| 【発明の名称】 |
吸収式冷凍機及びそれに使用する伝熱管 |
| 【発明者】 |
【氏名】古川 雅裕
【氏名】伊良皆 数恭
【氏名】佐伯 主税
【氏名】高橋 宏行
|
| 【要約】 |
【課題】熱交換に寄与する面積を増加させると共に、表面張力の大きい冷媒液や吸収液が管の外表面に過剰に滞留しないようして、熱交換特性を改善する。
【解決手段】銅製の伝熱管1の内表面に複数の突条2がほぼ等間隔で螺旋状に並設されている。突条2はリード角40〜50度に形成され、高さは0.1〜0.3mmである。管の外表面には0.4〜0.8mmピッチで列設された多数の突起3からなる突起列4が螺旋状に並設されている。突起列4と突条2とは逆方向に螺旋を描いている。突起3は底面の真上に頂点がある四角錐の上部を底面に平行な面で切り取った時の下部側に類似した形状に形成され、基部の一辺は0.4〜0.7mm、頂部3Aの一辺は0.2〜0.4mmである。突起3の高さは0.2〜0.4mmであるが、突条2がある部位では他の部位より低くなっている。また、突起列4は何れも突起3が同じピッチで列設されているが、隣接する突起列4の突起3同士は、位相が1/3づつずれている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収液に塩基の水溶液、冷媒に水を使用する吸収式冷凍機において、管内面に突条が螺旋状に形成された伝熱管の管外面に先端に平面を有する高さ0.2〜0.4mmの突起を、前記突条とは逆向きの螺旋状に0.7〜1.4mmピッチで互いに離間した複数列に0.4〜0.8mmピッチの連続に形成し、この伝熱管を水平または略水平に設置して前記水が管外面に滴下または流下される蒸発器、またはこの伝熱管を水平または略水平に設置して前記水溶液が管外面に滴下または流下される吸収器、またはこの伝熱管を水平または略水平に設置して前記水が蒸気で管外面に供給される凝縮器の少なくとも何れかを構成することを特徴とする吸収式冷凍機。 【請求項2】 前記伝熱管の管外突起の先端平面部に凹陥部または突出部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の吸収式冷凍機。 【請求項3】 前記伝熱管の管外突起の平面の間隔が、同一列において0.2〜0.8mm離間して形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の吸収式冷凍機。 【請求項4】 前記伝熱管の管外突起が円周方向に長い矩形に形成されたことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項5】 前記伝熱管の管外突起が最大間隔を最小間隔の1.5〜2.5倍の隙間を有する複数列に形成されたことを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項6】 前記伝熱管の管外突起が前記突条とはリード角50度以下の逆向きの螺旋状に形成されたことを特徴とする請求項1〜5何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項7】 前記伝熱管の管外突起の先端に一辺が0.2〜0.4mmの面が形成されると共に、前記突起の底面が一辺0.4〜0.7mmに形成されたことを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項8】 前記伝熱管の管外突起の列設方向を向いている面の傾斜が、他方を向いている面の傾斜より緩くなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜7何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項9】 前記伝熱管の管軸方向に隣接する管外突起同士が非直線的に配設されたことを特徴とする請求項1〜8何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項10】 前記伝熱管の管内面の突条が高さ0.1〜0.3mm、リード角40〜50度に形成されたことを特徴とする請求項1〜9何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項11】 前記伝熱管の管内面の突条が傾斜した略平面状の頂部を有することを特徴とする請求項1〜10何れかに記載の吸収式冷凍機。 