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【発明の名称】 圧縮機及び冷凍機及び圧縮機の設計方法
【発明者】 【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【氏名】田口 芳人

【氏名】内田 年雄

【要約】 【課題】効率的な運転が行える圧縮機を提供する。

【解決手段】圧縮ピストン23のストロークLsと、マグネット26のストローク方向の長さLmと、可動コイル25のストローク方向の長さLcとの間に、0.8 < Lm/(Lc+Ls) <1.5という関係が成立するように、圧縮機11を設計、製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピストンを往復駆動するための、コイルとマグネットとを含むリニアモータを備える圧縮機において、前記ピストンのストロークLsと、前記マグネットの前記ストローク方向の長さLmと、前記コイルの前記ストローク方向の長さLcとの間に、0.8 < Lm/(Lc+Ls) <1.5という関係が成立していることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】 ピストンを往復駆動するための、コイルとマグネットとを含むリニアモータを備える圧縮機において、前記ピストンのストロークLsと、前記マグネットの前記ストローク方向の長さLmと、前記コイルの前記ストローク方向の長さLcとの間に、0.9 < Lm/(Lc+Ls) <1.1という関係が成立していることを特徴とする圧縮機。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の圧縮機を備えたことを特徴とする冷凍機。
【請求項4】 ピストンを往復駆動するための、コイルとマグネットとを含むリニアモータを備える圧縮機の設計方法において、前記ピストンのストロークLsと、前記マグネットの前記ストローク方向の長さLmと、前記コイルの前記ストローク方向の長さLcとの間に、0.8 < Lm/(Lc+Ls) <1.5という関係が成立するように各部のサイズを定めることを特徴とする圧縮機の設計方法。
【請求項5】 ピストンを往復駆動するための、コイルとマグネットとを含むリニアモータを備える圧縮機の設計方法において、前記ピストンのストロークLsと、前記マグネットの前記ストローク方向の長さLmと、前記コイルの前記ストローク方向の長さLcとの間に、0.9 < Lm/(Lc+Ls) <1.1という関係が成立するように各部のサイズを定めることを特徴とする圧縮機の設計方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアモータを備えた圧縮機およびその設計方法と、当該圧縮機を備えた、例えば、スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機のような冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機の一種として、スターリングサイクル(逆スターリングサイクル、カークサイクルとも称される)を利用したスターリング冷凍機と呼ばれる冷凍機が知られている。スターリング冷凍機は、圧縮機とコールドヘッドとがクランク機構で連結されたものと、連結されていないものに大別され、冷却すべき対象物が振動を嫌うものであった場合等には、後者の形態のスターリング冷凍機(スプリット式スターリング冷凍機と呼ばれている)が用いられている。
【0003】スプリット式スターリング冷凍機で用いられる圧縮機は、通常、そのピストンを駆動するためにリニアモータが使用されている。すなわち、通常、圧縮機は、筐体側に、固定子として機能するマグネットを設け、当該マグネットの近傍に、走行子として機能する、ピストンに相対的に固定された可動コイルを設けた構成を有している。従来、このリニアモータ部分は、例えば、マグネット長とコイル長をほぼ同じ長さとするといったように、半ば経験的に設計、製造されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、より優れた圧縮機を得るために鋭意研究を行った結果、従来の圧縮機は、リニアモータ部分が経験的に設計、製造されているが故に、効率が悪い装置となっていることを見出した。
【0005】そこで、本発明の課題は、より効率よく運転できる圧縮機、冷凍機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、ピストンを往復駆動するための、コイルとマグネットとを含むリニアモータを備える圧縮機を、前記ピストンのストロークLsと、前記マグネットの前記ストローク方向の長さLmと、前記コイルの前記ストローク方向の長さLcとの間に、0.8 < Lm/(Lc+Ls)<1.5という関係、より好ましくは、0.9 < Lm/(Lc+Ls)<1.1という関係が成立するように設計、製造する。
【0007】このように設計、製造された圧縮機は、リニアモータが効率良く駆動されるので、全体としての効率が高い状態で運転できるものとなる。そして、本発明の圧縮機を利用して、スプリット式スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機を構成すれば、効率良く冷凍が行える冷凍機が実現できることになる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る圧縮機の構成、使用形態を説明する。
