6】ケース体内に、電動機部と圧縮機構部とを収容した流体圧縮機であり、請求項1記載の切換え弁を上記電動機部と対向するケース体部位に設け、切換え弁の上記動作手段は、上記電動機部の回転トルクを受けて動作することを特徴とする流体圧縮機。
【請求項7】上記動作手段は、マグネットカップリングを介して上記電動機部と磁気的に連結され、電動機部の回転トルクを受けることを特徴とする請求項6記載の流体圧縮機。
【請求項8】上記動作手段は、上記電動機部との間に介在される弾性体およびスラスト板を介して電動機部の回転トルクを受けることを特徴とする請求項6記載の流体圧縮機。
【請求項9】上記電動機部は正逆回転自在であり、電動機部を所定方向に回転駆動することにより上記動作手段はスライダの予備切換え動作をなし、これとは反対側に電動機部を回転駆動することにより上記動作手段はスライダの切換え動作をなすことを特徴とする請求項7および請求項8のいずれかに記載の流体圧縮機。
【請求項10】請求項5記載の流体圧縮機と、上記流体圧縮機に収容される上記切換え弁に接続される室内熱交換器および室外熱交換器と、これら室内熱交換器と室が熱交換器との間に設けられた絞り装置とを具備したことを特徴とするヒートポンプ式冷凍サイクル。
【請求項11】上記切換え弁には3本のパイプが接続され、1本は室内熱交換器に、他の1本は室外熱交換器に、残り1本は流体圧縮機の吸込み部にそれぞれ連通され、室内熱交換器接続パイプと室外熱交換器接続パイプに対する冷媒ガスの吐出側が切換えられ、流体圧縮機吸込み部接続側においては切換えられないことを特徴とする請求項9記載のヒートポンプ式冷凍サイクル。
【請求項12】請求項5記載の流体圧縮機と、この流体圧縮機にパイプを介して連通される室外熱交換器と、上記流体圧縮機に収容される上記切換え弁に逆止弁を介して接続される複数の室内熱交換器と、これら室内熱交換器と室外熱交換器との間に設けられた絞り装置とを具備し、上記切換え弁の切換え動作によって室内熱交換器のいずれか一方を選択して冷媒を導くことを特徴とするヒートポンプ式冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流路を切換える切換え弁と、この切換え弁をケース体内に収容する流体圧縮機と、この流体圧縮機を備えるたとえば空気調和機におけるヒートポンプ式冷凍サイクルに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、冷房運転と暖房運転を容易に切換えることができるヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた空気調和機において、上記運転の設定は流体である冷媒ガスの流通方向を切換えることにより可能としている。
【0003】従来では、冷媒ガスの流路変更は圧縮機の外部配管に対して接続される四方切換え弁によってなされていた。
【0004】しかるに、前記四方切換え弁を用いると、配管接続の複雑化にともなう作業手間の増大と、リーク不良が生じ易い。また、冷暖房運転中に常に電磁コイルに対する通電状態を保持しなければならず、電力消費がかさんでランニングコスト低減がなされないなどの問題がある。
【0005】これに代わって最良の切換え手段の採用が望まれており、そこで本出願人は、たとえば特願平10−2434号公報に開示されるような切換え装置を開発した。これによれば、流体圧縮機内に強制ガスバランス機構付きの切換え弁を収容し、マグネットカップリングにて流路切換えをなすことができて、従来の四方切換え弁が有する不具合のほとんど除去された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような切換え弁においても、未だ解決すべき課題を有している。たとえば、流路の切換えを、圧縮機の運転を停止した直後の高低圧力差が大きい条件下で行うことがある。このときには、切換え弁を構成するスライダを回転駆動するためのトルクが非常に大きくなる。
【0007】そこで、切換え弁内に高圧側と低圧側とを連通するバランス孔を設け、このバランス孔をパイロット弁で開閉できるようにした。流路の切換えにあたっては、上記条件下に限らず、まずこのパイロット弁を操作してバランス孔を開放し、強制的にガスバランスを早めてから、上記スライダを回転駆動して流路切換えをなしている。
【0008】先に提供された切換え弁においては、上記パイロット弁を開放するためのトルクを、圧縮機を構成する電動機部から直接、もしくは電動機部に嵌着される回転軸からトルク伝達手段としてマグネットカップリングを介して得るようになっている。
【0009】ただし、上記パイロット弁に対する伝達トルクを大にしなければ、バランス孔の開放を円滑に行うことができない。そのため、マグネットの量が大きくなり、マグネットコストが高くなってしまう。
【0010】そして、提供された切換え弁では、圧縮機の運転中において常に、マグネットカップリングは回転軸の回転トルクに対してブレーキとして作用するために、回転軸に無効トルクが発生して電気消費量が大になってしまうなどの問題が生じている。
