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【発明の名称】 空気サイクル式冷却装置及びスクロール流体機械
【発明者】 【氏名】大嶋 汎信

【氏名】松森 裕之

【氏名】遠藤 崇之

【要約】 【課題】空気サイクル式冷却装置の耐久性と効率の改善を図る。

【解決手段】空気サイクル式冷却装置1は、空気を作動媒体とし、圧縮手段と、膨張手段と、圧縮空気を冷却する冷却器とを備えたものであって、圧縮手段及び膨張手段をスクロール式の圧縮要素8及び膨張要素9にてそれぞれ構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気を作動媒体とし、圧縮手段と、膨張手段と、圧縮空気を冷却する冷却器とを備えた空気サイクル式冷却装置において、前記圧縮手段及び膨張手段をスクロール式の圧縮要素及び膨張要素にてそれぞれ構成したことを特徴とする空気サイクル式冷却装置。
【請求項2】 空気を作動媒体とし、圧縮手段と、膨張手段と、圧縮空気を冷却する冷却器とを備えた空気サイクル式冷却装置において、圧縮要素と膨張要素、及び、回転軸を有する電動要素とを備え、前記回転軸により前記圧縮要素を駆動し、前記膨張要素を前記回転軸に連結して成るスクロール流体機械を設け、前記圧縮手段及び膨張手段を前記スクロール流体機械の圧縮要素及び膨張要素にてそれぞれ構成したことを特徴とする空気サイクル式冷却装置。
【請求項3】 圧縮要素と膨張要素、及び、電動要素とを備え、前記圧縮要素及び膨張要素はそれぞれ、鏡板とこの鏡板に立設された渦巻き状のラップとを有してハウジングに固定された固定スクロールと、鏡板とこの鏡板に立設されて前記固定スクロールのラップと互いにかみ合う渦巻き状のラップとピン部とを有する揺動スクロールにより構成されると共に、前記電動要素は回転軸を有し、この回転軸の両端に形成された駆動部は、それぞれ前記圧縮要素と膨張要素の揺動スクロールのピン部に挿入されていることを特徴とするスクロール流体機械。
【請求項4】 前記各固定スクロール及び揺動スクロールの鏡板には複数条のラップが立設されていることを特徴とする請求項3のスクロール流体機械。
【請求項5】 前記圧縮要素と膨張要素はそれぞれ、各ラップが対向するように配置された一対の固定スクロールを備えると共に、揺動スクロールには鏡板の両面に前記各固定スクロールのラップにかみ合うラップがそれぞれ立設されていることを特徴とする請求項3又は請求項4のスクロール流体機械。
【請求項6】 前記圧縮要素及び膨張要素は無給油式スクロール機構であることを特徴とする請求項3、請求項4又は請求項5のスクロール流体機械。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空気を作動媒体として用いる空気サイクル式冷却装置及びそれに好適なスクロール流体機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりこの種空気サイクル式冷却装置は、例えば特開平5−223376号公報に空気サイクル式空気調和機として示されるように、圧縮機と膨張機及び冷却器などから構成され、被冷却空間から吸引した空気を前記圧縮機にて圧縮した後、冷却器にて冷却し、低温高圧となった空気を次ぎに膨張機にて膨張させて更に低温化し、被冷却空間に吹き出すことによって冷却作用を発揮させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】係る構成によれば、従来のフロンなどの冷媒を用いた空気調和機の如く環境破壊の問題を解消することができるが、従来では前記公報で示す如く圧縮機と膨張機を遠心圧縮機や膨張タービンにて構成していたため、何れも高回転での運転となり、軸受摺動部などの経年劣化が激しくなって、耐久性に問題が生じていた。
【0004】また、内部における空気のリーク(圧縮機から膨張機へのショートサーキット)が起こり易く、効率が低下してしまう問題もあった。
【0005】本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、空気サイクル式冷却装置の耐久性と効率の改善を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、請求項1の発明の空気サイクル式冷却装置は、空気を作動媒体とし、圧縮手段と、膨張手段と、圧縮空気を冷却する冷却器とを備えたものであって、圧縮手段及び膨張手段をスクロール式の圧縮要素及び膨張要素にてそれぞれ構成したものである。
