| 【発明の名称】 |
ループ管気柱音響波動冷凍機 |
| 【発明者】 |
【氏名】萩原 康正
【氏名】伊東 正篤
【氏名】矢崎 太一
【氏名】富永 昭
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| 【要約】 |
【課題】冷凍機の冷凍が実質的に可能な、圧力振動の大きな定在波及び進行波を発生せしめ得る自励的発振装置とこれらの波を利用したループ管気柱音響波動冷凍機を開発すること。
【解決手段】気体を封入した配管10に、高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23に挟まれたスタック21を挿入し、更にスタックと非対称の位置に蓄冷器31を高温側熱交換器32及び低温側熱交換器33と共に配置して回路を形成し、スタックにおいて封入気体から自励的に発生する定在波及び進行波を配管を通じて伝播せしめて、蓄冷器31を蓄冷・冷凍すると同時に、円滑な放熱を行う装置である。従って、圧縮機等を用いることなく、作業ガスの圧力変動を生じさせ得るので、メンテナンスが不要な熱音響作用によるループ管気柱波動冷凍を提供できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】一の高温側熱源及び一の低温側熱源に挟まれたスタックと、他の高温側熱源及び他の低温側熱源に挟まれた蓄冷器と、一対の直線管部及び該直線管部の両端を相互に連結する一対の連結管部を有する配管と、により形成される回路に気体を封入し、前記スタックにおいて前記封入気体に定在波及び進行波を自励的に発生させて前記蓄冷器を冷却せしめてなるループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項2】一対の直線管部及び該直線管部の両端を相互に連結する一対の連結管部を有する配管において、該連結管が直線部分を有する形状からなる請求項1に記載のループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項3】一対の直線管部及び該直線管部の両端を相互に連結する一対の連結管部を有する配管において、スタックと蓄冷器との間の配管の一部が他の部分に較べてその内径を大きくなしたことを特徴とする請求項1に記載のループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項4】直線管部の一端と連結管部の一端とを連結したときのそれぞれの中心軸の交点を回路の始点とし、回路全長を1.00とするとき、スタックの中心が回路全長の0.28±0.05 の位置となるように該スタックを配することを特徴とするループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項5】回路全長を1.00とするとき、回路に沿った封入気体の圧力変動が、スタックの近傍に第1のピークがあり、更に回路全長の約1/2 ( 回路全長の約0.50)進んだ位置に第2のピークがある場合に、請求項1に記載の蓄冷器の中心が該第2ピークを過ぎた位置となるように該蓄冷器を設けることを特徴とするループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項6】回路に封入する気体が、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物、又は加圧空気から選ばれた気体である請求項1乃至5のいずれかであるループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項7】スタックの材質がセラミックス、焼結金属、金網、金属製不織布の少なくとも1種からなり、そのωτが0.2〜20の範囲と成るように構成されたことを特徴とするループ管気柱音響波動冷凍機。 【請求項8】高温側熱源と低温側熱源とに基づく熱エネルギーを、回路に封入された気体の圧力振動に変換するスタックによって、自励的に、前記回路の回路長に応じた周波数からなる定在波及び進行波を含む圧力振動(共鳴)を発生せしめ得る定在波及び進行波発生装置を、要すれば蓄冷器と共に、備えてなるループ管気柱音響波動冷凍機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、所定の気体(作業ガス)を充填した配管の回路内部ループで熱音響効果により、配管を含む熱音響冷凍回路に共鳴(圧力振動)をもたらし、発生した進行波等を利用して回路に設けた蓄冷器を冷却せしめるループ管気柱音響波動冷凍機に関する。 