トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 圧縮式冷凍機
【発明者】 【氏名】トーマス・マウラー

【氏名】トーマス・ツィン

【氏名】坂下 仁司

【要約】 【課題】膨張機構を備えた圧縮式冷凍機を家庭用や自動車用エアコンなど相対的に小さな装置に適用可能とし、高い効率を実現する。

【解決手段】冷媒として二酸化炭素を用い、コンプレッサ(11)、ガスクーラー(12)、膨張機構(13)および蒸発器(14)から圧縮式冷凍機を構成する。ここで、膨張機構として外接歯車モータを用いて冷媒移送による変位仕事だけを利用している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷媒を臨界超過圧まで圧縮するコンプレッサ(11)、空気との熱交換によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラー(12)、冷却された冷媒を臨界圧力下まで膨張させる膨張機構(13)および空気との熱交換によって膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器(14)を備えた圧縮式冷凍機において、膨張機構が、ハウジング(31)と、軸受(40,41)によって回転自在に支承され、互いにかみ合う少なくとも二つの歯車(35,36)と、冷媒移送室(42)を備えた歯車モータであることを特徴とする圧縮式冷凍機。
【請求項2】冷媒を臨界超過圧まで圧縮するコンプレッサ(11)、空気との熱交換によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラー(12)、冷却された冷媒を臨界圧力下まで膨張させる膨張機構(13)および空気との熱交換によって膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器(14)を備えた圧縮式冷凍機において、膨張機構が、ハウジング(31)と、軸受(40,41)によって回転自在に支承され、互いにかみ合う少なくとも二つの歯車(35,36)と、冷媒移送室(42)を備えた外接歯車モータであることを特徴とする圧縮式冷凍機。
【請求項3】請求項1又は2において、冷媒流量が膨張機構によって回転数により制御され、対応する出力モーメントが制御されることを特徴とする圧縮式冷凍機。
【請求項4】請求項1又は2において、膨張機構の出入口の差圧により作動する付勢手段(61,62,63,64)により、歯車(35,36)の側面を軸受(40,41)を介してシールすることを特徴とする圧縮式冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮式冷凍機に関する。特に、膨張機としての歯車モータを備えた遷移臨界圧縮式冷凍機(eine transkritische Verdichter-Kaeltemaschine)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の冷媒蒸気プロセスでは、絞り機構における、冷媒の膨張による等エントロピーの状態変化が起こる。特に高い冷凍出力の圧縮式冷凍機では、仕事を生じる膨張機構が用いられる。図8は膨張機構としてピストン型膨張器100を示し、これはシリンダ101,ピストン102およびバルブ103,104から構成されている。冷凍機に充填された冷媒は、膨張機構内で高圧により液化された状態から低圧の二相域へと膨張する。膨張に際して生じる仕事(die geleistete Arbeit)は冷媒の圧縮や発電などに用いられる。通常、この仕事は用いられずに摩擦熱の形に変わって雰囲気中に逃げていく。というのも、仕事を生じる膨張機構の主たる目的が、主に冷凍出力の向上にあって、機械出力を取り出すところには無いためである。膨張の容積変化の仕事は通常、熱力学的な比較基礎(als termodynamische Vergleichsgrundlage)として、等エントロピーの状態変化をとる。取りだし可能な仕事全体(通常、技術的仕事と呼ばれる)は、図9に示すように、容積変化仕事と変位仕事の和となる。二相域中の液体冷媒の膨張により冷媒の一部が蒸発し、容積の膨大が起こる。「Hartmann, K.:Kreisprozessverbesserung durch Entspannungsmaschine. Ki Luft- und Kaeltetechnik 9/1994, 421/424」は、膨張機構として通常、流体機械が用いられることを開示している。