【0007】また、請求項2の発明の空気サイクル式冷却装置は、空気を作動媒体とし、圧縮手段と、膨張手段と、圧縮空気を冷却する冷却器とを備えたものであって、圧縮要素と膨張要素、及び、回転軸を有する電動要素とを備え、回転軸により圧縮要素を駆動し、膨張要素を回転軸に連結して成るスクロール流体機械を設け、圧縮手段及び膨張手段をスクロール流体機械の圧縮要素及び膨張要素にてそれぞれ構成したものである。
【0008】請求項1の発明によれば、従来の空気サイクル式空気調和機に比して低回転での運転が可能となり、軸受摺動部などの劣化を抑制し、耐久性の改善を図ることが可能となる。また、内部における空気リークも生じ難くなるので、効率の低下も防止することができるようになるものである。
【0009】特に、請求項2の発明によればこれらに加えて、一台のスクロール流体機械が備える圧縮要素及び膨張要素にて圧縮手段と膨張手段を構成できるので、部品点数と構成の簡素化による生産性の向上とコストの低減を図ることができるようになる。また、空気の膨張を利用することにより、膨張要素にて電動要素の駆動力の回収を行うことができるようになり、著しい効率の改善を図ることが可能となるものである。
【0010】請求項3の発明のスクロール流体機械は、圧縮要素と膨張要素、及び、電動要素とを備え、圧縮要素及び膨張要素はそれぞれ、鏡板とこの鏡板に立設された渦巻き状のラップとを有してハウジングに固定された固定スクロールと、鏡板とこの鏡板に立設されて固定スクロールのラップと互いにかみ合う渦巻き状のラップとピン部とを有する揺動スクロールにより構成されると共に、電動要素は回転軸を有し、この回転軸の両端に形成された駆動部は、それぞれ圧縮要素と膨張要素の揺動スクロールのピン部に挿入されているものである。
【0011】請求項3の発明によれば、圧縮要素にて空気サイクル式冷却装置の圧縮手段を構成し、膨張要素にて同冷却装置の膨張手段を構成することにより、前記種々の作用効果を享受することができるようになり、空気サイクル式冷却装置に極めて好適なスクロール流体機械となるものである。
【0012】請求項4の発明のスクロール流体機械は、上記において各固定スクロール及び揺動スクロールの鏡板には複数条のラップが立設されているものである。
【0013】請求項4の発明によれば、上記に加えて各固定スクロール及び揺動スクロールの鏡板に複数条のラップを立設したので、揺動スクロールの揺動半径を縮小することが可能となる。これにより、揺動スクロールを含む重量物の偏心量を小さく抑え、遠心力を抑制しながら、取り扱い空気流量を増加させることができるようになり、バランスウエイトなどの小型化と、トルク変動の小さい滑らかな運転を実現することができるようになるものである。
【0014】請求項5の発明のスクロール流体機械は、上記において圧縮要素と膨張要素はそれぞれ、各ラップが対向するように配置された一対の固定スクロールを備えると共に、揺動スクロールには鏡板の両面に各固定スクロールのラップにかみ合うラップがそれぞれ立設されているものである。
【0015】請求項5の発明によれば、上記に加えて圧縮要素と膨張要素をそれぞれ、各ラップが対向するように配置された一対の固定スクロールと、鏡板の両面に各固定スクロールのラップにかみ合うラップをそれぞれ立設した揺動スクロールとから構成したので、揺動スクロールの両面の圧力室によって当該揺動スクロールに加わるスラスト力を効果的に相殺することができるようになる。
【0016】これにより、揺動スクロールの転覆モーメントを極力低減させることが可能となり、従来使用されていたスラスト軸受や背圧室なども廃止することができるようになるものである。
【0017】請求項6の発明のスクロール流体機械は、上記において圧縮要素及び膨張要素は無給油式スクロール機構であることを特徴とするスクロール流体機械。
