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【発明の名称】 アキュムレ―タ
【発明者】 【氏名】比護 裕

【氏名】山崎 啓司

【氏名】藤井 隆行

【要約】 【課題】タンク内の底部に停滞されやすいオイルを効果的に吐出してコンプレッサへ供給することができるようになされたアキュムレータを提供することを課題とする。

【解決手段】タンク1の上部に冷媒入口ポート7と冷媒出口ポート8とを設ける。タンク1内の高さ方向中間部に乾燥剤ユニット2を配設し、乾燥剤ユニット2よりも上方のタンク内スペースを、該乾燥剤ユニット2から上方に延びたセパレータ壁3によって冷媒入口ポート側の上部スペース15と冷媒出口ポート側の上部スペース16とに仕切る。これら両スペース15,16 を、前記セパレータ壁3に分散状態に設けた複数個の通気孔17によって連通させる。また、少なくとも冷媒入口側ポート7の下方において、タンク1の内壁面と乾燥剤ユニット2との間に隙間Sを形成し、該隙間Sを通じて冷媒入口ポート7から流入した冷媒を直接または間接的にタンク1の底部に衝突させてタンク1内で攪拌させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タンクの上部に冷媒入口ポートと冷媒出口ポートとが設けられると共に、前記タンク内の高さ方向中間部に、乾燥剤ユニットが配設され、該乾燥剤ユニットよりも上方のタンク内スペースが、該乾燥剤ユニットから上方に延びたセパレータ壁によって前記冷媒入口ポート側の上部スペースと前記冷媒出口ポート側の上部スペースとに仕切られ、これら両上部スペースが前記セパレータ壁に分散状態に設けられた複数個の通気孔によって連通される一方、少なくとも前記冷媒入口ポートの下方において、前記タンクの内壁面と前記乾燥剤ユニットとの間に冷媒通過用スペースが形成され、該冷媒通過用スペースを通じて前記冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的に前記タンク内の底部に到達して該タンク内で攪拌されるようになされていること特徴とする、アキュムレータ。
【請求項2】 前記複数個の通気孔の総面積が、前記冷媒入口ポートの通路断面積の1.5〜3倍に設定されている、請求項1に記載のアキュムレータ。
【請求項3】 前記タンク内に、オイル吸上げ管がその下部吸入口を前記タンク内の底部に臨ませると共に上部吐出口を前記冷媒出口ポートに臨ませた状態で配設されている、請求項1または2のいずれか1に記載のアキュムレータ。
【請求項4】 前記オイル吸上げ管の通路断面積が、前記冷媒出口ポートの通路断面積の20〜50%に設定されている、請求項3に記載のアキュムレータ。
【請求項5】 前記セパレータ壁の下端部に、前記冷媒出口ポート側の上部スペースと前記冷媒入口ポート側の上部スペースとを連通する液状冷媒流通用開口部が形成されている、請求項1ないし4のいずれか1に記載のアキュムレータ。
【請求項6】 前記オイル吸上げ管の上部吐出口は、その開口方向と前記冷媒出口ポート内を流通する冷媒の流れ方向とのなす角度θが0°<θ≦90°の関係を満たすように形成されている、請求項3〜5のいずれか1に記載のアキュムレータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カーエアコン等の冷凍サイクルに用いられるアキュムレータに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の冷凍サイクルには、冷媒と共に、所定量のコンプレッサ潤滑用オイル(以下、この明細書において「潤滑用オイル」という。)が封入されている。そしてこの冷凍サイクルにおいて潤滑用オイルを含む冷媒は、このアキュムレータ内でガス状冷媒、液状冷媒および潤滑用オイルに分離される。このうちガス状冷媒と所定量の潤滑用オイルがコンプレッサへ送り出される。同時に、アキュムレータ内では、その内部に配置された乾燥剤で冷媒中に含まれる水分が除去される。
