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【発明の名称】 熱交換装置
【発明者】 【氏名】室井 國昌

【要約】 【課題】熱交換効率を向上することができ、且つ、装置全体の小型化を実現可能とする。

【解決手段】ペルチェ素子12と、ペルチェ素子12の上面及び下面に固定されるフィン14,15と、フィン14,15に高速空気を供給する高速流供給装置18とを備えて熱交換装置10が構成されている。高速流供給装置18は、フィン14,15の内側の気体通路20,21に設けられた噴出管24,25と、それらに圧縮空気を送り込むコンプレッサ27,28とを備えて構成され、噴出管24,25には、部分的に小孔29,30が複数設けられている。従って、気体通路20,21に小孔29,30から高速空気が噴射可能となり、これによって、気体通路20,21の一部に形成された境界層を破壊することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定方向に気体通路を形成してなる気体流通部に熱源部を配し、前記気体通路に気体を通過させることで前記熱源部と気体との熱交換を可能とする熱交換装置において、前記気体流通部に高速流体を噴出可能な高速流噴出手段を備え、この高速流体によって、前記気体流通部の表面に形成された境界層を破壊可能に設けたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】 熱源部に面する気体通路に気体を通過させることで前記熱源部と気体との熱交換を可能とする熱交換装置において、前記気体通路に高速流体を噴出可能な高速流噴出手段を備え、この高速流体によって、前記熱源部の表面に形成された境界層を破壊可能に設けたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項3】 前記熱源部は、気体の吸熱を可能に設けられ、前記高速流噴出手段は、前記高速流体の水分量を調整可能に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱交換装置に係り、更に詳しくは、熱交換効率が良く、且つ、コンパクトな熱交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ペルチェ素子を熱源とする熱交換装置が知られている。この熱交換装置は、例えば、図5に示されるように、ペルチェ素子71と、このペルチェ素子71の上面側及び下面側にそれぞれ配置されたフィン72,73とを備えて構成されている。ペルチェ素子71は、電流が与えられると、ペルチェ効果によって、一方の面が吸熱面として作用し、他方の面が発熱面として作用するようになっている。ここでは、ペルチェ素子71の図中上面を吸熱面71Aとする一方、図中下面を発熱面71Bとする。従って、ペルチェ素子71に電流が付与されると、フィン72,73とそれらを図中紙面直交方向に通過する空気との間で熱交換がされることとなり、フィン72を通過した空気は冷風となって外部に排出される一方、フィン73を通過した空気は温風となって外部に排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記熱交換装置にあっては、図6に示されるように、フィン72,73の空気通路72A,72Bにおけるペルチェ素子71近傍には、空気の流速が遅くなる境界層Aが形成される。この境界層Aでは、空気の移動速度が遅くなっており、フィン72,73とそれらを通過する空気との熱交換効率が低下する要因となっている。
【0004】そこで、このような状況下で前記熱交換効率を向上させるためには、フィン72,73の表面積を大きくしたり、媒体である空気の流速を上げることにより、空気の移動速度を全体的に上げることが必要となる。ところが、フィン72,73の表面積を増大させると、それに伴い、装置全体の大型化を招来し、熱交換装置の設置に広大なスペースを要するという不都合がある。また、空気の速度を上げると、その分以上に空気の流れによって生ずる摩擦抵抗が増し、系全体のエネルギー損失が大きくなってしまうという不都合もある。ここで、媒体として空気の代わりに水等の液体を用いることも可能であるが、新たに液体の密閉循環路が必要となって、装置が複雑になるとともに、液体と空気との二次的な熱交換装置が別途必要となって装置全体の大型化を招来するという不都合がある。
【0005】