【0011】さらに、圧縮機を停止した際に、残留高低圧ガスの力で回転軸が逆回転してしまい、制御の意図に反して切換え弁が作動し流路が切換ってしまう、誤動作の発生があることが判明した。
【0012】本発明は、上記事情にもとづいてなされたものであり、その第1の目的とするところは、誤動作のない高い信頼性を有する流路切換えをなし、かつ切換えたあとは省電力化を保持する切換え弁を提供しようとするものである。
【0013】第2の目的とするところは、圧縮形態に限定されることなく上記切換え弁を内部に収容して流路切換えをなし、省スペース化と、圧縮性能の向上に繋げられる流体圧縮機を提供しようとするものである。
【0014】第3の目的とするところは、上記流体圧縮機を備えて冷暖房運転と除湿運転の切換えをなし、切換え時間の短縮を図って快適空調を得られ、かつ配管接続を簡素化して配管スペースの低減を得られるヒートポンプ式冷凍サイクルを提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するため本発明の切換え弁は、請求項1として、複数の流体流路が接続されるベースボディと、上記ベースボディに接続される複数の流体流路のうちの2つの流体流路を流通可能に切換えるガス通路を備えたスライダと、上記スライダに設けられ上記ガス通路とスライダ外部を連通するバランスポートと、上記バランスポートを開閉するパイロット弁と、このパイロット弁を動作させるねじ機構による動作手段とを具備したことを特徴とする。
【0016】上記第2の目的を達成するため本発明の流体圧縮機は、請求項5として、ケース体内に圧縮機構部を備えた流体圧縮機であり、請求項1記載の切換え弁をケース体内に収容したことを特徴とする。
【0017】上記第2の目的を達成するため本発明の流体圧縮機は、請求項6として、ケース体内に、電動機部と圧縮機構部とを収容した流体圧縮機であり、請求項1記載の切換え弁を上記電動機部と対向するケース体部位に設け、切換え弁の上記動作手段は、上記電動機部の回転トルクを受けて動作することを特徴とする。
【0018】上記第3の目的を達成するため本発明のヒートポンプ式冷凍サイクルは、請求項10として、請求項5記載の流体圧縮機と、上記流体圧縮機に収容される上記切換え弁に接続される室内熱交換器および室外熱交換器と、これら室内熱交換器と室が熱交換器との間に設けられた絞り装置とを具備したことを特徴とする。
【0019】上記第3の目的を達成するため本発明のヒートポンプ式冷凍サイクルは、請求項12として、請求項5記載の流体圧縮機と、この流体圧縮機にパイプを介して連通される室外熱交換器と、上記流体圧縮機に収容される上記切換え弁に逆止弁を介して接続される複数の室内熱交換器と、これら室内熱交換器と室外熱交換器との間に設けられた絞り装置とを具備し、上記切換え弁の切換え動作によって室内熱交換器のいずれか一方を選択して冷媒を導くことを特徴とする。
【0020】このような課題を解決する手段を備えることにより、上記切換え弁は誤動作のない高い信頼性を有する流路切換えをなし、かつ切換えたあとは省電力化を保持する。
【0021】上記流体圧縮機は、圧縮形態に限定されることなく切換え弁を内部に収容して流路切換えをなし、省スペース化と、圧縮性能の向上に繋げられる。
【0022】上記ヒートポンプ式冷凍サイクルは、流体圧縮機を備えて冷暖房運転の切換えをなし、切換え時間の短縮を図って快適空調を得られ、かつ配管接続を簡素化して配管スペースの低減を得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0024】図1に、流体圧縮機Aを示す。図中1はケース体であって、上端部が開口する有底筒状のメインケース1aと、このメインケース1aの上端開口部を閉塞するよう密閉構造をもって取付けられるアッパケース1bとから構成される。
【0025】上記ケース体1の内部には回転軸2が垂直方向に向けて支持され、この回転軸2の上部側に電動機部3が、かつ下部側には圧縮機構部4がそれぞれ設けられている。
【0026】上記ケース体1の上端部には、後述する切換え弁Kが取付けられる。上記切換え弁Kの弁本体をなすベースボディ5が、その一部を上記アッパケース1b端面から露出して設けられている。このベースボディ5の上面部から流体流路を構成する3本のパイプ6,8,10が突出している。図の中央のパイプをSパイプ6と呼び、これはケース体1の下部側へ延出され、かつ上記圧縮機構部4のガス吸込み部7に連通される。
【0027】上記圧縮機構部4は、ケース体1内部に対向して開口する図示しないガス吐出部を備えていて、ここで圧縮した高圧ガスをケース体1内に吐出するようになっている。すなわち、この圧縮機Aはケース内高圧タイプである。
