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【発明の名称】 排熱利用冷暖房システム
【発明者】 【氏名】吉井 一寛

【氏名】土岐 達美

【要約】 【課題】殆どが暖房負荷となる冬季における一部の冷房負荷にも対応可能な冷暖房システムを提供する。

【解決手段】吸収液配管21・23と、冷媒蒸気配管25に、夏期の全面冷房運転時に開弁し、冬季に閉弁する開閉弁V1・V2・V3を設置し、冬季には高温再生器4で加熱生成した冷媒蒸気を温水器12に送って温水器熱交換器32Aを流れる水を加熱し、これを暖房負荷14に循環供給して暖房を行い、下胴3・上胴8側では低熱源温水供給配管30から低温熱源用再生器6内の低温熱源用再生器熱交換器30Aに供給されるエンジン冷却水を利用した冷凍サイクルにより、蒸発器1内に設けた蒸発器熱交換器28A内の水を冷却し、この冷水を冷水供給配管28から冷水負荷13に循環供給して冷房するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸発器、吸収器、高温再生器、低温熱源用再生器、凝縮器、吸収液ポンプ、冷媒液ポンプ、高温再生器に連結して設けた温水器、高温再生器に供給されている吸収液と吸収器に戻されている吸収液とが熱交換する吸収液/吸収液熱交換器、エンジン冷却水など(以下、気体を含めて低熱源温水と云う)を供給する排熱熱源、排熱熱源と連結されて低熱源温水が保有する熱を汲み上げる排熱熱交換器などを配管接続し、蒸発器から取り出した冷水を冷水負荷に供給して冷房などを行い、温水器から取り出した温水を温水負荷に供給して暖房などを行う排熱利用冷暖房システムにおいて、排熱熱交換器に流れる低熱源温水と低温熱源用再生器に流れる低熱源温水の流量比率が制御可能に低熱源温水回路を形成すると共に、排熱熱交換器で低熱源温水の保有する熱を汲み上げた温水が温水器を経由して温水負荷に流れるように温水回路を形成し、さらに吸収器から高温再生器に吸収液を供給する吸収液配管、高温再生器から凝縮器に冷媒を供給する冷媒配管、高温再生器から吸収液/吸収液熱交換器を経由して吸収器に吸収液を供給する吸収液配管それぞれに開閉弁を設け、吸収器から低温熱源用再生器に吸収液を供給する吸収液配管を設けたことを特徴とする排熱利用冷暖房システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発電用エンジンの冷却水などが保有する熱、いわゆるを排熱を利用して熱効率を高めるようにした冷暖房システムに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の装置として、例えば特開平7−324839号公報に提案された一重二重効用吸収冷温水機が周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来の一重二重効用吸収冷温水機においては、冷/暖房の同時供給が行えないと云った問題点があった。すなわち、コジェネレーション対応(熱電併給)の吸収冷温水機においても、冬季は当然暖房主体の運転となるが、排熱利用のみで賄える程度の冷房が必要となるエリアが一部ではあるが存在するので、このような要求にも対応できる冷暖房システムを提供する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の課題を解決するため、蒸発器、吸収器、高温再生器、低温熱源用再生器、凝縮器、吸収液ポンプ、冷媒液ポンプ、高温再生器に連結して設けた温水器、高温再生器に供給されている吸収液と吸収器に戻されている吸収液とが熱交換する吸収液/吸収液熱交換器、エンジン冷却水など(以下、気体を含めて低熱源温水と云う)を供給する排熱熱源、排熱熱源と連結されて低熱源温水が保有する熱を汲み上げる排熱熱交換器などを配管接続し、蒸発器から取り出した冷水を冷水負荷に供給して冷房などを行い、温水器から取り出した温水を温水負荷に供給して暖房などを行う排熱利用冷暖房システムにおいて、排熱熱交換器に流れる低熱源温水と低温熱源用再生器に流れる低熱源温水の流量比率が制御可能に低熱源温水回路を形成すると共に、排熱熱交換器で低熱源温水の保有する熱を汲み上げた温水が温水器を経由して温水負荷に流れるように温水回路を形成し、さらに吸収器から高温再生器に吸収液を供給する吸収液配管、高温再生器から凝縮器に冷媒を供給する冷媒配管、高温再生器から吸収液/吸収液熱交換器を経由して吸収器に吸収液を供給する吸収液配管それぞれに開閉弁を設け、吸収器から低温熱源用再生器に吸収液を供給する吸収液配管を設けたことを特徴とする排熱利用冷暖房システムを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。