| 【発明の名称】 |
ガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置および顕熱回収方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 幸雄
【氏名】小野 信市
【氏名】竹田 晴信
【氏名】野家 和雄
【氏名】河合 政征
【氏名】清水 豊
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| 【要約】 |
【課題】ガスの吸・脱着を利用した熱移動システムにおいて、顕熱を効率的に回収する。
【解決手段】ガス吸・脱着槽1、2との間でブラインの授受を行う顕熱回収タンク10を設け、該顕熱回収タンクには、高温ブラインを収容する高温領域Hと低温ブラインを収容する低温領域Lとを区画して設け、高温領域と低温領域とは、それぞれ開閉可能なブライン輸送路10a、10bを介して、各ガス吸・脱着槽1、2のブライン出入口部1a、1b、2a、2bに対峙して接続する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス吸・脱着反応を利用して熱移動させるべく、高温ブラインと低温ブラインとが選択的に、かつ時期を異にして使用される2以上のガス吸・脱着槽との間で該ブラインの授受を行う顕熱回収タンクを有しており、該顕熱回収タンクは、高温ブラインを収容する高温領域と低温ブラインを収容する低温領域とが区画して設けられており、該高温領域と低温領域とは、それぞれ開閉可能なブライン輸送路を介して、各ガス吸・脱着槽のブライン出入口部に対峙して接続されていることを特徴とするガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置【請求項2】 顕熱回収タンクは、その収容部内に可動ラムが配置されており、該可動ラムによって収容部内が可変容積の高温領域と低温領域とに区画されていることを特徴とする請求項1記載のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置【請求項3】 可動ラムは、顕熱回収タンク収容部内に上下に移動可能に配置されて収容部内を上下に区画しており、該収容部内のラム上方側が可変容積の低温領域、ラム下方側が可変容積の高温領域に割り当てられていることを特徴とする請求項2に記載の顕熱回収装置【請求項4】 熱移動システムは、対となるガス吸・脱着槽を有しているとともに、該ガス吸・脱着槽との間にガス流方向を切換可能なガス圧縮装置が設けられており、さらに、対となるガス吸・脱着槽に同材料からなる高温ブラインおよび低温ブラインを対称的に供給する高温ブライン供給装置および低温ブライン供給装置を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置【請求項5】 ガス吸・脱着反応を利用して熱移動させるべく、高温ブラインと低温ブラインとが選択的に、かつ時期を異にして使用される2以上のガス吸・脱着槽との間に、高温ブラインを収容する高温領域と低温ブラインを収容する低温領域とが区画して設けられた顕熱回収タンクを連結しておき、一の動作において、高温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から上記高温ブラインを顕熱回収タンクの高温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの低温領域に収容されている低温のブラインを高温ブラインを取り出した上記ガス吸・脱着槽に供給して高温の顕熱の蓄熱および低温の顕熱の供給を行い、二の動作において、低温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から低温のブラインを顕熱回収タンクの低温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの高温領域に収容されている高温のブラインを低温ブラインを取り出した上記ガス吸・放出槽に供給して低温の顕熱の蓄熱および高温の顕熱の供給を行い、上記一の動作と二の動作とを前後して繰り返し行うことを特徴とするガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収方法 