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【発明の名称】 吸収冷凍機
【発明者】 【氏名】崎山 涼子

【氏名】西口 章

【要約】 【課題】氷温以下で作動可能な吸収冷凍機において、伝熱管等に用いられる銅及び銅合金から銅イオンが析出するのを防止する。

【解決手段】氷温以下で作動可能な吸収冷凍機は、第1吸収器の吸収液散布ポンプの吐出配管から分岐して第2蒸発器へ至る配管を備える。そして、この配管途中に溶液タンクを設ける。溶液タンク内部には、炭素鋼、銅、グラファイトなどの電極を保持する。電極にはこの電極を低電位に保つ電源が接続されている。溶液タンクと第2蒸発器をつなぐ配管部分には、開閉弁が取付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】吸収器、蒸発器、高温再生器、低温再生器、凝縮器を有する吸収冷凍機において、前記蒸発器内の冷媒に吸収溶液を混入する吸収溶液混入手段と、吸収溶液を混入した冷媒中に銅が析出するのを防止する銅析出防止手段とを設けたことをことを特徴とする吸収冷凍機。
【請求項2】前記吸収器は第1の吸収器及び第1の伝熱面を有する第2の吸収器を備え、前記蒸発器は第2の伝熱面を有する第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、前記第1の伝熱面と前記第2の伝熱面とを配管接続し、前記銅析出防止手段を前記第2の蒸発器に設けたことを特徴とする請求項1に記載の吸収冷凍機。
【請求項3】前記蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、前記吸収器は吸収溶液を散布する第1の吸収溶液散布ポンプを有する第1の吸収器及び吸収溶液を散布する第2の吸収溶液散布ポンプを有する第2の吸収器とを備え、前記第1の吸収溶液散布ポンプと第2の吸収溶液散布ポンプの少なくともいずれかのポンプの吐出側と前記第2の蒸発器とを接続する配管を設け、この配管の途中に溶液タンクと開閉弁とを配置し、前記銅析出防止手段は電極と、この電極に低電位を供給する電源とを有し、前記溶液タンクに前記電極を保持したことを特徴とする請求項1に記載の吸収冷凍機。
【請求項4】前記溶液タンクの底部とこの溶液タンクの上部とを接続する接続配管を設けたことを特徴とする請求項3に記載の吸収冷凍機。
【請求項5】前記蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、前記吸収器は吸収溶液を散布する第1の吸収溶液散布ポンプを有する第1の吸収器及び吸収溶液を散布する第2の吸収溶液散布ポンプを有する第2の吸収器とを備え、前記第1の吸収溶液散布ポンプと第2の吸収溶液散布ポンプの少なくともいずれかのポンプの吐出側と前記第2の蒸発器とを接続する配管と、この配管の途中に配置する弁と、前記第2の蒸発器の底部と前記第2の吸収器とを接続する接続配管とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の吸収冷凍機。
【請求項6】前記蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、前記吸収器は第1の吸収器及び第2の吸収器とを備え、吸収溶液を収容する未使用吸収溶液タンクと、この未使用吸収溶液タンクの底部と前記第2の蒸発器とを接続する第1の配管と、この配管中に位置する第1の弁と、前記未使用吸収溶液タンクと前記第2の蒸発器の上部とを接続する第2の配管と、この第2の配管の途中に位置する第2の弁とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の吸収冷凍機。
【請求項7】吸収器、蒸発器、高温再生器、低温再生器、凝縮器を有する吸収冷凍機において、前記蒸発器内の冷媒に吸収溶液を混入する吸収溶液混入手段を設け、前記高温再生器は伝熱面を有し、この伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成したことを特徴とする吸収冷凍機。
【請求項8】前記低温再生器は伝熱面を有し、この伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成したことを特徴とする請求項7に記載の吸収冷凍機。
