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【発明の名称】 冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法、および同設備
【発明者】 【氏名】立花 慶二

【氏名】福島 幸男

【氏名】関口 恭一

【氏名】町澤 健司

【氏名】肥後 譲

【要約】 【課題】法的規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、電気モータで駆動される方式の冷暖房空調設備を改造して、ガス燃料を駆動源として用いることによりエネルギーコストを低減せしめ、併せて当該冷暖房設備全体としての耐用命数を延長する工事を、省資源,低コストで施工する。

【解決手段】室内機1は既設の機器を継続使用する。室外機2は、現行型式(無公害フロンを熱搬送媒体とする)新品とアッセンブリ交換する。または「無公害フロン用圧縮機16mとガス燃料焚きエンジン17gとのペア」を更新する。そして、熱搬送媒体循環系の中には、規制対象フロンまたは無公害フロンを注入する。フロンの種類に応じて固定オリフィス22を設けるなどして流量制御を行ない、室外制御盤27k′を交換もしくは再調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象のフロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内の片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、熱搬送媒体を前記規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンで代替するとともに、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータを取り外し、代替使用される無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性をマッチングされたガス燃料焚きのエンジンを取り付け、前記規制対象フロンを蒸発・凝縮させる2個の熱交換器は、改造の対象である冷暖房空調設備に元来装着されていた規制対象フロン用の熱交換器を継続使用し、前記圧縮機と熱交換器とを接続して熱搬送媒体循環系を形成している配管の、継手部分を除く本体部分、および上記熱搬送媒体循環系の流路を切り換える方向制御弁は、元来装着されていた規制対象フロン用の部材を組み付けて改造後も継続使用し、上記の配管を組み付けた後、熱搬送媒体循環系の中へ、法的規制を受けない無公害フロンを封入することを特徴とする、冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項2】 改造の対象とする冷暖房空調設備の、室内に設置された熱交換器、および室外に設置された熱交換器のそれぞれに対して直列に、膨脹弁が接続されている場合、少なくとも室外に設置された熱交換器に設けられている膨脹弁について、膨脹弁を最大開度状態に調節して、その調節状態を固定し、もしくは、該膨脹弁を取り外して、その流入側管路と流出側管路とを直結する形に接続し、または、該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口とを結ぶバイパス管路を付設し、もしくは、該膨脹弁を取り外して、取り外した膨脹弁に代えてオリフィスを介挿接続することを特徴とする、請求項1に記載した冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項3】 改造対象である冷暖房空調設備の配管を分解して、継手部分のガスケット・パッキン類を取り外し、少なくとも非金属製のガスケット・パッキン類を取り除いて、規制対象フロンを洗浄,除去し、上記の取り除いたガスケット・パッキン類と代替せしめて、無公害フロンに対して化学的に安定な材料で構成されたガスケット・パッキン類を用いて継手部分を組み立てた後、真空乾燥し、熱搬送媒体の循環系統の中へ、無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油を注入することを特徴とする、請求項1に記載した冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項4】 改造対象である冷暖房空調設備に「室内熱交換器用送風機および室内熱交換器用膨脹弁を制御する室内制御盤」と、「室外熱交換器用送風機および圧縮機の回転駆動機器、並びに方向制御弁を制御する室外制御盤」とが設けられている場合、改造のために電気モータを取り外してガス燃料焚きエンジンを取り付ける作業に伴って、「電気モータを制御するように構成されていた改造前の室外制御盤」を、「ガス燃料焚きエンジンを制御する機能を備えた室外制御盤」に、取り替え、もしくは改修することを特徴とする、請求項1に記載した冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項5】 法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内に片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、熱搬送媒体を前記規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンで代替するとともに、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータ、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリを取り外し、代替使用される無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性をマッチングされたガス燃料焚きのエンジン、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り付け、前記室外機以外の構成部分の中で、熱搬送媒体の循環系統を構成している管路部材の継手部分を分解して、ガスケット・パッキン類を取り外し、規制対象フロンを洗浄,除去し、取り外したガスケット・パッキン類の中で、少なくとも金属性部材以外は取り除いて、無公害フロンに対して化学的に安定な材料で構成されたガスケット・パッキン類で代替し、熱搬送媒体循環系統内を真空乾燥した後、無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油を封入することを特徴とする、冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項6】 法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内に片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータを取り外し、無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性をマッチングされたガス燃料焚きのエンジンを取り付け、前記規制対象フロンを蒸発・凝縮させる2個の熱交換器は、改造の対象である冷暖房空調設備に元来装着されていた規制対象フロン用の熱交換器を継続使用し、前記圧縮機と熱交換器とを接続して熱搬送媒体循環系を形成している配管、および上記熱搬送媒体循環系の流路を切り換える方向制御弁は、元来装着されていた規制対象フロン用の部材を組み付けて改造後も継続使用し、上記の配管を組み付けた後、熱搬送媒体循環系の中へ、改造前の冷暖房空調設備の熱搬送媒体循環系の中に封入されていたフロンと同種類、もしくは類似のフロンを注入することを特徴とする、冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項7】 法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象のフロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内に片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータ、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り外し、無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように設計・製作されたガス燃料焚きのエンジン、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り付け、上記のようにして室外機を交換した冷暖房空調設備の熱搬送媒体循環系の中へ、改造前に用いられていた種類のフロン、および/または、改造前に用いられていた種類のフロンに類似するフロンを注入することを特徴とする、冷暖房空調設備の動力源をガス燃料に変換する方法。
