トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 蒸発器及びこれを有する冷凍機
【発明者】 【氏名】大津 亨

【要約】 【課題】冷凍機の起動時における蒸発器の冷水出口部分での過冷却解除という有害な現象を生起することなく冷凍機の円滑な起動に資することができる蒸発器を提供することを目的とする。

【解決手段】蒸発器24で熱交換する冷水の出口側の管板29の内側面に下方が開口する半密閉のチャンバ34を設け、このチャンバ34内に高温の冷媒ガスを供給して管板29の内側面を加熱するようにしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内側面を高温の冷媒ガスで加熱するようにしたことを特徴とする蒸発器。
【請求項2】 〔請求項1〕に記載する蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面に下方が開口する半密閉のチャンバを設け、このチャンバ内に高温の冷媒ガスを供給するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項3】 〔請求項1〕に記載する蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面の上下方向に分散させて多数のヘッダ管を配設し、このヘッダ管を介し管板の内側面に向けて高温の冷媒ガスを噴射するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項4】 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の冷媒ガスを蒸発器の内部に排出するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項5】 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に通路を設けこの通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項6】 〔請求項1〕乃至〔請求項5〕に記載する何れか1つの蒸発器において、高温の冷媒ガスは、冷凍機の凝縮器から蒸発器に直接高温の冷媒ガスを供給するホットガスバイパス管路から分岐する分岐管路を介して供給するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項7】 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に圧縮機の潤滑系統の潤滑油を流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の潤滑油を当該潤滑油の油タンクに戻すように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項8】 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に電気ヒータを配設し、この電気ヒータに通電して管板を加熱するように構成したことを特徴とする蒸発器。
【請求項9】 圧縮機、凝縮器及び膨張弁とともに冷凍サイクルを形成する冷凍機の蒸発器として〔請求項1〕乃至〔請求項8〕に記載する何れか1つの蒸発器を有することを特徴とする冷凍機。
【請求項10】 上記〔請求項9〕に記載する冷凍機をダイナミック氷蓄熱システムの冷凍機として有することを特徴とするダイナミック氷蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蒸発器及びこれを有する冷凍機に関し、特に過冷却水を作る冷媒スプレー式シェル・アンド・チューブ形の蒸発器に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】夜間余剰電力の有効利用を図るシステムの一種としてダイナミック氷蓄熱システムが提案されている。このシステムは、夜間電力を使い冷水を冷凍機で−1.0℃〜−3.0℃程度まで過冷却し、このようにしてできた過冷却水に衝撃を与えてシャーベット状の氷に変化させることによりこのシャーベット状の氷を氷蓄熱槽に蓄熱するとともに、このようにしてできた氷を解氷して昼間の空調運転に使用するシステムである。
