トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 氷蓄熱装置及び氷蓄熱式冷凍装置
【発明者】 【氏名】岩田 育弘

【氏名】水谷 和秀

【要約】 【課題】製氷用の水(17)を貯留した氷蓄熱槽(14)内に、冷媒が流通する伝熱管(15)が設けられたスタティック式の氷蓄熱装置において、単一冷媒と非共沸混合冷媒のどちらを使用しても製氷や解氷を均一に行えるようにし、さらに、氷蓄熱装置(16)を適用した冷凍装置(1) の効率が低下しないようにする。

【解決手段】製氷中や解氷中に、伝熱管(15)での冷媒の流れ方向を切り換えるように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製氷用の水(17)を貯留する氷蓄熱槽(14)内に、冷媒が流通する伝熱管(15)が、該水(17)に浸漬するように設けられた氷蓄熱装置であって、該伝熱管(15)内での冷媒の流れ方向を、伝熱管(15)の第1端側から第2端側へ向かう第1方向と、第2端側から第1端側へ向かう第2方向とに反転させる切換手段(33〜40)を備えている氷蓄熱装置。
【請求項2】 切換手段(33〜40)は、蓄冷熱運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成されている請求項1記載の氷蓄熱装置。
【請求項3】 切換手段(33〜40)は、冷熱利用運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成されている請求項1記載の氷蓄熱装置。
【請求項4】 切換手段(33〜40)は、蓄冷熱運転時及び冷熱利用運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成されている請求項1記載の氷蓄熱装置。
【請求項5】 冷媒が、非共沸混合冷媒である請求項1乃至4の何れか1記載の氷蓄熱装置。
【請求項6】 請求項1乃至5の何れか1記載の氷蓄熱装置(16)が冷媒回路に組み込まれた氷蓄熱式冷凍装置(1) であって、上記冷媒回路は、熱源側熱交換器(13)と利用側熱交換器(20)の間で互いに並列に設けられた第1液配管(23)及び第2液配管(24)と、利用側熱交換器(20)のバイパス通路(31)とを備えると共に、第1液配管(23)には膨張弁(25)とその下流側に位置する第1開閉弁(26)とが直列に設けられ、第2液配管(24)には第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)とが直列に設けられ、バイパス通路(31)には第4開閉弁(32)が設けられ、切換手段(33〜40)は、上記膨張弁(25)と第1開閉弁(26)との間の第1液配管(23)と伝熱管(15)の第1端側とに接続された第1連絡管(33)と、膨張弁(25)と第1開閉弁(26)との間の第1液配管(23)と伝熱管(15)の第2端側とに接続された第2連絡管(34)と、第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)との間の第2液配管(24)と伝熱管(15)の第2端とに接続された第3連絡管(35)と、第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)との間の第2液配管(24)と伝熱管(15)の第1端とに接続された第4連絡管(36)と、第1連絡管ないし第4連絡管(33〜36)にそれぞれ設けられた開閉可能な第1切換弁ないし第4切換弁(37〜40)とを備えている氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項7】 