【請求項9】前記蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、前記吸収器は伝熱面を有する第1の吸収器及び伝熱面を有する第2の吸収器とを備え、前記第1の吸収器および第2の吸収器のそれぞれの伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成したことを特徴とする請求項8に記載の吸収冷凍機。
【請求項10】前記低温再生器の冷媒を導く凝縮器と、前記第2の吸収器で生成する稀溶液と前記高温再生器または低温再生器の少なくともいずれかから導かれる濃溶液との間で熱交換する溶液熱交換器とを設け、前記第1の蒸発器、第2の蒸発器、凝縮器および溶液熱交換器の伝熱面を、ステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成したことを特徴とする請求項9に記載の吸収冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を冷媒とする吸収冷凍機に係り、特に0℃以下の低温度を利用可能な吸収冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍や冷蔵用に使用されている吸収冷凍機では、0℃以下の低温を発生させるために、フロン22やアンモニアなど、冷媒の凍結や吸収剤の結晶化を引き起こさない媒体が使用されている。しかしフロン22はオゾン層保護のため全廃される予定であり、またアンモニアは取扱が容易な冷媒ではない。さらにこれらの冷媒を用いると、再生器の圧力が高圧となり、好ましくない。
【0003】一方、水を冷媒とし、吸収剤に臭化リチウムなどの吸湿性塩を用いる吸収冷凍機では、冷媒である水が凍結するために、0℃以下の低温を発生させることが困難であった。この課題に対し、蒸発器内の冷媒中に吸収溶液を混入することにより、冷媒温度が0℃以下になっても凍結しないようにした吸収冷凍機が提案されている。蒸発器内の冷媒中に吸収溶液を混入して凍結防止を図るものとして、例えば特公昭58-15703号公報、特開平7-139844号公報、特開昭55-162565号公報、特開昭60-103268号公報および特開昭60-103269号公報に記載のものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記各公報に記載のものと同様のものを本発明者らが実験的に研究したところ、蒸発器で用いる混合冷媒中に、銅イオンが化合物を作って析出するという現象を発見した。これは、伝熱面に銅を用いる吸収冷凍機では、溶液中に銅がイオン化して溶け込んでいるためである。そして、溶液の濃度が高いと銅イオンの溶解度が高くなり、これらの銅が析出することはないが、低濃度の混合冷媒では銅イオンの溶解度が低下して、化合物として析出することが原因であることも判明した。この化合物は微粒子状の固体であり、吸収冷凍機を構成する各部品の内壁面に付着する。そしてついには、ポンプの摺動面に付着してポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという不具合を生じることもある。
【0005】本発明の目的は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、吸収冷凍機において溶液混合冷媒中の銅の析出を防止することにある。本発明の他の目的は、吸収冷凍機を安定して長時間運転することにある。本発明のさらに他の目的は、信頼性の高い吸収冷凍機を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の第1の特徴は、吸収器、蒸発器、高温再生器、低温再生器、凝縮器を有する吸収冷凍機において、蒸発器内の冷媒に吸収溶液を混入する吸収溶液混入手段と、吸収溶液を混入した冷媒中に銅が析出するのを防止する銅析出防止手段とを設けたものである。
