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【発明の名称】 超臨界冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】木村 成秀

【氏名】尾崎 幸克

【氏名】西田 伸

【要約】 【課題】CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を高く維持しながら、空調装置を運転する。

【解決手段】低負荷モード時においては、圧縮機1の回転数を所定回転数に保持した状態で、放熱器2出口側の冷媒圧力が、理論COPが最大となる目標圧力制御弁入口圧力より低い圧力となるように制御する。これにより、吐出圧が低下して圧縮機1の圧縮比が低下するため、圧縮機1の効率ηが上昇する。したがって、低負荷モード時おいては、理論COPは低下するものの、圧縮機1の効率が向上するので、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を高く維持しながら、空調装置を運転することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒を圧縮する圧縮機(1)と、前記圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を越える放熱器(2)と、前記放熱器(2)から流出する冷媒を減圧するとともに、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力を制御する圧力制御弁(3)と、前記圧力制御弁(3)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記圧力制御弁(3)及び前記圧縮機(1)を制御する制御手段(6)とを有し、前記制御手段(6)は、前記蒸発器(4)において必要とされる冷凍能力を前記蒸発器(4)にて発揮させることができる前記圧縮機(1)の必要回転数が、所定回転数より大きい高負荷状態においては、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、前記放熱器(2)出口側の冷媒温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように前記圧力制御弁(3)の開度を制御し、一方、前記制御手段(6)は、前記必要回転数が前記所定回転数以下となる低負荷状態においては、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、前記第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように前記圧力制御弁(3)の開度を制御することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項2】 前記制御手段(6)は、前記低負荷状態においては、前記圧縮機(1)の回転数が前記所定回転数となるように前記圧縮機(1)を制御することを特徴とする請求項1に記載の超臨界冷凍サイクル。
【請求項3】 前記所定回転数は、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力が高くなるほど大きくなるように選定されることを特徴とする請求項1または2に記載の超臨界冷凍サイクル。
【請求項4】 冷媒を圧縮する圧縮機(1)と、前記圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を越える放熱器(2)と、前記放熱器(2)から流出する冷媒を減圧するとともに、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力を制御する圧力制御弁(3)と、前記圧力制御弁(3)にて減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記圧力制御弁(3)及び前記圧縮機(1)を制御する制御手段(6)とを有し、前記制御手段(6)は、前記蒸発器(4)において必要とされる必要冷凍能力が所定冷凍能力より大きいときには、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、前記放熱器(2)出口側の冷媒温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように前記圧力制御弁(3)の開度を制御し、一方、前記制御手段(6)は、前記必要冷凍能力が前記所定冷凍能力以下であるときには、前記放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、前記第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように前記圧力制御弁(3)の開度を制御することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項5】 冷媒として二酸化炭素を用いたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の超臨界冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放熱器内(高圧側)の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を越える超臨界冷凍サイクルに関するもので、電気自動車の空調装置に適用して有効である。因みに、臨界圧力とは、密度が液密度と略同等でありながら、冷媒分子が気相状態のように運動する状態(超臨界状態)となる圧力を言い、具体的には、モリエル線図の飽和液線・飽和蒸気線の極大値に対応する圧力を言う。
