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【発明の名称】 積層型エバポレータ
【発明者】 【氏名】奈良原 明成

【要約】 【課題】スーパーヒート領域を十分に確保すると共に、熱交換性能を向上させ、しかも外部を流れる空気を均一に冷却する。

【解決手段】互いに内部構造の異なる第一素子2、2と第二素子3、3とを、フィン4、4を介して交互に重ね合わせたものを幅方向に亙り互いに直列に接続して、コア部5を構成する。このうちの第一素子2、2は、内部に互いに独立して長い1対の第一、第二流路を設けたものとし、第二素子3、3は、内部に途中で180度折り返される1本の第三流路を設けたものとする。上記コア部5の一端から風下側部分に送り込んだ冷媒は、上記第一、第三、第二各流路を、それぞれ流れた後、上記コア部5の一端で風上側部分から流出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれの片面に凹部を形成した金属板を2枚1組とし、互いの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせて互いに気密且つ液密に接合する事により、内側に扁平な流路を有する素子とし、複数の素子を、隣り合う素子同士の間にフィンを設けた状態で重ね合わせる事により構成したコア部と、このコア部の内部に冷媒を送り込む為の冷媒送り込み管及びこのコア部から冷媒を取り出す為の冷媒取り出し管とを有し、このコア部を構成する上記各素子の内部に冷媒を流通させると共に、これら各素子の外部に空気調和用の空気を、このコア部の厚さ方向に通過させる状態で使用する積層型エバポレータに於いて、上記複数の素子は、互いに内部構造が異なる第一素子と第二素子との2種類とが存在し、このうちの第一素子は、一端部に互いに独立した状態で設けらた第一、第二深凹部と、同じく他端部に互いに独立した状態で設けられた第三、第四深凹部と、中間部に設けられてこのうちの第一、第三深凹部同士を連通させる第一浅凹部と、同じく中間部にこの第一浅凹部と独立した状態で設けられて残りの第二、第四深凹部同士を連通させる第二浅凹部とを備えた1対の第一金属板を、それぞれの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせ、上記第一深凹部同士が突き合わされた部分に第一タンク空間を、上記第二深凹部同士が突き合わされた部分に第二タンク空間を、上記第三深凹部同士が突き合わされた部分に第三タンク空間を、上記第四深凹部同士が突き合わされた部分に第四タンク空間を、上記第一浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第一、第三タンク空間同士を連通させる第一流路を、上記第二浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第二、第四タンク空間同士を連通させる第二流路を、それぞれ設けたものであり、上記第二素子は、一端部に互いに独立した状態で設けらた第五、第六深凹部と、同じく他端部に互いに独立した状態で設けられた第七、第八深凹部と、中間部に設けられた、途中で180度折り返されて上記第五、第六深凹部同士をそれぞれ連通させる1本の第三浅凹部とを備えた1対の第二金属板を、それぞれの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせ、上記第五深凹部同士が突き合わされた部分に第五タンク空間を、上記第六深凹部同士が突き合わされた部分に第六タンク空間を、上記第七深凹部同士が突き合わされた部分に第七タンク空間を、上記第八深凹部同士が突き合わされた部分に第八タンク空間を、上記第三浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第五、第六タンク空間同士を連通させる第三流路を、それぞれ設けたものであり、上記コア部は、上記第一素子と第二素子とを、フィンを介して交互に重ね合わせたものを、幅方向に亙り直列に連結して成り、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第三タンク空間及び上記各第二素子の第七タンク空間同士は、互いに連通して上記冷媒送り込み管に通じる入口タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第一タンク空間及び上記各第二素子の第五タンク空間同士は、互いに連通して第一冷媒分配タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第二タンク空間及び上記各第二素子