| 【発明の名称】 |
外燃式熱ガス機関およびその始動方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石原 寿和
【氏名】大竹 雅久
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| 【要約】 |
【課題】低トルクモータを用いて駆動する場合に、加熱器が過熱状態になるおそれがなく、当該低トルクモータの発熱が抑制される外燃式熱ガス機関およびその始動方法を提供する。
【解決手段】始動時に、加熱器16を通る作動ガスを燃焼器11で加熱しながら、高温室12に設けられた高温側ディスプレーサ2、および低温室15に設けられた低温側ディスプレーサ3が連結されたクランク10を、始動用のモータ9で駆動する外燃式熱ガス機関において、このモータ9に低トルクモータを選定し、この低トルクモータ9を断続運転させる制御手段93を設けたものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 始動時に、加熱器を通る作動ガスを燃焼器で加熱しながら、高温室に設けられた高温側ディスプレーサ、および低温室に設けられた低温側ディスプレーサが連結されたクランクを、始動用のモータで駆動する外燃式熱ガス機関において、このモータに低トルクモータを選定し、この低トルクモータを断続運転させる制御手段を設けたことを特徴とする外燃式熱ガス機関。 【請求項2】 始動時に、加熱器を通る作動ガスを燃焼器で加熱しながら、高温室に設けられた高温側ディスプレーサ、および低温室に設けられた低温側ディスプレーサが連結されたクランクを、始動用のモータで駆動する外燃式熱ガス機関の始動方法において、このモータに低トルクモータを選定し、この低トルクモータを断続運転させて前記クランクを駆動することを特徴とする外燃式熱ガス機関の始動方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷暖房装置や給湯装置等の熱源として好適な外燃式熱ガス機関に係り、詳しくは燃焼器の技術に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、冷暖房や給湯を行う装置として、外燃式熱ガス機関たるヴェルミエサイクルを利用したヒートポンプ(以下、VMHP: Vuilleumier Cycle Heat Pumpという)が開発されている。 【0003】VMHPは、封入媒体(作動ガス)としてのHe(ヘリウム)ガスの温度分布変化のみにより圧力変化を引起し、ダイレクトに冷暖房・給湯を可能とするものである(例えば、特公平5−65777号公報)。 【0004】VMHPは、高温室に設けられる高温側ディスプレーサと、低温室に設けられる低温側ディスプレーサと、各ディスプレーサのロッドが連結されたクランクと、始動時に前記クランクを駆動するモータとを備え、始動後には自立運転に移行する外燃式熱ガス機関である。 【0005】ところで、モータの小型化を図るため、低トルクモータを使用し、始動時に、前記クランクを低トルクモータによって数rpm程度の低速回転でゆっくりと駆動する方式が提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した外燃式熱ガス機関では、始動時に、加熱器を通る作動ガスを燃焼器で加熱しながら始動するので、前記の低速回転数で駆動した場合には、加熱器内部に作動ガスが滞留し、当該加熱器内部に熱が入りにくくなり、加熱器が過熱状態になるおそれがある。また、このように加熱器内部に熱が入りにくくなれば、各作動室に温度差が発生しにくくなり、外燃式熱ガス機関の軸出力が得られにくくなるという問題がある。 【0007】また、前述した外燃式熱ガス機関では、モータ駆動前に本体を予備加熱することが行われる場合があるが、この場合にも始動時に加熱器内部に熱が入りにくくなり、加熱器が過熱状態になり、各作動室に温度差が発生しにくくなり、軸出力が得られにくくなるという問題がある。 【0008】更に、低トルクモータによって数rpm程度の低速回転でゆっくりと駆動する場合、モータが発熱するおそれがある。 【0009】そこで、本発明の目的は、低トルクモータを用いて駆動する場合に、加熱器が過熱状態になるおそれがなく、当該低トルクモータの発熱が抑制される外燃式熱ガス機関およびその始動方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、始動時に、加熱器を通る作動ガスを燃焼器で加熱しながら、高温室に設けられた高温側ディスプレーサ、および低温室に設けられた低温側ディスプレーサが連結されたクランクを、始動用のモータで駆動する外燃式熱ガス機関において、このモータに低トルクモータを選定し、この低トルクモータを断続運転させる制御手段を設けたことを特徴とするものである。 