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本願発明は、ガスの吸蔵、脱着反応を利用して熱を移動させるシステムにおいて、該システムの動作により発生する顕熱を効率的に回収してシステムの効率を向上させる顕熱回収装置および顕熱回収方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】水素吸蔵合金やゼオライト等のガス吸・脱着反応を利用して熱の移動を行うシステムとして冷凍システム、冷房システム、暖房システム、ヒートポンプ等がある。上記システムでは、システムの効率を向上させるために、顕熱を回収して有効に利用する方法が実用化されている。図9は、水素吸蔵合金を用いた従来の冷凍システムを示すものであり、ガス吸・脱着槽である2つの水素吸蔵合金槽間でブラインを相互に移動(循環)させて顕熱の回収、利用を行っている。具体的には、水素吸蔵合金槽50と水素吸蔵合金槽51とを、互いにブラインの授受を行えるように開閉可能なブライン輸送路52、53で連結し、該輸送路52の中途に顕熱回収用ポンプ54を設ける。また上記システムでは、水素吸蔵合金槽50と水素吸蔵合金槽51とが水素移動路55で連結されており、該水素移動路55には、複数の弁の動作によって水素ガス流方向の切換が可能な水素ガス圧縮装置56が設けられている。該システムでは、水素ガス圧縮装置56を動作させて一方の水素吸蔵合金槽50または51で高温ブラインを使用しつつ水素の吸収を行うとともに、他方の水素吸蔵合金槽51または50で低温ブラインを使用しつつ水素の放出を行う。上記の水素の吸放出後は、各水素吸蔵合金槽50、51へのブラインの供給を停止した後、顕熱回収ポンプ54を作動させて各水素吸蔵合金槽50、51間で相互にブラインを移動させて顕熱の回収を行っている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した顕熱回収方法では、高温のブラインと低温のブラインとがそれぞれのガス吸・脱着槽で大量に混ざり合って中間の温度で顕熱の回収がなされるため、顕熱の回収効率は理論的にも最大で50%であり、実際は熱損失によりさらに低い回収効率しか得られず十分な回収効率とはいえない。顕熱の回収効率はシステム全体の効率にも影響するため、より高い回収効率で顕熱を回収できる回収装置および回収方法の開発が望まれている。そこで、回収効率を上げる方法としてはバッファ用のタンクを設け、一方の槽で用いられたブラインが直ちに他方の槽に供給されないようにしてブライン同士の混合を防ぐ方法も考えられるが、高温のブラインと低温のブラインとでバッファ用タンクを共用すると熱損失が大きく高い回収効率が得られず、他方、それぞれのブライン用にタンクを用意すると大きなスペースが必要になり、装置が大型化するという問題がある。本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、ガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおいて、顕熱を効率的に回収することができる顕熱回収装置および顕熱回収方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明のうち、第1の発明のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置は、ガス吸・脱着反応を利用して熱移動させるべく、高温ブラインと低温ブラインとが選択的に、かつ時期を異にして使用される2以上のガス吸・脱着槽との間で該ブラインの授受を行う顕熱回収タンクを有しており、該顕熱回収タンクは、高温ブラインを収容する高温領域と低温ブラインを収容する低温領域とが区画して設けられており、該高温領域と低温領域とは、それぞれ開閉可能なブライン輸送路を介して、各ガス吸・脱着槽のブライン出入口部に対峙して接続されていることを特徴とする。 【0005】第2の発明のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置は、第1の発明の顕熱回収装置において、顕熱回収タンクの収容部内に可動ラムが配置されており、該可動ラムによって収容部内が可変容積の高温領域と低温領域とに区画されていることを特徴とする。