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【発明の名称】 冷凍機用コールドヘッド
【発明者】 【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【氏名】渡辺 紀久

【氏名】田口 芳人

【氏名】内田 年雄

【要約】 【課題】コールドヘッドの構造を改良することで冷凍機の冷凍能力向上を図ること。

【解決手段】コールドヘッド10における室温側オリフィス14−2の断面積をシリンダ11の内部断面積の3.5〜6%とし、低温側オリフィス14−1の断面積をシリンダの内部断面積の14〜30%とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端が閉塞されたシリンダと、前記シリンダの他端に取り付けられ、該シリンダと共に閉じた空間を画定する外枠と、前記シリンダ内に配置されたディスプレーサであって、前記シリンダの一端と該ディスプレーサとの間に低温側オリフィスを通して膨張空間を画定すると共に、前記外枠と該ディスプレーサとの間に室温側オリフィスを通して無効空間を画定し、該ディスプレーサ内には前記膨張空間と前記無効空間とを連通させるガス流路及び該ガス流路内を流れるガスと熱交換を行う蓄冷材が設けられたディスプレーサと、前記ディスプレーサを、該ディスプレーサの外周面が前記シリンダの内周面と微小間隙を隔てて対峙させ、かつ前記シリンダの軸方向に移動可能に支持する支持手段と、前記無効空間へ連通し、冷媒ガスの導入と排出を行う冷媒ガス供給路とを有し、前記室温側オリフィスの断面積は前記シリンダ内部断面積の3.5〜6%とし、前記低温側オリフィスの断面積は前記シリンダ内部断面積の14〜30%としたことを特徴とする冷凍機用コールドヘッド。
【請求項2】 前記支持手段は、前記ディスプレーサを前記シリンダの軸方向に弾性的に支持する弾性部材を有することを特徴とする請求項1記載の冷凍機用コールドヘッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スターリング冷凍機のような冷凍機に接続されるコールドヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図2を参照して、本出願人によりすでに出願済み(特願平10−236111号)のスターリング冷凍機について説明する。このスターリング冷凍機は、ガス圧縮機20、コールドヘッド50、及び両者を接続するキャピラリチューブ45を含んで構成される。
【0003】ガス圧縮機20は、隔壁22を挟んで面対称な構造を有する。隔壁22の両側にシリンダ23が配置されている。シリンダ23は、柱面状の内周面を有し、その中心軸が隔壁22に垂直になるように配置されている。シリンダ23の内部空洞内にピストン24が配置されている。ピストン24は、シリンダ23の内周面に整合する外周面を有する。ピストン24、シリンダ23、及び隔壁22により、圧縮室25が画定される。圧縮室25は、隔壁22内に形成されたガス流路26を介してキャピラリチューブ45に連通している。
【0004】ピストン24の、圧縮室25とは反対側の端部にピストンロッド28が連結されている。ピストンロッド28は、シリンダ23の中心軸の延長線に沿って延在している。ピストンロッド28は、スラスト軸受27及び29により、その軸方向に移動可能に、かつ軸に直交する方向には移動が禁止されるように支持されている。スラスト軸受27及び29は、それぞれ軸受支持部材33及び34を介してシリンダ23に固定されている。
【0005】ピストン24は、スラスト軸受27及び29により、シリンダ23の内周面とピストン24の外周面との間に微小な間隙が形成されるように保持される。この間隙が10μm程度以下であれば、クリアランスシールとして作用する。
【0006】シリンダ23に、その内部空間を取り囲むように、隔壁22とは反対側の端面から隔壁22に向かって環状のギャップ36が形成されている。ギャップ36の外周面を形成している内壁には環状の永久磁石37が取り付けられている。シリンダ23はヨークを兼ね、永久磁石37、シリンダ23及びギャップ36により磁気回路が形成される。
【0007】この磁気回路に鎖交するように、ギャップ36内に電磁コイル40が挿入されている。電磁コイル40は、コイル支持部材41を介してピストンロッド28に固定されている。
