| 【発明の名称】 |
冷凍サイクル装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】入山 健治
【氏名】高崎 俊伸
【氏名】原川 義明
|
| 【要約】 |
【課題】均圧弁を用いることなく、電動圧縮機1の停止後再起動可能になるまでの時間を短縮して、再起動性を向上させる。
【解決手段】凝縮器2に冷却風を送る電動ファン3を、電動圧縮機1の停止後も所定時間作動させることにより、凝縮器2内の冷媒を冷やして冷凍サイクルの高圧側圧力を速やかに低下させ、電動圧縮機1の停止後再起動可能になるまでの時間を短縮して、再起動性を向上させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒を圧縮し吐出する電動圧縮機(1)と、この電動圧縮機(1)の吐出冷媒を凝縮させる凝縮器(2)と、この凝縮器(2)に冷却風を送る電動ファン(3)とを備える冷凍サイクル装置において、前記電動圧縮機(1)の停止後においても前記電動ファン(3)を作動させる制御手段(8)を備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項2】 前記制御手段(8)は、冷凍サイクルの高圧側圧力に関連する物理量に応じて、前記電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。 【請求項3】 前記制御手段(8)は、外気温度の低下に伴って、前記電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を減少させることを特徴とする請求項1または2記載の冷凍サイクル装置。 【請求項4】 車両に搭載される冷凍サイクル装置であって、前記制御手段(8)は、前記車両の走行速度が高くなるに伴って、前記電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を減少させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍サイクル装置における電動圧縮機の起動性の改善に関するもので、特に、車両(電気自動車)の空調装置に用いて好適なものである。 【0002】 【従来の技術】車両用冷凍サイクル装置(空調装置)においては、乗員によって空調装置のエアコンスイッチがOFFされた後すぐにONされることがあり、この場合、圧縮機が一旦停止してから再起動するまでの時間が短いため特に圧縮機駆動負荷が大きく、圧縮機駆動用電動機の能力との関連で再起動ができない場合があった。 【0003】そこで、圧縮機起動時の負荷を小さくするために、従来、電動圧縮機を有する家電用冷凍サイクル装置(冷蔵庫)においては、冷凍サイクルの高圧側と低圧側とを均圧弁にて連通させて均圧化するとともに、圧縮機の回転数を数十秒かけて定格回転数まで徐々に上昇させるようにしている。一方、特開昭57−92677号公報に記載の冷凍サイクル装置(冷蔵庫)では、電動圧縮機の起動の際、庫内温度が高いときには冷気循環用ファンの回転数を低くして蒸発器での熱交換量を少なくすることによりサイクル内圧力の上昇を抑制し、圧縮機の起動後に起こる負荷のピークを押さえるようにしたものが提案されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の従来装置は、均圧弁の機能により圧縮機停止直後の再起動性は改善されるが、均圧弁を用いている分コスト高になるとともに装置が複雑になるという問題がある。一方、上記公報に記載の発明では、圧縮機起動後の負荷を抑制することはできるが、圧縮機起動初期の負荷を抑制することはできず、従って圧縮機停止直後の再起動性を十分改善しうるものではない。 【0005】本発明は、上記点に鑑み、均圧弁を用いることなく、圧縮機停止直後の再起動性を向上させることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1〜4記載の発明では、冷媒を圧縮し吐出する電動圧縮機(1)と、この電動圧縮機(1)の吐出冷媒を凝縮させる凝縮器(2)と、この凝縮器(2)に冷却風を送る電動ファン(3)とを備える冷凍サイクル装置において、電動圧縮機(1)の停止後においても電動ファン(3)を作動させる制御手段(8)を備えることを特徴としている。 【0007】これによると、電動圧縮機(1)の停止後直ちに凝縮器(2)内の冷媒を冷やして、冷凍サイクルの高圧側圧力を速やかに低下させることができ、電動圧縮機(1)の停止後再起動可能になるまでの時間を短縮して、再起動性を向上させることができる。しかも、均圧弁が不要であるため、極めて簡単な構成で、安価に実施することができる。 【0008】請求項2記載の発明では、冷凍サイクルの高圧側圧力に関連する物理量に応じて、電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を制御することを特徴としている。