【発明の目的】本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、熱交換効率を向上することができ、且つ、装置全体の小型化を実現可能な熱交換装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、所定方向に気体通路を形成してなる気体流通部に熱源部を配し、前記気体通路に気体を通過させることで前記熱源部と気体との熱交換を可能とする熱交換装置において、前記気体流通部に高速流体を噴出可能な高速流噴出手段を備え、この高速流体によって、前記気体流通部の表面に形成された境界層を破壊可能に設けた、という構成を採っている。このような構成によれば、気体流通部に噴出された高速流体によって境界層が破壊され、効率的に熱交換されるため、気体流通部を大型にしなくても、また、媒体である気体の流速を増大させなくても、熱交換効率を向上させることができるとともに、装置全体の小型化を実現することができる。ここで、前記気体流通部に噴出された高速空気流は、断熱膨張して温度が下がることとなり、これによっても熱交換効率を一層向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、熱源部に面する気体通路に気体を通過させることで前記熱源部と気体との熱交換を可能とする熱交換装置において、前記気体通路に高速流体を噴出可能な高速流噴出手段を備え、この高速流体によって、前記熱源部の表面に形成された境界層を破壊可能に設ける、という構成をも採用することができる。
【0008】また、前記熱源部は、気体の吸熱を可能に設けられ、前記高速流噴出手段は、前記高速流体の水分量を調整可能に設ける、という構成を採ることが好ましい。これにより、高速流体中に微小水滴群を発生させることができ、その蒸発冷却及び顕熱冷却によって、気体の冷却性能を向上させることができる。
【0009】なお、本明細書における『境界層』とは、空気等の気体の流速が周囲に比べて遅い層であって、且つ、断熱層として作用する層をいう。
【0010】
【実施例】以下、本発明の第1実施例に係る熱交換装置を図面を参照しながら説明する。
【0011】図1には、第1実施例に係る熱交換装置の概略斜視図が示され、図2には、図1の部分拡大断面図が示されている。これらの図において、熱交換装置10は、熱源部としてのペルチェ素子12と、このペルチェ素子12の上面及び下面に固定される気体流通部としてのフィン14,15と、これらフィン14,15に空気を送り込む送風機17と、フィン14,15にそれぞれ高速空気を供給する高速流噴出手段としての高速流供給装置18とを備えて構成されている。
【0012】前記ペルチェ素子12は、略方形状に形成された公知のものが用いられ、図1中上面が吸熱面12Aとなっている一方、図中下面が発熱面12Bとなっている。フィン14,15は、板状のベース部14A,15Aの一面に、板状の壁面部14B,15Bが等間隔で複数立設された形状となっている。なお、以下において、便宜上、壁面部14B,15Bが立設されている側のベース部14A,15Aの面を表面と称し、その反対側の面を裏面と称する。壁面部14B,14Bの間は、それらの延出方向に沿って送風機17からの空気が通過する気体通路20となっており、同様に、壁面部15B,15B間も気体通路21となっている。このため、ペルチェ素子12に電流が与えられると、吸熱面12Aの吸熱作用によってフィン14が冷却され、そのフィン14を通過した空気は冷気となって排出される一方、発熱面12Bの発熱作用によってフィン15が加温され、そのフィン15を通過した空気は暖気となって排出されるようになっている。
【0013】前記高速流供給装置18は、気体通路20,21内における前記ベース部14A,15A近傍にそれぞれ設けられた噴出管24,25と、これら噴出管24,25に圧縮空気を送り込むコンプレッサ27とを備えて構成されている。
【0014】噴出管24,25には、部分的に小孔29,30が複数設けられており、これによって、噴出管24,25内に供給される圧縮空気が、高速空気として前記ベース部14A,15A表面の近傍に噴射可能となる。なお、噴出管24,25は、小孔29,30以外からは圧縮空気の流出を許容しないようになっている。小孔29,30は、それらより噴出される高速空気の総流量がフィン14,15を通過する空気流量の約10%程度となるような数及び直径にそれぞれ設けられている。また、小孔29,30の直径は、限定されるものではないが、5mm以下が適当であり、特に、1mm以下が好ましい。なお、噴出管24,25は、小孔29,30を閉塞しないように、支持部材31,32によってベース部14A,15Aの裏面に支持されている。
【0015】コンプレッサ27は、圧縮空気を生成する機能の他に、フィン14側に対して圧縮空気中の水分量すなわち湿度を可変調整可能とする機能をも備えている。このため、小孔29から噴出される高速空気中に微小水滴群を発生させさせることができ、その蒸発冷却及び顕熱冷却でフィン14を通過する空気の冷却性能を向上させることが可能になっている。なお、コンプレッサ27によって圧縮される空気圧は、3Kg/cm2以上が望ましい。
【0016】次に、第1実施例に係る熱交換装置10の作用について説明する【0017】図示しないスイッチを投入すると、ペルチェ素子12に電流が付与されるとともに送風機17が回転し、フィン14,15に空気が送られ、フィン14,15から冷風、温風がそれぞれ排出される。これと前後して、コンプレッサ27が作動し、噴出管24,25に圧縮空気が付与され、この圧縮空気が高速空気として小孔29,30から気体通路20,21に噴出される。これによって、気体通路20,21の前記ベース部14A,15A付近に形成される前記境界層が破壊され、熱交換された高速空気が、送風機17からの空気に混合されて排出されるため、熱交換効率を向上させることができる。この際、コンプレッサ27によって、小孔29から気体通路20内に噴出される高速空気中に微小水滴群を発生させ、その蒸発冷却作用及び顕熱冷却作用により、フィン14側の熱交換効率の一層の向上が図られる。
