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【発明の名称】 空気調和機
【発明者】 【氏名】川上 哲司

【氏名】中島 啓造

【氏名】河村 夕佳

【要約】 【課題】冷媒と冷凍機油を作動媒体とする冷凍圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブなどの冷媒流量制御部ならびに蒸発器を備えた空気調和機の施工方法において、簡便で、環境によい方法で、空気の混入を防止する方法が従来存在しない。

【解決手段】作動媒体が充填された冷凍用圧縮機1及び熱交換器2aを有するユニット5と、冷凍空調がなされる場所に設置される熱交換器2bを有するユニット6とを、配管11にて接続して構成される空気調和機の施工方法であり、ユニット5とユニット6を配管11にて結合したのち、そのユニット5内に充填された作動媒体を、前記ユニット6および作動媒体の配管11へ流通させる前に、前記ユニット5および作動媒体の配管11の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を送気し他端で解放することによって、前記ユニット6および作動媒体の配管11内の空気を置換後、さらに常圧以上に注入し、炭化水素漏洩検知器の走査によって漏洩の有無を検知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 あらかじめ作動媒体の一部あるいは全部が充填された冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、冷凍空調がなされる場所に設置される熱交換器を有するユニットとを配管にて接続して構成される冷凍システムにおいて、(1)前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、前記熱交換器を有するユニットを配管にて結合したのち、(2)前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を常圧以上に注入し、(3)炭化水素漏洩検知器を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管に対して走査することにより、前記注入した炭化水素漏洩の有無を検知し、(4)炭化水素の漏洩が無いことを確認した後、前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニット内に充填された作動媒体を、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管へ流通させたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】 前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入した後であって、前記炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放したことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】 前記常温・常圧で気体である炭化水素が、プロパン、n−ブタン、およびi−ブタンのグループから選ばれる一種以上の気体であることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項4】 あらかじめ作動媒体の一部あるいは全部が充填された冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、冷凍空調がなされる場所に設置される熱交換器を有するユニットとを配管にて接続して構成される冷凍システムの施工方法において、(1)前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、前記熱交換器を有するユニットを配管にて結合したのち、(2)前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を常圧以上に注入し、(3)炭化水素漏洩検知器を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管に対して走査することにより、前記注入した炭化水素漏洩の有無を検知し、(4)炭化水素の漏洩が無いことを確認した後、前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニット内に充填された作動媒体を、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管へ流通させることを特徴とする空気調和機の施工方法。
【請求項5】 前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入した後であって、前記炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放することを特徴とする請求項4記載の空気調和機の施工方法。