伝熱管(15)が、互いに並列に接続された複数のパイプ材(15a) と、該パイプ材(15a) の各第1端が接続された第1ヘッダー(18a) と、該パイプ材(15a) の各第2端が接続された第2ヘッダー(18b) とを備え、第1連絡管(33)は分流器(41)と複数のキャピラリチューブ(42)とを介して各パイプ材(15a) の第1端側に接続され、第2連絡管(34)は分流器(43)と複数のキャピラリチューブ(44)とを介して各パイプ材(15a) の第2端側に接続され、第3連絡管(35)は第2ヘッダー(18b) に接続され、第4連絡管(36)は第1ヘッダー(18a) に接続されている請求項6記載の氷蓄熱式冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、氷蓄熱装置と、該氷蓄熱装置が冷媒回路に組み込まれた氷蓄熱式冷凍装置とに関し、特に、氷蓄熱槽内に貯留された製氷用の水の中に伝熱管を浸漬した構成の、いわゆるスタティック式氷蓄熱装置における製氷と解氷の均一化策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、スタティック式の氷蓄熱装置は、例えば特開平8−261519号公報に示されているように、空調システム等に利用することが提案されている。図6には、この氷蓄熱装置(16)を利用した空調システム(1) の回路構成の一例を示している。この空調システム(1) の冷媒回路は、圧縮機(11)と、室外熱交換器(熱源側熱交換器)(13)と、室外膨張弁(25)と、氷蓄熱装置(16)と、室内膨張弁(19)と、室内熱交換器(利用側熱交換器)(20)とを、冷媒配管により冷媒の循環が可能に接続したもので、圧縮機(11)の吐出側には、冷媒の循環方向を逆転させるために四路切換弁(12)が設けられている。
【0003】この冷媒回路では、液配管が、互いに並列の第1液配管(23)及び第2液配管(24)からなり、氷蓄熱装置(16)は、氷蓄熱槽(14)に設けられた伝熱管(15)の第1端側が第1液配管(23)に接続され、伝熱管(15)の第2端側が第2液配管(24)に接続されている。また、第1液配管(23)には、上記室外膨張弁(25)と第1開閉弁(26)とが設けられ、第2液配管(24)には、第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)とが設けられている。さらに、この冷媒回路には、室内熱交換器(20)をバイパスするバイパス通路(31)が設けられ、このバイパス通路(31)には第4開閉弁(32)が設けられている。
【0004】なお、氷蓄熱装置(16)の伝熱管(15)は、図示するように、一般に複数のパイプ材(15a) から構成され、第1液配管(23)は、分流器(41)と複数のキャピラリチューブ(42)とを介して各パイプ材(15a) の第1端側に接続されている。また、各パイプ材(15a) の第2端にはヘッダー(18)が接続され、このヘッダー(18)が第2液配管(24)に接続されている。
【0005】この空調システム(1) において蓄冷熱運転(製氷運転)をする場合、圧縮機(11)から吐出された冷媒は、実線の矢印で示すように、凝縮器(13)で凝縮された後、膨張弁(25)で減圧されて伝熱管(15)に供給され、さらに該伝熱管(15)で蒸発してからバイパス通路(31)を通って圧縮機(11)に戻るサイクルで冷媒配管内を循環する。そして、冷媒が、伝熱管(15)を流れるときに氷蓄熱槽(14)内の水(17)との間で熱交換して蒸発しながら該水(17)を冷却することによって、伝熱管(15)の周囲に氷が生成される。
【0006】一方、冷熱利用運転時(解氷運転時)には、室外膨張弁(25)と各開閉弁(26〜28)の開閉状態を切り換えて、圧縮機(11)の吐出冷媒を、破線の矢印で示すように伝熱管(15)に逆方向から流して過冷却あるいは凝縮した後、室内熱交換器(20)を通すことによって、氷の冷熱を利用して室内の冷房を行うようにしている。このシステム(1) では、上述のような動作を行うことで、蓄冷熱を利用して室内の冷房が行えるので、深夜電力を利用して氷を生成し、日中にこの冷熱を取り出すことにより、日中の消費電力を低減することができるものとなっている。
【0007】ところで、近年、地球環境問題に鑑みて、冷媒の代替化が進められている。地球環境に悪影響を与えない冷媒として種々の冷媒が検討されてはいるが、単一冷媒で所定の条件を満たすものはほとんどなく、今後、混合冷媒が使用される可能性が高まっている。その中でも、有望な混合冷媒の大半は、非共沸混合冷媒である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記空調システム(1) などの氷蓄熱式冷凍装置において単一冷媒を使用する場合と非共沸混合冷媒を使用する場合のそれぞれについて考察してみると、まず、単一冷媒の場合は、蓄冷熱運転時に、伝熱管(15)内での圧力損失により冷媒の蒸発温度が徐々に低下するため、伝熱管(15)の出口(第2端)側が着氷しやすくなり、伝熱管(15)の周囲に均一には着氷しない傾向があった。この場合、冷熱利用運転時には、氷の厚い第2端側から解氷されるが、製氷自体が不均一であるため、解氷も安定して行われない場合があり、氷が溶け残るなどの問題が生じることがあった。
