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【発明の名称】 ヒートポンプ及びその運転方法
【発明者】 【氏名】水落 洋行

【要約】 【課題】少ない数のバルブで、圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量を増大させ、熱効率を向上させるヒートポンプ及びその制御方法を提供する。

【解決手段】第1の金属水素化物MHHが充填された第1の容器と、第2の金属水素化物MHLが充填された第2の容器と、第1及び第2の容器に設けられた熱交換器とからなるヒートポンプにおいて、第1と第2の容器を連結し、それぞれ2つずつのバルブV1〜V4を有する第1と第2の通路L1、L2が設けられ、それぞれの通路の2つのバルブ間同士を短絡する短絡路Sが設けられ、短絡路S中には、圧縮機又はポンプPが設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の金属水素化物が充填された第1の容器と、第2の金属水素化物が充填された第2の容器と、第1及び第2の容器に設けられた熱交換器とからなるヒートポンプにおいて、第1と第2の容器を連結し、それぞれ2つずつのバルブを有する第1と第2の通路が設けられ、それぞれの通路の2つのバルブ間同士を短絡する短絡路が設けられ、短絡路中には、圧縮機又はポンプが設けられていることを特徴とするヒートポンプ。
【請求項2】 上記短絡路に並列に、逆流防止手段を有するバイパス通路が設けられていることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ。
【請求項3】 上記ヒートポンプを稼働する際に、一方の容器から他方の容器への水素ガスの移動が、圧縮機又はポンプの駆動方向に対して順方向になるとともに、短絡路を介して第1と第2の容器が連通するように、第1と第2の通路のそれぞれ1つずつのバルブを開き、次いで、一方の容器と他方の容器内の圧力が略等しくなったときに、圧縮機又はポンプを駆動させ、他方の容器中の水素が略飽和状態に達したときに、上記2つのバルブを閉にして、残りの2つのバルブを開とさせる制御装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートポンプ。
【請求項4】 請求項1乃至3記載のヒートポンプを用い、2つの容器に金属水素化物を充填し、一方の容器から他方の容器に水素ガスを移動させるときには、一方の容器の水素圧力が、他方の容器の水素圧力よりも高い間は、圧縮機又はポンプの駆動を停止し、上記バイパス通路を介して両容器間の圧力差によって水素ガスを移動させ、他方の容器の水素圧力が、一方の容器の水素圧力と略等しくなった後は、圧縮機又はポンプを駆動させることにより、水素ガスの移動を行わせ、一方の容器内の水素ガスが所定の飽和度に達すると、水素の流れを反転させ同様の操作を繰り返すことを特徴とするヒートポンプの運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属水素化物を用いたヒートポンプ及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、使用環境温度及び圧力により水素を可逆的に吸放出する金属水素化物を用いた冷暖熱供給装置は知られている。この金属水素化物から水素を放出する過程は吸熱過程であり、逆に水素を吸蔵する過程は発熱過程である。
【0003】以上の原理を用いたものは、冷暖房装置や給湯装置などに用いられ、例えば、異なる量の金属水素化物を内蔵させた2つの熱交換型金属容器間に圧縮機又はポンプを設け、この圧縮機又はポンプによって水素ガスの流れを繰り返し反転させ、水素が放出過程にある金属容器を介して冷房し、また水素が吸蔵過程にある金属容器を介して冷房する冷暖房装置が提案されている(特公昭58−19954号公報)。
【0004】しかし、上記の冷暖房装置は、常に圧縮機又はポンプを作動させているので、圧縮機又はポンプで消費されるエネルギーが大きく、従って、圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量が少なく、熱効率が良くないという欠点があった。
【0005】そこで、二つの熱交換型金属容器間に差圧がある状態では圧縮機又はポンプの作動を停止させ、差圧によって水素ガスの移動を行わせる方法が提案されている(特公平6─23629号公報)。このようにして圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量を増大させ、熱効率を向上させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法によると、図4にみられるとおり、1組の容器の間水素の通路を開閉するバルブ(41〜48)が8個配置され、各過程毎にバルブの開閉を行っている。
