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【発明の名称】 トイレ用冷房装置
【発明者】 【氏名】尾持 輝行

【氏名】道本 昭夫

【要約】 【課題】水洗便器の貯水タンク内の水の水温と室温との温度差によって冷却することができるトイレ用冷房装置を提供する。

【解決手段】内部に低沸点冷媒を封入すると共に蒸発側熱交換器1、凝縮側熱交換器2、及び冷媒配管3が環状に接続された冷凍サイクルを有するトイレ用冷房装置である。これにおいて、凝縮側熱交換器2を水洗便器用の貯水タンク4内に配置して貯水タンク4内の水と熱交換されるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に低沸点冷媒を封入すると共に蒸発側熱交換器、凝縮側熱交換器、及び冷媒配管が環状に接続された冷凍サイクルを有するトイレ用冷房装置において、凝縮側熱交換器が水洗便器用の貯水タンク内に配置されて貯水タンク内の水と熱交換されるようにして成ることを特徴とするトイレ用冷房装置。
【請求項2】 蒸発側熱交換器を凝縮側熱交換器より低い位置に配置したことを特徴とする請求項1記載のトイレ用冷房装置。
【請求項3】 蒸発側熱交換器と凝縮側熱交換器を接続している冷媒配管の途中に圧縮機を設けて冷媒回路の運転能力を高めたことを特徴とする請求項2記載のトイレ用冷房装置。
【請求項4】 蒸発側熱交換器と熱交換を行った空気をトイレ室内に送り出すための送風機を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトイレ用冷房装置。
【請求項5】 貯水タンク内の水温を検知する手段を備え、貯水タンク内の水の温度が設定温度以上になったとき貯水タンク内の水を放出すると共に新たに貯水タンクに給水する手段を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のトイレ用冷房装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトイレ室を冷房するトイレ用冷房装置に関し、詳しくは水洗式の構造に組み合わせて使用できるトイレ用冷房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トイレの使用者やその近傍に冷風を当てたりするトイレ用冷房装置としては、冷媒の圧縮、凝縮、膨張、蒸発を全てトイレ室内で行うように、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器が一体になるように組み込んだものが知られているが、冷媒の冷却は、電力やガスエンジンで圧縮機を駆動して行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例の装置のように圧縮機を電力やガスエンジンで駆動して多大な電力、石油、ガス等を使用するものの場合、地球温暖化、環境悪化(窒素酸化物の増大、騒音の発生)等を招くという問題がある。また上記従来例の装置の構成では、室内設定条件に対する現在外気条件の考慮が少なく、冷媒回路の圧縮器を駆動することで設定条件に対応していたので、エネルギー多消費型となるという問題があった。また比較的大型の圧縮器を要するために全体の装置も大型となり、トイレ空間での配置スペースが狭いという問題もあった。
【0004】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、水洗便器の貯水タンク内の水の水温と室温との温度差によって冷却することができて大幅な省エネルギーと、消音と、快適性と、高信頼性を達成することができるトイレ用冷房装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の請求項1のトイレ用冷房装置は、内部に低沸点冷媒を封入すると共に蒸発側熱交換器1、凝縮側熱交換器2、及び冷媒配管3が環状に接続された冷凍サイクルを有するトイレ用冷房装置において、凝縮側熱交換器2が水洗便器用の貯水タンク4内に配置されて貯水タンク4内の水と熱交換されるようにして成ることを特徴とする。凝縮側熱交換器2で貯水タンク4内の水洗用の水と熱交換することで水洗用の水を利用して効果的に冷媒を凝縮でき、運転に要する動力の省エネルギー化が図れる。また凝縮側熱交換器2を貯水タンク4内に設置することで便器5の位置による制約を受けることなく設置することができる。