【0011】請求項2記載の発明は、始動時に、加熱器を通る作動ガスを燃焼器で加熱しながら、高温室に設けられた高温側ディスプレーサ、および低温室に設けられた低温側ディスプレーサが連結されたクランクを、始動用のモータで駆動する外燃式熱ガス機関の始動方法において、このモータに低トルクモータを選定し、この低トルクモータを断続運転させてクランクを駆動することを特徴とする。 【0012】これらの発明では、始動時に低トルクモータが断続運転されるので、作動ガスに振動が発生し、当該作動ガスの移動が促進され、加熱器内部に作動ガスが滞留することがなくなる。従って、当該加熱器内部に熱が入り易くなり、加熱器が過熱状態になるおそれが解消される。また、このように加熱器内部に熱が入り易くなるので、各作動室に温度差が発生し易くなり、外燃式熱ガス機関の軸出力が得られ易くなり、自立運転までの加熱時間が短縮される。更には、低トルクモータが断続運転されるので、当該モータの発熱が抑制される。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。 【0014】図1は空気調和機の冷温水供給回路を示しており、この回路にはヴィルミエサイクルの熱ガス機関1(図2)が採用されている。 【0015】熱ガス機関1は、互いに直交配置された高温側ディスプレーサ2と低温側ディスプレーサ3とを備えており、これらがヘリウム等の作動ガスを封入した容器に収納されている。容器内部は、高温室12と、中温室13,14と、低温室15とに区画されている。また、高温室12の端部には加熱器16を有しており、加熱器16は、燃焼器11により加熱される。 【0016】両ディスプレーサ2,3は、例えば高温側ディスプレーサ2が上死点と下死点との中間位置へ到達するときに、低温側ディスプレーサ3が上死点に位置するように、互いに90°位相をずらして動作するべく、モータ9で駆動されるクランク10を介して連結されている。高温側ディスプレーサ2と低温側ディスプレーサ3とが動作すると、封入された作動ガスが、高温再生器4と低温再生器7を通って各室12と13,14と15間を移動する。そして、作動ガスは、これら再生器4,7を通過する際に、加熱あるいは冷却されることになり、密閉容器内が昇圧あるいは減圧されることになる。例えば、高温室12の作動ガスが高温再生器4を通って中温室13に移動する際には、作動ガスの熱エネルギーが高温再生器4に蓄えられ、作動ガスの圧力は低下する。逆に、作動ガスが中温室13から高温室12に環流する際には、高温再生器4に蓄えられた熱エネルギーが作動ガスに放出され、作動ガスの圧力は上昇する。また、低温室15の作動ガスが低温再生器7を通って中温室13に移動する際には、作動ガスに高温再生器4の熱エネルギーが供給され、作動ガスの圧力も上昇する。逆に、作動ガスが中温室13から低温室15に環流する際には、作動ガスの熱エネルギーが低温再生器4に吸収され、作動ガスの圧力は低下する。 【0017】また、外部との熱エネルギーのやり取りは、中温室13,14と接続する中温熱交換器5,6及び低温室と接続する低温熱交換器8が行う。例えば、加熱器16が高温室12の作動ガスに熱エネルギーを与えると、中温室13,14側の作動ガスが中温熱交換器5,6を介して外部熱媒体に熱エネルギーを放出すると共に、低温室15側の作動ガスが低温熱交換器8を介して外部熱媒体から熱エネルギーを吸収する。 【0018】すなわち、本実施形態の熱ガス機関1では、低温熱交換器8と低温室15とは吸熱部を構成する一方で、中温熱交換器5,6と中温室13,14とが放熱部を構成し、熱ガス機関1の低温熱交換器8、および中温熱交換器5,6を利用してなる空気調和機100が提供される。 【0019】この空気調和機100は、熱ガス機関1と室内機200と室外機300とからなっている。室内機200内には室内熱交換器201が配設され、室外機300内には室外熱交換器300が配設されている。203は室内ファン、303は室外ファンである。低温熱交換器8と室内熱交換器201は、管路21と四方弁36と管路22とによりつながれ、さらに室内熱交換器201と低温熱交換器8は、管路23と四方弁37と管路24とによりつながれている。