第3の発明のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置は、第2の発明の顕熱回収装置において、可動ラムが、顕熱回収タンク収容部内に上下に移動可能に配置されて収容部内を上下に区画しており、該収容部内のラム上方側が可変容積の低温領域、ラム下方側が可変容積の高温領域に割り当てられていることを特徴とする。第4の発明のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収装置は、第1〜第3の発明において、熱移動システムが、対となるガス吸・脱着槽を有しているとともに、該ガス吸・脱着槽との間にガス流方向を切換可能なガス圧縮装置が設けられており、さらに、対となるガス吸・脱着槽に同材料からなる高温ブラインおよび低温ブラインを対称的に供給する高温ブライン供給装置および低温ブライン供給装置を有していることを特徴とする。 【0006】さらに、本発明のガス吸・脱着反応を利用した熱移動システムにおける顕熱回収方法は、ガス吸・脱着反応を利用して熱移動させるべく、高温ブラインと低温ブラインとが選択的に、かつ時期を異にして使用される2以上のガス吸・脱着槽との間に、高温ブラインを収容する高温領域と低温ブラインを収容する低温領域とが区画して設けられた顕熱回収タンクを連結しておき、一の動作において、高温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から上記高温ブラインを顕熱回収タンクの高温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの低温領域に収容されている低温のブラインを高温ブラインを取り出した上記ガス吸・脱着槽に供給して高温の顕熱の蓄熱および低温の顕熱の供給を行い、二の動作において、低温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から低温のブラインを顕熱回収タンクの低温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの高温領域に収容されている高温のブラインを低温ブラインを取り出した上記ガス吸・放出槽に供給して低温の顕熱の蓄熱および高温の顕熱の供給を行い、上記一の動作と二の動作とを前後して繰り返し行うことを特徴とする。 【0007】本願発明は、ガスの吸・脱着反応を利用して熱を移動させるシステムに利用されるものである。これらのシステムでは、一例として高温側のガス吸・脱着槽と低温側のガス吸・脱着槽とを対にして、いずれか一方のガス吸・脱着槽から温熱または冷熱を取り出すものが挙げられる。また他例として、対となるガス吸・脱着槽間で、ガス圧縮装置等を用いてガスを強制移動させて、それぞれのガス吸・脱着槽で交互に温熱と冷熱とを取り出すものが挙げられる。前者では、通常は、高温側のガス吸・脱着槽と低温側のガス吸・脱着槽とでそれぞれ異なる高温ブラインと低温ブラインとが使用されるので、多少のブラインの混合が起こる本願発明を、高温側のガス吸・脱着槽と低温側とのガス吸・脱着槽と間で適用することは難しい。ただし、このシステムを複数設け、その動作サイクルをずらして連続操業を可能にしたものにおいて、サイクルがずれた高温側のガス吸・脱着槽間、または低温側のガス吸・脱着槽間で、同材料の高温ブラインと低温ブラインとが使用される場合には本発明を適用することができる。また、後者のシステムでは、通常は、対となるガス吸・脱着槽で、それぞれ高温ブライン同士および低温ブライン同士には同材料が使用されており。さらに、高温ブラインと低温ブラインとが同材料からなるものである場合に、本願発明を適用することができる。上記いずれのシステムも冷熱を取り出すものでは、冷凍システムや冷房システム等として使用でき、温熱を取り出すものでは暖房システム等として使用することができる。また、熱の移動を意図する場合にはヒートポンプとして使用することができる。 【0008】上記システムにおけるガスの吸・脱着材料としては、代表的には水素吸蔵合金を挙げることができるが、要は、ガスの吸蔵、脱着を可逆的に行うことができる材料であればよい。