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【発明の名称】 エアコンデショナ用サイレンサ―
【発明者】 【氏名】斉藤 欽栄

【要約】 【課題】エアコンデショナ用サイレンサーを切削工程なくして製造すること。

【解決手段】サイレンサー1は、母材2を鍛造して有底円筒体3を成形する。有底円筒体3は、鍛造時にサイレンサー1の底部4に凹所4aを形成する。次に、凹所4aの底部中央にプレス抜きにより小径孔4bを穿設し、パイプ受口4cを形成する。次いで、有底円筒体3は固定部材6で固定し、開口5側をネッキング加工により絞り部7を形成し、絞り部7の内周部をプレス加工により凹所7cを設け、パイプ受口7aを形成する。こうして、サイレンサー1は切削工程なしに完成品になり、次工程でパイプ受口4c,7aがエアコンデショナ側のパイプに接合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エアコンデショナの冷媒を導入するパイプが嵌合する凹所及び該凹所の底部に設けられ冷媒が流通する小径孔を有するパイプ受口と、上記冷媒を排出するパイプが嵌合する凹所及び該凹所の底部に設けられ冷媒が流通する小径孔を有するパイプ受口とを備え、加工前の基本形状が鍛造により有底円筒体形状に成形されたエアコンデショナ用サイレンサーにおいて、上記鍛造の際に、上記有底円筒体の底部に凹所を形成し、該凹所の底部に上記小径孔をプレス抜きして上記パイプ受口の一方を設け、上記有底円筒体の開口側にネッキング加工により小径孔を形成し、該小径孔の内周部をプレスにより凹所を形成して上記パイプ受口の他方を設けたことを特徴とするエアコンデショナ用サイレンサー。
【請求項2】 上記凹所をプレスにより上記有底円筒体の周部に設けるとともに、該凹所の底部にプレス抜きにより穿設した小径孔を設けてなる請求項1に記載のエアコンデショナ用サイレンサー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばエアコンデショナに配設され、外観の基本形状が鍛造で成形されるエアコンデショナ用サイレンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエアコンデショナとして、カーエアコンが配設されるが、その冷凍サイクル内を冷却冷媒が循環する。カーエアコンでは、エアコンの稼働中に、その機種特有または固有に、冷媒の流動が起因となる異音が発生する場合がある。その対策としては種々の方法があり、例えば冷媒の量の加減等を行い、冷凍サイクルの内圧や冷媒の流量を変えたりして異音の防止をしていたが、十分な効果があがらない場合は、サイレンサーをエアコンの冷凍サイクルに取付ける方法が採られることがある。
【0003】図6は、従来のサイレンサーの製造方法を示す。サイレンサー21は図6中の左部に示すように、アルミ合金材を鍛造して有底円筒体22を成形し、その底部に肉厚部23を設けている。次いで、有底円筒体22の上部をネッキング加工して絞り部24を成形する。その後、絞り部24の内周をドリル等で切削して、パイプ受口25を形成し、さらに肉厚部23を切削して段状のパイプ受口26を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来のサイレンサーの製造工程では、鍛造後にサイレンサー底部のパイプ受口から絞り部のパイプ受口までの長さ及び全長を切削により決めている。サイレンサーの基本形状を成形する鍛造加工と、パイプ受口の切削加工は全く分かれた工程であるので、手間のかかる作業になり加工時間とコストがかかる。また、サイレンサーのパイプ受口を切削加工すると、サイレンサー内部に切りかすが残り、サイレンサーが一般に圧縮機の前後に配設しているホース金具に接続されるため、圧縮機やリキッドタンクに切りかすが侵入することがある。
【0005】圧縮機に切りかすが侵入すると、冷却力の不足や圧縮機破損の要因となり、リキッドタンクの詰まりは、冷媒の下流側への流れを阻害し、冷却力不足の要因となり、完全に除去しなければならない。また、切削により生じたバリがあると、冷媒が通るときにそれが流動音の要因となることがある。さらに、切削加工時には、切削オイルを使用することから、その廃棄処理も必要となる。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、切削加工を完全に廃止し、切削時の切りかすやバリを無くすとともに、容易に製造できるエアコンデショナ用サイレンサーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のエアコンデショナ用のサイレンサーは、エアコンデショナの冷媒を導入するパイプが嵌合する凹所及び該凹所の底部に設けられ冷媒が流通する小径孔を有するパイプ受口と、上記冷媒を排出するパイプが嵌合する凹所及び該凹所の底部に設けられ冷媒が流通する小径孔を有するパイプ受口とを備え、加工前の基本形状が鍛造により有底円筒体形状に成形されたエアコンデショナ用サイレンサーにおいて、上記鍛造の際に、上記有底円筒体の底部に凹所を形成し、該凹所の底部に上記小径孔をプレス抜きして上記パイプ受口の一方を設け、上記有底円筒体の開口側にネッキング加工により小径孔を形成し、該小径孔の内周部をプレスにより凹所を形成して上記パイプ受口の他方を設けている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態によるエアコンデショナ用サイレンサーについて、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明に係るカーエアコン用のサイレンサー1を示し、エアコン側のホース若しくはパイプ類に接続される前の外観形状を示す。このサイレンサー1は鍛造で基本的な外観形状である有底円筒体に成形され、その後各部の加工が行われる。