【0009】図から明らかなように、実施形態の圧縮機11は、キャピラリチューブ13によってコールドヘッド12に接続されて使用されるスプリット式スターリング冷凍機用の圧縮機となっている。
【0010】コールドヘッド12は、その内部空間がシリンダとして機能するハウジング部31と、熱交換のための蓄冷材(金網など)を収納したディスプレーサであるディスプレーサ蓄冷器32と、ディスプレーサ蓄冷器32を中立点に保つためのディスプレーサ制御スプリング33を備える。
【0011】圧縮機11は、ヨーク21と保圧容器22と圧縮ピストン23とピストン制御スプリング24とを含む。ヨーク21は、図示してあるように、圧縮ピストン23のシリンダとして機能するような構造を有しており、圧縮ピストン23に対して固定された可動コイル25が挿入される環状の溝と、当該溝の外側内壁をなすように埋め込まれたマグネット26とを備えている。
【0012】保圧容器22は、ヨーク21に固定されており、圧縮ピストン23が収容される空間であって、ヘリウムなどの不活性ガスが充填される空間である保圧空間を形成している。また、図示は省略してあるが、保圧容器22には、気密電源端子が設けられており、可動コイル25は、当該機密電源端子を介して外部電源と接続される。ピストン制御スプリング24は、圧縮ピストン23と保圧容器22とを連結するように(圧縮ピストン23を中立点に保てるように)、圧縮ピストン23と保圧容器22に固定されている。
【0013】この圧縮機11は、気密電源端子を介した可動コイル25への交番電流の供給により、圧縮ピストン23が往復動(図において左右方向の動き)をするように制御される。そして、その往復動の結果として、スプリット式スターリング冷凍機の圧縮空間28と膨張空間34と無効空間とからなるシステム空間内で、等温圧縮、等容移送,等温膨張、等容移送といった4行程からなるサイクルが繰り返され、コールドヘッド12に取り付けられた、例えば、赤外線検出素子などの熱負荷の冷却が行われる。
【0014】このように、実施形態に係る圧縮機11の基本的な構造、使用形態は、従来の圧縮機と同様のものとなっている。ただし、圧縮機11は、図2に示したように、圧縮ピストン23のストロークをLs、マグネット26の長さをLm、可動コイル25の長さをLcとしたときに、0.8 < Lm/(Lc+Ls) <1.5特に、0.9 < Lm/(Lc+Ls) <1.1が成立するように設計、製造されたものとなっている。
【0015】すなわち、マグネット長Lmと、コイル長とストロークの和“Lc+Ls”がマグネット長Lmに比して過度に大きい(“Lm/(Lc+Ls)”が過度に小さい)と、可動コイル25の両端部分が、マグネット26による磁界が弱い部分にまで移動することになるので、効率が悪くなる。一方、コイル長とストロークの和“Lc+Ls”がマグネット長Lmに比して過度に小さい場合には、効率は高いものとなるが、その状態を形成するためには、長いマグネットが必要とされる。
【0016】従って、Lm/(Lc+Ls)には、適当な範囲が存在することになる。
【0017】図3に、その範囲を定めるために行った各種のシミュレーション計算結果の一例を示す。なお、この図は、マグネット長Lm、ストロークLsを、それぞれ、20mm、10mmに固定し、コイル長Lcを変化させたときのリニアモータ効率(“有効仕事/コイル入力電力”)の計算結果を、“マグネット長/(コイル長+ストローク長)”に対してプロットしたグラフである。
【0018】図から明らかなように、“マグネット長/(コイル長+ストローク長)”が、80%(=0.8)以上の範囲では、60%を超える効率が得られている。また、効率は、“マグネット長/(コイル長+ストローク長)”の増大に伴い向上しているが、“マグネット長/(コイル長+ストローク長)”が90%以上の範囲では効率がほぼ一定値をとっている。そして、小型な圧縮機を得るためには、マグネット長が短い方が良いので、0.8 < Lm/(Lc+Ls) <1.5特に、0.9 < Lm/(Lc+Ls) <1.1が成立するように、実施形態に係る圧縮機は設計、製造されているのである。
【0019】なお、実施形態として説明した圧縮機は、スプリット式スターリング冷凍機用のものであったが、本技術は、リニアモータが利用されたものであれば、どのような冷凍機用の圧縮機にも適用することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、リニアモータが効率良く駆動される圧縮機、すなわち、全体としての効率が高い状態で運転可能な圧縮機を得ることができる。従って、本発明の圧縮機を利用して、スプリット式スターリング冷凍機やパルスチューブ冷凍機を構成すれば、効率良く冷凍が行える冷凍機が実現できることになる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成11年1月14日(1999.1.14)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−205681(P2000−205681A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−7623