の第六タンク空間同士は、互いに連通して第二冷媒分配タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第四タンク空間及び上記各第二素子の第八タンク空間同士は、互いに連通して上記冷媒取り出し管に通じる出口タンク部を構成し、上記第二冷媒分配タンク部及び上記出口タンク部が、空気調和用の空気の流通方向に対して風上側に位置する事を特徴とする積層型エバポレータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係る積層型エバポレータは、自動車用空気調和装置に組み込んで、車室内を空気調和する為の空気を冷却する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気調和装置には、内部で冷媒を蒸発させ、外部を流通する空気を冷却するエバポレータを組み込んでいる。この様な、自動車用空気調和装置に組み込むエバポレータとして従来から、例えば特開昭62−798号公報等に記載されている様な、複数枚の金属板を互いに積層して成る、所謂積層型エバポレータが知られている。この積層型エバポレータは、それぞれが2枚の金属板を最中状に組み合わせて成る素子を複数個、互いに積層する事により構成している。又、この様な、自動車用空気調和装置に組み込むエバポレータとして従来から、例えば特許第2737987号公報に記載されたものも知られている。この公報に記載された積層型エバポレータは、内部にU字形の流路を、一端部に互いに独立した状態で1対のタンク空間を、他端部に上記流路の両端部と連通する状態で1対のタンク空間を、それぞれ設けた複数の素子を、上下が交互に異なる様にフィンを介して重ね合わせ、重ね合わせた状態で互いに対向するタンク空間同士を連通する事でコア部を構成している。そして、このコア部の一端に存在する素子に、この素子を構成する為の1枚の金属板と、冷媒送り込み管及び冷媒取り出し管の端部を接続した端部部材とを組み合わせて成る部材を重ね合わせている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記特許第2737987号公報に記載され従来から知られている積層型エバポレータの場合、冷媒送り込み管及び冷媒取り出し管が存在する端部近くの内部を流れる冷媒の流路が短い。この為、この公報に記載された積層型エバポレータの場合、冷媒取り出し管から流出する直前の冷媒が外部を通過する空気との間で十分に熱交換されず、その結果、十分に気化し切らない冷媒が上記冷媒取り出し管から流出する可能性がある。この様に十分に気化し切らない冷媒が冷媒取り出し管から流出してコンプレッサに送り込まれる、所謂リキッドバックが発生すると、このコンプレッサの故障を招く可能性がある。従って、積層型エバポレータの内部で冷媒取り出し管から冷媒が流出する直前の部分には、冷媒を十分に気化し切る為の、所謂スーパーヒート領域を十分に確保する必要がある。但し、上述した特許第2737987号公報等に記載された従来構造の場合、冷媒取り出し管付近の流路が短く、上記スーパーヒート領域を十分に確保していない為、冷媒を十分に気化し切る為には、この冷媒の流量を低く抑える必要があり、十分な熱交換性能を発揮させる事が難しくなる。
【0004】又、積層型エバポレータは、コア部を構成する素子の外側に空気を流通させ、この空気を冷却する事により、この冷却した空気を自動車の乗員に吹き付ける事ができるが、積層型エバポレータの全面に亙る温度分布が不均一であると、乗員に不均一な温度の空気が吹き付けられてこの乗員に違和感を感じさせる。この為、積層型エバポレータは、全面に亙る温度分布を均一にして、外部を通過する空気を均一に冷却する事が好ましい。更に、積層型エバポレータの内部で冷媒が分流しつつ流れる構造である場合には、この冷媒の分流が均一にされない、所謂偏流を生じる可能性がある。この様に偏流が生じると、冷却空気の温度分布が不均一になるだけでなく、圧力損失が高くなると共に、十分な熱交換性能を発揮させる事が難しくなる為、好ましくない。
【0005】本発明は、上述の様な事情に鑑みて、スーパーヒート領域を十分に確保して、冷媒取り出し管を流出する直前の冷媒の状態を安定させると共に、熱交換性能を向上させ、しかも通過する空気を均一に冷却する構造を実現すべく発明したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型エバポレータは、従来から知られている積層型エバポレータと同様に、それぞれの片面に凹部を形成した金属板を2枚1組とし、互いの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせて互いに気密且つ液密に接合する事により、内側に扁平な流路を有する素子とし、複数の素子を、隣り合う素子同士の間にフィンを設けた状態で重ね合わせる事により構成したコア部と、このコア部の内部に冷媒を送り込む為の冷媒送り込み管及びこのコア部から冷媒を取り出す為の冷媒取り出し管とを有する。そして、このコア部を構成する上記各素子の内部に冷媒を流通させると共に、これら各素子の外部に空気調和用の空気を、このコア部の厚さ方向に通過させる状態で使用する。