【0007】そして好ましくは、吸収器は第1の吸収器及び第1の伝熱面を有する第2の吸収器を備え、蒸発器は第2の伝熱面を有する第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、第1の伝熱面と第2の伝熱面とを配管接続し、銅析出防止手段を第2の蒸発器に設ける;蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、吸収器は吸収溶液を散布する第1の吸収溶液散布ポンプを有する第1の吸収器及び吸収溶液を散布する第2の吸収溶液散布ポンプを有する第2の吸収器とを備え、第1の吸収溶液散布ポンプと第2の吸収溶液散布ポンプの少なくともいずれかのポンプの吐出側と前記第2の蒸発器とを接続する配管を設け、この配管の途中に溶液タンクと開閉弁とを配置し、銅析出防止手段は電極と、この電極に低電位を供給する電源とを有し、溶液タンクに電極を保持した;溶液タンクの底部とこの溶液タンクの上部とを接続する接続配管を設けた;蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、吸収器は吸収溶液を散布する第1の吸収溶液散布ポンプを有する第1の吸収器及び吸収溶液を散布する第2の吸収溶液散布ポンプを有する第2の吸収器とを備え、第1の吸収溶液散布ポンプと第2の吸収溶液散布ポンプの少なくともいずれかのポンプの吐出側と第2の蒸発器とを接続する配管と、この配管の途中に配置する弁と、第2の蒸発器の底部と第2の吸収器とを接続する接続配管とを設けた;蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、吸収器は第1の吸収器及び第2の吸収器とを備え、吸収溶液を収容する未使用吸収溶液タンクと、この未使用吸収溶液タンクの底部と第2の蒸発器とを接続する第1の配管と、この配管中に位置する第1の弁と、未使用吸収溶液タンクと第2の蒸発器の上部とを接続する第2の配管と、この第2の配管の途中に位置する第2の弁とを設けたものである。
【0008】上記目的を達成するための本発明の第2の特徴は、吸収器、蒸発器、高温再生器、低温再生器、凝縮器を有する吸収冷凍機において、蒸発器内の冷媒に吸収溶液を混入する吸収溶液混入手段を設け、高温再生器は伝熱面を有し、この伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成するものである。
【0009】そして好ましくは、低温再生器は伝熱面を有し、この伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成する;蒸発器は第1の蒸発器及び第2の蒸発器を備え、吸収器は伝熱面を有する第1の吸収器及び伝熱面を有する第2の吸収器とを備え、第1の吸収器および第2の吸収器のそれぞれの伝熱面をステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成した;低温再生器の冷媒を導く凝縮器と、第2の吸収器で生成する稀溶液と前記高温再生器または低温再生器の少なくともいずれかから導かれる濃溶液との間で熱交換する溶液熱交換器とを設け、第1の蒸発器、第2の蒸発器、凝縮器および溶液熱交換器の伝熱面を、ステンレス鋼、鋼、銅合金、アルミ合金のいずれかで構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施例を図1〜図4を用いて説明する。図1は本発明の一実施例に係る吸収冷凍機の系統図である。吸収冷凍機は、高温再生器1A、低温再生器1B、凝縮器2、第1蒸発器3A、第2蒸発器3B、第1吸収器4A、第2吸収器4B、液熱交換機5A,5B、溶液循環散布ポンプ6B、などを配管で接続し、冷媒及び吸収液の循環経路を形成している。
【0011】高温再生器1Aには伝熱面HAが配置されており、その内部を流通する吸収溶液を都市ガスなどの燃焼ガス、排ガスや蒸気などで加熱沸騰させている。ここで吸収溶液の吸収剤は臭化リチウムであり冷媒は水である高温再生器1Aで発生した冷媒蒸気は、低温再生器1Bに導かれる。低温再生器1Bの内部には、高温再生器1Aで発生した冷媒蒸気の凝縮潜熱を熱源として吸収溶液を加熱沸騰させる伝熱面HBが配置されている。高温再生器1Aで発生した冷媒蒸気は、低温再生器1Bの吸収溶液を加熱して凝縮液化されて液冷媒になり、凝縮器2に導入される。低温再生器1Bで発生した冷媒蒸気は凝縮器2に導かれる。そして、凝縮器2内の伝熱面32において、例えば冷却塔から送られて来る冷却水CWで冷却され、凝縮液化されて液冷媒になる。
【0012】凝縮器2で生成された液冷媒は、液冷媒導管10を介して第1蒸発器3Aの液冷媒タンク8Aに導入される。冷媒散布ポンプ7Aは、液冷媒タンク8Aから液冷媒を吸込んで伝熱管31A上に散布し、液冷媒を蒸発させる。液冷媒は、蒸発して冷媒蒸気となり、第1吸収器4Aに導かれる。第1蒸発器3A内の伝熱管31Aと第2吸収器4B内の伝熱管と30Bは連結されている。これらの伝熱管31A30B内を流れる循環水は、第1蒸発器3Aで冷媒の蒸発潜熱により冷却されその後第2吸収器4B内の伝熱管30Bを冷却する。
