| 【発明の名称】 |
アンモニア冷凍装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】笠原 敬介
【氏名】川村 邦明
【氏名】開米 貴
【氏名】矢野 久
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| 【要約】 |
【課題】アンモニア冷媒と相溶性が極めて良好で、しかも潤滑性および安定性にも優れた潤滑油とアンモニア冷媒とを混合してなる冷凍機用作動流体組成物を用いた冷凍装置の提供。
【解決手段】アンモニア冷凍サイクル中にアンモニア冷媒の蒸発温度でも2層分離することのないアンモニア冷媒とその中にある潤滑油で構成される作動流体組成物を含み、前記アンモニア冷媒内でのアンモニア冷媒と潤滑油の比率は、その重量比が、70:30から97:3であることを特徴とし、特に前記圧縮機側に供給される作動流体組成物内の潤滑油の重量は少なくとも10%あり、圧縮機を介してアンモニア冷媒に導入される潤滑油の配合割合はその重量比が7%以下になるように設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含む冷凍サイクルにより、冷凍若しくはヒートポンプサイクルを構成したアンモニア冷凍装置において、前記冷凍サイクル中にはアンモニア冷媒の蒸発温度でも2層分離することのないアンモニア冷媒とその中にある潤滑油で構成される作動流体組成物を含み、前記サイクル内でのアンモニア冷媒と潤滑油の比率は、その重量比が、70:30から97:3であることを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項2】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、冷媒圧縮機側に供給される作動流体組成物内の潤滑油の重量は少なくとも10%あり、圧縮機を介してアンモニア冷凍サイクルに導入される作動流体組成物内の潤滑油の配合割合はその重量比が7%以下になるように設定したことを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項3】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、前記凝縮器で凝縮後のアンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を冷媒と潤滑油を分離させることなく膨張弁又は/及び中間冷却器に導入したことを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項4】 請求項3記載のアンモニア冷凍装置において、前記膨張弁若しくは中間冷却器通過後のアンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を、蒸発器上端側に設けた導入口より底側に設けた排出口側に向けトップフィードで導入可能に構成したことを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項5】 前記蒸発器より導出された、アンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を、凝縮器で凝縮後の作動流体組成物の保有熱と熱交換させた後、圧縮機側に導入可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のアンモニア冷凍装置。 【請求項6】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、平均粒径が150Å以下の超微粒ダイヤモンドを前記潤滑油中に添加していることを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項7】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、前記潤滑油の基油が、ポリオキシアルキレングルコ−ルの末端のOH基の水素の少なくとも一部が、炭素数1−6の炭化水素基によって封鎖されている1種又は2種以上のポリエーテル化合物であることを特徴とする冷凍若しくはヒートポンプサイクルを構成するアンモニア冷凍装置。 【請求項8】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、密封型アンモニア圧縮機と、固定子と回転子からなる耐圧密封型電動機を直結して構成されており、該電動機側に回転子の周囲に位置する固定子鉄心内周面側に、機密性シール部を介して前記回転子と所定空隙介して囲繞すると共に、前記回転子空間と圧縮機間に前記組成物が導通可能な導通部を設けていることを特徴とするアンモニア冷凍装置。 【請求項9】 請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、密封型アンモニア圧縮機と電動機を直結して構成され、前記電動機側に回転子の周囲に位置する固定子鉄心を耐圧密封構造体容器として構成すると共に、該固定鉄心の巻線挿入後の開溝の回転子と対面する前面側にシール部材を配設し、該シール部材を介して前記開溝内を機密シール可能に構成していることを特徴とするアンモニア冷凍装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニアを主成分とする冷媒を用いた、冷凍サイクル若しくはヒートポンプサイクルを構成するアンモニア冷凍装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より冷凍及びヒートポンプ装置(以下冷凍装置という)の冷媒としてフロンが広く用いられていたが、フロンは大気中に放出され蓄積されると、太陽の紫外線によって分解して塩素原子を生じ、地球を太陽の強い紫外線から守る働きを持つオゾン層を破壊することから、その使用が制限されるようになってきた。そこで、近年フロンの代替冷媒としてのアンモニアが見直されてきている。 【0003】即ちアンモニア冷媒はフロンの様な地球環境破壊の恐れはなく、その冷凍効果はフロンに勝るとも劣らず、而も安価である。しかし、アンモニアは毒性、可燃性、圧縮機の潤滑油として使用する鉱物油に非溶解性であり、さらに圧縮機よりの吐出温度が高い等の欠点を有するために、これらの欠点により不具合が生じないような冷凍システム構成がとられている。 