【0007】特に、本発明の積層型エバポレータに於いては、上記複数の素子は、互いに内部構造が異なる第一素子と第二素子との2種類が存在する。このうちの第一素子は、一端部に互いに独立した状態で設けらた第一、第二深凹部と、同じく他端部に互いに独立した状態で設けられた第三、第四深凹部と、中間部に設けられてこのうちの第一、第三深凹部同士を連通させる第一浅凹部と、同じく中間部にこの第一浅凹部と独立した状態で設けられて残りの第二、第四深凹部同士を連通させる第二浅凹部とを備えた1対の第一金属板を、それぞれの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせ、上記第一深凹部同士が突き合わされた部分に第一タンク空間を、上記第二深凹部同士が突き合わされた部分に第二タンク空間を、上記第三深凹部同士が突き合わされた部分に第三タンク空間を、上記第四深凹部同士が突き合わされた部分に第四タンク空間を、上記第一浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第一、第三タンク空間同士を連通させる第一流路を、上記第二浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第二、第四タンク空間同士を連通させる第二流路を、それぞれ設けたものである。又、上記第二素子は、一端部に互いに独立した状態で設けらた第五、第六深凹部と、同じく他端部に互いに独立した状態で設けられた第七、第八深凹部と、中間部に設けられた、途中で180度折り返されて上記第五、第六深凹部同士をそれぞれ連通させる1本の第三浅凹部とを備えた1対の第二金属板を、それぞれの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせ、上記第五深凹部同士が突き合わされた部分に第五タンク空間を、上記第六深凹部同士が突き合わされた部分に第六タンク空間を、上記第七深凹部同士が突き合わされた部分に第七タンク空間を、上記第八深凹部同士が突き合わされた部分に第八タンク空間を、上記第三浅凹部同士が突き合わされた部分に上記第五、第六タンク空間同士を連通させる第三流路を、それぞれ設けたものである。そして、上記コア部は、上記第一素子と第二素子とを、フィンを介して交互に重ね合わせたものを、幅方向に亙り直列に連結して成るものである。又、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第三タンク空間及び上記各第二素子の第七タンク空間同士は、互いに連通して上記冷媒送り込み管に通じる入口タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第一タンク空間及び上記各第二素子の第五タンク空間同士は、互いに連通して第一冷媒分配タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第二タンク空間及び上記各第二素子の第六タンク空間同士は、互いに連通して第二冷媒分配タンク部を構成し、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子の第四タンク空間及び上記各第二素子の第八タンク空間同士は、互いに連通して上記冷媒取り出し管に通じる出口タンク部を構成する。そして、上記第二冷媒分配タンク部及び上記出口タンク部が、空気調和用の空気の流通方向に対して風上側に位置する。
【0008】
【作用】上述の様に構成する本発明の積層型エバポレータによれば、冷媒送り込み管から入口タンク部内に送り込まれた冷媒が、第一素子内の第一流路と、第二素子内の第三流路と、第一素子内の第二流路とをそれぞれ流れた後、出口タンク部に達し、この出口タンク部内から冷媒取り出し管を通じてコンプレッサに向けて流出する。従って、コア部の内部を流れる冷媒は、上記各流路内でこのコア部の外部を通過する空気との間で十分に熱交換を行なえ、冷媒の量を多くしても、このコア部のスーパーヒート領域を十分に確保して、冷媒取り出し管を流出する直前の冷媒を十分に気化する事ができる。