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【発明の名称】 冷却システム
【発明者】 【氏名】小原 孝一

【要約】 【課題】熱負荷が正常な状態では冷却ができ、熱負荷が正常作動温度より低いとき、また負荷が小さく通電しても自己発熱で温度が上がらないときでも作動温度まで加熱でき、正常作動させることができる冷却システムを提供する。

【解決手段】ベーパサイクルを用いて発熱の大きい機器(熱負荷)を冷却する冷却システムにおいて、冷媒ガスが循環する第1伝熱媒体循環路10のコンプレッサ3の出口と第2熱交換器2の入口を接続する管路の制御弁24を開にし、高温ガスの循環路を形成し、制御弁22を制御し高温ガスが第1熱交換器をバイパスするようにすることにより、高温ガスの循環路が形成され、エバポレータ2により熱負荷と熱交換する媒体である第3伝熱媒体を加熱するようにして、加熱された第3伝熱媒体により熱負荷を加熱できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1伝熱媒体となる冷媒ガスをコンプレッサで断熱圧縮し、高温・高圧となったガスを、第1熱交換器に導き、冷却源となる第2伝熱媒体との間で熱交換した後、膨張弁に導き断熱自由膨張させ、寒冷な気液2相状態を得て第2熱交換器に導き、その液相部の気化潜熱により第3伝熱媒体を冷却し、この冷却された第3伝熱媒体を熱負荷となる熱源に導き、熱負荷と第3伝熱媒体が熱交換し得るようにした冷却システムにおいて、第1伝熱媒体の循環路で、コンプレッサの出口と第2熱交換器の入口を接続するとともに制御弁が介設された管路を設け、この管路の制御弁を開にすることにより、高温ガスの循環路が形成され、前記第2熱交換器により第3伝熱媒体を加熱するようにし、熱負荷を加熱し得るようにしたことを特徴とする冷却システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、船舶、車両などのベーパサイクルシステムを用いた冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】航空機搭載電子機器は、小型軽量化が求められ、たとえばレーダ装置などの様に大きな電力を消費するにもかかわらずコンパクトな設計がされる結果、熱負荷となるこれら機器の発熱部(以下熱負荷という)の冷却が問題となり、冷却システムが必要となる。この種の冷却システムには、冷媒ガスを断熱圧縮し、高温高圧になったガスを冷却して液化し、膨張弁で断熱自由膨張させ寒冷な気液2相状態を得て、その液相部の気化潜熱を冷却に用いるベーパーサイクルが一般的に用いられる。図3は従来における冷却システムの構成を示している。
【0003】図3に示す従来の冷却システムは、第1伝熱媒体循環路60、第2伝熱媒体流路50および第3伝熱媒体循環路66の三つの流体流路で構成されている。それぞれの流体流路の間は熱交換器を介して熱の授受が行われる。すなわち、第1伝熱媒体循環路60と第2伝熱媒体流路50は第1熱交換器51を介して、また第1伝熱媒体循環路60と第3伝熱媒体循環路66は第2熱交換器52を介して熱の授受が行われる。つぎに各伝熱媒体循環路の主な構成を述べる。
【0004】第1伝熱媒体循環路60は、冷媒ガス(第1伝熱媒体)例えばフロンガスの循環路で、モータ53Aで駆動されるコンプレッサ53、制御弁56、第1熱交換器(コンデンサ)51、膨張弁55、第2熱交換器(エバポレータ)52が循環路を構成する管路で接続されている。さらに、コンプレッサ53をバイパスする管路が設けられ制御弁54が介設されている。またコンプレッサ53の出口の管路には流量センサ59、圧力センサ64が、エバポレータ52の出口の管路には温度センサ57、圧力センサ58が介設されている。第3伝熱媒体循環路66は伝熱媒体例えばエチレングリコール混合液(第3伝熱媒体)の循環路で、ポンプ61、第2熱交換器52および熱負荷62が循環路を構成する管路で接続されている。また熱負荷62の入口の管路には温度センサ65が介設されている。