【請求項6】 前記常温・常圧で気体である炭化水素が、プロパン、n−ブタン、およびi−ブタンのグループから選ばれる一種以上の気体であることを特徴とする請求項4記載の空気調和機の施工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイドロクロロフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボンなどのフロン冷媒を用いた室内ユニットと室外ユニットを接続配管を用いて接続して構成される空気調和機及び、その施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空気調和機は、冷凍用圧縮機、熱交換器を有する室外ユニットと、冷凍空調がなされる部位に設置される熱交換器を有する室内ユニットとを銅管等の配管にて接続して構成される機構的な部分と、冷媒、潤滑油組成物等のシステム内部に充填される流体から構成されている。
【0003】このような空気調和機は、予め室外機側に冷媒の一部あるいは全部と潤滑油組成物を充填しサービスバルブを閉じておき、施工時に接続配管を用いて室内機側熱交換器と接続して冷凍サイクルを形成するのが一般的である。しかしこうして配管を接続しただけでは室内側熱交換器と接続配管内には空気が残っている。この空気を取り除くためにサービスバルブのポートに真空ポンプを接続し空気を除いてからサービスバルブを開き室内ユニットと室外ユニットを連結して冷凍サイクルを形成していた。
【0004】また、簡易的には施工時にサービスバルブを開いて室外ユニット中の冷媒を配管と室内ユニットへ流し、もうひとつのサービスバルブのポートより空気を含んだ冷媒を放出することにより配管内の気体を置換する操作が行われていた。
【0005】一方、このような空気除去のための施工手段を不要とするために、空気などの特定のガスに対する吸収剤あるいは固定化剤を冷凍サイクル内部に装備した冷凍サイクル装置が、特公平7−48025号公報、特開平7−159004号公報、特開平7−269994号公報、特開平7−294069号公報、実開平5−69571号公報のように発明されている。
【0006】またさらに特開平8−189711号公報では熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管部分のエアパージのために炭化水素を含むナチュラルガスを用いる空気調和機が、特開平9−133440号公報では空気調和機などの熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管部分のエアパージのために炭化水素を用いる施工方法が提案されている。
【0007】一方、施工時には室外ユニット部分と接続配管、室内ユニット部分と接続配管など接続部分において漏洩(リーク)がないことを確認することが必須である。
【0008】従来の上記のような真空ポンプを用いて室内ユニットおよび配管内部の空気を除去するケースにおいては、サービスポートと真空ポンプの間にゲージマニホールドを挿入し、真空ポンプにて排気後ゲージマニホールドのバルブを閉じて室内ユニットおよび接続配管部分を閉鎖空間とするとともにゲージマニホールドに付属の連成計にて内圧の変化をモニタすることによって漏洩の有無を検知していた。 また、従来の室外ユニット内の冷媒ガスの放出によって室内ユニットおよび配管内部の空気を除去するケースにおいては、サービスバルブの開放によって冷媒ガスの蒸気圧相当まで配管内部に一旦充満させ、その状態でサービスポートに接続したゲージマニホールドの連成計にて内圧の変化をモニタしたり、接続部分に石鹸水を塗布して気泡の生成を確認することにより漏洩の有無を検知していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一番目の室内ユニット並びに作動媒体の流路配管部分を真空ポンプにより排気する方法では、施工現場で真空ポンプを稼働させるための電源が利用可能である必要があり、常に利用できる簡便な方法とは呼べなかった。
【0010】また、二番目の室内ユニット並びに作動媒体の流路配管部分の空気の冷媒による置換方法では、冷媒であるフロンの大気放出がつきまとうので、地球環境的にみてオゾン層破壊の問題から好ましくなかった。したがって以上の様な作業なしで空気を取り除く方法が必要となってきている。
【0011】また、三番目の空気などの特定のガスに対する吸収剤あるいは固定化剤を冷凍サイクル内部に装備した空気調和機の場合には、冷凍サイクル内部に特定のガスに対する吸収剤あるいは固定化剤が共存したまま運転することになるので、冷媒や冷凍機油などの材料の信頼性が低下するおそれがあると共に、室内ユニット並びに作動媒体の流路配管部分に空気などの特定のガスが残存したまま冷媒を流通させた状態で漏洩検知を行うことになるので、万一漏洩があった場合には、再施工のために室内ユニット並びに作動媒体の流路配管部分に再度空気が混入し、結果的に大量の空気などが冷凍サイクルに混入する場合に対して吸収又は固定化する能力を供する必要があった。
【0012】また、第四番目の炭化水素ガスによるエアパージを行う方法では、漏洩を検知する手段に配慮がなされていなかった。
【0013】一方、ゲージマニホールドをサービスポートに接続して付属の連成計にて内圧の変化をモニタする方法では、連成計の有する圧力測定範囲が通常−76cmHgから約3Mpa程度といった広範囲であるために漏洩検知の感度が十分でないという課題があった。
【0014】また、接続部分などに石鹸水を塗布する方法では、塗布やふき取りが面倒であったり、塗布し損なうことによる検知漏れやふき取り忘れによる配管腐食の発生を引き起こす恐れがあるという課題があった。
