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【発明の名称】 二元冷凍装置
【発明者】 【氏名】上野 明敏

【氏名】向谷 俊昭

【要約】 【課題】複数の二次側冷媒回路を備える二元冷凍装置において、一部の二次側冷媒回路を停止した状態でも、安定した運転を行う。

【解決手段】一次側冷凍回路(20)に2つの分岐通路(5A,5B)を並列に接続して成る蒸発用回路(5)を設ける。各分岐通路(5A,5B)には、一次側膨張弁(EV12a,EV12b)と冷媒熱交換器(11a,11b)とを接続する一方、第1冷媒熱交換器(11a)には第1回路(3A)を、第2冷媒熱交換器(11b)には第2回路(3B)を接続する。低能力で冷却運転する場合は、能力制御手段(71)が第2回路(3B)を停止し、第1回路(3A)の運転を継続する。その際、停止側膨張弁制御手段(72)が第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節し、第2分岐通路(5B)を通じて一次側圧縮機(21)の吸入側に液冷媒を流し、吐出冷媒の過昇温を抑制する。また、第1一次側膨張弁(EV12a)の開度は、第1回路(3A)の高圧を最適値に維持するように調節する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一次側圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、複数の分岐通路(5A,5B)を互いに並列に接続して成る蒸発用回路(5)とが順に接続されて成り、一次冷媒が循環する閉回路に構成される一方、上記各分岐通路(5A,5B)には一次側膨張弁(EV12a,EV12b)と冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部とが順に設けられている一次側冷媒回路(20)と、二次側圧縮機(31)と、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)の凝縮部と、二次側膨張機構(EV21)と、蒸発器(50)とが順に接続されて構成され、二次冷媒が循環すると共に、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)において一次冷媒と二次冷媒とが熱交換する複数の二次側冷媒回路(3A,3B)とを備える二元冷凍装置において、上記各二次側冷媒回路(3A,3B)を運転及び停止制御して二次側冷媒回路(3A,3B)の運転台数を調節し、冷却能力を制御する能力制御手段(71)と、該能力制御手段(71)によって停止した二次側冷媒回路(3B)に対応する一次側膨張弁(EV12b)を、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度が所定範囲に維持されるように開度調節する停止側膨張弁制御手段(72)とを備えていることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項2】 請求項1記載の二元冷凍装置において、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力を検出する圧力検出手段(SPH1)と、該一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を検出する温度検出手段(TDH)とを備える一方、停止側膨張弁制御手段(72)は、圧力検出手段(SPH1)の検出値及び上記温度検出手段(TDH)の検出値から上記一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度を導出し、該吐出冷媒の温度及び過熱度に基づいて一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節するように構成されていることを特徴とする二元冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低段側の二次側冷媒回路を複数備える二元冷凍装置に関し、特に、高段側の一次側冷媒回路における吐出冷媒の過昇温防止策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、二元冷凍装置は、特開平9−210515号公報に開示されているように、個別に冷凍運転を行う一次側冷媒回路と二次側冷媒回路とを備えている。この二元冷凍装置は、マイナス数十度の低温を得るために用いられ、高圧縮比から低圧縮比まで効率の良いところで使用することができるので、省エネルギの点で有利である。そして、この二元冷凍装置は、主として大型の冷凍庫や冷凍倉庫、あるいは冷蔵倉庫の庫内を冷却するのに用いられている。
【0003】上記二元冷凍装置の一次側冷媒回路は、圧縮機と凝縮器と膨張弁と冷媒熱交換器の蒸発部とが順に接続されて構成されている。また、二次側冷媒回路は、圧縮機と冷媒熱交換器の凝縮部と膨張弁と蒸発器とが順に接続されて構成されている。そして、上記冷媒熱交換器において、一次側冷媒回路の一次冷媒と二次側冷媒回路の二次冷媒とを熱交換させるようにしている。
【0004】また、二元冷凍装置には、1つの一次側冷媒回路と複数の二次側冷媒回路とを備えるものがある。この種の二元冷凍装置では、二次側冷媒回路に対応して複数の冷媒熱交換器が設けられる。各冷媒熱交換器の蒸発部は互いに並列に接続されて上記一次側冷媒回路に設けられる一方、各冷媒熱交換器の凝縮部はそれぞれ別個の二次側冷媒回路に設けられる。更に、一次側冷媒回路には、各冷媒熱交換器に対応して1つずつ膨張弁が設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の二元冷凍装置では、二次側冷媒回路の運転台数を変更して冷却能力を調節するようにする場合があるが、このように二次側冷媒回路の運転台数を変更すると、一次側冷媒回路の運転が不安定になるおそれがあった。
