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【発明の名称】 三重効用吸収冷凍機
【発明者】 【氏名】井上 修行

【氏名】入江 智芳

【要約】 【課題】液面変動を抑えて、冷凍出力の変動がなく、蒸気の吹き抜けを防止することができる三重効用吸収冷凍機を提供する。

【解決手段】高温再生器4、中温再生器5、低温再生器6、凝縮器3、吸収器2、蒸発器1、熱交換器類7〜9、溶液ポンプ13及び冷媒ポンプ14を有する三重効用吸収冷凍機において、前記高温再生器に圧力センサー10と該高温再生器出口部に液面センサー11とを設け、圧力センサー10の出力のもとに、溶液ポンプ13の基本回転速度を設定し、設定した回転速度を液面センサー11で修正する溶液ポンプの回転速度制御装置12を有することとしたものであり、前記液面センサーが、高位及び低位液面スイッチ11,11’であり、前記回転速度制御装置が設定した回転速度を、液面スイッチが液面高位を検知したとき下方修正し、液面低位を検知したとき上方修正するように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高温再生器、中温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、熱交換器類、溶液ポンプ及び冷媒ポンプを主要構成機器とし、これらを溶液配管、冷媒配管で結んだ三重効用吸収冷凍機において、前記高温再生器に圧力センサーと該高温再生器出口部に液面センサーとを設け、該圧力センサーの出力をもとに、吸収器から高温再生器に溶液を送る溶液ポンプの基本回転速度を設定し、該定した回転速度を前記液面センサーで修正する溶液ポンプの回転速度制御装置を有することを特徴とする三重効用吸収冷凍機。
【請求項2】 前記液面センサーが、高位及び低位液面スイッチであり、前記回転速度制御装置が、設定した回転速度を、液面スイッチが液面高位を検知したとき下方修正し、液面低位を検知したとき上方修正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の三重効用吸収冷凍機。
【請求項3】 前記中温再生器は、出口部に液面センサーを設け、前記回転速度制御装置が、設定した回転速度を、前記液面センサーで修正するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の三重効用吸収冷凍機。
【請求項4】 前記液面センサーが、高位及び低位液面スイッチであり、前記回転速度制御装置が、設定した回転速度を、液面スイッチが液面高位を検知したとき下方修正し、液面低位を検知したとき上方修正するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の三重効用吸収冷凍機。
【請求項5】 前記中温再生器は、出口部に液面スイッチを設けると共に、希溶液流入配管中又は濃溶液流出配管中に溶液弁を設け、該液面スイッチが液面高位を検知したとき、中温再生器への希溶液流入量を減少するか、又は、中温再生器からの濃溶液流出量を増大させるように溶液弁を制御する制御機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の三重効用吸収冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収冷凍機に係り、特に熱効率が良く、経済的な三重効用吸収冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】高温再生器、中温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及び熱交換器類を主要構成機器とする三重効用吸収冷凍機は、高温再生器の内圧(溶液の飽和温度)が高くなるため、高温再生器の蒸気が溶液配管を吹き抜けないように、高温再生器出口に液面センサーを設け、液面を調節するように、高温再生器への流入量又は流出量を調整している。最近は、溶液ポンプヘの駆動電源の周波数を調節し、流入量を制御することが多い。また、中温再生器も内圧が高くなるので、蒸気吹き抜け防止のため、中温再生器出口にも液面センサーを設け、液面を調節するように、中温再生器への流入量調節(中温再生器入口配管に弁を設けて調節)、又は流出量調節(中温再生器出口配管に弁を設けて調節)をしている。