【0004】その具体的構成を図6に基づいて説明するに、50は蒸発器側で例えば−10℃、凝縮器側で+35℃前後の熱を得るための単段圧縮タイプの直接膨張式冷凍システムであり、その構成を作用を中心に説明すると、冷媒圧縮機51で圧縮された油混合アンモニア冷媒は、油分離器52で油分離した後、凝縮器53内で冷却水64との熱交換(取得熱:35℃前後)により凝縮器53内で凝縮液化される。そして該凝縮時に液化分離した油を更に高圧受液器54底部に設けた油溜め55で分離した後、アンモニア冷媒を膨張弁56により減圧気化させ、蒸発器57内でファン58より供給された送風負荷と熱交換(取得熱:−10℃)した後、更にアンモニア液/油分離器59を介して圧縮機51の吸気側に吸引され前記冷凍サイクルを繰り返す。 【0005】そして前記油分離器52、受液器底部の油溜め55及び蒸発器57の底部に溜まった油はいずれも油抜き弁60a、60b、60c、60dを介して油受液器61に溜まり、再度圧縮機51の油噴射部52aより前記圧縮機52内に戻入され、可動部分の潤滑、シール及び冷却等を行なう。尚、前記冷凍装置50は凝縮器53側より熱を取り出すことによりヒートポンプ装置として応用できることは周知であり、従ってこれらを総称して冷凍装置という。 【0006】さて前記潤滑油には一般にパラフィン系、ナフテン系等の鉱物系潤滑油を用いているが、これらの潤滑油はアンモニアと溶解しない為に、前記圧縮機の吐出側に油分離器を設け、前記圧縮機より吐出されたアンモニアガスと潤滑油を分離し、更に前記分離器を設けていてもミスト状化した潤滑油を完全に取り切れず、又、前記圧縮機の吐出側は高温化しているために、アンモニア中に潤滑油が僅かに溶解若しくはミストが混入し、該アンモニアに同伴して冷凍サイクル内に入り込み、そしてサイクル内に入り込んだ潤滑油は、アンモニアに対し非溶性で且つ比重が重い為に、前記サイクルの配管経路に溜まりやすく、この為前記高圧受液器54の底部、蒸発器57の下部入口側に夫々油抜き部55、60を、又圧縮機51の吸気側にも油分離器59を設けねばならず、而もこれらの分離油は油受液器61で回収した後、再度圧縮機側に戻す必要があり、構成が極めて煩雑化する。 【0007】又、前記のように潤滑油が冷媒に対し非溶性であることは、凝縮器53や蒸発器57内の熱交換コイル壁面に前記油が付着し伝熱効率が低下するのみならず、特に低温度の蒸発器においては、油の粘度が高くなり且つ油抜き流動性が下がり、伝熱効率が一層低下する。この為、前記非溶性の油を蒸発器57の入口側で極力分離する必要があるが、それには膨張弁56通過後の減圧冷媒を蒸発器57の上方より導入しようとすると、例え特別な分離器を用いても比重差により蒸発器57内に入り込むのを防ぐことが出来ず、この為前記構成のシステムにおいては蒸発器57の底側に導入部を設けたいわゆるボトムフィード構造を取らざるを得ない。 【0008】しかしながらボトムフィード構造を取ると、必然的に冷媒を蒸発器57の高さに対応する重力に抗して蒸発器上端より排出可能な、いわゆる満液構造を取らざるを得ず、結果として冷凍サイクル内に多くの冷媒を必要とする。 【0009】さて前記したアンモニア冷凍システムはその使用限界が−20℃前後であるが、近年産業用プロセスの温度が著しく低下し、特に食品業界においては解凍時の脂肪の融出防止その他の品質保持の面より要求冷凍温度が−30℃から以下が殆どであり、特にマグロ等の高価格食品においては凍結保存温度は−50℃〜−60℃と大幅に低くなっている。そしてこの様な凍結温度は前記の様な単段圧縮機では得ることが出来ず、通常は2段圧縮機を用いているが、前記従来技術の様に、前記蒸発器温度が−40℃以下に冷却した場合、後記表3に示すように、潤滑油の流動性が大幅に低下し、蒸発器内に詰まり等が生じやすい。 【0010】かかる欠点を解消する為に、図7に示す様な極低温アンモニア二段圧縮式液ポンプ再循環システムが提案されている。その構成を前記従来技術の差異を中心に簡単に説明するに、高圧受液器54より液管66に排出された凝縮液は膨張弁67により中間冷却器68内を冷却し、一方前記液管66の終端側は、中間冷却器68内の過冷却管69内に導入され、該過冷却管69内で−10℃前後に冷却した後、膨張弁74により減圧気化させて低圧受液器70内に導入する。 【0011】この結果、前記受液器70内には−40〜−50℃以下に冷却された冷媒液が貯溜されることになる。そしてこの冷媒液を液ポンプ71及び流量調整弁72を介して蒸発器73に導き、該蒸発器73内でファン74より供給された送風負荷との熱交換(取得熱例:−40℃)により蒸発した冷媒は、再度低圧受液器70内に導入されて冷却且つ凝縮液化される。 【0012】一方前記低圧受液器70内の気化冷媒は、低段圧縮機75に吸入され且つ圧縮されてその圧縮ガスは中間冷却器68内で冷却されて、中間冷却器68内の熱交換用過冷却管69に導入されて前記液管66よりの凝縮冷媒を−10℃前後に過冷却し、膨張弁74により減圧気化させて低圧受液器70内に導入する。そして中間冷却器68内の気化冷媒は、高段圧縮機51’で圧縮されて前記サイクルを繰り返す。そして前記高圧受液器54、中間冷却器68、低圧受液器70のいずれの底部にも油溜まり55,68a,70aを設け、これらの分離油は油受液器61で回収した後、再度圧縮機51’、75側の油噴射部51a,75aに戻す。尚、図中76は液面フロート弁である。 【0013】しかしながらかかる従来技術においても、油回収構成の煩雑化や、伝熱効率の低下等の基本的な欠点が解消されないのみならず、特に前記低圧受液器70側では、−40〜−50℃に冷却された冷媒液が貯溜されることになる為に、その油溜めに貯溜された潤滑油も同じく−40〜−50℃前後に冷却され、流動性が大幅に低下し前記油抜きを行なうには油の温度を一時的に上げねばならず、結果として冷凍サイクルの連続運転に支障が生じ、前記油が所定量貯溜される毎に前記サイクルを停止し油回収を図るためのメンテナンスが必要となる。 【0014】一方、家庭用の冷蔵庫や空調機には密閉型圧縮機が多く採用され、従来からジクロロジフルオロメタン(R12)やクロロジフルオロメタン(R22)などのCFCやHCFC冷媒が使用され、将来は塩素を含有しないHFC例えば1、1、1、2−テトラフルオロカ−ボン(R134a)などが使用されることになっているが、かかるフロンガスは高価であり、一方アンモニアは前記フロンに比較して安価で、しかも熱伝達率がよい、冷媒としての許容温度(臨界温度)や圧力が高い、水に溶解する為膨張弁の詰りがない、蒸発潛熱が大きく冷凍効果が大きい等の理由によりアンモニアの採用が有利であるが、密封型圧縮機は電動機と圧縮機を一体的に密封する構造の為に、アンモニア自身が銅系統の材料に腐触性を有するために使用不可能であり、且つアンモニアと潤滑油が非溶融性の為に、油のみの回収循環が極めて困難等の理由により現状では使用できない。