| 【発明の名称】 |
空調装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡部 孝徳
【氏名】藤井 俊郎
【氏名】伴 孝志
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| 【要約】 |
【課題】ホットガスバイパスヒータ回路を備えた空調装置において、作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足するという問題や、作動流体を暖房回路外に放出してエネルギー効率が悪いといった問題点を解決する。
【解決手段】圧縮機101、冷房回路、暖房回路、容量変更手段301・401を有し、圧縮機101は吸入部115、吐出部120、駆動手段130を有し、第1の容量変更手段301は作動流体の吸入圧Psが所定の低圧状態となった場合に吐出部120と駆動室110を連通状態とし、第2の容量変更手段401は作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態となった場合に吐出部120と駆動室110を連通状態とすることを特徴とする空調装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機と、冷房回路と、暖房回路と、容量変更手段とを有し、前記圧縮機は、作動流体を吸入する吸入部と、圧縮された作動流体を吐出する吐出部と、駆動室内に設けられて前記駆動室内の圧力が大きくなると吐出容量を減少する駆動手段とを有し、前記冷房回路は、前記吐出部から前記吸入部へと至る経路上に配置されたコンデンサと前記コンデンサよりも下流側に配置された熱交換機とを有し、前記暖房回路は、前記吐出部から前記熱交換機へと至るバイパス路と、前記熱交換機とを有し、前記容量変更手段は、前記吐出部と前記駆動室とをそれぞれ連通状態または非連通状態とする第1および第2の容量変更手段とからなり、前記第1および第2の容量変更手段は、前記吐出部と前記駆動室とを連絡する通路に並列的に配置され、前記第1の容量変更手段は、作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合に前記吐出部と前記駆動室とを連通状態とし、前記第2の容量変更手段は、作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に前記吐出部と前記駆動室とを連通状態とすることを特徴とする空調装置。 【請求項2】 請求項1に記載の空調装置であって、前記第1の容量変更手段は、前記吐出部と駆動室とを連絡する通路に配置されるとともに前記冷房回路作動時において作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合に開く第1の容量変更弁を有し、前記第2の容量変更手段は、前記吐出部と駆動室とを連絡する通路に配置されるとともに前記暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が前記所定の高圧状態となった場合に開く第2の容量変更弁を有することを特徴とする空調装置。 【請求項3】 請求項2に記載の空調装置であって、前記第1および前記第2の容量変更弁は、前記圧縮機のハウジング内に設けられていることを特徴とする空調装置。 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の空調装置であって、前記第1および第2の容量変更弁は開弁基準圧が変更可能とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項5】 請求項4に記載の空調装置であって、前記第1の容量変更弁は作動流体の吸入圧が開弁基準圧を下回ると開き、前記第2の容量変更弁は作動流体の吐出圧が開弁基準圧を上回ると開く構成とされ、前記冷房回路作動時には、前記第1の容量変更弁の開弁基準圧は冷房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値に設定され、前記第2の容量変更弁の開弁基準圧は冷房回路作動時における作動流体の吐出圧の上限基準値よりも高く設定され、前記暖房回路作動時には、前記第1の容量変更弁の開弁基準圧は暖房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値よりも低く設定され、前記第2の容量変更弁の開弁基準圧は暖房回路作動時の吐出圧の上限基準値とされていることを特徴とする空調装置。 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の空調装置であって、前記第1および第2の容量変更弁の開弁基準圧は、各容量変更弁に設けられたソレノイドの励磁または非励磁を介して変更されることを特徴とする空調装置。 【請求項7】 請求項2または請求項3に記載の空調装置であって、前記第1および/または第2の容量変更手段における容量変更弁は、作動流体の吸入圧と吸入圧以外の圧力との差圧によって、または作動流体の吐出圧と吐出圧以外の圧力との差圧によって開かれる構造とされており、しかも前記吐出部から前記駆動室に至る経路において前記容量変更弁の上流側にはパイロット弁が設けられていることを特徴とする空調装置。 【請求項8】 請求項7に記載の空調装置であって、前記パイロット弁は、その容量変更手段による容量制御が行われている時には開いており、他方の容量変更手段による容量制御が行われている時には閉じていることを特徴とする空調装置。 【請求項9】 請求項8に記載の空調装置であって、前記パイロット弁はソレノイドの励磁または非励磁を介して開閉されることを特徴とする空調装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は圧縮機によって圧縮された作動流体を利用して作動する冷房回路と暖房回路を有する空調装置に関し、詳しくは作動流体の吐出圧の異常高圧状態を確実かつ迅速に抑制するための空調装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の空調装置の一例が特開平7−19630号公報に開示されている。この空調装置は、図1に示すように、圧縮機1と、冷房回路51と、暖房回路52と、制御装置83とを有する。