更に、第二冷媒分配タンク部及び出口タンク部が、空気調和用の空気の流通方向に対して風上側に位置している為、これら第二冷媒分配タンク部及び出口タンク部と同じく風上側に位置する流路を流れる比較的高温の冷媒を効率良く上記熱交換をさせる事ができる。即ち、上記コア部を構成する上記各第一、第二素子の何れも、比較的高温側を風上側に、比較的低温側を風下側に、それぞれ位置させている為、これら各第一、第二素子及びこれら各第一、第二素子間に配置した各フィンと、上記コア部を通過する空気との温度差を、風上側から風下側まで十分に確保して、上記コア部と空気との熱交換を効率良く行なわせる事ができる。更に、上記第一、第二素子は、ほぼ同数である為、冷媒の偏流を生じにくくして、上記コア部の温度を幅方向に亙りほぼ均一にし、このコア部を通過後の空気の温度分布をほぼ均一化して、乗員に快適な空気調和を実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜8は、本発明の実施の形態の1例を示している。先ず、図1〜3は、本発明の対象となる積層型エバポレータ1の全体構造を示している。この積層型エバポレータ1は、それぞれが複数個ずつの第一素子2、2と、第二素子3、3と、コルゲート型のフィン4、4とを、幅方向(図1、3の左右方向、図2の表裏方向)に亙り互いに直列に積層して成るコア部5を有する。このコア部5の幅方向一端部(図1、3の右端部)に、上記コア部5内に液状若しくは気液混合状態の冷媒を送り込む為の冷媒送り込み管6の下流側端部と、上記コア部5からガス状の冷媒を取り出す為の冷媒取り出し管7の上流側端部とを、それぞれ独立して導出する状態で設けている。この為、本例の場合には、上記コア部5の幅方向一端部に、上記冷媒送り込み管6及び冷媒取り出し管7の端部を接続する為のコネクタ8を設け、このコネクタ8を介して、上記冷媒送り込み管6を後述する入口タンク部9の内部に、上記冷媒取り出し管7を同じく後述する出口タンク部10の内部に、それぞれ独立して通じさせている。
【0010】上記第一、第二素子2、3は、後で詳しく説明する様に、それぞれの片面に凹部を形成した第一、第二金属板11、12をそれぞれ2枚1組とし、互いの凹部同士を対向させた状態で最中状に重ね合わせて互いに気密且つ液密に接合する事により造ったもので、内側に扁平な流路を有する。
【0011】又、上記第一、第二金属板11、12は、芯材(比較的融点が高いアルミニウム合金)の両面にろう材(Siを多く含み、比較的融点が低いアルミニウム合金)を積層した、所謂両面クラッド材としている。前記エバポレータ1を造るには、上記第一、第二金属板11、12と、前記フィン4、4と、上記コネクタ8と、1対のサイドプレート13a、13bとを、図1〜3に示した状態に組み合わせ、加熱炉中で加熱して、上記ろう材により上記各部材11、12、4、8、13a、13bを、互いにろう付け接合する。
【0012】特に、本発明の積層型エバポレータ1に於いては、上記コア部5を構成する素子を、互いに内部構造の異なる、上記第一素子2、2と第二素子3、3との2種類とし、これら第一素子2、2と第二素子3、3とを、それぞれ1個ずつフィン4、4を介して交互に重ね合わせたものを、上記コア部5の幅方向に亙り直列に連結して、このコア部5を構成している。即ち、上記各第一素子2、2として、図4(A)に示す様に、内部の風下側と風上側とに、互いに独立した第一、第二流路14、15を設けたものを用いる。これに対し、上記各第二素子3、3として、図4(B)に示す様に、内部にU字形に折り返された1本の第三流路16を有するものを用いる。
【0013】上記各第一素子2、2は、図5(A)(B)に詳示する様な第一金属板11を2枚、最中状に重ね合わせ、互いにろう付けして成る。アルミニウム合金製の両面クラッド材である素板にプレス加工を施して成る、上記第一金属板11は、それぞれの上端部の風下側と風上側とに、互いに独立した第一、第二深凹部17、18を設けている。又、下端部の風下側と風上側とに、互いに独立した第三、第四深凹部19、20を設けている。更に、中間部には、上記第一、第三深凹部17、19同士を連通させる第一浅凹部21と、この第一浅凹部21と独立した状態で設けられて上記第二、第四深凹部18、20同士を連通させる第二浅凹部22とを設けている。
【0014】上記各第一素子2、2はそれぞれ、上述の様な第一金属板11を1対ずつ、それぞれの凹部同士を対向させた状態、即ち、第一深凹部17同士、第二深凹部18同士、第三深凹部19同士、第四深凹部20同士、第一浅凹部21同士、第二浅凹部22同士を互いに対向させた状態で、最中状に重ね合わせている。そして、上記第一深凹部17同士が突き合わされた部分に第一タンク空間23を、上記第二深凹部18同士が突き合わされた部分に第二タンク空間24を、上記第三深凹部19同士が突き合わされた部分に第三タンク空間25を、上記第四深凹部20同士が突き合わされた部分に第四タンク空間26を、それぞれ形成している。