【0028】切換え弁Kから突出するパイプのうち、図の左側パイプをEパイプ8と呼び、被空調室に配置される室内熱交換器9に接続される。図の右側のパイプをCパイプ10と呼び、圧縮機Aと同じ室外ユニットに配置される室外熱交換器11に接続される。上記室内熱交換器9と室外熱交換器11は、中途部に絞り装置である膨張弁12を備えたパイプ13によって連通される。
【0029】このようにして、上記切換え弁Kを収容する圧縮機Aは、室内熱交換器9、膨張弁12および室外熱交換器11とともにヒートポンプ式冷凍サイクルを構成している。
【0030】つぎに、上記切換え弁Kについて詳細に説明する。図2(A)は、切換え弁Kの全体構成を示し、図2(B)は切換え弁Kの要部を拡大して示す。
【0031】この切換え弁Kは、アッパケース1bに取付けられた上記ベースボディ5と、このベースボディ5の下面から垂下される弁軸15と、この弁軸15に取付けられるスリーブ組立体16と、上記弁軸15に取付けられベースボディ5とスリーブ組立体16との間に介在するスライダ17とから構成される。
【0032】図3(A)(B)にも示すように、上記ベースボディ5には、先に説明したEパイプ8と、Sパイプ6およびCパイプ10の端部がそれぞれ挿入固着されるE孔8aと、S孔6aおよびC孔10aが、上下面に貫通して設けられる。中央のS孔6aを中心として、その両側のE孔8aとC孔6aとの距離は互いに同一である。
【0033】弁軸15を介して、これら各孔8a,6a,10aとほぼ対称の位置で、かつベースボディ5の周端近傍にガイドピン18が垂設される。このガイドピン18の長さは弁軸15の長さよりもわずかに短く形成されている。
【0034】上記弁軸15は、ベースボディ5の中心から各孔8a,6a,10a側にわずかにオフセットした位置に圧入固定されており、上記スライダ17およびスリーブ組立体16が回転自在に介挿された状態で、この下端部に図2(A)のみ示す止め輪15aが取付けられ、スライダ17とスリーブ組立体16の抜け止めがなされている。
【0035】再び図2に示すように、上記スリーブ組立体16として、弁軸15に回転自在に枢支される駆動体である駆動スリーブ20があり、この駆動スリーブ20の下端部に上部マグネットカップリング21が取付けられている。
【0036】上記駆動スリーブ20の上部マグネットカップリング21が取付けられていない部分の外周面にはねじ部nが形成されていて、ここに内周面にねじ部nを備えた被駆動スリーブ22が螺合状態にある。駆動スリーブ20の上下端部はばね座20a,20bを形成していて、これら上下ばね座20a,20bと被駆動スリーブ22上下端部との間に、それぞれ上下コイルばね23,24が介在される。
【0037】これら上下コイルばね23,24は、被駆動スリーブ22の駆動スリーブ20に対するロックを防止するために用いられたものであって、これに代わって低摩擦の緩衝材を介在させてもよい。
【0038】上記被駆動スリーブ22の外周面には、板ばね材を加工した弁ドライブ25が嵌着固定されている。この弁ドライブ25は弁軸15の軸芯に対して直交する方向に延出されるストッパ部25aと、このストッパ部25aの180°対称位置から弁軸15の軸芯に対して直交する方向に延出され、かつその先端縁から弁軸15の軸芯と並行に折曲されるアーム部25bとからなる。
【0039】図4(A)(B)にも示すように、上記弁ドライブ25のストッパ部25aは、その先端部と被駆動スリーブ嵌合部25cとの間の部分が幅が狭く形成され、かつその先端部は上記ベースボディ5に垂設される上記ガイドピン18に接触する長さを有している。
【0040】また、弁ドライブ25の中心位置からアーム部25b先端までの長さは、弁ドライブ25の中心位置からガイドピン18までの距離よりも短く設計されていて、弁ドライブ25が回動してもアーム部25bはガイドピン18に接触せずに通過するようになっている。
【0041】上記弁ドライブ25のアーム部25bにおける立ち上がった先端の内側に接触子27が設けられていて、この接触子27は弁ドライブ25自体の弾性力によってスライダ17の外周面に弾性的に接触している。
【0042】再び図2に示すように、上記スライダ17はケース体1内が高圧環境下にあるところから、ベースボディ5の下端面である弁座面5aに密着している。このスライダ17の下部には中心軸の周囲に対して凹部17aが形成されていて、上記駆動スリーブ20の上ばね座20aと被駆動スリーブ22の上端部および上コイルばね23が挿入される。
【0043】図5(A)(B)にも示すように、上記スライダ17には、上面側が開放し、かつ円弧状に形成された凹部であるガス通路28が設けられている。このガス通路28の開放面は組立られた状態で上記ベースボディ5の弁座面5aによって閉塞され、ガス通路28内は円弧状空洞部となっている。
【0044】上記ガス通路28がスライダ17上面に設けられるところから、この開口面は上記ベースボディ5に設けられる3つの貫通孔であるE孔8a、S孔6a、C孔10aのうちの2つの孔部8aと6a、もしくは6aと10aに対向するように設計されている。
