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【発明の名称】 ガス吸脱着反応装置
【発明者】 【氏名】佐藤 幸雄

【氏名】竹田 晴信

【氏名】野家 和雄

【氏名】河合 政征

【氏名】河原崎 芳徳

【要約】 【課題】ガス吸脱着反応装置における熱交換効率を向上させて装置の処理効率を改善する。

【解決手段】容器1内に、水素吸蔵合金MHを収めた収容室11を配置し、収容室に連結したガス移動路11を容器外部に伸張させる。容器1内には、内空間を可変容の複数領域に仕切る1以上の可動仕切壁15、16を配置し、可動仕切壁15、16の移動によって、水素吸蔵合金が異なる仕切領域に含まれるように仕切位置を変える。容器には、仕切領域と容器外部との間で熱媒体の導入、排出を行う熱媒出入口113、114、115をそれぞれ設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器内に、ガス吸脱着反応材料を含むガス吸脱着反応材料収容体が配置されているとともに、該収容体に連結されたガス移動路が容器外部に伸張しており、さらに上記容器内には、容器内空間を可変容積の複数の仕切領域に仕切る1以上の可動仕切壁が配置されており、該可動仕切壁は、その移動に伴って、上記ガス吸脱着反応材料が実質的に異なる仕切領域に含まれるように仕切位置を変えることができ、さらに容器には、上記の仕切領域と容器外部との間で熱媒体の導入、排出が行われる熱媒出入口が設けられていることを特徴とするガス吸脱着反応装置【請求項2】 可動仕切壁は、該仕切壁によって仕切られた領域同士の内圧差によって移動することを特徴とする請求項1記載のガス吸脱着反応装置【請求項3】 可動仕切壁は、ガス吸脱着反応材料収容体が貫通しているとともに該隔離室の貫通方向に沿って移動可能とされており、該可動仕切壁と上記収容体との貫通部が摺動可能にシールされていることを特徴とする請求項1または2に記載のガス吸脱着反応装置
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水素吸蔵合金等のガス吸脱着反応を利用したガス吸脱着反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガス吸脱着反応を利用したガス吸脱着反応装置では、加熱、冷却によってガスの吸放出を行うものが知られており、図10にこのガス吸脱着反応装置の一例を示す。図に示されたガス吸脱着反応装置30は、対になる反応容器31、32を有しており、該反応容器31、32内にガス吸脱着反応材料を収容する収容室33、34が設けられている。該収容室33、34は周囲と隔離した状態で設けられており、その一部に連結したガス移動管35、36が容器外部に伸張している。なお、この例では、ガス吸脱着反応材料として水素吸蔵合金MHがそれぞれ収容室33、34内に収容されている。また上記容器31、32には、三方弁37a、38a、39a、ポンプ37b、38b、39bを介して高温の熱媒を収容する加熱熱媒タンク37と、低温の熱媒を収容する冷却熱媒タンク38と、顕熱回収タンク39とが接続されており、上記三方弁37a〜39aおよびポンプ37b〜39bの切り換えによって各タンク37、38、39のいずれかが選択的に容器31、32に接続される。この装置での使用法を説明すると、三方弁37a〜39aの切換操作、ポンプ37b〜39bのON−OFF、流量制御によって、反応容器31、32に高温・低温の熱媒体を交互に送り込み、互いの水素吸蔵合金に対する加熱・冷却を繰返して水素の吸放出を繰り返して行うとともに、加熱、冷却の間に、反応容器31、32内の顕熱を回収するために、容器内の熱媒を一旦顕熱回収タンク39に収容して、これを他方の容器に供給して熱の有効利用を図っている。これらの行程における容器温度の時間変化を図11に示す。すなわち、上記行程では、それぞれの容器ごとに、加熱→顕熱回収→冷却→顕熱回収→…が繰返されることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来の反応装置では、加熱←→冷却の繰返しの際に、反応側からみれば本来必要のない容器や配管系の加熱・冷却も行われるため、その顕熱変化分の無駄なエネルギーが消費される。したがって、加熱←→冷却の変化に必要な時間も多くかかり、サイクル時間も長くなるため、システムとしての処理能力が十分発揮できない。また、加熱、冷却、顕熱回収等の熱媒が、その切替時に一部混合してしまうため、エネルギロスが生じる。さらに、弁の数も多くなり、制御も複雑になるため、多くの初期投資やメンテナンスに関わるコストや手間を要するという問題がある。