【0007】本発明は、上記の課題を解決し、少ない数のバルブで、圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量を増大させ、熱効率を向上させるヒートポンプ及びその運転方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のヒートポンプ(以下、「本発明1」という)は、第1の金属水素化物が充填された第1の容器と、第2の金属水素化物が充填された第2の容器と、第1及び第2の容器に設けられた熱交換器とからなるヒートポンプにおいて、第1と第2の容器を連結し、それぞれ2つずつのバルブを有する第1と第2の通路が設けられ、それぞれの通路の2つのバルブ間同士を短絡する短絡路が設けられ、短絡路中には、圧縮機又はポンプが設けられているものである。
【0009】請求項2記載のヒートポンプ(以下、「本発明2」という)は、本発明1のヒートポンプにおいて、上記短絡路に並列に、逆流防止手段を有するバイパス通路が設けられているものである。
【0010】請求項3記載のヒートポンプ(以下、「本発明3」という)は、本発明1又は2のヒートポンプの稼働の際に、一方の容器から他方の容器への水素ガスの移動が、圧縮機又はポンプの駆動方向に対して順方向になるとともに、短絡路を介して第1と第2の容器が連通するように、第1と第2の通路のそれぞれ1つずつのバルブを開き、次いで、一方の容器と他方の容器内の圧力が略等しくなったときに、圧縮機又はポンプを駆動させ、他方の容器中の水素が略飽和状態に達したときに、上記2つのバルブを閉にして、残りの2つのバルブを開とさせる制御装置が設けられているものである。
【0011】請求項4記載のヒートポンプの運転方法(以下、「本発明4」という)は、本発明1乃至3記載のヒートポンプを用い、2つの容器に金属水素化物を充填し、一方の容器から他方の容器に水素ガスを移動させるときには、一方の容器の水素圧力が、他方の容器の水素圧力よりも高い間は、圧縮機又はポンプの駆動を停止し、上記バイパス通路を介して両容器間の圧力差によって水素ガスを移動させ、他方の容器の水素圧力が、一方の容器の水素圧力と略等しくなった後は、圧縮機又はポンプを駆動させることにより、水素ガスの移動を行わせ、一方の容器内の水素ガスが所定の飽和度に達すると、水素の流れを反転させ同様の操作を繰り返すものである。以下、本発明1〜4に共通する事項については、「本発明」という。
【0012】本発明に使用される金属水素化物としては、水素を可逆的に吸放出可能な合金であれば特に限定されず、LaNi5x、Mm(ミッシュメタル)Ni5x、及び、Niの一部をAl、Co等の他の金属で置換した希土類−ニッケル系合金;FeTiHxで代表される鉄−チタン系合金;MgNi2x等のマグネシウム−ニッケル系合金等が使用される。なお、上記Xの値はそれぞれは、金属水素化物の種類に応じた、独立した値であり、また、圧力、温度の変数である。
【0013】また、第1の金属水素化物と、第2の金属水素化物の組み合わせは、上記した金属水素化物から適宜選定されてもよいし、合金を構成する成分の一部を、それぞれ異なる量の別の成分で置換されたものであってもよい。また、第1の金属水素化物と、第2の金属水素化物は、水素放出時と水素吸蔵時の水素平衡圧力が異なれば同一のものを選定しても構わない。上記第1及び第2の成分の組み合わせとしては、例えば、LaNi5x とMmNi5x、MmNi5-YAlYxとMmNi5-ZAlZx(ここでZ>Y)などの組み合わせが挙げられる。
【0014】本発明2〜4において使用される逆流防止手段としては、たとえば、逆止弁などが挙げられる。
【0015】本発明3において使用される制御装置としては、たとえば、第1及び第2の容器内の圧力を直接測定しつつ、双方の圧力が略等しくなった時点、及び水素ガスがどちらかの金属水素化物に対して飽和濃度に達した時点で、バルブへの開閉信号を送る装置であってもよいし、予め測定された第1及び第2の金属水素化物の圧力─温度─水素濃度特性と反応速度から、第1の容器と第2の容器内の圧力が略等しくなるまでの時間逆止弁、及び水素ガスがどちらかの金属水素化物に対して飽和濃度に達するまでの時間を求めておき、その時間をタイマーで設定して、設定した時間に応じてバルブの開閉を制御するようにしてもよい。
