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【発明の名称】 蓄冷冷却システム
【発明者】 【氏名】狩野 陽

【氏名】細谷 勝宣

【氏名】福井 良

【要約】 【課題】蓄冷式熱交換器を冷凍機に取り付ける際の工事コストの低減を図り得る蓄冷冷却システムを提供することにある。

【解決手段】圧縮機2、凝縮器3、蒸発器用膨張弁4および蒸発器5を順に冷媒配管で接続してなる冷凍機に、蓄冷式熱交換器9と、蓄冷式熱交換器用膨張弁8と、蓄冷材に冷熱を蓄えさせるための蓄冷用バイパス管路10を取り付けて蓄冷冷却システム1を構築する際において、蓄冷用バイパス管路10は、第一の冷媒配管6から分岐し、蓄冷式熱交換器用膨張弁8および蓄冷式熱交換器9を順に通過し、該分岐よりも下流側で第一の冷媒配管6に再度合流するように取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機、凝縮器、蒸発器用膨張弁および蒸発器を順に冷媒配管で接続してなる冷凍機と、蓄冷材を備えた蓄冷式熱交換器と、蓄冷式熱交換器用膨張弁と、蓄冷材に冷熱を蓄えさせるための蓄冷用バイパス管路とを有し、蓄冷用バイパス管路は、凝縮器と蒸発器用膨張弁とを接続する第一の冷媒配管から分岐し、蓄冷式熱交換器用膨張弁および蓄冷式熱交換器を順に通過し、該分岐よりも下流側で第一の冷媒配管に再度合流するように設けられていることを特徴とする蓄冷冷却システム。
【請求項2】 凝縮器からの冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路に流入するように、冷媒の流路を切り替える切替手段が設けられている請求項1記載の蓄冷冷却システム。
【請求項3】 蓄冷材で蓄えられた冷熱を取り出すための放冷用バイパス管路を有し、放冷用バイパス管路は、蓄冷用バイパス管路における蓄冷式熱交換器用膨張弁の上流側で分岐し、且つ、蓄冷式熱交換器と蓄冷式熱交換器用膨張弁との間で蓄冷用バイパス管路に合流するように、または蓄冷式熱交換器を通過してその下流側で蓄冷用バイパス管路に合流するように設けられている請求項1記載の蓄冷冷却システム。
【請求項4】 凝縮器からの冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路又は放冷用バイパス管路に流入するように、冷媒の流路を切り替える切替手段が設けられている請求項3記載の蓄冷冷却システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄冷式熱交換器を有する蓄冷冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電力需要ピークを抑制するため、昼間と夜間の電力料金に格差を設けた電力料金制度が実施されている。そのため、夜間の安価な電力を有効利用して昼間の被冷却空間(例えば、冷凍庫内や冷蔵庫内)を冷却する蓄冷冷却システムが種々提案されている。
【0003】蓄冷冷却システムは、一般に、冷凍機と蓄冷材を備えた蓄冷式熱交換器とで構成されている。蓄冷式熱交換器は、通常、蓄冷材と蓄冷材を冷却するための冷却管とを有している。冷却管は冷凍機に設けられるバイパス管路の一部となっており、蓄冷材は冷却管に直接又はフィン等を介して間接的に接触している。このような蓄冷冷却システムでは、冷凍機のみを稼働させる通常運転、夜間電力を利用して蓄冷材を冷却・凝固して冷熱を蓄える蓄冷運転、電力料金が割高な昼間において蓄えられた冷熱を利用して被冷却空間を冷却する放冷運転といった三態様で運転が行われる。
【0004】図4は従来の蓄冷冷却システムを示す図である。図4に示すように、蓄冷冷却システム41は冷凍機と蓄冷式熱交換器49とを有している。53は冷凍庫などの被冷却空間を示している。冷凍機は圧縮機42、凝縮器43、蒸発器用膨張弁44および蒸発器45を順に冷媒配管で接続して構成されている。冷凍機には、蓄冷式熱交換器49に備えられた蓄冷材(図示せず)を冷却するための蓄冷用バイパス管路50が取り付けられている。蓄冷用バイパス管路50は、凝縮器43と蒸発器用膨張弁44とを接続する第一の冷媒配管46から分岐し、蓄冷手段用膨張弁48及び蓄冷式熱交換器49を通過し、蒸発器45と圧縮機42とを接続する第二の冷媒配管47に合流するように設けられている。52は送風機である。第一の冷媒配管46にはバルブ51aが設けられている。蓄冷用バイパス管路50にもバルブ51bが設けられている。