【0004】本願発明は上記事情を背景としてなされたものであり、エネルギロスが小さくて、短いサイクルで効率的にガス吸脱着反応を行わせることができ、また、装置構造の簡略化が可能であるガス吸脱着反応装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本願発明のガス吸脱着反応装置のうち第1の発明は、容器内に、ガス吸脱着反応材料を含むガス吸脱着反応材料収容体が配置されているとともに、該収容体に連結されたガス移動路が容器外部に伸張しており、さらに上記容器内には、容器内空間を可変容積の複数の仕切領域に仕切る1以上の可動仕切壁が配置されており、該可動仕切壁は、その移動に伴って、上記ガス吸脱着反応材料が実質的に異なる仕切領域に含まれるように仕切位置を変えることができ、さらに容器には、上記の仕切領域と容器外部との間で熱媒体の導入、排出が行われる熱媒出入口が設けられていることを特徴とする。
【0006】第2の発明のガス吸脱着反応装置は第1の発明において、可動仕切壁が、該仕切壁によって仕切られた領域同士の内圧差によって移動することを特徴とする。
【0007】第3の発明のガス吸脱着反応装置は、第1または第2の発明において、可動仕切壁は、ガス吸脱着反応収容体が貫通しているとともに該収容体の貫通方向に沿って移動可能とされており、該可動仕切壁と収容体との貫通部が摺動可能にシールされていることを特徴とする。
【0008】本願発明は、ガスの吸・脱着反応を利用してガスの貯蔵や移動を行ったり、あるいはその作用を利用して熱エネルギの貯蔵や移動を行うシステムや加熱または冷却装置等等に利用することができる。ただし、本願発明としては、ガスの吸・脱着反応を可逆的に行うものであれば、その用途は特に限定されない。本願発明においてガス吸脱着反応を起こさせる材料としては、代表的には水素吸蔵合金を挙げることができるが、要は、ガスの吸蔵、脱着を可逆的に行うことができる材料であればよい。例えば吸着剤としてガスの吸着、離脱を行ったり、化学反応によってガスの吸収、放出を行ったりするものを使用することができる。すなわち、上記ガス吸蔵にはガス吸着やガス吸収が含まれ、ガス脱着にはガス離脱やガス放出が含まれる。上記材料としては吸着、離脱を行う材料として活性炭、カーボンファイバー、ゼオライト、シリカ、アルミナ等を挙げることができ、また反応によって水素ガスの吸収、放出を行う材料として上記水素吸蔵合金を挙げることができる。該水素吸蔵合金は排熱や自然エネルギ等を利用して効率的に水素の吸放出を行うことができるという利点を有している。
【0009】本願発明の装置では、任意形状の容器を反応容器として備えており、通常は、熱媒を収容するために、熱媒体出入口やガス移動路を除いて密閉された形状を有している。容器の形状は上記したように任意の形状を選択することができるが、通常は、スペース効率の点から箱形や筒型の形状が選定される。さらに、上記容器内には、前記したガス吸脱着反応材料を含むガス吸脱着反応材料収容体が配置される。この収容体は、通常は、周囲と隔離された空間を有する収容室内にガス吸脱着反応材料を収容した構成を有しているが、本願発明としてはこれに限定されるものではなく、ガス吸脱着反応材料で一体に形成したようなものでもよい。要は、ガス吸脱着反応材料が定形性を有する状態で保持されているものであればよい。また該収容体の形状、配置、数は適宜選定することができるが、後述する可動仕切壁の移動が可能であって、その移動に伴う仕切位置の変更によってガス吸脱着反応材料の所属領域が変わることが必要である。例えば、可動仕切壁を収容体が貫通し、この貫通方向に沿って可動仕切壁が移動するものが挙げられる。なお、通常は、収容体は容器内で固定された状態にあるが、可動仕切壁の移動に連動する等して収容体自体が位置を変えるものであってもよい。また、収容体にはガス移動路が連結されており、該移動路は容器の外部に伸張して容器外部と収容体との間でガスの移動を可能にしている。
