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【発明の名称】 圧縮機、膨張機及び冷凍機
【発明者】 【氏名】田口 芳人

【氏名】内田 年雄

【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【要約】 【課題】コイルバネの折損が生じにくい冷凍機を提供する。

【解決手段】圧縮ピストン34のシリンダ内での位置を制御するためのコイルバネ38として、例えば、機械化学研磨によりその表面傷を除去したコイルバネ38を用いて圧縮機を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮ピストンのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた圧縮機において、前記コイルバネの表面粗度が0.8S以下であることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】 前記コイルバネが、機械化学研磨によって表面粗度が調整されたものであることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
【請求項3】 ディスプレーサのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた膨張機において、前記コイルバネの表面粗度が0.8S以下であることを特徴とする膨張機。
【請求項4】 前記コイルバネが、機械化学研磨によって表面粗度が調整されたものであることを特徴とする請求項3記載の膨張機。
【請求項5】 請求項1または請求項2記載の圧縮機を備えることを特徴とする冷凍機。
【請求項6】 請求項3または請求項4記載の膨張機を備えることを特徴とする冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた圧縮機と膨張機、そのような圧縮機、膨張機が用いられた冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、冷凍機の中には、ピストンのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた圧縮機や膨張機(コールドヘッド)が用いられたものが存在している。すなわち、圧縮ピストンがボイスコイルモータによって駆動される圧縮機では、当該圧縮ピストンのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられている。また、一種のピストンであるディスプレーサを備えるスターリング冷凍機の膨張機では、そのディスプレーサのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような、コイルバネが用いられている冷凍機では、コイルバネの折損が、他の部分に障害が生ずる前に発生してしまうという問題があった。すなわち、従来の冷凍機は、コイルバネの寿命により、その寿命が定まる装置となっていた。
【0004】そこで、本発明の課題は、より寿命が長い圧縮機と膨張機と冷凍機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、圧縮ピストンのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた圧縮機、ディスプレーサのシリンダ内での位置を制御するためにコイルバネが用いられた膨張機を、表面粗度が0.8S以下であるコイルバネを使用して構成する。
【0006】すなわち、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、コイルバネの折損(破断)は、冷凍機の運転(コイルバネの圧縮/伸長の繰り返し)により、コイルバネの表面に存在する傷が広がることによって生じており、その表面の傷を、表面粗度が0.8S以下となる程度まで除去することによって、コイルバネの寿命(コイルバネの折損が起こるまでの圧縮機/膨張機の運転時間)を延ばせることを見出した。
【0007】なお、上記のような表面粗度のコイルバネは、どのような手順により製造されたものであっても良く、例えば、一般的な製造工程で製造されたコイルバネに、機械化学研磨を施すことによって得ることができる。
【0008】そして、本発明の冷凍機は、上記構成の圧縮機、膨張機を備えたものであるので、従来よりも寿命がながい(コイルバネの折損が生じにくい)冷凍機として機能する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0010】本発明の一実施形態に係る冷凍機は、いわゆる、スプリット型スターリング冷凍機であり、圧縮機と膨張機の双方でピストンの保持にコイルバネが用いられた冷凍機となっている。以下、図1、図2を用いて、実施形態に係る冷凍機の構成を説明する。
【0011】図1に示したように、実施形態の冷凍機を構成している膨張機(コールドヘッド)11は、熱交換のための蓄冷材(金網など)を収納した円柱状のディスプレーサ20、及び、ディスプレーサ20がその内部を往復動するシリンダパイプ21を備える。ディスプレーサ20の一方の端には、外周に螺旋溝が形成された部分(以下、バネ座と表記する)が形成されている。