【0002】 【従来の技術】熱の影響により音響が生じ得ることは、例えばガラス吹き工により熱い球状ガラスを冷たいステムの先端に取り付けた際に音がでる現象として古くから知られており、これは「Soundhauss tube」と呼ばれる丸底フラスコ状のガラス容器の底部に熱を加えると熱音響効果によりそのガラス管から音が発せられることで確認され、また、そのガラス管の内部に多孔又は多層状の狭い空間を形成するスタックを挿入することにより、上記の熱駆動による音響効果が高まることが確認されている。 【0003】一方、このような熱音響効果を利用して、容器の外部から与えた熱によって、容器内に予め充填された作業ガスに圧力振動(熱音響仕事)を生じさせ、この熱音響仕事を熱に転化させて冷却作用をなすようにしたビヤクーラー等の熱音響冷凍機も知られている(G.W.Swift "Thermoacoustic engines" 1988 AcousticalSociety of America 第1147頁、FIG.3)。 【0004】ビヤクーラーは、一端が開口し他端が閉止された共鳴管の一端側に球状部を設ける一方、その共鳴管の途中に、それぞれスタックとその両側に位置する高温側及び低温側の熱交換器とからなる原動機及びヒートポンプを設け、その原動機によって共鳴管の共鳴周波数において内部の作動ガスに圧力振動(定在波)を自己励起(自励)させ、更に、その圧力振動を前記原動機とは逆向きに働くヒートポンプに与えてその低温側熱交換器によって冷却作用をなすようになっている。 【0005】また、セパレー(Ceperley)は、スターリングエンジンにそのピストンをなくすべく熱音響発生手段を設けるようにした進行波発生型の熱音響冷凍機を提案している。この冷凍機はループ状の配管の途中でその配管を対称に二分する中央位置に、スタックとその両側に位置する高温側及び低温側の熱交換器とからなる圧力振動発生手段としての原動機と、蓄冷器(再生式熱交換器)とその両側に位置する高温側及び低温側の熱交換器とを有し前記原動機とは逆向きに働くヒートポンプとを設け、前記原動機に高温の熱エネルギー供給を行いながら、前記ヒートポンプにより低温側から高温側熱交換器へと熱を汲み上げ、冷却作用を行わせることができる。 【0006】しかしながら、前述のCeperleyの提案を具現化する試みが成功したとの報告はない。加えて、このような進行波進波発生装置については理論的にも実際的にも発振しない旨の報告がアチレー(Atchley)によりなされおり(Third Joint Meeting, ASA and ASJ Dec, 1996 Honolulu, HI)、発振させることは不可能であるとの認識が学会においても広まりつつあった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上述のような熱音響効果を利用した冷凍機は、例えばAtchley等は円型又はそれに類する配管回路中の対称中心の位置に高温、低温の熱源を有する熱交換器ではさまれたスタックを挿入していたが、何れにおいても冷凍に強く寄与し得るような進行波を発生(発振)することができなかった。そのため、一般には、作動ガスの圧力を変動させるための手段として圧縮機が用いられているのが現状である。 【0008】しかしながら、ピストン式の圧縮機を用いた冷凍機では、可動部に対し定期的な部品交換等のメンテナンス作業が不可欠であり、冷凍機を長時間連続運転することができない。 【0009】これに対し、熱音響効果による圧力振動発生手段は、機械的な圧縮機や電磁弁等を用いることなく、作業ガスに正弦波状の圧力振動を発生させることができ、耐久性やコンパクト化といった面で有利である。ところが、現実には発振した例が未だになく、どのようにして発振可能な装置を創作するかが最大の課題であった。本発明は、上記従来の課題を解決すべくなされたもので、パルス管冷凍機等の冷凍に強く寄与する定在波及び進行波を発生することのできる、熱音響効果を利用でき、メンテナンスが実質的に不要な、耐久性に優れた波動冷凍機を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、高温側熱源と低温側熱源とに基づく熱エネルギーを、回路に封入された気体の圧力振動に変換するスタックによって、自励的に、前記回路の回路長に応じた周波数からなる定在波及び進行波を含む圧力振動(共鳴)を発生せしめ得る定在波及び進行波の発生装置を蓄冷器と共に備えてなるループ管気柱音響波動冷凍機である。従来技術の原動機やヒートポンプでは、冷凍作用に強く寄与できる定在波や進行波を発生させられなかったのであるが、本発明では、■スタックにおける自己励起発振の条件を発見し、これを応用したこと、■スタックと蓄冷器とを非対称的に配置し、しかも配管において直線管部と連結管部とを設けて、封入気体の流れが直進及びほぼ直角に旋回する状態を造り、定在波及び進行波を発生し易く為したこと、■プライムムーバー(原動機)を非等温的に動作させること、によって、初めて実用性のあるループ管気柱音響波動冷凍機の開発に成功したものである。 