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記アンモニアと優れた溶解性を持ち、しかも長期間使用によっても品質的に劣化をしない潤滑油が開発されれば、前記問題点の殆どの部分が解決される。そしてこの様な相溶性を有する潤滑油はフロンの分野では既に提案されており、例えば多価アルコールのエステルや、ポリオキシアルキレングリコール系化合物が知られているが、アンモニア冷媒用としては例が無い。アンモニアは反応性が強いため、エステルは加水分解が少しでも起こると、酸アミドを形成してスラッジ析出の原因になるし、アンモニアとの溶解性が劣る為に、これらの潤滑油をアンモニア冷媒と組合せて使用することは困難である。 【0016】本発明はかかる技術的課題に鑑み、アンモニア冷媒と相溶性が極めて良好で、しかも潤滑性および安定性にも優れた潤滑油とアンモニア冷媒とを混合してなる冷凍機用作動流体組成物(以下単に作動流体組成物という)を用いた場合に好適な冷凍装置を提供することにある。又、本発明の他の目的は、更に一歩進めて前記したアンモニアの持つ欠点をも解消し得る冷凍装置を提供することにある。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明は請求項1に記載したように、冷凍サイクル若しくはヒートポンプサイクルを構成するアンモニア冷凍装置における冷凍サイクル中にはアンモニア冷媒の蒸発温度でも2層分離することのないアンモニア冷媒とその中にある潤滑油で構成される作動流体組成物を含み、前記冷凍サイクル内でのアンモニア冷媒と潤滑油の比率は、その重量比が、70:30から97:3であることを特徴とするアンモニア冷凍装置にあり、好ましくは請求項2記載のように、冷媒圧縮機側に供給される作動流体組成物内の潤滑油の重量は少なくとも10%あり、圧縮機を介してアンモニア冷媒に導入される作動流体組成物内の潤滑油の配合割合はその重量比が7%以下になるように設定したことを特徴とする。 【0018】更に請求項1記載の発明は、前記凝縮器で凝縮後のアンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を冷媒と潤滑油を分離させることなく膨張弁又は/及び中間冷却器に導入するのがよく、更に好ましくは、前記膨張弁若しくは中間冷却器通過後のアンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を、蒸発器上端側に設けた導入口より底側に設けた排出口側に向けトップフィードで導入可能に構成するのがよい。 【0019】又、請求項5に記載のように、前記蒸発器より導出された、アンモニア冷媒と潤滑油が溶解した作動流体組成物を、凝縮器で凝縮後の作動流体組成物の保有熱と熱交換させた後、圧縮機側に導入可能に構成してもよい。この場合において、平均粒径が150Å以下、好ましくは50Å以下の超微粒ダイヤモンドを前記潤滑油中に添加するのがよい。 【0020】請求項8記載の発明は、前記請求項1記載のアンモニア冷凍装置の圧縮機側を特定したもので、密封型アンモニア圧縮機と、固定子と回転子からなる耐圧密封型電動機を直結して構成されており、該電動機側に回転子の周囲に位置する固定子鉄心内周面側に、機密性シール部を介して前記回転子と所定空隙介して囲繞すると共に、前記回転子空間と圧縮機間に前記組成物が導通可能な導通部を設けていることを特徴とする。 【0021】又、請求項9記載の発明も、前記請求項1記載のアンモニア冷凍装置の圧縮機側を特定したもので、密封型アンモニア圧縮機と電動機を直結して構成され、前記電動機側に回転子の周囲に位置する固定子鉄心を耐圧密封構造体容器として構成すると共に、該固定鉄心の巻線挿入後の開溝の回転子と対面する前面側にシール部材を配設し、該シール部材を介して前記開溝内を機密シール可能に構成していることを特徴とする。 【0022】又請求項1記載のアンモニア冷凍装置において、好ましくは前記潤滑油の基油が、ポリオキシアルキレングルコ−ルの末端のOH基の水素の少なくとも一部が、炭素数1−6の炭化水素基によって封鎖されている1種又は2種以上のポリエーテル化合物であることを特徴とするものである。この場合、前記アンモニア冷媒と潤滑油とは前もって混合して作動流体組成物となしてもよく、又夫々別個に冷凍若しくはヒートポンプサイクル中に充填し、該サイクル中で作動流体組成物を構成してもよい。 【0023】即ち、特定の構造を有するポリオキシアルキレングルコ−ルの末端OH基をOR基で置換したエーテル化合物(以下単にポリエーテルと称する)が、アンモニアとの相溶性に優れ、アンモニア存在下でも優れた潤滑性および安定性を発揮することを見出した。 【0024】このようなエーテル化合物とは例えば下記の化学式(I)の化合物を潤滑油の基油とするアンモニア圧縮機用潤滑油とアンモニアとの混合物よりなる作動流体組成物が上げられる。 R1 -[-O-(PO)m-(EO)n-R2 ]x (I) (一般式(I)において、R1 は炭素数1−6の炭化水素基、R2 は炭素数1−6個のアルキル基であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、xは1−4の整数、mは正の整数であり、nは0または正の整数である。) 又、本発明の潤滑油は第1発明のみに限定されることなく、アンモニア冷媒に容易に溶解し得、且つ冷媒の蒸発温度でも2層分離することのない潤滑油であればよい。 【0025】更に前記一般式(I)の化合物を基油とする潤滑油は必ずしもアンモニアと相溶させる作動流体としてのみ用いるものではなく、アンモニア圧縮機の潤滑油として単独に用いることも出来る。前記一般式(I)で表わされる化合物について詳細に説明する。前記式(I)の化合物は、いわゆるポリオキシアルキレングリコール系化合物と総称され、これをHCFCあるいはCFCを冷媒とする冷凍機用潤滑油として使用する例は多数知られている。例えばUS4948525(対応日本出願:公開公報2−43290、同2−84491)には、一般式R1−(OR2)a−OHの構造のポリオキシアルキレングリコールモノエーテル(R1は炭素数1−18のアルキル基、R2はC1−C4のアルキレン基)、US4267064(対応日本出願:公告公報61−52880)やUS4248726(対応日本出願:公告公報57−42119)に、R1−[O−(R2O)m−R3]nやR1−O−(R2O)m−R3の構造のポリグリコール(R1,R3は水素、炭化水素基、アリ−ル基)が、US4755316(対応日本出願:公表公報2−502385)に、少なくとも2個の水酸基を有するポリアルキレングリコールが、US4851144(対応日本出願:公開公報2−276890)に、ポリエーテルポリオ−ルとエステルの組合せが、US4971712(対応日本出願:公開公報3−103497)にEOとPOを共重合して、水酸基1個を有するポリオキシアルキレングリコールが紹介されている。