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【発明の名称】 溶液冷却吸収器伝熱管
【発明者】 【氏名】設 楽 敦

【氏名】松 前 和 則

【要約】 【課題】稀溶液の吸収器内における熱交換加熱を溶液冷却吸収器伝熱管の強度を犠牲にすることなく、効率よく行う吸収冷温水機の吸収器の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 溶液冷却吸収器の内部に設けられ、その内部を稀溶液が流れ、当該稀溶液と前記吸収器内部を滴下する濃溶液との間で熱交換を行う溶液冷却吸収器伝熱管において、前記溶液冷却吸収器に設けられている吸収器伝熱管の内部を流れる冷却水の流速と、溶液冷却吸収器伝熱管の内部を流れる稀溶液の流速とが実質的に等しくなる様に、断面積が設定されていることを特徴とする溶液冷却吸収器伝熱管。
【請求項2】 溶液冷却吸収器伝熱管内を流れる稀溶液の流量をFs、吸収器伝熱管を流れる冷却水の流量をFco、吸収器伝熱管の本数をN、溶液冷却吸収器伝熱管の本数をN1、吸収器伝熱管のパス数をP、溶液冷却吸収器伝熱管のパス数をP1、吸収器伝熱管1本の流路断面積をA、溶液冷却吸収器伝熱管1本の流路断面積をA1とした場合に、0.85・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)≦(A1/A)≦1.15・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)
である請求項1の溶液冷却吸収器伝熱管。
【請求項3】 吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管内壁に凹凸が形成されている請求項1、2のいずれかの溶液冷却吸収器伝熱管。
【請求項4】 吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管の中心部に長手方向へ延在する軸部を設けて、環状流路を形成した請求項1、2のいずれかの溶液冷却吸収器伝熱管。
【請求項5】 吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管内部の流路は複数区画に仕切られている請求項1、2のいずれかの溶液冷却吸収器伝熱管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管の外部の流体と管の内部を流れる流体との間で熱交換を行う伝熱管に関する。より詳細には、本発明は、吸収冷温水機で用いられる吸収器であって、冷媒を吸収した稀溶液を吸収器内で熱交換して予熱するタイプの吸収器(溶液冷却吸収器)で好適に用いられる伝熱管、すなわち溶液冷却吸収器伝熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】吸収式冷温水機においては、吸収器と再生器とを含む吸収溶液循環系の効率向上のために、吸収器内において稀溶液を加熱(予熱)する事を行っている。そして当該加熱は、図1で示す様に、入口コネクタ3と出口コネクタ4とを連結する吸収器伝熱管6で、所謂「吸収熱」(潜熱)によって加熱することで行っていた。即ち、伝熱管6a内を流れる低温の稀溶液Rbと、管6a外部とで熱交換していた。
【0003】ここで、吸収器1の有効幅寸法Lは、主として冷却水流量により決定されていたので、一般的に伝熱管外径に対して長寸である。そして従来は、伝熱管6aとしては、伝熱管6aにかかる液滴脈動、冷媒蒸気および液化冷媒の脈動および熱負加等による外内力に耐える標準寸法管を使用していた。即ち図9に示す管断面の管外径Doと標準内径Diとにより決定される管厚tによって、強度的充足が図られていた。