【0005】蓄冷冷却システム41では、蓄冷運転はバルブ51bを開いて冷媒の一部又は全部を蓄冷用バイパス管路50へと送り、この冷媒で蓄冷式熱交換器49に備えられた蓄冷材を冷却することによって行われる。放冷運転は、送風機52を稼働して、蓄えられた冷熱によって冷却された蓄冷式熱交換器49の周囲の空気を被冷却空間53内で循環させることによって行われる。
【0006】図5は、従来の蓄冷冷却システムの別の例を示す図である。図5に示す蓄冷冷却システム55では、送風機の代わりに、蓄冷材で蓄えられた冷熱を取り出すための放冷用バイパス管路54が設けられている。放冷用バイパス管路54は、第一の冷媒配管46から分岐し、この分岐点よりも下流側で再度第一の冷媒配管46に合流している。放冷用バイパス管路54にもバルブ51cが設けられている。
【0007】蓄冷冷却システム55では、蓄冷運転は図4に示す蓄冷冷却システム41と同様に行われるが、放冷運転はバルブ51cを開いて放冷用バイパス管路54に冷媒を送り、この冷媒により、蓄冷材に蓄えられた冷熱を取り出し、この冷熱を蒸発器45へと送ることにより行われる。
【0008】このように、蓄冷冷却システムは、昼間の電力消費量の低減を図り、電力需要ピークの抑制に貢献し得るものである。そのため、近年において蓄冷冷却システムの需要は多く、特に既設の冷凍機に蓄冷式熱交換器を取り付けて蓄冷冷却システムとして使用したいという要請が数多くある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蓄冷用バイパス管路の入口と出口は、図4及び5に示すように、別々の冷媒配管に接続する必要がある。そのため、既設の冷凍機に蓄冷式熱交換器を後付けする場合においては、工数や配管長の減縮化が難しく、結果的に工事コストは高いものとなっている。
【0010】また、図5に示す放冷用バイパス管路が設けられた態様では、放冷用バイパス管路の出口を設ける冷媒配管と、蓄冷用バイパス管路の出口を設ける冷媒配管とは異なっている。そのため、図4に示す態様に比べ、バイパス管路と冷凍機の配管との接続箇所が多くなっており、さらに工事コストは増加している。
【0011】本発明の課題は、蓄冷式熱交換器を冷凍システムに取り付ける際の工事コストの低減を図り得る蓄冷冷却システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の蓄冷冷却システムは、次の特徴を有するものである。
(1) 圧縮機、凝縮器、蒸発器用膨張弁および蒸発器を順に冷媒配管で接続してなる冷凍機と、蓄冷材を備えた蓄冷式熱交換器と、蓄冷式熱交換器用膨張弁と、蓄冷材に冷熱を蓄えさせるための蓄冷用バイパス管路とを有し、蓄冷用バイパス管路は、凝縮器と蒸発器用膨張弁とを接続する第一の冷媒配管から分岐し、蓄冷式熱交換器用膨張弁および蓄冷式熱交換器を順に通過し、該分岐よりも下流側で第一の冷媒配管に再度合流するように設けられていることを特徴とする蓄冷冷却システム。
【0013】(2) 凝縮器からの冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路に流入するように、冷媒の流路を切り替える切替手段が設けられている上記(1)記載の蓄冷冷却システム。
【0014】(3) 蓄冷材で蓄えられた冷熱を取り出すための放冷用バイパス管路を有し、放冷用バイパス管路は、蓄冷用バイパス管路における蓄冷式熱交換器用膨張弁の上流側で分岐し、且つ、蓄冷式熱交換器と蓄冷式熱交換器用膨張弁との間で蓄冷用バイパス管路に合流するように、または蓄冷式熱交換器を通過してその下流側で蓄冷用バイパス管路に合流するように設けられている上記(1)記載の蓄冷冷却システム。
【0015】(4) 凝縮器からの冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路又は放冷用バイパス管路に流入するように、冷媒の流路を切り替える切替手段が設けられている上記(3)記載の蓄冷冷却システム。