これらいずれもHFCやHCFCとの溶解性に優れることが述べられている。 【0026】一方、HFC用圧縮機用潤滑油として、R1−O−(AO)n−H、R1−O−(AO)n−R2の構造のポリオキシアルキレングリコールモノエーテル、ポリオキシアルキレングリコールジエーテルに関する特許、日本公開公報1−259093、同1−259094、同1−259095、同3−109492が存在する。 【0027】しかしながら、これら公知文献には、アンモニアとの関係については何ら記載されていない。HFCやHCFCは不活性であり、一方アンモニアは反応性が大きいこと、溶解性も両者全く異なるため、アンモニア冷媒との共存下で使用する本発明の完成には、これら情報は参考にならない。 【0028】また、アンモニア冷媒に関して、"Synthetic Lubricant and Their Refrigeration Applications", Lubrication Engineering,Vol.46, No.4, Page239-249 に、アンモニア冷媒の潤滑油として、高粘度指数のポリα−オレフィン及びイソパラフィン系鉱油が有用であり、エステルはスラッジを生成し、長期使用で固化すると記載されており、US4474019(対応日本出願:公開公報58−106370)にはアンモニア冷媒の冷凍システムの改良について記述されている。しかし、これらの公知文献にもアンモニア冷媒とポリエーテル化合物との関係については何も記載されていない。 【0029】一般式(I)のポリエーテルは、潤滑油として必要な粘度を有するものであり、用途により40℃で22−68cSt,100Cで5−15cStの粘度を有するものである。この粘度に大きく影響する要因は分子量であり、上記粘度に設定するためには分子量は300−1800が好ましい。 【0030】一般式(I)のポリエーテルは、R1およびR2によって全ての末端が封鎖されているポリエーテルである。ここでR1 は炭素数1−6を有する炭化水素基である。ここで炭化水素基とは、以下の(i)あるいは(ii)を意味する。すなわちR1 は、(i)飽和の直鎖あるいは分岐のC1−C6鎖状炭化水素基、具体的にはC1−C6の脂肪族1価アルコ−ルから誘導されるC1−C6のアルキル基、すなわちメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基のいずれかであるが、特に2層分離温度を低下させる観点からは、炭素数が1−4、更に好ましくは炭素数1−2のアルキル基すなわちメチルまたはエチル基、あるいは、(ii)2−4価の飽和脂肪族多価アルコ−ル、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールから誘導される炭化水素残基、すなわちこれら2−4価アルコ−ルが有する2−4個の水酸基の水素が全て置換された炭化水素基を意味する。したがって、一般式(I)のxは、前記R1 の炭化水素基の基になるアルコ−ルの価数に対応した1−4の整数である。アンモニアとの溶解性を特に高めるためには、xは1で、R1はメチルあるいはエチル基が好ましい。 【0031】またR2 は炭素数1−6個のアルキル基である。7以上のアルキル基では、アンモニアとの2層分離温度が高くなる。R2 が炭素数1−4、さらには1−2の場合、アンモニアとの相溶性、すなわち2層分離温度は一層低下するので好ましい。xが2−4の場合、R2 は2〜4個のアルキル基をとり、該アルキル基は同一であっても異なっていても良く、また好ましい相溶性を維持するのは、R2 は1−4、特には1−2が好ましい。概してR1 及びR2 の炭素数が多くなるとアンモニアとの2層分離温度は高くなる傾向にあるから、良好な相溶性を維持するには、R1 とR2 の炭素数の合計は10以下、より好ましく6以下、更に好ましくは4以下、最も好ましくは2である。なおR1あるいはR2の一方もしくは両方が水素の場合、アンモニアとの反応でスラッジを生成してしまう。 【0032】一般式(I)の化合物を合成する際に、1−4価アルコ−ルの水酸基が、一部分でも未反応のままで残存するなら、得られたポリオ−ルは、長期間使用する間で、スラッジを生成するため、好ましくない。したがってアルコ−ルの水酸基は可能な限り残存しないこと、具体的には、一般式(I)の化合物の水酸基価は10mgKOH/g以下、更には5mgKOH/g以下が好ましい。 【0033】前記のとおり、一般式(I)で表わされるポリエーテル化合物を基油とする潤滑油の粘度は、40℃で22−68cSt,100Cで5−16cStである。この粘度はアンモニア共存下で良好な潤滑性を維持のために必要である。またアンモニアとの良好な溶解性の維持のためには、平均分子量は、300〜1800が好ましく、平均分子量が300未満では、粘度が低くなり、良好な潤滑性が得られず、一方、1,800を超えると、アンモニアとの相溶性が悪くなる。該平均分子量の制御は、R1 、R2 の他、重合度m及びnを適宜選択することによって達成される。 【0034】さらにはオキシプロピレン基の重合度(m)及びオキシエチレン基の重合度(n)の相対割合、すなわちm/(m+n)の値が、潤滑性、低温流動性およびアンモニアとの相溶性に重要である。すなわちmに対して、nが大き過ぎると、低温流動点が高くなったり、アンモニアとの相溶性が低下する。この観点からm/(m+n)の値は0.5以上が好ましい。nが0の一般式(I)の化合物は、アンモニアとの相溶性も潤滑性も良好である。しかしながらオキシプロピレン(PO)の単独重合体よりも、オキシプロピレン(PO)とオキシエチレン(EO)との共重合体で、しかもm/(m+n)を0.5以上にしたポリエーテルは、相溶性を良好に保持しながら、潤滑性が一層向上したものになる。一方、オキシエチレンのみ、あるいはオキシエチレンをオキシプロピレンより多量に重合したポリエーテルは、流動点及び吸湿性が高くなり、注意を要する。アンモニアとの相溶性、潤滑性、流動性の見地から、m/(m+n)の値の好ましい範囲は0.5〜1.0、より好ましくは0.5〜0.9、更に好ましくは0.7−0.9である。 【0035】また、オキシエチレンとオキシプロピレンの共重合体は、一般式(I)において便宜上ブロック共重合体が表示されているが、実際にはブロック共重合体に限らず、ランダム共重合体でも交互共重合体でも構わない。また、ブロック共重合におけるオキシエチレン部分とオキシプロピレン部分の結合順序は、どちらが先であっても、つまりR1 とどちらが結合してもよい。