| 【発明の名称】 |
冷凍回路および可変オリフィス装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】川口 真広
【氏名】竹中 健二
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| 【要約】 |
【課題】冷凍回路において、圧縮機の圧縮効率を損なうこと無くその圧縮機の内部機構とエバポレータとの共振による異音発生を効果的に防止又は低減すると共に、冷媒の循環流量の変化にも対応可能とする。
【解決手段】冷凍回路は、容量可変型の圧縮機1と、高圧冷媒ガスを凝縮するコンデンサ2と、凝縮して得た冷媒を減圧する減圧装置としての可変オリフィス装置3と、減圧後の冷媒を吸熱蒸発させるエバポレータ4と、エバポレータ4と圧縮機1との間に設けられたアキュムレータ5とを備えている。アキュムレータ5は消音マフラーとしても機能し、圧縮機1の内部機構の自励振動に起因する異音の発生を防止又は低減する。可変オリフィス装置3は、その装置内に設けられた絞り通路を流れる冷媒の温度に応じて絞り通路の絞り断面積を変化させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒ガスの圧縮機と、その圧縮機により圧縮された冷媒ガスを凝縮するコンデンサと、凝縮して得た冷媒を減圧する減圧装置と、減圧後の冷媒を吸熱蒸発させるエバポレータとを備えてなる冷凍回路にあって、前記エバポレータと圧縮機との間に、消音マフラーとしても機能するアキュムレータを設けると共に、前記減圧装置として、該冷凍回路における冷媒循環量の変化に対応してその装置内に設けられた絞り通路の絞り断面積を変化させる可変オリフィス装置を採用したことを特徴とする冷凍回路。 【請求項2】 前記減圧装置としての可変オリフィス装置は、その装置内に設けられた絞り通路を流れる冷媒の温度に応じて前記絞り通路の絞り断面積を変化させることを特徴とする請求項1に記載の冷凍回路。 【請求項3】 前記可変オリフィス装置は、前記絞り通路の絞り断面積を変化させるべく移動可能な可動体と、その可動体に作動連結されると共に冷媒の温度に応じて前記可動体の位置決めを行うバイメタル利用の駆動機構とを備えてなることを特徴とする請求項2に記載の冷凍回路。 【請求項4】 前記可変オリフィス装置は二以上の絞り通路を備えており、その絞り通路の一つを前記可動体によって開閉することで該可変オリフィス装置全体として絞り断面積が多段階に切替え可能であることを特徴とする請求項3に記載の冷凍回路。 【請求項5】 前記圧縮機は、シリンダボア内に往復動可能に収容されたピストンと、該ピストンの往復動に応じて容積変化するシリンダボア内圧縮室に冷媒ガスを導入又は導出するに伴い開閉動作する舌片状の弁と、その舌片状の弁の開動作を規制するストッパ部とを備えてなる容量可変型圧縮機であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷凍回路。 【請求項6】 冷凍回路を構成するコンデンサとエバポレータとの間に減圧装置として配設される可変オリフィス装置であって、コンデンサ側からエバポレータ側へ冷媒を流すための少なくとも一つの絞り通路と、前記絞り通路の絞り断面積を変化させるべく移動可能な可動体と、その可動体に作動連結されると共に冷媒の温度に応じて前記可動体の位置決めを行うバイメタル利用の駆動機構とを備えてなる可変オリフィス装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒ガスの圧縮機と、その圧縮機により圧縮された冷媒ガスを凝縮するコンデンサと、凝縮して得た冷媒を減圧する減圧装置と、減圧後の冷媒を吸熱蒸発させるエバポレータとを備えてなる冷凍回路に関する。又、その冷凍回路の減圧装置として用いられる可変オリフィス装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車輌用空調システム(カーエアコン)に用いられる冷凍回路は、冷媒ガスの圧縮機と、圧縮機からの高圧冷媒ガスを凝縮するためのコンデンサ(凝縮器)と、凝縮して得た液冷媒を減圧するための減圧装置(又は絞り抵抗装置)と、減圧後の冷媒を吸熱蒸発させるためのエバポレータ(蒸発器)とを備えている。