| 【発明の名称】 |
空調装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡部 孝徳
【氏名】藤井 俊郎
【氏名】横町 尚也
【氏名】小出 達也
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| 【要約】 |
【課題】暖房回路を備えた空調装置において、暖房回路内の作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足する問題点や、作動流体を暖房回路外に無駄に放出してエネルギー効率が悪いという問題点を解決し、さらに吐出圧が急激に上昇する場合の異常高圧対策を迅速に行う。
【解決手段】圧縮機101と冷房回路と暖房回路と吐出容量変更手段301,401を有し、圧縮機101は吸入部115と吐出部120を有し、作動流体を吐出部120から駆動室110に放出して吐出容量を減少でき、吐出容量変更手段301,401は吐出部115と駆動室110をそれぞれ連通状態とし、冷房用の容量変更手段301は、暖房回路作動中に作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態となった場合、暖房用の容量変更手段401とともに作動流体を吐出部120から駆動室110に放出することを特徴とする空調装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機と、冷房回路と、暖房回路と、容量変更手段とを有し、前記圧縮機は、作動流体を吸入する吸入部と、圧縮された作動流体を吐出する吐出部と、駆動室内に設けられて前記駆動室内の圧力が大きくなると吐出容量を減少する駆動手段とを有し、前記冷房回路は、前記吐出部から前記吸入部へと至る経路上に配置されたコンデンサと前記コンデンサよりも下流側に配置された熱交換機とを有し、前記暖房回路は、前記吐出部から前記熱交換機へと至るバイパス路と、前記熱交換機とを有し、前記容量変更手段は、前記吐出部と前記駆動室とをそれぞれ連通状態とする第1および第2の容量変更手段とからなり、前記第1および第2の容量変更手段は、前記吐出部と前記駆動室とを連絡する通路に並列的に配置され、前記第1の容量変更手段は、前記冷房回路作動時において作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合および前記暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に前記吐出部と前記駆動室とを連通状態とし、前記第2の容量変更手段は、前記暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が前記所定の高圧状態となった場合に、前記吐出部と前記駆動室とを連通状態とすることを特徴とする空調装置。 【請求項2】 請求項1に記載の空調装置であって、前記第1の容量変更手段は、前記冷房回路作動時において作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合および前記暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に開く第1の弁を有し、前記第2の容量変更手段は、前記暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が前記所定の高圧状態となった場合に開く第2の弁を有することを特徴とする空調装置。 【請求項3】 請求項2に記載の空調装置であって、前記第1の弁および前記第2の弁は、前記圧縮機のハウジング内に設けられていることを特徴とする空調装置。 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の空調装置であって、前記第1の弁および第2の弁は開弁基準圧が変更可能とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項5】 請求項4に記載の空調装置であって、前記第1の弁は作動流体の吸入圧が開弁基準圧を下回ると開き、前記第2の弁は作動流体の吐出圧が開弁基準圧を上回ると開く構成とされ、前記冷房回路作動時には、前記第1の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値に設定され、前記第2の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時における作動流体の吐出圧の上限基準値よりも高く設定され、前記暖房回路作動時には、前記第1の弁の開弁基準圧は、暖房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値よりも低く設定されるとともに、暖房回路作動時における作動流体の吐出圧が所定の高圧状態になった時には前記第1の弁が開くように開弁基準圧を高く設定変更するものであり、前記第2の弁の開弁基準圧は、暖房回路作動時の吐出圧の上限基準値とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の空調装置であって、前記第1の弁および前記第2の弁の開弁基準圧は、各弁に設けられたソレノイドの励磁または非励磁を介して変更されることを特徴とする空調装置。 【請求項7】 請求項2または請求項3に記載の空調装置であって、前記第2の弁は作動流体の吐出圧と前記吐出圧以外の圧力との差圧によって開かれる構造とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項8】 請求項7に記載の空調装置であって、前記第2の容量変更手段は、前記吐出部から前記駆動室に至る経路において前記第2の弁の上流側に設けられたパイロット弁を更に有し、前記パイロット弁は、前記冷房回路作動時には常に閉鎖され、前記暖房回路作動時には常に開かれる構成とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項9】 請求項8に記載の空調装置であって、前記パイロット弁はソレノイドの励磁または非励磁を介して開閉されることを特徴とする空調装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は圧縮機によって圧縮された作動流体を利用して作動する冷房回路と暖房回路を有する空調装置に関し、詳しくは作動流体の吐出圧の異常高圧状態を確実かつ迅速に抑制するための空調装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の空調装置の一例が特開平7−19630号公報に開示されている。この空調装置は、図1に示すように、圧縮機1と、冷房回路51と、暖房回路52と、制御装置83とを有する。冷房回路51は、圧縮機1の吐出部Dから吸入部Sへと至る経路上に設けられたコンデンサ55と、第1の膨張弁57と、熱交換機59とで構成されており、圧縮機1から吐出された高温・高圧の作動流体は、上記各装置を経由して圧縮機1に吸入され、このサイクルを繰り返す。