【0015】又、上記第一浅凹部21同士が突き合わされた部分を前記第一流路14として、上記第一、第三タンク空間23、25同士を連通させている。更に、上記第二浅凹部22同士が突き合わされた部分を前記第二流路15として、上記第二、第四タンク空間24、26同士を連通させている。尚、上記第一、第二浅凹部21、22内には多数の突起27、27を形成している。これら各突起27、27の先端面は、上記第一金属板11、11同士を最中状に組み合わせる際に、これら第一金属板11、11の周縁部及び上記第一、第二浅凹部21、22同士の間部分等と共に、互いに突き合わされてろう付けされる。そして、上記各第一素子2、2の耐圧強度を確保すると共に、上記第一、第二流路14、15内を流れる冷媒の流れを攪乱する役目を果たす。
【0016】一方、上記第一素子2、2とは異なる内部構造を有する、前記第二素子3、3は、図6(A)(B)に詳示する様な第二金属板12を2枚、最中状に重ね合わせ、互いにろう付けして成る。アルミニウム合金製の両面クラッド材である素板にプレス加工を施して成る、上記第二金属板12は、それぞれの上端部の風下側と風上側とに、互いに独立した第五、第六深凹部28、29を設けている。又、下端部の風下側と風上側とに、互いに独立した第七、第八深凹部30、31を設けている。更に、中間部には、途中で180度折り返されて、上記第五、第六深凹部28、29同士をそれぞれ連通させる、1本の第三浅凹部32を設けている。
【0017】上記各第二素子3、3はそれぞれ、上述の様な第二金属板12、12を1対ずつ、それぞれの凹部同士を対向させた状態、即ち、第五深凹部28同士、第六深凹部29同士、第七深凹部30同士、第八深凹部31同士、第三浅凹部32同士を互いに対向させた状態で、最中状に重ね合わせている。そして、上記第五深凹部28同士が突き合わされた部分に第五タンク空間33を、上記第六深凹部29同士が突き合わされた部分に第六タンク空間34を、上記第七深凹部30同士が突き合わされた部分に第七タンク空間35を、上記第八深凹部31同士が突き合わされた部分に第八タンク空間36を、それぞれ形成している。又、上記第三浅凹部32同士が突き合わされた部分を前記第三流路16として、上記第五、第六タンク空間33、34同士を連通させている。尚、上記第三浅凹部32内にも、前述した第一金属板11に於ける第一、第二浅凹部21、22の場合と同様に、多数の突起27、27を形成している。
【0018】前記コア部5は、それぞれが前述した様に構成する複数の第一素子2、2と、それぞれが上述した様に構成する第二素子3、3とを、フィン4、4を介して交互に重ね合わせたものを、幅方向に亙り互いに直列に連結する事により構成している。尚、前記コネクタ8を固定する一方のサイドプレート13aと重ね合わせる、上記コア部5の幅方向一端(図1、3、7の右端)に位置する最外側の素子と、このコア部5の幅方向他端(図1、3、7の左端)に位置する最外側の素子とは、図1〜3に示す構造では、第二素子3、3としているが、それぞれ上記第一、第二素子2、3のうちの何れの素子であっても良い。
【0019】そして、上述の様に、第一素子2、2と、第二素子3、3とを、交互にフィン4、4を介して重ね合わせた状態で、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子2、2の第三タンク空間25及び上記各第二素子3、3の第七タンク空間35同士を、互いに連通して、前記入口タンク部9を構成している。この為に、上記各第一素子2、2を構成する第一金属板11、11に形成した第三深凹部19の底部と、上記各第二素子3、3を構成する第二金属板12、12に形成した第七深凹部30の底部とには、上記コア部5の幅方向他端(図1、3の左端)に位置する1枚の金属板を除き、冷媒を通過させる為の通孔37を形成している。この様にして構成した、上記入口タンク部9は、前記コネクタ8を介して、前記冷媒送り込み管6に通じさせている。尚、上記コア部5の幅方向両端に位置する1対の素子と重ね合わせる1対のサイドプレート13a、13bには、それぞれ上記コア部5と対向する側面に、4個の深凹部を突出する状態で形成している。これら各深凹部の底部は、上記1対の素子に形成した各深凹部の底部と突き合わせる。又、上記コネクタ8が固定される一方のサイドプレート13aの下端部に形成した1対の深凹部にのみ、冷媒を通過させる為の通孔を形成している。1対のサイドプレート13a、13bに形成した他の深凹部の底部には、この様な通孔は形成しない。