【0002】
【従来の技術】二酸化炭素(CO2 )を冷媒とする超臨界冷凍サイクル(以下、この超臨界冷凍サイクルをCO2 サイクルと呼ぶ。)として特開平9−264622号公報に記載の発明では、放熱器出口側の冷媒圧力が、放熱器出口側の冷媒温度に基づいて決定される目標圧力となるように圧力制御弁(減圧弁)の開度を制御することにより、成績係数(COP)を高く維持しながらCO2 サイクルを運転する旨が記載されている。
【0003】因みに、成績係数(COP)とは、圧縮機の吸入側と吐出側との比エンタルピ差ΔLに対する蒸発器入口側と出口側との比エンタルピ差Δiの比(=Δi/ΔL)を示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発明者等は、上記公報に記載のCO2 サイクルについて、引き続き試験検討を行ったところ、圧力制御弁の開度を放熱器出口側の冷媒温度に基づいて制御するのみでは、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を必ずしも高く維持することができないことを発見した。
【0005】すなわち、圧力制御弁の開度は、理論COPが最大(極大)となるように、放熱器出口側の冷媒温度に基づいて決定されるのに対して、CO2 サイクルの冷凍能力(空調装置の冷房能力)は、圧縮機の回転数(蒸発器を流通する質量流量)を増減することにより制御(調節)される。なお、理論COPとは、冷媒のモリエル線図上で読み取ることができる、圧縮機の吸入側と吐出側との比エンタルピ差ΔLに対する蒸発器入口側と出口側との比エンタルピ差Δiの比(=Δi/ΔL)を示すものである。
【0006】一方、圧縮機の効率は、周知のごとく、所定回転数で最大(極大)となるように、回転数の変化に対して上向きに凸となるように変化する。ここで、圧縮機の効率とは、周知のごとく、圧縮機に与えたエネルギ(例えば電動モータにて圧縮機を駆動するときは、電動モータの消費電力)Winに対する圧縮機が実際にした圧縮仕事(ΔL×冷媒流量)Wout の比(=Wout /Win)を示すものである。
【0007】このため、冷凍能力を小さくすべく、圧縮機の回転数を単純に小さくすると、圧縮機の効率が低下するため、理論COPが最大となるように圧力制御弁を制御しても、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率が低下してしまうという問題が発生する。本発明は、上記点に鑑み、超臨界冷凍サイクル全体の効率を高く維持しながら、超臨界冷凍サイクルを運転することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1〜3に記載の発明では、蒸発器(4)において必要とされる冷凍能力を蒸発器(4)にて発揮させることができる圧縮機(1)の必要回転数が、所定回転数より大きい高負荷状態においては、放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、放熱器(2)出口側の冷媒温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように圧力制御弁(3)の開度を制御し、一方、必要回転数が所定回転数以下となる低負荷状態においては、放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように圧力制御弁(3)の開度を制御することを特徴とする。
【0009】これにより、圧縮機(1)の吐出圧の低下に連動して後述するように圧縮機(1)の圧縮比が低下するため、圧縮機(1)の効率が上昇する。したがって、低負荷状態おいては、理論COPは低下するものの、圧縮機(1)の効率が向上するので、超臨界冷凍サイクル全体の効率を高く維持しながら、超臨界冷凍サイクルを運転することができる。
【0010】なお、低負荷状態においては、請求項2に記載の発明のごとく、圧縮機(1)の回転数が所定回転数となるように圧縮機(1)を制御することが望ましい。請求項3に記載の発明では、所定回転数は、放熱器(2)出口側の冷媒圧力が高くなるほど大きくなるように選定されることを特徴とする。これにより、後述するように、超臨界冷凍サイクル全体の効率をさらに高く維持しながら、超臨界冷凍サイクルを運転することができる。
【0011】請求項4に記載の発明では、蒸発器(4)において必要とされる必要冷凍能力が所定冷凍能力より大きいときには、放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、放熱器(2)出口側の冷媒温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように圧力制御弁(3)の開度を制御し、一方、必要冷凍能力が所定冷凍能力以下であるときには、放熱器(2)出口側の冷媒圧力が、第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように圧力制御弁(3)の開度を制御することを特徴とする。