【0018】従って、このような第1実施例によれば、噴出管24,25からの高速空気によって前記境界層を破壊することができるため、フィン14,15の表面積を必要最小限の大きさとしたコンパクトな装置とすることができるとともに、空気の流速を極端に増大させる必要はなく、送風機17により送り込まれる程度の空気で十分な熱交換効率を得ることができる。
【0019】なお、前記第1実施例において、コンプレッサ27に圧縮空気中の水分量を可変調整可能とする機能をも備えたが、本発明においては、この機能を省略して構成することも可能である。
【0020】次に、本発明の前記以外の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0021】図3には、第2実施例に係る熱交換装置の概略斜視図が示されている。この図において、熱交換装置40は、前記ペルチェ素子12と、このペルチェ素子12の上面側に面した気体通路42を隔てて設けられるとともに、この気体通路42に高圧空気を供給する高速流噴出手段としての高速流供給装置43とを備えて構成されている。
【0022】前記高速流供給装置43は、圧縮空気を生成するコンプレッサ45と、このコンプレッサ45から圧縮空気が供給されるダクト46とを備えて構成されており、ダクト46内の圧縮空気は、その下面側に設けられた複数の小孔47から高速空気としてペルチェ素子12の吸熱面12A側に噴出されるようになっている。なお、図示省略するが、ダクト46の図中手前側の端面は閉塞されており、圧縮空気は小孔47のみから噴出されるようになっている。また、小孔47の直径や圧縮空気の空気圧は第1実施例で示したものと同様となっている。
【0023】次に、第2実施例に係る熱交換装置40の作用について説明する【0024】図示しないスイッチを投入すると、ペルチェ素子12に電流が付与されるとともに、送風機17によって気体通路42に空気が送られ、その空気が吸熱面12A上を通過することで熱交換が行われる。これと前後して、小孔47から高速空気が吸熱面12A上に噴射され、これによって、吸熱面12Aの付近に形成される前記境界層が破壊され、吸熱面12Aと空気との熱交換を良好に行うことが可能となる。
【0025】次に、本発明の第3実施例について説明する。なお、説明の便宜上、第2実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとする。図4には、第3実施例に係る熱交換装置の概略斜視図が示されている。この第3実施例は、前記ダクト46の下方に前記ペルチェ素子12が固定されたフィン14を設けたところに特徴を有する。ここで、フィン14は、ペルチェ素子12の吸熱面12Aに接触するようになっている。また、ダクト46の小孔47から噴出される高速空気は、フィン14の気体通路20に供給可能となっている。
【0026】本実施例によれば、送風機17からの空気が気体通路20内を流れ、ペルチェ素子12との間で熱交換が行われる。その際、小孔47から気体通路20に噴射される高速空気によって、気体通路20の内部に形成された前記境界層が破壊され、前記熱交換を良好に行うことができる。
【0027】なお、前記第2及び第3実施例においては、ペルチェ素子12の吸熱面12Aのみを用いた実施例について図示説明したが、本発明はこれに限定されず、発熱面12Bのみを用いた暖房用等の熱交換装置や、吸熱面12A及び発熱面12Bの双方を利用した熱交換装置に適用してもよい。
【0028】また、前記各実施例において、ペルチェ素子を用いたが、熱源として半導体や熱媒等の発熱体であれば他のものを使用することも可能である。
【0029】更に、前記各実施例における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、前記気体流通部に高速流体を噴出可能な高速流噴出手段を備え、この高速流体によって、前記気体流通部の表面に形成された境界層を破壊可能に設けたから、熱交換効率を向上するさせることができるとともに、装置全体の小型化を実現することができる。
【0031】また、前記高速流噴出手段を、前記高速流体の水分量を調整可能に設けたから、高速流体中に微小水滴群を発生させることができ、その蒸発冷却及び顕熱冷却によって、気体の冷却性能を一層向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成10年9月16日(1998.9.16)
【代理人】 【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
【公開番号】 特開2000−88394(P2000−88394A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−261267