【0003】図5は上記ダイナミック氷蓄熱システムに適用する冷凍機の一例を示す系統図である。同図に示すように、圧縮機1で圧縮して得る冷媒ガスは凝縮器2で凝縮して冷媒液となり、膨張弁3を介して蒸発器4に至る。冷媒液はこの蒸発器4で冷水と熱交換することにより蒸発して圧縮機1に戻る。上記ダイナミック氷蓄熱システムにおいては蒸発器4が過冷却水を作る過冷却器として機能する。すなわち、蒸発器4はその入口側から供給される0.8℃〜0℃程度の冷水を冷却し、その出口側から−1.0℃〜−3.0℃程度の過冷却水として氷蓄熱槽(図示せず。)に向けて排出する。ここで蒸発器4は一般に、冷媒スプレー式シェル・アンド・チューブ形のものが用いられる。この冷媒スプレー式シェル・アンド・チューブ形の蒸発器4は、冷水を流通させるように円筒状のシェル5内にその軸方向に亘り水平に配設された多数の伝熱管6と、各伝熱管6に向けて冷媒液を噴霧するようにシェル5内の上部に配設したスプレー7とを有しており、冷媒ポンプ8で汲み上げた冷媒液をスプレー7で伝熱管6に向けて噴霧することにより伝熱管6を流通する冷水を冷却するように構成してある。伝熱管6に向けて噴霧した冷媒液はシェル5の下面に固着した液溜め9に貯溜され、冷媒ポンプ8に汲み上げられて循環する。
【0004】かかるダイナミック氷蓄熱システムに適用する冷凍機は、その運転を停止した場合でも、冷水は、通常継続して循環させている。冷水の循環を停止させた場合には、冷水が流通する管路に対する外部からの衝撃等、何らかの原因で冷水が氷結する虞があるからである。一方、冷水の循環管路の途中で入熱があった場合には、蒸発器4内の冷媒ガスが凝縮し、これが冷媒液の液膜となって蒸発器4の管板の内側面に付着する。図7は蒸発器4の管板をその近傍部分とともに示す縦断面である。同図に示すように、管板10はシェル5の両端部を塞ぐ部材であり、これを貫通する伝熱管6を支持している。この管板10の外側には蓋11で仕切る水室12が形成してあり、この水室12を介して冷水が流入又は流出するようになっている。なお、伝熱管6の上方には多数のスプレー7が配設してあり、各スプレー7を介して冷媒液が伝熱管6に噴霧される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如き冷凍機において、停止後、再起動する際、当該冷凍サイクルの全体が平衡して定常状態になる前の過渡状態においては、冷凍機の停止期間に凝縮して管板10に付着した冷媒液が先に蒸発してしまい、これに伴う気化熱を管板10から奪う。この結果、管板10が局部的に冷却されて、特に冷水の出口側の管板10に固着された伝熱管6を流通する冷水を過剰に冷却してしまい、この部分で過冷却解除が発生する。すなわち、冷却水が氷結する。
【0006】本願発明は、上記従来技術に鑑み、冷凍機の起動時における蒸発器の冷水出口部分での過冷却解除という有害な現象を生起することなく冷凍機の円滑な起動に資することができる蒸発器及びこれを有する冷凍機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0008】1) 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内側面を高温の冷媒ガスで加熱するようにしたこと。本発明によれば、冷凍機の停止中に上記管板の内側面に付着する冷媒液膜が起動時に蒸発して管板の温度が低下するのを防止することができる。
【0009】2) 上記1)に記載する蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面に下方が開口する半密閉のチャンバを設け、このチャンバ内に高温の冷媒ガスを供給するように構成したこと。本発明によれば、チャンバ内が高温になることにより、上記管板の内側面を加熱する。
【0010】3) 上記1)に記載する蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面の上下方向に分散させて多数のヘッダ管を配設し、このヘッダ管を介し管板の内側面に向けて高温の冷媒ガスを噴射するように構成したこと。本発明によれば、管板の内側面に噴射する冷媒ガスによりこの管板を加熱することができるばかりでなく、この管板の内側面に付着する冷媒液を吹き飛ばすこともできる。
【0011】4) 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の冷媒ガスを蒸発器の内部に排出するように構成したこと。本発明によれば、管板を冷媒ガスで加熱することができる。
【0012】5) 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に通路を設けこの通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するように構成したこと。本発明によれば、通路を流通する冷媒ガスで管路は加熱される。
【0013】6) 上記1)乃至上記5)に記載する何れか1つの蒸発器において、高温の冷媒ガスは、冷凍機の凝縮器から蒸発器に直接高温の冷媒ガスを供給するホットガスバイパス管路から分岐する分岐管路を介して供給するように構成したこと。本発明によれば、ホットガスバイパス管路及び分岐管路を介して高温の冷媒ガスを凝縮器から直接供給することができる。
【0014】7) 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に圧縮機の潤滑系統の潤滑油を流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の潤滑油を当該潤滑油の油タンクに戻すように構成したこと。本発明によれば、熱容量が大きい潤滑油を加熱源として管板を加熱することができる。