【0006】つまり、一次側冷媒回路については、全ての二次側冷媒回路を運転した場合に安定した運転が可能なように各種構成要素の仕様が決定されている。従って、二次側冷媒回路の一部だけを運転する場合は、二次側冷媒回路の能力と一次側冷媒回路の能力とのバランスをとる必要がある。このため、一次側冷媒回路の膨張弁の開度を小さくして一次側冷媒回路での冷媒循環量を減らすような制御を行っている。しかし、一次側冷媒回路では、膨張弁を絞ることによって一次側冷媒回路の低圧が低下し、圧縮機における圧縮比が大きくなって、圧縮機の吐出冷媒の過昇温を招くおそれがあった。
【0007】これに対して、従来は、一次側冷媒回路にインジェクション通路を設け、液冷媒を圧縮機の吸入側に供給するようにしていた。具体的に、このインジェクション通路は、膨張弁と冷媒熱交換器の蒸発部をバイパスして冷媒を流すように設けられると共に、このインジェクション通路にもまた膨張弁が設けられている。そして、このインジェクション通路を通じて、凝縮器で凝縮した冷媒の一部を減圧して圧縮機の吸入側に供給するようにしていた。
【0008】しかしながら、運転状態によっては、インジェクション通路による液冷媒の供給だけでは、一次側冷媒回路における圧縮機の吐出冷媒の過昇温を防止できない場合もあった。従来、この様な場合には一次側冷媒回路の膨張弁を最適開度よりも開き、一次側冷媒回路における冷媒循環量を増やすことによって吐出冷媒の過昇温を防ぐようにしていた。このため、一次側冷媒回路の冷媒蒸発圧力を最適値に設定できず、二次側冷媒回路の冷媒凝縮圧力を最適値にで設定きないという問題があった。そして、二次側冷媒回路を冷却運転に最適な条件で運転できなくなり、エネルギー消費効率(EER)が低下するという問題があった。
【0009】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一部の二次側冷媒回路だけを運転する場合においても、二次側冷媒回路の運転状態を最適条件に維持しつつ、一次側冷媒回路における吐出冷媒の過昇温を防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、一次側冷媒回路の膨張弁について、対応する二次側冷媒回路が運転を休止している状態でも開度調節を行うようにしたものである。
【0011】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、一次側圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、複数の分岐通路(5A,5B)を互いに並列に接続して成る蒸発用回路(5)とが順に接続されて成り、一次冷媒が循環する閉回路に構成される一方、上記各分岐通路(5A,5B)には一次側膨張弁(EV12a,EV12b)と冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部とが順に設けられている一次側冷媒回路(20)と、二次側圧縮機(31)と、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)の凝縮部と、二次側膨張機構(EV21)と、蒸発器(50)とが順に接続されて構成され、二次冷媒が循環すると共に、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)において一次冷媒と二次冷媒とが熱交換する複数の二次側冷媒回路(3A,3B)とを備える二元冷凍装置を前提としている。
【0012】そして、上記各二次側冷媒回路(3A,3B)を運転及び停止制御して二次側冷媒回路(3A,3B)の運転台数を調節し、冷却能力を制御する能力制御手段(71)と、該能力制御手段(71)によって停止した二次側冷媒回路(3B)に対応する一次側膨張弁(EV12b)を、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度が所定範囲に維持されるように開度調節する停止側膨張弁制御手段(72)とを設けるものである。
【0013】また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力を検出する圧力検出手段(SPH1)と、該一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を検出する温度検出手段(TDH)とを設ける一方、停止側膨張弁制御手段(72)を、圧力検出手段(SPH1)の検出値及び上記温度検出手段(TDH)の検出値から上記一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度を導出し、該吐出冷媒の温度及び過熱度に基づいて一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節するように構成するものである。
【0014】−作用−上記第1の解決手段では、一次側冷媒回路(20)の一次側圧縮機(21)から吐出された一次冷媒は、凝縮器(22)で凝縮して液冷媒となる。該液冷媒は、蒸発用回路(5)の各分岐通路(5A,5B)に流れ、一次側膨張弁(EV12a,EV12b)で減圧した後、冷媒熱交換器(11a,11b)に至る。その後、一次冷媒は、各冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部で蒸発してガス冷媒となり、合流した後に一次側圧縮機(21)に戻り、この循環を繰り返す。また、上記各二次側冷媒回路(3A,3B)においては、二次側圧縮機(31)から吐出された二次冷媒は、冷媒熱交換器(11a,11b)の凝縮部で凝縮して液冷媒となる。該液冷媒は、二次側膨張機構(EV21)で減圧した後、蒸発用伝熱管(5a,5b)で蒸発してガス冷媒となって二次側圧縮機(31)に戻り、この循環を繰り返す。そして、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)においては、一次側冷媒回路(20)の一次冷媒と各二次側冷媒回路(3A,3B)の二次冷媒とが熱交換し、二次冷媒から一次冷媒への放熱が行われると共に、上記蒸発器(50)では、二次冷媒が蒸発して冷却空気を生成し、庫内などを冷却する。