【0015】本発明は、上記従来の施工方法の課題を考慮し、簡便であって、地球環境的によりよい施工方法及び、空気調和機を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、あらかじめ作動媒体の一部あるいは全部が充填された冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、冷凍空調がなされる場所に設置される熱交換器を有するユニットとを配管にて接続して構成される冷凍システムにおいて、(1)前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、前記熱交換器を有するユニットを配管にて結合したのち、(2)前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を常圧以上に注入し、(3)炭化水素漏洩検知器を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管に対して走査することにより、前記注入した炭化水素漏洩の有無を検知し、(4)炭化水素の漏洩が無いことを確認した後、前記冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニット内に充填された作動媒体を、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管へ流通させたことを特徴とする空気調和機である。
【0017】また、本発明は、上記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入した後であって、前記炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放したことを特徴とする空気調和機である。
【0018】また、本発明は、上記常温・常圧で気体である炭化水素が、プロパン、n−ブタン、およびi−ブタンのグループから選ばれる一種以上の気体であることを特徴とする空気調和機である。
【0019】本発明では、あらかじめ作動媒体の一部あるいは全部が充填された冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、冷凍空調がなされる部位に設置される熱交換器を有するユニットとを配管にて接続して構成される冷凍システムの施工方法において、(1)冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと熱交換器を有するユニットを配管にて結合したのち、(2)前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を常圧以上に注入し、(3)炭化水素漏洩検知器を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管部分に対して走査することにより注入した炭化水素漏洩の有無を検知し、(4)その冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニット内に充填された作動媒体を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管へ流通させることを特徴とする。
【0020】また、熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入する際に、炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、予め熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放することを特徴とする。
【0021】また、常温・常圧で気体である炭化水素が、プロパン、n−ブタン、およびi−ブタンのグループから選ばれる一種以上の気体であることを特徴とする。
【0022】上記のような手順によって熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管内の空気を常温・常圧で気体である炭化水素で置換する場合、空気と置換した常温・常圧で気体である炭化水素は一般に圧縮式冷凍サイクルにおいて凝縮性であるため、冷凍空調能力を阻害することはなく、さらに天然ガスやLPガスの漏洩検知器として実用化がなされ容易に入手可能な炭化水素漏洩検知器を用いて熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の漏洩を検知することができる。
【0023】また、熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入する際に、炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、予め熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放することを実施すれば、一般的な空気調和機に用いられる冷凍サイクルの温度−圧力条件において非凝縮性である窒素、酸素、水分、二酸化炭素等の空気の主成分を冷凍サイクル内に混入することを防止でき、これらの混入による実効容積を減少にともなう冷凍空調能力の阻害を抑止することができる。
【0024】さらに、熱交換器を有するユニットならびに作動媒体の流路配管部分を常温・常圧で気体である炭化水素で空気と置換する場合に必要な炭化水素の量は、冷凍サイクルの容積にもよるが、ルームエアコンで数リットル程度であるので、常温・常圧で気体である炭化水素がプロパン、n−ブタン、およびi−ブタンのグループから選ばれる一種以上の気体である場合には、使い捨てガスライタやガスライタ再充填用ガスボンベ、あるいは携帯用ガスコンロ用ガスボンベ程度の容量・耐圧設計の容器から熱交換ユニット並びに作動媒体の流路配管部分の一端へ接続することで注入を行えるので、電源の利用可能性などに左右されず簡便である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0026】まず本発明の形態が適用される空気調和機について図を用いて説明する。