【0008】図3にその製造工程を示す。出発材料は鍛造可能な材質、例えば円柱状のアルミニウム(A6063:JIS材料)を母材2として用いる。母材2は、径Dと高さHを厳密に決めておく。本実施の形態では切削加工を省略しているので、材料投入量を正確に行って全長の公差を押さえ、もし公差が発生しても、その値が問題とならないようにするためである。
【0009】図3中の左部に示すように、まず母材2を鍛造により有底円筒体3に成形する。有底円筒体3は、コーナ部以外は全体がなるべく一定の肉厚となるように成形し、その際底部4の中央部に円形の凹所4aを鍛造により形成する。この凹所4aの径は後の工程で接合されるパイプの外径とほぼ一致させる。次に、凹所4aの底部中央にプレス抜きにより小径孔4bを穿設し、段部を有するパイプ受口4cを形成する。プレス抜き作業は、平坦な底部4にあてた当て金(ダイス)と円筒体3に挿入した切削刃(ポンチ)によって行われる。
【0010】次いで、有底円筒体3は固定部材6で固定し、例えば図3で示すような絞り型10を順次用いて、開口側にネッキング加工による絞り部7を形成し、絞り部7の内周部をポンチ9によってプレス加工により成形し、段部を有するパイプ受口7aを形成する。すなわち、絞り部7は、その内径を後の工程で接続されるパイプの端部外径よりも少し小さくなるまで絞って小径孔7bを形成し、次いでポンチ9によるプレス加工によって凹所7cを形成する。該凹所7cは、パイプ受口7aに接続されるパイプの外径にほぼ一致させる。図2の矢視Aの拡大図に示すように、絞り部7の内周側はテーパ状に傾斜面7dを設け、加工しやすくしている。こうして、サイレンサー1は完成品になり、次工程でパイプに接合される。
【0011】以上説明したように、本実施の形態のサイレンサー1は、鍛造時にその基本形状を成形する際、底部4に凹所4aを成形し、次工程のプレス抜きによりパイプ受口4cを成形している。また、サイレンサー1の絞り部7側も絞り加工の後、プレス加工によりパイプ受口7aを成形している。こうして、切削工程を一切省き、鍛造加工とプレス加工によって、パイプ受口4c,7aを成形できるので、加工時間の短縮とコストの低減が可能になる。
【0012】このサイレンサー1の使用例を簡単に説明する。上記したように、サイレンサー1は、自動車のエアコンデショナに使用される。図4は、自動車のエンジンルームにおけるエアコンデショナの部品の一部を示し、冷媒は圧縮機11で圧縮されてから高圧ホース12、コンデンサー13、リキッドタンク15へ流れ、図示しない室内側のクーリングユニットに入り、再びエンジンルーム側の低圧ホース14へ流れる。サイレンサー1は、本実施の形態では、低圧ホース14に配設され、圧縮機による冷媒脈動音を防止している。
【0013】本実施の形態では、切削工程がないことから、有底円筒体の切削時に生じる切りかすが冷媒とともに、冷凍サイクル内を循環する恐れがなく、リキッドタンク15等の詰まりを防止できる。したがって、切りかすを取り除く手間を軽減し、切削油を使用しないので、除去する手間も必要としない。また、切削時のバリを無くしているので、冷媒がバリを通過する際に生じる流動音の発生を防止できる。
【0014】以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、構成部品の寸法、材質、形状その相対的配置、製造工程は本発明範囲をそれに限定する趣旨ではない。以下変形例の一例を示す。上記の図1〜図4に示すサイレンサー1は、底部4に他方のパイプ受口4cを設けたが、図5に示すサイレンサー1aは、パイプ受口を周部8に設けていることが異なっている。
【0015】サイレンサー1aの製造工程は、図3に示すサイレンサー1の製造工程と基本的に同じであるが、プレス抜きの段階のみ異なっている。すなわち、鍛造段階の後、サイレンサー1aの周部8をプレス抜きして小径孔8bを穿設する。この際、絞り加工の前である切削工具の当て金等は筒内に支障なく挿入できる。プレス抜きした後は、小径孔8bの周部をプレス加工して、凹所8cを設け段部を有するパイプ受口8aを形成する。その後、絞り加工して絞り部7を形成し、プレス加工してパイプ受口7aを形成する。このような成形方法であっても上記実施の形態と同様な効果を奏する。なお、製造工程については凹所8cを成形した後、小径孔8bをプレス抜きしてもよい。
【0016】
【発明の効果】本発明のエアコンデショナ用サイレンサーは、鍛造で成形した有底円筒体からサイレンサーの完成品に至るまで、一切切削加工がなくプレス加工にしたことから、手間がかからず作業時間を短縮するとともに、生産コストを安価にすることができる。切削加工がないことから、切削時に生じる切りかすやバリを取り除く手間がなくなる。
【出願人】 【識別番号】392020598
【氏名又は名称】株式会社オーツカ
【出願日】 平成11年1月8日(1999.1.8)
【代理人】 【識別番号】100060069
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚男 (外3名)
【公開番号】 特開2000−205701(P2000−205701A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−2471