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【発明の名称】 スプリット式スターリング冷凍機およびスプリット式スターリング冷凍機の設計方法
【発明者】 【氏名】生田 義貴

【氏名】金尾 憲一

【氏名】内田 年雄

【氏名】田口 芳人

【要約】 【課題】より大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機を提供する。

【解決手段】スプリット式スターリング冷凍機は、コールドヘッド13が備える熱交換器32の重量とそれに取り付けられる機械バネ33のバネ定数とから算出される固有振動数の、駆動周波数に対する比が0.97〜1.3の範囲内の値となるように設計、製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機とコールドヘッドとがキャピラリチューブで接続されたスプリット式スターリング冷凍機において、前記コールドヘッドが備える熱交換器の重量とその熱交換器に取り付けられる機械バネのバネ定数とから算出される固有振動数の、前記圧縮機の駆動周波数に対する比が、0.97〜1.3の範囲内の値となっていることを特徴とするスプリット式スターリング冷凍機。
【請求項2】 前記比が、およそ1.1であることを特徴とする請求項1記載のスプリット式スターリング冷凍機。
【請求項3】 圧縮機とコールドヘッドとがキャピラリチューブで接続されたスプリット式スターリング冷凍機の設計方法において、前記コールドヘッドが備える熱交換器の重量とその熱交換器に取り付けられる機械バネのバネ定数とから算出される固有振動数の、前記圧縮機の駆動周波数に対する比が、0.97〜1.3の範囲内の値となるように設計することを特徴とするスプリット式スターリング冷凍機の設計方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮機とコールドヘッドとがキャピラリチューブで接続された構成のスターリングサイクルを利用した冷凍機であるスプリット式スターリング冷凍機と、その設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍機の一種として、スターリングサイクル(逆スターリングサイクル、カークサイクルとも称される)を利用したスターリング冷凍機と呼ばれる冷凍機が知られている。スターリング冷凍機は、圧縮機とコールドヘッドとがクランク機構で連結されたものと、連結されていないものに大別され、冷却すべき対象物が振動を嫌うものであった場合等には、後者の形態のスターリング冷凍機(スプリット式スターリング冷凍機と呼ばれている)が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スプリット式スターリング冷凍機には、大きなCOP(Coefficient Of Performance;冷凍能力/消費電力)値を有することが望まれる。しかしながら、従来、スプリット式スターリング冷凍機の設計、製造は、半ば試行錯誤的な手順で行われていたため、そのCOP値は、最大でも2.3%程度の値となっていた。
【0004】そこで、本発明の課題は、より大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機を提供することにある。
【0005】また、本発明の他の課題は、より大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機を設計できるスプリット式スターリング冷凍機の設計方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明者らは、コールドヘッドが備える熱交換器の重量とその熱交換器に取り付けられる機械バネのバネ定数とから算出される固有振動数の、駆動周波数に対する比を、0.97〜1.3の範囲内の値、特に、約1.1とすれば、大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機が得られることを見出した。
【0007】なお、上記条件を満たすスプリット式スターリング冷凍機の設計は、駆動周波数をあらかじめ決定しておき、“固有振動数/駆動周波数”が、0.97〜1.3の範囲内の値となるように固有振動数を決定するようにしても、逆に、固有振動数を予め決定ししておき、その後、駆動周波数を決定するようにしても行うことができる。また、熱交換器の固有振動数を所望の値とするためには、熱交換器の重量を変化させても、その機械バネのバネ定数を変化させても良い。ただし、駆動周波数の調整、重量の調整は、煩雑な作業となることが多いので、機械バネのバネ定数を調整することにより、上記条件が満たされるようにすることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。まず、図1を用いて、本発明の一実施形態にかかるスプリット式スターリング冷凍機の構成、動作の概要を説明する。