【0003】このようにアキュムレータは、冷媒をガス状冷媒と液状冷媒とに分離する機能、液状冷媒を蓄える機能、コンプレッサへ一定量の潤滑用オイルを供給する機能、および冷凍サイクル内の水分を除去する機能を備えたものである。
【0004】而して、従来この種のアキュムレータとして、例えば図10に示される形式のものが既知である。このアキュムレータは、タンク(101) 内にU字状に曲げられたパイプ(104) が配設され、そのパイプ(104) の上端吐出口が冷媒出口ポート(108) に接続されると共に上端吸入口がタンク内上部で開口された状態となされている。また、傘状のデフロスター(120) が、前記パイプ(104) の上端吸入口を覆う態様で前記タンク内上部に配設され、前記冷媒入口ポート(107) から流入した潤滑用オイルを含む気液混合状態の冷媒がこのデフロスター(120) に吹き付けられるようになっている。
【0005】このデフロスター(120) に吹き付けられた冷媒は、そのうちの比重の大きい潤滑用オイルと液状冷媒とがデフロスター(120 )に沿って流下してタンク内底部に蓄えられる。一方、ガス状冷媒は、U字状パイプ(104) の上端吸入口から吸い込まれて冷媒出口ポート(108) から吐出され、コンプレッサへ吸入される。
【0006】またタンク(101) 内の底部にはオイル戻し孔が形成されており、このオイル戻し孔を通じて液状冷媒中に含まれた潤滑用オイルをコンプレッサへ所定量供給するようになされている。更に、タンク(101) 内には、乾燥剤ユニット(102) が配設されており、冷凍サイクル中の水分を除去するようになされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】而して、タンク内の底部には液状冷媒とオイルとが滞留するが、両者の比重が異なるため、相対的に比重の軽い潤滑用オイルが液状冷媒上に層状に分離した状態で滞留する。一方、オイル戻し孔は、上述のようにタンク底部に設けられているため、特にタンク内に蓄積された液状冷媒の量が多い場合には、液状冷媒がなくなるまで潤滑用オイルがコンプレッサに供給されず、アキュムレータの機能の一つであるオイル供給機能を奏することができないという難があった。
【0008】またオイル戻し孔からは、冷凍サイクル稼働直後、先ず液状冷媒が吸い込まれるためにコンプレッサへの液戻り現象が発生し、ひいてはコンプレッサの故障を招くおそれをも有するものあった。
【0009】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、アキュムレータのタンク内底部に停滞されやすいコンプレッサ潤滑用オイルを効果的に吐出してコンプレッサへ供給することができるようになされたアキュムレータを提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】而して、この発明は、タンクの上部に冷媒入口ポートと冷媒出口ポートとが設けられると共に、前記タンク内の高さ方向中間部に、乾燥剤ユニットが配設され、該乾燥剤ユニットよりも上方のタンク内スペースが、該乾燥剤ユニットから上方に延びたセパレータ壁によって前記冷媒入口ポート側の上部スペースと前記冷媒出口ポート側の上部スペースとに仕切られ、これら両上部スペースが前記セパレータ壁に分散状態に設けられた複数個の通気孔によって連通される一方、少なくとも前記冷媒入口ポートの下方において、前記タンクの内壁面と前記乾燥剤ユニットとの間に冷媒通過用スペースが形成され、該冷媒通過用スペースを通じて前記冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的に前記タンク内の底部に到達して該タンク内で攪拌されるようになされていることを特徴とするアキュムレータを要旨とするものである。