【0018】請求項6の発明によれば、上記に加えて圧縮要素及び膨張要素を無給油式スクロール機構にて構成したので、圧力流体の清浄度が保持されるようになり、圧力流体の異物除去などの必要が無くなって、流体を直接利用することが可能となる。これにより、空気サイクル式冷却装置に一層好適なスクロール流体機械となるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明を適用した空気サイクル式冷却装置1の構成図を示している。冷却装置1は、例えばプレハブ冷凍・冷蔵庫の庫内や低温槽の槽内(以下、被冷却空間2と称する)を冷却するものであり、本発明に係る無給油式のスクロール流体機械3と、冷却器としての空気−水熱交換器4と、空気−空気熱交換器6及び除湿器7などから構成されている。
【0020】前記スクロール流体機械3は圧縮要素(圧縮手段)8と、膨張要素(膨張手段)9及び電動要素11から構成されており、これらの詳細構造に関しては後述する。前記被冷却空間2内に形成された吸込口12にはエア配管13が接続され、このエア配管13は前記熱交換器6内を通過した後、前記圧縮要素8の吸入口8Sに接続されている。
【0021】また、圧縮要素8の吐出口8Dにはエア配管14が接続され、このエア配管14は熱交換器4内を通過した後、更に熱交換器6内を通過し、膨張要素9の吸入口9Sに接続されている。この膨張要素9の吐出口9Dにはエア配管16が接続され、除湿器7を介して被冷却空間2に設けられた吹出口17に接続されている。
【0022】係る冷却装置1においては、電動要素11により駆動される圧縮要素8によって吸込口12から被冷却空間2内の空気が吸引され、エア配管13を通過する過程で熱交換器6を経た後、圧縮要素8に吸入口8Sより吸入されて圧縮される。圧縮された高温高圧の空気は吐出口8Dからエア配管14に入り、熱交換器4を経た後、熱交換器6を通過し、膨張要素9の吸入口9Sに吸入される。
【0023】前記熱交換器4には水配管18が設けられ、エア配管14内に吐出された高温高圧の空気は熱交換器4を通過する過程で水配管18内を流れる冷却水と熱交換して冷却される。また、熱交換器6内を通過する過程でもエア配管13内を流れる吸入空気と熱交換して更に冷却される。
【0024】これによって、熱交換器6を出た空気は低温高圧となった状態で膨張要素9に入る。膨張要素9内で低温高圧の空気は膨張し、この圧力低下で膨張要素9の吐出口9Dからエア配管16に出た空気は更に低温となる。そして、除湿器7を経て除湿された後、吹出口17より被冷却空間2に吹き出される。以上のような直接空気を媒体とした圧縮−冷却−膨張のサイクルを繰り返すことにより、被冷却空間2内は冷凍温度まで冷却可能とされている。
【0025】次ぎに、図2に示す断面図を用いて本発明のスクロール流体機械3の構造を説明する。スクロール流体機械3の前記圧縮要素8は、中央に軸受21を有する主ハウジング22と、この主ハウジング22にボルトにて固定された内側ハウジング23と、この内側ハウジング23内にボルトにて固定された第1の固定スクロール24と、前記内側ハウジング23にボルトにて固定された外側ハウジング26と、この外側ハウジング26内にボルトにて固定された第2の固定スクロール27と、両固定スクロール24及び27間に配設された揺動スクロール28とで構成されている。
【0026】前記主ハウジング22と内側ハウジング23間にはOリング29が介設されてシールされている。また、内側ハウジング23の側面には前記吸入口8Sが形成されると共に、外側ハウジング26の中央部には前記吐出口8Dが形成されている。
【0027】前記両固定スクロール24及び27は図3に示す如く円板状の鏡板31、32と、この鏡板31、32の一方の面に立設された二条の渦巻き状ラップ33、34、及び、36、37とで構成されている。そして、両固定スクロール24、27はラップ33、34とラップ36、37とが所定の間隔(後述する揺動スクロール28の鏡板38の厚さに略相当)を存して対向するように配置されている。尚、各ラップ33、34、36、37の先端にはチップシール48が取り付けられている。
【0028】一方、前記揺動スクロール28は円板状の鏡板38と、この鏡板38の両面に立設された二条の渦巻き状ラップ41、42、及び、43、44と、鏡板38の一方の面の中央に突出されたピン部46と、外方に四カ所突出して形成された腕部47・・・とで構成されている。尚、各ラップ41、42、43、44の先端部にもチップシール48が取り付けられている。
