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【発明の名称】 蒸発器
【発明者】 【氏名】マイケル・ジェイ・ラインケ

【氏名】マーク・ジー・ボース

【要約】 【課題】蒸発器において冷媒の分配をより均一にすること。

【解決手段】1対の互いに離隔したヘッダー(20,22)と、それらの間に延設された複数の互いに離隔した冷媒通路(42)を画定する管(24)を有する蒸発器内の液体冷媒の分配の均一化が、一方のヘッダー(20)内に冷媒入口(30,32,34,36)を設けることによって達成される。この入口は、蒸発させるべき冷媒の源に接続された第1ポート(49)と、第1ポートに接続された第2ポート及び第3ポートを有し、第2ポートは、ヘッダーの一側とは反対側に向けられ、第3ポートは、ヘッダーの一側の方に向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1対の互いに離隔したヘッダーと、該両ヘッダー間に延設されて、該各ヘッダーの一側に流体連通し、該両ヘッダー間に延長する複数の互いに離隔した冷媒通路を画定する少なくとも1本の管とから成り、一方のヘッダーに少なくとも1つの冷媒入口が設けられ、該入口は、蒸発させるべき冷媒の供給源に接続された第1ポートと、該一方のヘッダー内にあり、該第1ポートに接続された第2ポート及び第3ポートを有し、該第2ポートは、該一方のヘッダーの前記一側とは反対側に向けられ、該第3ポートは、該一方のヘッダーの該一側の方に向けられていることを特徴とする蒸発器。
【請求項2】 前記第3ポートは、第2ポートより小さいことを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項3】 前記複数の冷媒通路は、複数の前記管によって形成され、それらの管は互いに離隔されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項4】 前記複数の管の各々の両端部は、前記各ヘッダーの一側に突入されていることを特徴とする請求項3に記載の蒸発器。
【請求項5】 前記各管は、それぞれ複数の互いに離隔した冷媒通路を画定するものであることを特徴とする請求項3に記載の蒸発器。
【請求項6】 前記一方のヘッダーは、細長い形状であり、該ヘッダーの長手に沿って複数の冷媒入口が互いに間隔を置いて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項7】 少なくとも前記一方のヘッダーは、ほぼ円筒形であることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器。
【請求項8】 1対の互いに離隔したヘッダーと、該両ヘッダー間に延設されて、該各ヘッダーの一側に流体連通し、該両ヘッダー間に延長する複数の互いに離隔した冷媒通路を画定する少なくとも1本の管とから成り、一方のヘッダーに少なくとも1つの冷媒入口が設けられ、該入口は、蒸発させるべき冷媒の供給源に接続された第1ポートと、該一方のヘッダー内にあり、該第1ポートに接続された第2ポートを有し、該第2ポートは、該一方のヘッダーの前記一側とは反対側に向けられていることを特徴とする蒸発器。
【請求項9】 前記入口は、該一方のヘッダー内にあり、前記第1ポートに接続された第3ポートを有し、該第3ポートは、該一方のヘッダーの前記一側の方に向けられていることを特徴とする請求項8に記載の蒸発器。
【請求項10】 前記複数の冷媒通路は、複数の互いに離隔した管によって形成され、前記第2及び第3ポートは、2つの隣接した管の間に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の蒸発器。
【請求項11】 細長いヘッダーと、複数の互いに離隔して配置された扁平管と、前記ヘッダーへの入口とから成り、前記各管の一端は、互いに等間隔を置いて前記ヘッダーの一側に貫入しており、前記入口は、各々蒸発すべき共通の冷媒源に接続するようになされた複数の互いに離隔した冷媒噴射器を含み、該各噴射器は、前記管の一端を受容するヘッダーの前記一側とは反対側に向けられた噴射オリフィスを有することを特徴とする蒸発器。