なおオキシブチレンなど炭素数4以上のオキシアルキレンを重合したポリエーテル化合物は、アンモニアと相溶しないため好ましくない。 【0036】次にアンモニア冷媒との相溶性すなわち2層分離温度の設定は、使用される用途に基づいて決定される。例えば極低温冷凍機には、2層分離温度が−50℃以下の潤滑油が必要であり、通常の冷蔵庫では−30℃以下であれば充分であり、空調機では−20℃以下の潤滑油でよい。特に2層分離温度が低いものが必要な場合、R1はメチル基が最も好ましい。 【0037】一般式(I)の化合物は、単独もしくは2種以上を混合して組み合わせて用いることが出来る。例えば分子量800−1000のポリオキシプロピレンジメチルエーテルと分子量1200−1300のポリオキシエチレンプロピレンジエチルエーテルを、それぞれ単独あるいは10:90−90:10(重量)などの混合物で、40℃粘度が32−50cStが例示される。 【0038】一般式(I)のポリエーテル化合物は、炭素数1−6の1−4価のアルコール又はそのアルカリ金属塩を出発原料として、炭素数2−3のアルキレンオキサイドを重合させ、鎖状のポリアレキレン基の一方の端がエーテル結合により前記原料アルコールの炭化水素基に結合し、他方の末端が水酸基であるエーテル化合物を得た後、この水酸基をエーテル化することにより得ることができる。末端に水酸基を有するエーテル化合物の水酸基をエーテル化するには、金属ナトリウムなどのアルカリ金属やナトリウムメチラートなどの低級アルコールのアルカリ金属塩を反応させて、前記エーテル化合物のアルカリ金属塩を得た後、該アルカリ金属塩に炭素数1−6のアルキルハロゲン化物を反応させる方法、あるいはエーテル化合物の水酸基をハロゲン化物に変換した後、炭素数1−6の1価アルコールを反応させる方法などがある。 【0039】従って、必ずしもアルコールを出発原料とせずに、両末端に水酸基を有するポリオキシアルキレングリコールを出発原料に用いることもできる。いずれにせよ、一般式(I)のポリエーテル化合物は、公知の適宜の方法で製造すればよい。 【0040】従って前記冷凍機油は、アンモニアと極めて広い混合割合で安定的に溶解する。またアンモニア存在下で、良好な潤滑性発揮する。又、更に後記するように、ダイヤモンドクラスタ等の添加材を加えることにより、前記潤滑性を確保した状態で潤滑油の混合割合を更に低下させることが出来る。したがって本発明の冷凍機用潤滑油は、一般式(I)で表される化合物を基油とするものであり、また本発明の冷凍及びヒートポンプサイクルに循環する作動流体組成物は、アンモニアと一般式(I)のポリエーテル化合物が、98:2(重量比)以上の混合割合がよい。 【0041】又本発明の潤滑油および冷凍機用作動流体組成物には、各種の添加剤、例えばトリクレジルホスフェート等の耐荷重向上剤、アミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系金属不活性化剤、シリコーン類の消泡剤等を必要に応じて添加することが出来るが、アンモニアとの反応で固形物を形成しないものを選択すべきである。したがってフェノ−ル系酸化防止剤は使用できない。又、アンモニアと反応する危険のある潤滑油、例えばポリオールエステルは混合すべきでなく、又アンモニアと溶解しない鉱油系潤滑油も混合すべきでない。 【0042】次に前記作動流体組成物を用いた本発明について詳細に説明する。本発明は、アンモニア冷媒と、該アンモニア冷媒に溶解し得且つ冷媒の蒸発温度でも2層分離することのない潤滑油とを冷凍装置内に充填させるとともに、前記両者の充填比がアンモニア冷媒に対し潤滑油を2重量%以上充填させて冷凍若しくはヒートポンプサイクルを構成するものである。アンモニアと潤滑油の割合は、圧縮機の種類により異なるが、基本的には潤滑性能を維持する限りにおいて、極力潤滑油を少なくするのが伝熱効率を上げる上で好ましい。例えば回転圧縮機を用いた本発明における冷凍装置においては、一般的にはアンモニア冷媒と潤滑油との充填重量配合比を、70〜97:30〜3程度に設定しても充分なる潤滑性と冷凍能力を得ることが出来、更に後記するよう性能の大幅向上につながる。 【0043】即ち、潤滑油が3%以上溶解しておれば、油の溶解が圧縮機の滑動部に入りやすくかじりが少なくなるとともに冷凍サイクル構成が極めて簡単化する。而も前記作動流体組成物を構成する潤滑油中に少なくとも平均粒径が150Å以下、好ましくは平均粒径が略50Å以下の超微粒ダイヤモンド若しくはグラファイトに被覆された超微粒子ダイヤモンドを添加することにより、前記潤滑油の配合割合を略2%程度まで落としても問題が生じない。 【0044】そしてこの様なダイヤモンドは、例えば(NEW DAIAMOND 1991 VOL8 No.1,新しい爆発法による超微粒子ダイヤモンドパウダの特性とその応用)に記載されているように、不活性ガスを満した爆発室の中で爆発性物質を爆発させて合成させた超微粒子ダイヤモンドを精製して得られるクラスタダイヤモンドや該クラスタダイヤモンドにグラファイトが被膜されている炭素クラスタダイヤモンドを用いるのがよく、これを前記潤滑油中に2〜3重量%添加することにより、前記作動流体中の潤滑油の配合割合を2重量%にまで低減させることが可能となる。 【0045】又前記潤滑油は冷媒の蒸発温度でも2層分離することがなく、低温流動性に優れているために、凝縮器側は勿論蒸発器側でも熱交換コイルに分離した油が付着する恐れがなく、これにより伝熱効率が大幅に向上するのみならず、前記油回収機構や油分離器を前記冷凍サイクル中に設ける必要がなく、これにより回路構成も大幅に簡単化する。 【0046】又、圧縮機内では潤滑油は冷媒に溶解しながら摺動部に入り込み、一層のかじり防止に役立つ。この場合、前記圧縮機で圧縮後の前記アンモニア冷媒と潤滑油とを混合してなる作動流体組成物を油回収器を介在させることなく冷凍及びヒートポンプサイクルを循環させるよう構成してもよい。この場合、前記潤滑油の充填比が10重量%以上でも圧縮機内である程度の潤滑油が貯油されるために、冷凍サイクル中の潤滑油の配合割合を特に蒸発器内の作動流体組成物の潤滑油の配合割合を7%以下に設定することが出来、より好ましい伝熱効率を得ることが出来る。 【0047】又前記圧縮機で圧縮後の前記作動流体組成物中の潤滑油の一部を圧縮機側に戻入可能に構成してもよい。特に後者の場合は、圧縮機側では潤滑油の配合比を多くし、循環サイクル、特に蒸発器側に導入される潤滑油の配合比を極力少なくすることが容易となる。勿論本発明は、単段圧縮タイプの冷凍装置においても、又2段圧縮タイプの冷凍装置にも適用可能である。 