【0009】一方、非共沸混合冷媒を使用した場合は、蓄冷熱運転時に、低沸点の冷媒から蒸発するために伝熱管(15)の入口側の蒸発温度が低くなり、しかも入口側の管内熱伝達率が良い(乾き度が小さい)ため、単一冷媒とは逆に伝熱管(15)の入口側で着氷しやすい傾向にあった。これに対して、管長を伸ばすなどの方法によって伝熱管(15)内での圧力損失を大きくして蒸発温度を均一化し、製氷を均一化する方法が考えられるが、その場合、回路中の高低圧差が大きくなり、圧縮機(11)の効率が低下するなど、新たな問題が生じることになる。
【0010】また、非共沸混合冷媒での冷熱利用運転時には、蓄冷熱運転時と逆方向に冷媒を流すと、製氷時に着氷しにくかった氷の薄い第2端側から解氷することになり、単一冷媒の場合と比較して解氷がさらに不均一となる問題がある。
【0011】このように、従来は単一冷媒と非共沸混合冷媒のどちらを使用した場合でも製氷や解氷が均一に行われにくい欠点があった。本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、製氷及び解氷を均一化するとともに、その均一化に伴って圧縮機の効率が低下するなどの新たな問題が生じるのを防止することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、製氷時や解氷時に冷媒の流れ方向を切り換えながら運転を行うことによって、圧縮機の効率の低下等の問題を抑えつつ、製氷や解氷を均一化するようにしたものである。
【0013】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、製氷用の水(17)を貯留する氷蓄熱槽(14)内に、冷媒が流通する伝熱管(15)が、該水(17)に浸漬するように設けられた氷蓄熱装置を前提としている。そして、伝熱管(15)内での冷媒の流れ方向を、伝熱管(15)の第1端側から第2端側へ向かう第1方向と、第2端側から第1端側へ向かう第2方向とに反転させる切換手段(33〜40)を備えている。
【0014】また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、切換手段(33〜40)を、蓄冷熱運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成したものである。
【0015】また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、切換手段(33〜40)を、冷熱利用運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成したものである。
【0016】また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第1の解決手段において、切換手段(33〜40)を、蓄冷熱運転時及び冷熱利用運転時に、冷媒を第1方向と第2方向とに切り換えながら伝熱管(15)に流通させるように構成したものである。
【0017】また、本発明が講じた第5の解決手段は、上記第1乃至第4の何れか1の解決手段において、使用する冷媒を、非共沸混合冷媒としたものである。
【0018】また、本発明が講じた第6の解決手段は、上記第1乃至第5の何れか1の解決手段の氷蓄熱装置が冷媒回路に組み込まれた氷蓄熱式冷凍装置を前提としている。そして、冷媒回路は、熱源側熱交換器(13)と利用側熱交換器(20)の間で互いに並列に設けられた第1液配管(23)及び第2液配管(24)と、利用側熱交換器(20)のバイパス通路(31)とを備えている。また、第1液配管(23)には膨張弁(25)とその下流側に位置する第1開閉弁(26)とが直列に設けられ、第2液配管(24)には第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)とが直列に設けられ、バイパス通路(31)には第4開閉弁(32)が設けられている。
