トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 吸収式冷凍装置の滴下装置
【発明者】 【氏名】渡部 薫

【氏名】布施 武

【要約】 【課題】吸収式冷凍装置の滴下装置において、設置状態による影響を極力受けることなくかつ滴下量を均一化する。

【解決手段】液を充満する管1の上部に孔3を設け、管1の少なくとも外面を化学処理により溝幅が約1μmとなる微細な凹凸を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収式冷凍サイクルおける液化冷媒を蒸発器内の冷水管に滴下しまたは吸収液を吸収器内の冷却水管に滴下するための吸収式冷凍装置の滴下装置であって、前記滴下装置が、前記液化冷媒または前記吸収液を水頭により充満させるための管を有し、前記管の上部に前記液化冷媒または前記吸収液を外部に流出させるための孔を設けられ、かつ少なくとも前記管の外面に親水性を高めるための微細な凹凸を形成されていることを特徴とする吸収式冷凍装置の滴下装置。
【請求項2】 前記孔の内面に親水性を高めるための微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍装置の滴下装置。
【請求項3】 前記管が金属からなり、前記微細な凹凸を化学処理により形成したことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の吸収式冷凍装置の滴下装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収式冷凍装置の滴下装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、吸収式冷凍装置において図5に示されるものがある。図において、室外機としての吸収式冷凍装置11に室内機12が配管接続されている。
【0003】この吸収式冷凍装置11は、室内機12との間で冷水を循環させるための冷水管13の一部を受容する蒸発器14と、クーリングタワー15と、クーリングタワー15との間で冷却水を循環させるための冷却水管16の一部を受容する吸収器17と、蒸発器14内の冷水管13に対する滴下装置18と、吸収器17内の冷却水管16に対する滴下装置19と、蒸発器14及び吸収器17内にて回収された滴下液を昇温するための低温熱交換器20及び高温熱交換器21と、両熱交換器20・21を経た液を加熱するための高温再生器22と、加熱された蒸気を冷媒蒸気と液化冷媒とに分離する分離器23と、分離器23で分離された冷媒蒸気を液化して蒸発器14内の滴下装置18に供給するための低温再生器24と、吸収器17を経た冷却水を通す凝縮器25とを有している。
【0004】また、分離器23で分離された液化冷媒を高温熱交換器21・低温再生器24・低温熱交換器20を介して吸収器17内の滴下装置19に供給するように配管されている。なお、本吸収式冷凍装置にあっては、冷暖切替え弁26が設けられており、開弁することにより、分離器23内の高温の液化冷媒を蒸発器14内に供給して、冷水管13を暖め、室内機12に温水を供給することができるようになっている。
【0005】このようにして構成された吸収式冷凍装置11にあっては、冷媒及び吸収液として臭化リチウム水溶液を用いた冷凍サイクルであって良く、高温再生器22にバーナを用いて、蒸発器14及び吸収器17から回収された冷媒含有吸収液を加熱し、分離器23で冷媒蒸気と液化冷媒とに分離し、それぞれの液を滴下装置18・19からそれぞれ対応して配設された冷水管13・冷却水管16に滴下している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記滴下装置18・19にあっては、図6に示されるようなサイフォン型滴下装置がある。図のサイフォン型滴下装置は、滴下対象の冷水管13や冷却水管16に応じた形状(長さ)のトレイ31と、トレイ31内に満たされた液Lをサイフォンの原理で吸い上げかつ下方に滴下するためのサイフォン部材32とにより構成されている。サイフォン部材32は、図に示されるように互いに半円弧状部分を介して互いに連通しかつ平行に設けられた長短のパイプ状脚部32a・32bを有する逆U字状に形成されており、短い方の脚部32bをトレイ31内に没入させ、かつ長い方の脚部32aをトレイ31の外壁に沿って垂下させるように、トレイ31の側壁の適所に複数配設されている。
【0007】このサイフォン型滴下装置にあっては、サイフォンの原理でトレイ31内の脚部32bで吸い上げられた液がトレイ31外の脚部32aから落下するものであることから、滴下量が不均一であるばかりでなく、トレイ31が水平に対して傾いていると上側部分の液の深さが浅くなって、それにより滴下量が極端に減少するというという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決して、設置状態による影響を極力受けることなくかつ滴下量を均一化し得ることを実現するために、本発明に於いては、吸収式冷凍サイクルおける液化冷媒を蒸発器内の冷水管に滴下しまたは吸収液を吸収器内の冷却水管に滴下するための吸収式冷凍装置の滴下装置であって、前記滴下装置が、前記液化冷媒または前記吸収液を水頭により充満させるための管を有し、前記管の上部に前記液化冷媒または前記吸収液を外部に流出させるための孔を設けられ、かつ少なくとも前記管の外面に親水性を高めるための微細な凹凸を形成されているものとした。
【0009】このようにすることにより、管内に充満された液が管の上部の孔から毛細管現象により外方に流出すると、表面張力により上方に盛り上がるが、その盛り上がった部分の縁が孔の縁を外囲する管の外周面に触れることにより、その外周面が微細な凹凸形状により高い親水性になっているため、孔から外に出た液は円滑に管の外周面を伝わり落ちて管の下部に集まり、そこから滴下し得る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】図1は、本発明が適用された吸収式冷凍装置の滴下装置を示す要部破断側面図であり、図に示されるように、本滴下装置にあっては、両端を閉塞された円環状の管1と、管1の上部に取り付けられたトレイ2とからなる。なお、本実施の形態において上記したように管1が円環状をなすのは、滴下対象となる従来例と同様の蒸発器14内の冷水管13や吸収器17内の冷却水管16がコイル状をなしているものに適用させるためである。このように、管1の形状は、冷水管13や冷却水管16の形状に合わせて形成される。