【請求項8】 熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および、熱交換器を備えた室外機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器、および室外機に設けられている熱交換機は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機は、前記法的規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を回転駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、法的規制を受けない無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする、動力源をガス燃料に変換された冷暖房空調設備。
【請求項9】 熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および、熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機、および室外機に設けられている熱交換器は、前記法的規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を回転駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、法的規制を受けない無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする、動力源をガス燃料に変換された冷暖房空調設備。
【請求項10】 熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および、熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器、および室外機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機は、前記法的規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、前記法的規制の対象であるフロン、および、規制対象フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする、動力源をガス燃料に変換された冷暖房空調設備。
【請求項11】 熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室内機、および、熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機、および室外機に設けられている熱交換器は、前記法的規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を回転駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、前記法的規制の対象であるフロン、および、規制対象フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする、動力源をガス燃料に変換された冷暖房空調設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気モータで駆動されるように設計・製作して稼働された冷暖房空調設備について、改造用の機材,労力の使用を出来るだけ節減して、該冷暖房空調設備をガス燃料焚きのエンジンによって駆動するように改造する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在の冷暖房空調設備は、多年の技術的改良の歴史の上に成り立っている。そして本発明は、技術的向上進歩の途上において設計・生産された既設の冷暖房空調設備に最新の技術を適用して、低コストで、短時間で改造しようとするものである。前記の技術的向上進歩は多面的に併行して進められてきたが、その主要なテーマとして「フロン公害の防止」と、「エネルギーコストの低減」とが有った。そして最近、さらに電力負荷平準化という社会的要請に基づく改良が考究されている。上記のエネルギーコストの低減は、ランニングコストの節減という形でユーザーの経済的利益となるのみでなく、省エネルギーという国家的要請にも合致するものである。次に、(a)フロン公害防止のためにフロンが改良され緯経の概略と、(b)公害防止改良の途上における冷暖房空調設備の概要的に構造と、(c)公害防止完成形のフロンを用いた冷暖房空調設備の構造とを、順次に説明する。フロンとは、メタン基やエタン基を有している化合物の、水素原子の一部または全部をフッ素や塩素などのハロゲン元素で置換した化学的構造を有する物質に対する、我国における一般的名称である。ただし、我国における通称であって、アメリカやヨーロッパ諸国には「フロン」に該当する総括的な名称は存在していない。しかし、フロンの改良経過に伴う変化を類別することが、本発明の構成要件を明確ならしめるために必要であるから、以下に識別の概要を述べて類別名称を定義しておくこととする。
【0003】フロンに属する化合物は、分子構造上、CFC類,HCFC類,HFC類の3種類に区分される。
【0004】CFC類フロンは、水素原子が総べてフッ素が塩素で置換されたものであって、オゾン層を破壊してフロン公害を招く危険性が大きく、特定フロンとして法的に厳しく規制されているので、今日では姿を消している。HCFC類フロンはハイドロ・クロロ・フルオロカーボンの略で、オゾン破壊係数が小さく(例えば、代表的なHCFC類フロンであるフロンR22のオゾン破壊係数は0.055)、代替フロンと呼ばれている。ただし、オゾン破壊係数がゼロではないので、1996年に総量規制された。このHCFC類フロンは、2004年には大幅に生産量を削減されることになっており、2022年に全面禁止となる見込である。ただし、このHCFC類フロンも、大気中に放出されると公害を誘発するのであって、冷暖房空調設備の中に密封されていて漏出しなければ公害の原因とならないことを理解しておかねばならない。HFC類フロンは、ハイドロ・フルオロカーボンの略であり、オゾン破壊係数はゼロであり、新代替物質と呼ばれている。前記のHCFC類フロンに属するものとしてフロンR22、フロンR123、フロンR225等が有る。また、HCFC類フロンに属するものとしてはフロンR134a、フロンR32、フロンR125等が有る。なお、説明の便宜上、本発明においてはフロンを大別して、法的規制の対象となる種類のフロンと法的規制を受けないフロンとに区分する。ここに言う法的規制とは、公害関係法規による規制の意であって、規制対象のフロンの代表的なものはHCFC類フロンであり、CFC類フロンも含まれる。また、規制を受けないフロンは、いわゆる無公害フロンであってHFC類フロン(新代替物質)である。