しかし、この様な従来の伝熱管によって、所定の稀溶液量を流すと、流量に対して流路面積Saが大きくなり過ぎ、流速vが低速となり、管内を流れる稀溶液と管外部の熱量との間の熱伝達率が低く抑えられてしまい、稀溶液Rbの昇温(すなわち予熱)が好適に行われない、という問題が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来技術に鑑みて提案されたもので、稀溶液の吸収器内における熱交換加熱を伝熱管の強度を確保しつつ、熱効率を向上することが出来て、しかも、吸収冷温水機の吸収器やその他で適用可能な伝熱管の提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の溶液冷却吸収器伝熱管は、溶液冷却吸収器の内部に設けられ、その内部を稀溶液が流れ、当該稀溶液と前記吸収器内部を滴下する濃溶液との間で熱交換を行う溶液冷却吸収器伝熱管において、前記溶液冷却吸収器に設けられている吸収器伝熱管の内部を流れる冷却水の流速と、溶液冷却吸収器伝熱管の内部を流れる稀溶液の流速とが実質的に等しくなる様に、断面積が設定されている。ここで、冷却水の流速と稀溶液の流速とが「実質的に等しい」とは、稀溶液の流速が冷却水の流速に対して±15%の範囲内にあることを意味している。稀溶液の流速があまりに遅いと、稀溶液と溶液冷却吸収器伝熱管外部の熱量との間の熱伝達率が低く抑えられてしまい、稀溶液の昇温(すなわち予熱)が好適に行われない。一方、稀溶液の流速があまりに早い場合には、溶液冷却吸収器伝熱管の断面積が小さくなり過ぎることとなり、溶液冷却吸収器伝熱管として必要な程度の強度を確保出来なくなってしまう。±15%の範囲内は、上述した2つの条件(熱伝達率の向上、管強度の確保)を同時に満たす数値として、設定されているのである。
【0006】ここで、冷却水の流速と稀溶液の流速とが「実質的に等しい」とは、稀溶液の流速が冷却水の流速に対して±15%の範囲内にあることを意味している。その意味においても、本発明の実施に際しては、溶液冷却吸収器伝熱管内を流れる稀溶液の流量をFs、吸収器伝熱管を流れる冷却水の流量をFco、吸収器伝熱管の本数をN、溶液冷却吸収器伝熱管の本数をN1、吸収器伝熱管のパス数をP、溶液冷却吸収器伝熱管のパス数をP1、吸収器伝熱管1本の流路断面積をA、溶液冷却吸収器伝熱管1本の流路断面積をA1とした場合に、0.85・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)≦(A1/A)≦1.15・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)
であるのが好ましい。
【0007】また、吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管内壁に凹凸が形成されているのが好ましい。
【0008】さらに、吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管の中心部に長手方向へ延在する軸部を設けて、環状流路を形成しているのが好ましい。
【0009】そして、吸収器内で稀溶液が加熱されるタイプの吸収器の伝熱管として用いられ、管内部の流路は複数区画に仕切られているのが好ましい。
【0010】そして、本発明を吸収冷温水機の吸収器に適用した場合には、吸収器内で稀溶液が加熱される吸収冷温水機の吸収器において、該吸収器に管外径に対する管内径の比率が極めて低い吸収器伝熱管を装着されているのが好ましい。
【0011】かかる構成を具備する本発明の溶液冷却吸収器伝熱管は、溶液冷却吸収器に設けられている吸収器伝熱管の内部を流れる冷却水の流速と、溶液冷却吸収器伝熱管の内部を流れる稀溶液の流速とが実質的に等しくなる様に、断面積が設定されているので、必要な強度を保持しつつ、伝熱管を流れる稀溶液の流速を早くして、熱伝達率が高くする事が出来る。その結果、稀溶液の昇温或いは予熱を促進する事が出来る。
【0012】また、上述した様に断面積が設定されている結果、本発明による溶液冷却吸収器伝熱管の肉厚は従来の溶液冷却吸収器伝熱管に比較して、極めて厚くなる。そして、溶液冷却吸収器伝熱管の肉厚が厚くなる結果、必要な強度を保持しつつ、流路断面積を小さくして、稀溶液の流速を早くすることが出来るのである。
【0013】本発明において、管内径に山型の凹凸を形成すれば、山形の凹凸によって流れが乱され、熱伝達が一層高くなって稀溶液の昇温が一層高くなる。
【0014】また、該溶液冷却吸収器に、軸心に軸を設けて環状流路を形成した溶液冷却吸収器伝熱管が装着されている様に構成すれば、環状流路の伝熱壁面が大となって熱伝達率が高くなる。ここで、前記環状流路の壁面に山形の凹凸が形成すれば、山形の凹凸によって流れが乱され、熱伝達率が一層高くなって稀溶液の昇温が一層高くなる。
