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【発明の名称】 冷凍サイクル装置
【発明者】 【氏名】船倉 正三

【氏名】松尾 光晴

【氏名】岡座 典穂

【氏名】吉田 雄二

【要約】 【課題】冷凍サイクル装置から漏洩するHC冷媒等の可燃性冷媒を速やかに回収する冷凍サイクル装置を提供する。

【解決手段】冷媒の冷凍サイクルからの漏洩を検出する検出センサ13と、冷凍サイクルと電磁弁11を介して接続された空間容器12と、検出センサ13の出力に応じて、電磁弁11の開閉を制御する制御部とを備え、通常時においては、空間容器12は、制御部が電磁弁11を閉じていることにより、冷凍サイクルの運転時および停止時における冷凍サイクル中の冷媒の最低圧力よりも低い圧力で隔離されており、検出センサ13が漏洩を検出すると、制御部は、前記開閉弁を開ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記冷媒の前記蒸気圧縮冷凍サイクルからの漏洩を検出する漏洩検出センサと、前記蒸気圧縮冷凍サイクルと開閉弁を介して接続された冷媒回収部と、前記漏洩検出センサの出力に応じて、前記冷媒回収部の前記開閉弁の開閉を制御する制御部とを備え、通常時においては、前記冷媒回収部は、前記制御部が前記開閉弁を閉じていることにより、前記蒸気圧縮冷凍サイクルの運転時および停止時における前記蒸気圧縮冷凍サイクル中の前記冷媒の最低圧力よりも低い圧力で隔離されており、前記漏洩検出センサが漏洩を検出すると、前記制御部は、前記開閉弁を開けることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】 可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記蒸気圧縮冷凍サイクルから漏洩した前記可燃性冷媒の濃度を検出する濃度検出センサと、前記冷媒の漏洩時に、前記冷媒の全部または一部を回収する回収手段と、前記濃度検出センサの出力に応じて、前記回収手段を制御する回収手段制御部とを備え、前記回収手段制御部は、前記濃度検出センサが検出した前記可燃性冷媒の濃度が、前記可燃性冷媒の爆発下限界に対応する濃度の1/4以下の値である所定の値を超えると、前記回収手段に前記回収を行わせ、その後、前記回収された前記冷媒が前記蒸気圧縮冷凍サイクルに逆流しないように、前記回収手段に前記回収された前記冷媒を前記蒸気圧縮冷凍サイクルから隔離させることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項3】 前記回収手段制御部は、前記濃度検出センサが検出した前記可燃性冷媒の濃度が、前記可燃性冷媒の爆発下限界に対応する濃度以下の値であることを条件として、前記回収された前記冷媒が前記蒸気圧縮冷凍サイクルに逆流しないように、前記回収手段に前記回収された前記冷媒を前記蒸気圧縮冷凍サイクルから隔離させることを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】 可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記冷媒の前記蒸気圧縮冷凍サイクルからの漏洩を検出する漏洩検出センサと、前記漏洩検出センサを制御するセンサ制御手段とを備え、前記漏洩検出センサは、前記漏洩の検出に伴う反応を促進するために加熱を行うヒーターを有し、前記センサ制御手段は、前記ヒーターの表面温度が、前記可燃性冷媒の自己発火温度以上にならないように、前記漏洩検出センサを制御することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項5】 前記漏洩検出センサは、固体電解質型センサまたは接触燃焼型センサであることを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可燃性冷媒を用いる冷凍サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器等からなる空調機や冷蔵庫等の冷凍サイクル装置における作動媒体は、地球環境問題からオゾン層に対する有害な影響があるとされる従来のCFC冷媒やHCFC冷媒から、オゾン層に対する脅威がない代替冷媒とされるHFC冷媒やHC冷媒に移行されつつある。