【0005】図3は、法的規制を受けるHCFC類フロンを熱搬送媒体として用いた冷暖房空調設備の公知例を示す模式的な配管系統図に模式的な制御系統図を付記した図であり、特にHCFC専用として設計製作された構成部材の符号にはサフィックスとして「k」の文字を付してある。1は室内機、2は室外機、20は建物隔壁である。本図では図示を省略してあるが、1基の室外機2に対応せしめて複数基の室内機1が配置されている例が少なくない。室内機1には、HCFC類フロン用として設計製作された室内熱交換器3kと、室内送風機4とが設けられている。5は室内戻り管、6は室内供給管であって、この室内供給管6に対してHCFC類フロン用として設計製作された膨脹弁7kが介挿接続されている。この膨脹弁は、熱搬送媒体の流量を制御するという重要な役目を受け持っており、この流量が適正でないと圧縮機に吸い込まれるガス流の中に液滴が混ったり、該圧縮機の吐出ガス流が過熱したりする。この膨脹弁7kの開度は、室内信号線28を介してHCFC類フロン用室内制御盤26kによって制御されるようになっている。室外機2には、HCFC類フロン用として設計製作されたガス圧縮機16kと、これを回転駆動するように特性カーブをマッチングさせた電気モーター17eが設置されている。前記のHCFC類フロン用圧縮機16kは、理論的には必ずしも電気モーターでなくても回転駆動できるが、既設の冷暖房空調設備においては電気モーターで駆動されている実例が多い。その主たる理由は次のとおりである。電気モーターは駆動エネルギー源の供給が容易で、振動・騒音の発生が少なく、出力制御も容易である。これと併せて、一般オフィス事務のコンピュータ化が余り進んでいなかった時代には、オフィス室内の電力消費量が少なく、冷暖房空調設備に電力を振り向ける余裕が有ったからである。前記のHCFC類フロン用圧縮機16kと電気モーター17eとは一体的に結合されて密封缶構造Aを成し、容易に分離できないようになっている。
【0006】前記HCFC類フロン用圧縮機16kは、HCFC類フロンのガスを吸入,圧縮して吐出する。圧縮されたガスは断熱圧縮現象によって昇温し、四方切替弁14を経て、HCFC類フロン用として設計製作された室外熱交換器12kを流通する。この室外熱交換器12kにおいて、ガス状のHCFC類フロンは、室外送風機13によって吹きつけられる室外大気と熱交換する。すなわち、HCFC類フロンのガスは液化潜熱を放出して液化し、液状HCFC類フロンは熱交戻り管11,受液器10,および、HCFC類フロン用として設計製作された膨脹弁18kを通り、冷媒供給管8を経て室内機1に循環供給される。室内機1に供給された液状のHCFC類フロンは、室内熱交換器3kを流通しつつ、室内送風機4によって吹きつけられる室内空気と熱交換する。すなわち、室内空気から蒸発潜熱を奪って該室内空気を冷却するとともに、気化して、前方四方切替弁14,およびアキュームレータ15を経て圧縮機16kに吸入され、1サイクルを終了する。その後、連続的にこの冷凍サイクルを繰り返して冷房機能を発揮する。前記の四方切替弁14を操作して熱搬送媒体の流動経路を切り替え、圧縮されたHCFC類フロンのガスを室内熱交換器3kで液化させるとともに、液化したHCFC類ガスを室外熱交換器12kで蒸発させると暖房機能を果たすようになる。図示27kはHCFC類フロン用として設計製作された室外制御盤であって、室外信号線29を介して膨脹弁18k,四方切替弁14,および室外送風機13を駆動制御するとともに、信号線25を介して室内制御盤26kと情報を交換する。室内機1と室外機2とを接続して成る熱搬送媒体の循環系統の中に、HCFC類フロンおよび冷凍機油が封入されている。前掲の図3においては、1基の室内機1に対応せしめて1基の室外機2を対応させて配置した例を示したが、複数基の室内機1に対応せしめて1機の室外機2を配置される場合の例を次に示す。図4は、1基の室外機と3基の室内機とを接続して構成された冷暖房空調設備の1例を示し、建屋の部分的水平断面図に、熱搬送媒体の配管系統と制御系統配線とを付記した図である。この図4では簡略化して描いてあるが、室内機1A〜同1Cの内部構造は前掲の図3における室内機1と同様ないし類似である。また、図4の室外機2′は図3の室外機2に比して容量が大きいことの他はほぼ同様、ないし類似の内部構造である。
【0007】図5は、HFC類フロンを熱搬送媒体として用いた冷暖房空調設備の公知例を示す概要的な配管系統図に模式的な制御系統を付記した図であり、特にHFC類専用として設計製作された構成部材の符号にはサフィックスとして「m」の文字を付してある。次に、本図5(HFC類フロン冷暖房空調設備)を、前掲の図3(HCFC類フロン冷暖房空調設備)と比較して、異なっている点を抽出して述べると次のとおりである。HFC類フロン用室内熱交換器3m、HFC類フロン用膨脹弁7m、HFC類フロン用室外熱交換器12m、HFC類フロン用圧縮機16m、HFC類フロン用膨脹弁18m、HFC類フロン用室内制御盤26m、およびHFC類フロン用室外制御盤27mは、それぞれHFC類フロンを熱搬送媒体として用いるように設計製作された構成部材である。室外機2と室内機1とを接続して成る循環系統の中に、HFC類フロンおよび冷凍機油が封入されている。
【0008】熱搬送媒体としてHCFC類フロンを用いる場合とHFC類フロンを用いる場合とでは、その化学的性質も異なるが、物理的性質の違いの影響を受けることが大きい。次に、HFC類フロンの代表例であるフロンR134aと、HCFC類フロンの代表例であるフロンR25とについて、主要な物理的性状を対比表として示す。
【0009】
通称 フロンR134a フロンR22化学成分 HFC−134a HCFC−22分子量 102.03 86.47沸点(℃) −26.18 −40.8凝固点(℃) −101 −160臨界温度(℃) 101.5 96.15臨界圧力(MPa) 4.065 4.99飽和蒸気比容積 0.031 0.0225(m3/kg)
蒸発潜熱 42.54 55.78(kcal/kg)
これらの物理的性質の相異の内、最も重要なものは蒸発潜熱の相異であり、次いで重要なものは飽和蒸気比容積(比重の逆数)である。詳細については後に述べる。
【0010】(図5(HFC類フロンを用いた冷暖房空調設備の公知例)参照)HFC類フロン用の圧縮機16mは、ガスエンジン17gによって駆動されるようになっている。その理由は次のとおりである。すなわち、HFC類フロンを熱搬送媒体として用いる冷暖房空調設備は公知であるが、比較的生産年代が新しい。このため、OA化が進んでオフィス室内の電力消費量が増加した時代に作られたものである。従って、冷暖房空調設備に振り向ける電力の余裕が少ないので、電気モーターの使用を避け、エネルギーコストの低減も兼ねてガスエンジンが搭載されている。図示を省略するが、電力消費が少なくてエネルギーコストが安いことの為に、ディゼルエンジンを駆動源とした例も少なくない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図3に例示した旧式の冷暖房空調設備の損耗が進んで大修理が必要になった場合、この既設の設備を廃却して図5に例示した新式の冷暖房空調設備を新設することも一案であるが、構成機器の一部を新品と交換するとともに、その他の構成部品を再使用して新式冷暖房空調設備(図5)と同等の性能が得られるようにしてほしいという要請が生まれてくる。構成部品の一部変換による改造の要請の内容は、事情によって異なり、必ずしも一定ではないが、主要なものとして次のような事情が挙げられる。
a.屋外機は直接的に風雨に晒されているので損耗が甚しく、室内機の損耗は比較的軽徴である。このため、既設の屋内機は使用を継続することとして、屋外機だけを変換してほしい。
b.電気モーターを使用する場合の電力料金が割高になった。このため、エネルギーコストの安いガス燃料(液化ガスも含む)を用いるエンジンと変換してほしい。
c.高負荷を受けて運転されている圧縮機が損耗したので、圧縮機だけを変換してほしい(このような要請の場合は、必ずしも新式の圧縮機でなくても、可能であれば旧式の圧縮機でも良いという要望内容である例も少なくない)。もちろん、上記a,b,cの要請の2項目もしくは3項目が複合している場合も有る。ところが、各構成機器の性能特性を相互にマッチングさせて構成されている、バランスの取れた一組の冷暖房空調設備の中で、その一部分だけを新式部品と交換しようとすると種々の不具合を生じる。