【0016】
【作用】上記(1)〜(4)に示すように、本発明の蓄冷冷却システムでは、蓄冷材に冷熱を蓄えさせる蓄冷用バイパス管路の入口と出口は、ともに第一の冷媒配管に接続されている。よって、本発明の蓄冷冷却システムの形態を用いれば、従来の形態と比較して、既設の冷凍機に蓄冷用バイパス管路を設ける際の工数を少なくでき、また配管長を短縮化できる。結果、既設の冷凍システム(冷凍機)に蓄冷式熱交換器を設ける場合の工事コストの低減を図ることができる。
【0017】蓄冷式熱交換器内の蓄冷材の時刻的な温度変化や状態変化(液体…→固体)により、冷却管/蓄冷材の熱伝導効率に多少の変化が生じ、それによって同器内の冷却能力に影響があり、冷却能力を多少残した状態で冷媒が冷凍機に戻る可能性がある。この状態は、冷媒の冷却能力を十分生かしていないだけでなく、液バック状態になりかねないもので冷凍機にとって好ましくない。しかしながら、本発明の蓄冷冷却システムを用いれば、上記したように蓄冷用バイパス管路の入口と出口はともに第一の冷媒配管に接続されており、蓄冷式熱交換器内を通った冷媒は蒸発器へと送られるため、冷媒に残された冷却能力を蒸発器で利用することができる。
【0018】また、本発明の蓄冷冷却システムでは、上記(3)及び(4)に示すように、蓄冷材で蓄えられた冷熱を取り出すための放冷用バイパス管路を、蓄冷用バイパス管路に設けることができる。よって、従来のように冷凍機の冷媒配管と放冷用バイパス管路とを接続する必要がなく、該冷媒配管における接続箇所を少なくできる。即ち、上記(3)及び(4)の態様とすれば、既設の冷凍機に放冷用バイパス管路を設ける際の工数を少なくでき、また配管長を短縮化できるので、既設の冷凍機に蓄冷式熱交換器を設ける場合の工事コストの低減を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の蓄冷冷却システムの一例を示す図である。図1では、蓄冷冷却システムを構成する各機器は模式的に示されている。図1の例に示すように、本発明の蓄冷冷却システム1は冷凍機と、蓄冷材(図示せず)を備えた蓄冷式熱交換器9と、蓄冷式熱交換器用膨張弁8と、蓄冷材に冷熱を蓄えさせるための蓄冷用バイパス管路10とを有している。冷凍機は圧縮機2、凝縮器3、蒸発器用膨張弁4および被冷却空間13内に設置された蒸発器5を順に冷媒配管で接続して構成されている。蓄冷用バイパス管路10は、凝縮器3と蒸発器用膨張弁4とを接続する第一の冷媒配管6から分岐し、蓄冷式熱交換器用膨張弁8および蓄冷式熱交換器9を順に通過し、分岐点よりも下流側で第一の冷媒配管6に再度合流するように設けられている。
【0020】このように、蓄冷冷却システム1では蓄冷用バイパス管路10の入口と出口は両方とも第一の冷媒配管6に接続されており、従来のように別々の冷媒配管に接続された態様とはなっていない。即ち、蓄冷冷却システム1であれば、既設の冷凍機に、後からの工事によって蓄冷式熱交換器9、蓄冷式熱交換器用膨張弁8、蓄冷用バイパス管路10を取り付ける場合において、従来よりも少ない工数でシステムを構築でき、配管長も従来より短くできる。本発明を用いることにより、従来よりも安いコストで蓄冷冷却システムを構築できる。
【0021】図1の例では、蓄冷冷却システム1には、蓄冷材で蓄えられた冷熱を取り出すための放冷用バイパス管路14が更に取り付けられている。放冷用バイパス管路14は、蓄冷用バイパス管路10における蓄冷式熱交換器用膨張弁8の上流側で分岐し、蓄冷式熱交換器9と蓄冷式熱交換器用膨張弁8との間で蓄冷用バイパス管路10に再度合流するように設けられている。
【0022】本発明の蓄冷冷却システム1では、このように放冷用バイパス管路14は蓄冷用バイパス管路10に取り付けられるため、冷凍機の冷媒配管に放冷用バイパス管路14を接続する必要がなく、又配管長を短縮できる。即ち、本発明を用いることで、後からの工事によってシステムを構築する場合における放冷用バイパス管路の取付工事のコストを従来よりも低減することができる。
