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【発明の名称】 蓄熱型空気調節機器
【発明者】 【氏名】本山 修一郎

【氏名】水野 幸夫

【要約】 【課題】熱交換時の熱損失を最小限するために、熱源と熱交換用の流体とが直接熱交換を行うことができ、かつ、構造も簡単な蓄熱型空気調節機器の提供。

【解決手段】作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とからなる熱交換構造体(10)に、熱交換用の流体を送り込むことにより、同流体と熱源が熱交換を行うことができるように構成された蓄熱型空気調節機器により上記課題を達成。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とからなる熱交換構造体(10)に、熱交換用の流体を送り込むことにより熱交換を行うことを特徴とする蓄熱型空気調節機器。
【請求項2】 前記作動媒体貯蔵槽(1)は、作動媒体を貯蔵する一連のセル(3)と、同セル(3)と交互に、平行して設けられた作動媒体と熱交換を行う熱交換用の流体の一連の通路(4)とから構成されており、前記吸着材槽(2)は、気体の作動媒体を吸着する吸着材を収納する一連のセル(5)と、同セル(5)と交互に、平行して設けられた気体の作動媒体の通路(6)とから構成される吸着層(7)と、同吸着層(7)と交互に、平行して配置された熱交換用の流体の一連の通路(8)と、吸着材に吸着された作動媒体を加熱することにより気体に変換するための加熱手段(11)とから構成されており、作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とは、バルブ(12)を介して連通していることを特徴とする蓄熱型空気調節機器。
【請求項3】 吸着材を収納するセル(5)と、同セル(5)と交互に、平行して設けられた気体の作動媒体の通路(6)から構成される吸着層(7)における作動媒体の流れる方向に対して、熱交換用の流体の通路(8)における同流体の流れる方向が直交していることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項4】 作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とにそれぞれ熱交換用の流体の送り込み用送風機(13)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項5】 熱交換用の流体が空気であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項6】 吸着材を収納するセル(5)と、同セル(5)と交互に、平行して設けられた気体の作動媒体の通路(6)とは高通気性の隔壁(16)により仕切られており、吸着層(7)と、同層(7)と交互に、平行して設けられた熱交換用の流体の一連の通路(8)とは、高熱伝導性の隔壁(14)により仕切られていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項7】 吸着材を収納するセル(5)内には、高通気性の波形部材(9)が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項8】 作動媒体を貯蔵するセル(3)内には、高熱伝導性の波形部材(9’)が組み込まれていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項9】 高熱伝導性の波形部材(9’)が高通気性であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項10】 作動媒体貯蔵槽(1)の熱交換用の通路(4)に高熱伝導性の波形部材(9”)が組み込まれていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項11】 吸着材槽(2)内の熱交換用の流体の通路(8)に高熱伝導性の波形部材(9''')が組み込まれていることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【請求項12】 作動媒体の脱着のための吸着材の加温に深夜電力を使用する手段を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の蓄熱型空気調節機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、吸着材を使用し、かつ、冷媒を使用せずに、直接熱源と熱交換用の流体とが熱交換できる構成を有する蓄熱型空気調節機器に関する。
【0002】
【従来の技術】 現在、蓄熱型空気調節機器としては、吸着材との熱の交換には冷媒を使用する機器が主流である。しかし、この場合には、熱源→冷媒→空気の2段階で熱交換を行う方式であるために、熱交換時の熱損失も無視できず、加えて装置の構造も複雑となるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 従って、本発明は、熱交換時の熱損失を最小限に止めることができるように、熱源と熱交換用の流体とが直接熱交換を行うことができ、かつ、装置の構造も簡単な蓄熱型空気調節機器を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上記の様な現状に鑑みて種々検討した結果、作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とからなる熱交換構造体(10)に、熱交換用の流体を送り込むことにより、同流体と熱源が熱交換を行うことができるように構成された蓄熱型空気調節機器が上記課題を達成できることを見いだして、本発明を完成させたものである。