【0012】例えば、図3(旧式)に示した電気モータ17eを取り外して、その代りに図5(新式)に示したガスエンジン17gを取り付けようとしても、製作年代の新しいガスエンジン17gはHFC類フロン用の圧縮機16mと性能特性をマッチングさせて構成されているので、このガスエンジン17gは旧式のHCFC類フロン用圧縮機16mと組み合わせることができる。その上、図3(旧式)に示した電気モータ17eとHCFC類フロン用圧縮機16kとは、先に述べたように一体的に結合されて密封缶構造Aを形成しているので、破壊しなければ分離することができず、また、部品を変換して復元することもできない。強いて交換しようとすれば、図3に示した1組の構成部分Aを取り外した後へ、図5に示した1組の構成部分Bを取り付けねばならない。ところが、図3のA部を構成している圧縮機16kはHCFC類フロンのガスを圧縮するように設計製作されており、図5のB部を構成している圧縮機16mはHFC類フロンのガスを圧縮するように設計製作されている。先に説明したように、HCFC類フロンとHFC類フロンとは物理的性状が異なるので、単純に類似銘柄の間で「フロンガスの圧縮機とその駆動機器」を1組して交換しても、冷暖房空調設備全体としてバランスのとれた冷暖房機能を発揮されない。すなわち、例えば、HCFC類フロン用圧縮機16kを備えた冷暖房空調設備(図3)の公称冷暖房能力に比して、HFC類フロン用圧縮機16mを備えた冷暖房空調設備(図5)の公称冷暖房能力が等しい場合を想定して説明すると、諸物性(特に蒸発潜熱および比容積)の異なるHCFC類フロン用として設計製作されたガス圧縮機とHFC類フロン用として設計製作されたガス圧縮機とは、吐出圧力、吐出流量が異なる。つまり、公称冷暖房能力が同じだから互換性が有るだろうと思ってガス圧縮機を交換すると、吐出圧力,吐出流量といった圧縮機としての基本的な諸元が異なっているので、冷暖房空調設備全体のバランスを崩してしまい、所望の冷暖房能力が得られない。上述したのは、単純な構成部分交換によって生じる不具合の1例であって、その他にもいろいろと難しい問題が有る。
【0013】以上に述べたように、HCFC類フロン用として設計製作された旧式の冷暖房空調設備を構成している機器のうちの一部分だけを、現行のHFC類フロン用の冷暖房空調設備用の機器と交換して改造もしくは修理を行なうことは非常に困難である。しかしながら、既設の旧式冷暖房空調設備の室内機が未だ健全であって室外機のみが損耗したとき、室内機と室外機との全部を廃却して新しい冷暖房空調設備の一式を新設することは、ユーザーにとっては経済的負担が大きく、健全な室内機を捨ててしまうことは如何にも惜しい。その上、今後も継続使用できる機器を廃却してしまうことは、産業廃棄物の減量という国家,社会の要請にも反することになる。また、既設の旧式冷暖房空調設備が未だ老朽化していない場合、その駆動用機器を電気モーターからエンジンに改造すればエネルギーコストが安価になるのでユーザーにとってはランニングコスト低減という経済的メリットが有ると分かってはいても、未だ使用に耐え、現に冷暖房機能を果たしている冷暖房空調設備の全体を更新することには踏み切りかねる。このようにして、部分的改造技術が未だ開発されていないため、エネルギーコストの高価な冷暖房空調設備の改良が先送りされている。
【0014】冷暖房空調設備の駆動源に関して、電力負荷の時期的集中として問題も有る。電気モーター駆動による冷房空調は夏季の昼間に集中する。このため電力の年負荷率(1年間の最大需要電力に対する平均需要電力の比率)が年々低下の傾向を示しており、昭和40年代には約70%であった年負荷率が平成9年度実績では約55%まで低下した。エネルギー需給の円滑化が国家経済の重要課題となっている情勢の下で、電力の年負荷率が減少を続けていることは放置できないので、通商産業大臣の諮問機関である電気事業審議会の基本政策部会は、電力負荷平準化対策小委員会を設置して電力負荷率の向上(すなわち電力負荷平準化)を図って、各種の施策を打ち出している。負荷平準化に遂行するようなパターンの電力消費に対して懲罰的な電力料金を加算することも一つの方策ではあるが、冷暖房空調設備の駆動源を電力から燃料に切り替えること、すなわち電気モーターをエンジンを切り替えることが、最も直接的な効果を期待し得る。本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、法的規制を受ける種類のフロン(主としてHCFC類フロン、ただしCFC類フロンと含む)を熱搬送媒体とし、電気モーターを駆動源とする既設の冷暖房空調設備について、圧縮機が他の機器よりも著しく損耗したり、室外機が室外機よりも著しく損耗したりした場合、および/またはエネルギーコストを低減するために駆動源を「エネルギーコストの低廉なガス燃料焚きエンジン」に変換したい場合に、既設の冷暖房空調設備を構成している機器をなるべく多く残して継続使用することができ、現行型式の冷暖房空調設備の構成機器を採り入れることができ、しかも、改造後の冷暖房空調設備が全体としてバランスのとれた冷暖房機能を発揮することができる改造技術を提供して、電力負荷平準化や産業廃棄物減量について、直接・間接に貢献することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理を、その1実施形態に対応する図1について略述すると、法的既成の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、電気モータで駆動される方式の冷暖房空調設備を改造して、ガス燃料を駆動源として用いることによりエネルギーコストを低減せしめ、併せて当該冷暖房設備全体としての耐用命数を延長する工事を、省資源,低コストで施工するため、室内機1は既設の機器を継続使用する。室外機2は、現行型式(無公害フロンを熱搬送媒体とする)新品とアッセンブリ交換する。または「無公害フロン用圧縮機16mとガス燃料焚きエンジン17gとのペア」を更新する。そして、熱搬送媒体循環系の中には、規制対象フロンまたは無公害フロンを注入する。フロンの種類に応じて固定オリフィス22を設けるなどして流量制御を行ない、室外制御盤27k′を交換もしくは再調整する。
【0016】以上に説明した原理に基づいて、請求項1に係る発明方法は、本的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内の片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用を蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、熱搬送媒体を前記規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンで代替するとともに、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータを取り外し、代替使用される無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性マッチングされたガス燃料焚きのエンジンを取り付け、前記規制対象フロンを蒸発・凝縮させる2個の熱交換器は、改造の対象である冷暖房空調設備に元来装着されていた規制対象フロン用の熱交換器を継続使用し、前記圧縮機と熱交換器とを接続して熱搬送媒体循環系を形成している配管の、継手部分を除く本体部分、および上記熱搬送媒体循環系の流路を切り換える方向制御弁は、元来装着されていた規制対象フロン用の部材を組み付けて改造後も継続使用し、上記の配管を組み付けた後、熱搬送媒体循環系の中へ、法的規制を受けない無公害フロンを封入することを特徴とする。以上に説明した請求項1の発明方法によると、電気モータを取り外すとともに該電気モータで駆動されていた圧縮機も取り外し、その後にガス燃料焚きのエンジンおよび該エンジンと性能特性をマッチングされた圧縮機を取り付けるので、エネルギーコストが電気代からガス燃料代に変わって安価になる上に、電気モータを使用しなくなるので電力負荷平準化に貢献する。しかも、上記の取り付けられる圧縮機は無公害フロン用圧縮機であるから今日においても製造・供給されていて入手が容易である。その上、既設の熱交換器はそのまま使用を継続するので、改造用資材費が節減される。
【0017】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、改造の対象とする冷暖房空調設備の、室内に設置された熱交換器、および室外に設置された熱交換器のそれぞれに対して直列に、膨脹弁が設けられている場合、少なくとも室外に設置された熱交換器に設けられている膨脹弁について、膨脹弁を最大開度状態に調節して、その調節状態を固定し、もしくは、該膨脹弁を取り外して、その流入側管路と流出側管路とを直結する形に接続し、または、該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口とを結ぶバイパス管路を付設しもしくは、該膨脹弁を取り外して、取り外した膨脹弁に代えてオリフィスを介挿接続することを特徴とする。以上に説明した請求項2の発明方法によると、圧縮機の取り替えおよび熱搬送媒体の種類の変更に伴う冷凍サイクル内のバランス失調を容易に防止することができる。すなわち、室内の熱交換器に設けられている膨脹弁と室外の熱交換器に設けられている膨脹弁とが直列に接続されていることに着目して、室外側の膨脹弁によるフロン流量制御を簡略化したものである。1基の室外機に対して1基もしくは複数基の室内機が設置されているが、室内機の熱交換器のフロン流量を室内機の膨脹弁で制御すれば、室外機の膨脹弁による流量制御は簡略化し得る。