【0003】しかし、液面センサーで液位を検知して電源周波数を調整すると、高温再生器への流入量調節で、蒸気吹き抜け防止はできるが、液面変動が急であるため、周波数変動が大きく、溶液ポンプヘッド(揚程)が大きく変動してしまい、中温再生器への流入量も変動し、中温再生器の液面制御が不安定になりがちである。また、溶液サイクルの流量変動から、冷凍出力も変動し、冷水温度の変動がでてくる等の問題がある。このように、蒸気の吹き抜けをどのように防止するかが大きな問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発は、上記のような従来技術の問題点を解決し、液面変動を抑えて、冷凍出力の変動がなく、蒸気の吹き抜けを防止することができる三重効用吸収冷凍機を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、高温再生器、中温再生器、低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、熱交換器類、溶液ポンプ及び冷媒ポンプを主要構成機器とし、これらを溶液配管、冷媒配管で結んだ三重効用吸収冷凍機において、前記高温再生器に圧力センサーと該高温再生器出口部に液面センサーとを設け、該圧力センサーの出力をもとに、吸収器から高温再生器に溶液を送る溶液ポンプの基本回転速度を設定し、該定した回転速度を前記液面センサーで修正する溶液ポンプの回転速度制御装置を有することとしたものである。前記三重効用吸収冷凍機において、前記液面センサーが、高位及び低位液面スィッチであり、前記回転速度制御装置が設定した回転速度を、液面スィッチが液面高位を検知したとき下方修正し、液面低位を検知したとき上方修正するように構成されてもよい。
【0006】また、前記三重効用吸収冷凍機において、中温再生器は、出口部に液面センサーを設け、前記回転速度制御装置を、設定した回転速度を液面センサーで修正するように構成することもでき、液面センサーが高位及び低位液面スィッチであり、前記回転速度制御装置を、設定した回転速度を液面スィッチが液面高位を検知したとき下方修正し、液面低位を検知したとき上方修正するように構成することもできる。前記中温再生器は、出口部に液面スィッチを設けると共に、希溶液流入配管又は濃溶液流出配管に溶液弁を設け、該液面スィッチが液面高位を検知したとき中温再生器への希溶液流入量を減少するか、又は、中温再生器からの濃溶液流出量を増大させるように溶液弁を制御する制御機構を有することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】上記のように、三重効用吸収冷凍機において、高温再生器に圧力センサーを設け、この圧力センサーの出力をもとに、高温再生器に溶液を送る溶液ポンプの回転速度を調節するか、あるいは駆動電源周波数を調節することとし、また、高温再生器出口部に液面センサーを設け、液面高位で前記回転速度又は周波数を下方修正し、また、液面低位にて前記回転速度又は周波数を上方修正するようにしたものである。前記回転速度制御装置は、溶液ポンプ駆動電源の周波数を調節するインバータ制御装置とすることができる。また、必要に応じて、中温再生器への流入量又は、流出量の修正をするため、中温再生器出口部にも液面センサーを設けてもよい。
【0008】また、本発明では前記の圧力センサーの代わりに、飽和温度を検出する温度センサー(一般に、圧力センサーよりも、温度センサーが安価)として、この飽和温度から圧力を演算しても差し支えない。また、高温再生器と低温再生器との間の差圧、高温再生器と中温再生器との間の差圧、高温再生器と吸収器との間の差圧などに置き換えても差し支えない。本発明による三重効用吸収冷凍機では、高温再生器の溶液流出量を支配する高温再生器圧力を基に、高温再生器への溶液流入を流出量に対応させるよう、溶液ポンプの回転速度を調整する。サイクルの圧力は、各構成機器の温度、濃度に関連していて、この変化は非常にゆっくりした変化であり、液面だけを基にした場合に比し、安定した制御となる。圧力だけを基にした場合、外部条件の急変対応ができないことがあるため、液面センサーでフィードバックをかけ、回転速度の修正を加えている。
【0009】次に、図面を用いて本発明を詳細に説明する図1は、本発明の吸収冷凍機の一例を示す概略工程図である。図1において、1は蒸発器、2は吸収器、3は凝縮器、4は高温再生器、5は中温再生器、6は低温再生器、7、8、9は溶液熱交換器、10は圧力センサー、11、11’は液面センサー(液面スイッチ)、12は回転速度制御装置(インバータ制御装置)、13は溶液ポンプ、14は冷媒ポンプ、15は熱源配管、16,17は冷却水配管、18は冷水配管を示す。