【0003】最近では、環境保護の見地から圧縮式冷凍機において二酸化炭素の使用が提案されている。多くの例では、摂氏35度を超える、冷凍機の熱損失が必要である。図10に示すように、二酸化炭素の特性は、臨界超過状態から冷媒が膨張する際に、変化する所謂遷移臨界プロセスに適用される。従来用いられてきたハロゲン化炭化水素に対して、二酸化炭素の冷凍出力値は温度条件に応じて約30%までほど低い。図11に示すように、仕事を生じる膨張や第2の圧縮段における仕事の利用によって、少なくとも同じパーセント程度の冷凍出力値の向上が期待される。これについては、「Lorentzen, G.: The use of natural refrigerants -a complete solution to the CFC/HCFC predament. Proceedings oft conference New Application of Natural Working Fluids in Refrigeration and Air Conditioning. Hannover, 10-13.5.94, 23/36」に記載がある。図11において、閉冷凍回路を構成するように、第1段圧縮機121、第1段ガスクーラー122、第2段圧縮機123、第2段ガスクーラー124、膨張機構125および蒸発器126が直列に接続されている。圧縮機121,123は駆動モーター127によって駆動される。図10中の番号121乃至126は図11の同番号に対応する。
【0004】膨張機構には、二酸化炭素冷媒の場合、50気圧以上の圧力差がみられる。通常冷凍出力が約20kw程度の家庭用及び自動車用エアコンでは、高い容積冷凍出力をかせぐために二酸化炭素の容積流が相対的に低い。このために、現在通常用いられている流体機械の適用範囲外となってしまう。
【0005】「Quack, H.; Kraus, W.E.: Carbon dioxide as a refrigerant forrailway refrigeration and air conditionining. Proceedings of theConference New Application of Natural Working Fluids in Refrigeration and Air Conditioning. Hannover, 10-13.5.94, 489/494」には、膨張機構として、いわゆるフリーピストン機構を用いることが提案されている。ここでは、ピストン側における膨張仕事が、対向するピストン側において直接二酸化炭素の圧縮のために用いられる。この機構は、そのピストンロッドに2つの二重に作用するピストンプレートが固定されたフリーピストンを用いることが有利である。しかし、フリーピストン機構を膨張機構に適用した場合、以下のような不具合が問題となる。膨張の際、ピストン行程中に圧力が次第に無くなること、すなわち容積変化仕事が利用されることが望ましいが、フリーピストンの対向側においては、これに反してこのピストン移動中に圧縮のための圧力が増加してしまう。これは、二重に作用するピストンを備えたフリーピストン機構では、180度位相をずらして生じる膨張や圧縮のための正確な圧力−ピストン行程の経過をとらないことにつながる。例えばバネや可動質量体など、膨張の際に発生する仕事の中間的な貯蔵のための補助動力を追加することなく、等エントロピー膨張仕事が利用されることはなく、変位仕事が利用されるだけである。
【0006】フリーピストン機構を圧力機構として稼働させると、二酸化炭素が出力の終端においてシリンダ内において常に高い圧力以下になってしまう。これは、低圧下にある蒸発器内の出口において、大きな圧力変動と騒音を発生することにつながる。フリーピストン機構は通常、低ヘルツの低周波数で作動する。これは相対的に大きな機構で用いられる。ピストン行程に依存する高コストなバルブ制御が必要となる。出力を使用するタイプでは二酸化炭素の圧縮に用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】それゆえ、本発明は、膨張機構を備えた圧縮式冷凍機を家庭用や自動車用エアコンなど相対的に小さな装置に適用可能とし、高い効率を実現することを、その技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解決するために講じた本発明の第1の技術的手段は、圧縮式冷凍機において、ハウジングと、軸受によって回転自在に支承され、互いにかみ合う少なくとも二つの歯車と、冷媒移送室を備えた歯車モータからなる膨張機構を用いたことである。