【0006】また本発明の請求項2のトイレ用冷房装置は、請求項1において、蒸発側熱交換器1を凝縮側熱交換器2より低い位置に配置したことを特徴とする。この場合、凝縮側熱交換器2で凝縮した液体を自然の自重で蒸発側熱交換器2に送ることができ、圧縮機がなくても冷媒を循環させて運転することが可能なようにできる。このように圧縮機がなくても運転できるようにすると、一層省エネルギー化が図れると共に消音、快適性、高信頼性を達成できる。また圧縮機がないと小型化が図れて設置にスペースを取らないようにできる。
【0007】また本発明の請求項3のトイレ用冷房装置は、請求項2において、蒸発側熱交換器1と凝縮側熱交換器2を接続している冷媒配管3の途中に圧縮機6を設けて冷媒回路の運転能力を高めたことを特徴とする。自然の自重により冷媒を循環させるのに加えて圧縮機6の圧縮にて冷媒を循環させて運転の能力を高めることができる。また圧縮機6を駆動しても小さな動力で冷媒が十分に循環するように駆動でき、圧縮機6を駆動する動力を小さくできる。
【0008】また本発明の請求項4のトイレ用冷房装置は、請求項1乃至請求項3において、 蒸発側熱交換器1と熱交換を行った空気をトイレ室7内に送り出すための送風機8を設けたことを特徴とする。蒸発側熱交換器1での熱交換を促進してトイレ室7の効果的な冷房ができる。
【0009】また本発明の請求項5のトイレ用冷房装置は、請求項1乃至請求項4において、貯水タンク4内の水温を検知する手段を備え、貯水タンク4内の水の温度が設定温度以上になったとき貯水タンク4内の水を放出すると共に新たに貯水タンク4に給水する手段を具備したことを特徴とする。貯水タンク4内の水温が高くなると水を自動的に入れ替えて効果的な冷房ができる状態を維持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明の第1の実施の形態から述べる。図1は本発明の第1の実施の形態のトイレ用冷房装置の構成を示す構成図である。トイレ室7内には便器5が配置されており、便器5の後部の上方には便器5に水洗用の水を供給する貯水タンク4が配設されており、貯水タンク4の上部にはトイレ用冷房装置本体9が配設されている。トイレ用冷房装置本体9には蒸発側熱交換器1と送風機8と圧縮機6とを内蔵している。また貯水タンク4の内部には凝縮側熱交換器2が配設され、圧縮機6と蒸発側熱交換器1と凝縮側熱交換器2とは冷媒配管3に連結されて冷凍サイクルを構成している。このように蒸発側熱交換器1、圧縮機6、凝縮側熱交換器2を冷媒配管3にて接続した冷凍サイクルの冷媒回路にはR22やR134a等の低沸点の冷媒が封入されている。
【0011】上記のような構成を有する第1の実施の形態のトイレ用冷房装置にあっては次のような動作をする。圧縮機6により圧縮された高圧の低沸点冷媒が冷媒配管3を通って凝縮側熱交換器2へ導かれ、貯湯タンク4内の冷たい水と熱交換し、水に潜熱を放出して液化する。高圧の冷媒液は冷媒配管3を通って蒸発側熱交換器1へ導かれ、トイレ室7内の空気と熱交換し、トイレ室7内の空気から気化熱を奪って気化する。このときの蒸発潜熱により、蒸発側熱交換器1を通過する通過する空気を冷却し、送風機8による送風によってトイレ室7内を冷房する。常圧の冷媒ガスは冷媒配管3を通って圧縮機6に導かれ、圧縮機6によって再び圧縮されて高圧の冷媒ガスとなる。
【0012】上記のように動作するが、凝縮側熱交換器2を貯水タンク4内に設けて気化した冷媒の冷却に貯水タンク4内の水を利用しているので、室外機のようなものを設ける必要がなく、便器5等の設置位置に制約されることなく冷房することができる。貯水タンク4内の水はトイレ使用時に更新されるので、水温は比較的一定に保つことができる。また凝縮側熱交換器2は貯湯タンク4内の水洗用の水と熱交換することで水洗用の水を利用して効果的に冷媒を凝縮でき、圧縮機6の負荷を小さくでき、運転に要する動力の省エネルギー化が図れる。