【0013】第2蒸発器3Bの下部には混合冷媒タンク8Bが設けられている。この混合冷媒タンク8B内には、吸収剤を僅かに含む混合冷媒が溜められている。この混合冷媒は、混合冷媒散布ポンプ7Bにより第2蒸発器3B内に配置された伝熱管31B上に散布されて蒸発し、この伝熱管31B内を流れるブラインを冷却する。
【0014】一方、高温再生器1Aおよび低温再生器1Bで冷媒蒸気が分離して濃縮された吸収溶液は、第2吸収器で生成された希溶液と溶液熱交換器5A、5Bにおいて熱交換して低温になる。そして、濃溶液導管12を経由して第1吸収器4Aに送られる。この濃溶液は、溶液散布ポンプ6Aにより第1吸収器4Aの伝熱管上に散布され、管内を流れる冷却水と熱交換して冷却される。このとき、第1蒸発器3Aで蒸発した冷媒蒸気を吸収して薄い溶液になる。
【0015】第1吸収器4Aと第2吸収器4Bは、溶液導管14により接続されている。第1吸収器4Aの薄い吸収溶液のオーバーフロー分は、溶液導管14を経て第2吸収器4Bに送られる。この薄い吸収溶液の一部は、溶液循環散布ポンプ6Bにより伝熱管30B上に散布され、第1蒸発器3Aから流入する冷媒の蒸発潜熱により冷却される。そして、吸収溶液は、第2蒸発器3Bから流入する冷媒蒸気を吸収してさらに希釈され、希溶液になる。この稀溶液は、溶液循環散布ポンプ6Bにより希溶液導管13、溶液熱交換器5A、5Bを経由して再生器1A、1Bに送られる。
【0016】第1吸収器4Aの散布ポンプ6Aの吐出配管から、第2蒸発器の混合冷媒タンク8Bへ至る配管9が分岐している。この配管9の途中には、溶液タンク25が設けられている。溶液タンク25の底部と溶液タンク25の上部を、配管22及びこの配管途中に介在するポンプ27が接続している。溶液タンク25の内部には、炭素鋼や銅やグラファイトなどからなる電極20が設けられている。電極20は、電源29により低電位に保たれている。溶液タンク25と第2蒸発器をつなぐ配管に、開閉弁17を備える。
【0017】なお、本実施例では第1吸収器4Aから混合冷媒タンク8Bに吸収溶液を導入しているが、第2吸収器4Bや再生器側からの濃溶液導管12から吸収溶液を導入してもよい。溶液タンク25内に炭素鋼などの電極20を保持し、この電極20を絶縁体26で絶縁する。電極20と溶液タンク25との間に電源29から電圧を印加して、電極20を所定の低電位にする。その結果、吸収溶液中の銅イオンが電極表面に析出する。ポンプ27が溶液タンク25内の吸収溶液を循環させているので、吸収溶液は循環とともに攪拌され、溶液タンク内の銅イオンは残らず電極表面に析出する。
【0018】このように構成した吸収冷凍機の運転について、以下に説明する。吸収冷凍機を起動するときは、まず、吸収冷凍機が備える制御装置21を用いて、第1吸収器と第2吸収器とを接続する配管9の途中に設けたバルブ17を開け、第1吸収器4Aから必要量の吸収溶液を、第2蒸発器3Bに導入する。第2蒸発器3Bには、液面高さ検出手段28が取付けられている。制御装置21は、この液面高さ検出手段28が検出した信号を入力し、液面高さの測定値が所定値となったらバルブ17を閉じる。その際、配管9を通過する吸収溶液中に含まれる銅イオンは、電極20により除去される。そして、第2蒸発器3Bには銅イオンを含まない吸収液が、導入される。その後で、第1蒸発器3Aと第2蒸発器3Bとを接続する冷媒導管11の途中に設けたバルブ18を開く。冷媒は、第1蒸発器3Aの冷媒タンク8Aから冷媒導管11を経由して第2蒸発器3Bの混合冷媒タンク8Bに流入し、混合冷媒タンク8B中の吸収溶液と混合して、混合冷媒となる。
【0019】吸収冷凍機を運転しているときに、第2蒸発器3Bの混合冷媒を散布し続けると、冷媒だけが蒸発して第2吸収器4Bの溶液に吸収され、臭化リチウムは蒸発しないで、そのままでは濃縮がどんどん進む。そこで、蒸発した分の冷媒を、第1蒸発器3Aの冷媒タンク8Aから冷媒導管11を経由して補給する。冷媒導管11を経て第2蒸発器3Bに流入する冷媒量は、第2吸収器で吸収される冷媒量に制御される。つまり、第2蒸発器3Bの混合冷媒散布配管に取り付けた濃度センサー24が冷媒濃度を検出し、この濃度が一定になるように、制御装置21がバルブ18の開度を調整する。