これら機器によって構成される冷凍回路は次の二つのタイプに大別される。 【0003】冷凍回路の第1のタイプは、減圧装置として温度式膨張弁を採用すると共に、該温度式膨張弁とコンデンサとの間にレシーバ(受液器)を介在させたものである。カーエアコンでは、圧縮機の駆動源たるエンジンの回転数変動や車室内熱負荷の変動が激しい。このため、必要冷媒量の変動に対応するために余分な冷媒を貯留すると共に、コンデンサ出口側での気液分離を行って常に液冷媒のみを膨張弁に送り出すべく前記レシーバが膨張弁の上流側に設けられている。又、温度式膨張弁の弁開度はエバポレータの出口温度に基づいてフィードバック制御され、これによりエバポレータ出口における過熱度(スーパーヒート)及び冷媒の循環流量が調節される。 【0004】冷凍回路の第2のタイプは、減圧装置として開度調節機能のない固定オリフィスを採用すると共に、エバポレータと圧縮機との間にタンク状のアキュムレータを介在させたものである。アキュムレータタンク内にはエバポレータから流れ込む冷媒によって飽和液が溜まり、その液面上の空間には飽和した冷媒ガスが充満する。そして、該タンク内の飽和蒸気圧相当の冷媒ガスが圧縮機に吸入される。この第2のタイプでは、前記レシーバに代わってアキュムレータが余分な冷媒を貯留する役目を担う。又、アキュムレータから圧縮機には、飽和蒸気圧に対応した一定温度の冷媒ガスが被圧縮ガス(吸入ガス)として提供されるため、アキュムレータがエバポレータ出口における過熱度(スーパーヒート)を管理する機能を担う。 【0005】加えてカーエアコンにあっては、使用される環境条件が広範囲にわたることや圧縮機の駆動源たるエンジンの回転数変動が大きい等の事情から、冷房能力を制御することが不可欠となる。その冷房能力制御の一手法として、冷媒ガスの吸入及び吐出容量を調節できる容量可変型圧縮機の利用がある。特に、前記第1のタイプの冷凍回路において容量可変型圧縮機を採用したシステムについては、多くの実用例や研究例がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】カーエアコンに組み込まれる容量可変型圧縮機としては、斜板の傾角制御によりピストンストロークを変更して冷媒ガスの吸入・吐出容量を調節する容量可変型斜板式圧縮機が知られている。一般に斜板式圧縮機(容量可変型/容量固定型の区別を問わず)では、ピストンを収容するシリンダボア毎に、例えばフラッパ型の吸入弁や吐出弁が設けられ、ピストンの吸入/圧縮(吐出)の行程状況に応じて各フラッパ弁が開閉動作を繰り返す仕組みとなっている。ちなみに、フラッパ型吸入弁は吸入行程時にシリンダボア内に向けて湾曲しながら開弁する。このため、シリンダボア内周壁には、吸入弁の湾曲を一定限度許容すると共に吸入弁の破損防止のため前記限度以上に吸入弁が湾曲するのを阻止するストッパ部を備えた切欠きが形成されている。この切欠きの長さ(弁形成体からストッパ部までの距離)は、吸入弁の最大開度(即ち吸入弁によって開放・閉塞されるガス吸入孔の最大開度でもある)を決定する要因となる。そして、この最大開度の設定如何により斜板式圧縮機の圧縮効率(Q/L)が大きく影響される。それ故、前記切欠きの長さは、可能な限り大きく設定されることが好ましい。 【0007】ところが、容量可変型の斜板式圧縮機を、熱負荷の小ささに応じてガス吸入量を少なくして(即ちピストンストローク小状態で)運転した場合に、前記吸入弁はストッパ部に着座して最大開度位置に配置されるでもなく、ガス吸入孔を完全に閉塞するでもないという中途半端な湾曲状態で微少振動するという現象(自励振動現象)がしばしば発生する。すると、吸入弁の自励振動が回路配管を介してエバポレータに伝達され、エバポレータが共振することがある。特にエバポレータ内の液冷媒量が減っているような場合には、共振によって耳障りな異音が発生するという問題が起こる。 