【0019】さらに、この第6の解決手段では、上記切換手段(33〜40)が、膨張弁(25)と第1開閉弁(26)との間の第1液配管(23)と伝熱管(15)の第1端側とに接続された第1連絡管(33)と、膨張弁(25)と第1開閉弁(26)との間の第1液配管(23)と伝熱管(15)の第2端側とに接続された第2連絡管(34)と、第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)との間の第2液配管(24)と伝熱管(15)の第2端とに接続された第3連絡管(35)と、第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)との間の第2液配管(24)と伝熱管(15)の第1端とに接続された第4連絡管(36)と、第1連絡管ないし第4連絡管(33〜36)にそれぞれ設けられた開閉可能な第1切換弁ないし第4切換弁(37〜40)とを備えている。
【0020】また、本発明が講じた第7の解決手段は、上記第6の解決手段において、伝熱管(15)が、互いに並列に接続された複数のパイプ材(15a) と、該パイプ材(15a)の各第1端が接続された第1ヘッダー(18a) と、該パイプ材(18a) の各第2端が接続された第2ヘッダー(18b) とを備えている。また、第1連絡管(33)は、分流器(41)と複数のキャピラリチューブ(42)とを介して各パイプ材(15a) の第1端側に接続され、第2連絡管(34)は、分流器(43)と複数のキャピラリチューブ(44)とを介して各パイプ材(15a) の第2端側に接続され、第3連絡管(35)は第2ヘッダー(18b) に接続され、第4連絡管(36)は第1ヘッダー(18a) に接続されている。
【0021】−作用−上記第1の解決手段では、製氷運転時に冷媒を流通させて、伝熱管(15)の一方の端部側での着氷が他方の端部側よりも多くなると、冷媒の流れ方向が切り換えられる。そうすると、今度は着氷の少なかった側に多く着氷することになり、全体として着氷が平均することになる。また、解氷時にも、冷媒の流れ方向を切り換えることにより、解氷の偏りが防止され、より均一な解氷が行われる。
【0022】次に、上記第2の解決手段では、冷媒の流れ方向の切換が製氷運転時に行われ、上記第3の解決手段では、冷媒の流れ方向の切換が解氷運転時に行われ、上記第4の解決手段では、冷媒の流れ方向の切換が製氷運転時と解氷運転時の両方に行われ、上記第5の解決手段では、非共沸混合冷媒を使用した場合に、その流れ方向を切り換えながら、製氷や解氷が行われる。
【0023】また、上記第6の解決手段では、蓄冷熱運転時に、膨張弁(25)の開度を制御しつつ、第1開閉弁(26)を全閉にして、冷媒を氷蓄熱装置(16)の伝熱管(15)に供給する。このとき、第1,第3切換弁(37,39) を開いて第2,第4切換弁(38,40)を閉じると、冷媒は第1連絡管(33)から伝熱管(15)の第1端側に流入し、さらに伝熱管(15)の第2端へ向かう方向(第1方向)に流れて、第3連絡管(35)を通って伝熱管(15)から流出する。また、このとき、第2〜第4開閉弁(26〜28)は、伝熱管(15)を通過した冷媒がバイパス通路(31)を通って圧縮機(11)に戻るように、それぞれ、開閉状態が制御される。
【0024】この状態で運転を所定時間継続して着氷が偏ると、第1,第3切換弁(37,39)を閉じて第2,第4切換弁(38,40) を開き、第2連絡管(34)と第4連絡管(36)を使って冷媒を伝熱管(15)の第2端から第1端の方向(第2方向)へ流す。そうすると、それまで着氷の少なかった側に多く着氷することになり、着氷が均一化される。一方、解氷時にも各切換弁(37〜40)の開閉状態を切り換えると、冷媒の流れ方向を反転させながら運転することが可能であり、それによって解氷が均一化される。
【0025】また、上記第7の解決手段では、蓄冷熱運転時には、冷媒は、第1方向と第2方向のどちらに流す場合でも、液冷媒の状態で分流器(41,43) とキャピラリチューブ(42,44) を通って各パイプ材(15a) に均一に流入し、各パイプ材(15a) から流出する際は、ガス冷媒の状態でヘッダー(18a,18b) で合流してからバイパス通路(31)へと流れる。一方、冷熱利用運転時には、冷媒は、液相のまま相変化せず、伝熱管(15)にヘッダー(18a,18b) 側から流入して過冷却され、さらにキャピラリチューブ(42,44) 等を通って利用側熱交換器(20)へ流れていく。