【0003】例えば空調機用の作動媒体は、HCFC冷媒のR22(クロロジフルオロメタン、CHClF2、沸点−40.8℃)から、HFC冷媒のR32(ジフルオロメタン、CH2F2、沸点−51.7℃)、R125(ペンタフルオロエタン、CF3-CHF2、沸点−48.1℃)、R134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン、CF3-CH2F、沸点−26.1℃)等の混合冷媒や、HC冷媒のR290(プロパン、CH3-CH2-CH3、沸点−42.1℃)、R1270(プロピレン、CH3-CH=CH2、沸点−47.7℃)や、R170(エタン、CH3-CH3、沸点−88.8℃)との混合冷媒への移行が提案されている。さらには、HFC冷媒のR32と、HC冷媒のR290(プロパン)、RC270(シクロプロパン、C3H6、沸点−32.9℃)、R600a(イソブタン、i-C4H10、沸点−11.6℃)、R600(ブタン、n-C4H10、沸点−0.5℃)等との混合冷媒も提案されている。
【0004】ここでHFC冷媒の欠点は、地球環境問題のもう一つの課題である地球温暖化に対する影響が、従来のHCFC冷媒のR22と同程度に近いことである。一方のHC冷媒の欠点は、従来のHCFC冷媒のR22にはなかった強い可燃性があることである。
【0005】冷凍サイクル装置にHC冷媒を用いる場合には、冷凍サイクル装置からのHC冷媒の外部への漏洩を検出して、強い可燃性に対する安全装置を具備した冷凍サイクル装置が必要となる。
【0006】例えば、冷凍サイクル装置の外部に設けた可燃性冷媒のリークセンサで漏洩を検出したときに、特開平6−180166号公報や特開平8−166171号公報では、可燃性冷媒を空調機の室外ユニットに回収し、特開平8−178481号公報や特開平8−247646号公報では、冷蔵庫の圧縮機の運転や電源を停止する手段を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、可燃性冷媒を空調機の室外ユニットに回収する方法では、漏洩箇所によっては十分に回収できず、圧縮機の運転や電源を停止する方法では、漏洩をくいとめることはできない。またたとえ回収できたとしても、回収時間がかかるために、それまでに漏洩した可燃性冷媒によって、爆発下限界に到達してしまう可能性がある。さらに従来の可燃性冷媒の漏洩検出センサは、一般には半導体型センサや接触燃焼型センサが用いられており、検出エレメントでの可燃性冷媒の反応を促進させるためにヒーターを用いているため、そのヒーターの表面温度が可燃性冷媒の自己発火温度以上となって、かえって可燃性冷媒の爆発を誘引する可能性がある。
【0008】本発明は、上述したHC冷媒等の可燃性冷媒の単一冷媒や混合冷媒を用いた従来の冷凍サイクル装置が有する課題を考慮して、可燃性冷媒が漏洩した場合、迅速、確実に回収が行える冷凍サイクル装置、または、可燃性冷媒の爆発を誘引する可能性を抑制できる冷凍サイクル装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、第1の本発明(請求項1に記載の本発明に対応)は、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記冷媒の前記蒸気圧縮冷凍サイクルからの漏洩を検出する漏洩検出センサと、前記蒸気圧縮冷凍サイクルと開閉弁を介して接続された冷媒回収部と、前記漏洩検出センサの出力に応じて、前記冷媒回収部の前記開閉弁の開閉を制御する制御部とを備え、通常時においては、前記冷媒回収部が、前記制御部が前記開閉弁を閉じていることにより、前記蒸気圧縮冷凍サイクルの運転時および停止時における前記蒸気圧縮冷凍サイクル中の前記冷媒の最低圧力よりも低い圧力で隔離されており、前記漏洩検出センサが漏洩を検出すると、前記制御部が、前記開閉弁を開けることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0010】第2の本発明(請求項2に記載の本発明に対応)は、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記蒸気圧縮冷凍サイクルから漏洩した前記可燃性冷媒の濃度を検出する濃度検出センサと、前記冷媒の漏洩時に、