【請求項12】 水平又は略水平に設置されて管内を流れる媒体と管外に滴下、流下又は供給される水との間で熱交換を行う伝熱管において、この伝熱管の管内面に突条を螺旋状に形成すると共に、この伝熱管の管外面に先端に平面を有する高さ0.2〜0.4mmの突起を前記突条とは逆向きの螺旋状に0.7〜1.4mmピッチで互いに離間した複数列に0.4〜0.8mmピッチの連続に形成したことを特徴とする伝熱管。 【請求項13】 前記管外突起の先端平面部に凹陥部または突出部が形成されたことを特徴とする請求項12記載の伝熱管。 【請求項14】 前記管外突起の平面の間隔が、同一列において0.2〜0.8mm離間して形成されたことを特徴とする請求項12または13記載の伝熱管。 【請求項15】 前記管外突起が円周方向に長い矩形に形成されたことを特徴とする請求項12〜14何れかに記載の伝熱管。 【請求項16】 前記管外突起が最大間隔を最小間隔の1.5〜2.5倍の隙間を有する複数列に形成されたことを特徴とする請求項12〜15何れかに記載の伝熱管。 【請求項17】 前記管外突起が前記突条とはリード角50度以下の逆向きの螺旋状に形成されたことを特徴とする請求項12〜16何れかに記載の伝熱管。 【請求項18】 前記管外突起の先端に一辺が0.2〜0.4mmの面が形成されると共に、前記突起の底面が一辺0.4〜0.7mmに形成されたことを特徴とする請求項12〜17何れかに記載の伝熱管。 【請求項19】 前記管外突起の列設方向を向いている面の傾斜が、他方を向いている面の傾斜より緩くなるように形成されたことを特徴とする請求項12〜18何れかに記載の伝熱管。 【請求項20】 管軸方向に隣接する前記管外突起同士が非直線的に配設されたことを特徴とする請求項12〜19何れかに記載の伝熱管。 【請求項21】 管内面の前記突条が高さ0.1〜0.3mm、リード角40〜50度に形成されたことを特徴とする請求項12〜20何れかに記載の伝熱管。 【請求項22】 管内面の前記突条が傾斜した略平面状の頂部を有することを特徴とする請求項12〜21何れかに記載の伝熱管。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、吸収液に塩基の水溶液、冷媒に水を使用する吸収式冷凍機と、その蒸発器、凝縮器、吸収器の内部に設置する伝熱管に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に吸収式冷凍機では、蒸発器においては伝熱管内を流れるブラインと冷媒との間で熱交換が行われ、凝縮器においては伝熱管内を流れる冷却水と冷媒との間で熱交換が行われている。伝熱管の外周表面には冷媒が濡れて拡がるように凹凸が形成され、冷媒と管内を流れるブラインまたは冷却水との熱交換を促進させている。この凹凸の形状としては、例えば図14・図15に示したような突起が知られている。図14に示した伝熱管1Xは、外面に互いに平行なフィン11が形成されたものであり、この構成によって管外表面を増大させ、熱交換特性の向上を図っている。 【0003】一方、図15に示した伝熱管1Xは、図14のフィン11と同様にフィン12を形成し、このフィン12の頂部に直交する方向に延びる第1の切れ込み13を設け、さらにフィン12の頂部に沿ってこの頂部を二分割するように形成された第2の切れ込み14を設けてあり、管外の表面積を図14に示す伝熱管1Xよりさらに増大している。 【0004】また、図15の伝熱管1Xにおける第1の切り込み13を、頂部の延設方向に40〜60度の角度で交差して設け、表面積をさらに増大させたものもある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの伝熱管は、管の外表面積を増大させることにのみ腐心していたため、例えば吸収液に臭化リチウムなどの塩基の水溶液を使用し、冷媒に水を使用する吸収式冷凍機では、この伝熱管に上方から冷媒の水または吸収液を散布、滴下、流下したときに、管外の複雑で深い凹み部に付着し停滞する液が多くなるものであった。 【0006】この付着した冷媒の水や吸収液は熱抵抗となって伝熱性能を低下させるため、蒸発器の伝熱管表面においては冷媒の蒸発機能が、凝縮器の伝熱管表面においては冷媒の凝縮機能が、吸収器の伝熱管表面においては吸収液による冷媒の吸収機能がそれぞれ低下すると云った問題点があった。 