【0026】これに対して、例えば、図6に示した従来の氷蓄熱装置(16)を用いた冷凍装置において、キャピラリチューブ(42)やヘッダー(18)の構成はそのままにして、冷媒配管側で冷媒の流れ方向を切り換えられるように構成すると、例えば蓄冷熱運転中の流れ方向の切り換えの際に、伝熱管(15)から流出したガス冷媒がキャピラリチューブ(42)を通過するので、圧力損失が増加して効率が低下する問題が生じるが、上記第7の解決手段では、このように単に冷媒の流れ方向を反転できるようにするだけではなく、伝熱管(15)の両端部に分流器(41,43) 及びキャピラリチューブ(42,44) とヘッダー(18a,18b) とを設けてガス冷媒がキャピラリチューブ(42,44) を通過しないようにしているので、そのような問題は生じない。
【0027】
【発明の効果】上記第1の解決手段から第4の解決手段によれば、製氷や解氷をより均一に行うことができるから、製氷時には氷を効率良く生成できる。また、解氷時には氷を均一に溶かすことにより、氷の溶け残りが生じるのを防止しながら、冷熱の利用効率を高めることができる。
【0028】上記第5の解決手段によれば、従来は単一冷媒よりも製氷や解氷が不均一になりがちであった非共沸混合冷媒を用いた場合でも、均一な製氷や解氷が可能となり、製氷時に効率を向上させ、解氷時に溶け残りを防止できる。
【0029】上記第6の解決手段によれば、上記第1から第5の解決手段の氷蓄熱装置を適用した冷凍装置において、各開閉弁(26〜28)等の開閉状態を制御しながら各切換弁(37〜40)を切り換えるだけで冷媒の流れ方向を反転させることができ、上記第1から第5の解決手段の効果を簡単に得ることができる。
【0030】また、上記第7の解決手段によれば、複数のパイプ材(15a) から構成した伝熱管(15)での冷媒の偏流を防止するために分流器(41)とキャピラリチューブ(42)とを用いる実用的な構成の氷蓄熱装置において、伝熱管(15)の反対側の端部にも分流器(43)とキャピラリチューブ(44)を追加することにより、蓄冷熱運転時に冷媒の流れ方向を切り換えても、圧力損失等の問題が発生するのを防止できる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態は、スタティック式の氷蓄熱装置(16)をビル等の空調システム(1) に適用した例である。また、このシステム(1) は、非共沸混合冷媒の一種であるR407Cを使用するシステムとして構成されている。
【0032】−システム構成−図1は、この空調システム(1) の構成を示す回路図である。図示するように、この空調システム(1) は、室外ユニット(2) と、蓄熱ユニット(3) と、室内ユニット(4) とから構成されている。図では、室内ユニット(4) を1台のみにしたものを示しているが、該室内ユニット(4) は、複数台を並列に接続することも可能である。
【0033】室外ユニット(2) には、圧縮機(11)と、四路切換弁(12)と、室外熱交換器(熱源側熱交換器)(13)とが設けられている。四路切換弁(12)は、第1ポート(12a)と第2ポート(12b) とが連通すると共に第3ポート(12c) と第4ポート(12d) とが連通する実線の状態と、第1ポート(12a) と第4ポート(12d) とが連通すると共に第2ポート(12b) と第3ポート(12c) とが連通する破線の状態とに切り換え可能に構成されている。
【0034】蓄熱ユニット(3) には、氷蓄熱槽(14)と伝熱管(15)とを備えた氷蓄熱装置(16)が設けられている。氷蓄熱槽(14)には、製氷用の水(または他の蓄熱媒体でも可)(17)が貯留され、伝熱管(15)は、この水(17)の中に浸漬するように設けられている。伝熱管(15)は、具体的には第1端が第1ヘッダー(18a) に接続されると共に、第2端が第2ヘッダー(18b) に接続されて並列になった複数のパイプ材(15a) から構成されている。各パイプ材(15a) は、蓄熱槽(14)内において図では鉛直方向に延びる複数の配管の上端部同士及び下端部同士をU字管で連結した構成になっているが、水平方向に延びる複数の配管の各端部同士をU字管で連結した構成であってもよい。なお、図では、簡略化のために、パイプ材(15a) は2本のみを表している。