【0020】一旦、第2蒸発器3Bの混合冷媒タンク8Bに混合冷媒ができると、臭化リチウムは蒸発しないので冷媒だけを補給すればよいはずである。しかしながら、液滴飛散等により混合冷媒の溶質が流出すると、臭化リチウム濃度を一定に保とうとして混合冷媒の量が減るように制御される。混合冷媒タンク8Bに取付けた液面高さ検出手段28が、混合冷媒の液面高さが一定量以下になったことを検出したときには、制御装置21がバルブ17を所定時間開け、吸収溶液を補給する。これにより、混合冷媒量の減少を防止する。
【0021】一方、溶液の液滴飛散等で混合冷媒中の溶質が増加すると、濃度を一定に保つため液面が上昇する。混合冷媒タンク8Bの底部と第2吸収器4Bの溶液散布配管を配管15が接続し、この配管15の途中にバルブ19が設けられているので、液面高さ検出手段28が検出した液面高さが設定値以上になると、制御装置21はバルブ19を開け、吸収溶液を流出させる。これにより、混合冷媒量を減少させる。また、第1吸収器内の吸収溶液を第2蒸発器3Bの混合冷媒散布配管に導く配管の途中に、コロイド状の銅の化合物を除去可能なフィルター23を取り付ける。このフィルタとしては、例えば、デプスカートリッジフィルターなどが好ましい。
【0022】吸収冷凍機を停止するときは、制御装置21を用いてバルブ19を開き、混合冷媒を吸収溶液中に排出する。液面高さ検出手段28が、混合冷媒タンク8B内の液がなくなったことを検出したら、バルブ19を閉じる。
【0023】以上は、吸収冷凍機の運転ごとに混合冷媒を新たに作成する方法について述べたものである。しかし、吸収冷凍機を停止している時に混合冷媒が排出されている必要がなければ、起動時に混合冷媒を作成せずに前回の運転で溜まっている混合冷媒を用いてもよい。
【0024】このように吸収冷凍機を運転すると、吸収冷凍機内では冷媒及び吸収溶液に以下のような変化が生じる。第2蒸発器3Bの混合冷媒タンク8Bに導かれた吸収溶液は、タンク25内の電極20により、銅イオンを除去される。そして、混合冷媒タンク8Bにおいて冷媒と混合するが、冷媒との混合で溶液濃度が薄くなっても、銅の化合物析出が起こらない。したがって、従来方法では生じる恐れのあった、析出した銅の化合物がポンプの摺動面に付着し、ポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという事態を、防止できる。また、電極20で除去しきれなかった銅イオンが混合冷媒タンク8Bに入ってきても、混合冷媒散布配管のフィルター23が銅の錯体を除去するので、析出した銅の化合物がポンプの摺動面に付着してポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという事態を防止できる。
【0025】本発明に係る吸収冷凍機の他の実施例を、図2のサイクル系統図を用いて説明する。図2において、図1と同じ記号は、同一の部品を示す。本実施例と図1に示した実施例とは、図1の実施例では、第1吸収器4Aの散布ポンプ6Aの吐出配管から分岐して第2蒸発器の混合冷媒タンク8Bへ至る配管、溶液タンクの底部とこの溶液タンクの上部を接続する配管、この配管の途中に介在するポンプ、溶液タンク内に保持した電極、この電極を低電位に保つ電源を備えているが、本実施例ではこれらを省いている点で相違している。
【0026】そして、これらの各構成要素を省いた代わりに、本実施例では、吸収溶液導入配管9に未使用の吸収溶液を収容する吸収溶液タンク25、バルブ17、吸収溶液タンク25上部と第2蒸発器3B上部とを接続する配管33、バルブ16を設けている。
【0027】このように構成した本実施例においては、吸収冷凍機の起動時に、液面高さ検出手段28が検出した混合冷媒の液面高さが設定値以下であると、制御装置21がバルブ16、17を混合冷媒の液面高さが所定の高さになるまで開く。このとき、銅イオンを含まない吸収溶液が、吸収溶液タンク25から第2蒸発器3Bの混合冷媒タンク8B内に導入される。したがって、混合冷媒中に銅イオンは存在せず、銅の化合物が析出して、ポンプの摺動面に付着しポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという不具合をこの方法でも防止できる。
【0028】図3に、本発明に係る吸収冷凍機のさらに他の実施例をサイクル系統図で示す。図3において、図1及び図2と同一の符号は同一の部品を表す。本実施例は、図2に示した実施例と同様に、溶液タンクの底部とタンク上部をつなぐ配管、この配管途中のポンプ、溶液タンク内部の電極、この電極を低電位に保つ電源を省き、さらに、散布ポンプ6Aの吐出配管から分岐して混合冷媒タンク8Bへ至る配管の途中に設けた溶液タンクをも省いている。