【0007】また、凹み部に冷媒の水や吸収液が停滞するため、管外での液の濡れ拡がり性が悪くなり、その結果管外に水や吸収液の膜が厚く形成されて伝熱性能が低下する問題点もあった。 【0008】このため、伝熱管の管外を伝熱作用に寄与する面積が増加するように構成するのは勿論、冷媒として使用する水や吸収液の特性、特に表面張力を考慮して、管外に付着した液が停滞して熱抵抗が増加しないように、液の濡れ拡がり性を良好に保つと共に、冷媒の水や吸収液を広く薄く付着させて熱交換特性を改善する必要があり、これが解決すべき課題であった。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は上記した従来技術の課題を解決するためになされたものであって、吸収液に塩基の水溶液、冷媒に水を使用する吸収式冷凍機において、管内面に突条が螺旋状に形成された伝熱管の管外面に先端に平面を有する高さ0.2〜0.4mmの突起を、前記突条とは逆向きの螺旋状に0.7〜1.4mmピッチで互いに離間した複数列に0.4〜0.8mmピッチの連続に形成し、この伝熱管を水平または略水平に設置して前記水が管外面に滴下または流下される蒸発器、またはこの伝熱管を水平または略水平に設置して前記水溶液が管外面に滴下または流下される吸収器、またはこの伝熱管を水平または略水平に設置して前記水が蒸気で管外面に供給される凝縮器の少なくとも何れかを構成するようにした第1の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起の先端平面部に凹陥部または突出部が形成された伝熱管を用いるようにした第2の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起の平面の間隔が、同一列において0.2〜0.8mm離間して形成された伝熱管を用いるようにした第3の構成の吸収式冷凍機と、管外突起が円周方向に長い矩形に形成された伝熱管を用いるようにした第4の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起が最大間隔を最小間隔の1.5〜2.5倍の隙間を有する複数列に形成された伝熱管を用いるようにした第5の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起が前記突条とはリード角50度以下の逆向きの螺旋状に形成された伝熱管を用いるようにした第6の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起の先端に一辺が0.2〜0.4mmの面が形成されると共に、前記管外突起の底面が一辺0.4〜0.7mmに形成された伝熱管を用いるようにした第7の構成の吸収式冷凍機と、前記管外突起の列設方向を向いている面の傾斜が、他方を向いている面の傾斜より緩く形成された伝熱管を用いるようにした第8の構成の吸収式冷凍機と、管軸方向に隣接する前記管外突起同士が非直線的に配設された伝熱管を用いるようにした第9の構成の吸収式冷凍機と、管内面の前記突条が高さ0.1〜0.3mm、リード角40〜50度に形成された伝熱管を用いるようにした第10の構成の吸収式冷凍機と、管内面の前記突条が傾斜した略平面状の頂部を有する伝熱管を用いるようにした第11の構成の吸収式冷凍機と、【0010】水平又は略水平に設置されて管内を流れる媒体と管外に滴下、流下又は供給される水との間で熱交換を行う伝熱管において、この伝熱管の管内面に突条を螺旋状に形成すると共に、この伝熱管の管外面に先端に平面を有する高さ0.2〜0.4mmの突起を前記突条とは逆向きの螺旋状に0.7〜1.4mmピッチで互いに離間した複数列に0.4〜0.8mmピッチの連続に形成するようにした第1の構成の伝熱管と、前記管外突起の先端平面部に凹陥部または突出部を形成するようにした第2の構成の伝熱管と、前記管外突起の平面の間隔を、同一列において0.2〜0.8mm離間して形成するようにした第3の構成の伝熱管と、前記管外突起を円周方向に長い矩形に形成するようにした第4の構成の伝熱管と、前記管外突起が最大間隔を最小間隔の1.5〜2.5倍の隙間を有する複数列に形成するようにした第5の構成の伝熱管と、前記管外突起を前記突条とはリード角50度以下の逆向きの螺