暖房回路52は、圧縮機1の吐出部Dから熱交換機59へと至るバイパス路52aと、そのバイパス路52a上に設けられた第2の膨張弁63と、前記熱交換機59とで構成されており、圧縮機1から吐出された高温・高圧の作動流体は、コンデンサ55へ送られることなく、第2の膨張弁63と熱交換機59を経由して圧縮機1に吸入され、このサイクルを繰り返す。なお、かかる暖房回路52は一般にホットガスバイパスヒータと呼ばれている。冷房回路51および暖房回路52の切替は切替弁53a,53bの開閉動作によっておこなわれ、この開閉動作は制御装置83によって制御される。 【0003】この種の空調装置の場合、冷房回路51を選択している場合に比して、暖房回路52を作動している場合の方が、作動流体の吐出圧が高い状態で使用されるため、暖房回路52作動中に例えば圧縮機1の回転数が一時的に増大する等して吐出圧が異常な高圧状態となり易い。そこで、本従来技術では、更に圧力リリーフ弁93が設けられた作動流体放出路91が備えられている。作動流体放出路91は、暖房回路52と冷房回路51とを連絡する通路であり、暖房回路52の作動時に作動流体の吐出圧が異常高圧状態となった場合に、圧力リリーフ弁93を開放して作動流体を冷房回路51側へと放出する。この従来技術は、冷房回路51と暖房回路52が切替弁53a,53bによって択一的に選択されることに着目し、暖房回路52の作動中に吐出圧が異常に高圧になったときには、未使用の冷房回路51側へ作動流体を放出することによって、暖房回路52に異常な高圧がかからないようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】圧縮機の吐出容量が減少した場合には作動流体の吐出圧は減少するという特性があることに着目すると、特開平7−19630号公報に開示されている冷房回路および暖房回路を備えた空調装置に、さらに他の従来技術である特開平10−47242号公報に開示されている可変容量型の圧縮機を用いることによって、特開平7−19630号公報における暖房回路作動時の吐出圧の異常高圧対策技術の問題点、すなわち暖房回路内の作動流体が冷房回路に放出されてしまって暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を無駄に放出することからエネルギー効率が悪いといった問題点を解消できると予想される。換言すれば、可変容量型圧縮機では仕事量を減少することによって吐出圧を減少できるので、異常高圧対策として未使用の冷房回路へ作動流体を放出する必要がなく、また昇圧した作動流体を駆動室に放出するので多少のエネルギーの減少はあるものの、回路外に作動流体を放出してしまうといった無駄は生じない。 【0005】しかしながら、上記した可変容量型の圧縮機による異常高圧対策は、「容量制御弁を開けて作動流体を吐出部から駆動室に放出する」「該放出によって駆動室内の圧力を高めて吐出容量を減少させる」「吐出容量の減少により作動流体の吐出圧が減少する」ものであり、これらの一連の動作が行われるのに要する時間は駆動室に放出される作動流体の単位時間当たりの放出量に依るところが大きく、放出の開始から吐出圧の減少に至るまでには所定の時間が必要である。このため、吐出圧が短時間のうちに急激に上昇するような場合には異常高圧対策が間に合わず、吐出圧が一時的に基準値を超えてしまうことがある。特にホットガスバイパスヒータでは、暖房能力を確保するために冷房回路より高い圧力を用いていることから基準値と上限値との許容幅が狭く、吐出圧が一時的に上限値を超えた場合であっても回路部品の損傷等の問題が生じ易いので、吐出圧が短時間のうちに急激に上昇した場合でも迅速かつ確実に異常高圧対策を講じる必要がある。 【0006】本発明は、ホットガスバイパスヒータ回路を備えた空調装置に従来の可変容量型圧縮機の吐出容量制御技術を応用することで、特開平7−19630号公報に開示された空調装置における異常高圧対策技術の問題点、即ち、ホットガスバイパスヒータ回路内の作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出することからエネルギー効率が悪いといった問題点を解決し、さらにその上で、ホットガスバイパスヒータ回路と冷房回路とを備えた空調装置に従来の可変容量型圧縮機を用い場合に生じ得る問題点、即ち、吐出圧が急激に上昇するような場合にホットガスバイパスヒータ回路の異常高圧対策が遅れてしまうおそれがあるという問題点を併せて解決することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するための手段は各請求項記載の発明に示される。 【0008】請求項1の空調装置では、冷房回路と暖房回路を作動するための駆動源としていわゆる可変容量型の圧縮機が用いられている。また本空調装置における暖房回路には、いわゆるホットガスバイパスヒータが用いられている。なおホットガスバイパスヒータにおいては、吐出部から熱交換器に至るバイパス路に膨張弁等の減圧装置を設けておくことが好ましい。本可変容量型圧縮機では、駆動室内の圧力を高めることによって吐出容量を減少させることができる駆動手段が用いられている。吐出容量が減少した場合、作動流体の吐出圧は減少する。反対に吐出容量が増加した場合、作動流体の吐出圧は増加する。本空調装置では、吐出部から高圧の作動流体を駆動室に放出することによって駆動室内の圧力を高める構成としている。 【0009】吸入圧の減少は特に冷房回路作動時において問題となり易い。吸入圧が低すぎると冷房回路中の熱交換機に着霜が生じるおそれがあるからである。一方、暖房回路作動時には、熱交換機における着霜が問題とならないため、吸入圧の異常低圧対策を講じる必要性に乏しい。一方、吐出圧の増加は特に暖房回路作動時において問題となり易い。暖房回路では、暖房能力を確保するために作動圧力を高く設定しておくため、通常の作動圧力と回路の上限圧力との幅が狭く、吐出圧が設定圧力から少々上昇しただけでも上限圧力に達し易く、更にホットガスバイパスヒータでは冷房回路にバイパス路を設けて暖房回路を形成する構成とされているため、回路容量が小さくなり、吐出圧の上昇の度合いが急激になり易く、こうした理由から吐出圧の異常高圧対策を厳格に行う必要があるからである。一方、冷房回路作動時においては暖房回路作動時よりも低い作動圧が用いられるので、吐出圧が一時的に上昇しても上限圧力に達するような異常高圧状態が生じにくく、また回路容量が比較的大きく、ホットガスバイパスヒータのように厳格な吐出圧の異常高圧対策を講じる必要性に乏しい。 【0010】本空調装置では、冷房回路作動時において作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合、第1の容量変更手段が吐出部と駆動室とを連通する。これによって作動流体は高圧側の吐出部から低圧側の駆動室に放出され、駆動室内の圧力が高まる。すると吐出容量が減少して作動流体の吸入圧が増加する。これによって冷房回路に設けられた熱交換機における着霜といった不具合が効果的に防止されることになる。