【0010】さらに、容器内に配置される可動仕切壁は、容器内空間を仕切るように1または2以上が配置される。その配置に際しては、移動に伴って、上記したガス吸脱着反応材料が実質的に、異なる領域に含まれる状態に変わるように仕切位置を変えて移動できるものでなければならない。この「実質的に」とは、全てのガス吸脱着反応材料が所属領域を変えないとしても、大半が所属領域が変えるような状態を含むことを意味している。なお、仕切壁は、単独で空間を仕切るものであってもよいが、ベローズシリンダ等の伸縮自在な覆材で仕切領域を覆うように、仕切壁と容器内壁との間に設けて領域を確実に仕切るものであってもよい。
【0011】可動仕切壁は上記したように、仕切位置を変えるように移動するので、その移動のために駆動力が必要である。本願発明としては駆動力を発生させる駆動源は特に限定されず、外部油圧、モータ等を利用して移動させてもよいが、仕切られた領域間の内圧差によって移動させるのが望ましい。この内圧差を利用して仕切壁を移動可能とすれば、仕切領域で導入、排出される熱媒を利用して内圧差を生じさせることができ、これにより特別な駆動源を用意したり、駆動制御することが不要になるので、装置の構造の簡略化、低コスト化が可能になる。上記内圧差は、仕切領域への熱媒の供給、圧送や仕切領域からの熱媒の排出、吸引等により発生させることができ、これらを単独または組み合わせて行うことができる。また、可動仕切壁によって仕切られる領域に、所望時に熱媒が出入りできるように、容器に熱媒出入口を設ける。この出入口はそれぞれの領域に対応して設けるのが望ましい。なお、各出入口は、常時、上記領域と連通しているように設けられていることは必ずしも必要ではなく、可動仕切壁の移動に伴って、少なくとも必要なとき(該領域への熱媒の流入または該領域からの熱媒の流出)に所定の領域と熱媒出入口とが連通するものであればよい。該熱媒出入口には、必要に応じて外部の熱媒供給源や熱媒貯蔵施設等が接続される。
【0012】本願発明では、容器内のガス吸脱着反応材料を所定の熱媒との間で熱交換させる際には、可動仕切壁を移動させて該熱媒に対応する仕切領域にガス吸脱着反応材料が含まれるように仕切位置を変えるとともに、この領域に容器外部から熱媒出入口を通して必要な熱媒を導入する。これによりガス吸脱着反応材料が、間接的または直接的に該熱媒に晒される。このとき、熱媒が高温である場合には熱がガス吸脱着反応材料に伝達され、通常はガス吸脱着反応材料に吸着されていたガスが放出され、ガス移動路を通して外部に取り出される。一方、他の領域に熱媒が収容されている場合には、上記可動仕切壁の移動に伴って、通常は熱媒出入口を通してこの熱媒が外部に排出される。
【0013】これに対し、ガス吸脱着反応材料を他の熱媒との間で熱交換させたい場合には、可動仕切壁を移動させて該熱媒に対応する他の仕切領域にガス吸脱着反応材料が含まれるように仕切位置を変えるとともに、この領域に他の熱媒を導入する。これによりガス吸脱着反応材料が他の熱媒に晒されて熱交換される。このとき、熱媒が低温である場合には、通常は、ガス移動路を通して隔離室内に導入されたガスが次第にガス吸脱着反応材料に吸着される。また、通常は、前記した領域から高温の熱媒が排出される。上記においては、熱媒の導入、排出によって生じる領域間の内圧差によって可動仕切壁を移動させるのが望ましい。このとき熱媒をポンプ等で圧送したり、吸引したりすることにより、速やかに内圧差を発生させて可動仕切壁を移動させることができる。なお。熱媒の供給側と排出側とで同時にポンプ等を用いて圧力を発生させてもよく、供給側と排出側の一方側でのみ強制的に圧力を発生させるものであってもよい。
【0014】上記のようにガス吸脱着反応材料の加熱、冷却、すなわち2つの温度域での温度調整を目的とする場合には、1枚の可動仕切壁の設置によっても上記の動作を得ることができる。一方、3つ以上の温度域での温度調整や、上記の加熱、冷却以外に、ガス吸脱着反応材料収容体の顕熱回収を目的とする等の場合には、可動仕切壁を2以上を設けることにより、所定の温度領域に温度調整を行うためや顕熱回収のための仕切領域を確保して、この領域にガス吸脱着反応材料が含まれるように仕切位置を変える。このようにして温度調整や顕熱回収を行えば、他の熱媒との混合が避けられるので、ガス吸脱着反応材料収容体の顕熱が確実かつ効率的に回収される。また、上記の加熱、冷却の行程においても、熱媒が移動する配管の独立性を保つことができ、また反応容器内での熱媒同士の混合をなくすことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づき説明する。