【0005】 さらに詳しくは、本発明においては、前記作動媒体貯蔵槽(1)は、作動媒体を貯蔵する一連のセル(3)と、同セル(3)と交互に、平行して設けられた作動媒体と熱交換を行う熱交換用の流体の一連の通路(4)とから構成されている。前記吸着材槽(2)は、気体の作動媒体を吸着する吸着材を収納する一連のセル(5)と、同セル(5)と交互に、平行して設けられた気体の作動媒体の通路(6)とから構成される吸着層(7)と、同吸着層(7)と交互に、平行して配置された熱交換用の流体の一連の通路(8)と、吸着材に吸着された作動媒体を加熱することにより気体に変換するために設けられた加熱手段(11)とから構成されている。作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とは、バルブ(12)を介して連通しており、バルブ操作により作動媒体を作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)との間を運転状況に応じて方向を変えて移動させることができる様に構成することにより、上記目的を達成することができることを見いだして、本発明を完成させたのものである。
【0006】
【発明の実施の形態】 本発明に係る蓄熱型空気調節機器は、基本構造として、作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とが熱交換構造体(10)に組み込まれており、同構造体(10)に、熱交換用の流体を送り込むことにより熱交換を行うことができる構造を有する。図1および図2にふれながら、本発明に係る蓄熱型空気調節機器について説明することとする。作動媒体貯蔵槽(1)は、液体の作動媒体を貯蔵するための一連のセル(3)と、同セル(3)と交互に、平行して設けられている熱交換用の流体の一連の通路(4)からなる。作動媒体を貯蔵するための一連のセル(3)の上部には、熱交換により気体に変換された作動媒体の一時的貯蔵機能をも有する連通路(15)が形成されている。液体の作動媒体を貯蔵するための一連のセル(3)と、同セルと交互に、平行して設けられている熱交換用の流体の一連の通路(4)の上部には、熱交換により気体に変換された作動媒体の一時的貯蔵機能をも有する充分な広さの連通路(15)が形成されていることが好ましい。このように構成することにより、より効率よく作動媒体を吸着材槽(2)側へと送り込むことができる。作動媒体貯蔵槽(1)のセル(3)の内部には、作動媒体を効率よく加熱するためには、図4に示すように横断面が波形形状を有する高熱伝導性部材(9’)(以下、波形部材と称する)が配置されていることが好ましい。さらに、熱交換用の媒体の通路(4)にも、熱交換を効率よく行うために、図2に示すように横断面が波形形状を有する高熱伝導性の波形部材(9''')が配置されていることが好ましい。
【0007】 吸着材槽(2)は、気体の作動媒体を吸着する吸着材を収納する一連のセル(5)と、同セル(5)と交互に、平行して設けられた、気体の作動媒体の一連の通路(6)とからなる吸着層(7)と、同吸着層と交互に設けられた熱交換用の流体の一連の通路(8)とから構成されている。気体の作動媒体の一連の通路(6)における同流体の流れる方向と熱交換用の流体の一連の通路(8)における熱交換用の流体の流れる方向は、互いに直交していることが好ましい。このように構成することにより、図6に模式的に示すように、気体の作動媒体が吸着材を収納しているセル(5)の両側面から内部に進入するので、均一の温度分布を示す熱交換された熱交換用の流体が得られる。また、吸着層(7)と交互に、好ましくは、直交して設けられている熱交換用の流体の通路(8)との間は、高熱伝導性部材からなる隔壁(14)により仕切られていることが好ましい。さらに、上記通路(6)と、吸着材を収納するセル(5)との隔壁(16)は、気体の作動媒体が両者の間を自由に移動できるように高通気性の部材から構成されていることが好ましい。
【0008】 通路(8)の本数は、作動媒体の吸着、脱着を効率よくできるだけの本数があればよく、通常は、少なくとも両端部の2本と中央部の1本の計3本を必要とする。勿論、吸着材槽(2)の大きさに応じて、この本数は選定することが好ましい。吸着材槽(2)には、吸着された作動媒体を加熱、気化させるための加熱手段(11)、例えば、ヒーターが図1に示すように吸着材槽(2)の上端と下端に設けられている。加熱手段(11)の一部として、あるいは、加熱手段(11)の補助的手段としても作用可能で、吸着材と熱交換用の流体との間の熱交換を効率よくすることができる、横断面が図3に示すような波形形状を有する高熱伝導性の部材(9)、より好ましくは、高通気性をも併せ有する波形部材(9)が、吸着材を収納するセル(5)内に収納されていてもよい。このような波形部材としては、多孔質、あるいは、メッシュ状の金属製等の材料から作成された部材が好適に使用される。上記のように構成することにより、吸着されている作動媒体をより効率よく加熱、気化させることができるという効果が発揮される。また、高通気性を併せ有する材料を使用することにより、気体の作動媒体が容易に吸着材と吸着、あるいは、脱着ができることとなる。また、吸着槽(2)内の熱交換用の媒体の通路(8)にも、熱交換を効率よく行うために、図2に示すように横断面が波形形状を有する高熱伝導性の波形部材(9”)が配置されていることが好ましい。