【0009】上記した技術的課題を解決するために講じた本発明の第2の技術的手段は、圧縮式冷凍機において、ハウジングと、軸受によって回転自在に支承され、互いにかみ合う少なくとも二つの歯車と、冷媒移送室を備えた外接歯車モータからなる膨張機構を用いたことである。
【0010】上記した技術的課題を解決するために講じた本発明の第3の技術的手段は、上記第1または第2の技術手段に加えて、冷媒流量が膨張機構によって回転数により制御され、対応する出力モーメントが制御されるようにしたことである。
【0011】上記した技術的課題を解決するために講じた本発明の第4の技術的手段は、上記第1または第2の技術手段に加えて、膨張機構の出入口の差圧により作動する付勢手段により、歯車の側面を軸受を介してシールするようにしたことである。
【0012】
【作用】上記第1の技術手段によれば、歯車モータの回転に伴って歯間を介して冷媒が入口側から出口側へと移送され、歯間が出口側に開放された瞬間において冷媒が膨張する。上記第2の技術的手段によれば、外接歯車モータの回転に伴って歯間とモータハウジングの内壁を介して冷媒が入口側から出口側へと移送され、歯間が出口側に開放された瞬間において冷媒が膨張する。上記第2の技術的手段によれば、膨張機構内において冷媒流量が外接モータの回転数により制御され、したがって膨張機構の対応する出力モーメントが制御される。上記第4の技術的手段によれば、膨張機構の高圧側と差圧側の差圧により作動する付勢手段が歯車の側面を軸受を介して押圧することで歯車側面がシールされる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従った実施例を説明する。図1において、圧縮式冷凍機20は、冷媒(作動媒体:CO2)を臨界超過圧まで圧縮するコンプレッサ11、空気との熱交換によってこの圧縮された冷媒を冷却するガスクーラー12、冷却された冷媒を臨界圧力まで膨張させる膨張機構13、空気との熱交換によって膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器14を備えている。コンプレッサ11、ガスクーラー12、膨張機構13、蒸発器14は冷媒管路17などによって直列に接続されて、閉回路である冷凍回路を形成している。
【0014】図2および3は膨張機構13の第1実施例を示す。膨張機構13である外接歯車モータ13−1は、ハウジング31、両側壁32,33、眼鏡状室34、互いに噛み合う外歯を備える歯車35,36、出力軸37、冷媒入口38、冷媒出口39及び軸受40,41を備えている。軸受40,41は歯車軸を回転自在に支承する。冷媒入口38と出口39との間の圧力差のために、冷媒入口38から出口39へと冷媒移送室42を介して冷媒が流れる。外接歯車モータ13−1においては、膨張が内部容積変化なしに進むために変位仕事だけが利用される。冷媒移送室42にある冷媒は、歯車35,36の回転によって室42が冷媒出口39とつながった時に膨張する。変位仕事分は、しかし、全技術仕事の約70%と相対的に高い割合を占めるために、高い容積効率及び機械効率から、全体として40%を超える高い、等エントロピー膨張を行なう効率がもたらされる。
【0015】外接歯車モータ13−1は、例えば冷媒回路内を循環したり或いは図示しない特別なオイル供給装置によって歯車モータ13−1に供給されるオイルによって潤滑される。オイル容積は冷媒全流量の0〜15%の間である。オイル容積の占める割合が高い場合には、摩擦や漏れを低減する上、技術仕事に対する変位仕事の割合を増加させる。技術損失を低く保つために、歯車モータ13−1は特別なシール部材を持たない。特に歯車の側面と外周におけるシール間隔は、漏れを少なくするために、数マイクロメートルのオーダーと非常に狭い。シール間隔の大きさは、図4に示すように、装置が容積及び機械効率を近似的に最大とするように定められる。ここでは、高い容積効率は小さな漏れ損失を意味し、高い機械効率は歯車の小さな摩擦損失を意味する。これは、容積効率が例えば60%(つまり漏れが全圧力値の40%となる)と低くてもよいことを示している。この残存する60%の圧力値から変位仕事によって約70%が用いられうる。全体では全圧力値のおよそ42%が出力として用いられうる。歯車モータ13−1では、仕事を得るために漏れ損失がさらに補助的に用いられる。特に、歯車頂43と歯車側部での流れは、図5に示すように、補助的な駆動モーメントとして作用する。この事象は流体機械における事象と比較される。もし大きな値が騒音及び脈動の少ない流れにあるならば、歯車頂部において相対的に大きな冷媒の漏れが許容される。