冷房回路51は、圧縮機1の吐出部Dから吸入部Sへと至る経路上に設けられたコンデンサ55と、第1の膨張弁57と、熱交換機59とで構成されており、圧縮機1から吐出された高温・高圧の作動流体は、上記各装置を経由して圧縮機1に吸入され、このサイクルを繰り返す。暖房回路52は、圧縮機1の吐出部Dから熱交換機59へと至るバイパス路52aと、そのバイパス路52a上に設けられた第2の膨張弁63と、前記熱交換機59とで構成されており、圧縮機1から吐出された高温・高圧の作動流体は、コンデンサ55へ送られることなく、第2の膨張弁63と熱交換機59を経由して圧縮機1に吸入され、このサイクルを繰り返す。なお、かかる暖房回路52は一般にホットガスバイパスヒータと呼ばれている。冷房回路51および暖房回路52の切替は切替弁53a,53bの開閉動作によっておこなわれ、この開閉動作は制御装置83によって制御される。 【0003】この種の空調装置の場合、冷房回路51を選択している場合に比して、暖房回路52を作動している場合の方が、作動流体の吐出圧が高い状態で使用されるため、暖房回路52作動中に例えば圧縮機1の回転数が一時的に増大する等して吐出圧が異常な高圧状態となり易い。そこで、本従来技術では、更に圧力リリーフ弁93が設けられた作動流体放出路91が備えられている。作動流体放出路91は、暖房回路52と冷房回路51とを連絡する通路であり、暖房回路52の作動時に作動流体の吐出圧が異常高圧状態となった場合に、圧力リリーフ弁93を開放して作動流体を冷房回路51側へと放出する。この従来技術は、冷房回路51と暖房回路52が切替弁53a,53bによって択一的に選択されることに着目し、暖房回路52の作動中に吐出圧が異常に高圧になったときには、未使用の冷房回路51側へ作動流体を放出することによって、暖房回路52に異常な高圧がかからないようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】この従来の異常高圧対策技術は、作動中の暖房回路52から未使用の冷房回路51に作動流体を放出する方式であり、暖房回路52の作動中における吐出圧の異常高圧状態の抑制は実現できるものの、吐出圧が増大する度に暖房回路52内の作動流体が冷房回路51に放出されてしまい、暖房回路52内の作動流体が減少して暖房能力が不足するといった事態になり易い。また、従来の異常高圧対策技術は、圧縮機1に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を無駄に回路外へ放出するのでエネルギー効率が悪い。 【0005】そこで本発明では、ホットガスバイパスヒータ回路として構成される暖房回路を備えた空調装置における吐出圧の異常高圧対策技術の問題点、即ち、ホットガスバイパスヒータ回路内の作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出することからエネルギー効率が悪いといった問題点を解決することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するための手段は各請求項記載の発明に示される。 【0007】請求項1の空調装置では、冷房回路と暖房回路を作動するための駆動源としていわゆる可変容量型の圧縮機が用いられている。また本空調装置における暖房回路には、いわゆるホットガスバイパスヒータが用いられている。なおホットガスバイパスヒータにおいては、吐出部から熱交換器に至るバイパス路に膨張弁等の減圧装置を設けておくことが好ましい。 【0008】本可変容量型圧縮機では、駆動室内の圧力を高めることによって吐出容量を減少させることができる駆動手段が用いられている。吐出容量が減少した場合、作動流体の吐出圧は減少し吸入圧は増加する。反対に吐出容量が増加した場合、作動流体の吐出圧は増加し吸入圧は減少する。本空調装置では、吐出部から高圧の作動流体を駆動室に放出することによって駆動室内の圧力を高める構成としている。 【0009】吸入圧の減少は特に冷房回路作動時において問題となり易い。吸入圧が低すぎると冷房回路中の熱交換機に着霜が生じるおそれがあるからである。一方、暖房回路作動時には熱交換機における着霜が問題とならないため、吸入圧の異常低圧対策を講じる必要性が少ない。一方、吐出圧の増加は特に暖房回路作動時において問題となり易い。暖房回路では、暖房能力を確保するために作動圧力を高く設定しておくため、通常の作動圧力と回路の上限圧力との幅が狭く、吐出圧が設定圧力から少々上昇しただけでも上限圧力に達し易く、更にホットガスバイパスヒータでは冷房回路にバイパス路を設けて暖房回路を形成する構成とされているため、回路容量が小さくなり、吐出圧の上昇の度合いが急激になり易く、こうした理由から吐出圧の異常高圧対策を厳格に行う必要があるからである。一方、冷房回路作動時においては暖房回路作動時よりも低い作動圧が用いられるので、吐出圧が一時的に上昇しても上限圧力に達するような異常高圧状態が生じにくく、また回路容量が比較的大きく、ホットガスバイパスヒータのように厳格な吐出圧の異常高圧対策を講じる必要性が少ない。 【0010】本空調装置では、第1の容量変更手段と第2の容量変更手段とが、吐出部と駆動室とをそれぞれ連通状態とする。作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合には、第1の容量変更手段が吐出部と駆動室とを連通する。これによって作動流体は高圧側の吐出部から低圧側の駆動室に放出されて駆動室内の圧力が高まり、吐出容量が減少して作動流体の吸入圧が増加する。一方、作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合には、第2の容量変更手段が吐出部と駆動室とを連通する。これにより作動流体は高圧側の吐出部から低圧側の駆動室に放出されて駆動室内の圧力が高まり、吐出容量が減少して作動流体の吐出圧が減少する。ここで第1の容量変更手段は、冷房回路作動時の吸入圧の異常低圧状態を解消するための弁、すなわち冷房回路用の低圧制御弁(吸入圧制御弁)を有する構成とし、第2の容量変更手段は、暖房回路作動時の吐出圧の異常高圧状態を解消するための弁、すなわち暖房回路用の高圧制御弁(吐出圧制御弁)を有する構成とすることが好ましい。この場合、冷房回路作動時に吸入圧が異常低圧状態となる場合には低圧制御弁を開けて作動流体を吐出部から駆動室に放出し、冷房回路に設けられた熱交換機における着霜といった不具合が効果的に解消されることになる。