【0029】この揺動スクロール28はラップ41、42の突出方向を固定スクロール24方向とし、ラップ43、44の突出方向を固定スクロール27方向にしている。そして、固定スクロール24と揺動スクロール28とはラップ33及び34とラップ41及び42が相互に向かい合ってかみ合うようにして内部に複数の圧縮空間(圧力室)49を形成し、固定スクロール27と揺動スクロール28とはラップ36及び37とラップ43及び44が相互に向かい合ってかみ合うようにして内部に複数の圧縮空間49を形成するようにしている。
【0030】主ハウジング22の内側ハウジング23と反対側の面にはボルトにてケース51の一端のフランジ55がOリング50を介して取り付けられており、電動要素11はこのケース51内に収納されている。この電動要素11はケース51内に固定された固定子52と、この固定子52の内側に配置された回転子53と、この回転子53の中央に挿着された回転軸54とで構成されている。
【0031】軸受21には回転軸54の一端側の段部56に嵌合されるボールベアリング(アンギュラ玉軸受)57が取り付けられている。このボールベアリング57の揺動スクロール28側には軸シール58が取り付けられている。この軸シール58はテフロンなどから構成された弾性部材で、環状を呈しており、回転軸54の周面に密着する。これによって、揺動スクロール28側ととケース51側とは軸シール58を境に隔絶されるかたちとなる。
【0032】61は電動要素11の回転力を揺動スクロール28に伝える駆動部で、回転軸54の一端に形成されて、その軸心に対して偏心している。この駆動部61は、揺動スクロール28のピン部46内に挿入されて揺動スクロール28を公転させるものである。
【0033】駆動部61とピン部46間にはニードルベアリング62及びニードルベアリングシール63が取り付けられている。このニードルベアリング62にはグリスが封入されており、ニードルベアリングシール63はこのグリスの飛散を防止するものである。また、64は回転軸54にネジ止めされたバランスウエイトであり、65はターミナルである。
【0034】内側ハウジング23に形成された前記吸入口8Sは固定スクロール24、27及び揺動スクロール28の外側の圧縮空間49に連通している。また、外側ハウジング26に形成された前記吐出口8Dは中央の圧縮空間49に連通している。更に、66は前記揺動スクロール28を前記固定スクロール24、27に対して自転しないように円軌道上を公転させる偏心シャフトである。
【0035】この場合、偏心シャフト66は外側ハウジング26に四カ所設けられており、一端は外側ハウジング26にボールベアリング67を介して固定され、他端は揺動スクロール28の各腕部47・・・にボールベアリング68を介してそれぞれ固定されている。尚、69は偏心シャフト66の取付部分を隠蔽するカバーである。
【0036】前記主ハウジング22内にはオイル通路71が形成されており、このオイル通路71の一端は主ハウジング22上面の供給孔72にて外部に連通し、他端はボールベアリング57に達している。そして、供給孔72から供給されたオイルはオイル通路71を経てボールベアリング57に供給され、潤滑した後、ケース51の主ハウジング22近傍の底面に形成された流出孔73から外部に排出される。このときに電動要素11などの各機器の発する熱も外部に持ち出される。尚、このオイルは軸シール58によって揺動スクロール28側への侵入を阻止される。
【0037】一方、スクロール流体機械3の前記膨張要素9は、中央に軸受74を有し、ケース51の他端のフランジ75にOリング76を介してボルトにて固定された主ハウジング77と、この主ハウジング77にボルトにて固定された内側ハウジング78と、この内側ハウジング78内にボルトにて固定された第1の固定スクロール79と、前記内側ハウジング78にボルトにて固定された外側ハウジング81と、この外側ハウジング81内にボルトにて固定された第2の固定スクロール82と、両固定スクロール79及び82間に配設された揺動スクロール83とで構成されている。
【0038】前記主ハウジング77と内側ハウジング78間にはOリング84が介設されてシールされている。また、内側ハウジング78の側面には前記吐出口9Dが形成されると共に、外側ハウジング81の中央部には前記吸入口9Sが形成されている。