【0011】前記冷媒入口ポートの下方において、前記タンクの内壁面と前記乾燥剤ユニットとの間に冷媒通過用スペースが形成され、該スペースを通じて前記冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的に前記タンクの底部に到達して該タンク内で攪拌されるようになされていることにより、タンク内の底部で乱流が生じる。従って、従来、タンク内の底部で層状に分離して滞留しがちであった潤滑用オイルと液状冷媒とが効果的に攪拌される。しかも、冷媒は攪拌時に外部から得られたエネルギーにより自ら沸騰を開始する。このため、沸騰して蒸発した冷媒に潤滑用オイルが再溶解されるので、該潤滑用オイルがガス状冷媒に含有された状態でコンプレッサへ戻される。しかも、タンク内の底部で液状冷媒と潤滑用オイルとが混合されるため、その混合液としてコンプレッサへ戻される。而して、アキュムレータ内に潤滑用オイルを停滞させることなく、該オイルを冷凍サイクル内で循環させることができる。
【0012】前記セパレータ壁に形成された複数個の通気孔は、冷媒入口ポートと冷媒出口ポートとの短絡をある程度防ぎながらセパレータ機能を発揮させつつ、冷媒を乾燥剤ユニットを通過させるようにする目的で、通気孔の総面積が前記冷媒入口ポートの通路断面積の1.5〜3倍となるように形成することが望ましい。
【0013】前記タンク内にオイル吸上げ管を配設する場合、該オイル吸上げ管の下部吸入口を前記タンク内の底部に臨ませると共に上部吐出口を前記冷媒ポートに臨ませることが好ましい。
【0014】また、前記タンク内の潤滑用オイルを効果的に吐出させる目的で、オイル吸上げ管の通路断面積を、冷媒出口ポートの通路断面積の20〜50%に設定することが望ましい。
【0015】前記セパレータ壁の下端部に、前記冷媒出口ポート側の上部スペースと前記冷媒入口ポート側の上部スペースとを連通する液状冷媒通過用開口部を形成することが望ましい。これにより、セパレータ壁で仕切られた冷媒出口ポート側の上部スペースに液状冷媒が滞留するのを防止でき、ひいては該液状冷媒が、エンジン始動、停止時のようにコンプレッサーの回転数が急激に変動した場合等に冷媒出口ポートから吐出されるおそれをなくすことができる。
【0016】また、前記オイル吸上げ管の上部吐出口は、その開口方向と前記冷媒出口ポート内を流通する冷媒の流れ方向とのなす角度θが0°<θ≦90°の関係を満たすように形成されていることが望ましい。これにより、タンク内底部の液状冷媒等をを効率良く吸い上げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1に示されるアキュムレータにおいて、(1)はタンク、(2)は乾燥剤ユニット、(3)はセパレータ壁、(4)はオイル吸上げ管、(5)はフィルタである。
【0019】タンク(1)は、所定の高さを有する有底円筒状のもので、その上端開口部がヘッダー(6)によって封鎖されている。該ヘッダー(6)には、冷媒入口ポート(7)と、冷媒出口ポート(8)とが設けられている。タンク(1)内には、その高さ方向の中間部に乾燥剤ユニット(2)が冷媒出口ポート(8)の下方に偏在した状態で配設されている。
【0020】乾燥剤ユニット(2)は、図2及び図3に示されるように、平面視略半円形状に形成された下端開放状の筒状体(10)と、該筒状体(10)の下端開口部を閉塞する蓋材(11)とを備えている。上記筒状体(10)は、半円形状の上面壁(10a) 、該上面壁(10a) の周縁から下方に延設された平板状側面壁(10b) および曲板状側面壁(10c) を有する。この筒状体(10)の下端開口部は、蓋材(11)によって塞がれて内部に乾燥剤(12)が保持されるようになされている。その半円形筒状体(10)の外径は、タンク(1)の内径とほぼ一致するものに設計されている。半円形筒状体(10)の上面壁(10a) と平板状側面壁(10b) 、および蓋材(11)には、それぞれそのほぼ全面に亘って多数の小孔(10a1)(10b1)(11b) が分散状態に形成されており、冷媒が流通しうるようになされている。また蓋材(11)には、下方に突出する複数本の脚(13)が一体成形され、図1(ロ)に示すように、これらの脚(13)をタンク(1)の底部に支持させることにより、乾燥剤ユニット(2)をタンク(1)内に、タンク(1)の底部から所定距離浮かせた状態で配置しうるようになされている。