【0020】又、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子2、2の第一タンク空間23及び上記各第二素子3、3の第五タンク空間33同士を、互いに連通して、上記各第一素子2、2内の第一流路14と上記各第二素子3、3内の第三流路16とを連通させる、第一冷媒分配タンク部38を構成している。この為に、上記各第一素子2、2を構成する第一金属板11、11に形成した第一深凹部17の底部と、上記各第二素子3、3を構成する第二金属板12、12に形成した第五深凹部28の底部とには、上記コア部5の幅方向両端(図1、3の左右両端)に位置する2枚の金属板を除き、冷媒を通過させる為の通孔37を形成している。
【0021】又、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子2、2の第二タンク空間24及び上記各第二素子3、3の第六タンク空間34同士を、互いに連通して、上記各第一素子2、2内の第二流路15と上記各第二素子3、3内の第三流路16とを連通させる、第二冷媒分配タンク部39を構成している。この為に、上記各第一素子2、2を構成する第一金属板11、11に形成した第二深凹部18の底部と、上記各第二素子3、3を構成する第二金属板12、12に形成した第六深凹部29の底部とには、上記コア部5の幅方向両端(図1、3の左右両端)に位置する2枚の金属板を除き、冷媒を通過させる為の通孔37を形成している。
【0022】又、それぞれが互いに対向する、上記各第一素子2、2の第四タンク空間26及び上記各第二素子3、3の第八タンク空間36同士は、互いに連通して、前記出口タンク部10を構成している。この為に、上記各第一素子2、2を構成する第一金属板11、11に形成した第四深凹部20の底部と、上記各第二素子3、3を構成する第二金属板12、12に形成した第八深凹部31の底部とには、上記コア部5の幅方向他端(図1、3の左端)に位置する1枚の金属板を除き、冷媒を通過させる為の通孔37を形成している。この様にして構成した、上記出口タンク部10は、前記コネクタ8を介して、前記冷媒取り出し管7に通じさせている。そして、積層型エバポレータ1の使用時には、上記第二冷媒分配タンク部39及び上記出口タンク部10を、空気調和用の空気の流通方向α(図7、8)に対して風上側に位置する状態で配置しつつ、上記積層型エバポレータ1を自動車用空気調和装置に組み込む。
【0023】上述の様に構成する本発明の積層型エバポレータの使用時には、コンデンサから吐出され、膨張弁を通過した液状若しくは気液混合状態の冷媒を、前記冷媒送り込み管6から前記コネクタ8を介して、前記入口タンク部9に送り込む。この入口タンク部9に送り込まれた冷媒は、図7、8に実線矢印イで示す様に、この入口タンク部9全体に広がる。この入口タンク部9内に広がった冷媒は、続いて、同図に実線矢印ロ、ロで示す様に、上記コア部4を構成する為に交互に配置された第一、第二素子2、3のうちの第一素子2、2の風下側部分に存在する第一流路14、14(図4、8)を、上記第一冷媒分配タンク部38に向けて、図7、8の矢印α方向に流れる空気との間で熱交換を行ないつつ流れる。
【0024】この様にして上記第一冷媒分配タンク部38内に流れ込んだ冷媒は、この第一冷媒分配タンク部38内を、図7、8に実線矢印ハ、ハで示す様に、上記コア部5を構成する為に上記第一素子2、2と隣り合う状態で配置された、上記第二素子3、3内の第三流路16、16(図4、8)の上流側端部に向けて流れる。そして、この第三流路16、16の上流側端部からこの第三流路16、16内を下流側端部に向けて流れる。即ち、これら各第三流路16、16内に流入した冷媒は、図7、8に破線矢印ニ、ニで示す様に、前記コア部5の風下側部分を上記熱交換を行ないつつ上から下に流れた後、上記各第三流路22、22の下端部で180度折り返されて、破線矢印ホ、ホで示す様に、上記コア部5の風上側部分を上記熱交換を行ないつつ下から上に流れ、前記第二冷媒分配タンク部39に入り込む。
【0025】この様にしてこの第二冷媒分配タンク部39に入り込んだ冷媒は、図7、8に鎖線矢印ヘ、ヘで示す様に、この第二冷媒分配タンク部39内を、上記第一素子2、2の風上側部分に存在する第二流路15の上流側端部に向けて流れる。そして、この第二流路15内を下流側端部に向けて流れる。即ち、これら各第二流路15内に流入した冷媒は、図7、8に鎖線矢印ト、トで示す様に、上記コア部5の風上側部分を上記熱交換を行ないつつ上から下に流れた後、前記出口タンク部10に達する。そして、この出口タンク部10に達した、過熱状態のガス状冷媒は、図7、8に鎖線矢印チで示す様にこの出口タンク部10内を流れ、前記コネクタ8を介して前記冷媒取り出し管7に流出し、この冷媒取り出し管7の下流端に接続した配管を通じて、コンプレッサの吸入口に送られる。