前記冷媒の全部または一部を回収する回収手段と、前記濃度検出センサの出力に応じて、前記回収手段を制御する回収手段制御部とを備え、前記回収手段制御部が、前記濃度検出センサが検出した前記可燃性冷媒の濃度が、前記可燃性冷媒の爆発下限界に対応する濃度の1/4以下の値である所定の値を超えると、前記回収手段に前記回収を行わせ、その後、前記回収された前記冷媒が前記蒸気圧縮冷凍サイクルに逆流しないように、前記回収手段に前記回収された前記冷媒を前記蒸気圧縮冷凍サイクルから隔離させることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0011】第3の本発明(請求項4に記載の本発明に対応)は、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記冷媒の前記蒸気圧縮冷凍サイクルからの漏洩を検出する漏洩検出センサと、前記漏洩検出センサを制御するセンサ制御手段とを備え、前記漏洩検出センサが、前記漏洩の検出に伴う反応を促進するために加熱を行うヒーターを有し、前記センサ制御手段が、前記ヒーターの表面温度が、前記可燃性冷媒の自己発火温度以上にならないように、前記漏洩検出センサを制御することを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態における冷凍サイクル装置を示す構成図である。本実施の形態における冷凍サイクル装置は、HC冷媒等の可燃性冷媒の単一冷媒や混合冷媒を冷媒とする空調機用の冷凍サイクル装置であり、室外に設置された室外ユニット1と接続配管2と室内に設置された室内ユニット3で構成されている。また室外ユニット1に配置された圧縮機4、四方弁5、凝縮器または蒸発器として作用する室外熱交換器6、絞り装置7、接続配管2、室内ユニット3に配置された蒸発器または凝縮器として作用する室内熱交換器8で、蒸気圧縮冷凍サイクルを構成している。さらに室外ユニット1には熱交換用の室外ファン9、室内ユニット3には熱交換用の室内ファン10が付設されている。
【0014】本発明(請求項1の本発明)の特徴とするところは、冷凍サイクル中に運転および停止時の最低圧力よりも低い隔離された冷媒回収部を設けるものである。本実施の形態では、室外熱交換器6と絞り装置7を結ぶ配管途中から分岐して、電磁弁11(本発明の開閉弁に対応)を介して冷媒回収のための空間容器12(本発明の冷媒回収部に対応)を接続しており、空間容器12の内部は、通常、電磁弁11を閉めておくことによって、真空状態に保持されている。また、室内ユニット3の内部には検出センサ13(本発明の漏洩検出センサに対応)が配置されており、この出力に応じて、電磁弁11の開閉を制御する制御部(図示せず)が備えられている。制御部は、検出センサ13が冷凍サイクル装置からの可燃性冷媒の漏洩を検出した際には、電磁弁11を開放するものである。従って、制御部が電磁弁11を開放すると、冷房運転時においては、凝縮器として作用する室外熱交換器6から、液冷媒が速やかに空間容器12に流入し、暖房運転時においては、絞り装置7から、液冷媒を多く含む二相冷媒が速やかに空間容器12に流入し、漏洩箇所に関わらず可燃性冷媒を回収することが可能となる。また電磁弁11の開放前には、冷凍サイクル中の運転または停止時の圧力と空間容器12の真空状態の圧力差が大きいため、電磁弁11の開放によって、回収時間を短時間とすることができ、例えば室内ユニット3において可燃性冷媒の濃度を爆発下限界以下とすることができる。
【0015】なお、本実施の形態における冷凍サイクル装置では、検出センサ13は、固体電解質型センサまたは接触燃焼型センサ等のように、特定区域内の可燃性冷媒の体積濃度を測定することによって可燃性冷媒の漏洩を検出できるものでもよいし、冷凍サイクル内の圧力等を測定することによって可燃性冷媒の漏洩を検出できるものでもよい。要するに、何らかの手段によって、冷媒が冷凍サイクルからの漏洩したことを検出できるものでありさえすればよい。
【0016】また、本実施の形態における冷凍サイクル装置は、接続配管で接続された空調機用の冷凍サイクル装置であるとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、一体型の冷蔵庫であってもよい、要するに、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置であれば、本発明の漏洩検出センサ、冷媒回収部および制御部を備えることによって、可燃性冷媒が漏洩した場合に迅速に回収が行えるものである。