【0013】次に、本発明の第2の実施の形態について述べる。図2は本発明の第2の実施の形態のトイレ用冷房装置の構成を示す構成図、図3は第2の実施形態のトイレ用冷房装置の原理を示す概念図である。すなわち、第2の実施の形態においては、蒸発側熱交換器1を凝縮側熱交換器2より低い位置に設置することで、低沸点の冷媒を圧縮機6などの外部動力に頼ることなく、凝縮した冷媒液が自然の重力で落下し、蒸発側熱交換器1に達するようにして冷媒回路を環状に形成してある。つまり、凝縮側熱交換器2は貯水タンク4内に配置してあり、貯水タンク4の下方に配置したトイレ用冷房装置本体9内には蒸発側熱交換器1を配置してあり、凝縮側熱交換器2と蒸発側熱交換器1とを冷媒配管3にて接続してある。このように蒸発側熱交換器1、凝縮側熱交換器3を冷媒配管3で環状に配管し、内部にR22、R134a等の低沸点冷媒を封入してある。本例の場合、圧縮機6を設けていない。
【0014】上記のような構成を有する第2の実施の形態のトイレ用冷房装置にあっては次のような動作をする。冷媒は蒸発側熱交換器1で室内の熱により加熱、蒸発する。蒸発した冷媒は蒸発潜熱により蒸発側熱交換器1を通過する空気を冷却し、過飽和水蒸気を液化する。蒸発した冷媒はガス状となって冷媒配管3内を上昇し、凝縮側熱交換器2に導入される。凝縮側熱交換器2は貯水タンク4内に配置されており、貯水タンク4内の冷たい水で冷却されて凝縮液化する。液化した冷媒は冷媒配管3内を流下し、再び蒸発側熱交換器1に戻り、このサイクルを繰り返す。このように貯水タンク4内の水温が室内の温度より低ければ(蒸発圧力の方が凝縮圧力より高い)、冷媒循環は無動力で生じ、室内の熱を貯水タンク4内に移動させることができる。貯水タンク4内に移動した熱は貯水タンク4の水に吸収されるが、トイレ使用時における便器洗浄に伴い、貯水タンク4内の水は更新され、室内と貯水タンク4内の水との温度差を保つことができる。また貯水タンク4内の水を更新しなければ凝縮側熱交換器2と貯水タンク4内の水との間で熱交換が行われて水温が上昇し、冷媒の冷却が行われなくなり、当該トイレ用冷房装置の作動が停止する。すなわち、トイレ使用者が使用前に貯水タンク4内の水を入れ替えるだけで冷房が作動し、一定時間後に自動的に停止する。言い換えれば、貯水タンク4内の水温の変化で冷媒回路のオン、オフを行うことができ、水温が上昇すれば冷媒回路がオフになり、水を入れ替えると冷媒回路がオンになる。
【0015】上記トイレ用冷房装置の特性は、R25、R134a等の冷媒の相変化に伴う比重差と、冷媒液の高低差による自然循環力と、冷媒配管系の抵抗と、熱交換器の特性から決定される。図2、図3に示すような装置を考えると、自然循環力Fは式(1)で示される。
F=(H−L)(S−V)…(1)
ここでH:冷媒液管の液柱の高さ [m]
L:蒸発側熱交換器の冷媒液面高さ [m]
S:冷媒液比重量 [kg/m3
V:冷媒ガス比重量 [kg/m3
一方、冷媒配管回路における抵抗Pは冷媒循環速度、すなわち交換熱量Qの関数になるので次式が成立する。
P=f(Q)…(2)
さらに装置運転時は自然循環力Fと配管抵抗Pが平衡状態になっているので、P=Fが成立し、式3の特性が得られる。
Q=g1(L)…(3)
これが冷媒自然循環系による特性となる。蒸発側熱交換器は冷媒液面高さまでが有効故、交換熱量とLに式(4)の関係が成立する。
Q=g2(L)…(4)
式(3)(4)を満足するところが、当該装置の運転点になる。
【0016】上記のような構成を有する第2の実施の形態のトイレ用冷房装置にあっては上記のように圧縮機がなくても冷媒を循環させて運転することが可能となり、省エネルギー化が図れると共に消音、快適性、高信頼性を達成できる。また圧縮機がないために小型化が図れて設置にスペースを取らないようにできる。
【0017】次に、本発明の第3の実施の形態について述べる。図4は本発明の第3の実施の形態のトイレ用冷房装置の構成を示す構成図である。これは第2の実施の形態と同じであるが、これに加えて圧縮機6を設けている。蒸発側熱交換器1と凝縮側熱交換器2とを接続している冷媒配管3に圧縮機6を設け、冷媒回路の駆動能力を高めている。この場合、重力により自然循環に加えて圧縮機6の駆動による強制循環を行わせることができて冷房能力を向上できる。このとき自然循環と圧縮機6による強制循環を併用するために圧縮機6を駆動しても小さな動力で冷媒が十分に循環するように駆動でき、圧縮機6を駆動する動力を小さくできると共に圧縮機6を小型化できる。