【0015】8) 蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に電気ヒータを配設し、この電気ヒータに通電して管板を加熱するように構成したこと。本発明によれば、電気ヒータに通電することにより、この発熱で管板を加熱することができる。
【0016】9) 圧縮機、凝縮器及び膨張弁とともに冷凍サイクルを形成する冷凍機の蒸発器として上記1)乃至上記8)に記載する何れか1つの蒸発器を有すること。本発明によれば、冷凍機の起動時の過渡状態における蒸発器の管板の内側に付着する冷媒液膜の蒸発による、当該管板の異常な温度低下を防止することができる。
【0017】10) 上記9)に記載する冷凍機をダイナミック氷蓄熱システムの冷凍機として有すること。本発明によれば、冷凍機の起動時の過渡状態における蒸発器の管板の内側に付着する冷媒液膜の蒸発による、当該管板の異常な温度低下を防止することができるので、管板の過冷却による冷水の過冷却解除という有害な現象を生起することはない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0019】図1は本発明の実施の形態に係る蒸発器を、これを有する冷凍機とともに示し、同時に当該冷凍機をダイナミック氷蓄熱システムの冷凍機として用いた場合の態様を示す系統図である。本形態に係る冷凍機としてはターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機が好適であり、また蒸発器としてはスプレー式シェルアンドチューブ形のものが好適である。
【0020】図1に示すように、圧縮機21で圧縮して得る冷媒ガスは凝縮器22で凝縮して冷媒液となり、膨張弁23を介して蒸発器24に至る。冷媒液はこの蒸発器24で冷水と熱交換することにより蒸発して圧縮機21に戻る。当該ダイナミック氷蓄熱システムにおいては蒸発器24が過冷却水を作る過冷却器として機能する。すなわち、蒸発器24はその入口側から供給される0.8℃〜0℃程度の冷水を冷却し、その出口側から−1.0℃〜−3.0℃程度の過冷却水として氷蓄熱槽25に向けて排出する。氷蓄熱槽25に向かって流入する過冷却水は、この氷蓄熱槽25の上方で衝突板26に衝突し、このときの衝撃により氷結し、シャーベット状の氷として貯溜される。氷蓄熱槽25の冷水はポンプ27で汲み上げて蒸発器24に供給する。かくして、冷凍機の蒸発器24を介して氷蓄熱槽25との間で冷水の循環経路が形成される。
【0021】蒸発器24の管板28、29のうち下流側の管板29には、起動後の一定時間その内側面に高温の冷媒ガスを供給するように構成してある。この場合の、高温の冷媒ガスは、その供給方法に特別な制限はないが、本形態ではホットガスバイパス管路30の途中から分岐する分岐管路31を介して供給するようになっている。ここで、ホットガスバイパス管路30とは、凝縮器22と蒸発器24とを直接連通する管路で、開閉弁32により開閉することができるようになっており、開閉弁32が開状態のときには、凝縮器22の高温・高圧の冷媒ガスを直接蒸発器24に供給することができるようにしたものである。このことにより軽負荷時の円滑な運転が保証される。すなわち、ホットガスバイパス管路30を介した冷媒ガスは、冷凍機としての仕事に寄与するものではないが、この冷媒ガスも含めて圧縮機21の負荷としてやることにより圧縮機21のサージング(圧縮機21が吸入する冷媒ガス量の不足により生起され、圧縮動作が間欠的になる現象)を防止することができる。分岐管路31にも開閉弁33が設けてあり、この開閉弁33の操作により高温の冷媒ガスを管板29に供給する。具体的には、例えば図2及び図3の実施例に示す通りである。なお、図2及び図3中、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】図2は第1の実施例に係る管板29及びその近傍部分を抽出して示す縦断面図である。同図に示すように、本実施例は、管板29の内側に半密閉の空間を形成するチャンバ34を設け、このチャンバ34の下方に臨む分岐管路31の開口31aを介してこのチャンバ34内に高温の冷媒ガスを供給するようにしたものである。ここで、チャンバ34は伝熱管35を取り囲んでその内側に半密閉の空間を形成するとともに下方が開口する筒状の部材として形成してある。なお、図2中、36は円筒状のシェル、37は蓋で、管板29の外側に固着され、その内部の空間で水室38を形成している。
【0023】かかる実施例によれば、分岐管路31を介してチャンバ34内に高温の冷媒ガスを供給することにより、チャンバ34内に高温の冷媒ガスが閉じ込められる結果、この冷媒ガスで管板29の内側面を加熱することができる。したっがって、当該冷凍機の起動後の一定時間、開閉弁33を開いて高温の冷媒ガスを供給することにより、管板29の内側面に付着する冷媒液の液膜の蒸発に伴う気化熱により管板29の温度が低下するのを防止することができる。
