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【発明の名称】 吸収冷凍機用溶液熱交換器
【発明者】 【氏名】松原 利男

【氏名】井上 修行

【氏名】田中 祥治

【氏名】鈴木 晃好

【氏名】中村 宏樹

【氏名】内村 知行

【要約】 【課題】効率を大幅に改善しても、結晶することなく安定した運転ができる吸収冷凍機用のプレート式溶液熱交換器を提供する。

【解決手段】吸収冷凍機の溶液流路に配備された希溶液1と濃溶液3との熱交換に用いる溶液熱交換器Hにおいて、該溶液熱交換器がプレート式であり、かつ、該溶液熱交換器H内で希溶液の一部を濃溶液3に導入するための希溶液側流路aSと濃溶液側流路bSを連通させる連通部Rを有することとしたものであり、前記連通部Rは、濃溶液側流路bSにおける位置が該流路の最終流路4より上流側であるのがよく、また、該連通部は、プレート式熱交換器内部の隣接するプレートP間に設けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収冷凍機の溶液流路に配備された希溶液と濃溶液との熱交換に用いる溶液熱交換器において、該溶液熱交換器がプレート式であり、かつ、該溶液熱交換器内で希溶液の一部を濃溶液に導入するための希溶液側流路と濃溶液側流路を連通させる連通部を有することを特徴とする吸収冷凍機用溶液熱交換器。
【請求項2】 前記連通部は、濃溶液側流路における位置が、該流路の最終流路より上流側であることを特徴とする請求項1記載の吸収冷凍機用溶液熱交換器。
【請求項3】 前記連通部は、プレート式熱交換器内部の隣接するプレート間に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の吸収冷凍機用溶液熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器に係り、特に、吸収冷凍機の結晶防止に有用な溶液流路に配備された希溶液と濃溶液との熱交換に用いるプレート式熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から吸収冷凍機は、その作動媒体である吸収溶液が、高濃度かつ低温になると結晶するという不具合が発生する。そのため、結晶ラインに対し、余裕を持った設計をすることになる。通常は、吸収冷凍機において、高濃度で低温となる部位は、溶液熱交換器の濃溶液出口側であり、吸収冷凍機の効果を上昇させるためには、この出口側の濃溶液温度を下げる必要がある。従って、溶液熱交換器の効率を上昇させると、溶液熱交換器の濃溶液出口側の温度が低下し、結晶が生じてしまうという問題があった。特に、プレート式熱交換器の場合は、伝熱性能が良いということと、コンパクトであるため、伝熱面積を増加させることが比較的容易であり、効率上昇による結晶の防止対策は重要なものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決し、溶液熱交換器をプレート式で構成し、効率を大幅に改善しても、結晶することなく安定した運転の出来る吸収冷凍機用溶液熱交換器を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、吸収冷凍機の溶液流路に配備された希溶液と濃溶液との熱交換に用いる溶液熱交換器において、該溶液熱交換器がプレート式であり、かつ、該溶液熱交換器内で希溶液の一部を濃溶液に導入するための希溶液側流路と濃溶液側流路を連通させる連通部を有することを特徴とする吸収冷凍機用溶液熱交換器としたものである。前記溶液熱交換器において、連通部は、濃溶液側流路における位置を該流路の最終流路より上流側とするのがよく、また、該連通部は、プレート式熱交換器内部の隣接するプレート間に設けることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の溶液熱交換器の一例を示す全体構成図であり、(a)は正断面図、(b)は(a)の上から見た平面図、(c)は(a)の下から見た平面図である。図1において、Hは溶液熱交換器、STは仕切板、Pはプレートであり、吸収器Aからの希溶液1が実線で示されるように、希溶液入口ノズルa1から入って1パス目のプレート間流路aSを反対側に流れて希溶液出口ノズルa3から温度の上昇した希溶液2として再生器Gに流れている。一方再生器Gからの濃溶液3は点線で示されるように、濃溶液入口ノズルb1から入り、2パス目のプレート間流路bSを通って、仕切板STの開口部b2を通って1パス目の流路bSを反対側に流れて濃溶液出口ノズルb3から温度の低下した濃溶液4として吸収器Aに流れていく。
【0006】このように、図1では希溶液の流れは実線で示し、その流路はすべて符号aを付しており、また、濃溶液の流れは点線で示し、その流路はすべて符号bを付しており、この間で熱交換が行われるように構成されている。ここで、希溶液の1パス目の流路aSの後半部と連通する希溶液抜出ノズルc1と、濃溶液の1パス目の入口で流路bSと連通する希溶液投入ノズルc2を設け、このノズル間に外部配管として連通管Rを設けている。そして、この連通管Rを用いて希溶液の一部を濃溶液中に導入し、濃溶液出口ノズルb3付近での結晶の生成を防止している。この図1では、連通管Rを流れる流量を調整するためにオリフイスを挿入しているが、もちろん手動弁でも良いし、更には内部サイクルの状態値(温度、圧力、濃度など)を検出し、この検出結果により作動する電磁弁(電動弁)としても良い。