また暖房回路作動時に吐出圧が異常高圧状態となる場合には高圧制御弁を開けて作動流体を吐出部から駆動室に放出し、暖房回路作動時における作動流体の吐出圧の異常高圧状態が効果的に解消されることになる。なお第1の容量変更手段が配置される通路と、第2の容量変更手段が配置される通路とは、それぞれ別個に並列的に設けてもよいし、一つの経路を兼用しつつ当該経路上に第1および第2の容量変更手段を並列的に配置してもよい。 【0011】請求項2の空調装置によれば、第1の作動流体放出手段は、吐出部と駆動室とを連絡する通路に配置されるとともに、冷房回路作動時に作動流体の吸入圧が所定の低圧状態となった場合に開く第1の弁を有する。また第2の容量変更手段は、吐出部と駆動室とを連絡する通路に配置されるとともに、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態となった場合に開く第2の弁を有する。冷房回路作動時に吸入圧が異常低圧状態となる場合には、第1の弁が開くことによって吐出部と駆動室とが連通される。これによって高圧側の吐出部から第1の容量変更手段を介して低圧側の駆動室に作動流体が放出され、この結果、吐出容量が減少して作動流体の吸入圧が増加するので冷房回路作動時における吸入圧の異常低圧状態が解消されることになる。また、暖房回路作動時に吐出圧が異常高圧状態となる場合には、第2の弁が開くことによって吐出部と駆動室とが連通される。これによって高圧側の吐出部から第2の容量変更手段を介して低圧側の駆動室に作動流体が放出され、この結果、吐出容量が減少して暖房回路作動時における吐出圧の異常高圧状態が解消されることになる。 【0012】請求項3の空調装置では、請求項2の空調装置において、第1および第2の弁が圧縮機のハウジング内に置かれるので、装置全体の構造の簡素化が図られることになる。 【0013】請求項4の空調装置では、請求項2または請求項3の空調装置において、第1および第2の弁の開弁基準圧が変更可能とされている。すなわち、作動流体の吐出圧あるいは吸入圧に対する各弁の開弁基準圧を適宜設定することにより、冷暖房回路作動時における第1および第2の弁の開閉を作動流体の圧力との関係でコントロールすることが可能とされる。 【0014】請求項5の空調装置では、請求項4の空調装置において第1の弁は吸入圧が開弁基準圧を下回ると開き、第2の弁は吐出圧が開弁基準圧を上回ると開くように構成されている。冷房回路作動時における第1の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時の吸入圧の下限基準値とされる。すなわち作動流体の吸入圧がその下限基準値よりも高い場合には、第1の弁は開弁条件を満たさず開かれない。反対に吸入圧がその下限基準値よりも低くなる場合には、吸入圧の異常低圧状態が生じていることを意味するものであり、この場合、第1の弁は開弁基準圧を満たして開かれることになる。この結果、作動流体は高圧側の吐出部から第1の弁を経由して低圧側の駆動室に放出され、吐出容量が減少し吸入圧が増加して、作動流体の異常低圧状態が回避されることになる。また冷房回路作動時における第2の弁の開弁基準圧は、冷房回路作動時の吐出圧の上限基準値よりも高く設定される。すなわち冷房回路作動時には吐出圧は常に第2の弁の開弁基準圧を満たさず、第2の弁は冷房回路作動中は常時閉じていることになる。従って冷房回路作動時における容量制御は、第1の弁のみを介して行われることになる。 【0015】また暖房回路作動時における第1の弁の開弁基準圧は、暖房回路作動時における作動流体の吸入圧の下限基準値よりも低く設定されている。従って暖房回路作動中は第1の弁は常時閉じていることになる。また第2の弁の開弁基準圧は暖房回路作動時の吐出圧の上限基準値とされており、暖房回路作動中の吐出圧がこの上限基準値以下で推移している場合には第2の弁は閉じていることになる。一方、暖房回路作動時において作動流体の吐出圧が所定の高圧状態(上記の上限基準値を上回った異常高圧状態)となった場合には第2の弁は開かれることになる。これにより作動流体は第2の容量変更手段を介して吐出部から駆動室に放出されて吐出圧の異常高圧対策が講じられる。 【0016】請求項6の空調装置では、請求項4または請求項5の空調装置における第1および第2の弁の開弁基準圧は、各弁に設けられたソレノイドを励磁または非励磁とすることによって適宜変更されることになる。 【0017】請求項7の空調装置では、請求項2または請求項3の空調装置について、第1および/または第2の容量変更手段における容量変更弁は、作動流体の吸入圧と当該吸入圧以外の圧力との差圧によって、または作動流体の吐出圧と当該吐出圧以外の圧力との差圧によって開かれる構造とされている。すなわち吸入圧の異常低圧対策を行う容量変更手段における容量変更弁と、吐出圧の異常高圧対策を行う容量変更手段における容量変更弁とは、その双方または一方が差圧弁として構成されている。更に、吐出部から駆動室に至る経路(作動流体放出経路)において、上記差圧弁として構成された容量変更弁の上流にはパイロット弁が設けられている。パイロット弁は、その開閉を通じて、作動流体が下流側に位置する容量変更弁に送られるか否かを適宜コントロールする。 【0018】請求項8の空調装置では、請求項7の空調装置においてパイロット弁による開閉コントロールについて更に工夫を講じている。本パイロット弁は、その容量変更手段による容量制御が行われている時、すなわち当該パイロット弁の下流側にある容量変更弁の開閉を介して容量制御を行っている時には開いている。当該パイロット弁の下流側において容量制御を担当している容量変更弁に作動流体が送られるようにするためである。一方、他方の容量変更手段、すなわち当該パイロット弁が属さない側の容量変更手段によって容量制御が行われている時は、当該パイロット弁は閉じている。容量変更弁を差圧弁として構成した場合には差圧の関係如何によって当該差圧弁が不用意に開いてしまう可能性があるので、他方の容量変更手段による容量制御に支障をきたす不具合を防止するべく、容量制御を行わない側の容量変更弁に作動流体が送られないようにする工夫である。 【0019】請求項9の空調装置では、請求項8の空調装置におけるパイロット弁を、ソレノイドの励磁または非励磁を介して開閉する構成とされ、パイロット弁の開閉のタイミングや確実な開閉動作を実現することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態である空調装置について、図面を参照しつつ説明していく。