【0024】図3は第2の実施例に係る管板29及びその近傍部分を抽出して示す縦断面図である。同図に示すように、本実施例は、当該蒸発器24の内部に導入した分岐管路31に上下方向に分散して複数のヘッダ管39を設け、このヘッダ管39を介して高温の冷媒ガスを管板29の内側面に向けて噴射するように構成したものである。なお、図中、図2と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】かかる実施例によれば、分岐管路31のヘッダ管39を介して管板29の内側面に高温の冷媒ガスを噴射することにより、この冷媒ガスが管板29の内側面に当たって管板29を加熱すると同時に管板29の内側面に付着する冷媒液の液膜を吹き飛ばすことができる。したっがって、図2に示す実施例の場合と同様に、当該冷凍機の起動後の一定時間、開閉弁33を開いて高温の冷媒ガスを供給することにより、管板29の温度が低下するのを防止することができるばかりでなく、管板29に付着する冷媒液の液膜自体を吹き飛ばすことができるので、当該液膜の蒸発に伴う管板29の温度低下をより確実に防止することができる。
【0026】図2及び図3に示す実施例は、管板29の内側面を加熱するものであるが、必ずしもこれらに限定するものではない。他に図4乃至図5に示す実施例が考えられる。
【0027】図4は第3の実施例に係る管板29及びその近傍部分を抽出して示す縦断面図である。同図に示すように、本実施例は、管板29の内部に高温の冷媒ガスを流す通路40を形成したものである。この通路40に図2及び図3の場合と同様に、分岐管路31から高温の冷媒ガスを供給してこの管板29を加熱し、その後開口部40aを介して蒸発器24の下部でその内部に臨むようにしたものである。なお、図4中図1乃至図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】かかる実施例によれば、分岐管路31を介して通路40に高温の冷媒ガスを流通させることにより管板29を加熱することができるので、当該冷凍機の起動後の一定時間、開閉弁33を開いて通路40に高温の冷媒ガスを流通させることにより、管板29の内側面に付着する冷媒液の液膜の蒸発に伴う気化熱による管板29の温度の低下を防止することができる。
【0029】なお、図4に示す第3の実施例において、通路40には潤滑油を供給するようにしても良い。すなわち、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機ではその圧縮機に回転部分を有するので、その軸受部分の潤滑を行う潤滑系が必要になるが、この潤滑には、一般に潤滑油が用いられる。そして、この潤滑油には当該冷凍機の冷媒と相溶性の良いものを用いている。このため、潤滑油は所定の高温(60℃程度)に保持しなければならない。潤滑油の温度が低下すると冷媒が溶け込んで潤滑油としての所定の粘性を有しなくなるからである。そこで、分岐管路31を、この潤滑油を潤滑させるための油ポンプ(図示せず。)の吐出口から分岐する管路として形成することにより、この分岐管路31を介して通路40に高温の潤滑油を供給することができる。この場合には通路40の開口部40aを潤滑油を貯溜する油タンク(図示せず。)に連通させて油タンクに戻すように構成する。
【0030】図5は第4の実施例に係る管板29及びその近傍部分を抽出して示す縦断面図である。同図に示すように、本実施例は、管板29の外側面に通路41を形成してこの通路41の内部に高温の冷媒ガスを流すようにしたものである。すなわち、通路41には、分岐管路31から高温の冷媒ガスを供給してこの管板29を加熱し、その後開口部41aを介して蒸発器24の下部でその内部に臨むようにしたものである。なお、図5中図1乃至図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】かかる実施例によれば、分岐管路31を介して通路41に高温の冷媒ガスを流通させることにより管板29を加熱することができるので、当該冷凍機の起動後の一定時間、開閉弁33を開いて通路41に高温の冷媒ガスを流通させることにより、管板29の内側面に付着する冷媒液の液膜の蒸発に伴う気化熱による管板29の温度の低下を防止することができる。
【0032】なお、図5に示す第4の実施例において、通路41の代わりに電気ヒータを設けても良い。この場合にも第4の実施例と同様に、管板29を外側から加熱することができ、この加熱によっても第4の実施例と同様の作用を得る。
【0033】
【発明の効果】以上実施の形態とともに詳細に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内面を高温の冷媒ガスで加熱するようにしたので、冷凍機の停止中に上記管板の内側面に付着する冷媒液膜が起動時に蒸発して管板の温度が低下するのを防止することができる。この結果、本発明によれば、冷水の過冷却を防止することができる。
