| 【発明の名称】 |
極低温冷凍機のシ―ル材 |
| 【発明者】 |
【氏名】鳥居 宏年
【氏名】完山 起尚
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| 【要約】 |
【課題】耐クリープ性がよく寿命の長い極低温冷凍機のシール材を提供する。
【解決手段】シールリング16のシール部材19を変性PTFEで形成する。変性PTFEは、PPVEで変性されたPTFE(変性量:0.01wt%〜1wt%)のことであり、未変性PTFEに比べて変性部で分子が曲がりやすくて分子の絡み合いが多く、滑りが起こりにくい。こうして、変性PTFEで形成されたシール部材を用いた極低温冷凍機のシール材は、低摩擦性に加えて耐クリープ性に優れ、その寿命は長い。さらに、5wt%〜60wt%のブロンズまたは5wt%〜30wt%のPOBを充填することによって耐クリープ性が更に向上し、機械的特性が改善される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 極低温冷凍機における相対的に移動する二つの部材間をシールする極低温冷凍機のシール材であって、上記シール材は、パーフルオロアルキルポリビニルエーテルで変性された四フッ化エチレンを用いて形成されたことを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項2】 請求項1に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記二つの部材の一方はディスプレーサであり、他方は膨張シリンダであることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項3】 請求項1に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記変性体には、耐磨耗性を向上させる充填材が充填されていることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項4】 請求項3に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記充填材は、ブロンズであることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項5】 請求項4に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記ブロンズは、5wt%以上且つ60wt%以下の充填率で充填されていることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項6】 請求項3に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記充填材は、ポリオキシベンゾイルであることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。 【請求項7】 請求項6に記載の極低温冷凍機のシール材において、上記ポリオキシベンゾイルは、5wt%以上且つ30wt%以下の充填率で充填されていることを特徴とする極低温冷凍機のシール材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、極低温冷凍機のシリンダとディスプレーサとの間のシール等に用いられる極低温冷凍機のシール材に関する。 【0002】 【従来の技術】極低温冷凍機としてギフォードマクマホン冷凍機やスターリング冷凍機等がある。以下、上記ギフォードマクマホン冷凍機について、図3に示すような2段ギフォードマクマホン冷凍機を例に簡単に説明する。この極低温冷凍機では、圧縮機1からの高圧ヘリウムガスを第1膨張シリンダ2および第2膨張シリンダ3内に導入排出するためのバルブディスク4を有している。そして、吸気時には、バルブディスク4を図3(a)に示すように位置させて、ヘリウムガスの吸入口5と第1膨張シリンダ2とを連通させる。そうすると、第1膨張シリンダ2に供給されたヘリウムガスは第1ディスプレーサ6内の蓄冷材7によって冷却されながら第2膨張シリンダ3に供給され、第2ディスプレーサ8内の蓄冷材9によって冷却されながら先端部の膨張室10に至る。その場合に、中間圧力に保持されている中間圧室11側の圧力と高圧の膨張室10側の圧力との圧力差によって、両ディスプレーサ6,8がバルブディスク4側に移動し、膨張室10の体積が増加する。 【0003】一方、排気時においては、上記バルブディスク4を図3(b)に示すように位置させて、ヘリウムガスの排気口12と第1膨張シリンダ2とを連通させる。