【0048】又、前記組成物が冷媒の蒸発温度以下でも優れた潤滑性と相溶性を有する為に、膨張弁若しくは中間冷却器通過後の組成物を蒸発器の上方より導入するトップフィード構造を取ることが出来、これによりいわゆる満液構造を取る必要がなく冷媒(組成物)のサイクル循環量の低減と高い冷凍効果を得ることが出来る。又前記組成物は冷媒の蒸発温度以下でも潤滑油と相溶性を有するが、蒸発器内の低温気化という苛酷な条件下で分離してしまう恐れがあり、而も前記蒸発器でトップフィード構成を取ると、分離した油が直接圧縮機内に導入され、ノッキングその他の問題を生じさせてしまう。 【0049】そこで前記蒸発器より圧縮機間を連絡する導入管路途中に、例えばダブルライザの様に、前記分離した油を一時貯溜する油溜まりと該油溜まり中の潤滑油を前記管路中で圧縮機に導入される作動流体組成物と再混合させる再混合部とを設けるのがよい。 【0050】さて前記構成を取ることによりアンモニアと冷媒の非溶性に対する問題は解決した。しかしながら、アンモニアの強い腐食性と導電性、特に銅材に対する腐触性の問題が解決しておらず、その解決を行なわなければ密封型圧縮機、特に家庭用の冷凍機への適用は困難である。そこで本発明はアンモニア冷媒圧縮機に電動機を直結してなる密封型アンモニア圧縮機を用いたアンモニア冷凍装置において、前記電動機側に回転子の周囲に位置する固定子鉄心内周面側に、気密性シール部を介して前記回転子と所定空隙を介して囲繞すると共に、前記回転子内空間と圧縮機間に前記組成物が導通可能な導通部を設けた技術を提案する。 【0051】かかる発明によれば巻線が装着されている固定子側は気密性シール部によりアンモニア冷媒等が流入する回転子収納空間と隔絶されている為に、前記巻線等が侵される恐れはなく、而も該回転子収納空間側は潤滑油含有組成物が流入されるために、該回転子の回転軸等の軸受部の潤滑に支障が生じる恐れがなく且つ前記両空間における流体組成物の均圧化を図ることが出来る。この場合前記気密性シール部を、回転子の周囲に囲繞する円筒状キャンで構成してもよいが、キャンを用いた場合は、固定子線輪の励磁による交番磁束は回転磁束をなして前記空隙部のキャンを透過し、固定子を回転させるが、キャンには渦電流が流れ、渦流損失を発生させ、その損失はモータ損失の半ば程度を占め、モータを加熱し、効率を低下させる。 【0052】そこで固定子鉄心を耐圧密封構造体容器として構成するとともに、該固定鉄心の内周側に絶縁性薄膜を介在させるか、該固定鉄心の巻線挿入後の開溝の回転子と対面する前面側にシール部材を配設し、該シール部材を介して前記開溝内を気密シール可能に構成してもよい。これによりキャンの有する前記欠点を解消し得ると共に、固定子鉄心自体が耐圧容器として機能する為に、キャンが不用になり、而も固定子鉄心は厚肉の界磁鉄心で形成されている為に、充分なる耐圧強度をもたすことが出来る。前記回転子の回転を圧縮機側に伝達する伝達軸部より前記組成物が漏洩可能に構成することにより電動機側の潤滑等が容易になるとともに、不完全シールであるためにその構成が容易である。 【0053】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。 【0054】先ず、潤滑油として、表1に示すポリエーテル化合物(実施例1〜8)、及び表2に示すナフテン鉱油系冷凍機油(比較例1)、分岐鎖型アルキルベンゼン(比較例2)及び(ポリ)エーテル化合物(比較例3〜8)を用い、アンモニアとの相溶性、ファレックス焼付荷重、アンモニア雰囲気下でのボンベテスト前後における試料の色相、全酸価及び外観の変化を測定して評価した。なお、表2の比較例1のナフテン鉱油系冷凍機油及び比較例2の分岐鎖型アルキルベンゼンの物性は次の通りである。 ナフテン鉱油系 分岐鎖型 冷凍機油 アルキルベンゼン 密度 0.888 0.870 動粘度 cSt (100℃) 4.96 4.35 引火点 ℃ 180 178【0055】また、本発明の組成物の評価等に用いた各種試験方法の概要は次の通りである。 平均分子量:重量平均分子量をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した。 動粘度:JISK 2283に基づいて測定した。 アンモニアとの相溶性:試料油5gとアンモニア1gをガラスチューブに封入した後、室温から毎分1℃の速度で冷却を行ない、二層分離を起こす温度を測定した。 ファレックス焼付荷重:ASTM D−3233−73に準拠してファレックス焼付荷重を測定した。 ボンベテスト:触媒として径1.6mmの鉄線3mを装填した300mlのボンベに試料油を50g入れ、アンモニアで0.6kg/cm2Gまで加圧し、さらに窒素ガスで5.7kg/cm2Gまで加圧した。その後、150℃まで加熱して、その温度にて7日間保持した。室温に冷却後、試料油からアンモニアを減圧下で除去し、テスト前後における色相及び全酸価を測定し、外観の変化を目視にて観察し、アンモニア雰囲気下での試料の安定性を評価した。なお、外観は次の基準で評価した。 変化なし:テスト前後において、外観に変化がない固化 :テスト後試料が固結した【0056】前記試験の結果を表1及び表2に示す。 【0057】 【表1】
【0058】 【表2】
【0059】表1及び表2から実施例1乃至8のポリエーテル化合物は、アンモニアとの相溶性、潤滑性、及びにアンモニア雰囲気下での安定性に優れていることが分かる。このようなポリエーテル化合物とアンモニアの混合物は、アンモニア圧縮機に充填、使用されてその機能を十分に発揮する。その結果アンモニア圧縮機をコンパクト、メンテナンスフリーなものとすることができ、アンモニア圧縮機の用途を広げる等の格別の効果を有する。 【0060】しかしながら、表2に示すナフテン鉱油系冷凍機油、分岐鎖型アルキルベンゼン及び比較例3〜8の各(ポリ)エーテルは室温で不溶であるか、若しくは−50℃の低温で相溶性を有していてもボンベテストで個化することが分かる。この結果これらの油は圧縮/凝縮/膨張を繰り返す冷凍サイクルに使用できないものである。 【0061】次にかかる潤滑油とアンモニア冷媒を混合した作動流体組成物を用いた冷凍システムについて説明する。図1は、本発明の実施例に係る単段圧縮タイプの直接膨張式冷凍装置で、冷媒としてR−717(アンモニア冷媒)及び潤滑油として前記実施例1のポリエーテルを、90重量部:10重量部の割合で冷凍サイクルに充填した一例を示す。図中11は冷媒圧縮機で、該圧縮機11で圧縮されたアンモニア冷媒と潤滑油が相溶してなる冷媒作動流体は油分離器を介することなく、直接凝縮器12に導かれ、該凝縮器12内で冷却水(冷却水管18)との熱交換(取得熱:30℃前後)により凝縮液化される。 