【0011】以下に、個々の請求項について説明すると、まず、請求項1に係わる発明は、気体(作業ガス)を封入した配管に、高温側熱源及び低温側熱源に挟まれたスタックからなる定在波及び進行波の発生手段と、他の高温側熱源及び低温側熱源に挟まれた蓄冷手段と、を主たる構成とする音響波動冷凍機であって、スタックと蓄冷手段とは所定の位置に、前記配管を介して接続されて作業ガスの回路を形成しており、スタック両端部に置かれた所定の温度差を生じせしめる熱源に基づき、作業ガスに与えられた熱エネルギーがスタックによって圧力に変換され、変動する圧力から自励的振動が生じる。振動(発振)は回路長に応じた周波数からなる定在波及び進行波を含む。発生した進行波は、一の高温側熱源から回路中に進行し、他の高温側熱源を経て蓄冷器に到り、充分な冷凍作用を持つ進行波として音響波動冷凍機能をもたらす。次に、請求項2の発明は、一対の直線管部及び該直線管部の両端を相互に連結する一対の連結管部を有する配管において、該連結管を直線状の管部分を有する形状とすることにより、スタックに定在波が生じ易いように、配管の形状を特定したものである。安定した、冷凍に寄与する進行波を発生せしめるには、定在波の存在も不可欠であり、直線管部分と直線状の連結管部分とが直交する配管形状が音響波動冷凍機能に殊に有用である。また、請求項3の発明は、一対の直線管部及び該直線管部の両端を相互に連結する一対の連結管部を有する配管において、スタックと蓄冷器との間を繋ぐ配管の一部が他の部分に較べてその内径が大きいことを特徴とするものであって、このように、同一管路長のとき、径の太い部分を設けると、発振周波数を低くすることができる。このため冷凍に最適な発振周波数をより短い管路長で実現できる。管路長は、占有体積を支配する大きな要素であり、管路長の低減は奔発明冷凍機の小型化に強く寄与する。 【0012】更に、請求項4に記載の発明は、直線管部の一端と連結管部の一端とを連結したときのそれぞれの中心軸の交点を回路の始点とし、回路全長を1.00とするとき、スタックの中心が回路全長の回路全長の0.28±0.05 の位置となるようにスタックを配置する。この条件と、スタックにおける高温側熱源及び低温側熱源のそれぞれの温度が適切であるとき、初めて効率のよい自励振動が生じる。加えて、請求項5の発明は、回路全長を1.00とするとき、回路に沿った封入気体の圧力変動が、スタックの近傍に第1のピークがあり、更に回路全長の1/2 (回路全長の0.50) 進んだ位置に第2のピークがある場合に、請求項1に記載の蓄冷器の中心位置を該第2ピークを過ぎた付近に設けることを特徴とするものであって、この条件を満たすとき、蓄冷器の配置が最適となり、冷却効率が一層高められる。 【0013】好ましい条件を示す請求項6の発明は、回路に封入する気体が、窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物、又は空気を用いるものであり、その結果、冷凍機能が一層高められる。 【0014】請求項7に記載の発明は、スタックを形成する通気性多孔質物体或いは積層体の材質はセラミックス、焼結金属、金網、金属製不織布の少なくとも1種を、単独又は組み合せて、集積・積層して用いて、そのωτが0.2〜20の範囲と成るように構成されたことを特徴とする。 【0015】請求項8に記載の発明は、高温側熱源と低温側熱源とに基づく熱エネルギーを、回路に封入された気体の圧力振動に変換するスタックによって、非等温的に、自励的に、前記回路の回路長に応じた周波数からなる定在波及び進行波を含む圧力振動(共鳴)を発生せしめ得る進行波発生装置に関し、この発振装置を要すれば蓄冷器と共に備えることを特徴とする。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。 【0017】図1は、本発明に係るループ管気柱音響波動冷凍機の一実施形態を示す図である。図1において、10は配管を含む回路を示し、回路には所定の作業ガスとして窒素等の不活性ガス(気体)が封入されている。この作業ガスは常圧でも動作するが、例えば絶対圧0.1〜1.0MPa程度の加圧状態である。作業ガスは窒素、ヘリウム、アルゴン、ヘリウムとアルゴンとの混合物等が使用でき、特に、ヘリウムとアルゴンとを約1:1〜約3:1の容積比率で混合したものが冷凍効率を高めることができる。