【0018】請求項3に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、改造対象である冷暖房空調設備の配管を分解して、継手部分のガスケット・パッキン類を取り外し、少なくとも非金属製のガスケット・パッキン類を取り除いて、規制対象フロンを洗浄,除去し、上記の取り除いたガスケット・パッキン類と代替せしめて、無公害フロンに対して化学的に安定な材料で構成されたガスケット・パッキン類を用いて継手部分を組み立てた後、真空乾燥し、熱搬送媒体の循環系統の中へ、無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油を注入することを特徴とする。以上に説明した請求項3の発明方法によると、法的規制を受ける種類のフロンに比して無公害フロンの化学的活性が大きく、合成樹脂系のガスケット・パッキン材料や冷凍機油と反応してこれらを劣化せしめ易いという欠陥を防止することができる。すなわち、規制対象フロンが用いられていた改造対象冷暖房空調設備のガスケット・パッキン類を無公害フロン用のガスケット・パッキン類と交換し、規制対象フロンを洗浄除去して真空乾燥するので、改造後において無公害フロンの化学的性質に起因するトラブルを発生する虞れが無い。
【0019】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、改造対象である冷暖房空調設備に「室内熱交換器用送風機および室内熱交換器用膨脹弁を制御する室内制御盤」と、「室外熱交換器用送風機および圧縮機の回転駆動機器、並びに方向制御弁を制御する室外制御盤」が設けられている場合、改造のために電気モータを取り外してガス燃料焚きエンジンを取り付ける作業に伴って、「電気モータを制御するように構成されていた改造前の室外制御盤」を、「ガス燃料焚きエンジンを制御する機能を備えた室外制御盤」に取り替え、もしくは改修することを特徴とする。以上に説明した請求項4の発明方法によると、改造後において、室外制御盤によってガス燃料焚きエンジンを適正に制御することができる。すなわち、改造前の室外制御盤は「圧縮機を回転駆動する電気モータ」を自動的に制御できるように構成されているが、エンジンを自動制御する機能は備えていない。そこで本請求項4を適用すると、室外制御盤を交換,もしくは改修することによって、ガス燃料焚きエンジンを自動的に制御することができるようになる。
【0020】請求項5に係る発明の構成は、法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内の片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、熱搬送媒体を前記規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンで代替するとともに、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータ、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り外し、代替使用される無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性をマッチングされたガス燃料焚きのエンジン、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り付け、前記室外機以外の構成部分の中で、熱搬媒体の循環系統を構成している管路部材の継手部分を分解して、ガスケット・パッキン類を取り出し、規制対象フロンを洗浄,除去し、取り外したガスケット・パッキン類の中で、少なくとも金属性部材以外は取り除いて、無公害フロンに対して化学的に安定な材料で構成されたガスケット・パッキン類で代替し、熱搬送媒体循環系統内を真空乾燥した後、無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油を封入することを特徴とする。以上に説明した請求項5の発明方法によると、改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変わり、改造後において熱搬送媒体が無公害フロンになるので、エネルギーコストの低減効果が得られるとともに電力負荷平準化に貢献し、かつ、フロン公害を起こす心配が全く無くなる。さらに、本請求項5においては室外機をアッセンブリで交換するので、室外熱交換器等を継続使用できない分だけ改造用資材費が嵩むが、改造所要工数は低減される。
【0021】請求項6に係る発明方法の構成は、法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内の片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータを取り外し、無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように性能特性をマッチングされたガス燃料焚きエンジンを取り付け、前記圧縮機と熱交換器とを接続して熱搬送媒体循環系を形成している配管、および上記熱搬送媒体循環系の流路を切り換える方向制御弁は、元来装着されていた規制対象フロン用の部材を組み付けて改造後も継続使用し、上記の配管を組み付けた後、熱搬送媒体循環系の中へ、改造前の冷暖房空調設備の熱搬送媒体循環系の中に封入されていたフロンと同種類、もしくは類似のフロンを注入することを特徴とする。以上に説明した請求項6の発明方法によると、法的規制の対象とされるフロンの圧縮機が製造・供給されなくなった今日においても入手可能な、無公害フロン用圧縮機を用いて、冷暖房空調設備の動力源を電気からガス燃料に変換することができる。しかも、改造前に熱搬送媒体循環系の中に封入されていたフロンを、改造後にも使用を継続することができ、さらに、既設の冷暖房空調設備の熱交換器や方向制御弁を改造後も継続使用できるので施工費用が低廉である。
【0022】請求項7に係る発明方法の構成は、法的な規制の対象とされる種類のフロンを熱搬送媒体とし、上記規制対象のフロンのガスを圧縮する圧縮機と、上記圧縮機を回転駆動する電気モータと、圧縮されて昇温した規制対象フロンのガスを空気流で冷却して凝縮させる熱交換器と、凝縮した規制対象フロンの液を空気流で加熱して蒸発させる熱交換器とを有し、上記2個の熱交換器の内の片方は室内に設置され、他方の熱交換器は室外に設置され、かつ、該2個の熱交換器は方向制御弁によって凝縮用と蒸発用とに切換使用が可能である冷暖房空調設備を改良して、ガス燃料を動力源とするエンジンで回転駆動するように改造する方法において、前記規制対象フロンのガスを圧縮する圧縮機、および該圧縮機を回転駆動している電気モータ、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り外し、無公害フロンガスを圧縮するように設計・製作された圧縮機、および、該圧縮機を回転駆動するように設計・製作されたガス燃料焚きのエンジン、並びに、室外熱交換器および方向制御弁が設置された室外機をアッセンブリで取り付け、上記のようにして室外機を交換した冷暖房空調設備の熱搬送媒体循環系の中へ、改造前に用いられていた種類のフロン、および/または、改造前に用いられていた種類のフロンに類似するフロンを注入することを特徴とする。以上に説明した請求項7の発明方法によると、改造の前,後において室内機は規制対象のフロン用として設計・製作され、かつ規制対象フロンを熱搬送媒体として稼働を継続することになるので、室内膨脹弁の調整状態や室内制御盤を変更しなくても良い。しかも、室内機を廃却することなく継続使用するので、改造用の資材費が節減される。室外機はアッセンブリで交換するので、改造所要工数が少なくて済み,工期も短い。