一方、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合、並列的に配置された第1の容量変更手段および第2の容量変更手段双方を介して吐出部と駆動室とを連通する。すなわち暖房回路作動時における異常高圧対策として作動流体は二つの経路を介して吐出部から駆動室に放出され吐出容量が減少する。従って、一つの経路を介して作動流体を駆動室に放出する場合に比べて放出時間が短縮化されるので、吐出容量が減少して吐出圧を減少させるのに要する時間を短縮することができる。この結果、吐出圧が短時間のうちに急激に上昇するような場合であっても迅速かつ確実に異常高圧対策を講じることができる。ここで第1の容量変更手段は、冷房回路作動時の吸入圧の異常低圧状態を解消するための弁、すなわち冷房回路用の低圧制御弁(吸入圧制御弁)を有する構成とし、第2の容量変更手段は、暖房回路作動時の吐出圧の異常高圧状態を解消するための弁、すなわち暖房回路用の高圧制御弁(吐出圧制御弁)を有する構成とすることが好ましい。この場合、冷房回路作動時に吸入圧が異常低圧状態となる場合には低圧制御弁を開けて作動流体を吐出部から駆動室に放出し、暖房回路作動時に吐出圧が異常高圧状態となる場合には高圧制御弁のみならず低圧制御弁をも利用し、高圧制御弁のみを利用する場合に比べて一層迅速に吐出圧の異常高圧状態を解消することができる。 【0011】請求項2の空調装置によれば、第1の容量変更手段は、冷房回路作動時に作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合、および暖房回路作動時に作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に開く第1の弁を有する。また第2の容量変更手段は、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に開く第2の弁を有する。冷房回路作動時に吸入圧が異常低圧状態となる場合には、第1の弁が開くことによって吐出部と駆動室とが連通される。これにより高圧側の吐出部から第1の容量変更手段を介して低圧側の駆動室に作動流体が放出され、この結果、吐出容量が減少して作動流体の吸入圧が増加するので冷房回路作動時における吸入圧の異常低圧状態が解消されることになる。また、暖房回路作動時に吐出圧が異常高圧状態となる場合には、第1および第2の弁の双方が開くことによって吐出部と駆動室とが連通される。これにより高圧側の吐出部から第1および第2の容量変更手段双方を介して低圧側の駆動室に作動流体が放出され、この結果、吐出容量が減少して作動流体の吐出圧が減少する。この場合、作動流体は二つの経路を経て駆動室に放出されるので、吐出容量の減少・吐出圧の減少は迅速に行われる。従って吐出圧が短時間のうちに急激に上昇するような場合であっても、異常高圧対策に遅れが生じるおそれがなくなる。 【0012】請求項3の空調装置では、請求項2の空調装置において、第1および第2の弁が圧縮機のハウジング内に置かれるので、装置全体の構造の簡素化が図られることになる。 【0013】請求項4の空調装置では、請求項2または請求項3の空調装置において、第1および第2の弁の開弁基準圧が変更可能とされている。すなわち、作動流体の吐出圧あるいは吸入圧に対する各弁の開弁基準圧を適宜設定することにより、冷暖房回路作動時における第1および第2の弁の開閉を作動流体の圧力との関係に応じてコントロールすることが可能とされる。 【0014】請求項5の空調装置では、請求項4の空調装置において第1の弁は吸入圧が開弁基準圧を下回ると開き、第2の弁は吐出圧が開弁基準圧を上回ると開くように構成されている。さて、冷房回路作動時における第1の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時の吸入圧の下限基準値とされる。すなわち作動流体の吸入圧がその下限基準値よりも高い場合には吸入圧は異常低圧状態にはなく、第1の弁は開弁条件を満たさず開かれない。反対に吸入圧がその下限基準値よりも低くなる場合には、吸入圧の異常低圧状態が生じていることを意味するものであり、この場合第1の弁は開弁基準圧を満たして開かれることになる。この結果、作動流体は高圧側の吐出部から第1の弁を経由して低圧側の駆動室に放出され、吐出容量が減少し吸入圧が上昇して、作動流体の異常低圧状態が回避されることになる。 【0015】また冷房回路作動時における第2の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時の吐出圧の上限基準値よりも高く設定される。すなわち冷房回路作動時には吐出圧は常に第2の弁の開弁基準圧を満たさず、第2の弁は冷房回路作動中は常時閉じていることになる。従って冷房回路作動時における駆動室内の昇圧は、第1の弁のみを介して行われることになる。 【0016】また暖房回路作動時における第1の弁の開弁基準圧は、暖房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値よりも低く設定されている。従って暖房回路作動中は第1の弁は原則として閉じていることになる。また第2の弁の開弁基準圧は暖房回路作動時の吐出圧の上限基準値とされており、暖房回路作動中の吐出圧が基準値内を推移している場合には第2の弁は閉じていることになる。一方、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態(異常高圧状態)となった時には、第1および第2の弁の双方を開く構成とされる。具体的には、吐出圧が異常高圧状態になると、第1の弁の開弁基準圧を高くなるように設定変更して第1の弁が開かれるようにする。変更の態様としては、例えば第1の弁の開弁基準圧を、吐出圧異常高圧時の吸入圧を上回る値に変更することが好ましい。第1の弁が確実に開かれることを確保するためである。また第2の弁の開弁基準圧は暖房回路作動時の吐出圧の上限基準値とされているところ、実際に異常高圧状態下での吐出圧は上限基準値よりも高い圧力となるので、吐出圧が異常高圧状態になると第2の弁は開かれることになる。従って暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が異常高圧状態となった場合には第1および第2の弁の双方が開かれることになる。この結果、作動流体は第1および第2の容量変更手段の双方を経て吐出部から駆動室に放出されるので、吐出容量の減少・吐出圧の減少は迅速に行われる。従って吐出圧が短時間のうちに急激に上昇するような場合であっても、異常高圧対策に遅れが生じるおそれがなくなる。 【0017】請求項6の空調装置では、請求項4または請求項5の空調装置における第1および第2の弁の開弁基準圧は、各弁に設けられたソレノイドを励磁または非励磁とすることによって適宜変更されることになる。 【0018】請求項7の空調装置では、請求項2または請求項3の空調装置における第2の弁は、作動流体の吐出圧と当該吐出圧以外の圧力との差圧によって開かれる構造とされている。