また、作業ガスによる進行波発生装置はピストンやバルブのような摩耗をもたらす部材の必要がないので、メンテナンスが実質的に不要なエンジンを形成する利点がある。配管に使用できる材料としては、例えばステンレス鋼からなる円形断面のもので、その配管全体の長手方向に延在する互いに平行な一対の長さLaの直線管部11、12と、これら直線管部11、12の両端部に連結する略平行な一対の長さLbの連結管部13、14と、を有している。更に、直線管部15の部分は、管径を太く構成している。この結果、後述するように、封入気体が自己励起により振動するとき、その周波数が(管径が一様のときに較べて)低くなる。低い周波数の発振の方が本発明の音響波動冷凍機では熱エネルギー的に有利である。 【0018】そして、一方の直線管部11の所定領域には、作業ガスに圧力変動を生じさせる原動機としての圧力振動発生手段が設けられている。この圧力振動発生手段は、直線管部11の軸線と平行で配管10内の通路11より狭い複数の平行通路を形成する所定長さのスタック21と、そのスタック21の図中左側に隣接して設けられた高温側熱交換器22と、スタック21の図中右側に隣接して設けられた低温側熱交換器23と、を有している。配管10は全体として略長方形に形成されており、配管10及びスタック21は所定の対象中心(La/2の位置で直線管部11、12と直交する面に相当する)に対して対称な非円形の回路を形成している。これに対し、スタック21の配設位置は、例えば長さLaの直線管部11において低温側の管部長さが一端から略La/4〜約La/3となり、高温側の管部長さが他端から(3/4)・La〜(2/3)・Laとなるよう片側に寄せた位置である。すなわち、スタック21は、配管10及びスタック21を含む作業ガスの回路(以下、単に回路という)の対象中心に対し片寄せて配置されている。なお、前記直線管部11の一端、他端とは、直線管部11の中心軸線と連結管部13、14の中心軸線との交点である。スタック21は、例えば多数の平行な平行通路を有するハニカム構造のセラミックからなるもの、多数枚のステンレス鋼メッシュ薄板が微小間隔(数百μm程度)で配置されたもの、ステンレス鋼繊維を集合した不織布、あるいは、焼結金属等をケース内に充填して製作した狭い複数の通路を有するものであり、熱交換器22、23によってスタック21にその内壁面に沿う一定の温度勾配を生じさせるようになっている。高温側熱交換器は、多数枚の薄肉金属板が微小間隔で配設されたものであり、周囲を図示しないヒータ等で高温、例えば580°Kに保っている。また、常温熱交換器である低温側熱交換器も、例えば多数枚の薄肉金属板が微小間隔で配置されたもの、あるいはスタックと類似する構造のものであって、その周囲を常温冷却水等で冷却して、例えば室温付近の290°Kに保つものである。前記高温側熱交換器及びヒータは本発明にいう高温側熱源を構成しており、低温側熱交換器及び常温冷却水等は低温側熱源を構成している。なお、熱交換器22,23の外壁は、例えば銅合金からなる。 【0019】直線管部12には蓄冷器31が設けられていて、この蓄冷器は熱容量の大きい蓄冷材からなる。蓄冷材としては、例えば、ステンレス鋼、銅、鉛等を用いてメッシュ状、球状、板状、板を丸めた形状、エッチング処理された板等多様な物が利用できる。図1において、蓄冷器は、一対のうち他方の直線管部12に設けた所定の蓄冷領域に直線管部12の軸線と平行で、かつ、配管12内の通路より狭い複数のガス通路を形成する所定長さのものである。この蓄冷器に対し進行波の進行方向下流側には、高温側熱交換器32が隣接して設けられており、蓄冷器に対し前記進行波の進行方向上流側は低温側熱交換器33が隣接して設けられている。これら蓄冷器31及び熱交換器32、33のうち、蓄冷器はスタック21からの進行波が伝播され、高温側熱交換器32から内部に進入してきたとき、低温端側から高温端側への熱移送、すなわち、低温側熱交換器33による熱の汲み上げと高温側熱交換器32による熱の放出作用とを助長するヒートポンプ30を構成している。 【0020】ここで、圧力振動発生手段であるスタック21の発振条件について説明する。スタックは細い繊維を金網に編組した例で示すことが出来る多孔質積層体等からなり、作業ガスが流れる際の平行通路の流路半径をr(数百〜数十μm)、作動ガスの角周波数をω、スタック高温側熱交換温度をTh、スタック低温側熱交換温度をTc、温度拡散係数をα、温度緩和時間をτ(=r2/2α)として、実験結果に基づき、振動発生の条件を熱交換の程度を示す無次元量ωτと温度比Th/Tcでまとめると、図3に示すような進行波についての曲線が得られる。図2は、図3の定在波等の観測に供した圧力振動発生手段(スタック)又は共鳴器の概略図である。