【0017】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態における冷凍サイクル装置の構成は、本発明の開閉弁の制御が漏洩した可燃性冷媒の濃度の値にしたがって行われることに関する点以外は、上述した第1の実施の形態における冷凍サイクル装置の構成と同様である。したがって、本実施の形態において、特に説明のないものについては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同一符号を付与している構成部材については、特に説明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとする。また、第1の実施の形態において説明した各変形例についても、特にことわらない限り、同様の変形を行うことによって、本実施の形態に適用されるものとする。
【0018】本実施の形態における冷凍サイクル装置の構成は、図1で示した第1の実施の形態における冷凍サイクル装置の構成に準じるので、図示を省略し、図1を参照して、以下の説明を行う。
【0019】本実施の形態において、検出センサ13は、固体電解質型センサまたは接触燃焼型センサ等のように、特定区域内の可燃性冷媒の体積濃度を測定することによって可燃性冷媒の漏洩を検出できるものであり、本発明の漏洩検出センサに対応するとともに、本発明の濃度検出センサにも対応するものである。また、空間容器12および電磁弁11はそれぞれ、本発明の冷媒回収部および本発明の開閉弁に対応するものであるとともに、空間容器12および電磁弁11を合わせたものは、本発明の回収手段に対応するものである。さらに、制御部(図示せず)は、本発明の制御部に対応するとともに、本発明の回収手段制御部に対応するものである。
【0020】本発明(請求項2、3の本発明)の特徴とするところは、本発明の回収手段制御部が、漏洩した可燃性冷媒の濃度が爆発下限界に対応する濃度(例えば、HC冷媒であるプロパンの場合、約2.3体積%)の1/4以下の値である所定の値を超えると、本発明の回収手段に漏洩した冷媒を回収させ、その後、回収された冷媒が冷凍サイクルに逆流しないように、回収手段に回収された冷媒を蒸気圧縮冷凍サイクルから隔離させることである。1/4という数字は、後述する応答遅れ等を考慮して設定されたものである。本実施の形態では、検出センサ13の検出の時間遅れ等を考慮して、検出センサ13が検出した可燃性冷媒の濃度が、爆発下限界に対応する濃度の1/4以下の値である所定の値を超えると、制御部が電磁弁11を開放させるものである。その後、回収が終了もしくは空間容器12が冷媒で満たされると、一旦空間容器12に収容された可燃性冷媒が、再び冷凍サイクルを通じて漏洩することを避けるために、制御部が電磁弁11を閉止するものである。このとき、圧縮機4が運転中であれば、同時に圧縮機4の運転を停止することが望ましいものである。以上の構成により、可燃性冷媒が漏洩した場合に確実に回収が行える。
【0021】なお、制御部が電磁弁11を閉止する条件としては、上記条件のみならず、検出センサ13が検出した可燃性冷媒の濃度が、爆発下限界に対応する濃度以下の値であることを条件に加えると、可燃性冷媒の爆発を誘引する可能性を抑制した状態で回収を終了することができる。
【0022】また、本実施の形態における冷凍サイクル装置は、第1の実施の形態における冷凍サイクル装置に、本発明の開閉弁の制御が漏洩した可燃性冷媒の濃度の値にしたがって行われることに関する機能を付加したものであるとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、同様の機能を、2つの電磁弁を用いて可燃性冷媒を空調機の室外ユニットや低圧部に回収する機能を有する冷凍サイクル装置に付加してもよい。要するに、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置であれば、本発明の濃度検出センサ、回収手段および回収手段制御部を備えることによって、可燃性冷媒が漏洩した場合に確実に回収が行えるものである。