【0015】一方、能力制御手段(71)は、上記各二次側冷媒回路(3A,3B)を運転及び停止制御し、二次側冷媒回路(3A,3B)の運転台数を変更することによって冷却能力を増減させる。更に、停止側膨張弁制御手段(72)は、上記能力制御手段(71)によって停止した二次側冷媒回路(3B)に対応する停止側の一次側膨張弁(EV12b)を開度調節する。これによって、液冷媒の一部が、停止する二次側冷媒回路(3B)に対応する停止側の分岐通路(5B)を流れる。そして、適当な量の液冷媒を、運転継続する二次側冷媒回路(3A)に対応する運転側の分岐通路(5A)をバイパスして一次側圧縮機(21)の吸入側に供給する。
【0016】また、上記第2の解決手段では、圧力検出手段(SPH1)が一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力を検出し、温度検出手段(TDH)が一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を検出する。この圧力検出手段(SPH1)の検出値及び上記温度検出手段(TDH)の検出値は、停止側膨張弁制御手段(72)に入力する。
【0017】一方、停止側膨張弁制御手段(72)は、上記両検出手段(SPH1,TDH)の検出値から一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度を導出する。具体的に、圧力検出手段(SPH1)の検出圧力における冷媒の飽和温度を求め、温度検出手段(TDH)の検出温度と求めた冷媒の飽和温度との差をとって上記吐出冷媒の過熱度を導出する。そして、停止側膨張弁制御手段(72)は、上記吐出冷媒の温度及び過熱度に基づいて上記停止側の一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節する。具体的に、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度が高すぎると上記停止側の一次側膨張弁(EV12b)を開く方向へ、また該吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低ければ該停止側の一次側膨張弁(EV12b)を閉じる方向へ制御する。
【0018】
【発明の効果】上記第1の解決手段では、従来は全閉されていた上記停止側の一次側膨張弁(EV12b)について開度調節を行うようにしている。このため、上記停止側の分岐通路(5B)を通じて、液冷媒の一部を一次側圧縮機(21)の吸入側に供給することができる。また、停止側の一次側膨張弁(EV12b)の開度調節によって、一次側圧縮機(21)の吸入側に供給する液冷媒量を調節することができる。この結果、上記運転側の分岐通路(5A)をバイパスして一次側圧縮機(21)の吸入側に適当な量の液冷媒を供給でき、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防ぐことができる。
【0019】本解決手段では、上記停止側の分岐通路(5B)を通じて充分な量の液冷媒を一次側圧縮機(21)の吸入側に供給できる。このため、上記運転側の一次側膨張弁(EV12a)については、該運転継続中の二次側冷媒回路(3A)の運転状態のみを考慮して開度調節することができる。つまり、従来のように、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を考慮して運転側の一次側膨張弁(EV12a)の開度を最適開度よりも大きくする必要がない。従って、運転を継続する上記二次側冷媒回路(3A)の運転状態を最適条件とすることができ、エネルギー消費効率(EER)を高く維持することが可能となる。
【0020】また、場合によっては、上記蒸発用回路(5)をバイパスして凝縮器(22)の出口側と一次側圧縮機(21)の吸入側とに接続するいわゆるインジェクション通路を省略することもできる。つまり、上記停止側の分岐通路(5B)のみを通じて一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を防ぐのに充分な量の液冷媒を供給できる場合は、上記インジェクション通路がなくても上記吐出冷媒の過昇温を抑制することが可能である。従って、この様な場合には、一次側冷媒回路(20)を簡素化することができ、コストの削減を図ることができる。
【0021】また、上記第2の解決手段では、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度に基づいて上記第2分岐通路(5B)の一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節している。このため、上記第2分岐通路(5B)の分岐通路(5B)を通じて凝縮器(22)から一次側圧縮機(21)の吐出側に最適量の冷媒を供給することができ、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防止することができる。また、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度をも考慮して一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節している。