ガス吸脱着反応装置は、図1に示すように対となる円筒形の反応容器1、2を有しており、該反応容器1、2は、図2〜5に示すように同一構造を有している。なお、図2〜4は、後述する可動仕切壁による仕切位置が異なるものを示しており、図2は反応容器内に加熱熱媒が導入された状態を示し、図3は反応容器内に冷却熱媒が導入された状態を示し、図4は反応容器内に顕熱回収熱媒が導入された状態を示している。以下、具体的に説明する。反応容器1、2は、いずれも有底の円筒形を有し、該容器1内にはガス吸脱着反応材料を収容する小円筒形の収容室11…11、21…21が90度間隔で配置、固定されており、該収容室11…11、21…21は周囲とは隔離された状態にある。各収容室11、21の一端にはガス移動路として水素移動管12、22が連結されており、該水素移動管12、22は容器1、2の外部に伸びている。上記収容室11、21の両端部には断熱材13、23が充填されており、その間に、ガス吸脱着反応材料として粉末状の水素吸蔵合金MHが収納されてガス吸脱着反応材料収容体が構成されている。なお、水素移動管12、22と収容室11、21との連結部には通気性のある封止材14、24が配置されて、水素吸蔵合金MHの外部への脱落を防止している。
【0016】また、上記反応容器1、2内には、円筒型周面を有する円板型の可動仕切壁15、16および可動仕切壁25、26が容器軸方向と直交して配置されており、該可動仕切壁15、16、25、26を上記した収容室11、21が貫通している。各仕切壁は、該収容室との貫通部が摺動可能にシールされているとともに、円筒型周面が容器1、2の内壁に摺動可能に接しており、容器の軸方向に移動することができる。また、各仕切壁15、16、25、26の背面側(仕切壁同士の対峙面と反対側面)には、仕切壁周縁部に沿って円筒状のベローズシリンダ17、18、27、28の一端が固定されており、該ベローズシリンダの他端側は、容器1、2の平底板110、111、210、211の内壁に固定されている。これらの可動仕切壁15または25と、各仕切壁に固定されたベローズシリンダ17または27と、このベローズシリンダが固定されている底板110または210とによってそれぞれ可変容積の加熱熱媒用仕切領域AHが形成されており、可動仕切壁16または26と各仕切壁に固定されたベローズシリンダ18または28と、このベローズシリンダが固定されている底板111または211とによってそれぞれ可変容積の冷却熱媒用仕切領域ALが形成されている。また、2つの仕切壁15、16の対向面と容器1の筒部壁112の内面とによって、また2つの仕切壁25、26の対向面と容器2の筒部壁212の内面とによってそれぞれ同じく顕熱回収熱媒用仕切領域ASが形成されている。
【0017】また、上記各底板110、210、111、211および筒部壁112、212には、各領域に連通する熱媒出入口が形成されており、具体的には、底板110、210に高温熱媒出入口113、213が形成され、底板111、211に低温熱媒出入口114、214が形成され、筒部壁112、212に顕熱回収熱媒出入口115、215が形成されている。さらに図1に示すように、上記した加熱熱媒出入口113、213は、三方弁3を介して、加熱熱媒タンク6および高温熱媒ポンプ6aに接続され、冷却熱媒出入口114、214は、三方弁4を介して、冷却熱媒タンク7および冷却熱媒ポンプ7aに接続され、顕熱回収熱媒出入口115、215は、三方弁5を介して、顕熱回収熱媒タンク8および顕熱回収熱媒ポンプ8aに接続されている。
【0018】次に、上記装置の動作について説明する。初期時に、反応容器1内の水素吸蔵合金MHに水素が吸蔵され、反応容器2内の水素吸蔵合金MHには水素が吸蔵されていない状態にあり、各反応容器1、2では、図4に示すように、顕熱回収のために各可動仕切壁が容器底板側に後退して内部空間が仕切領域ASで占められているものとする。上記の状態で三方弁3を制御して加熱熱媒タンク6および加熱熱媒ポンプ6a側と反応容器1側の加熱熱媒出入口113、113を連通させるとともに、加熱熱媒ポンプ6aを作動させ、加熱熱媒を加熱熱媒出入口113の一方から仕切領域AH内に継続的に圧送する。この圧送により、可動仕切壁15が前進(底板110から離隔する方向に移動)して仕切領域AHが次第に容積を増して拡がり、一方、顕熱回収熱媒を収容していた仕切領域ASは次第に容積を減少させる。この容積の減少に伴って顕熱回収熱媒は顕熱回収熱媒出入口115を通して反応容器1内から排出され、顕熱回収熱媒タンク8へと移送される。