図1に例示した本発明になる排熱利用冷暖房システムは、例えば冷媒に水、吸収液(溶液)に臭化リチウム(LiBr)溶液を用いるものであり、1は蒸発器、2は吸収器、3は蒸発器1と吸収器2とを収納した蒸発器吸収器胴(以下、下胴と云う)、4は加熱手段としてのガスバーナ5を備えた高温再生器、6は低温熱源用再生器、7は凝縮器、8は低温熱源用再生器6と凝縮器7とを収納した低温熱源用再生器凝縮器胴(以下、上胴と云う)、9は本システムの排熱熱源となる発電用などのエンジン9、10はエンジン9を冷却して温度が高くなった冷却水が供給される排熱熱交換器、11は吸収液/吸収液熱交換器、12は温水器、13は冷水負荷、14は温水負荷である。
【0006】2Aは吸収器2の下部に形成された稀吸収液溜りであり、この稀吸収液溜り2Aと高温再生器4の気相部とは、途中に吸収液ポンプP1と吸収液/吸収液熱交換器11と開閉弁V1とを備えた吸収液配管21により配管接続されている。また、吸収液配管21の開閉弁V1上流側と低温熱源用再生器6の気相部とは吸収液配管22によって配管接続されている。
【0007】4Aは高温再生器4に形成された濃吸収液溜りであり、この濃吸収液溜り4Aと低温熱源用再生器6の吸収液溜り6Aとは、途中に開閉弁V2を備えた吸収液配管23によって配管接続されている。また、吸収液配管23の開閉弁V2下流側と吸収器2の気相部に設けられた濃吸収液散布装置2Bとは、吸収液/吸収液熱交換器11を経由する吸収液配管24によって配管接続されている。
【0008】25は高温再生器4の気相部から上胴8に至る冷媒蒸気配管であり、途中に開閉弁V3を備えて、凝縮器7に開口している。
【0009】26は凝縮器7の底部と蒸発器1の気相部とを配管接続する冷媒液配管であり、この冷媒液配管26の途中にはUシール部26Aが形成されている。また、27は蒸発器1の冷媒液溜り1Aと冷媒液散布装置1Bとを配管接続する冷媒液配管であり、この冷媒液配管27の途中に冷媒液ポンプP2が設けられている。
【0010】28は蒸発器1内に設置した蒸発器熱交換器28Aと冷水負荷13とを接続して冷水回路を形成している冷水供給配管であり、途中に冷水ポンプP3を備えている。また、29は冷却水供給配管であり、この冷却水供給配管29は冷却塔(図示せず)から吸収器熱交換器29A・凝縮器熱交換器29Bを経て冷却塔に還流する冷却水の循環路を形成している。
【0011】30はエンジン9と排熱熱交換器10と低温熱源用再生器6内に設置した低温熱源用再生器熱交換器30Aとを配管接続してエンジン冷却水の回路を形成している低熱源温水供給配管であり、途中にエンジン冷却水ポンプP4と、三方弁V4とV5とを備えて、エンジン9を冷却して95℃程度に温度が上昇したエンジン冷却水が排熱熱交換器10と低温熱源用再生器熱交換器30Aとに所望の比率で供給できるように配管接続されている。
【0012】25Aは冷媒蒸気配管25の開閉弁V3上流側から分岐し、温水器12の気相部に至る冷媒蒸気配管である。31は温水器12の底部と高温再生器4の気相部とを配管接続している冷媒液配管である。
【0013】32は温水器12内に設置した温水器熱交換器32Aと排熱熱交換器10と温水負荷14とを直列に配管接続して温水回路を形成している温水供給配管であり、途中に温水ポンプP5を備えている。
【0014】S1は冷水供給配管28の蒸発器1出口部に設置されてこの中を流れている冷水の温度を検出して制御器Cに出力する温度センサ、S2は温水供給配管32の温水器12出口部に設置されてこの中を流れている温水の温度を検出して制御器Cに出力する温度センサである。
【0015】冷水負荷13が小さく、温水負荷14が大きい冬季の運転においては、開閉弁V1・V2・V3を閉弁し、高温再生器4と下胴3・上胴8とを回路的に切り離して、それぞれ単独で運転する。