【請求項12】 前記各管の前記一端は、前記ヘッダーの内部にまで突入しており、前記各噴射器は、互いに隣接する各対の管の間に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の蒸発器。
【請求項13】 前記噴射オリフィスは、主噴射オリフィスであり、前記各噴射器は、該主噴射器より小さく、隣接する各対の管の一端間の前記ヘッダーの前記一側に向けられた副噴射オリフィスを含むことを特徴とする請求項11に記載の蒸発器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒蒸発器に関し、特に、蒸発作用の効率を高めるための冷媒蒸発器用入口に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人の米国特許第5,341,870及び5,533,259号には、家庭用空調機に使用するのに理想的な独特の冷媒蒸発器が開示されている。これらの特許に開示された構造の蒸発器は、それらが企図された目的のためには良好に機能し、実際、空調システムに用いられる在来型蒸発器に比べて相当な改良ではあるが、冷媒が蒸発器内に適正に分配されないと、効率という面で在来型蒸発器と同じ欠点を有する。
【0003】分配不良が起ると、しばしば蒸発器コアの1つのセクションには液状冷媒が溢れ、他のセクションからは冷媒が実質的に枯渇するという事態が起る。実際の蒸発器の赤外線熱画像に基づいて作成された分配不良の一例が図1に示されている。この分配態様は、上記米国特許に例示された一般的な構成であり、一方のヘッダー10に入口取付具12を取り付け、他方のヘッダー14に出口取付具16を取り付けることができるタイプのものである。即ち、図1に例示された蒸発器は、斯界において並流型の端入れ端出し式V形蒸発器と称されるものである。図では、ヘッダー10と14を接続する熱交換管又は熱伝達管(以下、単に「管」と称する)18は、概略的に示されており、もちろん、各隣接する管18と18の間には蛇行フィン(図示せず)が延設されている。
【0004】この種の蒸発器では、冷媒が枯渇する管からは、液状冷媒又は気液混合冷媒(液状冷媒と蒸気状即ちガス状冷媒とが混合した冷媒)が急激になくなる。従って、枯渇した各管の全長のかなりの部分は、単一相の、過熱されたガス状冷媒だけを有することになる。従って、それらの管の熱伝達が不良になる。
【0005】更に、過熱されたガス状冷媒(以下、単に「ガス」又は「蒸気」とも称する)の流れが存在する管の空気側(外側)表面温度は、通常、露点を越えているので、蒸発器の過熱ガス流の存在する領域において管と管の間(管間間隙)を通る空気中の水分が凝縮することはない。従って、そのような領域では除湿が起らない。
【0006】除湿が起る領域では、水滴が各管の外表面に堆積し、それらの部位において蒸発器(管間間隙)を通る空気流に対する抵抗を増大させる。反対に、空気流抵抗は、過熱流れの存在する領域(過熱領域)では小さく、従って、蒸発器を通る総空気流のうち過熱領域が受け入れる空気流の割合が少なくなり、一層効率を低下させる。
【0007】一方、溢流管(冷媒が溢れる管)は、管全体に亙って優れた熱伝達を発揮するが、液状冷媒の全部を蒸発させることができないことがしばしばある。従って、未蒸発冷媒が利用されず、蒸気を液体に凝縮するのに用いられた仕事が実質的に無駄になる。しかも、吸引導管内の未蒸発冷媒の存在は、そのことを系内の感熱膨張弁が探知することになり、その結果、不安定な作動が生じることとなる。
【0008】図1において、過熱ガス(蒸気)流が生じている領域は陰影を付して示されており、陰影を付されていない部分は、適正に機能している領域、又は、溢流領域を示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蒸発器一般、特に並流型のV形蒸発器において冷媒が枯渇し、その結果、残る冷媒の過熱を起こすような領域をなくすか、最少限にすることによって冷媒の分配をより均一にすることを課題とする。