これによると、高圧側圧力が低いときには電動ファン(3)の作動時間または送風量を減少または零にして、電力消費量を低減することができる。 【0009】請求項3記載の発明では、外気温度の低下に伴って電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を減少させることを特徴としている。これによると、外気温度が低く、その空気によって凝縮器(2)内の冷媒の急速な冷却が期待できる時には、電動ファン(3)の作動時間または送風量を減少または零にして、電力消費量を低減することができる。 【0010】請求項4記載の発明では、車両に搭載される冷凍サイクル装置であって、車両の走行速度が高くなるに伴って電動ファン(3)の作動時間および送風量のうち少なくとも一方を減少させることを特徴としている。これによると、走行風によって凝縮器(2)内の冷媒の急速な冷却が期待できる車速域では、電動ファン(3)の作動時間または送風量を減少または零にして、電力消費量を低減することができる。 【0011】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクル装置を車両(電気自動車)の空調装置に適用した例を示すもので、電動圧縮機1は、ガス冷媒を吸入口101から吸入して圧縮後吐出口102から吐出する圧縮機構部100と、この圧縮機構部100を駆動する電動機部(交流電動機)103とから構成され、電気自動車の車室外に設置されている。 【0013】2は電動圧縮機1から吐出された高圧ガス冷媒を冷却して凝縮させる凝縮器、3はこの凝縮器2に送風する電動ファンで、凝縮器2および電動ファン3は車室外に設置され、凝縮器2は電動ファン3にて送風される外気と冷媒との熱交換を行う。4は凝縮器2で凝縮された冷媒を減圧する減圧器(膨張弁)、5は減圧器4で減圧されて気液2相状態となった冷媒を蒸発させる蒸発器、6は空調用空気を蒸発器5に送風する電動のブロワファンであり、蒸発器5およびブロワファン6は車室内に設置され、蒸発器5はブロワファン6にて送風される空気と冷媒との熱交換を行う。なお、減圧器4は、蒸発器5の出口側における冷媒の加熱度が所定値となるように、冷凍サイクル内を循環する冷媒の質量流量を調節するものである。 【0014】7 は車載の直流電源、8は各種信号に基づいて空調装置の制御を行う空調用制御装置(制御手段)で、マイコンとその周辺回路にて構成され、タイマー部80を備えている。9は車室内の計器盤近傍に配置されて乗員により操作される空調装置のエアコンスイッチで、空調用制御装置8にはこのエアコンスイッチ9の信号が入力され、空調用制御装置8はエアコンスイッチ9のONにより冷凍サイクルを起動し、エアコンスイッチ9のOFFにより冷凍サイクルの作動を停止させる。 【0015】また、この空調用制御装置8には、エアコンスイッチ9の他に、外気温度を検出する外気温センサ、車室内温度を検出する内気温センサ、蒸発器5を通過直後の空気温度を検出する蒸発器温度センサ、車室内への日射量を検出する日射センサ、冷凍サイクルの高圧側圧力を検出する高圧側圧力センサ等を含む空調用センサ群からセンサ信号が入力されるようになっている。また、車室内運転席近傍に設けられた空調操作パネルの各レバー、スイッチ群からの信号(温度設定信号等)も制御装置8に入力される。 【0016】そして、空調用制御装置8はそれらの信号に基づいて、電動ファン3、ブロワファン6およびインバータ(詳細後述)10を制御する。10は電動機部103に交流電圧を印加するインバータで、インバータ10は空調用制御装置8の指令に基づき交流電圧の周波数を調整し、それによって電動圧縮機1の回転速度を連続的に変化させるようになっている。 【0017】次に、本実施形態の作動を説明する。乗員によりエアコンスイッチ9がONされると、空調用制御装置8からの指令に基づき、電動ファン3およびブロワファン6が作動し、インバータ10は電動圧縮機1の電動機部103に交流電圧を印加する。その交流電圧を受けて電動機部103が圧縮機構部100を駆動し、圧縮機構部100は冷媒を吸入圧縮して凝縮器2側に吐出する。 【0018】凝縮器2に圧送された高圧のガス冷媒は、電動ファン3で送風される外気と熱交換して凝縮され、液化された冷媒は減圧器4で減圧されて気液2相状態となって蒸発器5に至る。蒸発器5では、ブロワファン6にて送風される空調空気と気液2相冷媒との熱交換が行われ、こうして冷却された空調空気により車室内の冷房が行われる。 【0019】冷房能力の制御は、入力信号の演算結果に基づく空調用制御装置8の指令により、インバータ10の交流電圧の周波数を調整して電動圧縮機1の回転速度を変化させるとともに、ブロワファン6の回転速度を切り替えることにより行われる。また、冷房運転中の電動ファン3は高圧側圧力等に応じてON−OFF制御される。 