【0008】電磁コイル40に、電流リード43及び44を介して電流が供給される。電流リ−ド43及び44は、シリンダ23に固定された軸受支持部材34とピストンロッド28に固定されたコイル支持部材41との間を接続するコイルばねを含んで構成される。コイルばねは、ピストンロッド28の軸方向に弾性変形する。電流リード43及び44を構成するコイルばねとして、ピストン24等の可動部分の往復運動が、運転周波数に共鳴するようなものが採用される。
【0009】ピストン24、スラスト軸受27、29、電流リード43、44等が配置された空間は、外側ケース30により密閉されている。
【0010】コールドヘッド50は、シリンダ51、ディスプレーサ(ピストン)52、コイルばね53、及び外枠57を含んで構成される。シリンダ51は、柱面状、例えば円柱面状の内周面を有する。シリンダ51の一端は閉塞され、他端は外枠57で塞がれている。シリンダ51の内部空洞内にディスプレーサ52が挿入されている。ディスプレーサ52の外周面とシリンダ51の内周面との間に、シール部材54が配置されている。
【0011】シリンダ51の一端とディスプレーサ52との間に、低温側オリフィス61を通して膨張空間55が画定され、ディスプレーサ52と外枠57との間に、室温(常温)側オリフィス62を通して無効空間56が画定される。ディスプレーサ52内には、膨張空間55と無効空間56とを連通させるガス流路58が設けられている。ガス流路58内には、銅金網、鉛球等の蓄冷材59が充填されている。
【0012】ディスプレーサ52は、無効空間56内に配置されたコイルばね53により、軸方向に関して弾性的に支持されている。無効空間56は、キャピラリチューブ45及びガス流路26を介してガス圧縮機20の圧縮室25に連通している。
【0013】このようなスターリング冷凍機の動作原理は、上記の出願明細書に詳しく述べられており、以下では簡単に説明する。
【0014】電磁コイル40に所定周波数の交流電流を流すと、電流リード43、44の弾性力に抗してピストン24が往復運動する。隔壁22の両側の2つのピストン24が、相互に反対向きに移動するように、交流電流の位相が制御される。2つのピストン24が近づく向きに移動する時、圧縮室25内が高圧になり、両者が遠ざかる向きに移動するとき、圧縮室25内が低圧になる。ピストン24が往復運動を繰り返すことにより、周期的にガス圧を変化させることができる。
【0015】コールドヘッド50への冷媒ガスの供給及び排気を繰り返すことにより、逆スターリングサイクルを実行させ、膨張空間55に寒冷を発生させることができる。
【0016】スラスト軸受27、29により、ピストン24がシリンダ23内に所定のクリアランスをもって支持される。このため、シリンダ23の内周面へのピストン24の片当たりによる磨耗を防止し、信頼性を高めることができる。また、ピストン24を板ばねで支持する場合に比べて、大きなストロークを確保することができる。また、スラスト軸受27、29は、板ばねのように疲労破壊を起こすこともない。ピストン24のストロークを大きくすることにより、スターリング冷凍機の性能の向上を図ることができる。
【0017】スラスト軸受27、29には真空用グリスを使用することが好ましい。真空用グリスを使用することにより、冷媒ガスの汚染を防止することができる。また、スラスト軸受27、29として、例えばNSK社製のリニアボールベアリングLB型等のリニアベアリングを用いることができる。また、リニアベアリングの代わりにすべり軸受を用いてもよい。上記例では、ディスプレーサ52の径方向の位置を、シール部材54で固定する場合を示しているが、ディスプレーサ52も、ガス圧縮機20のピストン24と同様に、スラスト軸受で支持してもよい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のスターリング冷凍機の課題の1つとして、冷凍能力の向上がある。冷凍能力の向上を図るためには、ガス圧縮機20、コールドヘッド50のそれぞれについて検討がなされる必要がある。