【0008】このエバポレータの共振による異音発生に対処するために、従来よりいくつかの対策が提案されている。例えば、エバポレータと圧縮機の吸入室とを結ぶ配管の途中に消音マフラを設ける(対策例1)、前記吸入弁用の切欠きの長さを短く設定し小容量運転時でも吸入弁が切欠きのストッパ部に確実に着座するようにする(対策例2)、吸入弁の形状等を工夫してエバポレータの共振周波数との一致を回避する(対策例3)等である。 【0009】しかしながら、前記対策例1では、レシーバを備えた冷凍回路に更に消音目的のためだけのマフラを追加することになり、空調システムの複雑化や高コスト化を招く。前記対策例2は、エバポレータの共振を防止できるかも知れないが、圧縮機の圧縮効率(Q/L)を犠牲にするものとなる。前記対策例3では、エバポレータのタイプ毎に吸入弁の形状等を設計変更する必要があり、圧縮機の汎用性を著しく損ねる結果となる。このように、レシーバと膨張弁との組み合わせを採用した冷凍回路では、圧縮機内の吸入弁とエバポレータとの共振による異音発生に対し、商業的に決め手となる対策を見出し得ないでいる。 【0010】これに対し、固定オリフィスとアキュムレータとの組み合わせを採用した冷凍回路では、エバポレータと圧縮機との間に配設されたタンク状のアキュムレータを消音マフラとして機能させる余地がある。故に、容量可変型圧縮機の吸入弁の自励振動を気にせずに吸入弁用切欠きを十分に長く確保して圧縮効率(Q/L)を高める設計も可能となる。 【0011】ところが、現実には、固定オリフィスとアキュムレータとを備える冷凍回路の圧縮機として、前述のような容量可変型圧縮機を採用した事例はほとんど見当たらない。その理由は、減圧装置としての固定オリフィスには開度(絞り量)の調節機能が無いため、圧縮機側に容量可変機能が備わっていて圧縮機主導で冷媒の循環流量が可変調節されたとしても、固定オリフィスでは循環流量の大きな変化に対応できないからである。即ち、固定オリフィスの絞り量は冷媒循環量の想定値に基づいて設定されるが、現実の冷媒循環量が想定値から大きく外れた場合に固定オリフィスの絞り能力が適切なものになっているとは言い難い。 【0012】かかる次第で固定オリフィスとアキュムレータとを用いた冷凍回路では、容量可変機能のない普通の圧縮機が用いられ、当該圧縮機と車輌エンジンとの間に設けられた動力伝達用のクラッチ機構をON/OFF制御することで、当該カーエアコンにおける冷房能力制御を行うのが通例となっている。 【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮機の圧縮効率を損なうこと無く圧縮機の内部機構とエバポレータとの共振による異音発生を効果的に防止又は低減することができると共に、冷媒の循環流量の変化に対応可能な冷凍回路を提供することにある。又、そのような冷凍回路に有用な可変オリフィス装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、冷媒ガスの圧縮機と、その圧縮機により圧縮された冷媒ガスを凝縮するコンデンサと、凝縮して得た冷媒を減圧する減圧装置と、減圧後の冷媒を吸熱蒸発させるエバポレータとを備えてなる冷凍回路にあって、前記エバポレータと圧縮機との間に、消音マフラーとしても機能するアキュムレータを設けると共に、前記減圧装置として、該冷凍回路における冷媒循環量の変化に対応してその装置内に設けられた絞り通路の絞り断面積を変化させる可変オリフィス装置を採用したことを特徴とする。 【0015】この構成によれば、レシーバに代えてアキュムレータを採用した冷凍回路にあって当該アキュムレータを、圧縮機の内部機構とエバポレータとの共振による異音発生を防止又は低減するための消音マフラーとして機能させることができる。又、絞り通路の絞り断面積を変化させる可変オリフィス装置を採用したことで、減圧装置の減圧能力(減圧処理量)を冷凍回路における冷媒循環量の変化に対応させることが可能となる。 