【0012】これにより、請求項1に記載の発明と同様に、超臨界冷凍サイクル全体の効率を高く維持しながら、超臨界冷凍サイクルを運転することができる。因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0013】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、本発明に係るCO2 サイクル(超臨界冷凍サイクル)を電気自動車の空調装置に適用したものであり、図1は本実施形態に係る空調装置の模式図である。
【0014】1は冷媒(CO2 )を吸入圧縮する圧縮機であり、この圧縮機1は、圧縮機1を駆動する電動モータ(図示せず)と一体化された、いわゆる電動コンプレッサである。2は圧縮機1から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を越える放熱器(ガスクーラ)である。3は放熱器2から流出する冷媒を減圧するとともに、放熱器2出口側(高圧側)の冷媒圧力を制御する電気式の圧力制御弁(電気式膨張弁)であり、この圧力制御弁3は、印加電圧を制御することにより弁開度が制御(調節)される比例ソレノイド式電磁弁である。
【0015】4は圧力制御弁にて減圧された冷媒を蒸発させて冷凍能力を発揮する蒸発器(エバポレータ)であり、5は蒸発器4から流出する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒のみを圧縮機1の吸入側に流出させるとともに、CO2 サイクル中の余剰冷媒を蓄えるアキュムレータ(受液器)である。また、6は圧力制御弁3及び圧縮機1(電動モータ)を制御する電子制御装置(制御手段)である。そして、この電子制御装置(以下、ECUと呼ぶ。)6には、放熱器2出口側の冷媒温度を検出する温度センサ(温度検出手段)7、放熱器2出口側の冷媒圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)8、車室外空気の温度を検出する外気温センサ(外気温検出手段)9、車室内空気の温度を検出する内気温センサ(内気温検出手段)10、車室内に注がれる日射量を検出する日射センサ(日射量検出手段)11、及び蒸発器4にて冷却されて車室内に向けて吹き出す空気の温度を検出する温度センサ(吹出空気温検出手段)12の検出値、並びに乗員が希望する室内温度を乗員の手動操作にて設定入力する温度設定器(温度設定手段)13に入力された設定温度が入力されている。
【0016】なお、以下、外気温センサ9、内気温センサ10、日射センサ11及び温度センサ12を総称して空調センサと呼ぶ。因みに、圧縮機1の電動モータはDCブラシレスモータであり、圧縮機1の回転数、すなわち電動モータの回転数は、交流電流の周波数を制御するインバータ14を介してECU6により制御される。
【0017】また、15は放熱器2に冷却風を送風する送風機であり、16は蒸発器4に向けて空気を送風する送風機である。次に、本実施形態に係るCO2 サイクルの制御作動について、図2〜4に示すフローチャートに基づいて述べる。
1.圧縮機制御モード(図2参照)
空調装置の始動スイッチ(図示せず)が投入されると、ECU6は、インバータ14への制御信号から圧縮機1(電動モータ)の回転数(以下、この回転数を実回転数nと呼ぶ。)を検出するとともに(S100)、空調センサ9〜11(温度センサ12を除く)の検出値及び温度設定器13に入力された設定温度を読み込む(S110)。
【0018】次に、ECU6は、空調センサ9〜11(温度センサ12を除く)及び設定温度に基づいて車室内に吹き出す空気の目標温度(以下、目標吹出空気温度TAOと呼ぶ。)を決定するとともに(S120)、温度センサ12の検出温度から吹出空気の温度(以下、この温度を実吹出空気温度Tと呼ぶ。)を検出して(S130)、目標吹出温度と実吹出空気温度とを比較する(S140)。
【0019】そして、目標吹出温度が実吹出空気温度より低く、蒸発器4において必要とされる必要冷凍能力が、実際に発揮している実冷凍能力より大きいときには、蒸発器4にて必要冷凍能力を発揮させるべく、圧縮機1の回転数を所定量だけ増大させて(S150)、S190に進む。一方、目標吹出温度が実吹出空気温度以上であり、必要冷凍能力が実冷凍能力以下のときには、圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin より大きいか否かを判定し(S160)、圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin より大きいときには、圧縮機1の回転数を所定量だけ減少させて(S170)、S190に進む。なお、所定回転数nmin の詳細については後述する。