吐出圧以外の圧力としては、例えば駆動室内の圧力・吸入圧・大気圧・真空圧等を採用し得る。特に、空調装置の内部の圧力との差圧を利用すると、装置の簡略化が図れるので好適である。具体的には、吐出圧と駆動室内の圧力との差圧によって、あるいは吐出圧と吸入圧との差圧によって第2の弁が開閉されるように構成し、第2の弁の開閉を高圧側圧力である吐出圧と低圧側圧力である駆動室内圧力または吸入圧との差圧でコントロールすることが好ましい。 【0019】請求項8の空調装置では、請求項7の空調装置につき、吐出部から駆動室に至る経路において第2の弁体の上流にはパイロット弁が設けられている。このパイロット弁は冷房回路作動時には常に閉鎖されている。すなわち、第2の弁が不用意に開いて容量制御を行っている第1の容量変更手段に干渉してしまうことを防止するべく、冷房回路作動中に作動流体を第2の弁に送らないようにするものである。一方、パイロット弁は暖房回路作動時には常に開いているので、作動流体は第2の弁に送られ、暖房回路作動時において容量制御を担当する第2の弁を機能させることになる。 【0020】請求項9の空調装置は、請求項8の空調装置におけるパイロット弁を、ソレノイドの励磁または非励磁を介して開閉する構成とされ、パイロット弁の開閉のタイミングや確実な開閉動作を実現することができる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態である空調装置について、図面を参照しつつ説明していく。図2に示すように、本空調装置100は、概括的に見て、冷房回路151と、暖房回路152と、両回路の駆動源である可変容量型圧縮機101とによって構成されている。なお本発明の構成要素の一つである容量変更手段は、本空調装置100の概括的構成を現した図2においては示されていない。容量変更手段の構造・作用については、後で詳しく説明する。この空調装置100は、本実施の形態では車載用の空調装置として構成されており、可変容量型圧縮機101の駆動軸125は車のエンジン170に接続されて駆動される。 【0022】冷房回路151は、可変容量型圧縮機101で圧縮された高圧の作動流体を利用して作動し、可変容量型圧縮機101の吐出部Dから吸入部Sへと至る経路151a上に配置されたコンデンサ155と第1の膨張弁157と熱交換機159とアキュムレータ161とを有する。熱交換機159はエバポレータと通称される。 【0023】暖房回路152は、可変容量型圧縮機101で圧縮された高温高圧の作動流体を利用して作動し、吐出部Dから吐出された作動流体を熱交換機159へ導くバイパス路152a上に配置された第2の膨張弁163と、上記熱交換機159と、アキュムレータ161を有する。すなわち暖房回路152は上記冷房回路151の構成要素の一部を兼用する構造とされている。かかる構造を有する暖房回路152はホットガスバイパスヒータと通称されている。 【0024】熱交換機159は温水ヒータ171と並置されている。温水ヒータ171内には、パイプ173を介してエンジン170からの冷却温水が循環している。図2中、第1の開閉弁153aと第2の開閉弁153bは、冷房回路151と暖房回路152のいずれか一方を択一的に作動させるための切替用弁である。 【0025】冷房回路151作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体がコンデンサ155に送られ、そこで高温の作動流体が有する熱を外部に捨て、作動流体は液化する。次に第1の膨張弁157によって作動流体は減圧されて熱交換機159に送られ、そこで外部の熱を奪ってガス化する。ガス化した作動流体はアキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環されることになる。暖房回路152作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体は、第2の膨張弁163によって減圧されて熱交換機159に送られ、そこで外部に熱を放出する。暖房回路152のサイクル中、作動流体は常にガス状態で暖房回路152を循環する。 【0026】本実施の形態において、暖房回路152は補助暖房装置として位置づけられている。すなわち、暖房回路152運転時に熱交換機159で発せられる熱は、既に述べた温水ヒータ171に対する補助暖房用熱源として用いられる。暖房回路152は、例えばエンジン170起動時、あるいは外気温が−20℃等といった低温環境時のごとく、エンジン170の冷却温水では暖房用の熱が足りない場合に、これを補うために用いられる。 【0027】次に図3を参照して可変容量型圧縮機101の構造について説明する。可変容量型圧縮機101の内部には駆動室110が形成されており、その駆動室110内で斜板130が駆動軸125に支持されている。斜板130は駆動軸125に支持されて、駆動軸125に対して傾斜した状態で駆動軸125の回転に伴って回転する。また駆動軸125に対する斜板130の傾斜角は可変となっており、以後、駆動軸125に直交する状態に近づくことを「斜板130が立つ」といい、図示の状態で水平に近づくことを「斜板130が寝る」という。 【0028】斜板130は、その周縁部において、可動シュー131を介してピストン135の頭部と連結されている。ピストン135は、駆動軸125のまわりに計6本配置されており(図では一本しか現されていない)、6個のシリンダボア109内にて図示左右方向にスライド可能に挿入されている。6個のシリンダボア109の円周方向の位置は可変容量型圧縮機101のハウジング101aによって固定されている。 【0029】図示のごとく斜板130が傾斜して駆動軸125と共に回転すると、円周方向については固定されたピストン135に対して斜板130の周縁が滑っていく。斜板130の最もピストン側に傾いた周縁がピストン135に対応して位置しているとき(図1はその状態を示す)、ピストン135はシリンダボア109内に最も深く挿入される。斜板130の最も反ピストン側に傾いた周縁(図3の場合図示下方に示されている周縁)がピストン135に対応して位置しているとき(図3の状態から駆動軸125が180度回転した場合に相当する)、ピストン135はシリンダボア109内から最も大きく抜き出される。駆動軸125が一回転することで各ピストン135は各シリンダボア109内で左右方向に一往復する。 【0030】各シリンダボア109の底部には吸入孔118aと吐出孔123aが設けられ、吸入孔118aに対して吸入弁118が対応位置し、吐出孔123aに対して吐出弁123が対応位置している。各吸入孔118aは吸入室115に連通し、各吐出孔123aは吐出室120に連通している。斜板130によってピストン135が図中左方向に移動する場合、作動流体は吸入口116から吸入室115・吸入孔118a・吸入弁118を介してシリンダボア109内に導入される。次いで、斜板130によってピストン135が図中右方向に移動する際には、吸入された作動流体は圧縮されて高圧状態とされ、吐出孔123a・吐出弁123・吐出室120を介して吐出口121から吐出される。 