例えば吸着剤としてガスの吸着、離脱を行ったり、反応によってガスの吸収、放出を行ったりするものを使用することができる。すなわち、上記ガス吸蔵にはガス吸着やガス吸収が含まれ、ガス脱着にはガス離脱やガス放出が含まれる。上記材料としては吸着、離脱を行う材料として活性炭、カーボンファイバー、ゼオライト、シリカ、アルミナ等を挙げることができ、また反応によって水素ガスの吸収、放出を行う材料として上記水素吸蔵合金を挙げることができる。該水素吸蔵合金は排熱や自然エネルギ等を利用して効率的に水素の吸放出を行うことができるという利点を有している。ガスの吸蔵と脱着とを交互に行わせる方法としては、各種の材料に適した方法が採られるが、加熱、冷却による熱駆動や圧縮機等を用いた圧力駆動の方法が挙げられる。この場合、雰囲気圧を下げることにより材料に吸蔵されているガスを脱着でき、雰囲気圧を上げることによって材料にガスを吸蔵させることができる。 【0009】上記システムに利用される本願発明の装置では、区画された高温領域と低温領域とが設けられた顕熱回収タンクを有している。この顕熱回収タンクは、一つのタンクで構成されて内部が上記領域に区画されているものが望ましいが、本発明としては独立した2以上のタンクを有し、それぞれが高温領域、低温領域に割り当てられるものでもあってもよい。このように領域を区画することにより高温のブラインと低温のブラインとがタンク内で混ざり合って熱を損失するのを避けることができる。なお、顕熱回収タンク内を上記領域に区画する場合には、可動ラムで内部を区切ることによって可変容積の高温領域と低温領域とを得るのが望ましい。これにより一方の領域でブラインの導入または排出がなされると、これに伴って同時に他方の領域においてブラインの排出または導入が強制的になされるので、最小限のスペースを用いて顕熱の回収作業が効率的になされる。また、この場合、可動ラムを上下に移動可能なものにして回収タンク内を上下に区画し、ラム上方側を可変容積の低温領域、ラム下方側を可変容積の高温領域に割り当てるのが望ましい。これにより、ブラインが回収タンク内に導入される際に高温のブラインの場合には、早期なもの程、高温であることから、タンク内で速やかに高温領域の上方に移動し、一方、低温のブラインの場合には、早期なもの程、低温であることから、タンク内で速やかに低温領域の下方に移動して、領域内で温度差による対流が生じるのを極力さけて顕熱回収の効率を一層向上させることができる。 【0010】本発明では、一方のガス吸・脱着槽で使用された高温または低温のブラインが、速やかに顕熱回収タンクに導入されて顕熱が蓄熱されるとともに顕熱回収タンクに収容されていた低温または高温のブラインは一方のガス吸・脱着槽に供給されて顕熱の回収がなされる。その後、他方のガス吸・脱着槽には、顕熱回収タンクに導入された上記高温または低温のブラインが供給されて顕熱が蓄熱されるとともに顕熱回収タンクに収容されていた低温または高温のブラインは一方のガス吸・脱着槽に供給されて顕熱の回収がなされる。なお、上記において、顕熱回収タンクへの先行するブラインの導入は高温ブライン、低温ブラインのいずれであってもよい。上記の先行動作と後の動作とは連続して、または適宜の間隔をおいて繰り返し行われる。なお、動作間隔はシステムの動作上の制約がなければできるだけ短時間とするのが望ましい。上記の行程により、高温ブラインと低温ブラインとの混合が抑えられて高い回収効率と優れた作業効率とにより顕熱が回収されることになる。また、ブラインを一時的に貯蔵する際にも少ないスペースにより装置を構成することができる。 【0011】 【発明の実施形態】(実施形態1)以下に、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。本願発明が適用される熱移動システムである冷凍システムは、水素吸蔵合金MHを内部収容室に収容した、対の水素吸蔵合金槽1、2を有しており、該水素吸蔵合金槽1、2がガス吸・脱着槽を構成している。なお、この実施形態では、高温ブライン、低温ブラインともに空気を使用するものとしており、高温ブラインは30℃、低温ブラインはー10℃を温度の目途としている。したがって、上記水素吸蔵合金MHには、上記温度を考慮してその材料が選定される。