このため、一次側圧縮機(21)の吸入冷媒が過度に湿り状態となるのを防ぐことができ、液バックによる一次側圧縮機(21)のトラブル等を確実に防ぐことができる。従って、一次側冷媒回路(20)のトラブルを招くことなく一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防止でき、一次側冷媒回路(20)を安定して運転することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1及び図2に示すように、二元冷凍装置(10)は、冷蔵庫又は冷凍庫を冷却するものであって、室外ユニット(1A)とカスケードユニット(1B)とクーリングユニット(1C)とを備えている。この各ユニット(1A,1B,1C)は、図示しないが、それぞれ所定のケーシングに構成機器を収納して形成されている。そして、該室外ユニット(1A)とカスケードユニット(1B)の一部とによって一次側冷媒回路(20)が構成されている。また、上記カスケードユニット(1B)とクーリングユニット(1C)とに亘って、2つの二次側冷媒回路(3A,3B)が構成されている。更に、上記クーリングユニット(1C)には、図示しないが、庫内温度を検出する庫内温度センサが設けられている。
【0024】−冷媒回路の構成−上記一次側冷媒回路(20)は、冷媒循環方向を正サイクルと逆サイクルとに切り換えて可逆運転可能に構成されている。そして、該一次側冷媒回路(20)は、一次側圧縮機(21)と凝縮器(22)と蒸発用回路(5)とを備えている。また、上記室外ユニット(1A)には、図示しないが、ファンモータで駆動される室外ファンが設けられ、該室外ファンによって上記凝縮器(22)に風を送るようにしている。
【0025】上記一次側圧縮機(21)の吐出側には第1ガス配管(40)が接続され、吸込側に第2ガス配管(41)が接続されている。該第1ガス配管(40)は、一次側圧縮機(21)から油分離器(23)と四路切換弁(24)とを順に接続し、上記凝縮器(22)の一端に接続されている。上記凝縮器(22)の他端には液配管(42)の一端が接続される一方、該液配管(42)の他端は、上記蒸発用回路(5)に接続されている。
【0026】上記蒸発用回路(5)は、分岐通路である第1分岐通路(5A)及び第2分岐通路(5B)を互いに並列に接続して構成されている。該各通路(5A,5B)には、上記液配管(42)が接続する一端から他端に向かって順に、一次側電動膨張弁(EV12a,EV12b)と冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部とがそれぞれ設けられている。具体的に、第1分岐通路(5A)には第1一次側電動膨張弁(EV12a)と第1冷媒熱交換器(11a)の蒸発部とがそれぞれ設けられ、第2分岐通路(5B)には第2一次側電動膨張弁(EV12b)と第2冷媒熱交換器(11b)の蒸発部とがそれぞれ設けられている。
【0027】上記第2ガス配管(41)は、一次側圧縮機(21)からアキュムレータ(26)と四路切換弁(24)とを順に接続する一方、上記蒸発用回路(5)に接続されている。具体的に、該第2ガス配管(41)は、上記第1及び第2分岐通路(5A,5B)の冷媒熱交換器(11a,11b)側に接続されている。つまり、上記第1及び第2冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部は、一次側冷媒回路(20)において互いに並列に接続されている。尚、上記蒸発用回路(5)は、カスケードユニット(1B)に設けられている。
【0028】上記第1ガス配管(40)とレシーバ(25)との間には、ガス通路(43)が接続されている。該ガス通路(43)の一端は、第1ガス配管(40)における四路切換弁(24)と凝縮器(22)との間に接続され、他端は、レシーバ(25)の上部に接続されている。そして、上記ガス通路(43)は、開閉弁(SV)が設けられ、冷却運転時の高圧制御とデフロスト運転時のガス抜きとを行うように構成されている。
【0029】上記油分離器(23)と一次側圧縮機(21)の吸込側との間には、キャピラリチューブ(CP)を備えた油戻し通路(44)が接続されている。上記一次側圧縮機(21)の吐出側と吸込側との間には、キャピラリチューブ(CP)と開閉弁(SV)とを備えた一次側圧縮機(21)のアンロード通路(45)が接続され、該アンロード通路(45)の途中は一次側圧縮機(21)に接続されている。
【0030】また、上記一次側圧縮機(21)の吐出側の第1ガス配管(40)には、高圧冷媒圧力を検出する高圧圧力センサ(SPH1)と、高圧冷媒圧力が過上昇して所定の高圧値になるとオフ信号を出力する高圧圧力開閉器(HPS1)とが設けられている。この高圧圧力センサ(SPH1)は、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力を検出する圧力検出手段に構成されている。また、上記一次側圧縮機(21)の吸込側の第2ガス配管(41)には、低圧冷媒圧力を検出する低圧圧力センサ(SPL1)が設けられている。
【0031】更に、上記第1ガス配管(40)には、一次側圧縮機(21)への接続部近傍に位置して吐出管温度センサ(TDH)が取り付けられている。この第1ガス配管(40)における一次側圧縮機(21)への接続部近傍では、該一次側圧縮機(21)から吐出された直後のガス冷媒が第1ガス配管(40)内を流れている。従って、上記接続部における第1ガス配管(40)の温度は一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度とほぼ等しく、上記吐出管温度センサ(TDH)は吐出冷媒の温度を検出する温度検出手段に構成されている。
【0032】一方、上記第1回路(3A)は、冷媒循環方向が正サイクルと逆サイクルとに切り換えて可逆運転可能に構成されている。そして、該第1回路(3A)は、二次側圧縮機(31)と第1冷媒熱交換器(11a)の凝縮部と蒸発用伝熱管(5a)とを備えている。