【0015】さらに、本発明の溶液冷却吸収器伝熱管の管軸心に沿って十字状リブが設ければ、流路が分割されて小流路となり、壁面摩擦が増加して熱伝達率が高くなる。ここで、内径壁面に山形の凹凸が形成すれば、内径壁面の山形凹凸によって熱伝達率が一層高くなる。
【0016】そして本発明の溶液冷却吸収器伝熱管の管軸心に対して2重の不連続な環状流路を形成した吸収器伝熱管が装着すれば、不連続な環状流路によって伝熱面積および摩擦壁面が多くなって、熱伝達率が高くなる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図示の実施形態は、吸収冷温水機の吸収器内で稀溶液の予熱を行うタイプの吸収器(溶液冷却吸収器)の伝熱管(溶液冷却吸収器伝熱管)に本発明を適用したものであり、従来技術の説明の際に使用した各部材の名称、符号は重複して使用する。
【0018】図1において、吸収器1は、冷媒Vaを吸収する機能部材を包囲する箱体2と、箱体2から出た稀溶液(以降稀溶液と略記する)Rbを加熱する管等の部材で主要部が構成されている。
【0019】箱体2の上板2aに、図示しない再生器から濃縮された吸収溶液(以下、「濃溶液」と記載する)Lbを導く濃溶液管4が接続されている。そして、箱体2内に入った濃溶液Lbが、箱体2内で散布され、濃溶液Lbの液滴Dbとなって滴下するよう構成されている。そして、滴下する液滴Dbが、図示しない蒸発器から導かれる冷媒蒸気Vaaの気化体を吸収する。
【0020】また、箱体2の両側板2c、2c間に水平にかつ、平行に、稀釈液Rbを流過させながら箱体2内から熱をうけて加熱させる複数の(図では5本の)伝熱管6(溶液冷却吸収器伝熱管)が設けられている。溶液冷却吸収器伝熱管6の伝熱有効長さLは前記従来技術で説明の長さに等しくなっている。その5本の溶液冷却吸収器伝熱管6のそれぞれに入口コネクタ3と出口コネクタ4が装着され箱体2の外部に連結されている。なお、図1の複雑化を防ぐために、入口コネクタ3および出口コネクタ4の図示は、最上段の溶液冷却吸収器伝熱管1本にとどめ他は省略している。
【0021】また、底部板2bに箱体2の底部に蓄留した稀溶液Rbを外部に導く稀溶液管10の一端が装着され、その他端は前記入口コネクタ3に通じている。また、出口コネクタ4は、加熱稀溶液管13の一端に接続され、その他端は再生器に接続されている。
【0022】そして、吸収器伝熱管(以下、「溶液冷却吸収器伝熱管」と記載する)6は、図2に示すように、外径Doが前記従来技術で説明の伝熱管6aと同一であり、内径D1は前記Diより極めて小径な流路P1に形成されている。
【0023】そして、溶液冷却吸収器伝熱管6の断面積は、溶液冷却吸収器1に設けられている吸収器伝熱管(吸収器1を冷却する冷却水が流れる管路)の内部を流れる冷却水の流速と、溶液冷却吸収器伝熱管6の内部を流れる稀溶液の流速とが実質的に等しくなる様に、断面積が設定されている。換言すれば、吸収器伝熱管の内部を流れる冷却水の流速に対して、溶液冷却吸収器伝熱管6の内部を流れる稀溶液の流速は±15%の範囲内となる様に、溶液冷却吸収器伝熱管6の断面積が設定されている。
【0024】より具体的には、溶液冷却吸収器伝熱管6内を流れる稀溶液の流量をFs、吸収器1を冷却する冷却水が流れる管路(吸収器伝熱管)を流れる冷却水の流量をFco、前記管路(吸収器伝熱管)の本数をN、溶液冷却吸収器伝熱管6の本数をN1、前記管路(吸収器伝熱管)のパス数をP、溶液冷却吸収器伝熱管6のパス数をP1、前記管路(吸収器伝熱管)の流路断面積をA、溶液冷却吸収器伝熱管6の流路断面積をA1とした場合に、0.85・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)≦(A1/A)≦1.15・(Fs・N・P1)/(Fco・N1・P)
となるように設定されている。
【0025】従って、この溶液冷却吸収器伝熱管6は、従来の伝熱管6aに比較して強度が減少することは無く、流路断面積A1が従来の伝熱管6aに比較して小さくなる。そのため、同量の稀溶液流量に対して、溶液冷却吸収器伝熱管6内の溶液流過速度が、吸収器1を冷却する冷却水の流速と等しくなる。この稀溶液流速は、従来技術の稀溶液流速に比較して速くなっている。