【0023】また、図1の例では、蓄冷式熱交換器9は被冷却空間13の外に設置されている。蓄冷式熱交換器9では、管部材が蓄冷槽内部を蛇行するように配管されており、蓄冷用バイパス管路の一部を構成している。10aは管部材を模式的に示したものである。
【0024】第一の冷媒配管6、蓄冷用バイパス管路10および放冷用バイパス管路14にはそれぞれバルブ(11a、11b、11c)が設けられている。これらのバルブ(11a、11b、11c)は、凝縮器3からの冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路10又は放冷用バイパス管路14に流入するように、冷媒の流路を切り替える切替手段として機能している。但し、本発明では切替手段は、このようなバルブを組み合わせたものに限定されず、例えば分岐点や合流点に設けた三方弁などであっても良い。
【0025】蓄冷冷却システム1において通常運転のみが行われる場合は、バルブ11aのみが開かれ、バルブ11b及びバルブ11cが閉じられる。蓄冷運転のみが行われる場合はバルブ11bのみが開かれ、バルブ11c及びバルブ11aが閉じられる。また、放冷運転のみが行われる場合はバルブ11cのみが開かれ、バルブ11a及びバルブ11bが閉じられる。なお、各バルブの開閉度合いを調節して、通常運転と蓄冷運転、通常運転と放冷運転といった併用運転を行うこともできる。
【0026】また、蓄冷冷却システム1には、温度センサー(図示せず)、時刻に応じて信号を送るタイマー手段(図示せず)、これらからの信号に応じて切替手段を制御する制御手段(図示せず)を備えることができる。この場合、蓄冷冷却システム1は時間帯や負荷に応じて運転形態を変えて自動運転することができ、好ましい態様となる。温度センサーは被冷却空間内の温度、蓄冷材の温度および外気温度を検知するため、被冷却空間13の内部、蓄冷材および被冷却空間13の外部に設置するのが好ましい。本発明においては、温度センサーとしては、熱電対、測音抵抗体、サーミスタ等を使用できる。タイマー手段としては、時計、タイムスイッチ、シーケンサ内タイマー等を使用できる。制御手段としては、リレーシーケンスにある制御、マイコン制御等を使用できる。なお、制御手段には冷凍機の出力や運転/停止を制御する機能を付加することもできる。
【0027】次に、蓄冷冷却システム1に、上記したセンサー、タイマー手段、制御手段を備えた場合の運転形態について説明する。例えば、夜間の蓄冷冷却システム1が通常運転されている状態において、制御手段は、タイマー手段からの信号により夜間電力が適用される時間帯(例えば22時〜翌朝8時)に入ったことを検知すると、被冷却空間13内に設置された温度センサー(以下、「被冷却空間用センサー」)により被冷却空間13内の温度を測定する。制御手段は、この温度が設定温度幅(−22℃〜−18℃)内にある場合は蓄冷冷却システム1に通常運転を続けさせ、設定温度幅の下限以下となっている場合は蓄冷運転のみ又は蓄冷運転と通常運転との併用運転を行わせる。この制御手段による運転切替は、蓄冷材に設置された温度センサー(以下、「蓄冷材用センサー」)で測定された蓄冷材の温度が蓄冷完了温度(例えば−25℃)になるまで、または夜間電力が適用される時間帯が終わるまで行われる。被冷却空間用センサー及び蓄冷材用センサーによる温度測定は1秒〜10分の任意の間隔で行うのが良い。
【0028】昼間においては、制御手段は、タイマー手段からの信号により任意に設定した昼間の負荷の多い時間帯(例えば13時〜16時)に入ったことを検知すると、冷凍機による通常運転を停止させ、被冷却空間用センサーにより被冷却空間内の温度を測定する。制御手段は、この温度が設定温度幅の下限以上となったときは、蓄冷冷却システム1に放冷運転を行わせ、設定温度幅の下限以下にあるときは放冷運転を停止させる。更に制御手段は蓄冷材用センサーで蓄冷材の温度を測定し、蓄冷材が融解する温度となるまで、蓄冷冷却システム1に放冷運転の稼働と停止を繰り返し行わせる。被冷却空間用センサー及び蓄冷材用センサーによる温度測定はこの場合も1秒〜10分の任意の間隔で行うのが良い。