上記水素吸蔵合金槽1、2には、内部熱交換路に連結されたブライン輸送路1a、1b、2a、2bが設けられており、該ブライン輸送路1a〜2bには、それぞれ4ポート2位置の切換弁3a、3b、4a、4bの1ポートが連結されている。上記切換弁3a〜4bの他の2つのポートには、それぞれ高温ブライン供給装置5の高温ブライン流路5a、5bと低温ブライン供給装置6の低温ブライン流路6a、6bとが3ポート2位置の切換弁7a、7b、8a、8bの各ポートを介して連結されている。また、切換弁3a〜3dの残りの1ポートには、後述する顕熱回収タンク10のブライン輸送路10a、10bが連結されている。これにより、顕熱回収タンク10は、ブライン輸送路を介してガス吸・脱着槽の出入口部に対峙して連結されることになる。 【0012】上記切換弁3a、3b、4a、4bでは、水素吸蔵合金槽1、2側のポートをを基準として、その一つの位置では高温ブライン供給装置5側の切換弁7a、7bと連通し、他の一つの位置では低温ブライン供給装置6側の切換弁8a、8bと連通し、さらに他の位置では、顕熱回収タンク10側の輸送路10a、10bと連通するように弁路が切り換えられる。また、切換弁7a、7b、8a、8bでは、ブライン供給装置5、6側のポートを基準として、一つの位置では水素吸蔵合金槽1側の切換弁3a、3bと連通し、他の位置では水素吸蔵合金槽2側の切換弁4a、4bと連通するように切り換えられる。 【0013】なお、上記高温ブライン流路5bの中途には、高温ブライン供給ポンプ12、低温ブライン流路6bの中途には低温ブライン供給ポンプ13が設けられており、ブライン輸送路10bには、送方向切換可能なブライン回収ポンプ15が設けられている。これらポンプによって各流路、輸送路を通してブラインが移動する。また、水素吸蔵合金槽1、2の内部収容室同士は、水素移動路17で連結されており、該移動路17の中途には、水素ガス圧縮装置20が設けられている。該水素ガス圧縮装置20は、水素移動路17の中途に設けた複路21a、21bを有しており、該複路21a、21bにはそれぞれ開閉弁22a、23aおよび開閉弁22b、23bが直列に設けられており、上記開閉弁22a、23a間の複路21aと開閉弁22b、23b間の複路21bとの間にガス圧縮機24が連結されており、上記開閉22a、22b、23a、23bの開閉動作により、水素移動路17におけるガス流方向を切り換えるように構成されている。また、顕熱回収タンク10は、内部に上下に移動可能なラム11が配置されており、該ラム11によってタンク10内が可変容積で上下に区画されている。この区画領域は、上方側が低温領域Lに割り当てられ、下方側が高温領域Hに割り当てられており、低温領域Lにブライン輸送路10a、高温領域Hにブライン輸送路10bが連通している。この結果、低温領域Lと高温領域Hとは、水素吸蔵合金槽1、2においてそれぞれブライン輸送路1aと1bおよびブライン輸送路2aと2bに対峙して連結されることになる。 【0014】次に、上記冷凍システムの動作について説明する。図2に示すように、先ず、水素吸蔵合金槽1で水素の吸収を行い、水素吸蔵合金槽2で水素の放出を行う行程から説明する。この行程の開始直前には、水素吸蔵合金槽1内の水素吸蔵合金MHでは、水素を放出した状態にあり、水素吸蔵合金槽2内の水素吸蔵合金MHでは、既に水素を吸収した状態にあるものとする。先ず、切換弁3a、3b、切換弁8a、8bでは、水素吸蔵合金槽1側のポートと高温ブライン5側のポートとが接続するように弁位置を切換え、その他のポートは閉鎖する。また、同じく、切換弁4a、4b、切換弁7a、7bでは、水素吸蔵合金槽2側のポートと低温ブライン6側のポートとが接続するように弁位置を切換え、その他のポートは閉鎖する。これにより、高温ブライン供給ポンプ12、低温ブライン供給ポンプ13を作動させることにより、高温ブラインは、高温ブライン供給装置5から、高温ブライン流路5b、ブライン輸送路1bを介して水素吸蔵合金槽1内に流入し、その後は、ブライン輸送路1a、高温ブライン流路5aを介して高温ブライン供給装置5に環流する。他方、低温ブラインは、低温ブライン供給装置6から、低温ブライン流路6b、ブライン輸送路2bを介して水素吸蔵合金槽2内に流入し、ブライン輸送路2a、低温ブライン流路6aを介して低温ブライン供給装置6に環流する。 