【0035】また、室内ユニット(3) には、室内膨張弁(19)と室内熱交換器(利用側熱交換器)(20)とが設けられている。
【0036】−回路構成−次に、この空調システム(1) における冷媒回路の具体的な回路構成について説明する。まず、圧縮機(11)の吐出側は、吐出ガス配管(21)を介して四路切換弁(12)の第1ポート(12a) に接続され、四路切換弁(12)の第2ポート(12b) が、第1ガス配管(22)を介して、室外熱交換器(13)の一端側に接続されている。
【0037】室外熱交換器(13)と室内熱交換器(20)の間の液配管は、互いに並列に設けられた第1液配管(23)(一点鎖線で示した配管)と第2液配管(24)(二点鎖線で示した配管)とを含んでいる。この第1液配管(23)には膨張弁(電子膨張弁)(25)とその下流側に位置する第1開閉弁(26)とが直列に設けられ、第2液配管(24)には第2開閉弁(27)と第3開閉弁(28)とが直列に設けられている。なお、各開閉弁(26〜28)には電磁弁が用いられている。
【0038】室内熱交換器(20)は、第2ガス配管(29)を介して四路切換弁(12)の第4ポート(12d) と接続され、四路切換弁(12)の第3ポート(12c) が、吸入ガス配管(30)を介して圧縮機(11)の吸入側に接続されている。また、この冷媒回路では、第2液配管(24)と第2ガス配管(29)の間に、利用側熱交換器(20)のバイパス通路(31)が設けられており、該バイパス通路(31)には第4開閉弁(32)として電磁弁が設けられている。
【0039】氷蓄熱装置(16)は、第1液配管(23)と第2液配管(24)の間に接続されている。具体的には、伝熱管(15)の第1端側の端部と第2端側の端部とが、それぞれ、第1連絡管(33)と第2連絡管(34)とによって、第1液配管(23)の膨張弁(25)と第1開閉弁(26)との間の位置に接続され、伝熱管(15)の両端部に設けられた第2ヘッダー(18b) と第1ヘッダー(18a) とが、それぞれ、第3連絡管(35)と第4連絡管(36)とによって、第2液配管(24)の両開閉弁(27,28) の間の位置に接続されている。
【0040】本実施形態では、第1連絡管(33)には第1切換弁(37)が、第2連絡管(34)には第2切換弁(38)が、第3連絡管(35)には第3切換弁(39)が、そして第4連絡管(36)には第4切換弁(40)が設けられている。これらの切換弁(37〜40)には電磁弁が用いられている。そして、各連絡管(33〜36)と各切換弁(37〜40)とにより、冷媒の流通方向を制御するための切換手段が構成されている。
【0041】また、第1連絡管(33)は、パイプ材(15a) の本数に対応した分流器(41)と複数のキャピラリチューブ(42)とを介して、各パイプ材(15a) の第1端側に接続され、第2連絡管(34)も、パイプ材(15a) の本数に対応した分流器(43)と複数のキャピラリチューブ(44)とを介して、各パイプ材(15a) の第2端側に接続されている。
【0042】−運転動作−次に、この空調システム(1) の運転動作について説明する。この空調システム(1) は、氷蓄熱槽(14)内に冷熱源としての氷を生成する蓄冷熱運転(製氷運転)、氷蓄熱槽(14)内に生成された氷の冷熱を使用して室内を冷房する冷熱利用冷房運転(解氷運転)、氷の冷熱を使用せずに室内を冷房する非利用冷房運転、そして冷媒の循環方向を逆サイクルにして行う暖房運転の4つのモードで運転を行うことができる。
【0043】<蓄冷熱運転モード>まず、蓄冷熱運転モードについて図2を参照して説明する。このモードでは、圧縮機(11)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、室外熱交換器(13)で凝縮して液化する。蓄冷熱運転時には第1開閉弁(26)と第2開閉弁(27)とは閉じられており、第3開閉弁(28)と第4開閉弁(32)とが開かれている。したがって、室外熱交換器(13)を通過した液冷媒は、室外膨張弁(25)を通って減圧してから、氷蓄熱装置(16)の伝熱管(15)に流入する。