【0031】この可変容量型圧縮機101の吐出容量は、ピストン135のストローク量によって定められる。ピストン135のストローク量は斜板130の傾斜角度によって定められる。斜板130が寝ているほどピストン135のストローク量は大きく、可変容量型圧縮機101の吐出容量は大きくなる。反対に、斜板130が立つほどピストン135のストローク量は小さく、可変容量型圧縮機101の吐出容量は小さくなる。 【0032】斜板130の傾斜角度は、ピストン135の両側の圧力差、すなわち駆動室110内の圧力とシリンダボア109内の圧力の差によって決定される。本実施の形態では、この差圧は駆動室110内の圧力を増減させることによって調整される。吐出容量を減少させる場合には、吐出室120内の高圧の作動流体を駆動室110へ放出して駆動室110内の圧力を高くする。すると斜板130は立ち、ピストン135のストローク量が減少して吐出容量が減少する。反対に容量を増加させようとする場合には、吐出室120内の作動流体が駆動室110へ放出されないようにする。すると斜板130は寝て行き、ピストン135のストローク量が増大して吐出容量が増大する。 【0033】本実施の形態では、図3に示すように、高圧の作動流体を吐出室120から駆動室110へ放出するのに二つの容量変更手段が設けられている。一つは冷房用容量変更手段301であり、もう一つは暖房用容量変更手段401である。このうち冷房用容量変更手段301は本発明における「第1の容量変更手段」に、暖房用容量変更手段401は本発明における「第2の容量変更手段」にそれぞれ対応している。 【0034】冷房用容量変更手段301は、概括的に見て、冷房用容量変更弁303と、吐出室120と冷房用容量変更弁303とを連絡する第1の冷房用容量変更通路321と、冷房用容量変更弁303と駆動室110とを連絡する第2の冷房用容量変更通路322とから構成されている。暖房用容量変更手段401は、概括的に見て、暖房用容量変更弁403と、吐出室120と暖房用容量変更弁403とを連絡する第1の暖房用容量変更通路421と、暖房用容量変更弁403と駆動室110とを連絡する第2の暖房用容量変更通路422とから構成されている。また、駆動室110と吸入室115とは減圧通路501によって連絡されるとともに、特に図示しないものの減圧通路501上には絞りが設けられている。 【0035】第1および第2の冷房用容量変更通路321,322は、冷房用容量変更弁303に接続されるとともに、両者は弁体305によって連通または非連通のいずれかの状態とされる。弁体305は、吸入圧検出通路313を介して検出される吸入圧Psに基づいて弁体305の開閉を司るベローズ315に接続されるとともに、連結部材311を介してソレノイド309のプランジャー307に連結されている。ソレノイド309は、通電による励磁または非励磁によってプランジャー307に付勢力を与える。すなわち弁体305は、吸入圧Psが所定の圧力となった場合にベローズ315によって開かれ、しかもその開弁基準圧はソレノイド309によるプランジャー307への付勢力を適宜調整することによって変更可能とされている。またソレノイド309への通電は特に図示しない制御手段によって行われるものであり、(後述するように作動流体の吐出圧Pdの変化をモニタリングしている)上記制御手段からの通電信号を受けて、開弁基準圧を変更することができる。また、通電を切断して付勢力をなくし、強制的にベローズ315によって弁を開くこともできる。 【0036】第1の暖房用容量変更通路421は、暖房用容量変更弁403内に形成された第1の区画室405に接続される。従って第1の区画室405内の圧力は作動流体の吐出圧Pdとされる。第2の暖房用容量変更通路422は、暖房用容量変更弁403内に形成された第2の区画室407に接続される。従って第2の区画室407内の圧力は駆動室110内の圧力Pcとされる。第1および第2の区画室405,407は弁体409によって連通または非連通のいずれかの状態とされる。弁体409は、スプリング409aによって閉弁方向(図3では右方向)の付勢力を与えられるとともに、第1の区画室405内の圧力(吐出圧)Pdが第2の区画室407内の圧力(駆動室内の圧力)Pcに比べて所定の大きさになった場合に、第2の区画室407内の圧力(駆動室内の圧力)Pcおよびスプリング409aの付勢力の合力に打ち勝って開かれる(図3では弁体409が左方向に移動する)。さらに弁体409は、連結部材411を介してソレノイド415のプランジャー413に連結されている。ソレノイド415は、通電による励磁または非励磁によってプランジャー413に付勢力を与える。すなわち弁体409は、吐出圧Pdと駆動室110内の圧力Pcとの差圧によって開かれる差圧弁として構成されるとともに、その開弁基準圧はソレノイド415によるプランジャー413への付勢力を適宜調整することによって変更可能とされている。あるいはソレノイド415への通電を切断することによって、吐出圧Pdの大きさ如何に拘わらず弁体409が常に閉じているような高い付勢力がスプリング409aによってプランジャー413に与えられる。 【0037】次に本空調装置の作用について説明する。既に説明したように、図2に示す冷房回路151作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体はコンデンサ155・第1の膨張弁157・熱交換機159・アキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環される。また、暖房回路152作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高圧となった作動流体は、バイパス路152a上の第2の膨張弁163・熱交換機159・アキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環される。 【0038】吐出容量の制御に関し、まず冷房回路151(図2参照)作動時について説明する。冷房回路151作動時には、上記の冷房用容量変更手段301を用いて容量制御を行い、暖房用容量変更手段401は使用しない。このため冷房用容量変更弁303につき、ソレノイド309への通電を適宜調節し、作動流体の吸入圧Psが所定の基準値となった場合に弁体305が開くように弁体305の開弁基準圧を設定する。吸入圧Psに関する基準値は、熱交換機159(図2参照)に着霜が生じるおそれのない吸入圧の下限値にあわせておく。つまり吸入圧Psが許容下限値を下回ると、吸入圧Psが異常低圧状態になったと判断し、冷房用容量変更手段301による容量制御が開始されるようにしておく。一方、暖房用容量変更弁403は、冷房回路作動中は常に閉じておき、暖房用容量変更手段401を介して容量制御が行われないようにする。具体的には、ソレノイド415への通電を適宜調節し、暖房用容量変更弁403の開弁基準圧を冷房回路作動中の作動流体の吐出圧Pdの上限値より高く設定しておく。