【0045】このガス通路28のほぼ中央部で、その底部からスライダ17の下端面に亘って小径の孔部であるバランスポート29が貫通して設けられる。スライダ17の中心Oからバランスポート29中心までの半径距離は、先に図3(B)に示すようにベースボディ5に設けられる弁軸15中心からE孔8a、S孔6a、C孔10aのそれぞれ中心までの半径距離と一致する。
【0046】さらにスライダ17には、上記ガス通路28の両端外側に位置し、かつスライダ外周面から中心部に向かって、第1の吐出用切欠き部30aと、第2の吐出用切欠き部30bが設けられている。
【0047】スライダ17の位置によっては、第1の吐出用切欠き部30aがベースボディ5のE孔8aに対向し、もしくは第2の吐出用切欠き部30bがC孔10aに対向して、ケース体1内に充満する高圧ガスをそれぞれの切欠き部30a,30bからE孔8aもしくはC孔10aに案内するようになっている。
【0048】さらに、上記スライダ17の外周面でガス通路28の両端部近傍位置には、第1のノッチ31aと第2のノッチ31bが突設される。各ノッチ31a,31bには、上記弁ドライブ25が所定回り方向に回動したときのみ、アーム部25bの先端に設けられる接触子27が掛止でき、弁ドライブ25が反方向に回動したときは掛止できない向きに設けられる。
【0049】再び図2(A)(B)に示すように、通常、上記スライダ17の下端面に開口するバランスポート29は、パイロット弁32によって開閉自在に閉成される。このパイロット弁32は薄板状のリーフ弁であって、その中心孔部が被駆動スリーブ22の外周面上端部に設けられる溝部22aに回動自在に嵌め込まれる。
【0050】上記溝部22aの上下方向長さはパイロット弁32の板厚よりも大に形成されるところから、パイロット弁32は上下方向に溝部22aの長さの範囲内で移動自在であり、かつ溝部22aの上下端部に掛止した状態で被駆動スリーブ22が上下動すれば、当然、パイロット弁32も上下移動するようになっている。
【0051】図6(A)(B)にも示すように、上記パイロット弁32は、一部の直截部を残して円形をなし、上記バランスポート29を閉成するのに必要な曲率半径を有している。直截部の中央は、断面逆U字状に切起し形成されるU字状片部32aが設けられる。このU字状片部32aは、先端縁相互の幅寸法が折曲部の幅寸法よりもわずかに大に形成され、いわゆる開き気味に形成されることが特徴である。
【0052】再び図2に示すように、組立てられた状態でパイロット弁32のU字状片部32aに上記弁ドライブ25のストッパ部25aの一部が挟み込まれる。すなわち、上記弁ドライブストッパ部25aの中間部分に形成される幅の狭い部分を、その両側からU字状片部32aが挟み込む。上記U字状片部32aが開き気味になっているところから、弁ドライブ25の上下方向の移動は円滑に行われる。
【0053】このようにして、被駆動スリーブ22と弁ドライブ25とで被駆動体26が構成され、かつ上記駆動体である駆動スリーブ20とともの動作手段Dが構成されることになる。
【0054】再び図1に示すように、流体圧縮機Aを構成する電動機部3から突出する回転軸2の上端部には下部マグネットカップリング33が設けられていて、上記上部マグネットカップリング21と一対の関係にある。
【0055】これら上,下部マグネットカップリング21,33相互はわずかの隙間を存して対向しており、非接触型のカップリングを形成している。なお、下部マグネットカップリング33は電動機部3を構成するロータ34の上端部に直接取付けてもよい。
【0056】つぎに、流体圧縮機Aと、この流体圧縮機Aに収容される切換え弁Sの作用およびヒートポンプ式冷凍サイクルについて説明する。
【0057】流体圧縮機Aの電動機部3を起動すると、圧縮機構部4はガス吸込み部7から低圧のガスを直接圧縮機構部4内に吸込んで圧縮し、ここからケース体1内に吐出して充満させる。
【0058】暖房運転時、切換え弁Sは図7(A)に示す状態にある。弁ドライブ25のアーム部25bに設けられる接触子27がスライダ17の第1のノッチ31aに掛止し、かつストッパ部25aがガイドピン18に掛止する。その一方で、スライダ17のガス通路28はベースボディ5のS孔6aおよびC孔10aと連通し、かつ第1の吐出用切欠き部30aはE孔8aに連通している。なお、第2の吐出用切欠き部30bは何らの孔部にも対向していない。
【0059】このことから、流体圧縮機Aのケース体1内へ吐出された高圧ガスは、第1の吐出用切欠き部30aからE孔8aとEパイプ8に導びかれ、さらに室内熱交換器9に導かれて熱交換することにより凝縮液化し、凝縮熱を被空調室に放出して暖房作用をなす。
【0060】さらに冷媒は膨張弁12に導かれて減圧され、室外熱交換器11に導かれて蒸発し低圧化してから流体圧縮機Aに導かれる。すなわち、室外熱交換器11に接続されるCパイプ10を介してC孔10aに導かれる。