【0044】各切換弁(37〜40)については、当初、第1,第3切換弁(37,39) が開かれ、第2,第4切換弁(38,40) が閉じられている。このため、液冷媒は、実線の矢印で示すように、第1切換弁(37)から分流器(41)とキャピラリチューブ(42)とを通って、伝熱管(15)を第1端側から第2端側に向かう方向(第1方向)へ流れる。このとき、液冷媒と製氷用の水(17)との間で熱交換が行われ、冷媒が蒸発してガスになると共に、伝熱管(15)の周囲に氷が生成される。伝熱管(15)を出たガス冷媒は、第2ヘッダー(18b) で合流し、さらに第3切換弁(39)と第3開閉弁(28)及び第4開閉弁(32)を通って第2ガス配管(29)に流入し、四路切換弁(12)を経て圧縮機(11)に戻る。
【0045】非共沸混合冷媒は、その非共沸性から、伝熱管(15)内で蒸発または凝縮する際に温度が変化する特性を有しており、蒸発温度は伝熱管(15)の入口側の方が出口側よりも低い。したがって、冷媒を図2に実線の矢印で示すような流れで循環させていると、入口側(第1端側)の管内熱伝達率が良いことと相まって、伝熱管(15)の第1端側で生成される氷が、第2端側で生成される氷よりも厚くなる。そこで、所定のタイミングで、第1,第3開閉弁(37,39) を閉じ、第2,第4開閉弁(38,40) を開く切り換え操作を行う。すると、冷媒が、図2に破線の矢印で示すように向きを変えて、伝熱管(15)を第2端側から第1端側に向かう方向(第2方向)へ流れることになり、それまで氷の薄かった第2端側において氷の生成が速くなる。
【0046】このようにして少なくとも一回は伝熱管(15)での冷媒の流れ方向を切り換え、あるいは必要に応じてさらに何度か切り換えを繰り返すことにより、伝熱管(15)の周囲に氷が均一に生成される。
【0047】<冷熱利用冷房運転モード>次に、冷媒の流れを図3に示した冷熱利用冷房運転モードについて説明する。このモードでは、四路切換弁(12)は図2の蓄冷熱運転と同じ状態であるが、室外膨張弁(25)と第3開閉弁(28)及び第4開閉弁(32)とが全閉に制御され、第1開閉弁(26)及び第2開閉弁(27)は開放される。したがって、圧縮機(11)から吐出された冷媒は、実線の矢印で示すように、室外熱交換器(13)で凝縮した後、第2液配管(24)を通って伝熱管(15)に流入する。
【0048】このとき、当初は、第1,第3切換弁(37,39)が開かれ、第2,第4切換弁(38,40)が閉じられている。このため、冷媒は、第3切換弁(39)から第2ヘッダー(18b) を通って伝熱管(15)を第2方向へ流れて過冷却され、さらにキャピラリチューブ(42)、分流器(41)、第1切換弁(37)、及び第1開閉弁(26)を通って、室内膨張弁(19)及び室内熱交換器(20)に流入する。そして、冷媒は、この室内熱交換器(20)で室内空気と熱交換して蒸発し、室内空気を冷却した後、圧縮機(11)へ戻る。
【0049】この場合、冷媒の温度は、伝熱管(15)の入口(第2端)側が出口(第1端)側よりも高い。したがって、この運転を継続していると、伝熱管(15)の周囲の氷は、冷媒の流入側である第2端側から融解していき、出口側である第1端側では溶け残りやすいことになる。そこで、この場合も所定のタイミングで、第1,第3切換弁(37,39) を閉じ、第2,第4切換弁(38,40) を開く切り換え操作を行う。すると、冷媒が、破線の矢印で示すように、伝熱管(15)を第1方向へ流れることになり、第1端側の氷が溶け出すことになる。
【0050】この場合も、少なくとも一回は伝熱管(15)での冷媒の流れ方向を切り換え、あるいは必要に応じて何度か切り換えを繰り返すことにより、伝熱管(15)の周囲の氷を均一に溶かして、溶け残りが発生するのを防止できる。
【0051】<非利用冷房運転モード>次に、冷媒の流れを図4に示した非利用冷房運転モードについて説明する。この運転モードでは、氷蓄熱装置(16)を利用せずに室内の冷房が行われる。このとき、四路切換弁(12)は図2及び図3と同じ状態であるが、室外膨張弁(25)と、第1開閉弁(26)及び第4開閉弁(32)とが全閉に制御され、第2開閉弁(27)及び第3開閉弁(28)が開放されている。