【0033】上記二次側圧縮機(31)の吐出側は、第1ガス配管(60)によって油分離器(32)と四路切換弁(33)とを介して第1冷媒熱交換器(11a)における凝縮部の一端に接続されている。また、二次側圧縮機(31)と油分離器(32)の間の第1ガス配管(60)には、図示しないが、吐出管温度センサが取り付けられている。上記凝縮部の他端は、液配管(61)によって逆止弁(CV)とレシーバ(34)と二次側膨張機構である二次側膨張弁(EV21)とを介して蒸発用伝熱管(5a)の一端に接続されている。該蒸発用伝熱管(5a)の他端は、第2ガス配管(62)によって逆止弁(CV)と四路切換弁(33)とアキュムレータ(35)とを介して二次側圧縮機(31)の吸込側に接続されている。
【0034】上記第1冷媒熱交換器(11a)は、一次側冷媒回路(20)の蒸発部と第1回路(3A)の凝縮部とを有するカスケードコンデンサであって、プレート形熱交換器によって構成されている。そして、この第1冷媒熱交換器(11a)では、第1回路(3A)の冷媒と一次側冷媒回路(20)の冷媒とが熱交換を行い、第1回路(3A)の冷媒が放熱して凝縮する一方、一次側冷媒回路(20)の冷媒が吸熱して蒸発する。
【0035】尚、上記二次側膨張弁(EV21)は、感温式膨張弁であって、感温筒(TS)が蒸発用伝熱管(5a)の出口側の第2ガス配管(62)に設けられている。
【0036】上記第1回路(3A)は、逆サイクルのデフロスト運転を行うように構成されているので、ドレンパン通路(63)とガスバイパス通路(64)と減圧通路(65)とを備えている。該ドレンパン通路(63)は、第2ガス配管(62)における逆止弁(CV)の両端部に接続され、ドレンパンヒータ(6a)と逆止弁(CV)とが設けられ、二次側圧縮機(31)の吐出冷媒(ホットガス)が流れるように構成されている。
【0037】上記ガスバイパス通路(64)は、液配管(61)における二次側膨張弁(EV21)の両端に接続され、逆止弁(CV)を備え、デフロスト運転時に液冷媒が二次側膨張弁(EV21)をバイパスするように構成されている。
【0038】上記減圧通路(65)は、液配管(61)における逆止弁(CV)の両端に接続され、開閉弁(SV)とデフロスト用膨張弁(EV22)とを備え、デフロスト運転時に液冷媒を減圧するように構成されている。尚、上記デフロスト用膨張弁(EV22)は、感温式膨張弁であって、感温筒が第2ガス配管(62)におけるアキュムレータ(35)の上流側に設けられている。
【0039】また、上記レシーバ(34)の上部には、ガス抜き通路(66)の一端が接続されている。該ガス抜き通路(66)は、開閉弁(SV)とキャピラリチューブ(CP)とを備え、他端が、第2ガス配管(62)におけるアキュムレータ(35)の上流側に接続されている。
【0040】上記油分離器(32)と二次側圧縮機(31)の吸込側との間には、キャピラリチューブ(CP)を備えた油戻し通路(67)が接続されている。
【0041】また、上記二次側圧縮機(31)の吐出側の第1ガス配管(60)には、高圧冷媒圧力を検出する高圧圧力センサ(SPH2)と、高圧冷媒圧力が過上昇して所定の高圧値になるとオフ信号を出力する高圧圧力開閉器(HPS2)とが設けられている。また、上記二次側圧縮機(31)の吸込側の第2ガス配管(62)には、低圧冷媒圧力を検出する低圧圧力センサ(SPL2)が設けられている。
【0042】上記第2回路(3B)は、第1回路(3A)とほぼ同様な構成であるが、デフロスト運転は行わず、冷却運転のみを行うように構成されている。該第2回路(3B)は、第1回路(3A)における四路切換弁(24)を備えず、その上、ドレンパン通路(63)とガスバイパス通路(64)と減圧通路(65)とが設けられていない。つまり、上記第2回路(3B)は、二次側圧縮機(31)と第2冷媒熱交換器(11b)の凝縮部とレシーバ(34)と二次側膨張弁(EV21)と蒸発用伝熱管(5b)とアキュムレータ(35)とが第1ガス配管(60)と液配管(61)と第2ガス配管(62)とによって順に接続されて構成されている。上記第2冷媒熱交換器(11b)の凝縮部は第2回路(3B)の凝縮器を構成している。尚、上記第2回路(3B)にも、上記第1回路(3A)と同様に、吐出管温度センサ、高圧圧力センサ(SPH1)、低圧圧力センサ(SPL1)及び高圧圧力開閉器(HPS1)が所定の位置に設けられている。
【0043】上記二次側膨張弁(EV21)は、感温式膨張弁であって、感温筒が蒸発用伝熱管(5b)の出口側の第2ガス配管(62)に設けられている。また、上記第2冷媒熱交換器(11b)は、一次側冷媒回路(20)の蒸発部と第2回路(3B)の凝縮部とを有するカスケードコンデンサであって、プレート形熱交換器によって構成されている。そして、この第2冷媒熱交換器(11b)は、第2回路(3B)の冷媒と一次側冷媒回路(20)の冷媒とが熱交換を行い、第2回路(3B)の冷媒が放熱して凝縮する一方、一次側冷媒回路(20)の冷媒が吸熱して蒸発する。
【0044】上記両二次側冷媒回路(3A,3B)における蒸発用伝熱管(5a,5b)は、1つの蒸発器(50)に構成されており、蒸発器(50)において、両二次側冷媒回路(3A,3B)の冷媒と冷蔵庫内又は冷凍庫内の空気とを熱交換させている。そして、上記蒸発器(50)、二次側膨張弁(EV21)及びドレンパン通路(63)がクーリングユニット(1C)に設けられる一方、他の二次側圧縮機(31)などが上記カスケードユニット(1B)に設けられている。また、上記クーリングユニット(1C)には、図示しないが、ファンモータで駆動される庫内ファンが設けられ、該庫内ファンによって上記蒸発器(50)に庫内空気を送るようにしている。