【0012】管1には、その設置状態における上部に上方に向けて開口する孔3が、管1の全長に渡って等ピッチ間隔で複数配設されていると共に、一方の端部の上方にトレイ2が取り付けられている。トレイ2には、従来例で示した液化冷媒や吸収液(以下、単に液と称す)が貯留され、その底に結合された連通管2aを介して、トレイ2の内部と管1の内部とが連通している。したがって、トレイ2に貯留された液Lは連通管2aを介して管1内に流入し、管1内が液Lで満たされるようになっている。
【0013】図2に示されるように上記した孔3は管1の内部と連通しており、管1内に充満している液Lが、図2の矢印に示されるように孔3を介して管1の外方に流出する。孔3から流出した液Lは、管1の外周面を伝わって管1の下部に至るように流れ落ち、管1の下部において液Lが集められ、滴下する。
【0014】上記孔3から液Lが流出する際には、液の表面張力により孔3から液が盛り上がるようになる。表面張力をH、液の比重量をγ、孔3の径をa、滴下に必要な水頭をhとすると、【0015】h>4H/γa …(1)
【0016】となる水頭hの大きさを必要とする。例えば、管1が傾斜して取り付けられていると、その高い方でトレイ4内の液Lの高さが低くなり、水頭hが小さくなる場合が考えられる。その場合には、管1の高い方の滴下量が減少し、管1全体における滴下が不均一になるという問題が生じる。
【0017】それに対して本発明では、管1に対して、上記孔3の加工を行った後に、化学処理により管1の表面(内外面及び孔3の内周面)に、全面に渡って微細な凹凸形状となる表面処理Sを施している。例えば、孔3の径が1mmである場合に、凹凸による溝の幅は約1μm程度であると良い。そのような微細な凹凸形状により、管1の表面に毛細管現象が生じて親水性が高まるため、液Lが孔3から管1の外へ吸い出されるようになり、孔3から流出した液Lが速やかに管1の外面に広がることになる。
【0018】なお、凹凸の溝幅の大きさの違いによる液Lの流出し易さを図3に示す。図3では、横軸に凹凸による溝幅(μm)を示し、縦軸に凹凸形状による液に対する吸い出し力(mmAq)を示す。図3に示されるように凹凸による溝幅がw1の場合の孔3における液Lの状態は図4(a)に示されるようになり、凹凸による溝幅がw2(<w1)の場合の液Lの状態は図4(b)のようになり、凹凸による溝幅がw3(<w2)の場合の液Lの状態は図4(c)のようになる。
【0019】このように、凹凸による溝幅が狭くなればなる程、上記毛細管現象が顕著になり、特に孔3の内周面に親水性を高めるための微細な凹凸が形成されている場合には、孔3の内周面において毛細管現象が発揮されるようになり、孔3の深い位置から液Lが吸い出されるようになる。本実施の形態によれば、凹凸による溝幅がw1以下の範囲が一定量の滴下を可能にする適切な範囲となる。
【0020】そして、管1の下部から滴下する1秒当たりの滴下流量をq、孔径をa、重力加速度をg、液Lの水頭をh、孔3の損失係数をζとすると、表面張力が作用しない場合の滴下流量qは、【0021】
q=(πa2/4)(2gh/ζ)1/2 …(2)
【0022】となる。したがって、凹凸形状が一定であれば、上記式(2)により、一定の滴下流量を確保し得る。
【0023】なお、管1の材質が金属であれば、その表面に化学処理により微細な凹凸を形成でき、その化学処理としては、例えば塩浴法による低硫黄系の浸流窒化処理(いわゆるスル・スルフ法)によることができる。それによれば、10〜20μmの厚さの化合物層の表面近傍に硫化物と窒化物からなる多孔質層が形成されるため、金属表面に極めて小さな凹凸が形成される。あるいは、浸漬法あるいは乾式ブラスト処理により金属表面に厚さ5〜15μmのリン酸塩皮膜または塩基性リン酸鉄皮膜の微細な凹凸(多孔質)を金属表面に形成することもできる。
【0024】また、上記実施の形態では、管1の内外面及び孔3の内周面の全てに対して微細な凹凸を形成して管1の全ての表面を親水性にしたが、管1の内面または孔3の内周面に対しては任意であり、少なくとも管1の外面に微細な凹凸を形成するものであれば良い。管1の外面のみを処理した場合には、液Lは表面張力により孔3から盛り上がるようになるが、孔3の縁から管1の外面に吸い出されるようになり、上記と同様の効果を奏し得る。
【0025】
【発明の効果】このように本発明によれば、管内の液が孔から外方に流出すると、管の外面が微細な凹凸形状により高い親水性になっているため、液は、毛細管現象により孔から外に吸い出され管の外周面を伝わり落ちて管の下部に集まるため、表面張力に左右されずに滴下し、滴下量が水頭の影響を受けないため、管を水平に設置しなくても良いことから取扱いが容易であるばかりでなく、毛細管現象により吸い出されるため、初期流出量が一定し、小流量時でも良好な滴下量が確保される。また、化学処理により加工することから、複数の管を一括処理でき、加工工数が少ないと共に、管に別部材を取り付ける必要がないため部品点数が増大することがないなど、滴下装置を低廉化し得る。
【出願人】 【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発条株式会社
【出願日】 平成10年9月14日(1998.9.14)
【代理人】 【識別番号】100089266
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一
【公開番号】 特開2000−88399(P2000−88399A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−259829