【0019】また仕切領域AHへの加熱熱媒の流入が次第に増大すると、可動仕切壁15は、前方にある可動仕切壁16に近接して、図2に示すように、遂には前進限界に達して停止し、引き続き導入される加熱熱媒は、他方の加熱熱媒出入口113から排出されて加熱熱媒タンク6へと移動する。このようにして加熱熱媒はタンク6と仕切領域AHとの間で循環する。上記のように可動仕切板15が前進端にまで移動した状態では、収容室11に収容されている水素吸蔵合金MHは、仕切領域AH内に含まれており、上記加熱熱媒に晒されて効率的に加熱される。この加熱により収容室11内では水素吸蔵合金MHにおいて吸熱反応が生じて水素の放出が起こり、この水素は、封止材14を通過後、水素移動管12を通して外部に取り出される。
【0020】一方、反応容器2側では、上記と同様に初期時には図4に示すように、顕熱回収のために各可動仕切壁が容器底板側に後退して内部空間が仕切領域ASで占められているものとする。上記の状態で三方弁4を制御して冷却熱媒タンク7および冷却熱媒ポンプ7a側と反応容器2側の加熱熱媒出入口213、213を連通させるとともに、冷却熱媒ポンプ7aを作動させ、冷却熱媒を冷却熱媒出入口213の一方から仕切領域AL内に継続的に圧送する。この圧送により、可動仕切壁26が前進(底板111から離隔する方向に移動)して仕切領域ALが次第に容積を増し、一方、顕熱回収熱媒を収容していた仕切領域ASは次第に容積を減少させる。この容積の減少に伴って顕熱回収熱媒は反応容器2内から顕熱回収熱媒出入口215を通して排出され、顕熱回収タンク8へと移送される。仕切領域ALへの加熱熱媒の流入が次第に増大すると、可動仕切壁26は前方にある可動仕切壁25に近接して、図3に示すように、遂には前進限界に達して停止し、引き続き導入される冷却熱媒は、他方の冷却熱媒出入口213から排出されて、冷却熱媒タンク7と仕切領域ALとの間で循環する。上記のように可動仕切板26が前進端にまで移動した状態では、収容室21に収容されている水素吸蔵合金MHは、仕切領域AL内に含まれており、上記冷却熱媒に晒されて効率的に冷却されて発熱反応が起こる。この冷却とともに水素移動管22を通して水素を収容室21内に導入すると、上記水素吸蔵合金MHに吸蔵される。上記のように、図1に示す行程では、反応容器1で水素が放出され、反応容器2において水素が吸蔵される。
【0021】上記した水素の吸蔵、放出が完了した後は、図6に示すように、ガス吸脱着反応収容体における顕熱を回収する。すなわち、加熱熱媒ポンプ6a、冷却熱媒ポンプ7aの作動を停止させて仕切領域AHおよびALでの内圧を減少させるとともに、三方弁5を操作して、可動仕切壁15、16および可動仕切壁25、26の対向位置付近の熱媒出入口115、215を顕熱回収用ポンプ8aと連通させ、ポンプ8aを動作させる。これにより、顕熱回収熱媒タンク8内に収容されていた顕熱回収熱媒が可動仕切壁15、16間および可動仕切壁25、26間に圧送され、前進していた可動仕切壁15および26が後退して、仕切領域ASが次第に拡がる。可動仕切壁15、26は、図4に示すように後退して底板110および底板211側で停止する。一方、仕切領域AS内に圧送された顕熱回収熱媒は、収容室11、21を覆って収容室11、21との間で熱の授受を行って顕熱の回収を行い、その後、該熱媒は、他方側の顕熱回収熱媒出入口115、215から排出されて顕熱回収熱媒タンク8に戻り、該タンク8と仕切領域ASとの間で循環して顕熱を効率的に回収する。
【0022】上記により顕熱の回収を終了した後は、図1の状態とは逆に、図7に示すように、反応容器1で水素を吸蔵させ、反応容器2で水素を放出させる。すなわち、図1とは逆に三方弁3、4を制御して加熱熱媒タンク6および加熱熱媒ポンプ6a側と反応容器2側の加熱熱媒出入口213、213を連通させ、冷却熱媒タンク7および冷却熱媒ポンプ7a側と反応容器1側の冷却熱媒出入口114、114を連通させ、加熱熱媒ポンプ6aおよび冷却熱媒ポンプ7aを作動させる。