【0062】そして該凝縮された作動液を高圧受液器14に貯溜させた後、膨張弁13により減圧気化させ、蒸発器15の上端に設けた導入口15aよりトップフィードで該蒸発器15内に導入し、ファン16より供給された送風負荷と熱交換(取得熱:−15〜−20℃前後)した後、ダブルライザ17を介して圧縮機11の吸気側に吸引され前記冷凍サイクルを繰り返す。ここでダブルライザ17とは公知の様に、蒸発器15導出部15bの出口側に設けたU字状の局部的な油溜まり172を具えた主管路171と該主管路をバイパスするバイパス管路173を有し、前記蒸発器15内の蒸発により僅かに分離した油を前記油溜まり172に油溜めを行ないながら主管路171を通して低圧吸入管19側に導くと共に、バイパス管路173を細管にして絞り抵抗を与えることにより前記主管路171が油溜めにより閉塞した場合にバイパス管路173を通過する潤滑油を含む気化冷媒の流速により閉塞した油が低圧吸入管19側に導出されて再度混合溶解した状態で圧縮機11の吸入側に導くものである。 【0063】従って係る実施例によれば、油分離器等が不用であり、而も図6に示す従来技術の様に、受液器底部に油溜めを設けることなく、又ダブルライザ17による局部的な油溜まり172を設けるも、これは再度混合溶解して圧縮機11側に導入される為に、油回収機構や、再度圧縮機11側に戻す戻入回路等が不用になり、サイクル構成が極めて簡単化する。 【0064】又本実施例は冷媒が蒸発温度以下でも潤滑油と相溶性の為に、膨張弁13通過後の減圧冷媒を蒸発器15の上方より導入するトップフィード構造を取ることが出来るために、重力に沿って蒸発器内を冷媒が通過させることが出来、これによりいわゆる満液構造を取る必要がなく、本発明者たちの実験では図6に示す従来例に比較して重量比で10%以上冷媒を少なくしても前記従来例より高い冷凍効果を得ることが出来た。 【0065】尚、本実施例においてはアンモニア冷媒と潤滑油とを、90重量部:10重量部の割合で充填しても圧縮機11中にある程度の潤滑油が貯油されるために冷凍サイクル中を循環する作動流体組成物の重量比は前記充填重量比より低下し、特に蒸発器を循環する配合比は5%以下となる為、蒸発器側の伝熱効率は一層向上する。尚、前記圧縮機は可変翼タイプのロータリ圧縮機や往復圧縮機に好適である。又本実施例においては蒸発温度を−15〜−20℃と、前記従来技術より圧縮比を高くして運転したが、このような構成を取っても作動流体が劣化したり、スラッジ化することなく、長期に亙って高信頼性を得ることが出来る。 【0066】又前凝縮器12や蒸発器15内の熱交換コイル壁面に前記潤滑油が付着することなく、伝熱効率が、ナフテン鉱油系冷凍機油を用いた図6に示す従来例に比較して60%以上も向上した。又前記作動流体を構成するアンモニアと潤滑油は水を溶解する能力があるために、フロン系冷凍サイクルの様に、シリカゲル等の除湿剤や除湿機構を設けなくてもよい。 【0067】さて前記作動流体は圧縮機11の潤滑性が低減しない範囲で冷媒の割合を多くする必要があるが、実際的には潤滑油を5重量%以下にすると、潤滑能力が低下する。そこでこの様な場合には、前記したように平均粒径が約50Å以下のクラスタダイヤモンドや該クラスタダイヤモンドにグラファイトが被膜されている炭素クラスタダイヤモンドを前記潤滑油中に2〜3重量%添加することにより、前記作動流体中の潤滑油の配合割合を更に低減させることが出来た。 【0068】又前記ダブルライザ17も例えば図3にしめすように、凝縮器14通過後の液冷媒を利用して前記蒸発器15内の蒸発により僅かに分離した油を含む作動流体組成物を熱交換器150により加温することにより前記分離油が再度組成物中に溶融し前記ダブルライザが不要になる。尚、潤滑性の向上を図るために、前記作動流体組成物の潤滑油の配合割合を多くすると共に、前記圧縮機の出口側に油分離器25と該分離器25で分離した油を再度圧縮機11側に戻す戻入回路26を設ける方策を取ってもよい。 【0069】特に、油冷式スクリュー圧縮機の場合は、前記圧縮機11の出口側に油分離器25と該分離器25で分離した油を再度圧縮機側に戻す戻入回路26を設けた法が好ましい。この場合はアンモニア冷媒と潤滑油との充填重量比が、90〜80重量部:10〜20重量部の割合で充填しても圧縮機11/油分離器25/戻入回路26の閉サイクルにおける潤滑油の配合割合を多くし、他の冷凍サイクルの潤滑油の配合割合を極力少なく、例えば圧縮機11側で潤滑油を90%以上、蒸発器15側の潤滑油の配合割合を3%以下、更には0.5%程度に設定することも可能である。 【0070】又前記表中の実施例4、6、7、8に示すように、二層分離温度が−50℃以下の潤滑油を用いて作動流体を構成することにより液ポンプ再循環システム構成を取ることなく、極低温冷凍装置を簡単に構成出来る。その構成を図2に基づいて簡単に説明するに、図2は冷媒としてR−717(アンモニア冷媒)と潤滑油として前記実施例6のポリエーテルを、95重量部:5重量部の割合で冷凍サイクル内に充填させた極低温冷凍システムで、21は低段圧縮機でそのアンモニア冷媒と潤滑油が相溶した圧縮作動流体は中間冷却器22で−10℃前後に冷却して高段側圧縮機11に導かれる。そして高段圧縮機11で圧縮された前記冷媒作動流体は直接凝縮器12に導かれ、該凝縮器12内で冷却水(冷却水管18)との熱交換(取得熱:35℃前後)により凝縮液化される。 【0071】そして該凝縮された作動液を高圧受液器14に貯溜させた後、膨張弁20により減圧気化させて中間冷却器22を−10℃前後に冷却させると共に、該冷却により液化した作動液を、蒸発器15の上端に設けた導入口15aよりトップフィードで該蒸発器15内に導入し、ファン16より供給された送風負荷と熱交換(取得熱:−50℃)した後、ダブルライザ17を介して圧縮機21の吸気側に吸引され前記冷凍サイクルを繰り返す。従って係る実施例においても、高圧受液器14や中間冷却器22内の油溜まりや油回収構成が不用になると共に、図7に示す従来技術と異なり低圧受液器と蒸発器間の冷媒液を循環させる液ポンプ再循環サイクルが不用となり、冷凍サイクル構成が大幅に簡単化される。 【0072】又本実施例に用いる作動流体組成物は表3に示すように、流動性が蒸発温度以下の−50℃でも冷媒と相溶性がよく、且つ流動性も4.5秒前後と良好なために、トップフィード構造を取ることが出来冷媒を少なくしても前記ボトムフィード構造の従来例より高い冷凍効果を得ることが出来るとともに極低温の蒸発器内での伝熱効率も向上する。 【0073】 【表3】