【0019】本発明の課題は、コールドヘッドの構造を改良することで冷凍能力の向上を図ることにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一端が閉塞されたシリンダと、前記シリンダの他端に取り付けられ、該シリンダと共に閉じた空間を画定する外枠と、前記シリンダ内に配置されたディスプレーサであって、前記シリンダの一端と該ディスプレーサとの間に低温側オリフィスを通して膨張空間を画定すると共に、前記外枠と該ディスプレーサとの間に室温側オリフィスを通して無効空間を画定し、該ディスプレーサ内には前記膨張空間と前記無効空間とを連通させるガス流路及び該ガス流路内を流れるガスと熱交換を行う蓄冷材が設けられたディスプレーサと、前記ディスプレーサを、該ディスプレーサの外周面が前記シリンダの内周面と微小間隙を隔てて対峙させ、かつ前記シリンダの軸方向に移動可能に支持する支持手段と、前記無効空間へ連通し、冷媒ガスの導入と排出を行う冷媒ガス供給路とを有し、前記室温側オリフィスの断面積は前記シリンダ内部断面積の3.5〜6%とし、前記低温側オリフィスの断面積は前記シリンダ内部断面積の14〜30%としたことを特徴とする冷凍機用コールドヘッドが提供される。
【0021】なお、前記支持手段は、前記ディスプレーサを前記シリンダの軸方向に弾性的に支持する弾性部材を有することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する前に、本発明の着眼点について説明する。図1におけるコールドヘッド50におけるディスプレーサ52の運動方程式は、以下の式で表される。
【0023】F=k・x+Cただし、kはコイルばね53のばね定数、xはディスプレーサ52の移動距離、Cは定数である。
【0024】上記の式において、移動距離xを大きくするためにはFを大きくする必要がある。そして、本発明者らは、Fを大きくするためには、低温側オリフィス61と、室温側オリフィス62の断面積が重要であることを確認した。
【0025】図1を参照して、本発明の実施の形態について説明する。コールドヘッド10は、シリンダ11、ディスプレーサ(ピストン)12、コイルばね13、及び外枠17を含んで構成される。シリンダ11は、柱面状、例えば円柱面状の内周面を有する。シリンダ11の一端は閉塞され、他端は外枠17で塞がれている。シリンダ11の内部空洞内にシリンダに収容されたディスプレーサ12が挿入されている。本形態では、ディスプレーサ12を収容しているシリンダの外周面とシリンダ11の内周面との間に微小な間隙を画定することにより、図1で説明したようなシール部材を不要としているが、シール部材を配置してシールするようにしても良い。
【0026】シリンダ11の一端とディスプレーサ12との間に、低温側オリフィス14−1を通して膨張空間15が画定され、ディスプレーサ12と外枠17との間に、室温(常温)側オリフィス14−2を通して無効空間16が画定される。ディスプレーサ12の内部構造は、図1で説明したものと同じであり、膨張空間15と無効空間16とを連通させるガス流路が設けられ、ガス流路内には、銅金網、鉛球等の蓄冷材が充填されている。
【0027】ディスプレーサ12は、無効空間16内に配置されたコイルばね13により、軸方向に関して弾性的に支持されている。無効空間16は、キャピラリチューブ18を介して図1のガス圧縮機20の圧縮室25に連通している。
【0028】本発明においては、上記のような着眼点に基づいて、低温側オリフィス14−1の断面積を室温側オリフィス14−2の断面積よりも大きくし、特に低温側オリフィス14−1の断面積をシリンダ11の内部断面積の14〜30%とすると共に、室温側オリフィス14−2の断面積はシリンダ11の内部断面積の3.5〜6%とすることで、冷凍能力の向上を図れることを確認した。
【0029】図3は、動作係数(成績係数)COPの測定結果を示し、図3(a)は低温側オリフィス14−1に関する結果を、図3(b)は室温(常温)側オリフィス14−2に関する結果をそれぞれ示している。
【0030】なお、本発明は、図1において説明したスターリング冷凍機に限らず、他のガス圧縮機にも適用可能である。また、ディスプレーサ12は、ガス圧縮機20のピストン24と同様に、スラスト軸受で支持してもよい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、コールドヘッドにおける低温側オリフィスと室温側オリフィスの断面積を管理することにより、冷凍機の冷凍能力向上を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成10年12月4日(1998.12.4)
【代理人】 【識別番号】100071272
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開2000−171114(P2000−171114A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−345111