【0009】 なお、作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とは、気化した作動媒体をやりとりできるように開閉自在のバルブ(12)を介して連結されている。なお、両者間の距離は、できるだけ不必要な熱ロスを避けるために、設計上可能な限り、接近していることが好ましい。作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)とは、両者の間での作動媒体をやりとりを効率よく行うために、大気中における飽和蒸気圧以下の真空条件下に保持されている。
【0010】 作動媒体としては、通常は、−20℃程度まで凍結しない不凍液が使用される。吸着材としては、ゼオライト、生石灰等が好適に使用される。中でも、吸着能の高いA型ゼオライト、X型ゼオライトがより好適に使用される。熱交換用の流体は、通常、空気であり、運転状況に応じて室内空気および/または外気を利用する。熱交換用の流体は、熱交換の後、運転条件に応じて、室内機(図示せず)に送られる。
【0011】 次に、本発明に係る蓄熱型空気調節機器の運転操作について説明する。冬季においては、例えば、図5または図7に模式的に示したように、吸着材槽(2)の側面に取り付けられている送風機(13)を作動させて、熱交換用の流体の一連の通路(8)にダクトAから→で表される冷えた室内空気を送風し、熱交換により熱を吸収して暖められた→で表される暖かい空気を室内機(図示せず)を通して室内に戻して暖房する。作動媒体貯蔵槽(1)には、同槽の側面に取り付けられている送風機(13)を作動させて、熱交換用の流体の一連の通路(4)にダクトBから外気を送風し、熱交換により作動媒体を加熱し、作動媒体を気化させて、気化させた作動媒体の蒸気圧を高めて、吸着材槽に供給する気体の作動媒体の量を増やす。かくして、効率よく暖房することができる。
【0012】 夏季においては、吸着材槽(2)の側面に取り付けられている送風機(13)を作動させて、熱交換用の流体の一連の通路(8)にダクトBから外気を送風し、吸着材を冷却する。この冷却により吸着材槽中の蒸気圧を下げて、吸着材槽(2)における吸着材による気体の作動媒体の吸着量を増加させる。作動媒体貯蔵槽(1)には、同槽の側面に取り付けられている送風機(13)を作動させて、熱交換用の流体の一連の通路(4)にダクトBから室内空気を送風し、作動媒体の気化を促進する。これにより気化する作動媒体の量を増やす。作動媒体貯蔵槽(1)で熱交換により冷却された室内空気を室内機(図示せず)を通して室内に送り、冷房する。かくして、効率よく冷房することができる。
【0013】 吸着材が一定量の作動媒体を吸着した時点、好ましくは、深夜となった時点で、吸着材槽(2)に吸着された作動媒体を、電力、好ましくは深夜電力により、加熱手段を加熱して、吸着材に吸着されている作動媒体を気化させる。加熱手段(11)の作動には、吸着された作動媒体の量、または、時間に応じて電力の供給ができるようにマイコンチップ(図示せず)が設けられていることが好ましい。加熱により気体となった作動媒体を作動媒体の通路(6)を介して、作動媒体を貯蔵槽(1)に送り返し、同槽内で冷却する。冬季においては、作動媒体貯蔵槽(1)に設けられた熱交換用の流体の一連の通路(4)にのみダクトBから室内空気を送風し、熱交換により、作動媒体貯蔵槽(1)に送り返された作動媒体を冷却する。この操作で、作動媒体貯蔵槽(1)における熱交換により暖められた室内空気を室内機に送り室内を暖房する。この場合には、ダクトAからの送風はしない。
【0014】 夏季においては、作動媒体貯蔵槽(1)に、同槽の側面に取り付けられている送風機(13)を作動させて、熱交換用の流体の一連の通路(4)にダクトBから外気を送風し、熱交換により気体となって作動媒体槽(1)に返された作動媒体を冷却をする。これにより系内の蒸気圧を低くし、吸着材槽(2)における吸着材からの作動媒体の脱着を容易にする。この操作終了後は、作動媒体貯蔵槽(1)と吸着材槽(2)との間のバルブを閉めて、待機状態となる。
【0015】
【発明の効果】 本発明に係る蓄熱型空気調節機器によれば、熱交換効率もよく、装置も冷媒を介して熱交換する方式の蓄熱型空気調節機器よりも装置全体を簡素化するという効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成11年2月26日(1999.2.26)
【代理人】 【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
【公開番号】 特開2000−249424(P2000−249424A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−51765