そうすると、膨張室10内が一気に減圧され、発生した冷熱で冷却されたヘリウムガスが両蓄冷材9,7を冷却しながら排気口12より排気される。その場合、中間圧力に保持されている中間圧室11の圧力と低圧の膨張室10の圧力との圧力差によって、両ディスプレーサ6,8が膨張室10側に移動し、膨張室10の体積が減少する。 【0004】こうして、上記バルブモータ13によってバルブディスク4を回転駆動することによって第1ヒートステーション14および第2ヒートステーション15が極低温に冷却される。また、得られた冷熱が蓄冷材7,9に蓄えられて、吸入口5から吸気されたヘリウムガスを冷却する。 【0005】ところで、上記第1膨張シリンダ2内における第2ディスプレーサ8側とバルブディスク4側とには、上記冷凍サイクルにおいて圧力差が発生する。同様に、第2膨張シリンダ3内における末端側と第1ディスプレーサ6側とには、上記冷凍サイクルを行う際に圧力差が発生する。そこで、第1ディスプレーサ6の上部外周面に環状のシールリング16を取り付けて、第1膨張シリンダ2の内周面と第1ディスプレーサ6の外周面との間をシールしている。同様に、第2ディスプレーサ8の上部外周面に環状のシールリング17を取り付けて、第2膨張シリンダ3の内周面と第2ディスプレーサ8の外周面との間をシールしている。 【0006】図4は、上記シールリング16の詳細な断面図である。シールリング16は、上方に開口した環状溝18を有するシール部材19と、シール部材19の環状溝18内に装着される環状のスプリング20から構成される。そして、スプリング20によってシール部材19の外周壁19aを外側に付勢することによって、外周壁19aのリップ部を第1膨張シリンダ2の内周面2aに密着させて、第1膨張シリンダ2と第1ディスプレーサ6との間をシールするのである。また、シールリング17も同様の構成を有している。 【0007】尚、上記極低温冷凍機に使用されるシール材としては、上述のシールリング16,17のような接触シールの他にクリアランスシール等がある。そして、上記シールリング16,17のシール部材19や上記クリアランスシールのシール部材としては、低摩擦の理由から、四フッ化エチレン(−CF2−CF2−)n(以下、PTFEと略称する)が使用されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の極低温冷凍機用のシール部材はPTFEで形成されているため、低摩擦ではあるがシール部材自身が柔らかく、弾性変形やクリープ変形が起こりやすい。また、耐磨耗性(削れやすさ)や圧縮強度が劣る。そのために、上記シール部材がPTFEで形成されている極低温冷凍機のシール材は、例えば図4におけるシール部材19へのスプリング20の食い込みやシール部材19の外周壁19aにおける上記リップ部の磨耗によってその寿命が短いという問題がある。 【0009】そこで、この発明の目的は、耐クリープ性がよく寿命の長い極低温冷凍機のシール材を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、極低温冷凍機における相対的に移動する二つの部材間をシールする極低温冷凍機のシール材であって、上記シール材は、パーフルオロアルキルポリビニルエーテル(CF2=CFOX:Xは、1〜10個の炭素(C)を有するパーフルオロアルキル基)(以下、PPVEと略称する)で変性されたPTFEを用いて形成されたことを特徴としている。 【0011】上記構成によれば、極低温冷凍機における相対的に移動する二部材間をシールするシール材が、摩擦性の良いPPVEで変性されたPTFEを用いて形成されているために、上記シール材は、低摩擦性を保持しつつ耐クリープ性が改善される。こうして、上記シール材のシール性の向上と長寿命化が図られる。 【0012】また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記二つの部材の一方はディスプレーサであり、他方は膨張シリンダであることを特徴としている。 【0013】上記構成によれば、極低温冷凍機の膨張シリンダとディスプレーサとの間をシールするシール材の耐クリープ性が改善されて、長寿命化が図られる。 【0014】また、請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記変性体には、耐磨耗性を向上させる充填材が充填されていることを特徴としている。 【0015】上記構成によれば、上記シール材の耐磨耗性が改善されて、更なる長寿命化が図られる。 【0016】また、請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記充填材はブロンズであることを特徴としている。 