【0023】請求項8に係る発明装置の構成は、熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および、熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器、および室外機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機は、前記法的規制対象フロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を回転駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、法的規制を受けない無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作された、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項8の発明設備によると、規制対象フロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、再生利用する機器類が多いので、産業廃棄物減量についても有効である。
【0024】請求項9に係る発明設備の構成は、熱交換器と,ガス圧縮機と、該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および、熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機、および室外機に設けられている熱交換器は、前記法的規制対象フロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を回転駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、法的規制を受けない無公害フロン、および、該無公害フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換器が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項9の発明設備によると、規制対象フロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、室外機がアッセンブリ交換された構造であるから、所要工数が節減される。
【0025】請求項10に係る発明設備の構成は、熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室外機、および熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器、および室外機に設けられている熱交換機は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機は、前記法的規制対象フロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記ガス燃料焚きのエンジンは、上記無公害フロン用に設計・製作されたガス圧縮機を駆動するように、該ガス圧縮機に対して性能特性をマッチングされた機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換器とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、前記法的規制の対象であるフロン、および、規制対象フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換機が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項10の発明設備によると、規制対象フロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、再生利用する機器類が多いので、産業廃棄物減量についても有効である。
【0026】請求項11に係る発明装置の構成は、熱交換器と,ガス圧縮機と,該ガス圧縮機を回転駆動するガス燃料焚きのエンジンとを備えた室内機、および熱交換器を備えた室内機から成り、前記室内機に設けられている熱交換器は、法的な規制の対象とされている種類のフロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、前記のガス圧縮機、および室外機に設けられている熱交換器は、前記法的規制対象のフロンと物性を異にする無公害フロンを熱搬送媒体とするように設計・製作された機器であり、かつ、前記ガス圧縮機と熱交換機とを接続して成る熱搬送媒体循環系の中に、前記法的規制の対象であるフロン、および、規制対象フロンに適合する冷凍機油が封入されているとともに、前記の熱交換機が規制対象フロン用として設計・製作された際に、上記設計・製作と協調して設計・製作され、もしくは選定・装着された膨脹弁が、a.最大開度に固定され、b.もしくは該膨脹弁を取り外して、流入側管路と流出側管路とを直結して接続され、c.または該膨脹弁を取り外すことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路が設けられ、d.もしくは該膨脹弁を取り外して、固定オリフィスによって代替されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項11の発明設備によると、規制対象フロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、室外機がアッセンブリで交換された構造であるから、所要工数が節減される。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、電気モータを駆動源とし、規制対象のフロンを熱搬送媒体とする冷暖房空調設備に本発明方法を適用して、ガス燃料焚きエンジンを駆動源とし、無公害フロンを熱搬送媒体とするように改造した冷暖房空調設備の1例を示す模式的な系統図である。この実施形態は、図3に示した旧式の冷暖房空調設備が多年の稼働によって損耗したので、損耗修復と、エネルギー源の変換(電気→ガス燃料)によるランニングコスト低減と、フロン公害の完全防止とを併せて達成すべく改造した1例であって、改造に用いた機材は図5に示した公知の新式冷暖房空調設備の構成機器である。各図に共通して、同様ないし類似の構成部材には同一の符号を付した。また、改修したり再調整(調整状態の変更)したりした構成部材には、同一の符号にダッシを付して示してある。
【0028】次に、第1の実施例について、図1を参照して述べる。第1の実施例における改造の概要は、図3において符号Aを付して示した「規制対象のフロンのガスを圧縮するように設計・製作されたガス圧縮機16kと、上記ガス圧縮機16kを回転駆動するように性能特性カーブをマッチングされた電気モータ17eとのアッセンブリ」を取り外して、図5(新式)において符号Bを付して示した「法的規制を受けない無公害フロンのガスを圧縮するように設計・製作されたガス圧縮機16mと、上記ガス圧縮機16mを回転駆動するように性能特性カーブをマッチングされたガス燃料焚きエンジン(略称・ガスエンジン)17gとのアッセンブリ」を取り付けたことである。上述のように、組み合わせ機器Aと組み合わせ機器Bとをアッセンブリとして交換した理由は次のごとくである。電気駆動方式の旧式冷暖房空調設備をガス燃料焚きに改造してエネルギーコストの低減を図るとともに、電力負荷平準化に協力するには、電気モータ17eを取り外してガス燃料焚きのエンジン17gを取り付ければ足りるように思われるが、図3について先に述べたように、規制フロン用圧縮機16kと電気モータ17gとは性能特性を合わせた上で一体的に結合され、アッセンブリとして缶構造になっているので、ガス圧縮機16kを交換することなく回転駆動用の機器だけを脱着交換することは実務上、不可能である。その上、図3に符号Aで示した構成部分は、新品としても中古品としても入手することは困難である。すなわち、今日においては法的規制の対象となる種類のフロン専用のガス圧縮機は製造・供給されていない。また、図3(旧式)に表されている多くの構成機器類相互の中で、回転機器は規制フロン用圧縮機16kと送風機4,同13とであるが、高負荷を受けているガス圧縮機16kが最も損耗の進行が速やかである。従って缶構造のアッセンブリAの健全な中古品の入手は非常に困難である。
【0029】上述の理由により、本実施例1においては、符号Aで示したアッセンブリを取り外して、補給を受けることが現実に可能な新形機のアッセンブリ(符号B)を取り付けることによって、補給上の問題を現実的に解決した。なお、本発明において「圧縮機」は、フロンのガスを圧縮するガス圧縮機のみである。従って、特にガス圧縮機であることを限定的に表現する必要の無い場合には、単に圧縮機を略述する。例えば図3に示した規制フロン用圧縮機16kには、「法的規制の対象とされる種類のフロンのガスを圧縮するように設計・製作されたガス圧縮機」の略述である。