【0061】先に述べたようにスライダ17のガス通路28がS孔6aとC孔10aとを連通しているところから、低圧ガスはC孔10aからガス通路28を介してS孔6aに導かれ、Sパイプ6から流体圧縮機Aのガス吸込み部7に吸込まれて圧縮機構部4で圧縮される。そして、上述した冷凍サイクルを繰り返す。
【0062】暖房運転中に室外熱交換器11に霜が付着し熱交換効率が低下した条件で除霜作用をなすには、暖房モードから冷房モードに切換えて除霜運転し、除霜終了後に暖房モードに移行することになる。
【0063】すなわち、図7(A)の状態から電動機部3を逆回転(反時計回り方向)駆動する。下部マグネットカップリング33に対する上部マグネットカップリング21の磁気連動作用によって、上部マグネットカップリング21と一体の駆動スリーブ20と被駆動スリーブ22および弁ドライブ25が一体となり、同じ反時計回り方向に回動する。
【0064】弁ドライブ25がほぼ180°回動したところで、アーム部25bはガイドピン18に対する位置を通過する。さらに、弁ドライブ25がほぼ180°回動したところで図7(B)に示すようにストッパ部25aがガイドピン18に掛止される。したがって、少なくとも、弁ドライブ25と一体化された被駆動スリーブ22の回動が阻止される。
【0065】なお、このときはまだスライダ17の位置が暖房運転時と変わらず、第1の吐出用切欠き部30aがE孔8aに連通し、ガス通路28がS孔6aおよびC孔10aに連通することは変わりがない。
【0066】つぎに、図7(B)の状態から電動機部3を正回転(時計回り方向)駆動する。再び、上部マグネットカップリング21、駆動スリーブ20、被駆動スリーブ22および弁ドライブ25が一体で時計回り方向に回動する。
【0067】この直後、弁ドライブ25のアーム部25bに設けられる上記接触子27がスライダ17の第2のノッチ31bに掛止して、このスライダ17を同方向に回動付勢する。
【0068】図7(B)の位置からほぼ180°回動したところで、アーム部25bはガイドピン18に対する位置を通過し、さらにほぼ180°回動したところで、図7(C)に示すようにストッパ部25aがガイドピン18に掛止される。
【0069】したがって、少なくとも、互いに一体化している弁ドライブ25と被駆動スリーブ22およびスライダ17などの回動が阻止される。今度は、スライダ17の第2の吐出用切欠き部30bがベースボディ5のC孔10aに連通し、ガス通路28はE孔8aとS孔6aに連通する。
【0070】このことから、流体圧縮機Aのケース体1内へ吐出された高圧ガスは第2の吐出用切欠き部30bからC孔10bを介してCパイプ10に導びかれ、ここと連通する室外熱交換器11において熱交換し凝縮液化する。この室外熱交換器11で放出する凝縮熱により、表面に付着していた霜は早急に溶融され、比較的短時間で除霜が終了する。
【0071】また、液冷媒は膨張弁12に導かれて減圧され、室内熱交換器9に導かれて蒸発し、低圧化してEパイプ8とE孔8aを介してスライダ17のガス通路28に導かれる。
【0072】ガス通路28がE孔8aおよびS孔6aに連通しているところから、低圧ガスはS孔6aを介してSパイプ6に導かれ、ガス吸込み部7から圧縮機構部4に吸込まれて圧縮される。そして、上述した冷凍サイクルを繰り返す。
【0073】つぎに、切換え弁Kを切換えするまでの一連の制御と、予備動作および切換え動作について説明する。切換え弁Kの切換えをなすには、運転中の流体圧縮機Aを強制的に一時停止して行う、あるいは流体圧縮機Aが停止している際に行うこととするが、特に、運転中の流体圧縮機Aを強制的に一時停止して行うと、大きな切換えトルクを必要とする。
【0074】予備動作とは、上記スライダ17のガス通路28に設けられるバランスポート29を開放してガスバランスを実行する行程であり、スライダ17にかかる力を軽減させる動作である。
【0075】たとえば、暖房運転中の流体圧縮機Aを除霜のために強制停止すると、高圧側と低圧側との圧力差が大の状態で停止することとなる。先に説明したように、流体圧縮機Aにおいてケース体1内が高圧条件下にある一方で、スライダ17のガス通路28は低圧状態にあるから、スライダ17はベースボディ5の弁座面5aに極めて強い力で押付けられている。
【0076】したがって、このままではスライダ17に対する切換えトルクが大幅に不足して、切換え弁Kの切換え動作ができない。先ずパイロット弁32に対してバランスポート29を強制的に開放させ、システムとしての高低ガス圧をバランスする必要がある。
【0077】そのため、図7(A)の状態から電動機部3を逆回転(反時計回り方向)駆動する。下部マグネットカップリング33と上部マグネットカップリング21が同方向に回転し、さらに駆動スリーブ20、被駆動スリーブ22、弁ドライブ25などが同方向に回転する。
【0078】ほぼ1回転したところで、図7(B)に示すように弁ドライブ25のストッパ部25aがガイドピン18に回動を規制され、少なくとも弁ドライブ25と被駆動スリーブ22が位置保持される。