【0015】また、これと同時に、水素ガス圧縮装置20では、開閉弁22a、23bを開き、開閉弁23a、22bを閉じて水素ガス圧縮機24を作動させることにより、水素吸蔵合金槽2内に吸引圧が生じ、水素吸蔵合金槽2内の水素吸蔵合金MHから水素ガスが放出される。この水素ガスは水素ガス移動路17および複路21b、21aを通して水素吸蔵合金槽1内に圧送され、槽内の水素吸蔵合金MHに吸収させる。上記の水素ガスの吸蔵、放出反応により、水素吸蔵合金槽1では、発熱反応が起こり、水素吸蔵合金槽2では吸熱反応が起こり、それぞれの熱が低温ブラインおよび高温ブラインに伝達される。低温ブラインはさらに図示しない熱交換器等に送られ、冷凍庫の冷熱として取り出される。 【0016】上記により1サイクルが終了した後には、図3に示すように、高温ブライン供給ポンプ12、低温ブライン供給ポンプ13および水素ガス圧縮機24の動作を停止させる。次いで、切換弁4a、4bの顕熱回収タンク10側のポートが閉じられるように位置を切換え、切換弁3a、3bでは、水素吸蔵合金槽1側と顕熱回収タンク10側のポートとが連通し、その他のポートが閉じられるように位置を切り換える。この状態で、ブライン回収ポンプ15を上方にブラインが圧送されるように作動させると、水素吸蔵合金槽1内に残留していた高温のブラインは、ブライン回収ポンプ15によってブライン輸送路1bを通して吸引され、ブライン出流路10bから顕熱回収タンク10の下方側の高温領域Hに次第に導入される。この導入に伴って可動ラム11がタンク10内を上昇するため、低温領域Lの容積が次第に小さくなり、低温領域Lに収容されていた低温のブラインがタンク10内から押し出され、ブライン流出路10a、1aを通して水素吸蔵合金槽1内に導入される。これにより、高温の顕熱が顕熱回収タンク10に蓄熱されるとともに、低温の顕熱が水素吸蔵合金槽に供給される。なお、このとき、顕熱回収タンク10の高温領域Hに導入されるブラインは初期のものほど温度が高いため(低温のブラインとの混合が少ない)、高温領域Hに導入されるに際し、速やかに上方に移動して、後に導入されるより温度の低いブラインとの間で対流が生じるのを極力防止する。 【0017】次いで、図4に示すように、ブライン回収ポンプ15を停止させた後、切換弁3a、3bの顕熱回収タンク10側のポートが閉じられるように位置を切換え、切換弁4a、4bでは、水素吸蔵合金槽2側と顕熱回収タンク10側のポートとが連通し、その他のポートが閉じられるように位置を切り換える。その後、ブライン回収ポンプ15を下方にブラインが圧送されるように作動させると、顕熱回収タンク10の高温領域Hに収容されていた高温のブラインが、ブライン回収ポンプ15によってブライン輸送路10bを通して吸引され、ブライン輸送路2bから水素吸蔵合金槽2内に次第に供給される。上記ブラインの吸引に伴って可動ラム11はタンク10内を下降するため、低温領域Lの容積が次第に大きくなり、水素吸蔵合金槽2から押し出される低温のブラインが低温領域Lに導入される。これにより、低温の顕熱が顕熱回収タンク10に蓄熱されるとともに、高温の顕熱が水素吸蔵合金槽に供給される。なお、このとき、顕熱回収タンク10の低温領域Lに導入されるブラインは初期のものほど温度が低いため(高温のブラインとの混合が少ない)、低温領域Lに導入されるに際し、速やかに下方に移動して、後に導入されるより温度の高いブラインとの間で対流が生じるのを極力防止する。上記の一連の動作により、高温のブラインと低温のブラインとの混合を抑えた状態で、高温と低温の顕熱を効率的に回収することができる。 【0018】また、上記とは逆に、図5に示すように、水素吸蔵合金槽1に低温ブラインを供給して水素の放出を行い、水素吸蔵合金槽2に高温のブラインを供給して水素の吸収を行った場合にも、上記と同様に顕熱を効率的に回収することができる。図6は、図5に示す動作の後、水素吸蔵合金槽2に残留した高温のブラインを顕熱回収タンク10の高温領域Hに収容するとともに、顕熱回収タンク10に収容していた低温のブラインを水素吸蔵合金槽2に供給する状態を示すものであり、図7は、顕熱回収タンク10の高温領域Hに収容した高温のブラインを水素吸蔵合金槽1に供給するとともに、水素吸蔵合金槽1に残留していた低温のブラインを顕熱回収タンク10の低温領域Lに収容している状態を示すものである。 