【0005】つぎに従来の冷却システムの作動について記述する。第1伝熱媒体循環路60では、第1伝熱媒体となるガスは、モータ53Aで駆動されるコンプレッサ53で断熱圧縮され、高温高圧となったガスは三方弁である制御弁56を通ってコンデンサ51に導かれ、コンデンサ51の対向流路である第2伝熱媒体流路50を流れる第2伝熱媒体(例えばヒートシンクとなる燃料タンクからエンジンに供給される燃料など)との間で熱交換し冷却され、大部分は液化して膨張弁55に導かれ、膨張弁55で断熱自由膨張し、寒冷な気液2相状態の流体(気液2相流体)となる。この気液2相流体は、エバポレータ52に導かれ、エバポレータ52における第1伝熱媒体の対向流路である第3伝熱媒体循環路66を循環している第3伝熱媒体(例えばエチレングリコール混合液)との間で熱交換し、液相部の気化潜熱で第3伝熱媒体を冷却し気化する。その気化した第1伝熱媒体はコンプレッサ53の入口に入力され再び圧縮されて循環する。第3伝熱媒体循環路66では、ポンプ61により第3伝熱媒体が循環されており、前記のとおりエバポレータ52で冷却された第3伝熱媒体は、熱負荷62に導かれ熱負荷62を冷却して再びポンプ61の入口に戻され循環する。
【0006】温度センサ65で検出する第3伝熱媒体の温度が目標値より低く(高く)なったときにはモータ53Aの回転速度を下降(上昇)させ、コンプレッサ53の入口圧力を高く(低く)することによりエバポレータ52での第1伝熱媒体の流量を減少(増加)させて第3伝熱媒体の温度を上げる(下げる)温度制御がコントローラ63により行われている。
【0007】さらに、システムを安定に作動させるため、第1伝熱媒体循環路60では、コンプレッサ入口の温度センサ57、圧力センサ58の信号を用いてコンプレッサ53に流入する第1伝熱媒体が液状のままで流入しないように膨張弁55の開度を制御する完全ガス化制御がコントローラ63で行われている。
【0008】またコンプレッサ53に流入する第1伝熱媒体の流量がコンプレッサ入口圧力と出口圧力の比(圧縮比)に依存する一定の値を下回るとサージングが発生し不安定になるため流量センサ59によるガス流量、コンプレッサ入口の圧力センサ58、出口の圧力センサ64によるそれぞれの圧力を検出し、コンプレッサ53に流入するガスの流量が一定値以下にならないようにコンプレッサ53をバイパスする管路に介設された制御弁54の開度を制御するコンプレッササージング防止制御がコントローラ63で行われている。
【0009】さらにコンプレッサ53で圧縮された第1伝熱媒体が第2伝熱媒体によりコンデンサ51で過度に冷却されるとガスが液化することにより圧力が下がりすぎ、膨張弁55で必要な寒冷が得られなくなるので、第1伝熱媒体のコンデンサ51の入口での圧力を圧力センサ64で検出し、圧力が所定範囲に入るように制御弁56によりコンデンサ51をバイパスする第1伝熱媒体の量を調節するコンデンサ圧力の維持制御も前記コントローラ63で行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の冷却システムは以上のように構成されているが、熱負荷が作動温度より低いとき、熱負荷に通電して自己発熱により温度が上昇するまで正常な作動が得られず、待ち時間が発生する。また負荷が小さく自己発熱でも温度が上がらず温度が低すぎるときには正常な作動が得られなくなる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、正常な状態では熱負荷の冷却ができ、熱負荷となる機器の周囲の気温が低い状態での起動時などで熱負荷が作動温度より低いばあいには、加熱ができる冷却システムを提供することを目的とする。
【0011】