【0010】本発明の目的は、新規な改良型冷媒蒸発器を提供することであり、特に、蒸発器内における冷媒の分配をより均一にするための冷媒蒸発器用入口構造を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の一実施形態によれば、上記目的は、一対の互いに離隔したヘッダーを備えた蒸発器において達成される。少なくとも1本の管が両ヘッダー間に延設されて、各ヘッダーの一側に流体連通(流体を通すように接続)され、両ヘッダー間に延長する複数の互いに離隔した冷媒通路を画定する。一方のヘッダーに少なくとも1つの冷媒入口が設けられる。この入口は、蒸発させるべき冷媒の供給源に接続された第1ポートと、該第1ポートに接続され、上記一方のヘッダー内において該一方のヘッダーの上記一側とは反対側に向けられた第2ポートを有する。その結果として、蒸発させるべき冷媒は、上記冷媒通路のある側とは反対側のヘッダーの内壁に向けてスプレーされ、ヘッダー自体が衝突分配の役割を果たす。
【0012】好ましい実施形態では、上記入口に、やはり第1ポートに接続される第3ポートを設ける。この第3ポートは、第2ポートとは反対向きに、ヘッダーの、冷媒通路を有する側とは反対側に向くように配置する。かくして、第3ポートは、入口に近接した各管(冷媒通路)のための冷媒の衝突分配を実施し、第2ポートは、入口から比較的遠い位置にある冷媒通路のための冷媒の衝突分配を実施する。
【0013】好ましい実施形態では、第3ポートは、第2ポートより小とする。
【0014】好ましくは、上記複数の冷媒通路は、複数の管によって形成し、それらの管を互いに離隔させる。
【0015】好ましい実施形態では、上記複数の管の各々の両端部を各ヘッダーの一側に突入させる。
【0016】各管は、それぞれ複数の互いに離隔した冷媒通路を画定する構成とすることが好ましい。
【0017】特に好ましい実施形態では、上記一方のヘッダーは細長い形状とし、その長手に沿って複数の冷媒入口を互いに間隔を置いて設ける。
【0018】又、好ましい実施形態では、上記一方のヘッダーをほぼ円筒形とする。
【0019】本発明の好ましい実施形態は、細長いヘッダーを含む蒸発器を企図する。複数の扁平管を互いに離隔させて配置し、各管の一端を等間隔を置いて細長いヘッダーの一側に貫入させる。ヘッダーへの入口には、各々蒸発すべき共通の冷媒源に接続するようになされた複数の互いに離隔した噴射器を設ける。各噴射器は、扁平管の端部を受容するヘッダーの一側とは反対側に向けられた噴射オリフィスを有する。
【0020】好ましい実施形態では、各管の端部をヘッダーの内部に突入させ、噴射器を互いに隣接する各対の管の間に配置する。
【0021】これらの噴射オリフィスは、主噴射オリフィスとし、各噴射器には、主噴射器より小さく、隣接する各対の管の間のヘッダーの一側に向けられた副噴射オリフィスをも受けることが好ましい。
【0022】本発明のその他の目的及び利点は、添付図を参照して述べる以下の説明から明らかになろう。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、図2〜5を参照して、並列流れ型のいわゆるV形蒸発器に適用した場合の本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は、そのような蒸発器に限定されるものではなく、複数のに離隔した冷媒通路に流体連通するヘッダーを有する蒸発器であれば、どのようなタイプの蒸発器にも有効に適用することができる。
【0024】本発明の蒸発器は、細長い管の形とした入口ヘッダー20と、出口ヘッダー22と、両ヘッダーの間に延設された一連の多ポート付き扁平伝熱管(以下、「扁平管」又は単に「管」とも称する)24と、各隣接する扁平管24の間に介設された蛇行フィン26を含む。
【0025】出口ヘッダー22は、慣用の構造の単一の出口取付具28を有する。入口ヘッダー20には、好ましい実施例ではその長手に沿って等間隔に配置された複数の、この例では4つの冷媒噴射器30,32,34,36を突入させる。これらの冷媒噴射器30,32,34,36は、共通の液体冷媒源に接続することができる慣用の分配器に接続された通常の管であってよい。この液体冷媒源は、最終的には、純粋の冷却用であれ、ヒートポンプ用であれ、空調用であれ、冷凍システムの凝縮器である。
【0026】図3を参照して説明すると、各管24は、その一端部40を入口ヘッダー20の内部に相当な長さに亘って突入させている。これらの端部40の図から分かるように、各管24は、それぞれ好ましくは0.07in(1.778mm)未満の水力直径を有する複数の個別冷媒通路42を有する。「水力直径」とは、一般に定義されているように、冷媒通路42の断面積を該通路の濡れ周囲長で割った値に4を乗じた値、即ち(流路の断面積)÷(流路の濡れ周囲長)×4である。