【0079】一方、電動機3の逆回転駆動を継続しているので、上部マグネットカップリング21およびこれと一体の駆動スリーブ20は同方向に回転を継続する。先に説明したように、駆動スリーブ20と被駆動スリーブ22とはねじ部nを介して嵌め合っているところから、駆動スリーブ20の逆回転により被駆動スリーブ22は下方に移動変位する。
【0080】したがって、被駆動スリーブ22下端と駆動スリーブ下ばね座20bとの間に介在する下コイルばね24は圧縮されて収縮変形し、その弾性反発力が被駆動スリーブ22に作用する。
【0081】その一方で、被駆動スリーブ22上端と駆動スリーブ上ばね座20aとの間に介在する上コイルばね23が伸張し、弾性反発力を被駆動スリーブ22に作用する。したがって、上下コイルばね23,24の弾性反発力は互いに相殺され、被駆動スリーブ22の下方向への移動変位は円滑に行われる。
【0082】そして、上記パイロット弁32は被駆動スリーブ22の溝部22aに掛止されるところから、パイロット弁32は被駆動スリーブ22に付勢されて下方向へ移動する。
【0083】実際には、駆動スリーブ20が約10数回転程度したところで、被駆動スリーブ22が下コイルばね24を最大限圧縮した状態となり、駆動スリーブ20とともに上部マグネットカップリング21の回転をロック(停止)する。
【0084】その一方で、被駆動スリーブ22の下方向への移動によってパイロット弁32はスライダ17から強制的に数mm離間させられ、よってスライダ17に設けられるバランスポート29は確実に開放される。
【0085】このバランスポート29の開放によって、ケース体1内である高圧側とガス通路28である低圧側とのガスバランス動作が開始する。すなわち、ケース体1内に吐出された高圧ガスと、スライダ17とEパイプ8を介して連通する室内熱交換器9のガスが、バランスポート29からCパイプ10を介して室外熱交換器11や、Sパイプ6を介して圧縮機構部4の吸込み側に導かれる。
【0086】実際に、約20秒を越えない短時間で確実にガスバランスが成立し、スライダ17のベースボディ弁座面5aに対する密着力がほとんどゼロになる。そのあと弁ドライブ25が回転させられ、アーム部25bの接触子27がスライダ17の第2のノッチ31bに掛止してスライダ17を回転駆動する。
【0087】このようにして、上記スライダ17はごく小さいトルクでかつ円滑に回動駆動させられ、よって弁ドライブ25はごく薄板のものから構成しても何らの支障もない。
【0088】なお、スライダ17のガス通路28に設けられるバランスポート29は、その直径をより大に設定することにより、より短時間でガスバランスすることは当然である。
【0089】しかしながら、バランスポート29の直径を大にすると、ガスバランスにあたってバランスポート29に密着しているパイロット弁32をスライダ17から離間させるのに極めて大なる力を必要とする。
【0090】本発明によれば、動作手段Dを備えることにより解決した。すなわち、駆動スリーブ20と被駆動スリーブ22とをねじ機構であるねじ部nを介して嵌め合い、ねじの作用でパイロット弁32をスライダ17から離間させる。
【0091】上記ねじ部nの、ねじ山のピッチとその数の設定にもよるが、先行技術(特願平10−2434号公報)と比較してほとんど1/10以下の小さいトルクですむ。換言すれば、バランスポート29の直径をより大に設定することができ、ガスバランスを短時間で済ませるようになった。
【0092】なお、上述の構成によれば、被駆動スリーブ22が上死点もしくは下死点まで移動して上下コイルばね23,24のいずれか一方が最大限圧縮されると、このコイルばね23,24を介して被駆動スリーブ22と駆動スリーブ20とが一体化した状態になる。
【0093】これら被駆動スリーブ22と駆動スリーブ20は同期して最大1回転する。すなわち、先に図7(A)から同図(B)で説明したようなスライダ17の切換えのための予備動作に入り、アーム部25bを備えた弁ドライブ25が反時計回り方向に1回転して停止し、予備動作が完了することになる。
【0094】ガスバランスに必要な時間の設定にある程度の安全時間を加え、そのあと電動機部3を正回転駆動する。上下部マグネットカップリング21,33と、駆動スリーブ20を介して被駆動スリーブ22とともに弁ドライブ25が同方向に回転する。
【0095】図7(B)の状態から図7(C)の状態に示すように、弁ドライブ25に設けられる接触子27がスライダ17外周部の第2のノッチ31bに掛合してスライダ17を同方向に回転付勢する。
【0096】上記アーム部25bと対称的に設けられるストッパ部25aがガイドピン18に衝止されて弁ドライブ25の回転が規制され停止する。この状態で、スライダ17を所定位置に変位させることができ、弁切換えが完了する。
【0097】さらに電動機部3の正回転駆動が継続され、弁ドライブ25はガイドピン18によって回転が規制される一方で、駆動スリーブ20と被駆動スリーブ22とのロックが解除され、被駆動スリーブ22は上方向へ移動変位する。