【0029】このように構成した本実施例では、吸収冷凍機を停止するときには、混合冷媒タンク8B内の混合冷媒を排出した後、制御装置21を用いてバルブ17を開く。そして、第2蒸発器3Bの混合冷媒タンク8B内に吸収溶液を導入する。液面高さ検出手段28が検出した液面が、設定高さになったらバルブ17を閉じる。次に混合冷媒散布ポンプ7Bが、吸収溶液を循環させる。これにより、第2蒸発器3B及びその周辺のポンプ、配管などに溜まった銅化合物の析出物を吸収溶液に溶かす。所定時間だけ混合冷媒散布ポンプ7Bを用いて溶液を循環させる。
【0030】銅錯体が吸収溶液に十分溶けたら、制御装置21を用いて、第2蒸発器3Bと第2吸収器4Bとを接続する混合冷媒導管15途中のバルブ19を開き、第2蒸発器3B内の吸収溶液を第2吸収器4B内に排出させる。液面高さ検出手段28が吸収溶液がないことを検出したら、制御装置21によりバルブ19を閉じる。本実施例においては、析出した銅の化合物を吸収溶液に溶かすので、析出物は取り除かれ、析出物がポンプの摺動面に付着してポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという不具合を防止できる。
【0031】図4に、本発明に係る吸収冷凍機のさらに他の実施例を、サイクル系統図で示す。図4において、図1と同一の符号は、同一の部品を表す。本実施例と図1に示した実施例との違いは、第1吸収器4Aの散布ポンプ6Aの吐出配管から分岐して第2蒸発器の混合冷媒タンク8Bへ至る配管途中に設けた溶液タンク、溶液タンクの底部と溶液タンク上部をつなぐ配管、この配管途中のポンプ、溶液タンク内部に保持した電極、電極を低電位に保つ電源、混合冷媒タンク8Bの底部と第2吸収器4Bの溶液散布配管を接続する配管、この配管途中に設けたバルブをすべて省いたことにある。
【0032】そして、その代わりに、高温再生器1Aの伝熱面HA、低温再生器1Bの伝熱面HB、凝縮器2の伝熱管32、第1吸収器4Aの伝熱管30A、第2吸収器4Bの伝熱管30B、第1蒸発器3Aの伝熱管31A、第2蒸発器3Bの伝熱管31Bとして、ステンレス鋼の伝熱管を使用している。そのため、本実施例においては、吸収溶液が銅及びその合金に触れることはなく、したがって銅イオンは存在しない。その結果、上記各実施例と同様に、銅の化合物が析出してポンプの摺動面に付着してポンプロックを発生したり、細い配管やオリフィスを詰まらせるという不具合を防止できる。
【0033】本実施例ではすべての伝熱管及び伝熱面にステンレス鋼を用いたが、一部の伝熱管または伝熱面だけをステンレス鋼にしてもよい。これは、臭化リチウム水溶液の銅に対する腐食量が、温度に依存することを考慮したものである。つまり、温度が高いほど腐食量は大きいから、高温再生器や低温再生器の高温部分のみステンレス鋼にし、第1蒸発器や凝縮器の伝熱管を銅製とする。
【0034】また、第1蒸発器や凝縮器内の伝熱管または伝熱面は、純粋冷媒のみで臭化リチウム水溶液に触れることはない。この場合、伝熱管及び伝熱面を全てステンレス鋼から形成した場合に比べ、伝熱性能が向上するとともに、コストが低下する。また、ステンレス鋼に限らず、一般の鋼、銅合金、アルミ合金など吸収溶液に銅イオンが溶け出さない素材を伝熱管及び伝熱面に用いてもよい。さらに、銅または銅合金の伝熱管または伝熱面の表面にステンレス鋼などをメッキ等の表面処理しても良いことは言うまでもない。また、それらを耐熱プラスチックでコーティングしてもよい。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、吸収冷凍機において、混合冷媒中の銅の析出を防止することにより、析出した銅の化合物が、吸収冷凍機の各構成部品内部に付着して溶液や冷媒の流動を阻害するのを防止できる。また、シール部等での析出物による目詰まりを防止できる。これにより、吸収冷凍機を安定して長時間運転でき、信頼性の高い吸収冷凍機を実現できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開2000−171118(P2000−171118A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−346443