【0021】また、図2及び図3に示すように、上記平板状側面壁(10b) と曲板状側面壁(10c) との連接部分から、固定用延設片(14)(14)がそれぞれ曲板状側面壁(10c) から連続する態様で延設されている。この延設片(14)(14)は、タンク(1)の内径よりもやや大きい曲率半径を有するようにやや外拡がり状態に形成されており、タンク(1)内に装着したときにタンク(1)の内面壁に圧接して筒状体(10)をタンク内に固定するようようになされている。
【0022】セパレータ壁(3)は、平坦壁によるもので、図1に示すように、タンク(1)内の上部スペースに配置され、該上部スペースを冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)と、冷媒出口ポート(8)側の上部スペース(16)とに区画している。このセパレータ壁(3)は、図3に示すように、乾燥剤ユニット(2)の半円形筒状体(10)の平板状側面壁(10b) の上端縁から上方に突出するように一体的に延設されている。そしてこのセパレータ壁(3)には、その上端部を除いた中間部分から下方部分に至る領域に、複数個の通気孔(17)が分散状態に形成されており、前記冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)と、前記冷媒出口ポート(8)側の上部スペース(16)とがこれら通気孔(17)を通じて連通されている。なお、セパレータ壁(3)は、半円形筒状体(10)とは別体に形成されたものであっても良い。
【0023】上記セパレータ壁(3)の上端縁の両側には、上方突出状の一対の係止突起(3a)(3b)が一体的に設けられている。これら係止突起(3a)(3b)は、ヘッダー(6)の内面側対応位置に形成された係止孔(6a)(6b)にはめ込まれ、これによってセパレータ壁(3)がタンク(1)内に所期する位置決め状態で固定される。なお、この一対の係止突起(3a)(3b)は、セパレータ壁(3)の上端縁の両端からそれぞれ異なる距離に位置するように形成されている。これにより組立時に乾燥剤ユニット(2)が、例えばタンク(1)の周方向に180度ずれた逆配置状態に取り付けられる不都合を未然に回避しうるように配慮されている。また、これら係止突起(3a)(3b)は、組立後においてはセパレータ壁(3)、ひいては乾燥剤ユニット(2)がタンク(1)内で回転しないように作用する。
【0024】オイル吸上げ管(4)は、図1に示されるように、乾燥剤ユニット(2)の上面壁(10a) および蓋材(11)に形成されたオイル吸上げ管挿通孔(10a2)(11a) を貫通した状態で、上下方向に沿って配設されている。該オイル吸上げ管(4)の下端吸入口(4a)はタンク(1)内の底部に位置し、同上端吐出口(4b)はヘッダー(6)の冷媒出口ポート(8)内に臨んで位置するものとなされている。なお、このオイル吸上げ管(4)は、乾燥剤ユニット(2)とは別体に形成されているが、勿論、一体に形成されたものであっても良い。
【0025】なお、冷媒入口ポート(7)には、図4に示すように、メッシュ状のフィルター(5)がはめ込まれている。
【0026】上記アキュムレータの組立は、半円形筒状体(10)と蓋材(11)とを、それらの内部に乾燥剤(12)を収容すると共に筒状体(10)の上面壁(10a) と蓋材(11)のオイル吸上げ管挿通孔(10a2)(11a) にオイル吸上げ管(4)を挿入配置した状態で、組み合わせて乾燥剤ユニット(2)とする。そしてこの乾燥剤ユニット(2)を、筒状体(10)が冷媒出口ポート(8)の下方に位置するようにして、タンク(1)内に挿入配置する。このとき乾燥剤ユニット(2)に一体的に延設された固定用延設片(14)(14)はその弾性力によりタンク(1)の内側面に圧接され、乾燥剤ユニット(2)がタンク(1)内で固定される。そしてヘッダー(6)をタンク(1)の上端開口部に、前記セパレータ壁(3)の係止突起(3a)(3b)が係止孔(6a)(6b)に係止されるようにして取り付ける。