【0027】各隣接する管24の端部40は、互いに離隔されており、図3に代表例として示される噴射器34にみられるように、1対の隣接する管24の間に配置される。又、噴射器30,32,34,36は、入口ヘッダー20を構成する管より小径の円管で形成されている。噴射器34を例にとって説明すると、噴射器は、ヘッダー20に直角に、かつ、ヘッダー20に近接する管24によって画定される平面に対して直角にヘッダー20内に貫入している。
【0028】図4にみられるように、各管24は、ヘッダー20の一側44に突入し、ヘッダー20の内部空間のほぼ半分にまで貫入している。噴射器34は、ヘッダー20内に密封端48を有し、その反対側の端部に冷媒を受け取るために接続されるポート49を有する。噴射器34は、又、管24が突入しているヘッダー20の一側44とは反対側のヘッダー20の内壁面52にぶつけるように冷媒を吹き付ける第1即ち主噴射オリフィス50と、主噴射オリフィス50と共通の中心線上にヘッダー20内に位置し、主噴射オリフィス50よりサイズが小さく、ヘッダーの一側44の内壁面に向けて冷媒を吹き付ける第2即ち副噴射オリフィス54を有する。これらの噴射オリフィスによる冷媒噴射点は、各隣接する管の端部40と40の間としてもよく、あるいは、管の端部に整列する位置としてもよい。
【0029】主噴射オリフィス50から噴射された液体(冷媒)のスプレーは、ヘッダー20の内壁面52に沿って拡がり、ヘッダー20内の相当な距離に亘って分配されるので、各噴射器30,32,34,36の配置位置の間に配置されているすべての管24が冷媒を受け取ることができる。多くの場合、主噴射オリフィス50だけで十分であるが、場合によっては、特に、管端40がヘッダー20内に相当深くにまで突入している場合は、噴射器30,32,34,36の直近の管は、冷媒が内壁面52に衝突する結果として管端40の上を文字通り吹き抜けてしまうので、十分な冷媒を受取ることができないことがある。従って、各噴射器の配置位置に近接した管24が十分な量の液体冷媒を確実に受容することができるように各噴射器30,32,34,36に副噴射オリフィス54を設けることができる。
【0030】
【発明の効果】図5は、本発明に従って構成された実際の蒸発器の赤外線熱画像を示す。この図で陰影を付された領域は、過熱蒸気流が生じている領域である。図から分かるように、本発明を適用した蒸発器は、過熱蒸気流が生じる領域を大幅に減少し、図1に示された従来の蒸発器に比べて蒸発器の作動効率を相当に改善する。
【0031】図5に示されたような、30,000BTU/時の出力の蒸発器として設計される場合は、4つの冷媒噴射点が設けられる。各噴射器は、外径0.25in(6.35mm)、肉厚0.035in(0.889mm)の管で形成される。主噴射オリフィス50の直径は0.0125in(3.175mm)とし、副噴射オリフィス54の直径は0.052in(1.3208mm)とする。一実施形態においては、この蒸発器は、そのコア部分に45本の扁平管24を有する。従って、噴射器1つ当たり11.25本の管24が設けられる。
【0032】以上の説明から分かるように、本発明による蒸発器は、入ってくる液体冷媒の分配を最適化し、作動効率を高める。本発明による蒸発器の構造は、冷媒噴射器を適正なサイズに穿孔された噴射オリフィスを有する管から形成することができるので、比較的簡単である。かくして、最少限のコストで、かつ、簡単な構造によって効率の改善を達成することができる。
【出願人】 【識別番号】592079675
【氏名又は名称】モーディーン・マニュファクチャリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】MODINE MANUFACTURING COMPANY
【出願日】 平成11年2月23日(1999.2.23)
【代理人】 【識別番号】100067817
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 基弘 (外1名)
【公開番号】 特開2000−249428(P2000−249428A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−44742