【0030】(図1参照)改造後の状態において、室内機1は規制対象のフロン(主としてHCFC類フロン、ただしCFC類フロンも含める)を熱搬送媒体として設計・製作された機器である。そして、室外機用の熱交換器12k、および、これに付属する室外送風機13、受液器10、およびアキュームレータ15も、規制対象のフロンを熱搬送媒体にするものとして設計・製作された機器である。しかし、圧縮機16m、およびガスエンジン17gは、法的規制を受けない無公害フロン(HFC類フロン、別称・新代替物質)を熱搬送媒体として使用するものとして設計・製作された機器である。そして、規制対象フロンと無公害フロンとは、先に述べたように物理的性状(特に蒸発潜熱)が異なる。従って、改造に用いる無公害フロン用圧縮機16mを選定する場合は、公称の冷暖房能力の等しいものを選ぶ、とっいた考え方にとらわれることなく、圧縮機としての基本的な性能(吐出量,吐出圧)を適合せしめることが大切である。また、圧縮機の容量単位時間あたり容量で表わされている場合には、規制対象フロンの飽和蒸気比容積と無公害フロンの飽和蒸気比容積との差異も考慮に入れて、適正な容量の無公害フロン用圧縮機16mを選定する。適正容量の無公害フロン用圧縮機16mを選定すれば、これとペアになって供給されているガス燃料焚きエンジン17gは、上記無公害フロン用圧縮機の性能特性にマッチングするように調節されている。
【0031】この第1の実施例においては、前述のようにしてアッセンブリ構成部材Aを同Bに交換脱着する際、規制対象フロンを抽出してから構成部材の交換を行ない、抽出された規制対象フロンは専門の破壊工場に送って化学構造を破壊し、オゾン公害の発生を防止する。そして、構成部材を交換して熱搬送媒体循環系の配管を終えてから、該熱搬送媒体循環系の中へ無公害フロン、およびこれに適合する冷凍機油を注入して封止する。これにより、改造後はフロン公害防止に関する直接的な注意努力を要しなくなる。例えば、熱搬送媒体を何らかの事情で若干漏出させてもフロン公害を惹起する虞れが無い。このため、事実上メンティナンスの労力や管理所要工数も低減される。さらに、冷暖房空調設備の稼働に伴って、熱搬送媒体であるフロンの補充を必要とするが、無公害フロンは今後とも入手が困難になる虞れが無いので安心である。このようにして、熱搬送媒体として封入されているフロンの類別を規制対象フロンから無公害フロンに変更するに際して、双方の類別のフロンの化学的性状の差異にも留意しなければならない。すなわち、一般にHFC類フロンは、HCFC類フロンやCFC類フロンに比して化学的活性が大きく、ガスケット・パッキン類として用いられている合成樹脂エラストマ(合成ゴム)や冷凍機油を劣化させ易い。
【0032】そこで、配管類の継手部分を分解してガスケット・パッキン類を取り出し、非金属製のガスケッチ・パッキン類を廃却する(金属製品、例えば銅ワッシャなどは再使用しても良い)。そして、無公害フロン用として製作されたガスケット・パッキン類と交換するとともに、既設機器の配管系統内に残留している規制対象フロンを洗浄・除去する(規制対象フロンの中に混入されている冷凍機油が無公害フロンに接触することを未然に防止するため)。
【0033】熱搬送媒体としてのフロンの類別を変更したことにより、冷媒特性や化学的性質が変わるのみでなく、流体力学的な物性(粘性,比容積など)も変わるので、膨脹弁も修正しなければならない。本実施例においては(図1参照)、室内機1に元来設置されていた規制フロン用膨脹弁7k′を最大開度に固定するとともに、無公害フロン用膨脹弁7を直列に介挿接続した。また、室外機2に元来設置されていた規制フロン用膨脹弁(本図1に図示せず、図3において符号18k)を取り外し、その代りに固定オリフィス22を介挿接続した。本図1のように、1基の室内機1と1基の室外機2とによって冷暖房空調設備が構成されている場合は、室内機の膨脹弁7と室外機の膨脹弁(前記の18k)とが直列に接続されることになるので、いずれか片方を簡略化し、もしくは省略することができる。簡略化の例としては先に述べたように最大開度に固定することや、固定オリフィス22で代替することが考えられる。また、省略する方法としては、膨脹弁を取り除いて流入側管路と流出側管路とを直結して接続しても良く、また、膨脹弁を取り除くことなく、その流入口と流出口との間にバイパス管路を設けても良い。
【0034】本実施例(図1)における室外機用の制御盤は、改造前においては図3の符号27kのように電気モータ17eを制御していた機器である。上記電気モータ17eが、改造によってガスエンジン17gに変換されたので、本実施例(図1)の室外制御盤27k′は、構成部品の一部を交換してガスエンジン17gを制御できるように再調整してある。電気モータの制御に比してガスエンジンの制御は異質であるが、ガスエンジンは一般に、ガスエンジン自体を負荷に応じて自律的に制御する機構(ガバナなど)を備えていて、オン・オフ指令を与えるだけで足りるものも有るから、室外制御盤27k′の再調整に格別の困難は無く、公知技術を適用して実施することができる。本図1は、1基の室内機1と1基の室外機2とによって冷暖房空調設備を構成した場合を示しているが、図4のように1基の室外機2′と3基の室内機1A,2A,3Aとによって冷暖房空調設備を構成した場合、それぞれの室内機に設けられている室内熱交換器3A,3B,3Bのそれぞれが膨脹弁(図示省略)によってフロン流量を適正に規制されていれば、室外機2′には膨脹弁を省略し、もしくは簡略化することができる。本発明において「2個の熱交換器の内の片方が」と言う場合は、図4に示した室内熱交換器群3Gを1個の熱交換器と見做して読みとられたい。この場合、室内熱交換器の個数は3個に限定することなく、複数個の室内熱交換器より成る熱交換器群の意である。
【0035】次に、前掲の図1を援用して第2の実施例を説明する。前述の第1の実施例においては、図3に示した公知例の冷暖房空調設備を改造の対象とし、その構成部分A(電気モータと圧縮機)を取り外し、図1に示した構成部分B(ガスエンジンと圧縮機)を取り付けて、無公害フロンを注入した。第2の実施例は、第1の実施例と同じく図3の公知例を改造の対象とし、構成部材の一部を組み替えた後、第1の実施例と同じく無公害フロンを注入する。第2の実施例が第1の実施例に比して異なるところは次のとおりである。第1の実施例においては、電気モータと圧縮機とより成る構成部分Aを取り外して、ガスエンジンと圧縮機とより成る構成部分Bを取り付けたが、第2の実施例においては室外機をアッセンブリとして交換した。具体的には、既設の公知例の冷暖房空調設備(図3)の室外機2を取り外し、図5(新型・公知)の室外機を取り付ける。この脱着交換によって旧型室外機の構成部分Aが新型室外機の構成部分Bに変換されることに着目すれば、本質的には前記第1の実施例と同様であるが、室外機全体をアッセンブリ交換するので、室外熱交換器や四方切替弁14などの構成部分は、損耗が進行していても進行していなくても、無公害フロン用として設計・製作された新品で代替されてしまう。室外機は風雨に晒されるので、一般に、室内機に比して損耗の進行が速やかである。室外機が全般的に損耗している場合には第2の実施例(室外機アッセンブリ交換)が好適である。第2の実施例においても、改造後においては熱搬送媒体循環内に無公害フロンが注入されるので、規制対象フロン用として設計製作された既設の室内機1について配管系統の分解洗浄,ガスケット・パッキン類交換、および膨脹弁,室内制御盤の再調整が必要である。室内機1の手入れについては、第1の実施例におけると同様に実施すれば良い。
【0036】次に、第3の実施例について述べる。図2は、電気モータを駆動源とし、規制対象のフロンを熱搬送媒体とする冷暖房空調設備に本発明方法を適用して、ガス燃料焚きのエンジンを駆動源とし、規制対象フロンを熱搬送媒体とするように改造した冷暖房空調設備の1例を示す模式的な系統図である。この第3の実施例を、先に述べた第1の実施例と比較して考察すると、図3に示した公知例の冷暖房空調設備を改造の対象とすること、および、構成部分A(電気モータと圧縮機)を取り外して構成部分B(ガスエンジンと圧縮機)を取り付けたという点は同様であるが、第1の実施例においては構成部材を脱着交換して構成された熱搬送媒体循環系の中へ無公害フロン(冷凍機油混合)を注入したのに比して、本第3の実施例においては着脱交換して構成された熱搬送媒体循環系の中へ規制対象のフロン(冷凍機油を混合)を注入する。この第3の実施例においては、改造の前,後においてフロンの類別が変わらないので、室内機1については配管系の全分解洗浄やガスケット・パッキン類の交換を必要としない。また、改造のために分解する前に熱搬送媒体循環系の中から規制対象フロンを抽出回収して一時的に保管しておき、組立終了の後に保管してあった規制対象フロンを注入復元することができるので、改造用の資材量が軽減される。上記の規制対象フロンの注入復元に際して、要すれば規制対象フロンを補充する。この場合に補充するフロンの種類は、改造前に入っていたフロンと厳密に一致しなくても、適合性のある類似の種類のフロンであっても良い。