【0020】次に、本実施形態の特徴である空調装置を停止した際の作動を、図1、2にて説明する。図2において、Pdは冷凍サイクルの高圧側圧力、Psは冷凍サイクルの低圧側圧力、Pdxは電動圧縮機1の起動が可能な高圧側圧力Pdの水準を示す。なお、図3は従来の制御および特性を示すものである。乗員によりエアコンスイッチ9がOFFされると、従来は図3に示すように、電動圧縮機1および電動ファン3は直ちに停止される。これに対し、本実施形態においては、エアコンスイッチ9がOFFされると電動圧縮機1は直ちに停止されるが、電動ファン3はエアコンスイッチ9のOFF後も、タイマー部80で設定された所定時間T1(本例では約40秒)だけ引き続き駆動される。 【0021】このように、エアコンスイッチ9のOFF後も電動ファン3を強制的に作動させることにより、凝縮器2内の冷媒が急速に冷やされ、高圧側圧力Pdが速やかに低下する。ここで、エアコンスイッチ9をOFF(電動圧縮機1を停止)してから高圧側圧力Pdが起動可能水準Pdxまで低下する間の時間(再起動可能時間)T2を比較すると、再起動可能時間T2は従来が約60秒であったのに対し、本実施形態の場合は約8秒であった。 【0022】これから明らかなように、本実施形態によれば電動圧縮機1が一旦停止してから再起動可能になるまでの時間を大幅に短縮させて、圧縮機停止直後の再起動性を向上させることができる。しかも、均圧弁が不要であるため、極めて簡単な構成で、安価に実施することができる。なお、タイマー部80で設定された所定時間T1、すなわち、エアコンスイッチ9をOFF後の電動ファン3の駆動時間を、以下のように各種パラメータに応じて制御(駆動時間短縮)することにより電力消費量を低減することができる。 【0023】■ エアコンスイッチ9をOFF後の高圧側圧力Pdが起動可能水準Pdxまで低下した時点で電動ファン3を停止させてもよいし、あるいは起動可能水準Pdxまで低下した時点から数秒経過後に電動ファン3を停止させるようにしてもよい。 ■ 外気温によって凝縮器2内の冷媒冷却速度が変わるので、外気温に応じて上記の所定時間T1を連続的に変更してもよい。また、ある温度(例えば35℃)以下ではエアコンスイッチ9をOFF後であっても電動ファン3を駆動しない(所定時間T1=0)ようにしてもよい。 【0024】■ 走行風によって凝縮器2内の冷媒を冷却できるので、車両の走行速度に応じて上記の所定時間T1を連続的に変更してもよい。また、ある車両速度(例えば10km/h)以下では所定時間T1を零にしてもよい。この場合、エアコンスイッチ9をOFFする直前の平均車速に基づいて、所定時間T1をきめてもよい。 【0025】■ エアコンスイッチ9をOFFする直前の電動機部103の電流値やサイクル高圧側の温度等から高圧側圧力Pdを推定して、上記の所定時間T1を連続的に変更してもよい。 ■ 上記した各種パラメータを組み合わせて上記の所定時間T1を連続的に変更してもよい。 【0026】また、上記■〜■においては外気温等に応じて所定時間T1を変更する例を示したが、所定時間T1を変更する代わりに、電動ファン3に印可する電圧を制御して送風量を変更することも可能で、これによっても電力消費量を低減することができる。なお、エアコンスイッチ9がOFF後すぐにONされた場合、再起動可能時間T2が経過するまでは電動圧縮機1の再起動を禁止することにより、過負荷条件下での電動圧縮機1の運転を回避して、電動圧縮機1の耐久性や信頼性を確保することができる。 【0027】また、車両(電気自動車)走行用電動機のメインスイッチをOFFした場合も、エアコンスイッチ9がOFFされた場合と同様に、電動圧縮機1は直ちに停止されるが電動ファン3はタイマー部80で設定された所定時間T1だけ引き続き駆動することも可能である。また、上記実施形態では本発明を車両の空調装置に適用した例を示したが、電動圧縮機1を備える冷凍サイクル装置であれば、車両以外にも適用可能である。 【0028】さらに、別の蒸発器を室外に設けるとともに冷媒の流れを切り替えて暖房機能を得るようにしたヒートポンプシステムにも、本発明は適用することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
|
| 【出願日】 |
平成11年3月5日(1999.3.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100022 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−257963(P2000−257963A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月22日(2000.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−59251 |
|