【0026】前述の様に構成し、上述の様に上記コア部5の内部を流れる冷媒とこのコア部5の外部を通過する空気との間で熱交換を行ない、この空気を冷却する、本発明の積層型エバポレータによれば、冷媒送り込み管6から入口タンク部9内に送り込まれた冷媒が、第一素子2、2内の第一流路14と、第二素子3、3内の第三流路16と、第一素子2、2内の第二流路15とをそれぞれ流れた後、出口タンク部10に達し、この出口タンク部10内から冷媒取り出し管7を通じてコンプレッサに向けて流出する。従って、上記コア部5の内部を流れる冷媒は、上記各流路14、16、15内でこのコア部5の外部を通過する空気との間で十分に熱交換を行なえる。この為、冷媒の量を多くしても、このコア部5のスーパーヒート領域を十分に確保して、冷媒取り出し管7から流出する直前の冷媒を十分に気化し、積層型エバポレータ1の熱交換性能を確保すると共に、この積層型エバポレータ1を組み込んだ自動車用空気調和装置の信頼性確保を図れる。
【0027】更に、第二冷媒分配タンク部39及び出口タンク部10が、空気調和用の空気の流通方向αに対して風上側に位置している為、これら第二冷媒分配タンク部39及び出口タンク部10と同じく風上側に位置する流路、即ち、上記第一素子2、2内の第二流路15と第二素子3、3内の第三流路16の下流側部分とを流れる比較的高温の冷媒とを、効率良く上記熱交換をさせて、この点からも上記スーパーヒート領域の十分な確保に寄与する事ができる。しかも、上記コア部5を構成する上記各第一、第二素子2、3の何れも、比較的高温側を風上側に、比較的低温側を風下側に、それぞれ位置させている為、これら各第一、第二素子2、3及びこれら各第一、第二素子2、3間に配置した各フィン4、4と、上記コア部5を通過する空気との温度差を、風上側から風下側まで十分に確保して、上記コア部5と空気との熱交換を効率良く行なわせる事ができる。更に、上記第一、第二素子2、3を交互に配置する事により、これら第一、第二素子2、3は互いにほぼ同数となり、上記入口タンク部9及び上記第一冷媒分配タンク部38及び上記第二冷媒分配タンク部39から、それぞれ上記各流路14、16、15に向けて冷媒を分流する際の偏流を生じにくくして、上記コア部5の温度差を、このコア部5の幅方向に亙りほぼ均一化して、このコア部5を通過後の空気の温度分布をほぼ均一化し、乗員に快適な空気調和を実現できる。
【0028】更に、上記第一、第二素子2、3を構成する金属板の種類は、図5に示した第一金属板11と、図6に示した第二金属板12との2種類で済む。前述した様に、一部の金属板11の深凹部を、前記通孔37を形成しない、盲状にするが、これは、この通孔37を打ち抜く工程を省略するのみで良い為、金属板の種類増加によるコスト上昇には殆ど結び付かない。この為、部品製作、部品管理、組立作業が何れも容易になって、コスト低減を図れる。
【0029】尚、前記冷媒送り込み管6と冷媒取り出し管7とは、コア部5の幅方向他端側(図1、3の左端側)から導出する状態で設けても良く、積層型エバポレータ1全体の上下を逆転させる事により、上記冷媒送り込み管6と冷媒取り出し管7との設置位置を上端側にする事もできる。又、本例の場合、これら冷媒送り込み管6及び冷媒取り出し管7は、上記コア部5の幅方向で互いに同じ側から導出する状態で設けているが、このコア部5の幅方向に亙り互いに反対側から導出する状態で設ける事もできる。又、本例の場合、第一、第二素子2、3を構成する第一、第二金属板11、12の内部には多数の突起27、27を設けているが、この突起27、27を設けない代わりに上記第一、第二素子2、3内に土手状のビード或は別体のインナーフィン等を設ける事もできる。
【0030】
【発明の効果】本発明の積層型エバポレータは、以上に述べた通り構成され作用するので、安価な構造で、スーパーヒート領域を十分に確保して、積層型エバポレータを組み込んだ自動車用空気調和装置の信頼性を確保すると共に、熱交換性能を向上させ、しかもコア部を通過する空気を均一に冷却する事ができる。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【出願日】 平成10年12月22日(1998.12.22)
【代理人】 【識別番号】100087457
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−193342(P2000−193342A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−365090