【0009】図示したように、実施形態のスプリット式スターリング冷凍機は、圧縮機11とコールドヘッド12とそれらを繋ぐキャピラリチューブ13とを備える。
【0010】圧縮機11は、ヨーク21と保圧容器22と圧縮ピストン23とピストン制御スプリング24とを含む。ヨーク21は、図示してあるように、圧縮ピストン23のシリンダとして機能するような構造を有しており、圧縮ピストン23に対して固定された可動コイル25が挿入される環状の溝と、当該溝の外側内壁をなすように埋め込まれた永久磁石26とを備えている。
【0011】保圧容器22は、ヨーク21に固定されており、圧縮ピストン23が収容される空間であって、ヘリウムなどの不活性ガスが充填される空間である保圧空間を形成している。また、図示は省略してあるが、保圧容器22には、気密電源端子が設けられており、当該機密電源端子を介して、可動コイル25は、外部電源と接続される。ピストン制御スプリング24は、圧縮ピストン23と保圧容器22とを連結するように(圧縮ピストン23を中立点に保てるように)、圧縮ピストン23と保圧容器22との間に設けられている。
【0012】コールドヘッド12は、その内部空間がシリンダとして機能するハウジング部31と、熱交換のための蓄冷材(金網など)を収納したディスプレーサであるディスプレーサ蓄冷器32と、ディスプレーサ蓄冷器32を中立点に保つためのディスプレーサ制御スプリング33を備える。
【0013】そして、このスプリット式スターリング冷凍機は、気密電源端子を介して可動コイル25へ交番電流を供給することによって、圧縮ピストン23が往復動(図において左右方向の動き)をするように制御される。その結果として、圧縮空間28と膨張空間34と無効空間とからなるシステム空間内で、等温圧縮、等容移送,等温膨張、等容移送といった4行程からなるサイクルが繰り返され、コールドヘッド12に取り付けられた、例えば、赤外線検出素子などの熱負荷の冷却が行われる。
【0014】要するに、実施形態のスプリット式スターリング冷凍機の基本的な構造、動作は、従来の、リニアモータを利用した圧縮機を搭載したスプリット式スターリング冷凍機のそれらと同じものとなっている。ただし、実施形態のスプリット式スターリング冷凍機は、コールドヘッドが備えるディスプレーサ蓄冷器32(熱交換器)の重量とそれに取り付けられるディスプレーサ制御スプリング33(機械バネ)のバネ定数とから算出される固有振動数の、圧縮機11の駆動周波数(通常、50又は60Hz)に対する比が、0.97〜1.3の範囲内に収まるように設計、製造される。
【0015】このような条件を課した設計に基づき製造されたスプリット式スターリング冷凍機は、従来よりも大きなCOP値を示すものとなる。以下、このことを、異なるバネ定数を有する機械バネをディスプレーサ制御スプリング33として用いた(コールドヘッド機械振動数を変えた)幾つかのスプリット式スターリング冷凍機のCOPの測定結果を示した図である図2を用いて、具体的に説明する。
【0016】図示したように、スプリット式スターリング冷凍機のCOP値は、駆動周波数に対するコールドヘッド機械振動数比がおよそ1.1以下であるときには、当該比の増大に伴い増大し、断面積比がおよそ1.1以上であるときには、断面積比の増大に伴い減少する。そして、前述したように、従来のスプリット式スターリング冷凍機のCOP値は、最大でも2.3%(図中に点線で示してある)であるので、この図から、周波数比が0.97〜1.3の範囲内の値となるように設計すれば、従来のスプリット式スターリング冷凍機よりも大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機が得られることが分かる。また、特に、周波数比がおよそ1.1となるようにすれば、きわめて大きなCOP値を有するスプリット式スターリング冷凍機が得られることも分かる。
【0017】なお、実施形態として説明したスプリット式スターリング冷凍機は、リニアモータを利用したものであったが、上記技術は、回転モータを利用したスプリット式スターリング冷凍機にも適用することができる。
【0018】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のスプリット式スターリング冷凍機は、大きなCOP値を有するので、本発明によれば、消費電力がより少ない、あるいは、冷却能力がより高いスプリット式スターリング冷凍機が得られることになる。また、本発明によるスプリット式スターリング冷凍機の設計方法によれば、そのようなスプリット式スターリング冷凍機を容易に設計できることになる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成10年10月12日(1998.10.12)
【代理人】 【識別番号】100098235
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 英幸
【公開番号】 特開2000−121189(P2000−121189A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−289223