【0017】上記構成によれば、上記シール材の低摩擦性および耐クリープ性を保持しつつ耐磨耗性が改善されて、更なる長寿命化が図られる。 【0018】また、請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記ブロンズは、5wt%以上且つ60wt%以下の充填率で充填されていることを特徴としている。 【0019】上記構成によれば、上記ブロンズが、上記シール材の耐クリープ性が低下しない5wt%以上であり、成形性が低下しない60wt%以下の充填率で充填されている。したがって、上記シール材は、低摩擦性,耐クリープ性および耐磨耗性を有すると共に、適正な加工性を併せ持っている。 【0020】また、請求項6に係る発明は、請求項3に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記充填材は、ポリオキシベンゾイル(POB)であることを特徴としている。 【0021】上記構成によれば、上記シール材の低摩擦性および耐クリープ性を保持しつつ耐磨耗性が改善されて、更なる長寿命化が図られる。 【0022】また、請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の極低温冷凍機のシール材において、上記POBは、5wt%以上且つ30wt%以下の充填率で充填されていることを特徴としている。 【0023】上記構成によれば、上記POBが、上記シール材の耐クリープ性が低下しない5wt%以上であって、成形性が低下しない30wt%以下の充填率で充填されている。したがって、上記シール材は、低摩擦性,耐クリープ性および耐磨耗性を有すると共に、適正な加工性を併せ持っている。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。尚、本実施の形態における極低温冷凍機のシール材は、図3に示すようなギフォードマクマホン冷凍機におけるディスプレーサの外周面と膨張シリンダの内周面との間をシールする図4に示すようなシールリングを対象としているが、特にそれに限定するものではない。 【0025】第1実施の形態における極低温冷凍機のシール材は、上記ディスプレーサの外周面あるいは上記膨張シリンダの内周面に直接接触してシールに拘わるシール部材を変性PTFEで構成することによって、PTFEで形成されたシール部材の耐クリープ性の低さを改良したものである。尚、ここで言う変性PTFEとは、PPVEで変性されたPTFEのことであり、変性量は0.01wt%〜1wt%である。 【0026】クリープ現象は、基本的には、その多くは結晶内分子の滑りで起こるとされている。変性PTFEにおいては、未変性PTFEに比べて変性部で分子が曲がりやすく、その分だけ分子の絡み合いが多く、滑りが起こりにくいと考えられる。尚、一般的に、低温時には、分子の振動が不活発になるため分子間距離が小さくなって分子間力が強くなる。そのために滑り難くなり、クリープ量が更に小さくなる。すなわち、本実施の形態における上記変性PTFEで形成されたシール部材を用いた極低温冷凍機のシール材は、低摩擦性に加えて低温時における耐クリープ性に優れ、その寿命が長いのである。 【0027】尚、極低温冷凍機のシール材として、上記変性PTFEで形成されたシール部材を用いて図4に示すようなシールリングを形成して、上記未変性PTFEで形成されたシールリングと比較した場合に、上記シール部材に対するスプリングの食い込み量(クリープ量)を上記未変性PTFEの場合に比して1/2〜1/3にすることができた。 【0028】ところで、上述のような変性PTFEにおいては、耐クリープ性は改善されるものの、圧縮強度や耐磨耗性(削れ難さ)は未だ劣っている。そこで、第2実施の形態においては、以下のような充填材を用途に応じて選択し、適正量充填することによって、耐クリープ性を更に向上しつつ、上述の機械的特性の改善を図るのである。 【0029】上記変性PTFEの機械的特性を向上できる充填材としては、硝子繊維、カーボン繊維、ブロンズ粉、グラファイト、MoS2粉、コークス粉、POB(ポリオキシベンゾイル)、その他無機系粉末、および、ウイスカー等がある。 【0030】図1は、上記充填材としてブロンズ粉を用いた場合のブロンズ含有率(充填率)とクリープ量との関係を示す。図1において、ブロンズの含有率が5wt%より低い場合にはクリープ量が大きい。したがって、クリープ変形が起こりやすく、弾性変形しやすく、削れやすい。一方、ブロンズ含有率が60wt%より高い場合には、クリープ量は小さいのであるが、機械的強度が強くなり過ぎて上記シール部材の成形が不可能になる。