図2に示すように、本空調装置100は、概括的に見て、冷房回路151と、暖房回路152と、両回路の駆動源である可変容量型圧縮機101とによって構成されている。なお本発明の構成要素の一つである容量変更手段は、本空調装置100の概括的構成を現した図2においては示されていない。容量変更手段の構造・作用については、後で詳しく説明する。 【0021】この空調装置100は、本実施の形態では車載用の空調装置として構成されており、可変容量型圧縮機101の駆動軸125は車のエンジン170に接続されて駆動される。 【0022】冷房回路151は、可変容量型圧縮機101で圧縮された高圧の作動流体を利用して作動し、可変容量型圧縮機101の吐出部Dから吸入部Sへと至る経路151a上に配置されたコンデンサ155と第1の膨張弁157と熱交換機159とアキュムレータ161とを有する。熱交換機159はエバポレータと通称される。 【0023】暖房回路152は、可変容量型圧縮機101で圧縮された高温高圧の作動流体を利用して作動し、吐出部Dから吐出された作動流体を熱交換機159へ導くバイパス路152a上に配置された第2の膨張弁163と、上記熱交換機159と、アキュムレータ161を有する。すなわち暖房回路152は上記冷房回路151の構成要素の一部を兼用する構造とされている。かかる構造を有する暖房回路152はホットガスバイパスヒータと通称されている。 【0024】熱交換機159は温水ヒータ171と並置されている。温水ヒータ171内には、パイプ173を介してエンジン170からの冷却温水が循環している。図2中、第1の開閉弁153aと第2の開閉弁153bは、冷房回路151と暖房回路152のいずれか一方を択一的に作動させるための切替用弁である。 【0025】冷房回路151作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体がコンデンサ155に送られ、そこで高温の作動流体が有する熱を外部に捨て、作動流体は液化する。次に第1の膨張弁157によって作動流体は減圧されて熱交換機159に送られ、そこで外部の熱を奪ってガス化する。ガス化した作動流体はアキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環されることになる。 【0026】暖房回路152作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体は、第2の膨張弁163によって減圧されて熱交換機159に送られ、そこで外部に熱を放出する。暖房回路152のサイクル中、作動流体は常にガス状態で暖房回路152を循環する。 【0027】本実施の形態において、暖房回路152は補助暖房装置として位置づけられている。すなわち、暖房回路152運転時に熱交換機159で発せられる熱は、既に述べた温水ヒータ171に対する補助暖房用熱源として用いられる。暖房回路152は、例えばエンジン170起動時、あるいは外気温が−20℃等といった低温環境時のごとく、エンジン170の冷却温水では暖房用の熱が足りない場合に、これを補うために用いられる。 【0028】次に図3を参照して可変容量型圧縮機101の構造について説明する。可変容量型圧縮機101の内部には駆動室110が形成されており、その駆動室110内で斜板130が駆動軸125に支持されている。斜板130は駆動軸125に支持されて、駆動軸125に対して傾斜した状態で駆動軸125の回転に伴って回転する。また駆動軸125に対する斜板130の傾斜角は可変となっており、以後、駆動軸125に直交する状態に近づくことを「斜板130が立つ」といい、図示の状態で水平に近づくことを「斜板130が寝る」という。 【0029】斜板130は、その周縁部において、可動シュー131を介してピストン135の頭部と連結されている。ピストン135は、駆動軸125のまわりに計6本配置されており(図では一本しか現されていない)、6個のシリンダボア109内にて図示左右方向にスライド可能に挿入されている。6個のシリンダボア109の円周方向の位置は可変容量型圧縮機101のハウジング101aによって固定されている。 【0030】図示のごとく斜板130が傾斜して駆動軸125と共に回転すると、円周方向については固定されたピストン135に対して斜板130の周縁が滑っていく。斜板130の最もピストン側に傾いた周縁がピストン135に対応して位置しているとき(図1はその状態を示す)、ピストン135はシリンダボア109内に最も深く挿入される。斜板130の最も反ピストン側に傾いた周縁(図3の場合図示下方に示されている周縁)がピストン135に対応して位置しているとき(図3の状態から駆動軸125が180度回転した場合に相当する)、ピストン135はシリンダボア109内から最も大きく抜き出される。駆動軸125が一回転することで各ピストン135は各シリンダボア109内で左右方向に一往復する。 【0031】各シリンダボア109の底部には吸入孔118aと吐出孔123aが設けられ、吸入孔118aに対して吸入弁118が対応位置し、吐出孔123aに対して吐出弁123が対応位置している。各吸入孔118aは吸入室115に連通し、各吐出孔123aは吐出室120に連通している。斜板130によってピストン135が図中左方向に移動する場合、作動流体は吸入口116から吸入室115・吸入孔118a・吸入弁118を介してシリンダボア109内に導入される。次いで、斜板130によってピストン135が図中右方向に移動する際には、吸入された作動流体は圧縮されて高圧状態とされ、吐出孔123a・吐出弁123・吐出室120を介して吐出口121から吐出される。 【0032】この可変容量型圧縮機101の吐出容量は、ピストン135のストローク量によって定められる。ピストン135のストローク量は斜板130の傾斜角度によって定められる。斜板130が寝ているほどピストン135のストローク量は大きく、可変容量型圧縮機101の吐出容量は大きくなる。反対に、斜板130が立つほどピストン135のストローク量は小さく、可変容量型圧縮機101の吐出容量は小さくなる。 【0033】斜板130の傾斜角度は、ピストン135の両側の圧力差、すなわち駆動室110内の圧力とシリンダボア109内の圧力の差によって決定される。本実施の形態では、この差圧は駆動室110内の圧力を増減させることによって調整される。