【0016】請求項2の発明は、請求項1に記載の冷凍回路において、前記減圧装置としての可変オリフィス装置は、その装置内に設けられた絞り通路を流れる冷媒の温度に応じて前記絞り通路の絞り断面積を変化させることを特徴とする。 【0017】この構成によれば、減圧装置としての可変オリフィス装置は、冷凍回路におけるコンデンサの出口側に配設される。可変オリフィス装置内の絞り通路を流れる冷媒の温度はコンデンサの出口温度を反映し、このコンデンサ出口温度は、コンデンサに吹き付けられる外気量即ち車輌速度に影響されるから、車輌速度を決定する車輌エンジンの負荷状態を反映したものと言える。更に車輌エンジンは圧縮機の駆動源として圧縮機の吐出能力即ち冷凍回路における冷媒循環量に影響を与える。従って、冷凍回路における冷媒循環量の目安として絞り通路を流れる冷媒の温度(即ちコンデンサ出口温度)を参照し、これに基づいて絞り通路の絞り断面積を可変制御することが可能となる。 【0018】請求項3の発明は、請求項2に記載の冷凍回路において、前記可変オリフィス装置は、前記絞り通路の絞り断面積を変化させるべく移動可能な可動体と、その可動体に作動連結されると共に冷媒の温度に応じて前記可動体の位置決めを行うバイメタル利用の駆動機構とを備えてなることを特徴とする。 【0019】この構成によれば、冷凍回路における冷媒循環量を反映したコンデンサ出口側の冷媒温度に基づく絞り断面積の可変制御が可能となる。請求項4の発明は、請求項3に記載の冷凍回路において、前記可変オリフィス装置は二以上の絞り通路を備えており、その絞り通路の一つを前記可動体によって開閉することで該可変オリフィス装置全体として絞り断面積が多段階に切替え可能であることを特徴とする。 【0020】この構成によれば、冷凍回路における冷媒循環量を反映したコンデンサ出口側の冷媒温度に基づく絞り断面積の多段階切替え制御が容易となる。請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷凍回路において、前記圧縮機は、シリンダボア内に往復動可能に収容されたピストンと、該ピストンの往復動に応じて容積変化するシリンダボア内圧縮室に冷媒ガスを導入又は導出するに伴い開閉動作する舌片状の弁と、その舌片状の弁の開動作を規制するストッパ部とを備えてなる容量可変型圧縮機であることを特徴とする。 【0021】かかる容量可変型圧縮機を前述のような冷凍回路に組み込んだ場合に、圧縮機の内部機構たる舌片状の弁の自励振動の影響が問題となる。この点、本発明によれば、アキュムレータが消音マフラーとしても機能するため、自励振動を起こした舌片状の弁とエバポレータとの共振による異音は該アキュムレータによって打ち消される。それ故、舌片状の弁の自励振動を気にすること無く、該舌片状の弁を構成する部材からストッパ部までの距離を大きく確保して圧縮機の効率を高める設計が可能となる。 【0022】請求項6の発明は、冷凍回路を構成するコンデンサとエバポレータとの間に減圧装置として配設される可変オリフィス装置であって、コンデンサ側からエバポレータ側へ冷媒を流すための少なくとも一つの絞り通路と、前記絞り通路の絞り断面積を変化させるべく移動可能な可動体と、その可動体に作動連結されると共に冷媒の温度に応じて前記可動体の位置決めを行うバイメタル利用の駆動機構とを備えてなる可変オリフィス装置であることをその要旨とする。 【0023】この可変オリフィス装置は、前述のようなアキュムレータを用いた冷凍回路に極めて適したものとなる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明を車輌用空調システムの冷凍回路に具体化した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。 【0025】図1は、本実施形態に従う車輌用空調システムの冷凍回路を示す。この冷凍回路は、冷媒ガスの圧縮機1と、その圧縮機の吐出側に設けられたコンデンサ(凝縮器)2と、そのコンデンサの出口側(下流側)に配設された減圧装置(又は絞り抵抗装置)としての可変オリフィス装置3と、その下流側に配設されたエバポレータ(蒸発器)4と、そのエバポレータの出口側(下流側)と圧縮機1の吸入側との間に配設されたアキュムレータ5とを備えている。