【0016】すなわち、高温再生器4から回路的に切り離された下胴3・上胴8側では、制御器Cによって吸収液ポンプP1・冷媒液ポンプP2・冷水ポンプP3・エンジン冷却水ポンプP4が運転されると共に、冷却水供給配管29からは吸収器2と凝縮器7とに冷却水が供給され、低熱源温水供給配管30からはエンジン9を冷却して95℃程度に温度上昇したエンジン冷却水が低温熱源用再生器6内の低温熱源用再生器熱交換器30Aに循環供給されるので、吸収器2の稀吸収液溜り2Aから吸収液配管21・22を介して吸収液ポンプP1により上胴8の低温熱源用再生器6に送り込まれた稀吸収液は、低温熱源用再生器熱交換器30Aの管壁を介してエンジン冷却水により加熱され、冷媒を蒸発分離する。
【0017】冷媒を蒸発分離して吸収液濃度が高くなった吸収液は、吸収液配管23・24を経て吸収液/吸収液熱交換器11で吸収器2から低温熱源用再生器6に送られている温度の低い稀吸収液を加熱し、自身の温度を下げて吸収器2の濃吸収液散布装置2Bから吸収器熱交換器29Aに散布され、吸収器2に戻される。
【0018】一方、低温熱源用再生器6でエンジン冷却水により加熱され吸収液から蒸発分離した冷媒蒸気は凝縮器7に入り、冷却水供給配管29の凝縮器熱交換器29B内を流れる冷却水に放熱して凝縮し、冷媒液配管26を通って蒸発器1に流入する。
【0019】蒸発器1の冷媒液溜り1Aに溜った冷媒液は、冷媒液配管27の冷媒液ポンプP2の運転によって、冷媒液散布装置1Bから蒸発器熱交換器28Aに散布される。そして、冷媒液は蒸発器熱交換器28Aの内部を通る冷水から蒸発熱を奪って蒸発するので、蒸発器熱交換器28Aの内部を通る冷水は冷却され、こうして温度を下げた冷水が冷水供給配管28から冷水負荷13に供給されて冷房などが行われる。
【0020】そして、蒸発器1で蒸発した冷媒は吸収器2へ流入し、低温熱源用再生器6より供給されて濃吸収液散布装置2Bから散布される吸収液に吸収されて、稀吸収液溜り2Aに溜り吸収液ポンプP1により低温熱源用再生器6に送られる。
【0021】冷媒と吸収液の上記一重効用冷凍サイクルにおいて、温度センサS1が検出して出力する温度、すなわち蒸発器1内の蒸発器熱交換器28Aで冷却され、冷水供給配管28に流れ出た冷水が所定の温度、例えば7℃になるように低温熱源用再生器6における冷媒蒸気の発生量、具体的には低熱源温水供給配管30から低温熱源用再生器熱交換器30Aに取り込むエンジン冷却水の量、すなわち三方弁V4の開度が制御器Cにより制御されるので、冷水供給配管28を介して冷水負荷13には所定の温度の冷水が循環するようになり、この冷水によって冷房などが行われる。
【0022】なお、三方弁V5は、エンジン9に戻るエンジン冷却水の温度が所定温度、例えば70℃を下回ることがない範囲で、エンジン冷却水が排熱熱交換器10に流れるようにその開度が制御され、温水供給配管32を通って温水ポンプP5により送られてくる温水を加熱する。
【0023】そして、高温再生器4の側では温水ポンプP5を起動すると共に、ガスバーナ5に点火して高温再生器4内の吸収液を加熱し、吸収液に溶解している冷媒を蒸発分離させると、高温再生器で加熱生成された冷媒蒸気は冷媒蒸気配管25・25Aを通って温水器12に流入し、排熱熱交換器10でエンジン冷却水により加熱され温水ポンプP5によって温水供給配管32の温水器熱交換器32A内を流されている温水に放熱してこれを加熱すると共に、冷媒自身は凝縮し、冷媒液配管31を通って高温再生器4に戻り再び加熱されると云った冷媒循環が起こる。
【0024】このとき、温度センサS2が計測して出力する温水が所定の温度、例えば55℃になるように、ガスバーナ5の火力、具体的にはガスバーナ5に供給するガスの量が制御器Cによって制御されるので、温水供給配管32を介して温水負荷14に循環供給される所定の温度の温水によって暖房などが行なわれる。
【0025】なお、夏季には開閉弁V1・V2・V3を開弁して、高温再生器4と下胴3・上胴8とを連通させ、一重効用の冷凍サイクルを形成して冷水負荷13への冷水供給のみを行う。このとき、温水ポンプP5は停止する。
【0026】この一重効用冷凍サイクルによる冷水供給運転では、冷媒を吸収して吸収器2の稀吸収液溜り2Aに溜った稀吸収液は、吸収液ポンプP1によって高温再生器4と低温熱源用再生器6とに分岐して送られる。