吐出容量を減少させる場合には、吐出室120内の高圧の作動流体を駆動室110へ放出して駆動室110内の圧力を高くする。すると斜板130は立ち、ピストン135のストローク量が減少して吐出容量が減少する。反対に容量を増加させようとする場合には、吐出室120内の作動流体が駆動室110へ放出されないようにする。すると斜板130は寝て行き、ピストン135のストローク量が増大して吐出容量が増大する。 【0034】本実施の形態では、図3に示すように、高圧の作動流体を吐出室120から駆動室110へ放出するのに二つの容量変更手段が設けられている。一つは冷房用容量変更手段301であり、もう一つは暖房用容量変更手段401である。冷房用容量変更手段301は、概括的に見て、冷房用容量変更弁303と、吐出室120と冷房用容量変更弁303とを連絡する第1の冷房用容量変更通路321と、冷房用容量変更弁303と駆動室110とを連絡する第2の冷房用容量変更通路322とから構成されている。暖房用容量変更手段401は、概括的に見て、暖房用容量変更弁403と、吐出室120と暖房用容量変更弁403とを連絡する第1の暖房用容量変更通路421と、暖房用容量変更弁403と駆動室110とを連絡する第2の暖房用容量変更通路422とから構成されている。また、駆動室110と吸入室115とは減圧通路501によって連絡されるとともに、特に図示しないものの減圧通路501上には絞りが設けられている。 【0035】第1および第2の冷房用容量変更通路321,322は、冷房用容量変更弁303に接続されるとともに、両者は弁体305によって連通または非連通のいずれかの状態とされる。弁体305は、吸入圧検出通路313を介して検出される吸入圧Psに基づいて弁体305の開閉を司るベローズ315に接続されるとともに、連結部材311を介してソレノイド309のプランジャー307に連結されている。ソレノイド309は、通電による励磁または非励磁によってプランジャー307に付勢力を与える。すなわち弁体305は、吸入圧Psが所定の圧力以下となった場合にベローズ315によって開かれ、しかもその開弁基準圧はソレノイド309によるプランジャー307への付勢力を適宜調整することによって変更可能とされている。あるいは、ソレノイド309への通電を大きくすることによって、吸入圧Psの大きさ如何に拘わらず弁体305が常に閉じているような高い付勢力がプランジャー307に与えられる。 【0036】第1の暖房用容量変更通路421は、暖房用容量変更弁403内に形成された第1の区画室405に接続される。従って第1の区画室405内の圧力は作動流体の吐出圧Pdとされる。第2の暖房用容量変更通路422は、暖房用容量変更弁403内に形成された第2の区画室407に接続される。従って第2の区画室407内の圧力は駆動室110内の圧力Pcとされる。第1および第2の区画室405,407は弁体409によって連通または非連通のいずれかの状態とされる。弁体409は、スプリング409aによって閉弁方向(図3では右方向)の付勢力を与えられるとともに、第1の区画室405内の圧力(吐出圧)Pdが第2の区画室407内の圧力(駆動室内の圧力)Pcに比べて所定の大きさになった場合に、第2の区画室407内の圧力(駆動室内の圧力)Pcおよびスプリング409aの付勢力の合力に打ち勝って開かれる(図3では弁体409が左方向に移動する)。さらに弁体409は、連結部材411を介してソレノイド415のプランジャー413に連結されている。ソレノイド415は、通電による励磁または非励磁によってプランジャー413に付勢力を与える。すなわち弁体409は、吐出圧Pdが所定の開弁基準圧となった場合に開かれ、しかもその開弁基準圧はソレノイド415によるプランジャー413への付勢力を適宜調整することによって変更可能とされている。あるいはソレノイド415への通電を切断することによって、吐出圧Pdの大きさ如何に拘わらず弁体409が常に閉じているような高い付勢力がスプリング409aによってプランジャー413に与えられる。 【0037】次に本空調装置の作用について説明する。既に説明したように、図2に示す冷房回路151作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高温・高圧となった作動流体はコンデンサ155・第1の膨張弁157・熱交換機159・アキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環される。また、暖房回路152作動時には、可変容量型圧縮機101で圧縮されて高圧となった作動流体は、バイパス路152a上の第2の膨張弁163・熱交換機159・アキュムレータ161を経て再び可変容量型圧縮機101に還流され再循環される。 【0038】吐出容量の制御に関し、まず冷房回路151(図2参照)作動時について説明する。冷房回路151作動時には、上記の冷房用容量変更手段301を用いて容量制御を行い、暖房用容量変更手段401は使用しない。このため冷房用容量変更弁303につき、ソレノイド309への通電を適宜調節し、作動流体の吸入圧Psが所定の基準値となった場合に弁体305が開くように開弁基準圧を設定する。吸入圧Psに関する基準値は、熱交換機159(図2参照)に着霜が生じるおそれのない吸入圧の下限値にあわせておく。つまり吸入圧Psが許容下限値を下回ると、吸入圧Psが異常低圧状態になったと判断し、冷房用容量変更手段301による容量制御が開始されるようにしておく。一方、暖房用容量変更弁403は、冷房回路作動中は常に閉じておき、暖房用容量変更手段401を介して吐出室120から駆動室110へ作動流体が放出されないようにする。具体的には、ソレノイド415への通電を適宜調節し、暖房用容量変更弁403の開弁基準圧を冷房回路作動中の作動流体の吐出圧Pdの上限値より高く設定しておく。この結果、冷房回路作動中は暖房用容量変更弁403の開弁基準圧は常に満たされず、暖房用容量変更弁403は冷房回路作動中は常に閉じていることになる。あるいは、ソレノイド415への通電を切断することによって、吐出圧Pdの大きさ如何に拘わらず弁体409が常に閉じているような高い付勢力をスプリング409aによってプランジャー413に与える。 【0039】冷房回路作動中において、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態にない場合、冷房用容量変更弁303の開弁条件が満たされないため、冷房用容量変更弁303は閉じている。