【0039】各固定スクロール79、82及び揺動スクロール83の構造は寸法が縮小されているものの、前記圧縮要素8の固定スクロール24、27及び揺動スクロール28と基本的に同様である。即ち、前記両固定スクロール79及び82も図3に示す如く円板状の鏡板86、87と、この鏡板86、87の一方の面に立設された二条の渦巻き状ラップ88、89、及び、91、92とで構成されている。そして、両固定スクロール79、82はラップ88、89とラップ91、92とが所定の間隔(揺動スクロール83の鏡板93の厚さに略相当)を存して対向するように配置されている。尚、各ラップ88、89、91、92の先端にもチップシール48が取り付けられている。
【0040】一方、前記揺動スクロール83も図3に示すように円板状の鏡板93と、この鏡板93の両面に立設された二条の渦巻き状ラップ94、96、及び、97、98と、鏡板93の一方の面の中央に突出されたピン部99と、外方に四カ所突出して形成された腕部101・・・とで構成されている。尚、各ラップ94、96、97、98の先端部にもチップシール48が取り付けられている。
【0041】この揺動スクロール83はラップ94、96の突出方向を固定スクロール79方向とし、ラップ97、98の突出方向を固定スクロール82方向にしている。そして、固定スクロール79と揺動スクロール83とはラップ88及び89とラップ94及び96が相互に向かい合ってかみ合うようにして内部に複数の膨張空間(圧力室)102を形成し、固定スクロール82と揺動スクロール83とはラップ91及び92とラップ97及び98が相互に向かい合ってかみ合うようにして内部に複数の膨張空間102を形成するようにしている。
【0042】軸受74には回転軸54の他端側に嵌合されるボールベアリング(アンギュラ玉軸受)104が取り付けられている。このボールベアリング104の揺動スクロール83側には軸シール106が取り付けられている。この軸シール106はテフロンなどから構成された弾性部材で、環状を呈しており、回転軸54の周面に密着する。これによって、揺動スクロール83側とケース51側とは軸シール106を境に隔絶されるかたちとなる。
【0043】107は電動要素11と揺動スクロール83とを連結する駆動部で、回転軸54の他端に形成されて、その軸心に対して駆動部61と同位相で偏心している。この駆動部107は、揺動スクロール83のピン部99内に挿入されて揺動スクロール83を公転力を回転軸54に伝達し、或いは、回転軸54の回転を揺動スクロール83に伝達するものである。
【0044】駆動部107とピン部99間にはニードルベアリング111及びニードルベアリングシール112が取り付けられている。このニードルベアリング111にはグリスが封入されており、ニードルベアリングシール112はこのグリスの飛散を防止するものである。また、113は回転軸54にネジ止めされたバランスウエイトである。
【0045】内側ハウジング78に形成された前記吐出口9Dは固定スクロール79、82及び揺動スクロール83の外側の膨張空間102に連通している。また、外側ハウジング81に形成された前記吸込口9Sは中央の膨張空間102に連通している。更に、114は前記揺動スクロール83を前記固定スクロール79、82に対して自転しないように円軌道上を公転させる偏心シャフトである。
【0046】この場合、偏心シャフト114は外側ハウジング81に四カ所設けられており、一端は外側ハウジング81にボールベアリング116を介して固定され、他端は揺動スクロール83の各腕部101・・・にボールベアリング117を介してそれぞれ固定されている。尚、118は偏心シャフト114の取付部分を隠蔽するカバーである。
【0047】前記主ハウジング77内にはオイル通路119が形成されており、このオイル通路119の一端は主ハウジング77上面の供給孔121にて外部に連通し、他端はボールベアリング104に達している。そして、供給孔121から供給されたオイルはオイル通路119を経てボールベアリング104に供給され、潤滑した後、ケース51の主ハウジング77近傍の底面に形成された流出孔122から外部に排出される。このときに電動要素11などの各機器の発する熱も外部に持ち出される。尚、このオイルは軸シール106によって揺動スクロール83側への侵入を阻止される。
【0048】また、主ハウジング77の内側ハウジング78側の面には真空断熱パネル123が埋設され、内側ハウジング78に面接触している。この真空断熱パネル123は所定の容器内に断熱材を封入して真空引きしたものであるが、この真空断熱バルブ123部分の主ハウジング77の凹所を真空引きして真空室としたものでも良いものである。