また、中温熱交換器5と室外熱交換器301は、管路31と四方弁36と管路32とによりつながれ、さらに室外熱交換器301と中温熱交換器6は、管路33と四方弁37と管路34とによりつながれている。また、中温熱交換器5と6は、管路35とによりつながれている。管路を循環する外部熱媒体としては、水(以下、液冷媒と記す)が用いられている。 【0020】冷房運転時には、燃焼器11の点火により熱ガス機関1が作動し、中温熱交換器5,6を介して作動ガスの熱エネルギーが液冷媒に放出される一方で、低温熱交換器8を介して液冷媒の熱エネルギーが作動ガスに吸収される。この際、四方弁36,37は図1で実線で示すように切り替えられており、低温熱交換器8で熱エネルギーを放出した液冷媒は、管路21、四方弁36、管路22を経由して室内熱交換器201に流れる。室内機200内では、低温となった室内熱交換器201に室内ファン203からの送風が行われ、室内に冷風が送り出され(冷房が行われ)、室内気の熱エネルギーを吸収した液冷媒は管路23、四方弁37、管路24を経由して低温熱交換器8に環流する。 【0021】このとき、中温熱交換器5で熱エネルギーを吸収した液冷媒は、管路31、四方弁36、管路32を通じて室外熱交換器301に流れ、そこで室外ファン303からの送風により冷却された後、管路33、四方弁37、管路34を通じて中温熱交換器6に流れ、さらに管路35を通じて中温熱交換器5に環流する。 【0022】また、暖房運転時にも、燃焼器11の点火により熱ガス機関1が作動し、中温熱交換器5,6を介して作動ガスの熱エネルギーが液冷媒に吸収される一方で、低温熱交換器8を介して液冷媒の熱エネルギーが作動ガスに放出されるが、この際には四方弁36,37が図1で点線で示すように切り替えられる。この場合、中温熱交換器5,6で熱エネルギーを吸収した液冷媒は、管路31、四方弁36、管路22を経由して室内熱交換器201に流れる。 【0023】室内機200内では、比較的高温となった室内熱交換器201に室内ファン203からの送風が行われ、室内に温風が送り出される(暖房が行われる)一方で、室内に熱エネルギーを放出した液冷媒は管路23、四方弁37、管路34を経由して中温熱交換器5,6に環流する。 【0024】このとき、低温熱交換器8で熱エネルギーを放出した液冷媒は、管路21、四方弁36、管路32を通じて室外熱交換器301に流れ、そこで室外ファン303からの送風により外気の熱エネルギーを吸収した後、管路33、四方弁37、管路24を経由して低温熱交換器8に環流する。 【0025】ところで、この外燃式熱ガス機関では、始動時に、前記燃焼器11の燃焼を開始し、それと同時、あるいは加熱器16の温度が所定温度以上に上昇した後に、前記モータ9を駆動して、クランク10を連続的に回転させ、始動後には燃焼器11の燃焼による自立運転に移行させている。 【0026】通常であれば、始動用のモータ9に、各ロッド2a、3aによる圧縮、膨張による圧力変動トルクと、クランク10を含む機械摩擦トルクとの合計トルクよりも大きいトルクを有するモータを選定し、このモータで始動するのが一般的である。しかしながら、この選定による始動用のモータでは容量が大きく大型化すると共に、電力消費量が大きいという問題がある。 【0027】この実施形態では、実機において、クランク室80と中温室13との間、および中温室14とクランク室80との間で、各ロッド2a、3aのシール部90を通じて、作動ガスに僅かな漏れが発生することに着目し、この漏れを利用して少しずつディスプレーサ2、3を移動させるように構成した。なお、シール部90はリング状の部材であり、クランクケースの内周に固定され、このシール部90の内周を各ロッド2a、3aが摺動する。 【0028】この構成によれば、理論上、始動時に、各ロッド2a、3aによる圧縮、膨張による圧力変動トルクを無視することができる。 【0029】すなわち、機械摩擦トルクよりも大きいトルクを有するモータであれば、この熱ガス機関1を始動させることができることになる。 【0030】ただし、始動後には燃焼器11の燃焼による自立運転に移行させるわけであるから、この場合のモータには、当該モータの定格回転数が自立運転時の最低回転数よりも大きいモータが選定される。 【0031】図3に示すように、横軸に、各ロッド2a、3aによる圧縮、膨張による圧力変動トルクと、クランク10を含む機械摩擦トルクとの合計トルクTをとって、縦軸に、クランク10の回転数rpmをとった場合、前述した作動ガスの漏れに起因して、ゆっくり(例えば、数rpm)ではあるが、「機械摩擦トルクよりも大きいトルクを有するモータであれば、この熱ガス機関1を始動させることができる、」ということが判明した。