【0034】〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載する発明蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面に下方が開口する半密閉のチャンバを設け、このチャンバ内に高温の冷媒ガスを供給するように構成したので、チャンバ内が高温になることにより、上記管板の内側面を加熱する。この結果、本発明によれば、起動時の過渡状態において、管板に付着する冷媒液が蒸発しても管板の温度が低下するのを防止することができ、冷水の過冷却を防止することができる。
【0035】〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載する蒸発器において、冷水の出口側の管板の内側面の上下方向に分散させて多数のヘッダ管を配設し、このヘッダ管を介し管板の内側面に向けて高温の冷媒ガスを噴射するように構成したので、管板の内側面に噴射する冷媒ガスによりこの管板を加熱することができるばかりでなく、この管板の内側面に付着する冷媒液を吹き飛ばすこともできる。この結果、本発明によれば、管板の温度低下を最も確実に防止することができる。
【0036】〔請求項4〕に記載する発明は、蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の冷媒ガスを蒸発器の内部に排出するように構成したので、管板を冷媒ガスで加熱することができる。この結果、本発明によれば、冷水の過冷却を防止することができる。
【0037】〔請求項5〕に記載する発明は、蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に通路を設けこの通路に高温の冷媒ガスを流通させてこの管板を加熱するように構成したので、通路を流通する冷媒ガスで管路は加熱される。この結果、本発明によれば、冷水の過冷却を防止することができる。
【0038】〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項1〕乃至〔請求項5〕に記載する何れか1つの蒸発器において、高温の冷媒ガスは、冷凍機の凝縮器から蒸発器に直接高温の冷媒ガスを供給するホットガスバイパス管路から分岐する分岐管路を介して供給するように構成したので、ホットガスバイパス管路及び分岐管路を介して高温の冷媒ガスを凝縮器から直接供給することができる。この結果、本発明によれば管板の加熱媒体を、簡単な構成で、供給することができる。
【0039】〔請求項7〕に記載する発明は、蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の内部に通路を設け、この通路に圧縮機の潤滑系統の潤滑油を流通させてこの管板を加熱するとともに加熱後の潤滑油を当該潤滑油の油タンクに戻すように構成したので、熱容量が大きい潤滑油を加熱源として管板を加熱することができる。この結果、効率の良い管板の加熱を行うことができる。
【0040】〔請求項8〕に記載する発明は、蒸発器の両端部の管板の内、この蒸発器で熱交換する冷水の出口側の管板の水室に臨む外側面に電気ヒータを配設し、この電気ヒータに通電して管板を加熱するように構成したので、電気ヒータに通電することにより、この発熱で管板を加熱することができる。この結果、電熱で管板を加熱して冷水の異常冷却を防止することができる。
【0041】〔請求項9〕に記載する発明は、圧縮機、凝縮器及び膨張弁とともに冷凍サイクルを形成する冷凍機の蒸発器として〔請求項1〕乃至〔請求項8〕に記載する何れか1つの蒸発器を有するので、冷凍機の起動時の過渡状態における蒸発器の管板の内側に付着する冷媒液膜の蒸発による、当該管板の異常な温度低下を防止することができる。この結果、当該冷凍機の起動時の過渡状態においても冷却水の過冷却現象を生起することなく安定な運転を行うことができる。
【0042】〔請求項10〕に記載する発明は、〔請求項9〕に記載する冷凍機をダイナミック氷蓄熱システムの冷凍機として有するので、冷凍機の起動時の過渡状態における蒸発器の管板の内側に付着する冷媒液膜の蒸発による、当該管板の異常な温度低下を防止することができるので、管板の過冷却による冷水の過冷却解除という有害な現象を生起することはない。この結果、本発明によれば、当該ダイナミック氷蓄熱システムの起動時の過渡状態においても、冷水の過冷却解除を生起することなく安定した運転を確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成11年3月8日(1999.3.8)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
【公開番号】 特開2000−257987(P2000−257987A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−59682