【0016】なお、本発明3及び4において、一方の容器と他方の容器とは、水素ガスを吸収する方の容器を一方の容器、放出する方の容器を他方の容器とし、ある過程において一方の容器が第1の容器、他方の容器が第2の容器であった場合、次の過程においては水素ガスの移動方向が逆転し、一方の容器が第2の容器、他方の容器が第1の容器となる。
【0017】(作用)本発明1のヒートポンプは、第1の金属水素化物が充填された第1の容器と、第2の金属水素化物が充填された第2の容器と、第1及び第2の容器に設けられた熱交換器とからなるヒートポンプにおいて、第1と第2の容器を連結し、それぞれ2つずつのバルブを有する第1と第2の通路が設けられ、それぞれの通路の2つのバルブ間同士を短絡する短絡路が設けられ、短絡路中には、圧縮機又はポンプが設けられているものであるものであるから、二つの容器間に差圧がある場合に、少ない数(4つ)のバルブで圧縮機又はポンプの作動を停止させるとともに、差圧によって水素ガスの移動を行わせることができる。
【0018】本発明2のヒートポンプは、上記短絡路に並列に、逆流防止手段を有するバイパス通路が設けられているものであるから、圧縮機又はポンプにより、圧縮機又はポンプバイパス通路との間で水素ガスが循環することがない。
【0019】本発明3のヒートポンプ(以下、「本発明3」という)は、本発明1又は2のヒートポンプの稼働の際に、一方の容器から他方の容器への水素ガスの移動が、圧縮機又はポンプの駆動方向に対して順方向になるとともに、短絡路を介して第1と第2の容器が連通するように、第1と第2の通路のそれぞれ1つずつのバルブを開き、次いで、一方の容器と他方の容器内の圧力が略等しくなったときに、圧縮機又はポンプを駆動させ、他方の容器中の水素が略飽和状態に達したときに、上記2つのバルブを閉にして、残りの2つのバルブを開とさせる制御装置が設けられているものであるから、手動でバルブの開閉を行う必要がない。
【0020】本発明4のヒートポンプの運転方法(以下、「本発明4」という)は、本発明1又は2記載のヒートポンプを用い、2つの容器に金属水素化物を充填し、一方の容器から他方の容器に水素ガスを移動させるときには、一方の容器の水素圧力が、他方の容器の水素圧力よりも高い間は、圧縮機又はポンプの駆動を停止し、上記バイパス通路を介して両容器間の圧力差によって水素ガスを移動させ、他方の容器の水素圧力が、一方の容器の水素圧力と略等しくなった後は、圧縮機又はポンプを駆動させることにより、水素ガスの移動を行わせ、一方の容器内の水素ガスが所定の飽和度に達すると、水素の流れを反転させ同様の操作を繰り返すものであるから、水素ガスを送るべき方向に差圧がある場合においては、その差圧で水素ガスが移動し、この間は圧縮機又はポンプを駆動させる必要がないので、少ない数のバルブで、圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量を増大させ、熱効率を向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照してさらに詳しく説明する。図1は本発明のヒートポンプの運転過程を説明するサイクル線図である。図1において、MHHは第1の金属水素化物、MHLは第2の金属水素化物のプラトー領域の圧力−温度線図であり、実線は水素ガスを吸収する際の圧力−温度線図、破線は水素ガスを放出する際の圧力−温度線図を示す。また、Pは圧縮機またはポンプである。
【0022】図1に示すように先ず、第1の金属水素化物MHH(以下「MHH」と略す)が充填された第1の容器を中温熱媒に接続し、第2の金属水素化物MHL(以下「MHL」と略す)を低温熱媒に接続し、MHLからMHHに対して、圧縮機またはポンプでもって、MHLから吸熱的に水素ガスを放出せしめ(A)、この水素ガスをMHHに発熱的に吸蔵させる(B)。次に、弁を閉じ、MHHを低温冷媒に接続し(C)、MHLを中温熱媒に接続する(D)。この場合MHHの平衡分解圧はMHLの平衡分解圧よりも低いので、圧縮機またはポンプを駆動し、強制的にMHHから吸熱的に水素ガスを放出させ、この水素ガスMHLに発熱的に吸蔵させる。次に、再びMHHを中温熱媒に、MHLを低温熱媒にそれぞれ接続することにより、サイクルが完了する。
【0023】上記のサイクルにおいて、中温冷媒に空気を用い、空気冷却器を形成すれば、点A及び点Cに低温冷媒に冷熱が与えられ、低温冷媒に空気を用い、空気加熱器を形成すれば点B及び点Dにおいて中温熱媒に温熱が与えられ、1サイクルの間に2回の冷熱又は温熱出力を得ることができる。