【0074】又蒸発器15の出口側に設けたダブルライザ等の局部的な油溜まりと再混合溶解構造を設けるのみで足りるために、油抜きの為に一時停止させることなく冷凍サイクルの連続運転を長期に亙って継続でき、これにより無人化及びフリーメインテナンス化が容易である。 【0075】さて前記構成を取ることによりアンモニアと冷媒の非溶性に対する問題は解決した。しかしながら、アンモニアの強い腐食性と導電性、特に電気銅線に対する腐触性の問題が解決しておらず、その解決を行なわなければ密封型圧縮機、特に家庭用の冷凍機への適用は困難である。その第1がキャンドモータの適用である。即ちアンモニア冷媒を用いた流体機械と直結する密封型電動機においては、固定子と回転子の間に円筒シリンダ状のキャンを嵌入固定し、キャンの外周側に位置する固定子までアンモニア冷媒が漏洩しない構成としたキャン型モータの採用が検討される。 【0076】しかしながら前記キャンは高密度の交流磁束が鎖交しており、渦電流損失及びキャンを含めた空隙における磁気抵抗を増加させて、励磁損失等による多量の熱が発生し、キャンドモータの効率を低下させる。そこでキャンを用いなくても前記固定子と回転子間を隔壁し、固定子側のアンモニアの漏洩を封止できれば特に問題が生じない。 【0077】図4及び図5はかかる構成の実施例で、電動機とスクリュー圧縮機を直結してなる密封型圧縮機の本体構成を示し、先ずスクリュー圧縮機A側の構成を説明するに、31は矢示のように前記した相溶性の作動流体を圧縮するために取入れられる吸入孔、32はスクリューロータ30により圧縮された冷媒ガスを凝縮器側に吐出する吐出口、33はこれを包被するロータハウジング、34Aは円板状の軸受ハウジング35に嵌合された軸受で、電動機B側の回転軸36をスプロケット軸嵌合させたロータ軸37aを支承する。又他側のロータ軸37bは軸受34Bに支承されている。この場合、ロータ軸37aと軸受34A間は不完全シール状態を構成し、圧縮機A側より電動機B側に作動流体組成物が導入可能に構成する。 【0078】又前記円板状の軸受ハウジング35の下側には電動機B側に流れた作動流体のリターン穴39を設け、圧縮機A側と電動機側の回転子41空間の均圧化を図る。一方、電動機B側は、前記回転軸36に固定された回転子41、該回転子41の周囲を囲繞する固定子42とを具え、そして前記固定子42は、図5に示すように、多数枚の界磁鉄心板43aを積層してなる固定子鉄心43と、該固定子鉄心43の内周面側に、軸方向に延在してなる断面コの字状の開溝44に収納させた巻線45と、前記固定子鉄心43の軸方向両側に位置する45aは巻線のコイルが延設された部分である。 【0079】そして、前記固定子鉄心43は、多数枚の界磁鉄心板43aの積層面上に絶縁性樹脂コーティング剤その他の接着剤46を塗布して気密的にシールさせるか若しくは熱溶融性の絶縁膜46を介在させて熱圧着により両者を一体的に固化させて耐圧的に気密保持させる。又更に前記固定子鉄心43の内周面側に非磁性薄板47若しくは樹脂薄膜47を圧着して被覆形成することにより前記気密性の一層の増進を図る。 【0080】そして前記固定子鉄心43は略円筒状をなし、その軸方向両端側を圧縮機A側の軸受ハウジング35に気密的に固定された外枠ハウジング48のフランジ48aと前記回転軸36の自由端側軸受29と一体化させた鏡板状ハウジング28のフランジ部28aに当接させて一体的に且つ気密的に固着させる。 【0081】かかる構成によれば前記固定子鉄心43は、その両端側を前記したように圧縮機A側に気密的に固定された外枠ハウジング48と前記回転軸36の自由端側に位置する鏡板状ハウジング28に一体的に固着されている為にこれらの部材との協動作用により耐圧容器として機能し得、従って、冷媒ガスの圧縮が20Kg/m2にも及ぶ冷凍機に対しても、十分な耐圧性を確保することが出来る。 【0082】一方、前記固定子鉄心43の開溝44に収納されている巻線45は、回転子41と同一空間内に位置している為に、不完全シール状態にある圧縮機Aのロータ軸37aと軸受34部間より電動機B内に腐触性のアンモニア冷媒を含む作動流体組成物が侵入するために、前記回転子41とともに巻線45も併せて耐蝕絶縁処理を施す必要があるが、巻線の耐アンモニア絶縁処理は中々困難である。 【0083】そこで図5(B)に示すように、前記開溝44内にバインド樹脂49を充填するとともに、その内周側に前記絶縁性樹脂薄膜47’を被覆して気密的にシールさせるか、又図5(A)に示すように、前記開溝44内にバインド樹脂を充填するとともに、前記開溝44の開口端にその両側部をテーパ状に形成したシール板27を嵌着させることにより容器内の冷媒ガス圧により前記シール板27の背面側より背圧が印加されて前記開溝44開口端を嵌着し気密的にシールすることが可能である。この結果固定子巻線44の開溝12内での固定とともに、その開口面が閉鎖されて強靱な機械的強度と耐触性並びに気密性をも同時に保持せしめることができる。 【0084】 【発明の効果】本発明によれば、アンモニアと低温でも優れた溶解安定性を有し、またアンモニア冷媒雰囲気下で優れた潤滑性を発揮し、しかも圧縮機運転中に固形物の生成もない。従って、従来のアンモニア冷媒の冷凍装置で不可欠であった油回収装置を省略することができ、そのため小型冷凍機としても適用することが可能になる。これにより装置構成の簡単化と伝熱効率の向上等、実用的に極めて有利な冷凍装置を提供し得る。特に本発明によればアンモニアの持つ潤滑油に対する非溶性とともに腐触性の解消し、これによりアンモニア密封型圧縮機を容易に提供でき、その実用的価値は極めて大である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231109 【氏名又は名称】株式会社ジャパンエナジー 【識別番号】000148357 【氏名又は名称】株式会社前川製作所
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| 【出願日】 |
平成4年11月27日(1992.11.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083024 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 昌久
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| 【公開番号】 |
特開2000−88372(P2000−88372A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平11−174191 |
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