【0027】なお、上記タンク(1)、ヘッダー(6)等は、アルミニウム又はアルミニウム合金などの成形性の良好な金属材料などで製作しうる。また、セパレータ壁(3)、乾燥剤ユニット(2)、オイル吸上げ管(4)等は、ポリアミド樹脂等の合成樹脂材料で好適に製作しうる。
【0028】上記アキュムレータにおいては、エバポレータ内で蒸発された液・ガス混合冷媒が、図1(ロ)に矢印で示されるように、ヘッダー(6)の冷媒入口ポート(7)を通じて、冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)に流入される。なお、冷媒入口ポート(7)には、フィルター( 5) が嵌め合わされているので、異物が除去される。
【0029】そして上部スペース(15)内に流入した冷媒は、冷媒入口ポート(7)からその真下のタンク(1)の底部まで障害物が存在しないため、タンク(1)の底部に直接到達する。このようにタンク(1)内の底部に直接到達して衝突することによって、特にタンク(1)内の底部付近で冷媒が激しく攪拌されて乱流が生じる。従って、従来、タンク(1)内の底部で層状に分離した状態で液面が安定し停滞しがちであったオイルと液状冷媒とが激しく攪拌される。しかも、冷媒はその攪拌時に外部から得られたエネルギーにより自ら沸騰を開始する。このため、沸騰して蒸発した冷媒にオイルが再溶解され、オイルがガス状冷媒に含有された状態になると共に、タンク(1)内の底部で液状冷媒とオイルとが一様に混合される。
【0030】而して、ガス状冷媒は乾燥剤ユニット(2)を通過すると共に一部がセパレータ壁(3)の通気孔(17)を通じて、冷媒出口ポート( 8) 側の上部スペース(16)に導入され、冷媒出口ポート(8)から流出してコンプレッサに吸入されていく。このとき冷媒に含まれた水分は、乾燥剤(12)によって除去される。一方、潤滑用オイルは液状冷媒と混合された状態でオイル吸上げ管(4)の下端吸入口(4a)から吸い上げられて上端吐出口(4b)を経て、前記ガス状冷媒と共にコンプレッサに吸入される。
【0031】上述の次第で、アキュムレータでは、その内部にオイルが停滞することなく、オイルを冷凍サイクル内で循環させることができる。因みに、本発明におけるタンク(1)内底部での乱流効果により、タンク内に停滞するオイル残留が、図10に示す従来品と較べて47%減少したことが確認された。
【0032】前記セパレータ壁(3)に形成された通気孔(17)は、それらの総面積が前記冷媒入口ポート(7)の通路断面積の1.5〜3倍となるように形成することが望ましい。下限値よりも小さすぎると、タンク内に滞留した液状冷媒等の液面レベルが乾燥剤ユニット(2)の上面壁(10a) を越えて上昇した場合にタンク(1)内の圧力が異常に上昇することがあるからである。逆に、上限値よりも大きくなりすぎると、冷媒入口ポート(7)と冷媒出口ポート(8)とが実質的に短絡した状態と同様になって、セパレータ壁(3)がセパレータ壁として機能しなくなるからである。
【0033】また、オイル吸上げ管(4)は、オイルを効果的に吸い上げるようにする目的で、冷媒出口ポート(8)の通路断面積の20〜50%の通路断面積を有するものとすることが望ましい。
【0034】図5は、変形例を示すものである。この変形例にかかるアキュムレータは、前記実施例とは乾燥剤ユニットの形状が若干異なる。この乾燥剤ユニット(20)は、冷媒入口ポート(7)側の下部が斜めに形成され、該ユニット(20)とタンク(1)の底部との間にスワール領域(渦発生領域)を形成するものとなされている。このため冷媒入口ポート(7)から流入してタンク(1)内の底部に直接到達して衝突した冷媒は、乾燥剤ユニット(20)の下部スワール領域で渦を発生するため、より一層激しく攪拌されるものとなる。