【0007】また、図1ではノズルc1を設けているが、ノズルc1を無くし、ノズルa1からノズルc2に直接連通管Rを配置しても良い。さらに図1では、2パス構造の溶液熱交換器Hとしているが、パス数はこれに限定されるものではない。図2に、本発明の溶液熱交換器の他の例の全体構成図を示し、(a)は正断面図、(b)は(a)の上から見た平面図、(c)は(a)の下から見た平面図である。図1と同様に、希溶液の流れは実線で、濃溶液の流れは点線で示しており、希溶液流路はa、濃溶液流路はbの符号を付している。図2は図1と同様な構造であるが、その相違点は連通管Rを外部配管ではなく、内部プレートPに流路aSと流路bS間を直通する連通部Rとして設けてある。このようにすれば、外部配管は不要で簡潔な構成とすることが出来る。
【0008】次に、本発明の溶液熱交換器が結晶の生成を防止できる作用について説明する。図3に吸収冷凍機の代表的なフローサイクルを示す。図3において、Aは吸収器、Gは再生器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、Hは溶液熱交換器である。溶液サイクルでは、Aで冷媒を吸収した希溶液は、溶液ポンプにより、流路1から熱交換器Hの被加熱側を通り、温度が上昇した希溶液が流路2から再生器Gに導入される。再生器Gでは熱源10により加熱され、冷媒を蒸発して濃溶液となり、流路3から熱交換器Hの加熱側を通り、温度が低下した濃溶液が流路4から吸収器に導入され、冷媒を吸収して希溶液となり循環する。一方、冷媒サイクルは、再生器Gで蒸発した冷媒が凝縮器Cで冷却水11により冷却されて凝縮し、凝縮した冷媒液が流路7から蒸発器Eに導入される。蒸発器Eでは、冷媒液は冷媒ポンプにより流路8で循環されながら蒸発し、冷水9を冷却して蒸発した冷媒は、吸収器Aで濃溶液により吸収され、希溶液として循環される。
【0009】図4(a)に、図3における溶液サイクルの冷媒サイクルを示し、図4(b)に、図1の本発明の溶液熱交換器を用いた場合のサイクル線図を示す。まず、従来のサイクル線図から説明すると、図4(a)において、サイクル点1、2、3、4は図3の流路1〜4と同じであり、熱交換器の入口及び出口における希溶液と濃溶液の温度と濃度を示している。希溶液は、熱交換により1から2まで昇温され、再生器でさらに昇温されて冷媒を蒸発し、濃縮されて濃溶液となり、この濃溶液は熱交換により3から4まで温度降下する。図4において、結晶ラインをKで示すと、結晶ラインに対する温度の余裕度は△tで示される。
【0010】このサイクルにおいて、溶液熱交換器の効率を上げていくと、2の温度が上昇し、4の温度が点線で示すように降下し、結晶ラインKに対する余裕度が小さくなってくる。最悪の場合は4点で結晶を生ずることになる。一方、本発明のサイクル線図図4(b)によれば、希溶液の流路1点と濃溶液側流路3〜4の任意の点、例えば5を連通する通路(図1におけるR)を設けて希溶液と濃溶液を混合すると、混合された溶液の濃度が低下し、結果的に4'と結晶ラインKとの余裕度△tが大きくとれることになる。図4(a)において、1と4を混合したとしても、混合前の4における温度と濃度はわからないために、結晶防止の効果は無くなってしまう。従って、濃溶液側の連通部は4よりも上流側(3に近い方)とすることが良い。また、希溶液側の混合用の取出し点は、1では無く1と2の間であっても良い。
【0011】図5に、一般的なプレート熱交換器の流れを説明するための模式図を示す。積層された複数枚のプレートP間を、低温流体aと高温流体bが交互に流れて、プレート間で熱交換している。各プレートPには流体a、流体bの出入口用として4個の流通穴があいている。図6に、図5に対する一般的な断面構造の模式図を示し(a)は平面図、(b)は側断面図である。断面図(b)は流体aの出入口ノズル部分のものであり、流路aを流れることになる。流体aはノズルa1から入り、プレート熱交換器の流路aを通って反対側のノズルa2に出る。また、流体aの出口をノズルb1とすることも可能である。一方、流体bはノズルb1から入り、プレート熱交換器の流路bを通って反対側のノズルb2に出る。また、流体bの出口をノズルa1とすることも可能である。図5、図6に記載のようなプレート式熱交換器を、連通部を設けて本発明の熱交換器として使用することができる。
【0012】
【発明の効果】本発明によるプレート式熱交換器は、濃溶液出口の結晶の生成を防止することができ、溶液熱交換器の効果を大幅に改善しても、結晶することなく、安定した運転ができる吸収冷凍機とすることができる。また、本発明の溶液熱交換器において、連通部の濃溶液側流路における位置を、濃溶液側流路の最終工程より上流側に設けることで、結晶防止の効果をより高いものとすることができ、該連通部をプレート式熱交換器内部の隣接するプレート間に設けることにより、外部配管が無く、コンパクトな構成とすることが出来る。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成10年10月19日(1998.10.19)
【代理人】 【識別番号】100089428
【弁理士】
【氏名又は名称】吉嶺 桂 (外1名)
【公開番号】 特開2000−121194(P2000−121194A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−296317