【0012】また、膨張機11は、コールドチップ22とシリンダホルダ23とホルダキャップ24とコイルバネ25とを備える。コールドチップ22は、シリンダパイプ21の一端を塞ぐことができる形状を有する部材であり、銀ろう付け等によりシリンダパイプ21に固定される。シリンダホルダ23は、熱伝導度の良い材料からなる部材であり、シリンダパイプ21が銀ろう付け等により固定される柱状空洞60と、膨張機11内の空間をキャピラリチューブ12を介して圧縮機内の空間に連絡するための空洞61を有する。
【0013】ホルダキャップ24は、シール部材27を挟んだ形でシリンダホルダ23にボルト28によって固定されることにより、膨張機11内に、キャピラリチューブ12を介してのみ外界(圧縮機の内部空間)と連絡される空間を形成する。また、ホルダキャップ24は、シリンダホルダ23に取り付けられる側の面に、その外周に螺旋溝が形成された円柱状の構造(以下、バネ座と表記する)を有する部材ともなっている。なお、当該バネ座は、ホルダキャップ24がシリンダホルダ23に取り付けられたときに、シリンダパイプ21内のディスプレーサ20のバネ座と同軸になるように形成されている。
【0014】コイルバネ25は、ディスプレーサ20のシリンダパイプ21内での位置を制御するためのバネであり、コイルバネ25の両端は、それぞれ、ホルダキャップ24のバネ座とディスプレーサ20のバネ座に取り付けられている。
【0015】このように、その基本的な構成は、一般的な、小型スターリング冷凍機の膨張機と同じものとなっているが、膨張機11は、コイルバネ25として、機械化学研磨(MCP)により表面粗度が0.8S以下となるようにその表面性状の調整を行った(表面傷の除去を行った)ものが用いられている。
【0016】また、図2に示したように、実施形態に係る冷凍機を構成している圧縮機13は、左右対称な構造を有しており、センタ部31、センタ部31の各面に対して固定されたシリンダ部32と耐圧ケーシング40、耐圧ケーシング40に対して固定されたハーメチックコネクタ41を備える。
【0017】センタ部31は、圧縮機13内に冷媒ガス(通常、ヘリウム)を導入するための、プラグ45によってシールが行われるガス導入部55、圧縮空間52(シリンダ部32と圧縮ピストン34で画定される空間)をキャピラリチューブ12を介して膨張機11内の空間に繋げる空洞部56等が設けられた部材である。
【0018】ハーメチックコネクタ41は、耐圧ケーシング40とともに、シリンダ部32等が収容される密閉空間を形成する部材である。ハーメチックコネクタ41には、2つの電流導入端子43が設けられている。また、ハーメチックコネクタ41の内面(圧縮機内部側に向けられる面)には、その外周に螺旋溝が形成された円柱状のバネ座42が取り付けられている。シリンダ部32は、センタ部31の空洞部56に繋がる円柱状の空洞58と、空洞58と同心円状の溝59とを有し、シリンダ部32には、溝59の外側内壁をなすように環状のマグネット33が取り付けられている。
【0019】また、圧縮機13は、シリンダ部32の円柱状空洞58内に挿入された圧縮ピストン34、環状溝59に挿入された環状の可動コイル36、圧縮ピストン34とコイル36とが固定された部材35を備える。圧縮ピストン34には、その外周に螺旋溝が形成された円柱状のバネ座37が、バネ座42と同軸となるように取り付けられている。さらに、圧縮機13は、可動コイル36と電流導入端子43とをつなぐリード線39、圧縮ピストン34に固定されたバネ座37とハーメチックコネクタ41に固定されたバネ座42とにその両端が取り付けられたコイルバネ38を備える。
【0020】そして、圧縮機13は、このコイルバネ38として、機械化学研磨(MCP)により表面粗度が0.8S以下となるようにその表面性状の調整を行ったものが用いられたものとなっている。
【0021】次に、実施形態に係る冷凍機に対して行った寿命試験の結果を簡単に説明しておく。上記した構成の冷凍機を10台製造するとともに、比較のために、MCPを行わないコイルバネを用いた同構成の冷凍機を5台製造した。そして、両者を連続運転したところ、MCPを行わなかったコイルバネを用いた冷凍機は、5台とも、200時間以内にコイルバネの折損が生じてしまった。これに対し、MCPを行ったコイルバネを用いた冷凍機は、10台とも、9600時間の連続運転を行ってもコイルバネの折損が生じなかった。
【0022】このように、実施形態に係る冷凍機は、表面性状の調整を行ったコイルバネが用いられているが故に、コイルバネの折損が生じにくく、その結果として、寿命が長いものとなっている。
【0023】なお、実施形態の冷凍機は、膨張機、圧縮機の双方にコイルバネが用いられたものであったが、本技術を、一方のみにコイルバネが用いられた冷凍機(例えば、パルスチューブ冷凍機)に適用しても良いことは当然である。また、コイルバネの表面性状の調整方法は、表面傷が除去できるものであればどのようなものであっても良いが、実施が容易であるので、上記のように機械化学研磨により表面性状の調整を行うことが好ましい。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、コイルバネの折損が生じにくい圧縮機、膨張機、冷凍機を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成11年3月3日(1999.3.3)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−257972(P2000−257972A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−55218