つまり冷房回路作動時における作動流体の吐出圧Pdは当該開弁基準圧を常に下回ることになるので、冷房回路作動中は暖房用容量変更弁403の開弁条件は満たされず、暖房用容量変更弁403は、冷房回路作動中、常に閉じていることになる。あるいは、ソレノイド415への通電を切断することによって、吐出圧Pdの大きさ如何に拘わらず弁体409が常に閉じているような高い付勢力がスプリング409aによってプランジャー413に与えられる。 【0039】冷房回路作動中において、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態にない場合、冷房用容量変更弁303の開弁条件が満たされないため、冷房用容量変更弁303は閉じている。もちろん冷房回路作動時の作動流体の吐出圧は暖房用容量変更弁403の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体409はソレノイド415への通電を調節して強制的に閉じられているため)、暖房用容量変更弁403は閉じている。この結果、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態にない場合には、作動流体は吐出室120から駆動室110へは放出されず容量制御が行われない。 【0040】一方、冷房回路作動中において、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態となった場合、冷房用容量変更弁303の開弁条件が満たされ(吸入圧Psが所定の低圧状態となり)、冷房用容量変更弁303は開かれる。もちろん冷房回路作動時の作動流体の吐出圧は暖房用容量変更弁403の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体409はソレノイド415への通電を調節して強制的に閉じられているため)、暖房用容量変更弁403は閉じている。この結果、冷房用容量変更弁303の弁体305が開弁方向に移動し、第1および第2の冷房用容量変更通路321,322とが連通される。そして作動流体は高圧側の吐出室120から、第1の冷房用容量変更通路321,冷房用容量変更弁303,第2の冷房用容量変更通路322を経由して、駆動室110に放出されることになる。この結果、「駆動室110内の圧力Pcが上昇」、「斜板130が立つ(斜板130の傾斜角度が減少する)」、「ピストン135のストロークが減少」、「吐出容量が減少」という一連の作用を経て作動流体の吸入圧Psが増加し、吸入圧Psの異常低圧状態が抑制されることになる。なお駆動室110は減圧通路501を介して吸入室115と連通されているものの、減圧通路501に設けられた絞りのため、吸入圧Psの異常低圧対策が終了しないうちに作動流体が駆動室110から吸入室115に逃げてしまうことが防止される。 【0041】駆動室110内の作動流体は少しずつ減圧通路501を経由して吸入室115に送られるとともに、シリンダボア109に再度送られて圧縮され、吐出室120・吐出口121を経て再度冷房回路に吐出されることになる。 【0042】次に暖房回路152(図2参照)作動時における容量制御について説明する。暖房回路152作動時には、上記の暖房用容量変更手段401とともに冷房用容量変更手段301をも使用して吐出圧の異常高圧対策を行う。まず暖房用容量変更弁403については、ソレノイド415への通電を適宜調節し、作動流体の吐出圧Pdが所定の基準値となった場合に弁体409が開くように弁体409の開弁基準圧を設定する。吐出圧Pdに関する基準値は、暖房回路152に過度に高い圧力がかからないための吐出圧の上限値にあわせておく。つまり吐出圧Pdが許容上限値を上回ると、吐出圧Pdが異常高圧状態になったと判断し、暖房用容量変更手段401による容量制御が開始されるようにしておく。一方、冷房用容量変更弁303は、暖房回路作動中に作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態にない場合には閉じておき、当該吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合には開くように構成する。具体的には、暖房回路が定常的に作動される際(すなわち暖房回路作動時に作動流体の吐出圧が上限許容値以下で推移している際)には、ソレノイド309への通電を適宜調節し、冷房用容量変更弁303の開弁基準圧を暖房回路作動中の作動流体の吸入圧Psの下限値より低く設定しておく。この結果、暖房回路の定常作動中は冷房用容量変更弁303の開弁基準圧は満たされず、冷房用容量変更弁403は閉じていることになる。あるいは、ソレノイド309への通電を大きくすることによって、吸入圧Psの大きさ如何に拘わらず弁体305が常に閉じているような高い付勢力がプランジャー307に与えられる。 【0043】また暖房用容量変更弁403については、暖房回路が定常的に作動される際、すなわち暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態にない場合には、暖房用容量変更弁403の開弁条件が満たされないため、暖房用容量変更弁403は閉じている。この結果、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態にない場合には、作動流体は吐出室120から駆動室110へは放出されず容量制御が行われない。 【0044】次に、暖房回路作動中において、作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合の容量制御について説明する。まず暖房用容量変更弁403については、作動流体の吐出圧Pdが開弁基準圧以上となって開弁条件が満たされ、暖房用容量変更弁403は開かれることになる。一方、冷房用容量変更弁303については、下記の手順によって開弁基準圧が変更されることになる。まず図示しない制御手段が暖房回路作動中の作動流体の吐出圧Pdの推移をモニタしており、吐出圧Pdが所定の上限基準圧を超えた場合に、当該制御手段は冷房用容量変更弁303に開弁基準圧変更指令信号を発する。これによってソレノイド309への通電条件を変更し、プランジャー307に付与する付勢力を適宜変更して、弁体305の開弁設定値を変化させる。暖房回路が定常的に作動される場合において冷房用容量変更弁303の開弁基準圧は暖房回路作動中の作動流体の吸入圧Psの下限値より低く設定されていたが、吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合には、この開弁基準圧を上昇させて冷房用容量変更弁303が開かれるようにする。例えば開弁基準圧を、暖房回路作動中の作動流体の吸入圧Psの使用範囲の上限値を超える値に変更したり、ソレノイドの通電をやめてプランジャー307への付勢力をなくして、吸入圧Psの値如何に拘わらず弁体305が強制的に開弁されるようにする。 