【0045】−コントローラの構成−本実施形態の二元冷凍装置(10)は、図1に示すように、本発明の特徴とするコントローラ(70)を備えている。そして、このコントローラ(70)は、能力制御手段(71)と、停止側膨張弁制御手段(72)とを備えている。
【0046】上記能力制御手段(71)には、上記庫内温度センサが検出する庫内温度と、庫内の設定温度とが入力されている。そして、該能力制御手段(71)は、庫内温度の測定値と設定値とに基づいて、運転する二次側冷媒回路(3A,3B)の数を変更して二元冷凍装置(10)の冷凍能力を調節するように構成されている。つまり、低能力で運転する場合には、二次側冷媒回路(3A,3B)のうち、第2回路(3B)を停止して第1回路(3A)だけを運転するように構成されている。また、それでも冷凍能力が過剰な場合は、第1回路(3A)も停止して、冷却運転を停止するように構成されている。
【0047】上記停止側膨張弁制御手段(72)には、上記一次側冷媒回路(20)に設けられた高圧圧力センサ(SPH1)及び吐出管温度センサ(TDH)の検出値が、それぞれ入力されている。そして、停止側膨張弁制御手段(72)は、上記両センサ(SPH1,TDH)の検出値から一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度を導出する一方、該吐出冷媒の温度及び過熱度に基づいて、上記能力制御手段(71)によって第2回路(3B)が停止した際に、該第2回路(3B)に対応する第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節するように構成されている。
【0048】具体的に、停止側膨張弁制御手段(72)は、先ず、上記高圧圧力センサ(SPH1)の検出圧力における冷媒の飽和温度を求め、上記吐出管温度センサ(TDH)の検出温度と求めた冷媒の飽和温度との差をとって上記吐出冷媒の過熱度を導出する。そして、停止側膨張弁制御手段(72)は、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度が高すぎると第2一次側膨張弁(EV12b)を開く方向へ制御すると共に、該吐出冷媒の過熱度が所定値よりも低ければ第2一次側膨張弁(EV12b)を閉じる方向へ制御する。
【0049】−二元冷凍装置の運転動作−次に、上述した二元冷凍装置(10)の運転動作について説明する。
【0050】先ず、冷却運転を行う場合、一次側冷媒回路(20)の一次側圧縮機(21)及び各二次側冷媒回路(3A,3B)の圧縮機(31,31)を共に駆動する。この状態において、上記一次側冷媒回路(20)では、四路切換弁(24)を図1の実線に切り換える一方、デフロスト用電動膨張弁(EV11)を全開とし、第1及び第2一次側電動膨張弁(EV12a,EV12b)を開度制御する。
【0051】上記一次側冷媒回路(20)の一次側圧縮機(21)から吐出した一次冷媒は、凝縮器(22)で凝縮して液冷媒となり、カスケードユニット(1B)に流れる。そして、上記液冷媒は、第1分岐通路(5A)と第2分岐通路(5B)とに分かれ、各一次側電動膨張弁(EV12a,EV12b)で減圧した後に、各冷媒熱交換器(11a,11b)の蒸発部で蒸発する。その後、このガス冷媒は、合流して第2ガス配管(41)を流れて一次側圧縮機(21)に戻り、この循環を繰り返す。
【0052】一方、第1回路(3A)では、四路切換弁(33)を図2の実線に切り換える一方、デフロスト用膨張弁(EV22)を全閉とし、二次側膨張弁(EV21)を過熱度制御する。また、第2回路(3B)では、二次側膨張弁(EV21)を過熱度制御する。
【0053】上記両二次側冷媒回路(3A,3B)において、圧縮機(31,31)から吐出した二次冷媒は、両冷媒熱交換器(11a,11b)の凝縮部で凝縮して液冷媒となり、この液冷媒は、二次側膨張弁(EV21)で減圧した後に、蒸発用伝熱管(5a,5b)で蒸発する。その後、このガス冷媒が蒸発用伝熱管(5a,5b)から圧縮機(31,31)に戻り、この循環を繰り返す。
【0054】そして、上記各冷媒熱交換器(11a,11b)においては、一次冷媒と二次冷媒とが熱交換し、二次側冷媒回路(3A,3B)の二次冷媒が冷却されて凝縮する。一方、上記蒸発器(50)では、二次冷媒が蒸発して冷却空気を生成し、庫内を冷却する。
【0055】また、上記二元冷凍装置(10)は、デフロスト運転を行う。このデフロスト運転は、冷蔵運転時には6時間毎に行い、冷凍運転時は12時間毎に行われる。上記デフロスト運転は、第2回路(3B)の運転を停止する一方、第1回路(3A)と一次側冷媒回路(20)との冷媒循環方向を逆サイクルにして行われる。
【0056】具体的に、第1回路(3A)では、四路切換弁(33)を図2の破線に切り換える一方、デフロスト用膨張弁(EV22)を過熱度制御し、二次側膨張弁(EV21)を全閉にする。
【0057】上記二次側圧縮機(31)から吐出した二次冷媒は、四路切換弁(33)を経てドレンパン通路(63)を通り、ドレンパンヒータ(6a)でドレンパンを加熱する。続いて、上記二次冷媒は、蒸発用伝熱管(5a)を流れて蒸発器(50)を加熱し、該蒸発器(50)の着霜を融解する。その後、上記蒸発用伝熱管(5a)を流れた二次冷媒は、ガスバイパス通路(64)を流れ、レシーバ(34)を経て減圧通路(65)を流れ、デフロスト用膨張弁(EV22)で減圧する。続いて、上記二次冷媒は、第1冷媒熱交換器(11a)の凝縮部で蒸発して、四路切換弁(33)及びアキュムレータ(35)を経て二次側圧縮機(31)に戻り、この循環を繰り返す。
【0058】一方、上記一次側冷媒回路(20)では、四路切換弁(24)を図1の破線に切り換える一方、デフロスト用電動膨張弁(EV11)を開度制御し、第1及び第2一次側電動膨張弁(EV12a,EV12b)を全開にする。