これにより、反応容器1側では、冷却熱媒が冷却熱媒出入口114の一方から仕切領域AL内に継続的に圧送され、反応容器2側では、加熱熱媒が加熱熱媒出入口213、213の一方から仕切領域AH内に継続的に圧送され、それぞれの可動仕切壁16、25が前進(底板から離隔する方向)して、それぞれ仕切領域AL、AHが次第に容積を増し、顕熱回収熱媒を収容していた仕切領域ASは次第に容積を減少させる。この容積の減少に伴って顕熱回収熱媒は熱媒出入口115、215を通して反応容器1、2外に排出され、顕熱回収タンク8へと移送される。反応容器1では、上記冷却熱媒の導入および可動仕切壁16の前進によって収容室11内の水素吸蔵合金MHが冷却され、発熱反応によって水素移動管12から供給される水素を該合金に吸蔵する。一方、反応容器2では、上記加熱熱媒の導入および可動仕切壁25の前進によって収容室21内の水素が加熱され、吸熱反応によって合金に吸蔵されていた水素を放出し、水素移動管22を通して外部に移動させる。
【0023】上記により、水素の吸蔵、放出を完了した後は、上記で説明したのと同様に、図8に示すように反応容器内の顕熱回収を行う。なお、この顕熱回収においては、三方弁5を操作して、可動仕切壁15、16間および可動仕切壁25、26間に熱媒が供給されるように、図6とは異なる顕熱回収熱媒出入口115、215とポンプ8aと連通させて熱媒を圧送し、仕切領域ASを拡げて顕熱回収を行う。以上で説明した、加熱→顕熱回収→冷却→顕熱回収を反応容器1、2で交互に繰り返すことにより、継続的に水素の吸蔵、放出を行うことができる。上記の行程では、種類の異なる熱媒が配管等を通して混合されることがなく、効率的に熱交換を行うことができるので、図9に示すように反応容器温度が短時間で変化して効率的な処理を行うことができる。また、複雑な弁操作も必要ないので、低コストで運用することができる。また上記実施形態に示すように、高温又は低温の熱媒を可動仕切壁とベローズシリンダ等の覆材に囲まれた空間に収容することにより、反応容器胴体に熱が移動しにくく、容器による顕熱ロスが小さい効果がある。したがってベローズシリンダ等の覆材の側面は、反応容器胴体の内壁に密着又は接触しないように配置するのが望ましい。
【0024】なお、上記実施形態では、対となる反応容器を有する装置について説明したが、反応容器の数は一つでも、また、2以上の任意の数でもよく、その数は特に限定されない。また、2以上の反応容器を有するものにおいては、上記実施形態のように、反応容器の全てでガス吸脱着反応材料として同種の材料を使用することは必要ではなく、反応容器ごとに種別の異なるガス吸脱着反応材料を使用するものであってもよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガス吸脱着反応装置によれば、反応容器内に、ガス吸脱着反応材料を含むガス吸脱着反応材料収容体を配置するとともに、該収容体に連結されたガス移動路を容器外部に伸張させ、上記容器内には、容器内空間を可変容積の複数の仕切領域に仕切る1以上の可動仕切壁を配置しており、該可動仕切壁は、その移動に伴って、上記ガス吸脱着反応材料が実質的に異なる仕切領域に含まれるように仕切位置を変えることができ、さらに容器には、上記の仕切領域と容器外部との間で熱媒体の導入、排出が行われる熱媒出入口を設けているので、加熱、顕熱回収、冷却等の各行程で、容器や配管が独立して、切替時に熱媒が混合することがないため、その顕熱変化分の無駄なエネルギー消費を無くすことができ、したがって、温度変化に必要な時間も短くなり、サイクル時間も短くできるため、システムとしての処理能力を最大限に発揮できる。さらに弁数も少なくでき、制御も単純になるため、初期投資や保守のコスト、手間を削減できる。
【0026】また、可動仕切壁を、該仕切壁によって仕切られた領域同士の内圧差によって移動させるものとすれば、熱媒の圧力によって容易に仕切壁を移動させることができるので、特別な駆動源を必要とすることがなく、装置構造の簡略化、低コスト化が可能になる。
【出願人】 【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【出願日】 平成11年3月5日(1999.3.5)
【代理人】 【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
【公開番号】 特開2000−257981(P2000−257981A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−58426