【0098】弁ドライブ25は、被駆動スリーブ22の溝部22aに付勢されて上方向へ移動し、ついにはスライダ17の下端面に密着してバランス孔29を閉成する。すなわち、ガスバランス状態が解除されて初期状態に戻り、ケース体1内に充満する高圧ガスが低圧側へ逃げることがなく、性能損失を早期に防止する。
【0099】仮に、上述の正回転動作で弁ドライブ25が1回転する以前に停止してしまっても、被駆動スリーブ22が上死点位置で上コイルばね23を圧縮し、駆動スリーブ20に対しロック状態になる。
【0100】被駆動スリーブ22と駆動スリーブ20とは一体化して回転し、弁ドライブ25は被駆動スリーブ22とともに正回転駆動させられる。そしてついには、弁ドライブ25のストッパ部25aがガイドピン18に当接して、この回動が規制される。このようにして、弁ドライブ25の回転動作は、いわゆるだめ押し動作となって、確実な弁切換えがなされることになる。
【0101】以上の電動機部3の正回転駆動による弁切換え動作は数秒以下で完了し、したがって弁Kの切換え動作が完了する。この状態で回転軸2の回転を停止してもよく、また回転を継続して正規の回転数で空調運転をなしてもよい。
【0102】なお、パイロット弁32にU字状片部32aを備えて、弁ドライブ25のストッパ部25aに掛止したから、パイロット弁32は弁ドライブ25に対して自由に回動できず上下動のみ可能である。
【0103】すなわち、特に高低圧差が大きい運転条件下で流体圧縮機Aの運転が停止すると、ケース体1内が高圧となっているため高圧ガスが圧縮機構部4内にリークし易い。この圧縮機構部4がロータリ式やスクロール式などの回転圧縮式であって吸込み弁を持たない構成では、回転軸2の逆回転現象が発生することがある。
【0104】この逆回転数は、通常、数回から10回程度であり、冷凍効果に悪影響を及ぼす程度のものではないが、本発明のように、回転軸2を逆回転駆動することにより切換え弁Kの流路切換えをなす構成であれば、制御指令に反して不慮に切換えをなす虞れがある。
【0105】しかるに、本発明によれば、高低圧力差の影響でパイロット弁32はかなりの力でスライダ17に密着し、バランス孔29を完全閉塞しているので、パイロット弁32は自由に自転することができない。
【0106】しかも、ねじ部nの回動力で被駆動スリーブ22の上下動の力を増大させるようになっているから、回転トルクは弱くてすみ、かつパイロット弁32にU字状片部32aを設けて弁ドライブ25のストッパ部25aを掛止しているから、弁ドライブ25の自転は確実に規制される。
【0107】たとえ回転軸2が逆回転して上下部マグネットカップリング21,33を介して駆動スリーブ20が同方向に回転しても、ストッパ部25aを備えた弁ドラブ25はパイロット弁32のU字状片部32aとガイドピン18に回動を規制されて被駆動スリーブ22とともに下方へ移動するだけである。
【0108】この途中でパイロット弁32はスライダ17のバランス孔29から引き離すようになっているが、このときは急激にガスバランスが開始されるので、回転軸2の逆回転は確実に終了する。
【0109】このようにして、本来の予備動作が行われることがないので、制御ミスの発生が未然に防止され、この状態から回転軸2を正回転駆動すれば停止前と同一のモードでの運転が実行できる。
【0110】なお、駆動スリーブ20と被駆動スリーブ22に設けられるねじ部nのねじ山数を、回転軸2の予想される逆回転数よりも充分に多く設定して、下コイルばね24が駆動スリーブ20と被駆動スリーブ21との間に密着ロック状態になる前に回転軸2を停止するように構成すれば、さらに確実に回転軸2の逆回転を阻止できる。
【0111】また、被駆動スリーブ22の溝部22a長さを、パイロット弁32の板厚と比較して充分な余裕をとるよう設定しておけば、回転軸2に逆回転現象が開始して被駆動スリーブ22が下降するようなことがあっても、ただちにパイロット弁32がバランス孔29を開放したり、弁ドライブ25が短時間で自転するようなことがないので、安全性を確保できる。
【0112】図2(A)(B)のみに示すように、ベースボディ5の外周面に逆転防止ばね35が取付けられていて、この先端部でスライダ17の逆転(反時計回り方向の回転を規制し、正回転(時計回り方向)のみの回転を可能としている。
【0113】すなわち、充分にガスバランスが行われた直後は、スライダ17上面はベースボディ5の弁座面5aから浮いてほとんどフリーの状態になる。このときに弁ドライブ25を逆回転すると、弁ドライブアーム部25bに設けた接触子27がスライダ17外周面に弾性的に接触しているところから、この摩擦によりスライダ17を同方向に引きずって回転させてしまう虞れがある。
【0114】そのあと、回転軸2を正回転するとノッチ31a,31bに対する掛け違いが発生して制御ミスに至るが、上述のように逆転防止ばね35を設けてノッチ31a,31bに掛止させ、スライダ17の引き摺り回転を防止する。