これらの回路構成要素1〜5は回路配管6によって相互接続され、冷媒の循環経路を構成している。 【0026】圧縮機1は、アキュムレータ5から飽和蒸気圧の冷媒ガスを吸入し、これを圧縮した後、コンデンサ2に向けて吐出する。圧縮機1は、好ましくは容量可変型の圧縮機であり、更に好ましくは図2及び図3に示すような容量可変型の揺動斜板式圧縮機である。図2及び図3に示す圧縮機1の詳述については、後ほど説明する。 【0027】図1のコンデンサ2は一種の熱交換器であり、その主たる機能は圧縮機1から吐出された高圧冷媒ガスを凝縮して液冷媒とすることにある。コンデンサ2は一般に、車輌のエンジンルーム内の前方領域(例えばラジエータ近傍)に配置され、車輌の走行時に吹き付ける外気によって冷却される。この点で、コンデンサ2の冷媒ガス凝縮能力は、車輌の走行速度の影響を受ける。コンデンサ2によって得られた液冷媒は可変オリフィス装置3によって減圧され、減圧状態の冷媒(液状、霧状又は一部ガス状)としてエバポレータ4に提供される。可変オリフィス装置3の詳細については、後ほど説明する。 【0028】図1のエバポレータ4は一種の熱交換器であり、その主たる機能は可変オリフィス装置3から提供された減圧状態の冷媒と車室内空気との間で熱交換を行わせることにある。即ち、エバポレータ4は、車室内空気の持つ熱を減圧状態の冷媒に吸収させ、該冷媒をほぼ完全に気化させる過程で車室内空気を冷却する。 【0029】図1のアキュムレータ5は、エバポレータ4と圧縮機1との間に介在されるタンク状の回路構成要素である。アキュムレータ5内の下側には、エバポレータ4から流れ込む冷媒によって飽和液冷媒が溜まる。このため、アキュムレータ5は余分量の液冷媒を貯留しておく貯留槽として機能する。又、前記飽和液冷媒の液面の上方空間、即ちアキュムレータ5内の残りの気相領域には、飽和蒸気圧相当の冷媒ガスが充満する。アキュムレータ5の気相領域は、圧縮機1の吸入室23(図2参照)に接続されており、前記飽和蒸気圧の冷媒ガスがその吸入室23に導入される。一般に飽和蒸気圧に達したガスはその飽和蒸気圧に対応した特定の温度を示す。従って、圧縮機1の吸入室23に導入される冷媒ガスも飽和蒸気圧に対応した一定温度に維持される。かかる観点からすれば、アキュムレータ5はエバポレータ出口における過熱度を管理する機能を担う。なお、過熱度とは、エバポレータ4の出口温度と圧縮機1の吸入側温度との温度差を意味する。 【0030】(可変オリフィス装置)図1の可変オリフィス装置3は、その装置内に設けられた絞り通路を流れる冷媒の温度に応じて前記絞り通路の絞り断面積を可変調節する機能を持つ。 【0031】図4及び図5は、可変オリフィス装置3の一構成例を示す。可変オリフィス装置3の入口3aはコンデンサ2の出口側と接続される一方、可変オリフィス装置3の出口3bはエバポレータ4の入口側と接続されている。そして、可変オリフィス装置3は、その入口3aと出口3bとを接続する二つの絞り通路35,36を有している。 【0032】第1の絞り通路35は、回路配管6の連通断面積S0(又は内径)よりも小さな絞り断面積S1(又は内径)を有している。同様に、第2の絞り通路36は、回路配管6の連通断面積S0(又は内径)よりも小さな絞り断面積S2(又は内径)を有している。しかも、二つの絞り通路35,36の絞り断面積の和(S1+S2)も回路配管6の連通断面積S0に比べて十分小さい。 【0033】図4に示すように、第2の絞り通路36はその途中に装置3の径方向に折れ曲がった折曲部を有している。その折曲部の近傍には、可動体37が装置3の軸方向に移動可能に設けられており、可動体37の配置に応じてその先端爪部37aが第2絞り通路36の折曲部を開放及び閉塞可能となっている。具体的には、可動体37が図4に示す前進位置に配置された場合、可動体37の先端爪部37aは、可変オリフィス装置3の壁部内に収納されて第2絞り通路36は完全に開放される。