【0019】上記の繰り返しにより、システムを継続して使用する際にも顕熱を効率的に回収することができる。上記装置を実験的に使用したものでは、顕熱を70%以上の効率で回収することができた。なお、この実施形態では、一対の水素吸蔵合金槽を用いて熱移動を行うシステムについて説明したが、複数のシステムにおいて、サイクルをずらして水素の吸収、放出を行って連続操業を行うものに本願発明を適用できることも勿論である。なお、このとき、顕熱回収タンクを通したブラインの授受を別のシステムにおける水素吸蔵合金槽との間で行えるようにブライン輸送路を連結することも可能であり、これにより、中断している合金槽との間でブラインの授受を行ってシステムの休止時間の短縮化または連続操業を可能にすることができる。 【0020】(実施形態2)図8は、上記冷凍システムとは異なり、高温側の水素吸蔵合金M1と低温側の水素吸蔵合金M2との間で水素の吸収、放出を行わせる他のシステムを示すものであり、高温側と低温側とでは、使用するブラインの種別が異なっている。以下、具体的に説明する。水素貯蔵合金M1を収容した高温側水素貯蔵合金槽310と、水素貯蔵合金M20を収容した低温側水素貯蔵合金槽32とが対になって設けられており、両素貯蔵合金槽310,320間には、水素を流通させる水素流通路330が設けられている。また、上記高温側水素貯蔵合金槽310には、切換バルブ34a、34bを介して高熱源34が接続されているとともに、切換バルブ35a、35bを介して低熱源35が接続されている。一方、低温側水素貯蔵合金槽320には、切換バルブ37a、37bを介して冷凍庫37が連結されているとともに、切換バルブ38a、38bを介して冷却装置38が連結されている。 【0021】上記システムに対し、さらに高温側水素貯蔵合金槽311と低温側水素貯蔵合金槽321とを対にした同様の構造のシステムが並設されており、高熱源34、低熱源35、冷凍庫37、冷却源38は、両組で共有されて、上記した切換バルブ34a〜38bによって切り換え使用される。また、水素貯蔵合金槽310、311間には、ブラインの出入口部において、内部に可動ラム41を有する顕熱回収タンク40が連結されており、各連結路は、開閉弁42a、42b、43a、43bによって開閉可能となっている。 【0022】次に、上記装置の動作について説明する。一方のシステム側では、水素貯蔵合金M1に水素が吸蔵され、水素貯蔵合金M2には水素が吸蔵されていないとすると、バルブ34a、35aの開閉により、高熱源34から高温側水素貯蔵合金槽310へブラインを流すと、水素貯蔵合金M1が加熱され、該合金M1から水素が放出される。放出された水素は高温側水素貯蔵合金槽310から低温側水素貯蔵合金槽320へと移動する。低温側水素貯蔵合金槽320では、低温側水素吸蔵合金M2に水素が吸収される。この際に、バルブ38a、38bを開け、冷却装置38から低温側水素貯蔵合金槽32に低温側低温ブラインを流し、水素吸蔵合金M2を冷却する。上記動作により、水素吸蔵合金M1から水素吸蔵合金M2への水素の移動が完了する。上記水素の移動に際しては、冷凍効果は得られないため、上記一連の動作は、いわゆる再生工程におけるものである。 【0023】上記の状態で高温になっている水素吸蔵合金M1に対し、切換バルブ35a、34bによって、低熱源35からブラインを水素貯蔵合金槽31に流すことにより冷却する。この結果、水素吸蔵合金M2から水素が放出され、水素は高温側水素貯蔵合金槽310に移動して水素吸蔵合金M1によって吸収される。この際、水素吸蔵合金M1は発熱するが、引き続き上記ブラインによって冷却され、水素吸収が続行される。一方、水素吸蔵合金M2では、水素の放出によって吸熱する。この際に、バルブ36bを開け、冷凍庫37と低温側水素貯蔵合金槽320との間でブラインを循環させて冷熱を取り出す。 【0024】水素の吸放出が完了した後は、前記再生工程を行う。なお、上記動作は、各組で動作サイクルをずらすことによりシステムの休止時間を短くし、最適には連続操業する。上記装置においては、各組の高温側または低温側で水素貯蔵合金槽で冷凍行程と再生行程とで同材料のブラインを使用するものとすれば、実施形態1と同様に高温側同士、または低温側同士の水素貯蔵合金槽間でブラインの授受を行い、顕熱を効率的に回収することができる。 