【0029】蓄冷材が融解してから夜間電力が適用されるまで、および夜間電力の終了から負荷の多い時間帯までは、制御手段は蓄冷冷却システム1に通常運転を行わせる。但し、この場合においても、制御手段は被冷却空間用センサーによる測定を任意の間隔で行っており、測定された温度に応じて蓄冷冷却システム1に通常運転の稼働と停止を行わせ、被冷却空間内の温度を設定温度幅内に維持している。
【0030】図2は、本発明の蓄冷冷却システムの他の例を示す図である。図2においても図1と同様に蓄冷冷却システムを構成する各機器は模式的に示されている。図2の例に示すように、蓄冷冷却システム20は、冷凍機に蓄冷式熱交換器15、蓄冷式熱交換器用膨張弁8、蓄冷用バイパス管路10、放冷用バイパス管路14およびバルブ(11a、11b、11c)を取り付けて構成されている。冷凍機、蓄冷用バイパス管路10、放冷用バイパス管路14およびバルブ(11a、11b、11c)は、図1の例と同様に構成されている。
【0031】図2の例に示すように、蓄冷冷却システム20においても蓄冷用バイパス管路10の入口と出口は両方とも第一の冷媒配管6に接続されており、放冷用バイパス管路14は蓄冷用バイパス管路10に取り付けられている。即ち、蓄冷冷却システム20を用いることでも、後からの工事によってシステムを構築する場合の工事コストの低減を図ることができる。
【0032】図2の例では、図1の例と異なり、被冷却空間13には送風手段12が設置され、蓄冷式熱交換器15は被冷却空間13内に設置されている。蓄冷式熱交換器15は、管部材10aと、管部材に取り付けられたフィン(図示せず)と、蓄冷材(図示せず)とで構成されている。蓄冷材は包袋部材に収容されており、管部材および/またはフィンと接触するように設置されている。蓄冷式熱交換器15は、その周囲の空気と蓄冷材で蓄えられた冷熱とが熱交換できるようになっている。なお、管部材10aは図1と同様に蓄冷用バイパス管路10の一部を構成している。
【0033】送風手段12は、熱交換されて冷却された蓄冷式熱交換器15の周囲の空気を、被冷却空間13内で循環させるものである。蓄冷冷却システム20では、通常運転および蓄冷運転は図1の例と同様に行われるが、放冷運転は送風手段12によって、蓄冷式熱交換器15の周囲の冷却された空気を、被冷却空間13内で循環させることにより行われる。矢印は送風手段12の送風方向を示している。送風手段12としては、多翼送風機や管流送風機などの遠心送風機、プロペラ形やチューブ形の軸流送風機、斜流送風機、クロスフロー送風機等を利用することができる。
【0034】また、図2の例では、放冷用バイパス管路14は放冷運転時に使用されるものではなく、後述する除霜運転時に使用される。蓄冷冷却システム20では通常運転、蓄冷運転、放冷運転に加え、除霜運転が行われる。除霜運転は蓄冷式熱交換器に付着した霜の除去を目的とした運転である。除霜運転は時間帯に限らず蓄冷材の着霜状況に応じて又は一定時間毎に行われる。除霜運転は、バルブ11a及びバルブ11bを閉じ、バルブ11cのみを開くことにより行われる。この場合、蓄冷式熱交換器15を通る冷媒は蓄冷式熱交換器用膨張弁8を通らずに冷却管10aを通るため、蓄冷材表面は温められ、霜が除去される。
【0035】図3は、本発明の蓄冷冷却システムの他の例を示す図である。図3においても図1と同様に蓄冷冷却システムを構成する各機器は模式的に示されている。図3の例に示すように、蓄冷冷却システム30は、冷凍機に蓄冷式熱交換器16、蓄冷式熱交換器用膨張弁8、蓄冷用バイパス管路10、放冷用バイパス管路14およびバルブ(11a、11b、11c)を取り付けて構成されている。冷凍機、蓄冷用バイパス管路10およびバルブ(11a、11b、11c)は、図1の例と同様に構成されている。
【0036】図3の例に示すように、蓄冷冷却システム30においても蓄冷用バイパス管路10の入口と出口は両方とも第一の冷媒配管6に接続されており、放冷用バイパス管路14は蓄冷用バイパス管路10に取り付けられている。即ち、蓄冷冷却システム30を用いることでも、後からの工事によってシステムを構築する場合の工事コストの低減を図ることができる。