旋状に形成するようにした第6の構成の伝熱管と、前記管外突起の先端に一辺が0.2〜0.4mmの面を形成すると共に、前記突起の底面を一辺0.4〜0.7mmに形成するようにした第7の構成の伝熱管と、前記管外突起の列設方向を向いている面の傾斜を、他方を向いている面の傾斜より緩く形成するようにした第8の構成の伝熱管と、管軸方向に隣接する前記管外突起同士を非直線的に配設するようにした第9の構成の伝熱管と、管内面の前記突条を高さ0.1〜0.3mm、リード角40〜50度に形成するようにした第10の構成の伝熱管と、管内面の前記突条が傾斜した略平面状の頂部を有するようにした第11の構成の伝熱管とを提供するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明になる吸収式冷凍機の実施形態を、図1〜図13に基づいて説明する。図1は吸収式冷凍機の構成を示す概略図であり、吸収液に臭化リチウムなどの塩基の水溶液、冷媒に水を用いている。吸収液と冷媒との混合液がバーナなどの加熱器51を備える高温再生器52で加熱されて高温の冷媒蒸気を分離し、この高温の冷媒蒸気が低温再生器53で加熱作用した後、凝縮器54に入って吸収器55を通ってきた冷却水で冷却されて凝縮液化する。 【0012】この液化した冷媒は蒸発器56で負荷を循環するブライン(冷水など)の熱で蒸発し、再気化して冷水を冷やし、再気化した冷媒は吸収器55で低温再生器53から戻される濃吸収液に吸収されて稀液となり、再び高温再生器52に吸収液ポンプ57で送られて上記したような冷媒の循環が維持される。 【0013】なお、高温再生器52で冷媒を蒸発分離して高濃度となった吸収液は、高温熱交換器59および低温熱交換器58で吸収液ポンプ57から送られる稀液と熱交換を行い、また低温再生器53で冷媒蒸気と熱交換を行っている。 【0014】そして、凝縮器54、吸収器55、蒸発器56には、それぞれ図1に示すようにほぼ水平に設置された複数の伝熱管1A、1B、1Cが配置されている。凝縮器54では冷媒が蒸気の状態で伝熱管1Aに供給され、吸収器55では吸収液が伝熱管1Bに上方から滴下または流下され、蒸発器56では冷媒が伝熱管1Cに冷媒ポンプ60により上方から滴下または流下されている。 【0015】本発明になる吸収式冷凍機においては、この伝熱管1A、1B、1C(以下、設置位置を問題としないときにはA、B、Cを省略して示す。)は図2、図3などに示すような加工が管の内外に施されている。 【0016】このような形状の伝熱管1は、例えば外形が16mm、肉厚が0.7mmのリン脱酸銅管(JISH3300、C1201−1/2H)を使用して管外面に螺旋状のフィンを管軸方向に一定のピッチにて転造加工し、歯車ディスクにて管周方向に一定のピッチにて押し込み、管外面に螺旋状の独立した突起3を形成する。また、管内面には螺旋状に溝が形成されたマンドレルを配置し、管外面に螺旋状の突起3を形成するのと同時に、管内面に螺旋状の突条2を形成する。 【0017】なお、原管については、リン脱酸銅に限定されるものではなく、銅合金、リチウム合金、鋼材などの種々の材質を使用することができる。また、調質についても1/2に限定されるものではなく、例えば調質は0材でも良い。 【0018】管内面の突条2は複数、例えば8本がほぼ等間隔、すなわち約5.5mmピッチで螺旋状に並設されている。なお、各突条2はリード角40〜50度に形成され、且つ、その高さは0.1〜0.3mmである。また、各突条2は傾斜した略平面状の頂部を有している。 【0019】これらの値は伝熱管の中をブライン、例えば水(または同等の特性を備えたもの)を流す際の熱交換率と通過抵抗とを考慮して設定した値であり、突条2のピッチを小さく、且つ、高さを高くして熱交換効率が高くなるようにするには、ブラインの流速を遅くして突条2同士の間にブラインが拡がるようにすれば良いが、単位時間当たりのブラインの流量が減り、装置を大型化しない限り満足のいく流量と熱交換量を得ることができない。 【0020】また、ピッチを大きく、且つ、高さを低くすると単位時間当たりのブラインの流量は確保できるが、熱交換量が小さくなるので、負荷へのブラインの循環量を充分に大きくしなければ、負荷へ満足のいく熱量供給ができないものである。 