また、ブロンズ含有率が5wt%以上であり且つ60wt%以下の場合には、耐クリープ性がよく、機械的強度も上記シール部材の成形が可能な程度に適度に高く、上記シール材として適度な摩擦性,耐磨耗性,耐クリープ性および機械的強度を得ることができる。 【0031】また、図2は、上記充填材として上記POBを用いた場合のPOB含有率(充填率)とクリープ量との関係を示す。図2において、POB含有率が5wt%より低い場合にはクリープ量が大きい。したがって、クリープ変形が起こりやすく、弾性変形しやすく、削れやすい。一方、POB含有率が30wt%より高い場合には、クリープ量は小さいのであるが、機械的強度が強くなり過ぎて上記シール部材の成形が不可能になる。したがって、最適POB含有率は、5wt%以上であり且つ30wt%以下である。 【0032】以上のように、第2実施の形態によれば、上記変性PTFEに、5wt%以上であり且つ60wt%以下のブロンズ、或は、5wt%以上であり且つ30wt%以下のPOBを充填することによって、摩擦性,耐クリープ性に優れ、且つ、耐磨耗性,圧縮強度等の機械的特性の良いシール部材を得ることができる。すなわち、本実施の形態によれば、寿命の長い加工性に富むシール材を提供できるのである。 【0033】尚、上記各実施の形態においては、ディスプレーサの外周面と膨張シリンダの内周面との間にシールリングを配する場合を例に説明しているが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記ディスプレーサの外周面あるいは膨張シリンダの内周面の何れか一方に、上記変性PTFEや上記変性PTFEに充填材を入れた物をコーティングしても差し支えない。また、上記ディスプレーサと膨張シリンダとの間以外の相対的に移動する二つの部材間に適用しても差し支えない。また、クリアランスシール等に適用してもよい。 【0034】 【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に係る発明の極低温冷凍機のシール材は、PPVEで変性されたPTFE(変性PTFE)を用いて形成されているので、PTFEの低摩擦性を活かしつつ耐クリープ性を改善できる。したがって図4に示すような構造のシール材を形成した場合にスプリングによる食い込みが防止されて、上記シール材の長寿命化を図ることができる。 【0035】また、請求項2に係る発明の極低温冷凍機のシール材は、極低温冷凍機における膨張シリンダとディスプレーサとの間をシールするシール材であるので、ディスプレーサの外周に設けられるシールリングの耐クリープ性を改善し、長寿命化を図ることができる。 【0036】また、請求項3に係る発明の極低温冷凍機のシール材は、耐磨耗性を向上させる充填材が充填された上記変性PTFEによって形成されているので、上記シール材の耐磨耗性を改善することができる。したがって、上記シール材の、更なる長寿命化を図ることができる。 【0037】また、請求項4に係る発明の極低温冷凍機のシール材は、上記充填材としてブロンズが充填された上記変性PTFEによって形成されているので、上記シール材の低摩擦性および耐クリープ性を保持しつつ耐磨耗性を改善でき、更なる長寿命化を図ることができる。 【0038】また、請求項5に係る発明の極低温冷凍機のシール材における上記ブロンズの充填率は5wt%以上且つ60wt%以下であるので、上記シール材には、低摩擦性,耐クリープ性および耐磨耗性と適正な加工性とを併せ持たせることができる。 【0039】また、請求項6に係る発明の極低温冷凍機のシール材は、上記充填材としてPOBが充填された上記変性PTFEによって形成されているので、上記シール材の低摩擦性および耐クリープ性を保持しつつ耐磨耗性を改善でき、更なる長寿命化を図ることができる。 【0040】また、請求項7に係る発明の極低温冷凍機のシール材における上記POBの充填率は5wt%以上且つ30wt%以下であるので、上記シール材には、低摩擦性,耐クリープ性および耐磨耗性と適正な加工性とを併せ持たせることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002853 【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年1月19日(1999.1.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−205679(P2000−205679A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月28日(2000.7.28) |
| 【出願番号】 |
特願平11−10362 |
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