【0035】それ以外の点については前記実施例と同一であり、対応箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】図6は、更に他の変形例を示すものである。この変形例にかかるアキュムレータにあっては、前記第1の実施例とは乾燥剤ユニットの形状および配置位置が若干異なる。この乾燥剤ユニット(30)は、略円筒状に形成されたものであり、タンク(1)の内径よりも径小に形成されている。そしてタンク(1)の内周面との間に隙間、即ち冷媒通過用スペース(S)が形成されるように冷媒出口ポート(8)側に若干寄せた状態でタンク(1)内に配設されている。このように冷媒出口ポート(8)側にも冷媒通過用スペース(S)を形成することにより、冷媒の流通抵抗を先の実施例に較べて小さいものとすることができる利点がある。この実施例においても、冷媒入口ポート(7)から流入した冷媒は、その一部が直接タンク(1)の底部に直接到達して衝突するものとなされると共に、残りが乾燥剤ユニット(30)の上面壁(30a) に衝突したのちタンク(1)の底部に到達するものとなされている。
【0037】而して、この実施例においても、冷媒はタンク(1)の底部において激しく攪拌され、オイルが液状冷媒と共にオイル吸上げ管(4)に吸い上げられて、コンプレッサに供給される。
【0038】それ以外の点については前記実施例と同一であり、対応箇所に同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】図7ないし図9は、図1ないし図4に示す第1実施例の変形例を示すものである。この変形例に係るアキュムレータは、セパレータ壁とオイル吸上げ管の構造以外は第1実施例と同一であるので、同一箇所については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】この実施例に係るアキュムレータのセパレータ壁(3)は、その下端部に前記冷媒出口ポート(8)側の上部スペース(16)と前記冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)とを連通する左右一対の横長矩形状の液状冷媒流通用開口部(18)(18) が形成されている。このようにセパレータ壁(3)の下端部に開口部(18)(18)を形成したのは、つぎのような理由による。即ち、冷媒封入量が多すぎる場合や、エンジンの始動時や停止時のようにコンプレッサの回転数が急激に変動する場合等に、乾燥剤ユニット(2)上、即ちセパレータ壁(3)、乾燥剤ユニット(2)の上面およびタンク(1)の内面とで囲まれた空間に滞留した液状冷媒が冷媒出口ポート(8)から吸い上げられることがある。このようにして液状冷媒がコンプレッサへ送り込まれると、コンプレッサの故障を誘発するのみならず、冷凍サイクルにおける冷房性能の低下を招くことになる。従って、乾燥剤ユニット(2)上には常に液状冷媒が滞留しないようにすることが望ましい。このためこの実施例に係るセパレータ壁(3)では、その下端部に液状冷媒流通用開口部(18)(18)を形成し、該開口部を通じて乾燥剤ユニット(2)上の液状冷媒を冷媒入口ポート側の上部スペース(15)へと戻すようにしている。これにより、液状冷媒が冷媒出口ポート(8)から流出する不都合が未然に防止される。
【0041】上記液状冷媒流通用開口部(18)(18)の形状、個数及び大きさは、アキュムレータとしての機能を損なわず、かつ乾燥剤ユニット(2)上の液状冷媒を冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)側へ良好に排出しうるものであれば、特に限定されるものではない。この実施例においては、セパレータ壁(3)の下端部にその幅方向に沿って、一対の横長矩形状の開口部(18)(18)が形成されている。その各開口下端縁(18a) は乾燥剤ユニット(2)の上面に一致するものとなされ、液状冷媒を良好に排出しるようになされている。各開口部(18)の高さ、即ち開口下端縁(18a) から開口上端縁(18b) までの高さxは、15mm以下の範囲に設定することが望ましい。この範囲に設定した場合に、乾燥剤ユニット(2)上の液状冷媒が冷媒入口ポート(7)側の上部スペース(15)に良好に排出されると共に、コンプレッサの高速回転時においてもアキュムレータの気液分離作用が阻害されないことが、発明者の実験により確認された。