もちろん冷房回路作動時の作動流体の吐出圧は暖房用容量変更弁403の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体409はソレノイド415への通電を調節して強制的に閉じられているため)、暖房用容量変更弁403は閉じている。この結果、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態にない場合には、作動流体は吐出室120から駆動室110へは放出されず、容量制御が行われない。 【0040】一方、冷房回路作動中において、作動流体の吸入圧Psが異常低圧状態となった場合、冷房用容量変更弁303の開弁条件が満たされ(吸入圧Psが所定の低圧状態となり)、冷房用容量変更弁303は開かれる。もちろん冷房回路作動時の作動流体の吐出圧は暖房用容量変更弁403の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体409はソレノイド415への通電を切断して強制的に閉じられているため)、暖房用容量変更弁403は閉じている。この結果、冷房用容量変更弁303の弁体305が開弁方向に移動し、第1および第2の冷房用容量変更通路321,322とが連通される。そして作動流体は高圧側の吐出室120から、第1の冷房用容量変更通路321,冷房用容量変更弁303,第2の冷房用容量変更通路322を経由して、駆動室110に放出されることになる。この結果、「駆動室110内の圧力Pcが上昇」、「斜板130が立つ(斜板130の傾斜角度が減少する)」、「ピストン135のストロークが減少」、「吐出容量が減少」という一連の作用を経て作動流体の吸入圧Psが増加し、吸入圧Psの異常低圧状態が抑制されることになる。なお駆動室110は減圧通路501を介して吸入室115と連通されているものの、減圧通路501に設けられた絞りのため、吸入圧Psの異常低圧対策が終了しないうちに作動流体が駆動室110から吸入室115に逃げてしまうことが防止される。 【0041】駆動室110内の作動流体は少しずつ減圧通路501を経由して吸入室115に送られるとともに、シリンダボア109に再度送られて圧縮され、吐出室120・吐出口121を経て再度冷房回路に吐出されることになる。 【0042】次に暖房回路152(図2参照)作動時における容量制御について説明する。暖房回路152作動時には、上記の暖房用容量変更手段401を用いて容量制御を行い、冷房用容量変更手段301は使用しない。このため暖房用容量変更弁403につき、ソレノイド415への通電を適宜調節し、作動流体の吐出圧Pdが所定の基準値となった場合に弁体409が開くように弁体409の開弁基準圧を設定する。吐出圧Pdに関する基準値は、暖房回路152に過度に高い圧力がかからない適正範囲の上限値にあわせておく。つまり吐出圧Pdが許容上限値を上回ると、吐出圧Pdが異常高圧状態になったと判断し、暖房用容量変更手段401による容量制御が開始されるようにしておく。一方、冷房用容量変更弁303は、暖房回路作動中は常に閉じておき、冷房用容量変更手段301を介して作動流体が吐出室120から駆動室110に放出されないようにする。具体的には、ソレノイド309への通電を適宜調節し、冷房用容量変更弁303の開弁基準圧を暖房回路作動中の作動流体の吸入圧Psの下限値より低く設定しておく。この結果、暖房回路作動中は冷房用容量変更弁303の開弁基準圧は常に満たされず、冷房用容量変更弁403は暖房回路作動中は常に閉じていることになる。あるいは、ソレノイド309への通電を大きくすることによって、吸入圧Psの大きさ如何に拘わらず弁体305が常に閉じているような高い付勢力をプランジャー307に与える。 【0043】暖房回路作動中において、作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態にない場合、暖房用容量変更弁403の開弁条件が満たされないため、暖房用容量変更弁403は閉じている。もちろん暖房回路作動時の作動流体の吸入圧は冷房用容量変更弁303の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体305はソレノイド309への通電を大きくして強制的に閉じられているため)、冷房用容量変更弁303は閉じている。この結果、作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態にない場合には、作動流体は吐出室120から吐出口121を経て暖房回路に送られるのみであり、吐出室120から駆動室110へは放出されないので容量制御が行われない。 【0044】一方、暖房回路作動中において、作動流体の吐出圧Pdが異常高圧状態となった場合、暖房用容量変更弁403の開弁条件が満たされ(吐出圧Pdが所定の高圧状態となり)、暖房用容量変更弁403は開かれる。もちろん暖房回路作動時の作動流体の吸入圧は冷房用容量変更弁303の開弁条件を満たさないため(あるいは弁体305はソレノイド309への通電を大きくして強制的に閉じられているため)、冷房用容量変更弁303は閉じている。この結果、暖房用容量変更弁403の弁体409が開弁方向に移動し、第1および第2の暖房用容量変更通路421,422とが連通される。そして作動流体は高圧側の吐出室120から、第1の暖房用容量変更通路421,暖房用容量変更弁403,第2の暖房用容量変更通路422を経由して、駆動室110に放出されることになる。この結果、「駆動室110内の圧力Pcが上昇」、「斜板130が立つ(斜板130の傾斜角度が減少する)」、「ピストン135のストロークが減少」、「吐出容量が減少」という一連の作用を経て作動流体の吐出圧Pdが減少し、吐出圧Pdの異常高圧状態が抑制されることになる。なお駆動室110は減圧通路501を介して吸入室115と連通されているものの、減圧通路501に設けられた絞りのため、吐出圧Pdの異常高圧対策が終了しないうちに作動流体が駆動室110から吸入室115に逃げてしまうことが防止される。 【0045】駆動室110内の作動流体は少しずつ減圧通路501を経由して吸入室115に送られるとともに、シリンダボア109に再度送られて圧縮され、吐出室120・吐出口121を経て再度暖房回路に吐出されることになる。 