【0052】したがって、圧縮機(11)から吐出された冷媒は、四路切換弁(12)を通って室外熱交換器(13)に流入し、該熱交換器(13)で凝縮した後、第2開閉弁(27)及び第3開閉弁(28)を通って室内膨張弁(19)に流入する。冷媒は、この室内膨張弁(19)で減圧されてから室内熱交換器(20)に流入し、室内空気と熱交換して該室内空気を冷却すると共に、自身は蒸発してガスとなり、圧縮機(11)に戻る。このモードでは、以上のサイクルを繰り返すことにより、室内の冷房が行われる。
【0053】<暖房運転モード>次に、冷媒の流れを図5に示した暖房運転モードについて説明する。この運転モードでは、四路切換弁(12)が図1の実線の状態から破線の状態に切り換えられる。また、室内膨張弁(19)は全開に制御され、室外膨張弁(25)は開度制御される。さらに、第1開閉弁(26)は全開に制御され、第2開閉弁(27)、第3開閉弁(28)、及び第4開閉弁(32)は全閉に制御される。
【0054】この状態では、圧縮機(11)から吐出された冷媒は、第2ガス配管(29)を通って室内熱交換器(20)に流入し、該室内熱交換器(20)において室内空気と熱交換して凝縮する際に室内空気を暖める。そして、室内膨張弁(19)と第1開閉弁(26)とを通過した後、室外膨張弁(25)で減圧してから室外熱交換器(13)で蒸発し、圧縮機へ戻る。このモードでは、以上のサイクルを繰り返すことにより、室内の暖房が行われる。
【0055】−実施形態の効果−本実施形態によれば、蓄冷熱運転時に冷媒を伝熱管(15)に一方向から流通させて、該伝熱管(15)の一方の端部側での着氷が他方の端部側よりも多くなると、冷媒の流れ方向を切り換えて、伝熱管(15)の他方の端部側での着氷を多くするようにしているので、全体として着氷を均一化して、効率を高めることができる。また、解氷時にも、冷媒の流れ方向を切り換えることにより、より均一な解氷が行われるようにしているので、氷の溶け残りが生じるのを防止できる。
【0056】また、冷媒の流れ方向を、各切換弁(37,38,39,40) を制御するだけで切り換えられるようにしているので、切り換え操作を簡単に行うことができる。
【0057】さらに、第1液配管(23)を、伝熱管(15)の第1端側と第2端側の両方に、分流器(41,43) とキャピラリチューブ(42,44) とを有する第1連絡管(33)と第2連絡管(34)で接続し、第2液配管(24)を、第4連絡管(36)と第3連絡管(35)とで第1ヘッダー(18a) と第2ヘッダー(18b) に接続するようにしているので、伝熱管(15)を複数のパイプ材(15a) で構成した氷蓄熱装置(16)での切り換え運転が可能になると共に、蓄冷熱運転を行うときに、ガス冷媒がキャピラリチューブ(42,44)を通って圧縮機(11)に戻ることがなく、圧力損失による効率の低下を防止できる利点がある。
【0058】
【発明のその他の実施の形態】本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0059】例えば、上記実施形態は、非共沸混合冷媒を使用する空調システム(1) に本発明の氷蓄熱装置(16)を適用した例であるが、非共沸混合冷媒の変わりに、単一冷媒を使用することも可能である。単一冷媒を使用する場合は、従来、伝熱管(15)の出口側が入口側よりも着氷しやすい問題があったが、本実施形態の構成を適用すれば、着氷を均一化し、しかも解氷を均一化できる。特に、単一冷媒を使用する場合は、伝熱管(15)の管長が長く、その内部での圧力損失が大きい(つまり伝熱管の入口側と出口側での冷媒の温度差も大きい)システムにおいて、本発明は効果的である。
【0060】また、上記実施形態の冷媒回路は、単なる一例であって適宜変更することが可能であり、要は製氷運転時や解氷運転時に氷蓄熱装置(16)での冷媒の流れ方向を切り換えられるようになっていればよく、例えば上述したピークシフト型のみならず、ピークカット型のシステムにも適用できる。さらに、本発明は、空調システム(1) 以外の冷凍装置であっても適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成11年3月1日(1999.3.1)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外1名)
【公開番号】 特開2000−249420(P2000−249420A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−52114