【0037】図3の例では、図1の例と異なり、放冷用バイパス管路14は、蓄冷用バイパス管路10における蓄冷式熱交換器用膨張弁8の上流側で分岐し、蓄冷式熱交換器9を通過してその下流側で蓄冷用バイパス管路10に合流するように設けられている。14aは放冷用バイパス管路14の一部を構成する管部材である。なお、同図では管部材14aについても管部材10aと同様に概略的に示している。蓄冷冷却システム30では、放冷運転は管部材14aに冷媒を流すことによって行われる。通常運転および蓄冷運転は図1の例と同様に行われる。
【0038】本発明で使用できる蓄冷式熱交換器としては、特に限定されるものではなく、従来より蓄冷冷却システムで使用されているものを利用することができる。具体的には、常温で液状の蓄冷材に管部材を浸漬して構成したもの、図2で説明した管部材、フィン及び包袋部材に収容された蓄冷材で構成されたもの、配管と包袋部材に収容された蓄冷材とで構成されたものなどが挙げられる。
【0039】また、蓄冷式熱交換器に設置する蓄冷材は、冷熱を蓄えることが可能なもの(蓄冷可能なもの)であれば良く、従来より使用されているものや、今後開発されるものも利用できる。具体的には、水、塩水、無機水和塩、エチレングリコール等の有機物が挙げられる。蓄冷材の量や種類は、本発明の蓄冷冷却システムに要求される能力に応じて適宜設定すれば良い。また、図2で説明したように、蓄冷材は包袋部材、例えばポリエチレンやナイロンといった高分子材料のフィルムや、高分子材料のフイルムと金属箔とを積層してなる複合材料などで形成されたものに収容されていても良い。
【0040】本発明の蓄冷冷却システムにおいて冷凍機を構成する圧縮機は、冷媒を圧縮し高温高圧の状態にするものであれば良い。圧縮機としては、往復動圧縮機、スクリュウ圧縮機、遠心圧縮機、ロータリー圧縮機等の既存の冷凍機で使用されているものを利用することができる。
【0041】冷凍機を構成する凝縮器は、圧縮機で高温高圧にされた冷媒を放熱して液化し、過冷却するものであれば良い。凝縮器としても、既存の水冷式、空冷式、蒸発式の凝縮器を利用することができる。蒸発器用膨張弁または蓄冷式熱交換器用膨張弁は、凝縮器で液化された冷媒を膨張させ、低圧低温の気液混合状態とするものであれば良い。これら膨張弁としても既存の膨張弁を利用することができる。
【0042】本発明の蓄冷冷却システムで冷却する被冷却空間としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫等が挙げられる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。
【0044】実施例庫内体積35.6m3 の冷凍庫に既に設置された冷凍機(圧縮機の能力:押しのけ量15.8m3 /h、一日の冷凍能力:1.9法定トン)に、後付け工事によって蓄冷式熱交換器を取り付けて図2に示す蓄冷冷却システムを完成させた。蓄冷式熱交換器としては、包袋部材に収容された蓄冷材と管部材とで構成されたものを使用した。蓄冷用バイパス管路は、内径19.1mm、肉厚16.7mm、材料が銅の管材で作製した。放冷用バイパス管路は、内径12.7mm、肉厚10.7mm、材料が銅の管材で作製した。結果、工事に掛かった工数は3時間、工事による全配管長は6mであった。
【0045】比較例実施例と同様の冷凍機に、図5に示すように、蓄冷式熱交換器を取り付けて蓄冷冷却システムを完成させた。蓄冷式熱交換器、放冷用バイパス管路および蓄冷用バイパス管路としては実施例と同様のものを使用した。結果、工事に掛かった工数は6時間、工事による全配管長は15mであった。
【0046】上記実施例および比較例より、本発明の蓄冷冷却システムを用いれば、後付け工事における工数を少なくでき、配管長を短縮できることが判る。
【0047】
【発明の効果】このように、本発明の蓄冷冷却システムを用いれば、既設の冷凍機に蓄冷式熱交換器を取り付けて蓄冷冷却システムを構成する場合の工事コストを低減することができる。即ち、従来に比べて安いコストで蓄冷冷却システムを導入でき、蓄冷冷却システムの普及を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
【公開番号】 特開2000−171110(P2000−171110A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−344709