【0020】また、圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin 以下のときには、圧縮機1の回転数を所定回転数nmin として(S180)、S190に進む。そして、S190にて再び圧縮機1の実回転数nを検出するとともに、再び圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin より大きいか否かを判定し(S200)、圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin より大きいときには、空調装置(CO2 サイクル)は、必要冷凍能力を蒸発器4にて発揮させることができる圧縮機の必要回転数が所定回転数nmin より大きい高負荷状態にあるものとみなして、S220以下の高負荷モードに移行する。
【0021】一方、圧縮機1の実回転数nが所定回転数nmin 以下のときには、圧縮機1の回転数を所定回転数nmin として(S210)、S300以下の低負荷モードに移行する。なお、S190にて検出される圧縮機1の実回転数nは、必要冷凍能力を蒸発器4にて発揮させることができる圧縮機1の必要回転数に相当するものであり、所定回転数nmin は、蒸発器4での所定冷凍能力に相当するものである。
【0022】2.高負荷モード(図3参照)
温度センサ7の検出値から放熱器2出口側の冷媒温度を検出し(S220)、図5に示すマップに基づいて目標圧力制御弁入口圧力(第1目標圧力)PT を決定する(S230)。ここで、図5に示すマップは、理論COPが最大(極大)となるような、放熱器2出口側の冷媒圧力と冷媒温度との関係を示すものである。
【0023】次に、圧力センサ8の検出値から放熱器2出口側の冷媒圧力Pを検出し(S240)、目標圧力制御弁入口圧力PT と冷媒圧力Pとを比較する(S250)。そして、目標圧力制御弁入口圧力PT と冷媒圧力Pとが等しい場合には、S100に戻り、目標圧力制御弁入口圧力PT が冷媒圧力Pより小さいときには(PT −P<0)、冷媒圧力Pが目標圧力制御弁入口圧力PT となるように、圧力制御弁3の開度を縮小させて(S260)、冷媒圧力Pを上昇させた後、S100に戻る。
【0024】一方、目標圧力制御弁入口圧力PT が冷媒圧力Pより大きいときには(PT −P>0)、冷媒圧力Pが目標圧力制御弁入口圧力PT となるように、圧力制御弁3の開度を増大させて(S270)、冷媒圧力Pを降下させた後、S100に戻る。
3.低負荷モード(図4参照)
空調センサ9〜11(温度センサ12を除く)の検出値及び温度設定器13に入力された設定温度を読み込み(S300)、空調センサ9〜11(温度センサ12を除く)及び設定温度に基づいて目標吹出空気温度TAOを決定する(S310)。
【0025】そして、実吹出空気温度Tを検出して(S320)、目標吹出温度と実吹出空気温度とを比較し(S330)、目標吹出温度が実吹出空気温度より高く、必要冷凍能力が実冷凍能力より小さいときには、圧力制御弁3の開度を増大させて(S340)、冷媒圧力Pを降下させた後、S320に戻る。このため、低負荷モードにおいては、放熱器2出口側の冷媒圧力は、目標圧力制御弁入口圧力(第1目標圧力)PT より低い圧力(第2目標圧力)となるように制御される。
【0026】一方、放熱器2出口側の圧力の低下と共に冷凍能力が低下して、目標吹出温度が実吹出空気温度以下となり、必要冷凍能力が実冷凍能力以上となったときには、圧力制御弁3の開度を縮小させて(S350)、冷媒圧力Pを上昇させて冷凍能力を増大させる。その後、放熱器2出口側の冷媒温度を検出し(S360)、図5に示すマップに基づいて目標圧力制御弁入口圧力PT を決定し(S370)、放熱器2出口側の冷媒圧力Pが目標圧力制御弁入口圧力PT より大きいか否かを判定する(S380、S390)。
【0027】そして、冷媒圧力Pが目標圧力制御弁入口圧力PT より大きくなったときには、低負荷モードを逸脱し得る状態になったものとみなして、S100に戻り、一方、冷媒圧力Pが目標圧力制御弁入口圧力PT 以下であるときには、未だ低負荷モードにあるものとみなして、S320に戻る。次に、所定回転数nmin について述べる。
【0028】一般に圧縮機の効率ηは、その形式によらず、前述のごとく、所定回転数で最大(極大)となるように、回転数の変化に対して上向きに凸となるように変化する。そこで、本実施形態では、図6に示すように、効率ηが大きく低下し始める回転数を所定回転数nmin としている。因みに、本実施形態では、所定回転数nm inは、最大効率ηmax の約45%となる効率ηmin となる回転数である。
【0029】ところで、図6は、吐出圧と吸入圧とを一定とした場合の圧縮機の回転数と効率ηとの関係を示すグラフであり、回転数を一定とし、圧縮比(=吐出圧/吸入圧)を変化させると、図7に示すように、圧縮比が大きくなるほど、効率ηが低下していくことが一般的に知られている。因みに、図6、7に示すグラフは、いずれも電動モータの効率も含まれた値であるが、圧縮機単体であっても、圧縮機の効率ηは、図6、7に示すグラフと同様な傾向を示すことも一般的に知られている。
【0030】次に、本実施形態の特徴を述べる。本実施形態によれば、低負荷モード時においては、放熱器2出口側の冷媒圧力は、目標圧力制御弁入口圧力(第1目標圧力)PT より低い圧力(第2目標圧力)となるように制御されるので、吐出圧が低下し、圧縮機1の圧縮比が低下するため、圧縮機1の効率ηが上昇する。