【0045】さて、上記の作用を経て、暖房回路作動中に作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合には、冷房用および暖房用容量変更弁303,403の双方が開き、第1および第2の冷房用容量変更通路321,322と第1および第2の暖房用容量変更通路421,422の二つの放出経路がそれぞれ連通状態とされ、作動流体は吐出室120から二つの放出経路を経由して駆動室110に放出されることになる。暖房用容量変更通路のみならず冷房用容量変更通路をも経由して作動流体が放出される結果、吐出室120から駆動室110への単位時間当たりの作動流体放出量は、一つの経路のみを介して放出される場合に比べて多く、駆動室110内の昇圧が迅速に達成されることになる。 【0046】冷房用容量変更弁303および暖房用容量変更弁403の双方が開かれて、作動流体が吐出室120から駆動室110に放出される結果、「駆動室110内の圧力Pcが上昇」、「斜板130が立つ(斜板130の傾斜角度が減少する)」、「ピストン135のストロークが減少」、「吐出容量が減少」という一連の作用を経て作動流体の吐出圧Pdが減少し、吐出圧Pdの異常高圧状態が抑制されることになる。なお駆動室110は減圧通路501を介して吸入室115と連通されているものの、減圧通路501に設けられた絞りのため、吐出圧Pdの異常高圧対策が終了しないうちに作動流体が駆動室110から吸入室115に逃げてしまうことが防止される。 【0047】駆動室110内の作動流体は少しずつ減圧通路501を経由して吸入室115に送られるとともに、シリンダボア109に再度送られて圧縮され、吐出室120・吐出口121を経て再度暖房回路に吐出されることになる。 【0048】上記した冷房用容量変更手段301および暖房用容量変更手段401はそれぞれ独立し、本来的には、前者は冷房回路作動時の作動流体の吸入圧Psの異常低圧対策を担当し、後者は暖房回路作動時の作動流体の吐出圧の異常高圧対策を担当する構成とされている。本実施の形態では、暖房回路作動時における作動流体の吐出圧の異常高圧対策として、上記暖房用容量変更弁401のみならず冷房用容量変更弁301をも使って、できるだけ迅速に作動流体を吐出室120から駆動室110へと放出するものである。 【0049】本実施の形態に係る空調装置によれば、一度可変容量型圧縮機101に仕事をさせて昇圧した作動流体を駆動室110に放出するのでエネルギー効率が多少悪くなるものの、少量の放出量によって吐出容量を減少して吸入圧を増加するとともに吐出圧を減少することになり、作動流体を暖房回路152外へ捨てるものではないので極端なエネルギー損失が生じるものではない。また暖房回路152作動のための作動流体が不足するといった事態は生じない。すなわち、本実施の形態によれば、ホットガスバイパスヒータである暖房回路を備えた空調装置において、暖房運転時の異常高圧状態を抑制するために暖房回路内の作動流体を冷房回路に放出してしまって暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出してしまってエネルギー効率が非常に悪くなるといった問題が生じない。 【0050】しかも吐出圧Pdの異常高圧対策として、暖房用容量変更弁401のみならず冷房用容量変更弁301をも利用し、吐出室120と駆動室110とを二つの経路で連通するので、吐出室120から駆動室110への迅速な作動流体の放出ができ、従って吐出圧Pdの異常高圧対策を確実かつ迅速に講じることが可能である。 【0051】(本実施の形態に係る第1の変更例)本実施の形態に係る第1の変更例が図4に示される。これは上記した暖房用容量変更手段401の構成を異ならしめた変更例である。図4に示すように、本変更例に係る可変容量型圧縮機701では、暖房用容量変更手段601が、概括的に見て、パイロット通路621(上記実施の形態の第1の暖房用容量変更通路421に相当する),パイロット弁619,暖房用容量変更弁603,第2の暖房用容量変更通路422とによって構成されている。吐出室120は第1のパイロット通路621aを通じてパイロット弁619に連絡されている。パイロット弁619は第2のパイロット通路621bを通じて暖房用容量変更弁603の第1の区画室605に連絡されている。暖房用容量変更弁603内には更に第2の区画室607が形成され、第2の区画室607は第2の暖房用容量変更通路422を介して駆動室110に連絡されている。第1の区画室605と第2の区画室607の間には弁体609が配置されている。弁体609は、通常は、スプリング609aによる閉弁方向(図4では右方向)への付勢力によって第1および第2の区画室605,607とを非連通状態としている。弁体609は、第1の区画室605内の圧力と第2の区画室607内の圧力との差圧によって開かれる差圧弁としての構成を有する。パイロット弁619は、通常は、第1および第2のパイロット通路621a,621bを非連通状態とするとともに、ソレノイド615への通電により開弁方向へ移動し得る構成とされている。開弁方向に移動した場合には、第1および第2のパイロット通路621a,621bとは連通状態とされる。 【0052】その他の構成、たとえば可変容量型圧縮機自体の構造や、冷房用容量変更手段301の構造については上記した本発明の実施の形態と同等であり、詳細な説明は便宜上省略する。 【0053】さて、本変更例においては、冷房回路作動中は、冷房用容量変更手段301のみによって作動流体の吸入圧の異常低圧対策を講じるため、暖房用容量変更手段601は作動流体を吐出室120から駆動室110に放出しないようにする必要がある。上記した本実施の形態における暖房用容量変更弁403の場合には、差圧弁としての基本構成に加えて、更にソレノイド415による付勢力を用いて開弁基準圧を適宜変更することができたので、かかる不具合を防止することができる。しかしながら、本変更例のように暖房用容量変更弁601を単純に二つの圧力の差圧のみで開閉される差圧弁として構成した場合、当該差圧を外的にコントロールすることはできない関係上、差圧弁の構造を有する暖房用容量変更弁603が冷房回路作動中に不用意に開き、冷房用容量変更手段301による容量制御に干渉してしまうおそれがある。従って、冷房回路作動中はパイロット弁619を強制的に閉じておき(図4の状態)、パイロット通路621を非連通状態とする。すなわち冷房回路作動中は、パイロット弁619を常に閉じておき、作動流体が暖房用容量変更手段601を経由して吐出室120から駆動室110へ放出されないようにする。冷房回路作動中の冷房用容量変更手段301の働きについては、上記実施の形態と同等であり、詳細な説明は便宜上省略する。 【0054】一方、暖房回路作動中は、暖房用容量変更手段601による作動流体の異常高圧対策を講じるべく、作動流体が吐出室120から暖房用容量変更弁603に送られるようにパイロット弁619を開けておく必要がある。このため、ソレノイド615を通電して励磁し、パイロット弁619を開かせる。これによりパイロット通路621は連通状態とされ、作動流体は吐出室から第1の区画室605に送られることになる。この結果、第1の区画室605内の圧力は吐出圧Pdとされ、第2の暖房用容量変更通路422を経由して第2の区画室607内に導かれた駆動室110内の圧力Pcとともに弁体609に作用する。 