【0059】上記一次側圧縮機(21)から吐出した一次冷媒は、四路切換弁(24)を経て第1冷媒熱交換器(11a)の蒸発部に流れ、第1回路(3A)の二次冷媒を加熱して凝縮する。その後、上記第1冷媒熱交換器(11a)の蒸発部を流れた一次冷媒は、レシーバ(25)を経てデフロスト用電動膨張弁(EV11)で減圧する。続いて、上記一次冷媒は、凝縮器(22)で蒸発して、四路切換弁(24)及びアキュムレータ(26)を経て一次側圧縮機(21)に戻り、この循環を繰り返す。
【0060】また、上記デフロスト運転は、液温度センサ(Th21)が、例えば、10℃の冷媒温度を検出するか、蒸発器温度センサ(Th22)が、例えば、20℃の蒸発器温度を検出するか、又は第1回路(3A)の高圧圧力センサ(SPH2)が、例えば、18kgf/cm2 の高圧冷媒圧力を検出すると、終了する。尚、上記デフロスト運転は、1時間のガードタイマでも終了する。
【0061】上記デフロスト運転時の他、冷却運転時において、各二次側冷媒回路(3A,3B)におけるガス抜き通路(66)の開閉弁(SV)は開口し、レシーバ(34)に溜まる液冷媒を低温側二次側圧縮機(31)に戻す。
【0062】また、上記一次側冷媒回路(20)におけるガス通路(43)は、冷却運転時において、高圧圧力センサ(SPH1)が検出する高圧冷媒の圧力が低下すると、例えば、6kgf/cm2 まで低下すると、開閉弁(SV)を開口し、高圧冷媒をレシーバ(25)に供給し、高圧冷媒圧力を上昇させる。この開閉弁(SV)の開口は、高圧冷媒の圧力が上昇し、例えば、15kgf/cm2 まで上昇すると、終了する。
【0063】また、上記デフロスト運転時は、上記ガス通路(43)の開閉弁(SV)を開口し、該レシーバ(25)のガス冷媒を一次側圧縮機(21)に戻し、上記レシーバ(25)に液冷媒が溜まるようにしている。つまり、上記デフロスト運転中は、外気温度が高い状態においても液冷媒がレシーバ(25)に溜まるようにしている。
【0064】−コントローラによる制御動作−次に、上述したコントローラ(70)による二元冷凍装置(10)の制御動作について説明する。
【0065】上記能力制御手段(71)は、冷凍能力を調節するために二次側冷媒回路(3A,3B)の運転台数を変更する。具体的に、第1回路(3A)及び第2回路(3B)の両方を運転している状態から説明する。この状態で庫内温度が低下して設定値に近づいてくると、能力制御手段(71)が第2回路(3B)を停止し、第1回路(3A)と一次側冷媒回路(20)との運転を継続する。そして、その後、更に庫内温度が低下して設定値となると、第1回路(3A)及び一次側冷媒回路(20)も停止する。一方、この両二次側冷媒回路(3A,3B)及び一次側冷媒回路(20)が停止した状態で庫内温度が上昇すると、先ず、第1回路(3A)と一次側冷媒回路(20)とを起動する。また、その後、更に庫内温度が上昇すると第2回路(3B)も起動する。
【0066】上記能力制御手段(71)によって第2回路(3B)を停止し、第1回路(3A)及び一次側冷媒回路(20)が運転する状態では、第1回路(3A)の能力と一次側冷媒回路(20)の能力とのバランスをとる必要がある。このため、上記コントローラ(70)によって第1一次側膨張弁(EV12a)の開度を比較的小さくし、一次側冷媒回路(20)での冷媒循環量を減らすと共に、第1回路(3A)における冷媒凝縮圧力を所定範囲に維持するようにしている。
【0067】しかし、単に一次側冷媒回路(20)での冷媒循環量を減らすだけでは、一次側冷媒回路の低圧が低下し、圧縮機における圧縮比が大きくなって、圧縮機の吐出冷媒の温度が高くなりすぎる。これに対して、本実施形態では、上記停止側膨張弁制御手段(72)が第2一次側膨張弁(EV12b)の開度調節を行う。そして、この開度調節によって液冷媒の一部を上記蒸発用回路(5)の第2分岐通路(5B)へ流し、第1分岐通路(5A)をバイパスして一次側圧縮機(21)の吸入側に供給される液冷媒量を調節して、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を所定範囲に維持する。
【0068】上記停止側膨張弁制御手段(72)の制御動作について、図3のフロー図に基づいて説明する。ステップST1では、第2回路(3B)が停止しているか否かを判定し、第2回路(3B)が運転していればこの状態を保持する。一方、第2回路(3B)が停止していれば、ステップST2に移る。
【0069】ステップST2では、吐出管温度センサ(TDH)の検出値、即ち一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度Tdhに基づいて、第1パラメータΔEV1を決定する。具体的に、吐出冷媒温度Tdhが100℃未満であればΔEV1 =0とする。また、吐出冷媒温度Tdhが100℃以上110℃未満であればΔEV1 =1とする。また、吐出冷媒温度Tdhが110℃以上120℃未満であればΔEV1 =2とする。また、吐出冷媒温度Tdhが120℃以上であればΔEV1 =3とする。
【0070】ここで、第1パラメータΔEV1は、その値が大きいほど第2一次側膨張弁(EV12b)を開く操作量が大きいことを示している。従って、吐出冷媒温度Tdhが高いほど第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を大きくして、上記蒸発用回路(5)の第2分岐通路(5B)を流れる冷媒量を増やす。
【0071】次に、ステップST3では、上記高圧圧力センサ(SPH1)の検出値、即ち一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力における冷媒の相当飽和温度Tchを求め、上記吐出管温度センサ(TDH)が検出する該吐出冷媒の温度Tdhと求めた相当飽和温度Tchとの差をとって該吐出冷媒の過熱度Tch−Tdhを導出する。そして、導出した過熱度Tch−Tdhが30℃未満であれば第2パラメータΔEV2を−1とし、過熱度Tch−Tdhが30℃以上であれば第2パラメータΔEV2をゼロとする。