共鳴器として使用する場合は回路10の中に仕切板19を設けて両端が閉止された配管の状態からなり、共鳴器はスタック21と高温側熱源22と低温側熱源23とを備えている。また圧力振動発生手段として用いる場合は、図1の場合と同様に、回路には仕切板が不要である。圧力振動発生手段でも共鳴器でも、いずれの場合でも気体を封入し、それぞれ高温側熱源と低温側熱源とを所定の温度に保つとき、図3に示す特定の条件を満たせば、スタックに自励的な発振が起こる。スタックにより発振が起こるとき、共鳴器では、仕切板の位置を波動の節とする定在波が主として発生し、回路全長を例えば、半波長、全波長、2波長……とする振動が生じている。これに対し、仕切板のない場合は定在波が先ず発生し、これが増幅されて進行波の発生を促すようである。図3は、上述の共鳴器の実験結果である定在波のωτと温度比Th/Tcを示すスタビリティー曲線も併記している。なお、これらの定在波及び進行波の観測は,図2に示されているように光源43と超小型のレーザー光線を用いたドップラー速度計(LDV)とを配管の一部を透明なガラス管41に置き換えて実施し、更に圧力計等を回路中に配置して10〜100マイクロ秒(μs)単位の計測を行った結果に基づくものである。図3から明らかなように、進行波はωτ=1〜2近傍において最も少ない温度比(少ない入力)で発振する。また、ωτ=0.2〜20の範囲内にある場合と範囲外の場合では、範囲内にある方が少ない温度比で発振する。さらに極端にωτを大きく(例えば1000以上)したり、極端に小さく(0.001以下)した場合には、有効な進行波を得ることができない。また、定在波は進行波に比べて極小となるωτ値がやや大きく(3〜4)、温度比Th/Tcの極小値も高いことが判明した。この安定した定在波及び進行波を発生せしめる条件は、図3に示したとおりであって、本発明者等により初めて明らかにできたものである。図1の本発明のループ管気柱からなる音響波動冷凍機に関する説明を再び行う。 【0021】図面のような構成において、高温側熱交換器22を介してスタック21の高温側に高温の熱が供給されるとともに、スタック21の低温側から低温側熱交換器23を介して熱の放出がなされるとき、スタックの両端に所定の大きな温度差(Th−Tc)が生じて、スタックの各通路壁に所定の温度勾配が生じる。そして、これに起因して、スタック内部の狭い平行通路内に入っている作業ガスが、作業ガスの圧力と配管10の長さとに応じた発振周波数で発振する。そして、スタック21では熱音響効果で熱が振動のエネルギーに変換され、定在波及び進行波が生じる。この定在波及び進行波の圧力変動により蓄冷器に優れた蓄冷効果をもたらす。言い換えると、圧縮機等を用いることなく、作業ガスに冷凍サイクルに必要な圧力変動を生じさせることができ、コンパクトな装置で、冷凍を行うことができる。 【0022】ここで、本発明のループ管気柱音響波動冷凍機の好ましい要件について補説する。本発明装置では、スタック21を配設する所定領域が一方の直線管部11の軸線方向中央位置から外れた位置(片寄せ位置)にあり、無端の管路10をその長手方向両側に対称に区分する対称中心の片側に位置させていることから、圧力振動発生手段によって冷凍に強く寄与し得るような進行波を発生させることができると推測される。このスタックの好ましい位置は、図1の配管の場合、直線管12と連結管13とにおいて、両者の連結部の中心位置(それぞれの軸の交点)を始点とするとき回路全長(全長を1.00とする)の約0.28の位置に存在する。ところで、蓄冷器とスタックとの相対位置関係についても従来技術では明らかにされていない。もっとも、従来技術では自励的な発振が起きたことがなく、発振条件が不明であることは当然である。図4に示したように、蓄冷器とスタックとの相対間な最適位置を実験的に決めることができる。回路内に極めて小型の圧力センサ(測定器)42等を配し、作業ガスの圧力の変動を通して、進行波の伝搬速度、蓄冷器とスタックとの距離(ある位置を起点にXn=0とし、反時計廻りに進めて回路全長をXn=1とする )を変数として、回路における最適位置を探求した。回路Xnに沿った封入気体の圧力変動が、スタックの近傍に第1のピークがあり、更に回路全長の約1/2 ( 回路全長の約0.50) 進んだ位置に第2のピークがある図4の場合に、蓄冷器の中心がこの第2ピークを過ぎた位置となるように蓄冷器を設けるとよい。言い換えると、蓄冷器とスタックとの間隔は、0.55±0.10程度となるように距離を措くとき、エネルギ的に蓄冷効果が最大となる。この理由は、定在波による熱のポンピングは圧力振幅の大きくなる方向に向かい、進行波は進行波の進む方向と逆に成る。