【0055】暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態にない場合、すなわち異常高圧状態にない場合には、第1の区画室605内の吐出圧Pdは、スプリング609aの閉弁方向への付勢力と第2の区画室607内の圧力Pcとの合力に打ち勝てず、暖房用容量変更弁603が閉じられている。また上記した本発明の実施の形態と同様に、暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態にない場合、冷房用容量変更弁303は閉じられている。従って、作動流体は吐出室120から駆動室110へと放出されず、容量制御は行われない。 【0056】暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態となった場合、すなわち異常高圧状態となった場合には、第1の区画室605内の吐出圧Pdは、スプリング609aの閉弁方向への付勢力と第2の区画室607内の圧力Pcとの合力に抗して弁体609を開弁方向に押し、暖房用容量変更弁603が開かれる。また図示しない制御手段が作動流体の吐出圧Pdをモニタしており、吐出圧Pdが上限基準値を超えた場合には、ソレノイド309の通電条件を変更し、冷房用容量変更弁303を開かせる。冷房用容量変更弁303を開弁させるための具体的手法については、上記実施の形態と同等ゆえ詳細な説明を省略する。暖房回路作動中に作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合に暖房用容量変更弁403のみならず冷房用容量変更弁303が開かれる結果、吐出室120内の高圧の作動流体は、パイロット通路621−暖房用容量変更弁603−第2の暖房用容量変更通路422を経由して駆動室110に放出されるとともに、第1の冷房用容量変更通路321−冷房用容量変更弁303−第2の冷房用容量変更通路322を経由して駆動室110に放出されることになる。当該放出による駆動室110内の昇圧の結果、上記実施の形態で説明したのと同様の作用により、吐出圧Pdの異常高圧対策が講じられることになる。 【0057】(本実施の形態に係る第2の変更例)本実施の形態に係る第2の変更例が図5に示される。これは、上記第1の変更例とにつき、その暖房用容量変更手段601の構造を更に変更した変更例である。この変更例では、外的制御が行われない差圧弁として構成された暖房用容量変更手段の上流側に配置されたパイロット弁を省略した構成としている。上記第1の変更例において説明したことと関連するが、外的制御を行わず単純に作動流体の吐出圧Pdと該吐出圧Pd以外の圧力との差圧によって開閉される差圧弁を暖房用容量変更弁403に用いた場合、下記の問題が考えられる。冷房回路作動中は、冷房用容量変更手段301のみによって作動流体の吸入圧の異常低圧対策を講じるため、差圧弁として構成される暖房用容量変更弁603は作動流体を吐出室120から駆動室110に放出しないよう閉じている必要があるところ、暖房用容量変更弁603の開弁条件は二つの圧力の差圧に依存し、外的にコントロールすることができないため、冷房回路作動中に不用意に開いてしまうおそれがあるという問題点である。 【0058】そのため上記第1の変更例では、上流側にパイロット弁619を配置するとともに当該パイロット弁619を強制的に閉じてしまうことによって上記不具合を防止していた。一方、第2の変更例では、あえて第1の変更例の構成からパイロット弁619を省略することとした。その理由として、仮に外的コントロールを行い得ない単純な差圧弁のみをもって暖房用容量変更手段を構成し、冷房回路作動中に当該差圧弁が開いた場合、駆動室110内が昇圧されて吐出容量が減少し、その結果、作動流体の吐出圧Pdが減少することになる。当初、差圧弁は高い吐出圧Pdによって開かれているのであるが、このような吐出圧Pdの減少に伴い、もはや開弁状態が維持されず、結局差圧弁は閉じることになり、実際の不具合は少ないものと考えられる。そこで、本発明者らは、パイロット弁を省略し、外的コントロールを行い得ない単純な差圧弁のみをもって暖房用容量変更手段を構成する変更例についても提案する。 【0059】図5に示されるように本変更例に係る可変容量型圧縮機800では、暖房用容量変更手段801として、第1の暖房用容量変更通路821,暖房用容量変更弁803,第2の暖房用容量変更通路422をもって構成している。繰り返しになるがパイロット弁は省略されている。暖房用容量変更弁803内には第1の区画室805と第2の区画室807とが設けられ、第1の区画室805は第1の暖房用容量変更通路821を介して吐出室120と連通され、第2の区画室807は第2の暖房用容量変更通路422を介して駆動室110と連通されている。その詳細な作用については上記した第1の変更例と同等であり、便宜上説明を省略する。また冷房用容量変更手段301およびその他の構成については、上記実施の形態および第1の変更例と同等であり、同じく詳細な説明を省略する。 【0060】なお本実施の形態およびその各変更例では、冷房用容量変更手段および暖房用容量変更手段はいずれも可変容量型圧縮機の内部に設けられる構成であったが、それらの全て、あるいは一部を可変容量型圧縮機外に設ける構成としてもよい。また、可変容量型圧縮機のピストンの本数を変更し、あるいはピストンを斜板の片側でなく両側に配置する構成としてもよい。 【0061】 【発明の効果】本発明は、ホットガスバイパスヒータ回路を備えた空調装置に従来の可変容量型圧縮機の吐出容量制御技術を応用することで、特開平7−19630号公報に開示された空調装置における異常高圧対策技術の問題点、即ち、ホットガスバイパスヒータ回路内の作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出することからエネルギー効率が悪いといった問題点が解決されることとなり、さらにホットガスバイパスヒータ回路と冷房回路とを備えた空調装置に従来の可変容量型圧縮機を用いる場合に生じ得る問題点、即ち、吐出圧が急激に上昇するような場合にホットガスバイパスヒータ回路の異常高圧対策が遅れてしまうおそれがあるという問題点が併せて解決されることとなった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成11年1月14日(1999.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064344 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−205668(P2000−205668A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月28日(2000.7.28) |
| 【出願番号】 |
特願平11−8075 |
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