【0018】次に、本発明の第4の実施の形態について述べる。図5は本発明の第4の実施の形態のトイレ用冷房装置の構成を示す構成図である。これは第2の実施の形態と同じであるが、これに加えて送風機8を設けている。つまり、蒸発側熱交換器1と熱交換を行った空気をトイレ室7内に送り出すための送風機8を設けてある。この場合、蒸発側熱交換器1での熱交換を促進してトイレ室7の効果的な冷房ができる。
【0019】次に、本発明の第5の実施の形態について述べる。図6は本発明の第5の実施の形態のトイレ用冷房装置の構成を示す構成図である。貯水タンク4内には貯水タンク4内の水の水温を検知する温度センサー11が設けられており、洗浄便座12のマイコン回路13に接続されている。貯水タンク4から便器5への給水口には電磁弁14が配置されており、マイコン回路13により電磁弁14が開閉するようになっている。電磁弁14は温度センサー11が検知した水温がある温度(例えば30℃)以上になれば開くように設定されている。すなわち、貯水タンク4内の水温は常にある温度(例えば30℃)以下に保つようになっている。その結果、室内の熱を貯水タンク4内に移動させても室温と水温との温度差がなくなることがなく、確実に温度差を保ち、冷媒自然循環系を形成することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の請求項1の発明は、内部に低沸点冷媒を封入すると共に蒸発側熱交換器、凝縮側熱交換器、及び冷媒配管が環状に接続された冷凍サイクルを有するトイレ用冷房装置において、凝縮側熱交換器が水洗便器用の貯水タンク内に配置されて貯水タンク内の水と熱交換されるようにしているので、凝縮側熱交換器で貯水タンク内の水洗用の水と熱交換することで水洗用の水を利用して効果的に冷媒を凝縮でき、運転に要する動力の省エネルギー化が図れるものであり、また凝縮側熱交換器を貯水タンク内に設置することで便器の位置による制約を受けることなく(室外機を設置する場所を考慮する必要がなく)設置することができるものである。
【0021】また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、蒸発側熱交換器を凝縮側熱交換器より低い位置に配置したので、凝縮側熱交換器で凝縮した液体を自然の自重で蒸発側熱交換器に送ることができ、圧縮機がなくても冷媒を循環させて運転することが可能なようにできるものである。このように圧縮機がなくても運転できるようにすると、一層省エネルギー化が図れると共に消音、快適性、高信頼性を達成でき、また圧縮機がないと小型化が図れて設置にスペースを取らないようにできるものである。
【0022】また本発明の請求項3の発明は、請求項2において、蒸発側熱交換器と凝縮側熱交換器を接続している冷媒配管の途中に圧縮機を設けて冷媒回路の運転能力を高めたので、自然の自重により冷媒を循環させるのに加えて圧縮機の圧縮にて冷媒を循環させて運転の能力を高めることができるものであり、また圧縮機を駆動しても小さな動力で冷媒が十分に循環するように駆動でき、圧縮機を駆動する動力を小さくできるものである。
【0023】また本発明の請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3において、蒸発側熱交換器と熱交換を行った空気をトイレ室内に送り出すための送風機を設けたので、蒸発側熱交換器での熱交換を促進してトイレ室の効果的な冷房ができるものである。
【0024】また本発明の請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4において、貯水タンク内の水温を検知する手段を備え、貯水タンク内の水の温度が設定温度以上になったとき貯水タンク内の水を放出すると共に新たに貯水タンクに給水する手段を具備したので、貯水タンク内の水温が高くなると水を自動的に入れ替えて効果的な冷房ができる状態を維持できるものである。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2000−88396(P2000−88396A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−258175