【0049】このように構成されたスクロール流体機械3において、電動要素11を回転させると、その回転力が回転軸54を介して圧縮要素8の揺動スクロール28に伝えられる。すなわち、揺動スクロール28はこのスクロールのピン部46に挿入された回転軸54の駆動部61で駆動され、偏心シャフト66によって固定スクロール24、27に対して自転しないように円軌道上を公転させられる。
【0050】そして、固定スクロール24及び27と揺動スクロール28とはこれらのスクロールで形成された両面の圧縮空間49、49を外方から内方へ向かって次第に縮小させ、吸込口8Sから流入した空気を圧縮する。この圧縮された空気は外側ハウジング26の吐出口8Dから吐出される。
【0051】このとき、揺動スクロール28の両面に圧縮空間49、49が形成されることにより、揺動スクロール28には図4に矢印で示すように両面からスラスト力が加わることになる。これにより、図5に示す如く片面にのみラップ(L1で示す)が形成された従来の揺動スクロール(Y1で示す)に比較して(図5でもスラスト力を矢印で示す)、揺動スクロール28に加わるスラスト力は殆ど相殺され、ピン部46に加わる力46Fのみに抑えられることになる。従って、揺動スクロール28の転覆モーメントは極力低減され、従来使用されていたスラスト軸受や背圧室なども廃止することができるようになる。
【0052】また、固定スクロール24、27及び揺動スクロール28には二条のラップ33、34、36、37、41、42、43、44が形成されているので、空気の吸込位置は図6に矢印で示す如く4カ所(一条の場合には図7に矢印で示す如く一カ所。尚、この場合揺動スクロールをY2、ラップをL2で示す)となり、一回転において従来一回の吸気行程であったものが、90度毎に吸気を行うようになる。
【0053】更に、一条の場合のラップ間隔をA(図7)、本発明の場合のラップ間隔をB(図6)とし、ラップ厚みをtとすると、A=2B+tとなり、図7の場合の揺動スクロールY2の揺動半径RaはRa=(A−t)/2={(2B+t)−t}/2=B、図6の場合の揺動スクロール28の揺動半径RbはRb=(B−t)/2となる。
【0054】このように、ラップを二条にしたことによって、揺動スクロール28の揺動半径を縮小することが可能となる。これにより、揺動スクロール28を含む重量物の偏心量を小さく抑え、遠心力を抑制しながら、取り扱い空気流量を増加させることができるようになり、バランスウエイト64、113などの小型化と、トルク変動の小さい滑らかな運転を実現することができるようになる。
【0055】尚、図8はチップシール48を取り付けない実施例の揺動スクロール28を示しており、図9はそれに対応するラップ一条の場合の揺動スクロールY2を示している。また、図10は腕部47を三カ所(その場合、偏心シャフト66も三カ所となる)とした場合の揺動スクロール28を示しており、図11はそれに対応するラップ一条の場合の揺動スクロールY2を示している。
【0056】また、軸シール58によって圧縮空間49へのオイルなどの侵入が阻止されることにより、圧力流体(空気)の清浄度が保持されるようになり、圧力流体の異物除去などの必要が無くなって、流体を直接利用することが可能となる。
【0057】このようにして圧縮要素8から吐出された高温・高圧の空気は、前述の如く熱交換器4及び6で冷却された後、低温・高圧となって膨張要素9の吸入口9Sに至る。このとき、電動要素11の回転力は回転軸54を介して膨張要素9の揺動スクロール83に伝えられており、揺動スクロール83はこのスクロールのピン部111に挿入された回転軸54の駆動部107で駆動され、偏心シャフト114によって固定スクロール79、82に対して自転しないように円軌道上を公転させられている。
【0058】そして、固定スクロール79及び82と揺動スクロール83とはこれらのスクロールで形成された両面の膨張空間102、102を内方から外方へ向かって次第に拡張させ、吸込口9Sから流入した空気を膨張させる。この膨張した温度低下した空気は内側ハウジング78の吐出口9Dから吐出される。