【0023】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態における冷凍サイクル装置の構成は、本発明のセンサ制御手段を備えること、および、本発明の漏洩検出センサが固体電解質型センサであることに関する点以外は、上述した第1の実施の形態における冷凍サイクル装置の構成と同様である。したがって、本実施の形態において、特に説明のないものについては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同一符号を付与している構成部材については、特に説明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとする。また、第1の実施の形態において説明した各変形例についても、特にことわらない限り、同様の変形を行うことによって、本実施の形態に適用されるものとする。
【0024】本実施の形態における冷凍サイクル装置の全体構成は、図1で示した第1の実施の形態における冷凍サイクル装置の構成において、検出センサ13が図2で示した検出センサ21に置き換わること、および、検出センサ21を制御するセンサ制御手段(図示せず)を備えること以外は、図1と同じなので、全体構成の図示を省略する。
【0025】本実施の形態における冷凍サイクル装置は、本発明の漏洩検出センサとして、検出エレメントでのHC冷媒等の可燃性冷媒の反応を促進するヒーターの表面温度を、可燃性冷媒の自己発火温度以下に設定制御しても、高感度で可燃性冷媒を検出できる固体電解質型検出センサを備えるものである。
【0026】一般的に、固体電解質と一対の電極とから構成される固体電解質型検出センサのタイプは、起電力式と電流式とがある。起電力式は発生する電圧を読み取るが、電流式は電解質に作動電圧を印加し、そのときの電流値により、検出しようとする物質の存在または濃度(本発明においては、冷媒の漏洩または冷媒の濃度)を検出する。HC冷媒濃度を検出する場合を例にとると、起電力式は、電極中の触媒で燃焼させるため雰囲気中に酸素が必要であり、酸素がない状態、あるいは酸素濃度が変化する雰囲気中では正確にHC冷媒濃度を検出することはできない。また、濃度に対する出力が直線的でない起電力式では、濃度の設定基準値との比較によって漏洩を検出しているため、基準値を高めに設定すると、早期の漏洩を検出することができず、基準値を低めに設定すると、誤動作の原因となる。一方、電流式では、プロパン等の炭化水素成分の一部の水素を水素イオンにする電気分解(電解)が必要となる。作動電圧である電解電圧は炭化水素成分によって異なり、作動電圧を一定の電位で検出するものを特に定電位電解型と呼ぶ。
【0027】図2は、本実施の形態における冷凍サイクル装置が備える電流式固体電解質型検出センサ21の構造を示す断面図である。本実施の形態は、他の材料に比べ高いプロトン伝導性を示すバリウムセリウム系酸化物を用いた固体電解質と一対の電極とから構成される固体電解質型炭化水素センサの事例である。本検出センサ21は、架台22に設置されたセンサ素子23と網体24で構成される。センサ素子23は、バリウムセリウム系酸化物の焼結体からなる固体電解質25と、作動電源26に白金電極ピン27を介して接続されたアノード28、カソード29とで構成され、炭化水素の拡散律速層30は、固体電解質25と封着材料であるセラミック基板31の両方に接着されたガラス32により作製される。このとき炭化水素濃度は、作動電源26の回路に接続された限界電流出力端子33に流れるアノード28とカソード29間の電流に比例するものとして検出される。
【0028】バリウムセリウム系酸化物の焼結体からなる固体電解質25としては、バリウムセリウムガドリニウム酸化物(BCG)が用いられる。拡散律速層30とは、センサ素子に流入(拡散)する炭化水素を制限(律速させる)するための複数または一つの孔を形成した層で、このタイプのセンサに必須のものである。セラミック基板31は、アルミナ系のセラミックスで、BCG基板と熱膨張率を整合させたフォルステライトが用いられ、熱膨張率がBCGと近く、外部からのガスの流入を防ぐものであればどのような材料のものでもよい。このセンサ素子23は、ヒーター電源34に接続されたヒーター35によって加熱できるようになっている。ヒーター35は、イオン導電性を確保するため固体電解質25を加熱するものであり、炭化水素成分の分解にある程度の熱的な補助を与えるものである。