【0016】冷媒流量は、そこで出力モーメントが対応して調節される歯車モータ13−1によって制御される。高い出力モーメントは低い回転数と低い冷媒流量を引き起こす。出力モーメントは、図2に示すように、歯車モータと出力軸37を介して連結された発電機51によって発生させられる。歯車モータ13−1と発電機51は一つの耐圧容器内に一体化させることができる。出力軸37はコンプレッサ11とも連結できる。この場合、歯車モータによって生じる仕事は冷媒の圧縮に使用される。
【0017】図6及び7は膨張機構13の第2実施例を示す。膨張機構13である外接歯車モータ13−2は、高圧室61、低圧室62、ピストン63及びロッド64を有するシール機構を備える。高圧室はピストン63によって低圧室62から区画されている。高圧導入孔65は高圧室61に歯車モータ13−2の入口圧を付与する。低圧室62内は軸受40への低圧導入孔66を介して歯車モータ13−2の出口圧がかかっている。歯車軸70の軸受は図示しない接続通路を介して出口圧下とされている。室61,62間の圧力差によって、ロッド64を介してピストンから軸方向に軸受40へと力が作用する。軸受40及び41は眼鏡状を呈しており、ハウジング31内において軸方向に滑り可能に収容されている。先の軸方向の力により、歯車35,36はその側面を持って軸受40,41に対して押圧されている。従って、シール間隔は小さく保たれる。
【0018】二酸化炭素を冷媒として用いる遷移臨界圧縮式冷凍機のプロセスは以下のように進行する。第1に、圧縮機11による冷媒の等エントロピー圧縮であり、冷媒の圧縮に際して冷媒温度は上昇する。第2に、ガスクーラー12による熱エネルギーの等圧変化であり、冷媒はガスクーラー12へと流れ込み、等圧下で冷却される。第3に、冷媒の膨張であり、歯車モータ13において圧力低下が生じる、第4に、冷媒は蒸発器14へと流れ込み、冷媒の液体部分は蒸発し、外部から熱エネルギーを奪い去る。
【0019】歯車モータ13−1,13−2によって以下のような有利な点が得られる。第1に、高い容積効率及び高い機械効率が得られる。例えば弁などでは冷媒ガスの交換制御機構を欠くために、膨張機構にたいする冷媒の流入及び流出時において冷媒流の圧力損失が少ない。つまり、冷媒ガスの交換機構の開閉のための仕事が用いられていない。本実施例の膨張機構は、両歯車のかみ合いに際して冷媒が大幅に移送され、従ってわずかな死容積しか生じないように構成されている。もし冷媒が大きな死容積のもとで流れ込むようであれば、そこでは仕事が生じることなく既に膨張は生じているであろう。油圧式の歯車機構においては、通常のシール原理が歯車側面と歯車頂部に対して軸方向に移動可能な眼鏡状軸受けによって適用されている。
【0020】第2に、ガス交換機構(弁)を欠くためと回転毎に噛み合う複数の歯のために、とても静かで脈動の少ない運転が可能である。この点は特に、膨張機構が用いられる冷凍機器が家庭用や自動車用エアコンとして用いられる場合に重要となる。
【0021】第3に、膨張機構を小さくコンパクトな構成とできる。冷凍機器においては、通常、膨張機構が占めることのできるスペースが極めて狭く制約されており、この点においてコンパクトな膨張機構は有利である。
【0022】第4に、膨張機構を低コスト且つ少ない部品点数で製造することが可能である。この点は、特に膨張機構が用いられる冷凍機器において重要となる。膨張機構は、割安な膨張弁に対向するために安価でなければならない。その他の膨張機構、例えば軸移動型ピストンモータなどでは、明らかに製造コストが高い。
【0023】以上の実施例においては、膨張機構として外接歯車モータの例を説明したが、内接歯車モータなどあらゆる種類の歯車モータを膨張機構として用いることができる。単一のあるいは複数の歯車モータを、冷凍回路中において高圧側と低圧側との間に、直列又は並列に配置することができる。膨張機構と前後して或いは並列に、例えば開口径を異ならせた弁などの絞り弁のような膨張器を配置することもできる。
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成11年9月9日(1999.9.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−88373(P2000−88373A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平11−255741