【0059】このとき、揺動スクロール83も両面に膨張空間102、102が形成されることにより、前述と同様にスラスト力が相殺されるようになる。また、固定スクロール79、82及び揺動スクロール83にも二条のラップ88、89、91、92、94、96、97、98が形成されているので、前述同様に揺動スクロール83の揺動半径が縮小されることになる。また、軸シール106によって膨張空間102へのオイルなどの侵入も同様に阻止される。
【0060】特に、膨張空間102、102内における圧力流体(空気)の膨張により発生する力は、回転軸54に伝達されて電動要素11の回転を補填することになる。即ち、空気の膨張を利用することにより、膨張要素9にて電動要素11の駆動力の回収を行うことができるようになり、効率が改善される。
【0061】また、主ハウジング77には内側ハウジング78と接触する面に真空断熱パネル123が取り付けられているので、両者間の熱伝達は僅かに残った面接触部分からのみとなる。これにより、電動要素11側から膨張要素9に伝達される熱を最小限とし、膨張要素9における低温発生に与える悪影響を最小限に抑制して低温発生効率を更に向上させることができるようになる。
【0062】尚、膨張要素9から吐出された低温空気は前述の如く被冷却空間2に供給されて冷却作用を発揮するものである。
【0063】
【発明の効果】以上詳述した如く請求項1の発明によれば、従来の空気サイクル式空気調和機に比して低回転での運転が可能となり、軸受摺動部などの劣化を抑制し、耐久性の改善を図ることが可能となる。また、内部における空気リークも生じ難くなるので、効率の低下も防止することができるようになるものである。
【0064】特に、請求項2の発明によればこれらに加えて、一台のスクロール流体機械が備える圧縮要素及び膨張要素にて圧縮手段と膨張手段を構成できるので、部品点数と構成の簡素化による生産性の向上とコストの低減を図ることができるようになる。また、空気の膨張を利用することにより、膨張要素にて電動要素の駆動力の回収を行うことができるようになり、著しい効率の改善を図ることが可能となるものである。
【0065】請求項3の発明によれば、圧縮要素にて空気サイクル式冷却装置の圧縮手段を構成し、膨張要素にて同冷却装置の膨張手段を構成することにより、前記種々の作用効果を享受することができるようになり、空気サイクル式冷却装置に極めて好適なスクロール流体機械となるものである。
【0066】請求項4の発明によれば、上記に加えて各固定スクロール及び揺動スクロールの鏡板に複数条のラップを立設したので、揺動スクロールの揺動半径を縮小することが可能となる。これにより、揺動スクロールを含む重量物の偏心量を小さく抑え、遠心力を抑制しながら、取り扱い空気流量を増加させることができるようになり、バランスウエイトなどの小型化と、トルク変動の小さい滑らかな運転を実現することができるようになるものである。
【0067】請求項5の発明によれば、上記に加えて圧縮要素と膨張要素をそれぞれ、各ラップが対向するように配置された一対の固定スクロールと、鏡板の両面に各固定スクロールのラップにかみ合うラップをそれぞれ立設した揺動スクロールとから構成したので、揺動スクロールの両面の圧力室によって当該揺動スクロールに加わるスラスト力を効果的に相殺することができるようになる。
【0068】これにより、揺動スクロールの転覆モーメントを極力低減させることが可能となり、従来使用されていたスラスト軸受や背圧室なども廃止することができるようになるものである。
【0069】請求項6の発明によれば、上記に加えて圧縮要素及び膨張要素を無給油式スクロール機構にて構成したので、圧力流体の清浄度が保持されるようになり、圧力流体の異物除去などの必要が無くなって、流体を直接利用することが可能となる。これにより、空気サイクル式冷却装置に一層好適なスクロール流体機械となるものである。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年9月16日(1998.9.16)
【代理人】 【識別番号】100076794
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 耕二 (外1名)
【公開番号】 特開2000−88380(P2000−88380A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−261909