【0021】また、リード角も40度以下になるとブラインの伝熱管内での停滞時間が短くなって熱交換量が減り、また、リード角が50度を越えるとブラインの通過抵抗が大きくなって熱交換量が減るものである。 【0022】また、伝熱管1の外表面には、0.4〜0.8mmピッチで列設された多数の突起3からなる突起列4が螺旋状に並設されている。突起列4は複数、例えば4A・4B・4Cの三列があり、それぞれが0.7〜1.4mmピッチで並設され、且つ、伝熱管1の外表面(管外)に形成される突起列4と伝熱管1の内表面(管内)に形成される突条2とは逆方向に螺旋を描いている。 【0023】このように、管外と管内とで冷媒液(水)または吸収液とブラインとの流れを交差させることによって熱交換量が増加する。特に、図7に示したように突起列4のリード角θ3を0度以上、50度以下とすることで、管外での排液性(水または吸収液の膜を厚くしない)と液の濡れ拡がり性の両方が確保できると云った利点がある。 【0024】この場合、各突起3は正方形の底面の真上に頂点がある四角錐の上部を底面に平行な面で切り取った時の下部側に類似した形状に形成されてあり、基部の一辺は0.4〜0.7mm、頂部3Aの一辺は0.2〜0.4mmとなっている。 【0025】このようにして決まる基部と頂部の面積で頂部の面積が小さくなる方向に値が外れると、突起先端部の面積が減少して突起先端部の冷媒液(水)または吸収液は、突起3同士の間の間隙に流れ込み易くなり、突起間にある液の膜厚が厚くなって性能が低下する。一方、頂部3Aの面積比が大きくなる方向に外れると、突起3同士の間隙が相対的に狭くなり、液が濡れ拡がらなくなる。 【0026】また、各突起3の斜面3B、すなわち突起3が列設されている方向を向いた斜面は傾斜角θ1が35〜65度であり、斜面3C、すなわち突起列4が並設されている方向を向いた斜面は傾斜角θ2は60〜90度であり、斜面3Bの方が斜面3Cより緩く形成されている。 【0027】したがって、突起3の空間S1に面した斜面3Cは冷媒液(水)や吸収液を速やかに空間S1に導き、突起3の空間S2に面した斜面3Bは冷媒液(水)や吸収液を斜面3Cより遅く空間S2に導くものであり、管外の液は突起3の主に頂部3Aと斜面3B、空間S2を経て空間S1に導かれるものである。 【0028】また、突起3の高さは0.2〜0.4mmであるが、突条2が内面に形成されている部位の管外面に形成された突起3は他の部位に形成された突起3より僅かに、例えば最大で大略0.1mmほど低く形成されている。 【0029】また、突起列4A・4B・4Cは、何れも突起3が同じピッチで列設されて形成されているが、隣接する突起列4の突起3同士は、図3に示したように位相が1/3づつずれて配設されている。 【0030】上記構成の伝熱管1においては、管の外表面に所要の寸法の突起3を多数設けることで伝熱面積の増大を図っているが、管外面には深い凹み部が形成されていないし、突起3同士の間の空間は外側程拡がった形状であるので、フロンなどに比べると表面張力が数倍にもなる冷媒液(水)や吸収液を、水平に設置した状態で付着させたときにも、伝熱管1の外表面に液が過剰に留まることがない。 【0031】なお、このように伝熱管1の外表面に表面張力の大きい水や吸収液が過剰に留まることがないようにするためには、突起3は0.4mmより高くしてはならない。また、突起3を0.4mmより小さいピッチで列設したり、突起列4を0.7mmより小さいピッチで並設することも好ましくない。 【0032】一方、突起3を0.2mmより低くしたり、0.8mmより大きいピッチで列設したり、突起列4を1.4mmより大きいピッチで並設すると、水や吸収液の過剰付着は容易に回避できるが、今度は伝熱管1の外表面積が小さくなり過ぎて熱交換特性が低下するので好ましくない。 【0033】また、伝熱管1の外表面に表面張力の大きい水や吸収液が過剰に留まることがないようにすると共に、外表面積が小さくなり過ぎて熱交換特性が低下しないようにする観点から、伝熱管1の各突起列4における隣接する突起3同士の頂部3Aは、0.2〜0.8mmの範囲で離間して設けることが好ましい。 【0034】なお、伝熱管1は、脱脂処理などのそれ自体は従来周知の親水性処理を行って使用される。 【0035】したがって、伝熱管1の外表面に滴下された冷媒液(水)や吸収液、伝熱管1の外表面で凝縮した水滴は突起3同士の間に入り込み、対向する斜面3C同士で囲われた広いU字状の空間S1を通って重力作用により下方に流れ落ちると共に、一部は対向する斜面3B同士で囲まれたV字状の空間S2を通って横方向にも拡がる。