他方、可動体37が図5に示す後退位置に配置された場合、可動体37の先端爪部37aは、可変オリフィス装置3の壁部内から前記折曲部内に突出し第2絞り通路36を完全に閉塞する。 【0034】可動体37の位置決めは、バイメタルを利用した駆動機構38によって行われる。このバイメタル駆動機構38は図4及び図5ではコイルバネ形状に描かれているが、これは、駆動機構38自体が現にコイルバネ形状の部材からなるというような限定的な意味ではなく、温度変化に対応したバイメタルの伸縮動作がコイルバネの動作に似ているということを示唆しているに過ぎない。 【0035】バイメタル駆動機構38は可動体37に作動連結されると共に、第1及び第2絞り通路35,36を通過する冷媒(各通路の上流側では主として液状)の温度を反映して伸縮する。具体的には、冷媒の温度が低い場合(即ちコンデンサ2の出口温度Teが低い場合)、バイメタル駆動機構38は伸張して可動体37を前進位置(図4)に配置する。このとき、第1及び第2絞り通路35,36の双方が開放された状態となり、可変オリフィス装置3全体としての絞り能力は、両絞り断面積の和(S1+S2)に対応したものとなる。他方、冷媒の温度が高い場合(即ちコンデンサ2の出口温度Teが高い場合)、バイメタル駆動機構38は収縮して可動体37を後退位置(図5)に配置する。このとき、第1絞り通路35は開放されるものの第2絞り通路36は閉塞された状態にあり、可変オリフィス装置3全体としての絞り能力は、第1絞り通路35の絞り断面積S1に対応したものとなる。このように本実施形態の可変オリフィス装置3は、コンデンサ出口温度Teの高低に応じて絞り能力を自律的に可変調節する。 【0036】(容量可変型斜板式圧縮機)図2及び図3に示す圧縮機は、シリンダブロック11と、その前端面に接合固定されたフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端面に弁形成体14を介して接合固定されたリヤハウジング13とを備えている。これらの部材11,12,13及び14は圧縮機1のハウジングを構成する。フロントハウジング11内にはシリンダブロック12の前端面によってクランク室15が区画形成されている。クランク室15内には、回転軸16と、該回転軸16に止着された回転支持体17と、回転軸16に対しその軸線方向へスライド可能且つ傾動可能に支持された斜板18と、回転支持体17と斜板18との間に介在されたヒンジ機構19とを備えている。そして、ヒンジ機構19の介在により、斜板18は回転軸16に対して傾動可能且つ回転軸16と一体回転可能となっている。 【0037】シリンダブロック11には複数のシリンダボア11a(一つのみ図示)が形成され、各ボア11aにはピストン20が往復動可能に収容されている。各ピストン20の一端はシュー21を介して斜板18の外周部に係留され、各ボア11a内において各ピストン20の他端面と弁形成体14との間に圧縮室22が区画されている。そして、外部駆動源としての車輌エンジン10に作動連結された回転軸16とともに、回転支持体17、ヒンジ機構19及び斜板18が回転されるに伴い、各ピストン20がシリンダボア11a内で前後に往復動される。なお、外部駆動源10と回転軸16とは、図示しないプーリ及び動力伝達ベルトを介して直接に、又は図示しない電磁クラッチ等のクラッチ機構を介して間接的に作動連結されている。 【0038】リヤハウジング13内には弁形成体14によって吸入室23及び吐出室24がそれぞれ区画形成されている。弁形成体14は少なくとも三枚の金属板材を重ね合わせたものである。この弁形成体14には、各シリンダボア11a(又は圧縮室22)毎に吸入孔26及び吐出孔27が形成され、且つ、各孔26,27に対応した舌片状の弁として吸入弁28及び吐出弁29が形成されている。 【0039】各吸入弁28は圧縮室22内(ピストン20側)に配置されており、舌片状、より具体的にはフラッパ形状をなしている。各吸入弁28は、ピストン20の吸入行程時(上死点位置から下死点位置への移動時)にピストン方向に湾曲しながら吸入孔26を開き、吸入室23から圧縮室22に冷媒ガスを吸入させる。