【0010】図1を説明すると、吸収器2からの希溶液は溶液ポンプ13により、低温熱交換器7の被加熱側に導入され、加熱側の濃溶液と熱交換して温度を高め、低温熱交換器7を出た後、分岐して一部の希溶液を管23で低温再生器6に導き、残りの希溶液を中温熱交換器8の被加熱側に導入し、加熱側の濃溶液と熱交換して温度を高め、中温熱交換器8を出た後、分岐して一部の希溶液を中温再生器5に導き、残りの希溶液は管21で高温熱交換器9の被加熱側を経由して高温再生器4に導入する。また、高温再生器4で濃縮された濃溶液を、管24で高温熱交換器9の加熱側を経由し、中温再生器5で濃縮された濃溶液と共に、管25を通り中温熱交換器8の加熱側に導き、中温熱交換器8を出た濃溶液は、低温再生器6で濃縮された濃縮液と共に、低温熱交換器7の加熱側に導く。低温熱交換器7を出た濃溶液は、吸収器2に入る。
【0011】高温再生器4では、外部熱源15により加熱され、溶液の濃縮が行われ、この際発生する冷媒蒸気は、管27から中温再生器5の加熱側に導かれ、前述の中温再生器5に導かれた希溶液を加熱濃縮し、加熱後の冷媒蒸気は凝縮して、凝縮器3(又は、低温再生器6加熱側)に導かれる。中温再生器5で発生した冷媒蒸気は、管28で低温再生器6の加熱側に導かれ、前述の低温熱交換器7の被加熱側を経由して導かれた溶液を再度加熱濃縮し、加熱後の冷媒蒸気は凝縮器3に導かれる。低温再生器6で発生した冷媒蒸気は、凝縮器3に導かれ、冷却水16により、冷却されて凝縮する。凝縮器3の冷媒は、管29より蒸発器1に導かれ、ここで、冷水18から熱を奪い冷凍効果を発揮して蒸発する。蒸発した冷媒蒸気は、吸収器2にて、溶液に吸収される。吸収の際の吸収熱は、吸収器2を流れる冷却水17により冷却される。
【0012】蒸発しない冷媒は、冷媒ポンプ14により管30を通り蒸発器に循環され、また、冷煤を吸収した希溶液は、溶液ポンプ13で熱交換器を通って循環される。冷却水は、凝縮器3から導入し、次いで、吸収器2に導いている。本発明では、このような循環経路において、高温再生器4の冷媒蒸気出口に圧力センサー10を設けると共に、高温再生器4の濃溶液の出口経路に液面センサー11を設けている。そして、溶液ポンプ13の回転速度を調整する制御装置12に、圧力センサー10及び液面センサー11の出力信号を入力し、それらの信号により溶液ポンプ13の回転速度を調整している。
【0013】溶液ポンプの回転速度は、まず圧力センサーによって基本回転速度を設定し、設定した回転速度を液面センサーで修正して行う。そして、液面センサーとして高位、低価の液面スイッチ11、11’を用いた場合は、液面スイッチが液面高位を検知したとき回転速度を下方修正し、逆に液面低位を検知したとき上方修正する。また、中温再生器5の濃溶液の出口経路に液面センサーを設け、高温再生器4に設けた液面センサーと同様に制御することができる。さらに、中温再生器5には、希溶液経路の管22に弁31を設けるか、濃溶液経路の管25に弁32を設け、該弁の開閉を調整することにより、中温再生器の溶液量を制御することもできる。
【0014】具体的な溶液循環について、図2〜5を用いて説明する。図2〜5は、吸収剤/冷媒にLiBr/H20系を用いる三重効用吸収冷凍機で、図1のサイクルに対応する値を示し、流量関係は、希溶液循環量の内、低温再生器に33%、中温再生器に33%、残り34%を高温再生器に流す場合を例示する。各機器の圧力は概略下記の通りである。圧力、露点(圧力に対するH20の飽和温度)は、負荷状態、冷却水温度などで変動するので、幅を持たせて表示している。
蒸発器、吸収器 : 5〜10mmHgA凝縮器、低温再生器 :20〜50mmHgA中温再生器 :70〜400mmHgA高温再生器 :200〜1600mmHgA【0015】図2は、各種運転条件に対する高温再生器と中温再生器の圧力関係を示し、中温再生器の圧力は、概略、高温再生器の圧力で推定可能であることが分かる。図3は、高温再生器圧力と溶液ポンプ流量の関係、高温再生器からの濃溶液流量、及び高温/中温両再生器からの濃溶液で中温熱交換器に入る流量を示している。なお、高温再生器への希溶液流量VGHに対し、高温再生器からの濃溶液流量は、概略0.85〜0.95VGH程度となり、また、中温再生器への希溶液流量VGMに対し、中温再生器からの濃溶液流量は、概略0.85〜0.95VGM程度となる。希溶液ポンプの流量VPに対し、吸収器に戻ってくる濃溶液流量は、概略0.85〜0.95VP程度となる。