【0115】このように、逆転防止ばね35を備えたことにより、スライダ17はいかなる場合でも正回転(時計回り方向)のみしかできないことになり、安全性を確保する。
【0116】なお、以下に述べるような変形例が考えられる。たとえば、流体圧縮機Aの低圧側であるガス吸込み部7に通じる孔部を設けてバランスポートとする。この場合は、パイロット弁でバランスポートを開閉するだけでよい。
【0117】すなわち、ケース体1内が高圧であると、高圧ガスはケース体1内からバランスポートを通過して冷凍サイクルの低圧側に急速に導かれることになり、バランス時間を大幅に短縮できて、制御ミスを確実に防止する。
【0118】図8に示すように、ヒートポンプ式冷凍サイクルを構成したうえで、流体圧縮機Abに切換え弁Kを備えてもよい。すなわち、複数の室内熱交換器11A,11Bを備えて、互いに別の部屋に取付ける、いわゆるマルチタイプとする。これら室内熱交換器11A,11Bを切換え弁Kに接続することにより、各室内熱交換器11A,11Bを選択して冷媒を導き空調運転をなすことができる。
【0119】この場合、ケース体1と室外熱交換器9とを連通する吐出管40が必要であり、かつEパイプ8およびCパイプ10の各室内熱交換器11A,11B間に逆止弁41,41を備え、運転停止中において室内熱交換器11A,11Bに高圧ガスが流れることを防止しなければならない。
【0120】図9に示すような、トルク伝達構造としてもよい。すなわち、先に説明した上下部マグネットカップリングに代って、回転軸2の上端部にコイルばね45を介してスラスト板46が載設される。コイルばね45は圧縮状態で組まれていて、スラスト板46は駆動スリーブ20に弾性的に密着している。
【0121】このコイルばね45によりスラスト板46の駆動スリーブ20に対する接触圧が充分に確保され、回転軸2の回転トルクはスラスト板46を介して駆動スリーブ20側に伝達される。
【0122】また、特に弁ドライブ25とガイドピン18を耐摩耗性の高い素材で形成することにより、これらの接触部で発生する摩擦に充分耐え、変形の虞れがない。何よりも、上下部マグネットカップリングを用いずにすむので、コスト的に断然有利となる。
【0123】図10(A)(B)に示すように、偏心した位置に弁軸15を備えたベースボディ5Aでもよい。この場合、E,S,C孔8a,6a,10aはベースボディ5Aの中心部に設けられる。あるいは、S孔6aだけを設けてもよい。
【0124】すなわち、弁軸15とガイドピン18との間に各孔8a,6a,10aを配置してベースボディ5Aを小型化し、アッパケース1bに取付ける際の溶接入力を低減して、ベースボディ5Aの変形防止と溶接信頼性の向上を得る。
【0125】パイロット弁32Aはストッパ部32bを一体に備えており、上述の弁ドライブ25を不要として部品点数の削減を図った。ここでは、被駆動スリーブ22Aの外周面にU字状片部22bが設けられ、このU字状片部22bにパイロット弁32Aの周端一部に切起された掛止部32cが掛止される。
【0126】したがって、パイロット弁32AはU字状片部22bを介して被駆動スリーブ22Aの回り止めをなす。被駆動スリーブ22Aが降下してパイロット弁32Aがここでは図示しないバランスポートから離間すると、あるいは被駆動スリーブ22Aが上部マグネットカップリング21と密着すると、上記パイロット弁32Aを回動して弁切換えの予備動作に入ることになる。
【0127】なお、スライダ17の自転を防止するための逆転防止ばね35aをガイドピン18に設け、かつスライダ17のノッチ31a,31bに掛止する接触子27と、ガイドピン18に当接するストッパ部32bを同一の方向に設けて、簡素な構成とする。ベースボディ5Aの外周面もしくはアッパケース1bに直接にガイドピン18を取付ければ、ベースボディ5Aの直径をさらに小さくできる。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の切換え弁によれば、誤動作のない高い信頼性を有する流路切換えをなし、かつ切換えたあとは省電力化を保持してランニングコストの低減を得られるなどの効果を奏する。
【0129】本発明の流体圧縮機によれば、圧縮形態に限定されることなく切換え弁を内部に収容して流路切換えをなし、省スペース化と、圧縮性能の向上に繋げられるなどの効果を奏する。
【0130】本発明のヒートポンプ式冷凍サイクルによれば、運転切換え時間の短縮を図って快適空調を得られ、かつ配管接続を簡素化して配管スペースの低減を得られるなどの効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年3月5日(1999.3.5)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2000−257990(P2000−257990A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−58591