【0072】ここで、上記第2パラメータΔEV2について、その値が負であれば第2一次側膨張弁(EV12b)を閉じる方向に制御することを示している。従って、過熱度Tch−Tdhが30℃未満であれば、第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を小さくして第2分岐通路(5B)の冷媒流量を減らす、或いは、第2一次側膨張弁(EV12b)を開く度合いを小さくして、第2分岐通路(5B)の冷媒流量の増加幅を縮小するようにする。
【0073】続いて、ステップST4において、第1パラメータΔEV1と第2パラメータΔEV2とに基づいて制御パラメータΔEVを計算する。具体的には、第1パラメータΔEV1に補正係数αを乗じたものと、第2パラメータΔEV2に補正係数βを乗じたものとの和を制御パラメータΔEVとしている。尚、この補正係数α,βは、各機種毎に試験的に定められるものである。
【0074】そして、ステップST5では、開度パラメータEVの現在値にステップST4で求めた制御パラメータΔEVを加えて開度パラメータEVの値を更新し、更新後の開度パラメータEV の値に基づいて、第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を変更する。具体的に、第2一次側膨張弁(EV12b)について、制御パラメータΔEVの値が正であれば開度を大きくし、負であれば開度を小さくする。また、制御パラメータΔEVの絶対値が大きいほど、第2一次側膨張弁(EV12b)の開度の操作量を多くする。更に、開度パラメータEVがゼロであれば、第2一次側膨張弁(EV12b)の開度をそのまま保持する。
【0075】−実施形態の効果−本実施形態では、上記能力制御手段(71)によって第2回路(3B)を停止し、第1回路(3A)及び一次側冷媒回路(20)が運転する状態においても、上記第2一次側膨張弁(EV12b)について開度調節を行うようにしている。このため、上記第2分岐通路(5B)を利用して、液冷媒の一部を第1分岐通路(5A)をバイパスして一次側圧縮機(21)の吸入側に供給することができる。この結果、一次側圧縮機(21)の吸入側に適当な量の液冷媒を供給でき、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防ぐことができる。
【0076】更に、上記第2分岐通路(5B)を通じて充分な量の液冷媒を一次側圧縮機(21)の吸入側に供給できるため、運転中の第1回路(3A)に対応する第1一次側膨張弁(EV12a)については、該二次側冷媒回路(3A)の運転状態のみを考慮して開度調節することができる。つまり、従来のように、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を抑制するために、第1一次側膨張弁(EV12a)の開度を最適開度よりも大きくする必要はない。従って、上記第1回路(3A)の運転状態を最適条件とすることができ、エネルギー消費効率(EER)を高く維持することができる。
【0077】また、本実施形態では、上記蒸発用回路(5)をバイパスして凝縮器(22)の出口側と一次側圧縮機(21)の吸入側とに接続するいわゆるインジェクション通路を省略するしている。これによって、一次側冷媒回路(20)を簡素化し、コストの削減を図っている。
【0078】また、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の温度に基づいて上記停止側の第2一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節している。このため、上記第2分岐通路(5B)を通じて一次側圧縮機(21)の吐出側に最適量の液冷媒を供給することができ、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防止することができる。また、一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過熱度をも考慮して一次側膨張弁(EV12b)の開度を調節している。このため、一次側圧縮機(21)の吸入冷媒が過度に湿り状態となるのを防ぐことができ、液バックによる一次側圧縮機(21)のトラブル等を確実に防ぐことができる。従って、一次側冷媒回路(20)のトラブルを招くことなく一次側圧縮機(21)の吐出冷媒の過昇温を確実に防止でき、一次側冷媒回路(20)を安定して運転することが可能となる。
【0079】
【発明のその他の実施の形態】本発明は、上記実施形態では、インジェクション通路を省略したが、このインジェクション通路を一次側冷媒回路(20)設け、第2回路(3B)の停止中にはインジェクション通路及び第2分岐通路(5B)の両方を通じて一次側圧縮機(21)の吐出側に液冷媒を供給するようにしてもよい。尚、このインジェクション通路には、膨張弁と開閉弁とを設ける。そして、液冷媒を膨張弁で減圧してから一次側圧縮機(21)の吸入側に供給する一方、この液冷媒の供給が必要でない場合は開閉弁を閉鎖するようにする。この場合も、第1一次側膨張弁(EV12a)を最適開度に制御することができ、運転中の第1回路(3A)を最適条件で運転してエネルギー消費効率(EER)を高く維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成10年10月14日(1998.10.14)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外1名)
【公開番号】 特開2000−121182(P2000−121182A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−291876