特に図3に示すように、シリンダボア11aの内周壁には、フラッパ型の吸入弁28に対応して切欠き30が刻設されている。この切欠き30内には、フラッパ型の吸入弁28の先端(図3では下端)が進入している。そして、切欠き30は吸入弁28の湾曲を一定限度許容する一方で、その切欠き30の一部は、吸入弁28の破損防止のため前記限度以上に吸入弁28が湾曲するのを防止するストッパ部31となっている。弁形成体14からストッパ部31までの距離が切欠き30の長さに相当する。この長さに応じて、吸入弁28の最大開度(即ち吸入弁28によって開放・閉塞される吸入孔26の最大開度でもある)が決定される。 【0040】各シリンダボア11aに吸入された冷媒ガスは、ピストン22の圧縮/吐出行程時(下死点位置から上死点位置への移動時)に、フラッパ型の吐出弁29を吐出室24側へ押し開きながら、吐出室24へ吐出される。 【0041】かかる容量可変型斜板式圧縮機の吐出容量は一般に知られているように、容量制御弁32によってクランク室15の内圧(クランク圧Pc)を制御することで可変調節される。即ち、制御弁32によりクランク圧Pcを高め斜板18の傾角を小さくすることで各ピストン20のストロークが小さくなり吐出容量が低減される。他方、制御弁32によりクランク圧Pcを低め斜板18の傾角を大きくすることで各ピストン20のストロークが大きくなり吐出容量が増大される。この場合の容量制御弁32は、いわゆる入れ側制御弁もしくは抜き側制御弁のいずれでもよく、又、いわゆる内部制御弁もしくは外部制御弁のいずれでもよい。図2の制御弁32は、吐出室24とクランク室15とを結ぶ給気通路33の途中に設けられた入れ側制御方式の外部制御弁として描かれている。なお、図2では、クランク室15の冷媒ガスを吸入室23に逃がす抽気通路34は、回転軸16の軸心に形成された通路と、その通路の延長線上にシリンダブロック11及び弁形成体14に貫通形成された通孔とによって構成されている。 【0042】(作用)車輌エンジンが低速回転しているときには、圧縮機1からの単位時間当りの吐出容量が少なくなり、回路配管6を流れる冷媒の循環流量も少なくなる。又、車輌エンジンの低速回転時には、コンデンサ2に吹き付ける外気量が少なくなり、コンデンサ2の凝縮能力も相対的に低下してコンデンサ出口温度Teが高くなる傾向にある。こうして、コンデンサ出口温度Teが高くなると、バイメタル駆動機構38が収縮して可動体37が後退位置(図5)に配置され、第2絞り通路36が閉塞される。結果として、回路配管6を流れる冷媒の循環流量の少なさに対応して、可変オリフィス装置3全体としての絞り能力(絞り通路を単位時間当りに通過する冷媒の量)も小さくなる。 【0043】他方、車輌エンジンが高速回転しているときには、圧縮機1からの単位時間当りの吐出容量が多くなり、回路配管6を流れる冷媒の循環流量も多くなる。又、車輌エンジンの高速回転時には、コンデンサ2に吹き付ける外気量が多くなり、コンデンサ2の凝縮能力も相対的に増大してコンデンサ出口温度Teが低くなる傾向にある。こうして、コンデンサ出口温度Teが低くなると、バイメタル駆動機構38が伸張して可動体37が前進位置(図4)に配置され、第2絞り通路36が開放される。結果として、回路配管6を流れる冷媒の循環流量の多さに対応して、可変オリフィス装置3全体としての絞り能力(絞り通路を単位時間当りに通過する冷媒の量)も大きくなる。 【0044】本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。 ○ 減圧装置としての可変オリフィス装置3は、その装置内に設けられた絞り通路35,36を流れる冷媒の温度(即ちコンデンサ出口温度Te)に応じてその絞り断面積を自律的に可変調節することができる。このため、外部駆動源の回転数変動に起因して容量可変型斜板式圧縮機1の吐出能力が変化することにより冷凍回路における冷媒の循環流量が大きく変化した場合でも、可変オリフィス装置3が絞り能力を自ら変化させ、冷媒の循環流量の変化に積極対応することが可能となる。 