【0025】その動作は、開閉弁42a〜45bを適宜開閉することにより実施形態1と同様にして行うことができる。例えば、高温側水素貯蔵合金槽310では水素の吸収に際し使用した低温のブラインがあり、高温側水素貯蔵合金槽311には水素の放出に際し使用した高温のブラインがある状態とする。高温側水素貯蔵合金槽311の高温のブラインを顕熱回収タンク40の高温領域に収容し、一方、顕熱回収タンク40の低温領域に収容されていた低温のブラインを高温側水素貯蔵合金槽311に供給する。次いで、顕熱回収タンク40に収容されている高温のブラインを高温側水素貯蔵合金槽310に供給し、高温側水素貯蔵合金槽310に収容されていた低温のブラインを顕熱回収タンク40に導入して顕熱の回収を図る。なお、この実施形態では、高温側で顕熱の回収を行うものについて説明したが、ブラインの温度の高低によって低温側において顕熱の回収を行うことも可能である。また、この実施形態では、2組の装置を並設したものについて説明したが、本発明としては何組の装置を並設したものであってもよい。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の顕熱回収装置によれば、2以上のガス吸・脱着槽との間で該ブラインの授受を行う顕熱回収タンクを設け、該顕熱回収タンクに、高温ブラインを収容する高温領域と低温ブラインを収容する低温領域とを区画して設け、該高温領域と低温領域とを、それぞれ開閉可能なブライン輸送路を介して、各ガス吸・脱着槽のブライン出入口部に対峙して接続したので、高温のブラインと低温のブラインとを効率的に回収することができ、したがってシステム全体の効率を向上させることができる。また、顕熱回収タンクの収容部内に可動ラムを配置し、該可動ラムによって収容部内を可変容積の高温領域と低温領域とに区画すれば、少ないスペースで顕熱をより効率的に回収することができる。さらに、可動ラムを顕熱回収タンク収容部内に上下に移動可能に配置して収容部内を上下に区画し、該収容部内のラム上方側を可変容積の低温領域、ラム下方側を可変容積の高温領域に割り当てれば、ブラインの熱対流を防止して、一層効率的な顕熱回収が可能になる。 【0027】上記装置を用いて、一の動作において、高温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から上記高温ブラインを顕熱回収タンクの高温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの低温領域に収容されている低温のブラインを高温ブラインを取り出した上記ガス吸・脱着槽に供給して高温の顕熱の蓄熱および低温の顕熱の供給を行い、二の動作において、低温ブラインを用いたガス吸・脱着槽から低温のブラインを顕熱回収タンクの低温領域に導入するとともに、顕熱回収タンクの高温領域に収容されている高温のブラインを低温ブラインを取り出した上記ガス吸・放出槽に供給して低温の顕熱の蓄熱および高温の顕熱の供給を行い、上記一の動作と二の動作とを前後して繰り返し行えば、顕熱を効率的な作業によって高い回収効率で回収することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004215 【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
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| 【出願日】 |
平成10年10月16日(1998.10.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091926 【弁理士】 【氏名又は名称】横井 幸喜
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| 【公開番号】 |
特開2000−121198(P2000−121198A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−295867 |
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