【0046】上記した冷房用容量変更手段301および暖房用容量変更手段401は、それぞれが独立し、かつ、並列的に配置されて吐出室120と駆動室110との連通・非連通状態を制御する構成とされている。そして冷房回路作動中は冷房用容量変更手段301のみを使って容量制御し(暖房用容量変更弁403は閉じたままにしておく)、暖房回路作動中は暖房用容量変更手段401のみを使って容量制御する(冷房用容量変更弁303は閉じたままにしておく)。このように二つの容量変更手段を独立かつ並列的に配置して容量制御をおこなう形態を「並列配置型」による容量制御技術として定義する。 【0047】本実施の形態に係る空調装置によれば、一度可変容量型圧縮機101に仕事をさせて昇圧した作動流体を駆動室110に放出するのでエネルギー効率が多少悪くなるものの、少量の放出量によって吐出容量を減少して吸入圧を増加するとともに吐出圧を減少することになり、作動流体を暖房回路152外へ捨てるものではないので極端なエネルギー損失が生じるものではない。また暖房回路152作動のための作動流体が不足するといった事態は生じない。すなわち、本実施の形態によれば、ホットガスバイパスヒータである暖房回路を備えた空調装置において、暖房運転時の異常高圧状態を抑制するために暖房回路内の作動流体を冷房回路に放出してしまって暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出してしまってエネルギー効率が非常に悪くなるといった問題が生じない。 【0048】(本実施の形態の第1の変更例)本実施の形態に関する第1の変更例が図4に示される。これは上記した暖房用容量変更手段401の構成を異ならしめた変更例である。図4に示すように、本変更例に係る可変容量型圧縮機701では、暖房用容量変更手段601が、概括的に見て、パイロット通路621(上記実施の形態の第1の暖房用容量変更通路421に相当する),パイロット弁619,暖房用容量変更弁603,第2の暖房用容量変更通路422とによって構成されている。吐出室120は第1のパイロット通路621aを通じてパイロット弁619に連絡されている。パイロット弁619は第2のパイロット通路621bを通じて暖房用容量変更弁603の第1の区画室605に連絡されている。暖房用容量変更弁603内には更に第2の区画室607が形成され、第2の区画室607は第2の暖房用容量変更通路422を介して駆動室110に連絡されている。第1の区画室605と第2の区画室607の間には弁体609が配置されている。弁体609は、通常は、スプリング609aによる閉弁方向(図4では右方向)への付勢力によって第1および第2の区画室605,607とを非連通状態としている。弁体609は、第1の区画室605内の圧力と第2の区画室607内の圧力との差圧によって開かれる構造とされている。すなわち暖房用容量変更弁603は差圧弁として構成されている。パイロット弁619は、通常は、第1および第2のパイロット通路621a,621bを非連通状態とするとともに、ソレノイド615への通電により開弁方向へ移動し得る構成とされている。開弁方向に移動した場合には、第1および第2のパイロット通路621a,621bとは連通状態とされる。 【0049】その他の構成、たとえば可変容量型圧縮機自体の構造や、冷房用容量変更手段301の構造については上記した本発明の実施の形態と同等であり、詳細な説明は便宜上省略する。 【0050】さて、本変更例においては、冷房回路作動中は、冷房用容量変更手段301のみによって作動流体の吸入圧の異常低圧対策を講じるため、暖房用容量変更手段601は作動流体を吐出室120から駆動室110に放出しないようにする必要がある。差圧自体を外部からコントロールすることはできないので、差圧弁の構造を有する暖房用容量変更弁603が冷房回路作動中に不用意に開き、冷房用容量変更手段301による容量制御に干渉してしまうおそれがあるからである。従って、冷房回路作動中はパイロット弁619を強制的に閉じておき(図4の状態)、パイロット通路621を非連通状態とする。すなわち冷房回路作動中は、パイロット弁619を常に閉じておき、作動流体が暖房用容量変更手段601を経由して吐出室120から駆動室110へ放出されないようにする。冷房回路作動中の冷房用容量変更手段301の働きについては、上記実施の形態と同等であり、詳細な説明は便宜上省略する。 【0051】一方、暖房回路作動中は、暖房用容量変更手段601のみによって作動流体の異常高圧対策を講じるべく、作動流体が吐出室120から暖房用容量変更弁603に送られるようにパイロット弁619を開けておく必要がある。このため、ソレノイド615を通電して励磁し、パイロット弁619を開かせる。これによりパイロット通路621は連通状態とされ、作動流体は吐出室から第1の区画室605に送られることになる。この結果、第1の区画室605内の圧力は吐出圧Pdとされ、第2の暖房用容量変更通路422を経由して第2の区画室607内に導かれた駆動室110内の圧力Pcとともに弁体609に作用する。 【0052】暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態にない場合、すなわち異常高圧状態にない場合には、第1の区画室605内の吐出圧Pdは、スプリング609aの閉弁方向への付勢力と第2の区画室607内の圧力Pcとの合力に打ち勝てず、暖房用容量変更弁603が閉じられている。また上記した本発明の実施の形態と同様に、冷房用容量変更弁303は暖房回路作動時には常に閉じられている。従って、作動流体は吐出室120から駆動室110へと放出されず、容量制御は行われない。 【0053】暖房回路作動中において作動流体の吐出圧Pdが所定の高圧状態となった場合、すなわち異常高圧状態となった場合には、第1の区画室605内の吐出圧Pdは、スプリング609aの閉弁方向への付勢力と第2の区画室607内の圧力Pcとの合力に抗して弁体609を開弁方向に押し、暖房用容量変更弁603が開かれる。もちろん、この時冷房用容量変更弁303は閉じられている。この結果、吐出室120内の高圧の作動流体は、第1のパイロット通路621a,開かれたパイロット弁619,第2のパイロット通路621b,開かれた暖房用容量変更弁603,第2の暖房用容量変更通路422を経由して駆動室110に放出されることになり、上記実施の形態で説明したのと同様の作用により、吐出圧Pdの異常高圧対策が講じられることになる。 【0054】(他の変更例)上記した「並列配置型」による容量制御技術について考えられる他の変更例について、図5から図8までにシステマチックに示す。 