【問題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明の冷却システムは、第1の伝熱媒体となるガスをコンプレッサで断熱圧縮し、高温・高圧となったガスを、第1の熱交換器に導き、冷却源となる第2の伝熱媒体との間で熱交換した後、膨張弁に導き断熱自由膨張させ、寒冷な気液2相状態を得て第2の熱交換器で、第3の伝熱媒体を冷却し、この冷却された第3の伝熱媒体を熱負荷となる熱源に導き、熱負荷と第3の伝熱媒体が熱交換し得るようにした冷却システムにおいて、第1の伝熱媒体の循環路で、コンプレッサの出口と第2の熱交換器の入口を接続するとともに制御弁が介設された管路を設け、この管路の制御弁を開にすることにより、高温ガスの循環路が形成され、前記第2の熱交換器により第3の伝熱媒体を加熱し、熱負荷を加熱し得るようにし、熱負荷の通常の作動状態では冷却ができ、起動時などの熱負荷が正常作動温度より低いときには、正常作動温度まで加熱できるようにすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明が提供する冷却システムの実施例を示す構成図である。まずその構成について記述する。図1に示す本発明の冷却システムの冷却および加熱に係わる流路は、第1伝熱媒体循環路10、第2伝熱媒体流路20および第3伝熱媒体循環路25三つの流体流路で構成されている。それぞれの流体流路の間は熱交換器を介して各伝熱媒体間で熱の授受が行われる。すなわち、第1伝熱媒体循環路10は第1熱交換器1を介して、また第1伝熱媒体循環路10と第2伝熱媒体流路20は第1熱交換器1を介して、また第1伝熱媒体循環路10と第3伝熱媒体循環路25は第2熱交換器2を介して熱の授受が行われる。
【0013】つぎに各伝熱媒体循環路の主な構成を述べる。第1伝熱媒体循環路10は、冷媒ガス(第1伝熱媒体)例えばフロンガスの循環路で、モータ3Aで駆動されるコンプレッサ3、第1熱交換器(コンデンサ)1、膨張弁5、第2熱交換器(エバポレータ)2が循環路を構成する管路で接続されている。さらに、コンプレッサ3をバイパスする管路が設けられ制御弁4が介設されている。またコンプレッサ3の出口とエバポレータ2の入口を接続する管路が設けられ制御弁24が介設されている。さらにコンプレッサ3の出口の管路には流量センサ9、圧力センサ27が、エバポレータ2の出口の管路には温度センサ7、圧力センサ8が介設されている。
【0014】第3伝熱媒体循環路25は伝熱媒体例えばエチレングリコール混合液(第3伝熱媒体)の循環路で、ポンプ11、第2熱交換器2および熱負荷12が循環路を構成する管路で接続されている。また熱負荷の入口の管路には温度センサ14が、熱負荷には温度センサ30が介設されている。
【0015】つぎに本発明が提供する図1の冷却システムの作動について図2も参照して記述する。本冷却システムはモード1とモード2の二つのモードで作動される。なお図2は二つの作動モードにおける各構成品の作動状態を示すもので、モードに応じて作動状態が変わるものを示している。モード1では、図1における制御弁4、膨張弁5、制御弁22Aおよび22Bはコントローラ13により開度が制御されており、制御弁24は閉であることを示している。図1に示す各構成品のうち図2に記載された構成品が前記した作動状態にある時をモード1という。モード2でも同様に、制御弁4は閉、膨張弁5は閉、制御弁22Aは開、制御弁22Bは閉、制御弁24は開であることを示している。
【0016】モード1の作動このモード1では、熱負荷、冷却システムともに正常作動状態で、熱負荷の冷却を行う場合である。第1伝熱媒体が、モータ3Aで駆動されるコンプレッサ3で断熱圧縮され、高温・高圧のガスとなり、コンデンサ1に導かれる。コンデンサ1の対向流路は第2伝熱媒体流路20で、高温・高圧のガスは第2伝熱媒体流路20を流れる第2伝熱媒体により冷却される。冷却されたガスの大部分は液化し気液2相流体となり、膨張弁5に導かれ、膨張弁5で断熱自由膨張することにより、寒冷な気液2相流体となり、エバポレータ2に入力される。エバポレータ2の対向流路は第3伝熱媒体循環路25で、前記の寒冷な2相流体は、熱負荷を冷却するためにポンプ11により循環されている第3伝熱媒体と熱交換し、気化潜熱により第3伝熱媒体を冷却して気化しコンプレッサ入口にもどる。第3伝熱媒体循環路25の第3伝熱媒体により熱負荷12を冷却する。