【0037】この第3の実施例において、フロンガス用の圧縮機は無公害フロン用として設計製作された機器(図1の符号16m)が組み付けられた後、規制対象フロンを注入して運転される。すなわち、無公害フロン用圧縮機16mを中心として考察すると、設計条件とは異なった類別のフロンの吸入圧縮作動を遂行しなければならない。このため、改造用の補給機器である無公害フロン用圧縮機を選定するについて下記の事項に留意する。改造対象の冷暖房空調設備の冷暖房能力がα(キロカロリー/時)であったとする。この場合、補給用の室外機として冷暖房能力αの冷暖房空調設備の圧縮機を用いると、改造後における圧縮基能力が過大になり、これに伴ってガスエンジンの能力も過大になって、徒らに改造費用を増加させるとともに、改造された冷暖房空調設備における構成機器相互の容量バランスを崩すので経済的にも不利である。そこで、規制対象フロンの蒸発潜熱/無公害フロンの蒸発潜熱=Nとし、規制対象フロンの飽和蒸気比容積/無公害フロンの飽和蒸気比容積=Mとして、無公害フロンを熱搬送媒体とするガス燃料焚きの、冷暖房能力βの冷暖房空調設備に用いられる圧縮機を選定して、改造用の補給機器とする。ただし、β=M/Nである。
【0038】次に、前掲の図3を援用して第4の実施例について述べる。第4の実施例は、「電気モータを駆動源とし、規制対象フロンを熱搬送媒体とする、既設の公知例の冷暖房空調設備を改造の対象とし(実施例1〜実施例3と同様)、室外機をアッセンブリとして脱着交換し(実施例2と同様)、構成機器の一部を交換して組み立てた熱搬送媒体循環系の中へ規制対象フロンを注入する(実施例3と同様)。従って、この実施例4を前記の実施例3と比較したときの相異は、構成部分A(電気モータと圧縮機)と構成部分B(ガスエンジンと圧縮機)との交換を、熱交換器や四方切替弁などを含めた室外機アッセンブリ交換によって行なったことである。従って、この実施例4においては室内機1の配管全分解手入(ガスケット・パッキン交換)を必要とせず、改造前に用いられていたフロンを再利用することができる。規制対象フロンは公害の原因となるが、漏出させることなく使用している限りにおいては公害を誘発しないことを理解しておかねばならない。実施例3および実施例4においては、無公害フロン用として設計製作された圧縮機16mによって規制対象フロンの吸入・圧縮吐出を行なわせ、かつ、該圧縮機の駆動源を電気モータからガスエンジンに変換するので、膨脹弁の補修や制御盤の再調整(もしくは交換)を適宜に実施する。
【0039】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方法によると、電気モータを取り外すとともに該電気モータで駆動されていた圧縮機も取り外し、その後にガス燃料焚きのエンジンおよび該エンジンと性能特性をマッチングされた圧縮機を取り付けるので、エネルギーコストが電気代からガス燃料代に変わって安価になる上に、電気モータを使用しなくなるので電力負荷平準化に貢献する。しかも、上記の取り付けられる圧縮機は無公害フロン用圧縮機であるから今日においても製造・供給されていて入手が容易である。その上、既設の熱交換器はそのまま使用を継続するので、改造用資材費が節減される。請求項2の発明方法によると、圧縮機の取り替えおよび熱搬送媒体の種類の変更に伴う冷凍サイクル内のバランス失調を容易に防止することができる。すなわち、室内の熱交換器に設けられている膨脹弁と室外の熱交換器に設けられている膨脹弁とが直列に接続されていることに着目して、室外側の膨脹弁によるフロン流量制御を簡略化したものである。1基の室外機に対して1基もしくは複数基の室内機が設置されているが、室内機の熱交換器のフロン流量を室内機の膨脹弁で制御すれば、室外機の膨脹弁による流量制御は簡略化し得る。請求項3の発明方法によると、法的規制を受ける種類のフロンに比して無公害フロンの化学的活性が大きく、合成樹脂系のガスケット・パッキン材料や冷凍機油と反応してこれらを劣化せしめ易いという欠陥を防止することができる。すなわち、規制対象フロンが用いられていた改造対象冷暖房空調設備のガスケット・パッキン類を無公害フロン用のガスケット・パッキン類と交換し、規制対象フロンを洗浄除去して真空乾燥するので、改造後において無公害フロンの化学的性質に起因するトラブルを発生する虞れが無い。請求項4の発明方法によると、改造後において、室外制御盤によってガス燃料焚きエンジンを適正に制御することができる。すなわち、改造前の室外制御盤は「圧縮機を回転駆動する電気モータ」を自動的に制御できるように構成されているが、エンジンを自動制御する機能は備えていない。そこで、本請求項4を適用すると、室外制御盤を交換,もしくは改修することによって、ガス燃料焚きエンジンを自動的に制御することができるようになる。
【0040】請求項5の発明方法によると、改造によって電気モータがガス焚きエンジンに変わり、改造後において熱搬送媒体が無公害フロンになるので、エネルギーコストの低減効果が得られるとともに電力負荷平準化に貢献し、かつ、フロン公害を起こす心配が全く無くなる。さらに、本請求項5においては室外機をアッセンブリで交換するので、室外熱交換器等を継続使用できない分だけ改造資材費が嵩むが、改造所要工数は低減される。請求項6の発明方法によると、法的規制の対象とされるフロンの圧縮機が製造・供給されなくなった今日においても入手可能な、無公害フロン用圧縮機を用いて、冷暖房空調設備の動力源を電気からガス燃料に変換することができる。しかも、改造前に熱搬送媒体循環系の中に封入されていたフロンを、改造後にも使用を継続することができ、さらに、既設の冷暖房空調設備の熱交換器や方向制御弁を改造後も継続使用できるので施工費用が低廉である。請求項7の発明方法によると、改造の前,後において室内機は規制対象のフロン用として設計・製作され、かつ規制対象フロンを熱搬送媒体として稼働を継続することになるので、室内膨脹弁の調整状態や室内制御盤を変更しなくても良い。しかも、室内機を廃却することなく継続使用するので、改造用の資材費が節減される。室外機はアッセンブリで交換するので、改造所要工数が少なくて済み、工期も短い。
【0041】請求項8の発明設備によると、規制対象のフロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、再生利用する機器類が多いので、産業廃棄物減量について有効である。請求項9の発明設備によると、規制対象のフロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、室外機がアッセンブリで交換された構造であるから所要工数が節減される。請求項10の発明設備によると、規制対象のフロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、再生利用する機器類が多いので、産業廃棄物減量についても有効である。請求項11の発明設備によると、規制対象のフロンを用いるとともに電気モータで駆動される方式の既設冷暖房空調設備を再生利用して構成し、新設に比して著しく低コストで、最新式と同様の冷暖房性能が得られる。改造によって電気モータがガス燃料焚きエンジンに変換されるので、エネルギーコストが低減されるとともに電力負荷平準化に貢献することができる。その上、室外機がアッセンブリで変換された構造であるから、所要工数が節減される。
【出願人】 【識別番号】391048050
【氏名又は名称】日立ビル施設エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成11年3月5日(1999.3.5)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2000−257983(P2000−257983A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−58841