【0031】したがって、低負荷モード時おいては、理論COPは低下するものの、圧縮機1の効率が向上するので、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を高く維持しながら、空調装置を運転することができる。また、必要冷凍能力を発揮させることができる圧縮機1の必要回転数(S190にて検出される圧縮機1の回転数)が、所定回転数nmin 未満のときは、圧縮機1の回転数を所定回転数nmin に保持するので、圧縮機1は、必要回転数より高い回転数で回転することとなる。したがって、圧縮機の効率を向上させた状態でCO2 サイクル(空調装置)を運転することができる。
【0032】因みに、図8は、低熱負荷モード時において、上記公報に記載のごとく、理論COPが最大となるように圧力制御弁3を制御した場合(以下、この制御を従来制御と呼ぶ。)のサイクル線図(A−B−C−D)と、本実施形態のごとく、理論COPが最大となる目標圧力制御弁入口圧力(第1目標圧力)PT より低い圧力(第2目標圧力)にて圧力制御弁3を制御した場合(以下、この制御を新制御と呼ぶ。)のサイクル線図(A−E−F−G)とを示すモリエル線図であり、太線ηは、図5に示す線(最適制御線)をモリエル線図上にプロットしたものである。
【0033】なお、圧縮仕事を示す圧縮機の吸入側と吐出側との比エンタルピ差(L1 、L2 )を示す線図(A−B、A−E)は、圧縮機の効率ηを考慮してモリエル線図上にプロットされているので、必ずしも等エントロピ線に沿って変化していない。また、従来制御では、必要冷凍能力をQ[ J] を発揮させるにあたり、冷凍能力(蒸発器4での比エンタルピ変化量)をq[ J/kg] として圧縮機1の回転数をNrpm(<nmin )とし、新制御では、必要冷凍能力をQ[ J] を発揮させるにあたり、冷凍能力(蒸発器4での比エンタルピ変化量)をq/2[ J/kg] として圧縮機1の回転数を2Nrpm(≧nmin )としている。
【0034】そして、図8から明らかなように、従来制御の圧縮仕事(L2 )は、新制御の圧縮仕事(L1 )に比べて大きくなるため、新制御によれば、理論COPは低下するものの、圧縮機1の効率が向上するので、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を高く維持しながら、空調装置を運転することができる。因みに、発明者等の試算によれば、新制御は従来制御に比べて、低熱負荷モードにおいて、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率を約10〜40%向上させることができるとの結果を得ている。
【0035】(第2実施形態)上述の実施形態では、所定回転数nmin は一定(固定値)であったが、本実施形態は、図9に示すように、放熱器2出口側(高圧側)の冷媒圧力によって圧縮機の効率が変化することに着目してなされたものである。すなわち、図9から明らかなように、効率ηmin を得るに必要な所定回転数nm inは、放熱器2出口側の冷媒圧力が高くなるほど大きくなるので、本実施形態では、図10に示すように、第1実施形態に係る圧縮機制御モードのフローチャートにおいて、S130とS140との間に、圧力センサ8の検出値から放熱器2出口側の冷媒圧力Pを検出し(S400)、その検出した冷媒圧力Pも基づいて、図11に示すマップに従って所定回転数nmin を決定する(S410)という2つの制御ステップを追加したものである。
【0036】したがって、本実施形態では、CO2 サイクル(空調装置)全体の効率をより高く維持しながら、空調装置を運転することができる。なお、S400、S410をS130とS140との間に挿入したこと以外は、第1実施形態と同様であるので、CO2 サイクル(空調装置)全体の作動説明は省略する。
【0037】ところで、上述の実施形態では、二酸化炭素を冷媒とするCO2 サイクルに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、エチレン、エタン、酸化窒素等を冷媒とする超臨界冷凍サイクルにも適用することができる。また、本発明は電気自動車用の空調装置にその適用が限定されるものではなく、その他の冷凍装置にも適用することができる。
【0038】また、圧縮機1を駆動する駆動源は、電動モータに限定されるものではなく、圧縮機1専用の駆動源であれば何でもよく、例えばガスヒートポンプサイクルのガスエンジンやディーゼルヒートポンプサイクルのディーゼルエンジンであってもよい。また、上述の実施形態では、低負荷モードでは、圧縮機1の回転数を所定回転数nmin に固定し、圧力制御弁3のみを制御したが、圧縮機1の回転数及び圧力制御弁3の両者を同時に制御してもよい。これによれば、低負荷モードにおいても、圧縮機1の回転数を所定回転数nmin 以上とした状態で超臨界冷凍サイクルを運転することができるので、さらに超臨界冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
【公開番号】 特開2000−88364(P2000−88364A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−258785