【0026】また、図示しない冷却水配管が箱体2内を巡って冷媒Vaの液化熱を排出するよう設けられている。
【0027】次に、上記構成の吸収器1の作用を説明する。再生器で濃縮された濃溶液Lbは濃溶液管4から箱体2の上部に注入され、箱体2の上部で拡散され液滴Dbとなって箱体2内を滴下する。濃溶液Lbは滴下中に蒸留器から導入された冷媒Vaを吸収して徐々に稀釈され底部板2b上に蓄留する。
【0028】蓄留した稀溶液Rbは、底部板2bから稀溶液管10を介して、入口コネクタ3から溶液冷却吸収器伝熱管6に流入し、内径D1の流路P1を流れて、管外の熱を受熱して昇温し、出口コネクタ4から加熱稀溶液管13を介して再生器に流入する。ここで、溶液冷却吸収器伝熱管6内での稀溶液Rbの流過速度は、流路面積A1に反比例するので従来の伝熱管6aに比較して極めて早くなり、従って熱伝達率を向上することが実現される。
【0029】図3は、別の溶液冷却吸収器伝熱管16を示している。外径Doおよび流路面積A1は、前記実施形態の図2と同じで、管内壁P2に山形の凹凸T2が形成されている。従って、強度は同じで、しかし壁面凹凸T2のために稀溶液Rbの流過速度は前記実施形態の溶液冷却吸収器伝熱管6と同速でも管内に流れの大きな乱れが生じ、熱伝達率が大きくなるよう形成されている。
【0030】図4は、流路面積S4は前記実施形態の溶液冷却吸収器伝熱管6、16と等しく、流路形状を環状にした溶液冷却吸収器伝熱管26を示している。管厚t6を薄くして熱伝達率を上げると共に、強度は芯軸D4で補うよう形成されている。図5は、流路面積S4は前記各実施形態と等しくし、流路形状を環状にし、環状流路Qの壁面に山形の凹凸T6を形成した溶液冷却吸収器伝熱管36を示している。前記図4に対し凹凸T6による流れの大きな乱れが生じ、熱伝達が大きくなるよう形成されている。
【0031】図6は、管内に十字型リブCrを設けた溶液冷却吸収器伝熱管46を示している。4分割の流路面積の合計S5は前記実施形態と同一であり、強度はより以上に大きく形成されている。流路面積S5は同一でも流れの摩擦壁面が大きく流れが乱れて熱伝達率が大きくなるよう形成されている。
【0032】図7は、管内に十字型リブCsを設けた溶液冷却吸収器伝熱管56を示している。管内壁面D9に山形の凹凸T9が形成されて前記図6の実施形態より熱伝達率が大きくなるよう形成されている。
【0033】また、図8は、変形2重管状の溶液冷却吸収器伝熱管66を示している。流路面積S7は前記各実施形態と同一であるが、流れの摩擦壁面が大きく、熱伝達率が大きくなるよう形成されている。
【0034】図2〜図8で示す溶液冷却吸収器伝熱管の各々は、いずれも従来の伝熱管6aに比較して、管強度が劣化すること無く、熱伝達率が大きくなって、その内部を流れる稀溶液が昇温する温度も高くなる。
【0035】
【発明の効果】本発明の作用効果を、以下に列挙する。
(1) 稀溶液を加熱する溶液冷却吸収器伝熱管内を流れる稀溶液の流速が早くなり、熱伝達率が高くなって稀溶液が昇温し、吸収溶液循環系の熱効率を向上する。
(2) 内径に凹凸を形成することにより、流れが乱れ熱伝熱率はさらに高くなる。
(3) 溶液冷却吸収器伝熱管の流路を環状にすれば、伝熱面積が大きくなり熱伝達率が高くなる。
(4) 溶液冷却吸収器伝熱管の流路を複数区画に分割すれば、摩擦面が大きくなって流れが乱れ、熱伝達率が高くなる。
(5) 溶液冷却吸収器伝熱管を不連続な環状流路で形成すれば、熱伝達および摩擦壁の面積が大きくなって熱伝達率が高くなる。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【出願日】 平成11年3月11日(1999.3.11)
【代理人】 【識別番号】100071696
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敏忠 (外1名)
【公開番号】 特開2000−257986(P2000−257986A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−64370