なお、突起3の高さを0.4mm以下に制限しているので、付着する液が多いときには、液は突起3を簡単に乗り越えて下方や横方向に拡がる。 【0036】そして、突起列4同士の間に形成されたU字状の空間S1は、伝熱管1内に通す水が攪拌されて常に均一な熱状態が維持されるように、回転力を与えるために設けた突条2の螺旋方向とは逆方向に螺旋を描いているので、伝熱管1内を流れる水とU字状の空間S1を通って下方に流れる冷媒液(水)や吸収液とは対向流となり、内外の液が同一方向に回転しながら流れる伝熱管より熱交換特性が高い。 【0037】なお、伝熱管1の内面に形成する突条2は、リード角が40度より小さいと高さが0.3mmあっても内部に通す水を回転させて攪拌する作用が小さく、リード角が50度を越すと通過する水を攪拌させる作用は大きくなるが、高さを0.1mmに抑えても通過抵抗が大きくなり過ぎるので、リード角は40〜50度の範囲とするのが好ましい。 【0038】また、この突条2は頂部が略平面状に形成されて管の肉厚増加が抑えられているので、突条2が形成されている部分でも熱交換特性が良い。また、略平面状の頂部が傾斜して設けられているので、水が低い側から突条2を乗り越える方向に水を流すと通過抵抗を少なくすることができ、水が高い側から突条2を乗り越える方向に水を流すと攪拌作用を強めることができる。 【0039】また、V字状の空間S2を通って横方向に拡がる冷媒液(水)や吸収液も、この空間S2が非直線的に配置されているため、真横方向ではなく螺旋を描くように拡がって異なる高さの液と混合され、温度を均一化する作用があるので、液が単に真横に拡がるように構成した伝熱管より熱交換特性が高い。 【0040】また、突条2が内面に形成された部位の外表面の突起3は他の部位の突起3より低く形成されて、その部位の肉厚増加が抑えられているので、全ての突起3を同じ高さに形成した伝熱管より熱交換特性が高い。 【0041】したがって、表面張力が大きい冷媒液(水)や塩基の吸収液を冷媒として使用する吸収式冷凍機の、例えば蒸発器56の内部に上記構成の伝熱管1を水平に設置し、その上方から冷媒の水を散布したときには、水は伝熱管1の外表面に薄く付着し、その熱抵抗を小さく保つことができるため、伝熱管1の外表面に付着した冷媒の水は管内に通す水などから熱を奪って速やかに蒸発することができる。 【0042】図8は、例えば管外面にいかなる突起も有さない伝熱管を蒸発器56の伝熱管1Cとし、この伝熱管1Cに冷媒液を0.5l/min.mで散布したときの熱通過率を100%として、例えば管内面に高さ0.2mmの突条2がリード角43度に形成され、一辺が0.3mmの正方形の平坦な高さ0.3mmの頂部3Aを有する突起3を、前記突条とは逆向きの螺旋状にリード角3度で0.6mmピッチに列設して形成する複数の突起列4を0.9mmピッチで複数列に配設して形成した本発明の伝熱管と、図15に示した形状の従来の伝熱管の熱通過率とを比較したものであり、この比較試験結果から明らかなように、本願発明の伝熱管では管外面にいかなる突起も有さない伝熱管はもちろん、図15に示した形状の伝熱管に比べても熱通過率が改善されている。 【0043】また、前記吸収式冷凍機の凝縮器54の内部に上記構成の本発明の伝熱管1を水平に設置し、内部に通す冷却水で吸熱して冷媒蒸気である水蒸気を凝縮させる場合には、管内の冷却水に放熱して凝縮した冷媒の水が伝熱管1の表面に過剰に滞留して熱抵抗となることがないので、冷媒蒸気は管内を通る冷却水に次々に放熱して凝縮し、この凝縮した水は管外表面に深い溝部がないので速やかに流下する。 【0044】また、前記吸収式冷凍機の吸収器55の内部に上記構成の本発明の伝熱管1を水平に設置し、その上方に低温再生器53から供給される濃吸収液を散布したときにも、濃吸収液は伝熱管1の外表面に薄く付着し、その熱抵抗を小さく保つことができるため、伝熱管1の外表面に付着した濃吸収液は管内に通す水などから熱を奪って速やかに温度を下げ、蒸発器56から蒸発して入ってきた冷媒蒸気はこの温度が下がった濃吸収液に速やかに吸収され、冷媒を吸収して管外表面で生成された稀液は管外表面に深い溝部がないので速やかに流下する。 