【0029】微少の炭化水素は、配置されたセンサ素子23内に流入し、固体電解質25とセラミック基板31の両方に接着されたガラス32で形成された拡散律速層30を通り、アノード28で電解により水素イオンのプロトンに解離し、プロトン伝導性固体電解質25中を電導し、カソード29で水素として放出される。このとき、炭化水素の濃度に依存するプロトン移動量に応じて出力端子33に電流が流れることになる。素子外部からのガス拡散が律速または制限された状態では、供給される水素と放出される水素が平衡に到達する電流、すなわち限界電流が現れる。炭化水素の拡散はほぼ濃度に比例するので、炭化水素濃度に応じた電流が観察される。
【0030】本電流式固体電解質型検出センサは、一定電位の作動電源26とヒーター35の両方によってイオン導電性を確保しているために、検出エレメントである固体電解質25での炭化水素の反応を促進するヒーター35の表面温度を、例えばプロパンの自己発火温度以下である300℃に設定制御しても、高感度で炭化水素を検出できるものであり、出力は濃度に対して直線的に変化する。
【0031】センサ制御手段は、このヒーター35の表面温度を検出しようとする可燃性冷媒の自己発火温度以上にならないように、制御するものである。
【0032】この高プロトン伝導性の電流式固体電解質型検出センサは、炭化水素の濃度変化を直接検出することが可能なので、冷凍サイクル装置からのプロパン、プロピレン、エタンや、シクロプロパン、イソブタン、ブタン等のHC冷媒の漏洩濃度の時間変化に対して、センサの出力が直線的に変化する。このため、HC冷媒を経時的に監視することが可能となり、基準値を設定する必要がなく、漏洩時間によって高まる濃度を早期に検出することができ、誤動作の心配もない。
【0033】従って、この電流式固体電解質型検出センサは、HC冷媒等を高感度かつ選択的に検出でき、ヒーター表面温度がHC冷媒等の自己発火温度以上となってHC冷媒等の爆発を誘引するような可能性もなく、高信頼、小型、簡便、低コストな可燃性冷媒の検出センサを実現することが可能となるものである。
【0034】なお、本実施の形態では、センサ素子の電解質材料としてバリウムセリウム系酸化物の焼結体を用いたが、カルシウムジルコニア系酸化物や、ストロンチウムセリウム系酸化物を用いてももちろん良い。すなわち、電解質、電極、拡散律速層の材料や形状、作製法など規定するものではない。さらに封着材料は、セラミックスであっても、ガラスであっても良い。もちろん、センサの形状、サイズおよび製法、作動方法は規定するものではない。要するに、可燃性冷媒の単一冷媒または可燃性冷媒を含む混合冷媒を冷媒とする蒸気圧縮冷凍サイクルを備える冷凍サイクル装置において、前記冷媒の前記蒸気圧縮冷凍サイクルからの漏洩を検出し、前記漏洩の検出に伴う反応を促進するために加熱を行うヒーターを有している漏洩検出センサであれば、前記冷凍サイクル装置が本発明のセンサ制御手段を備えることによって、可燃性冷媒の爆発を誘引する可能性を抑制できるものである。
【0035】また、本実施の形態における冷凍サイクル装置およびその変形例は、第1の実施の形態における冷凍サイクル装置およびその変形例に対して、本発明のセンサ制御手段を備えるものであり、本発明の漏洩検出センサが固体電解質型センサであるとして説明したが、第2の実施の形態における冷凍サイクル装置およびその変形例に対して、本発明のセンサ制御手段を備えるものであるとしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、請求項1の本発明は、可燃性冷媒が漏洩した場合、迅速に回収が行える冷凍サイクル装置を提供することができる。
【0037】また、請求項2、3の本発明は、可燃性冷媒が漏洩した場合、確実に回収が行える冷凍サイクル装置を提供することができる。
【0038】さらに、請求項4、5の本発明は、可燃性冷媒の爆発を誘引する可能性を抑制できる冷凍サイクル装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
【公開番号】 特開2000−171130(P2000−171130A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−344615