【0045】○ アキュムレータ5は圧縮機1の吸入側とエバポレータ4との間に介在されたタンクであるため、そのタンク形状を工夫することで消音マフラとしても機能させることができる。従って、斜板式圧縮機1の吸入弁28の自励振動を気にせずに吸入弁用の切欠き30を十分に長く確保し、圧縮機1の圧縮効率(Q/L)を高める設計が可能となる。 【0046】なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。 ○ 図4及び図5に示す可変オリフィス装置3は二つの絞り通路35,36を備え、その一方を開閉制御することで絞り量の可変制御を行っていた。この他に図6に示すように、可変オリフィス装置3の内部の絞り通路40を一本とする構成としてもよい。この場合、その通路40の絞り断面積を通路35又は36よりも少し広げると共に、可動体37が前進位置から後退位置に切り換えられたときに、可動体37の先端爪部37aが壁部内の没入位置(図6の実線で示す位置)から通路40を完全に閉塞しない中間位置(図6の破線で示す位置)に配置されるようにしてもよい。その結果、図6の可変オリフィス装置3によれば、先端爪部37aが没入位置にあるときの通路40の絞り断面積が(S1+S2)であるのに対し、先端爪部37aが中間位置にあるときの通路40の絞り断面積がS1になるという具合に、絞り通路40を流れる冷媒の温度に対応した可動体37の配置に応じて、絞り通路40の絞り断面積を可変調節することができる。 【0047】○ 図4,図5及び図6に示す可変オリフィス装置3はその絞り通路の絞り断面積を多段階に切り換え可能な構成とされているが、これを無段階に切り換え可能、即ち絞り通路の絞り断面積を0%〜100%まで連続的に変化させられるように構成してもよい。 【0048】次に、前記実施形態及び別例から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想の要点を以下に記載する。 (付記1)前記請求項1〜5の冷凍回路は、車輌用空調システムに用いられる冷凍回路であること。 【0049】(付記2)前記請求項6において、可変オリフィス装置が二以上の絞り通路を備えており、その絞り通路の一つを前記可動体によって開閉することで該可変オリフィス装置全体として絞り断面積が多段階に切替え可能であること。 【0050】(付記3)ピストンの駆動によりシリンダボア内圧縮室と吸入室又は吐出室との間で冷媒ガスを移動させる際に自励振動し得る舌片状の弁を備えた往復ピストン式圧縮機と、コンデンサと、エバポレータとを備えた冷凍回路において、前記圧縮機と前記エバポレータとの間にタンク状のアキュムレータを配設し、そのアキュムレータに、前記舌片状の弁の自励振動による異音を打ち消す消音マフラとして機能させることを特徴とする冷凍回路における消音方法。 【0051】 【発明の効果】以上詳述したように本発明の冷凍回路によれば、圧縮機の圧縮効率を損なうこと無く圧縮機の内部機構とエバポレータとの共振による異音発生を効果的に防止又は低減することができる。更に、駆動源から圧縮機へ供給される動力の変動が大きい、又は、圧縮機が容量可変タイプである等の事情により冷凍回路における冷媒の循環流量が大きく変化する場合でも、減圧装置として前述のような可変オリフィス装置を用いることで、冷媒の循環流量変化に対応した減圧能力の切替えが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成10年9月16日(1998.9.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣
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| 【公開番号】 |
特開2000−88365(P2000−88365A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−261421 |
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