【0042】上記液状冷媒流通用開口部(18)(18)を有するセパレータ壁(3)は、図5及び図6に示す実施例においても同様に適用することができる。
【0043】更に、図7ないし図9に示す実施例において、オイル吸上げ管(40)は、図1ないし図4に示す第1実施例および図5に示す第2実施例のオイル吸い上げ管(4)と比較して、上端の開口部の位置を除いて、同様である。即ち、図7ないし図9に示す実施例におけるオイル吸上げ管(40)では、図7( )、図8( )及び図9に示されるように、上端部が閉塞されており、上端部からやや下方に位置する側面部に開口部(40b) が形成されている。そしてこの開口部(40b) は、図7( )に示すように、冷媒出口ポート(8)内に臨むように配置されている。即ち、開口部(40b) は、その開口方向と冷媒出口ポート(8)内を流通する冷媒の流れ方向とのなす角度θが90°になるように形成されている。このように開口部(40b)の開口方向を冷媒出口ポート(8)内を流通する冷媒の流れ方向に対して直交するように設定することによって、タンク(1)内の底部の滞留液を効率良くオイル吸上げ管(40)によって吸い上げることができる。なお、この発明においては、上記角度θは必ずしも90°に限定されるものではなく、0°<θ≦90°の関係を満たす範囲であれば良い。以下、その理由について説明する。
【0044】図1ないし図6に示した前記各実施例のように、オイル吸上げ管(4)が、その下端吸入口をタンク(1)内の底部に臨ませると共に上端吐出口(4b)を冷媒出口ポート(8)に臨ませた状態で、タンク(1)内に配設されたアキュムレータにおいて、オイル吸上げ管(4)による滞留液の吸い上げ揚程hは、理論的には、下記の式によって求められる。
【0045】
h=c×(γ1 /γ2 )×(υ1 2 −υ2 2 )/2g但し、cは管内摩擦係数を含む常数、γ1 はガス冷媒比重量、γ2 は液冷媒比重量、υ1 はガス冷媒流速、υ2 は液冷媒流速、gは重力加速度(m/s2 ) である。
【0046】しかしながら、実際にはオイル吸上げ管(4)の上端に形成された上向きの吐出口(4b)付近のガス冷媒の流速υ1 がかなり低速となる。従って、上式における流速差(υ1 2 −υ2 2 )が著しく低下し、上式から求められる理論的吸上げ揚程hが小さくなる。このため上記流速差(υ1 2 −υ2 2 )を可及的大きく確保し、ひいては吸上げ揚程hを大きくするためには、オイル吸上げ管(40)の吐出口(40b) を、その開口方向と前記冷媒出口ポート内を流通する冷媒の流れ方向とのなす角度θが0°<θ≦90°の関係を満たすように、形成すれば良い。
【0047】また上記吐出口(40b) の形成位置、即ち図8( )に示すように吸上げ管(40)の最上端からの距離αは、吐出口(40b) の口径をdとすると0≦α≦10dの関係を満たすようにすることが望ましい。
【0048】上記オイル吸上げ管(40)は、図1ないし図4に示す第1実施例、および図5に示す第2実施例のオイル吸い上げ管(4)に代えて使用することはもとより可能であり、その場合も効率よく液状冷媒等を吸い上げることができる。
【0049】上記各実施例においては、冷媒入口ポート(7)および冷媒出口ポート(8)をそれぞれタンク(1)の上端部に上下方向に沿って形成されたものを示したが、この発明はこれに限定されるものではない。要するに、少なくとも冷媒入口ポートの下方において、タンクの内壁面と乾燥剤ユニットとの間に冷媒流通用スペース、即ち隙間が形成され、この隙間を通じて冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的にタンク底部に到達してタンク内で攪拌されるようになされているものであれば、他の任意の設計的変更も許容される。