粘性損失は圧力振幅が最大となる位置で最小となるので、両者の効果の和が最大となる第2の圧力振幅のピークを少し過ぎたあたりに蓄冷器を配置するのが最適となるためである。 【0023】本発明では、圧縮機等を用いることなくヒートポンプによる冷却作用をなすことができ、しかも、配管を全体として立体的に構成することが可能であることは云うまでもなく、全体をコンパクトにしながら十分な配管長さを確保することができ、回路が長い程、発生する振動の周波数が低く、冷凍作用が高められる利点がある。 【0024】 【実施例】図1に示した一実施形態と同様な構成の配管について、配管10の直線管部11、12の長さLaを1190mmとし、配管の連結管部13、14の長さLbを275mmとしたものであって、配管の内径を41.5mm、及び配管の肉厚を0.5mmとした。直線管部11、12と連結管部13、14との間のコーナー部の曲率半径Rを50mmとなるように接続した。また、スタック21の長さを40mmとし、スタックの径寸法を40mmとしたものであって、その際に使用したスタックのセルサイズは#1500(1500個/in2)である。高温側熱交換器22は直径1mmのシースヒータであって、全長1000mm、30Ω(電気抵抗値)のものであり、低温側熱交換器23は長さ10mmの鋼板からなるフィンを21枚収束して径37mmに構成したものである。蓄冷器31は、長さ80mmで、径40mmのものであって、ステンレス鋼製のメッシュを組み合わせて充填使用した。蓄冷器に接する熱交換器32・33は高温・低温側共に、スタックの低温側熱交換器と同様なフィン型で、ワイヤーカットで加工した長さ軸方向15mm、フィン厚さ1mm、間隙0.5mm、内径37.5mmのものである。封入ガスは窒素、空気等を使用したが、ヘリウムとアルゴンとの混合気体( 0.25MPa)が冷却機の用途には最適であった。なお、図1の定常的運転ではシースヒータに200W以下の電力を供し、蓄冷器の温度を室温( 28℃)からマイナス24℃(249K)まで降下せしめることができた。 【0025】別に、図2の回路の薄い仕切板19を挿入した共鳴器について説明する。 【0026】作業ガスとして、封入圧力0.1MPaの空気を充填し、スタック両側の 熱交換器の低温側における冷却温度Tcら290K(水冷)とし、高温側における加熱温度Thを350Kから約880Kまで変化させて、熱エネルギーの供給・放出を行って、図3のスタビリティー曲線を実験的に得ている。Tcが臨界温度(しきい値)を超えると、自励発振が起こることが観察された。 【0027】なお、 図2の回路は長さ40mmのスタックを有し、内径20.1mm、全周2.58m(但しガラス管部分41は内径が18.5mm)のものである。発生した定在波の周波数は268Hzであった。仕切板を除いて図3に示した進行波に関するスタビリティ曲線を得た。 【0028】 【発明の効果】本発明に係るループ管気柱音響波動冷凍機は、配管、スタック及び蓄冷器を非対称的に配置すると共に、封入ガスの流れを直線管の旋回によって、定在波及び進行波を発生し易く設計しているので、本発明の装置によれば、圧縮機等を用いることなく、作業ガスの圧力変動を生じさせることができ、コンパクトで耐久性に優れた音響波動冷凍機を提供することができる。さらに、本発明に係るループ管気柱音響波動冷凍機は、圧力振動発生手段によって冷凍に強く寄与する定在波及び進行波を発生させているので、ヒートポンプによる効率の良い蓄冷・冷凍と熱の放出とを行うことができる。また、配管の径を部分的に太くすれば、或いは配管長を大幅に拡大できれば、発振周波数を低くすることが可能となり、熱効率の良い波動冷凍機を得ることができる。 【0029】
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| 【出願人】 |
【識別番号】595000793 【氏名又は名称】株式会社移動体通信先端技術研究所
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| 【出願日】 |
平成10年9月24日(1998.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072604 【弁理士】 【氏名又は名称】有我 軍一郎
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| 【公開番号】 |
特開2000−88378(P2000−88378A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−270291 |
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