【0045】図9は、例えば管外面に突起を有さない伝熱管を吸収器55の伝熱管1Bとし、この伝熱管1Bに吸収液を0.9l/min.mで散布したときの熱通過率を100%として、前記図8の実験データを得るときに使用した本発明の伝熱管の熱通過率を比較調査したものであり、この比較試験結果から明らかなように、本願発明の伝熱管では管外面に突起を有さない伝熱管よりも熱通過率が大幅に改善されている。 【0046】なお、伝熱管1の突起3は、長辺が短辺の例えば1.5〜2.5倍の長さである長方形の底面の真上に頂点がある四角錐の上部を底面に平行な面で切り取った時の下部側に類似した形状とし、図10に示したように長辺が突起3の列設方向に沿い、短辺が突起列4の並設方向に沿うように配設しても良い。 【0047】また、伝熱管1の突起3の頂部3Aには、例えば図11(A)、(B)に示した十字状の凹陥部5、図11(C)に示した半球状の凹陥部5などを設けて突起3の表面積を増やし、熱交換特性の一層の向上を図ることも可能である。そして、これらの凹陥部5は、頂部3Aの高さの例えば20〜90%の範囲の深さで設けられることが好ましい。 【0048】また、伝熱管1の突起3の頂部3Aには、図12に示した半球状の突出部6などを頂部3Aの高さの例えば20〜90%の範囲で設けて、突起3の表面積の増大を図るようにすることも可能である。 【0049】また、伝熱管1の外表面に設ける突起列4は、図13に示したように、突起列同士の最大間隔が最小間隙の1.5〜2.5倍となるように、例えば突起列4Aと4Bは0.15mm、突起列4Bと4Cは0.25mm、突起列4Cと4Aは0.35mmだけ離間して設けることもできる。 【0050】このように突起列4同士の間隙、すなわちU字状の空間S1の幅は最大と最小の比が1.5〜2.5倍であると、管外表面に付着する冷媒液(水)や吸収液を保持する力は伝熱管1の軸方向に一様ではなくなり、流れ落ちる速度も一様でなくなる。このため、横方向への液の拡散が不規則に行われて、管外表面における液の熱分布は却って均一化されると云った利点がある。 【0051】なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。 【0052】 【発明の効果】以上説明したように本発明になる吸収式冷凍機は、蒸発器、凝縮器、吸収器に設置する伝熱管の外表面に所要の寸法の突起を多数設けることで伝熱面積の増大を図っているが、管外面には深い凹み部が形成されていないので、水平に設置した伝熱管にフロンなどに比べると表面張力が数倍にもなる冷媒液(水)や吸収液を滴下したり、冷媒を凝縮させたときにも、伝熱管の外表面に液が過剰に滞留することがない。 【0053】このため、伝熱管の外表面に付着した冷媒液(水)や吸収液の熱抵抗は小さく、したがって管内に通す水などの流体と管の外表面に付着した液との熱交換特性が優れているので、蒸発器の伝熱管に使用されると、伝熱管表面に散布などされた冷媒の水は、管内を流れる水などから熱を奪ってこれを冷却し、冷媒の水は速やかに蒸発する。 【0054】また、凝縮器の伝熱管として使用されたときには、冷媒蒸気は管内に通す冷却水に次々に放熱して凝縮し、速やかに流下する。 【0055】また、吸収器の伝熱管として使用されたときには、濃吸収液は管内に通す冷却水に速やかに放熱して温度を下げ、蒸発器から蒸発して入ってくる冷媒蒸気はこの温度が下がった濃吸収液に容易に吸収され、稀液となって速やかに流下する。 【0056】したがって、本発明になる吸収式冷凍機においては、蒸発器、凝縮器、吸収器の小型化が図れると共に、省エネ化を図る上でも顕著な効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001889 【氏名又は名称】三洋電機株式会社 【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
|
| 【出願日】 |
平成11年2月9日(1999.2.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062225 【弁理士】 【氏名又は名称】秋元 輝雄
|
| 【公開番号】 |
特開2000−193345(P2000−193345A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平11−31260 |
|