実証試験によれば、熱ガス機関の機械摩擦トルクは、前述した合計トルクTの1/10程度であり、このトルクに近いモータを選定すればするほど、当該モータの小型化を図ることができ、ランニングコストを低減させることができる。 【0032】この趣旨に従う場合、当該始動用のモータ9には、各ロッド2a、3aによる圧縮、膨張による圧力変動トルクと機械摩擦トルクとの合計トルクの1/5(図3の点a)よりも小さく、機械摩擦トルクよりも大きいトルクを有し、且つ、定格回転数が自立運転時の最低回転数よりも大きいモータを選定することが、経済的であることが判明した。 【0033】以上のように、モータの小型化を図って、低トルクモータ9を使用した場合には、始動時に、前記クランク10を低トルクモータ9によって数rpm程度の低速回転でゆっくりと駆動することになる。 【0034】しかしながら、この外燃式熱ガス機関では、始動時に、加熱器16を通る作動ガスを燃焼器11で加熱しながら始動するので、低速回転数で駆動した場合には、加熱器16内部に作動ガスが滞留し、当該加熱器16内部に熱が入りにくくなり、加熱器16が過熱状態になるおそれがある。また、このように加熱器16内部に熱が入りにくくなれば、各作動室12〜15に温度差が発生しにくくなり、外燃式熱ガス機関の軸出力が得られにくくなる。 【0035】この実施形態では、低トルクモータ9に制御手段93が接続され、この制御手段93によって、外燃式熱ガス機関の始動時に、低トルクモータ9が断続的にON−OFF運転される。 【0036】この実施形態では、始動時に低トルクモータ9が断続運転されるので、加熱器16内部の作動ガスに振動が発生し、当該作動ガスの移動が促進され、加熱器16内部に作動ガスが滞留することがなくなる。 【0037】従って、当該加熱器16内部に熱が入り易くなり、加熱器16が過熱状態になるおそれが解消される。また、このように加熱器16内部に熱が入り易くなるので、各作動室12〜15に温度差が発生し易くなり、外燃式熱ガス機関の軸出力が得られ易くなり、自立運転までの加熱時間が短縮され、従って、システム運転開始の所要時間が短縮される。 【0038】更には、低トルクモータ9が断続運転されるので、当該モータ9への通電時間が減少し、モータ9の発熱が抑制される。 【0039】以上の実施形態において、低トルクモータ9を断続的にON−OFF運転する場合、ON−OFFのデューティ比が適宜に設定される。この場合に、ON−OFFのデューティ比の設定は、加熱器16内部の作動ガスに最も大きな振動を発生させることのできる設定が望ましい。 【0040】また、本発明は、スターリングエンジン等、ヴェルミエサイクル以外の外燃式熱ガス機関にも適用可能である。 【0041】 【発明の効果】本発明によれば、始動時に低トルクモータが断続運転されるので、作動ガスに振動が発生し、当該作動ガスの移動が促進されるので、加熱器内部に作動ガスが滞留することがなくなり、当該加熱器内部に熱が入り易くなり、加熱器が過熱状態になるおそれが解消される。 【0042】また、このように加熱器内部に熱が入り易くなるので、各作動室に温度差が発生し易くなり、外燃式熱ガス機関の軸出力が得られ易くなり、自立運転までの加熱時間が短縮される。 【0043】更には、低トルクモータが断続運転されるので、当該モータの発熱が抑制される等の効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001889 【氏名又は名称】三洋電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月25日(1999.2.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111383 【弁理士】 【氏名又は名称】芝野 正雅
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| 【公開番号】 |
特開2000−249426(P2000−249426A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月14日(2000.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願平11−48657 |
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