【0016】図4は、溶液ポンプの特性と、吸収冷凍機運転時の軌跡aを示す。横軸には流量の他、ポンプ流量に対応する図3の高温再生器圧力(平均)を括弧内に示している。この例では、下記の表1を基に溶液ポンプの周波数を設定している。中間値については、比例配分としている。より詳細には、高温再生器の出口部に液面センサーを設け、液面が高位になったときは、周波数を減少させてポンプ送り量を減らして液面を回復させ、また、液面が低位になったときは、周波数を増加させてポンプ送り量を増し、液面を回復させるように制御している。液面高位位置あるいは液面低位位置で安定したときの運転軌跡を破線て示している。通常、この破線の間で運転することになる。なお、高温再生器出口部の液面センサーは、連続的なものでも、高位/低位液面スイッチのON/OFFスイッチでも差し支えない。
【0017】具体的な例としては、基本回転速度を、高温再生器圧力を基に、表1の比例配分で求め、これを、Nとする。修正回転速度△Nを、通常は0とするが、液面高位にて△Nに0.5Hzを加え、時間が経過しても高位検知のままの場合、時間経過毎に0.1Hzを加える。一方、液面低位にて△Nから0.5Hzを減じ、時間が経過しても低位検知のままの場合、時間経過毎に0.1Hzを減じていく。但し、△Nには最大/最小の制限は加えておく。溶液ポンプの回転速度は、N+△Nとする。
【表1】

【0018】図5は、高温再生器からの濃溶液及び中温再生器からの濃溶液の合計流量を太い実線で示す。この濃溶液が中温熱交換器の加熱側に導入される。一方、中温再生器の圧力と低温再生器との圧力差が駆動力となって、この濃溶液を中温熱交換器の低温再生器側に送るのであるが、戻し能力の設計を、定格点において中温再生器側の液位が図1のM点になるようにしたとして、中温再生器側の液位(図1中のH、L)をパラメーターに濃溶液の戻し能力を破線で示す。安定運転していれば、運転点は破線の間にあり、蒸気の吹き抜けは発生しないし、少々の変動に対しても、液位変化で対応がつく。冷凍機の設計をコンパクトにし、高さを極端に抑えたいような場合、液位の変動幅が大きく取れず、液位上昇が中温再生器内に入り込み、冷媒蒸気と共に溶液が流れ出て、冷媒を汚す(冷媒に溶液が入り込む)危険がある。このような場合、中温再生器出口側に液面センサーを設け、液位が高いときには、中温再生器への流入量(図1の弁31)を絞る、あるいは中温熱交換器からの流出量(図1の弁32)を大きくする(図1の弁32を開)等を行うとよい。
【0019】また、別の対策としては、中温再生器側の液位が高くなったとき、高温再生器圧力を基に駆動している溶液ポンプの回転速度を下方修正し、ポンプヘッドを落としてもよい。具体的には、例えば、中温再生器側の液位をON/OFFスイッチで検知し、高位を検知したとき、表1の周波数テーブルを、全体に0.5Hzずつ小さくし、即ち、前述のN値を0.5Hz小さくして運転する。図6は、別の三重効用吸収冷凍機の概略工程図である。高温再生器から溶液を戻す駆動力、中温再生器から溶液を戻す駆動力は、図1の場合と同様である。図7は、別の三重効用吸収冷凍機の概略工程図である。高温再生器から溶液を戻す駆動力は、高温再生器と吸収器の圧力差となる。圧力差を基に回転速度をきめてもよいが、圧力そのもので決めても差し支えない。同様に、中温再生器から溶液を戻す駆動力は、中温再生器と吸収器の圧力差となっている。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、前記したように、高温再生器のサイクルの状態値(圧力、飽和温度等)で、溶液循環量のベースを設定して運転することができ、安定した運転が可能であり、しかも、高温再生器の蒸気吹き抜け防止及び中温再生器の蒸気の吹き抜け防止ができて、熱交換器の効率を最大限生かすことができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100089428
【弁理士】
【氏名又は名称】吉嶺 桂 (外1名)
【公開番号】 特開2000−171123(P2000−171123A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−343650