【0017】温度センサ14で検出する出力信号はコントローラ13に入力され、第3伝熱媒体の温度が目標値より低く(高く)なったときには、モータ3Aの回転速度を下降(上昇)させ、コンプレッサ3の入口圧力を高く(低く)することによりエバポレータ2での第1伝熱媒体の流量を減少(増加)させて第3伝熱媒体の温度を上げる(下げる)ように温度制御される。
【0018】さらに、システムを安定に作動させるため、前記第1伝熱媒体循環路10では温度センサ7、圧力センサ8の信号がコントローラ13に入力されコンプレッサ3に流入する第1伝熱媒体が液状のままで流入しないように膨張弁5の開度を制御する前記完全ガス化制御が行われている。またコンプレッサ3に流入する第1伝熱媒体の流量が減少しすぎるとサージングが発生し不安定になるため、流量センサ9によりガス流量、圧力センサ8、27により圧力を検出し、これらの出力信号もコントローラ13に入力され、コンプレッサ3に流入するガスの流量が一定値以下にならないようにコンプレッサ3のバイパス管路に介設された制御弁4の開度を制御する前記コンプレッササージング防止制御が行われている。さらにコンプレッサ3で圧縮された第1伝熱媒体が第2伝熱媒体によりコンデンサ1で過度に冷却されないように、第1伝熱媒体のコンデンサ1の入口での圧力を圧力センサ27で検出し、圧力が所定範囲に入るように制御弁22の一方のポート22Aを通って第1熱交換器1をバイパスする第1伝熱媒体の量を調節する前記コンデンサ圧力の維持制御も前記コントローラ13で行われている。
【0019】モード2の作動モード2は、熱負荷12が作動温度より低く、加熱が必要な場合である。コンプレッサ3で断熱圧縮され高温・高圧となった第1の伝熱媒体10を熱源として、第2熱交換器2で第3伝熱媒体25を加熱し、熱負荷12を加熱する。熱負荷に介設された温度センサ30の検出信号ががコントローラ13に入力され、熱負荷12が作動温度範囲まで加熱された時点で通常作動のモード1に切り替えて運転される。
【0020】上記の作動モードの選択は、温度センサ30の熱負荷の温度信号によりコントローラ13が自動判断して行うか、操作パネル28から手動選択によりコントローラ13に司令信号を伝達して行う。本発明の冷却システムは、以上の構成により、上記モード1では、熱負荷の通常の冷却ができ、さらに上記モード2では、熱負荷の加熱が必要となる場合、熱負荷の加熱もできることになる。
【0021】なお、図示例では、制御弁22が熱交換器1の第1伝熱媒体循環路10に介設されているが、第2伝熱媒体流路20の第1熱交換器1を通る管路とそのバイパス管路に介設しても良い。また制御弁22は三方弁を用いているが、2個の制御弁に置き換えることもできる。
【0022】
【発明の効果】本発明の冷却システムは上記のように構成されており、システムが正常に作動しているときには通常の冷却ができ、熱負荷が正常作動温度より低いとき、コンプレッサで断熱圧縮された高温・高圧となった第1伝熱媒体を熱源にして第3伝熱媒体を加熱し熱負荷を加熱することができるようにするので、熱負荷が正常作動温度より低いときでも熱負荷を加熱し正常作動させることができる。これにより熱負荷となる機器の使用温度範囲を低温域まで拡張することができる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成10年9月10日(1998.9.10)
【代理人】 【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開2000−88360(P2000−88360A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−257159