【0024】このサイクルにおいて点Bから点Cを経由して点Dに至るプロセス、及び、点Dから点Aを経由して点Bに至るに工程に本発明が利用可能である。また、点Cから点Dに至る工程は、MHHの再生工程(R)である。
【0025】図2は本発明1及び2のヒートポンプの構成を説明する説明図である。図示しない熱交換器が設けられたMHHが充填された第1の容器と、作動温度領域においてMHHよりも高い平衡分解圧を有するMHLが充填された第2の容器と、第1及び第2の容器に設けられた熱交換器(図示せず)とからなるヒートポンプであり、第1と第2の容器を連結し、バルブV1、V2を有する第1の通路L1と、バルブV3、V4を有する第2の通路L2が設けられている。
【0026】そして、第1の通路L1の2つのバルブV1、V2間と、第2の通路L2バルブV1、V2間と、2つの通路L2の2つのバルブV3、V4間同士を短絡する短絡路Sが設けられ、短絡路S中には、圧縮機又はポンプPが設けられている。
【0027】この場合、MHLからMHHへの水素ガスの移動はその差圧によってなされ、差圧が解消した時点で、圧縮機又はポンプ(P)が稼働する。また逆にMHHからMHLへ水素を移動する場合、MHHの方がMHLより低い平衡分解圧であるが、MHLからMHHへ水素ガスを移動するときに、圧縮機又はポンプ(P)でMHHを加圧するので、水素ガスの移動方向を反転させた直後は、MHHの方がMHLよりも高圧になっており、水素ガスは、最初その差圧によって移動する。その後、差圧が解消した時点で、圧縮機又はポンプ(P)が稼働し、加圧しながら水素ガスをMHHからMHLへ移動する。
【0028】また、圧縮機又はポンプ(P)を有する短絡路と並列に、逆流防止弁(CV)を有するバイパス通路が設けられている。
【0029】ここで、金属水素化物MHL、MHHが充填された第1と第2の容器には、水素ガス圧力を検知する圧力センサ(図示せず)がそれぞれにもうけられている。また、圧力センサからの信号から第1と第2の容器との差圧を算出するとともに、差圧に応じてバルブV1〜V4の開閉、及び、圧縮機又はポンプ(P)の稼働を制御する制御装置(図示せず)が設けられている。ここで、本発明の実施の形体で述べられているバルブの開閉や圧縮機又はポンプの稼働は、全てこの制御装置で行っている。
【0030】図3は本発明のヒートポンプにおける水素ガスの移動を説明する説明図であり、(a)はMHLからMHHへの水素ガスの移動、(b)はMHHからMHLへの水素ガスの移動を示す。図3(a)に示すようにMHLからMHHへ水素ガスを移動させる際には、バルブV2とV3は閉じられ、バルブV1とV4が開かれ、圧縮機又はポンプ(P)の稼働方向に沿った水素ガス通路が形成され、MHLからMHH間へ差圧があるときには、圧縮機又はポンプ(P)は稼働せず、差圧が殆ど解消した時点で圧縮機又はポンプ(P)が稼働する。
【0031】また、図3(b)に示すようにMHHからMHLへ水素ガスを移動させる際には、バルブV1とV4は閉じられ、バルブV2とV3が開かれ、圧縮機又はポンプ(P)の稼働方向に沿った水素ガス通路が形成され、圧縮機又はポンプ(P)は常に稼働する。
【0032】
【発明の効果】本発明1のヒートポンプは、上述の如き構成とされているので、二つの容器間に差圧がある場合に、少ない数(4つ)のバルブで圧縮機又はポンプの作動を停止させるとともに、差圧によって水素ガスの移動を行わせることができる。
【0033】本発明2のヒートポンプは、上述の如き構成とされているので、圧縮機又はポンプバイパス通路との間で水素ガスが循環することがない。
【0034】本発明3のヒートポンプは、上述の如き構成とされているので、上記効果に加え、本発明1又は2のヒートポンプを簡単に少ない数(4つ)のバルブの開閉制御で駆動することができる。
【0035】本発明4のヒートポンプの運転方法は、上述の如き構成とされているので、水素ガスを送るべき方向に差圧がある場合においては、その差圧で水素ガスが移動し、この間は圧縮機又はポンプを駆動させる必要がないので、少ない数のバルブで、圧縮機又はポンプに投入するエネルギーに対して取得熱量を増大させ、熱効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成10年10月20日(1998.10.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−121197(P2000−121197A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−298087