【0055】並列配置型容量制御技術では、吐出室120と駆動室110との間に、作動流体の吸入圧の異常低圧対策を講じるための吸入圧制御用容量変更手段701と、吐出圧の異常高圧対策を講じるための吐出圧制御用容量変更手段702とを並列的に配置する。図5に示すように、吸入圧制御用容量変更手段701は吸入圧制御弁711を有し、吐出圧制御用容量変更手段702は吐出圧制御弁712を有する。また駆動室110と吸入室115とを連絡する減圧通路上には絞り731を配置する。なお、並列配置の態様としては、図5から図8までに示すように、吐出室120と駆動室110とを基本的に一本の経路で連絡するとともに、当該経路の途中に各容量変更手段を並列的に配置する態様の他、吐出室120と駆動室110とを別個の二本の経路で連絡するとともに、各経路の途中にそれぞれ容量変更手段を配置する態様がある。上記した本実施の形態およびその第1の変更例では後者の態様(別個の二本の経路の途中に各容量変更手段を配置する態様)を用いている。各制御弁711,712については、差圧弁の構成を基調としつつソレノイド等を用いてその開弁基準圧を適宜変更できる弁、あるいは外部的制御によって強制的に開閉をコントロールすることができる弁を用いることができる。こうした弁構造を「外部制御弁」と定義する。また、各制御弁711,712には、作動流体の吸入圧Psとそれ以外の圧力(例えば大気圧,真空圧)との差圧によって、あるいは作動流体の吐出圧Pdとそれ以外の圧力(例えば大気圧,真空圧,駆動室内の圧力Pd,吸入圧Ps)との差圧によって開閉される差圧弁を用いることができる。こうした弁構造を「内部制御弁」と定義する。「内部」の語を用いるのは、典型的には空調装置内の圧力の差によって開閉する差圧弁を用いるからである。内部制御弁では、その開閉条件が二つの圧力関係に依存し、装置の構造の簡素化が図られるものの、その開閉を外的操作によってコントロールすることができない。 【0056】さて、外部制御弁を用いて容量制御を行う場合には、作動流体の吸入圧または吐出圧の圧力状態に応じて外部制御弁を開閉せしめ、しかも他方の容量変更手段が容量制御を行う際には閉弁して他方の容量変更手段が担当する容量制御に不用意に干渉しないようにする。図5は、各制御弁711,712双方に外部制御弁を採用した場合のシステム図を示す。 【0057】一方、容量変更手段として内部制御弁を用いる場合、上記のように内部制御弁の開閉条件は二つの圧力関係(典型的には空調装置内の二つの圧力関係)に依存し、その開閉を外的操作によってコントロールすることができないので、他の容量変更手段による容量制御を行っている最中に不用意に開いてしまい、他の容量変更手段が担当する容量制御に干渉してしまうおそれがある。そこで内部制御弁の上流側にパイロット弁を配置するとともに、容量制御時にはパイロット弁を開けて制御弁に作動流体が送られるようにし、他方の容量変更手段が容量制御を行う時にはパイロット弁を閉じてしまい、他方の容量変更手段による容量制御の妨げとならないようにする。 【0058】図6は、吸入圧制御用容量変更手段701には、内部制御弁として構成される制御弁711とその上流側にパイロット弁711aを配置し、吐出圧制御用容量変更手段702には外部制御弁として構成される制御弁712を配置した変更例を示す。 【0059】図7は、吸入圧制御用容量変更手段701には、外部制御弁として構成される制御弁711を配置し、吐出圧制御用容量変更手段702には内部制御弁として構成される制御弁712とその上流側にパイロット弁712aを配置した変更例を示す。 【0060】図8は、吸入圧制御用容量変更手段701および吐出圧制御用容量変更手段702ともに、内部制御弁として構成される制御弁711,712と各上流側にパイロット弁711a,712aを配置した変更例を示す。 【0061】上記した本実施の形態は図5に示す制御形態(ともに外部制御弁として構成される並列配置型容量制御)に係るものであり、上記した第1の変更例は図7に示す制御形態(吸入圧制御には外部制御弁を用い、吐出圧制御には内部制御弁およびその上流に配置されたパイロット弁を用いて構成される並列配置型容量制御)に係るものである。もちろん図6に示す制御形態(吸入圧制御には内部制御弁およびその上流に配置されたパイロット弁を用い、吐出圧制御には外部制御弁を用いて構成される並列配置型容量制御)や、図8に示す制御形態(吸入圧制御および吐出圧制御ともに、内部制御弁およびその上流に配置されたパイロット弁を用いて構成される並列配置型制御)を採用することが可能である。また図6から図8において、パイロット弁を内部制御弁の下流に配置することも可能である。 【0062】なお本実施の形態およびその変更例では、冷房用容量変更手段および暖房用容量変更手段は、いずれも可変容量型圧縮機の内部に設けられる構成であったが、それらの全て、あるいは一部を可変容量型圧縮機外に設ける構成としてもよい。また、可変容量型圧縮機のピストンの本数を変更し、あるいはピストンを斜板の片側でなく両側に配置する構成としてもよい。 【0063】 【発明の効果】本発明は、ホットガスバイパスヒータ回路を備えた空調装置に従来の可変容量型圧縮機の吐出容量制御技術を応用することで、特開平7−19630号公報に開示された空調装置における異常高圧対策技術の問題点、即ち、ホットガスバイパスヒータ回路内の作動流体が冷房回路に放出されて暖房能力が不足するという問題点や、圧縮機に仕事をさせて高圧に昇圧した作動流体を暖房回路外に無駄に放出することからエネルギー効率が悪いといった問題点が解決されることとなった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成11年1月12日(1999.1.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064344 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−205667(P2000−205667A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月28日(2000.7.28) |
| 【出願番号】 |
特願平11−5832 |
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