【0050】
【発明の効果】而して、この発明にかかるアキュムレータは、タンクの上部に冷媒入口ポートと冷媒出口ポートとが設けられると共に、前記タンク内の高さ方向中間部に乾燥剤ユニットが配設され、該乾燥剤ユニットよりも上方のタンク内スペースが、該乾燥剤ユニットから上方に延びたセパレータ壁によって冷媒入口ポート側の上部スペースと冷媒出口ポート側の上部スペースとに仕切られ、これら両上部スペースが前記セパレータ壁に分散状態に設けられた複数個の通気孔によって連通される一方、少なくとも前記冷媒入口ポートの下方において、前記タンクの内壁面と前記乾燥剤ユニットとの間に冷媒流通用スペースが形成され、該冷媒流通用スペースを通じて前記冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的に前記タンク内の底部に到達して該タンク内で攪拌されるようになされていることを特徴とするものである。
【0051】このように少なくとも前記冷媒入口ポートの下方において、前記タンクの内壁面と前記乾燥剤ユニットとの間に冷媒流通用スペースが形成され、該スペースを通じて前記冷媒入口ポートから流入した冷媒が直接または間接的にタンク底部に到達してタンク内で乱流を生じさせるようになされているものであるから、従来、タンク内の底部で層状に分離して停滞しがちであったオイルと液状冷媒とが効果的に攪拌される。しかも、冷媒は攪拌時に外部から得られたエネルギーにより自ら沸騰を開始する。このため、沸騰して蒸発した冷媒にオイルが再溶解されるので、オイルがガス状冷媒に含有された状態でコンプレッサへ戻されると共に、タンク内底部で液状冷媒とオイルとが混合されるため、その混合液としてコンプレッサへ戻される。而して、アキュムレータ内にオイルを停滞させることなく、オイルを冷凍サイクル内で循環させることができる。
【0052】前記セパレータ壁に形成された通気孔の総面積が、前記冷媒入口ポートの通路断面積の1.5〜3倍となるように形成されたものにあっては、冷媒入口ポートと冷媒出口ポートとの短絡をある程度防ぎながら、冷媒を乾燥剤ユニットを通過させることができると共に、液面レベルが上昇しても内圧が異常に上昇して危険な状態になる不都合を回避することができる。
【0053】また、オイル吸上げ管が、その下部吸入口を前記タンク内の底部に臨ませて配置させると共に上部吐出口を前記冷媒出口ポートに臨ませて配置させた状態で、前記タンク内に配設されたものにおいて、オイル吸上げ管の通路断面積を、冷媒出口ポートの通路断面積の20〜50%に設定することにより、タンク内のオイルを効率良く吸い上げてコンプレッサに供給することができる。
【0054】セパレータ壁の下端部に、冷媒出口ポート側の上部スペースと冷媒入口ポート側の上部スペースとを連通する液状冷媒流通用開口部が形成されているものについては、セパレータ壁で仕切られた冷媒出口ポート側の上部スペースに液状冷媒が滞留するのを防止でき、ひいては該液状冷媒が、エンジン始動、停止時のようにコンプレッサーの回転数が急激に変動した場合等に冷媒出口ポートから吐出されるおそれをなくすことができる。
【0055】また、オイル吸上げ管の上部吐出口を、その開口方向と前記冷媒出口ポート内を流通する冷媒の流れ方向とのなす角度θが0°<θ≦90°の関係を満たすように形成することにより、タンク内底部の液状冷媒等を効率良く吸い上げることができる。
【出願人】 【識別番号】000186843
【氏名又は名称】昭和アルミニウム株式会社
【出願日】 平成11年6月11日(1999.6.11)
【代理人】 【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義 (外2名)
【公開番号】 特開2000−88402(P2000−88402A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平11−164568