【0027】高温再生器4と低温熱源用再生器6とに送られた稀吸収液は、それぞれガスバーナ5と、エンジン9の冷却水によって加熱され、冷媒を蒸発分離して吸収液濃度を高める。
【0028】そして、高温再生器4と低温熱源用再生器6で冷媒を蒸発分離して生成された濃吸収液は、吸収液配管24に一緒になって流れ込み、吸収液/吸収液熱交換器11で吸収器2から高温再生器4と低温熱源用再生器6とに送られている温度の低い稀吸収液と熱交換してこれを加熱し、自身の温度を下げて濃吸収液散布装置2Bから散布され、吸収器2に戻される。
【0029】一方、高温再生器4と低温熱源用再生器6とで加熱されて稀吸収液から蒸発分離した冷媒蒸気は共に凝縮器7に入り、冷却水供給配管29の凝縮器熱交換器29B内を流れる冷却水に放熱して凝縮する。
【0030】凝縮器7で放熱して凝縮した冷媒液は蒸発器1に流入し、その後は冬季の一重効用運転の場合と同様に、冷媒液配管27の冷媒液ポンプP2によって冷媒液散布装置1Bから蒸発器熱交換器28Aに散布され、蒸発器熱交換器28Aの内部を流れる冷水から蒸発熱を奪って蒸発し、吸収器2へ流入して高温再生器4と低温熱源用再生器6とから供給されて濃吸収液散布装置2Bから散布される濃吸収液に吸収され、稀吸収液となって稀吸収液溜り2Aに溜ったのち、吸収液ポンプP1によって高温再生器4と低温熱源用再生器6とに分岐して送られる。
【0031】そして、冷水供給配管28の蒸発器熱交換器28Aの内部で冷媒に蒸発熱を奪われて温度を下げた冷水は、冷水負荷13に循環供給されて冷房などが行われる。
【0032】この冷水供給運転において、吸収液から冷媒を蒸発分離する加熱は上胴8の低温熱源用再生器6における加熱を優先し、不足分を高温再生器4で補うように制御する。
【0033】すなわち、制御器Cは温度センサS1が検出している冷水が所定の例えば7℃になるように、低熱源温水供給配管30から低温熱源用再生器熱交換器30Aに取り込むエンジン冷却水の流量とガスバーナ5の火力とを制御するが、先ず低熱源温水供給配管30から低温熱源用再生器熱交換器30Aに取り込むエンジン冷却水の流量を許容される範囲内で最大となるように三方弁V4を制御し、この状態で温度センサS1が検出している冷水の温度が7℃になるようにガスバーナ5の火力を制御するので、ガスバーナ5で消費する燃料費が節約できる。
【0034】ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0035】例えば、高温再生器4から供給される冷媒蒸気によって吸収液を再加熱して冷媒を蒸発分離するもう一つの低温熱源用再生器を付け加えたり、高温再生器4で加熱生成した冷媒蒸気を上胴8に導く冷媒蒸気配管25が低温熱源用再生器6の内部を経由して凝縮器7に至る、いわゆる二重効用のように配管することもできる。
【0036】また、夏季の全面冷房運転時に閉弁する開閉弁を冷媒液配管31に設置し、夏季の冷房運転時に高温再生器4で蒸発分離された冷媒が温水器12を経由して高温再生器4に戻ることがないようにすることもできる。
【0037】また、低温熱源用再生器6・排熱熱交換器10に供給する低熱源流体としては、エンジン9から出る高温の排気ガスなどであっても良い。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明の排熱利用冷暖房システムにおいては、発電機の冷却に使用した冷却水などを用いる効率の高い冷房運転が夏期に行えるのは勿論、殆どが暖房負荷となる冬季にはガスや油などを燃料とした暖房運転を行いながら、一部に残る冷房負荷には前記冷却水などを利用した冷房運転で対応することができるので、利用価値が高い。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年10月19日(1998.10.19)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2000−121196(P2000−121196A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−297165