【0027】図1は本発明が適用される空気調和機の概略図であり、冷凍用圧縮機1、熱交換器2a、キャピラリーチューブあるいは膨張弁等の冷媒流量制御部3及びこれらを連結する配管4を有する室外ユニット5と、空調がなされる部位に設置される熱交換器2bを有する室内ユニット6とが、室外ユニット5が装備する二方弁7や三方弁8、並びに、室内ユニット側フレアポート9に取り付けられたフレアナット10や接続管11で連結されている。この場合、室外ユニット5は四方弁12を有するので、熱交換器2a、2bの凝縮または蒸発という機能を交換することができる。さらにアキュムレータ13を装備している。
【0028】冷媒の流れとしては、冷房運転をする場合には冷凍用圧縮機1によって圧縮された冷媒が熱交換器2aにおいて放熱し、液体状態となり冷媒流量制御部3を通過することにより低温の気液混合冷媒となり、室内ユニット6内の熱交換器2bにおいて吸熱気化し乾燥飽和蒸気となり再度冷凍用圧縮機に吸い込まれるといったサイクルをとる。四方弁12の回転により流路が切り替わると、熱交換器2bで凝縮して熱交換器2aで蒸発し暖房運転となる。
【0029】次に、上記空気調和機を対象とする本発明の一実施の形態の施工方法を説明する。
【0030】基本的には、あらかじめ作動媒体の一部あるいは全部が充填された冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、冷凍空調がなされる場所に設置される熱交換器を有するユニットとを配管にて接続して構成される冷凍システムの施工方法において、(1)冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニットと、熱交換器を有するユニットを配管にて結合したのち、(2)前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を常圧以上に注入し、(3)炭化水素漏洩検知器を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管部分に対して走査することにより注入した炭化水素漏洩の有無を検知し、(4)その冷凍用圧縮機、熱交換器を有するユニット内に充填された作動媒体を前記熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管へ流通させることを特徴とする施工方法である。
【0031】図2は、室外ユニット5と、室内ユニット6を、作動媒体の流路配管で結合する空気調和機の施工方法を説明するための管路図である。図において、室外ユニット5と室内ユニット6を接続管11およびフレアナット10a〜dで連結したのち、室外ユニット5内に充填された作動媒体を室内ユニット6並びに接続管11へ流通させる前に、三方弁8付属のサービスポート14に常温・常圧で気体である炭化水素ガス容器15を接続して、この炭化水素ガスを室内ユニット6並びに接続管11部分に常圧以上に注入する。
【0032】大気圧との圧力差が大きいほど、漏洩がある場合の漏洩ガス量が多くなり、検知感度が高くなるので、好ましくは常圧より0.2Pa以上の圧力まで注入することが好ましい。
【0033】炭化水素ガス容器15からの炭化水素の注入にあたっては、炭化水素ガス容器15の内容物が液化ガスである場合には必ず気相の炭化水素ガスが注入されるように注意すべきである。
【0034】このようにして室内ユニット6並びに接続管11に炭化水素ガスを常圧以上に注入した段階で、炭化水素漏洩検知器を用いて、破線範囲16の部分の熱交換器を有するユニット6および作動媒体の配管部分11に対して走査することによって、フレア結合部分などからの漏洩を検知することが可能になる。
【0035】炭化水素漏洩検知器としては、天然ガスやLPガスの漏洩検知器として実用化がなされ、容易に入手可能な、水素や一酸化炭素、炭化水素など還元性ガスの検知に用いられるZnOやSnO2などn型半導体センサを用いることができる。
【0036】ハイドロクロロフルオロカーボンやハイドルフルオロカーボンなどいわゆるフロン冷媒についても検知器は存在するが、高価かつ感度が比較的高くないので、炭化水素ガスを漏洩対象物とすることによって、安価で好感度の漏洩検知手段を獲得することができる。
【0037】万一漏洩を検知した場合には、即座にフレア結合の増し締めなどを行い漏洩を止める。漏洩が止まった場合には、後述するような次の室外ユニット5内に充填された作動媒体を、前記熱交換器を有するユニット6および作動媒体の配管11へ流通させる工程へ進んで構わない。
【0038】締め直しや部品交換など冷凍サイクル回路の部分的解体が必要な場合には、それらの作業の後、改めて炭化水素ガスを室内ユニット6並びに接続管11部分に常圧以上に注入し、漏洩の有無の再確認を実施すればよい。
【0039】常温・常圧で気体である炭化水素としてはメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン等が挙げられるが、特にプロパン、n−ブタン、i−ブタンが最適である。これらのガスは室温近傍での飽和蒸気圧が比較的小さいので、液化ガスとして使い捨てガスライタやガスライタ再充填用ガスボンベ、あるいは携帯用ガスコンロ用ガスボンベ程度の容量・耐圧設計の容器に充填し利用することが容易である。
【0040】なお、これらの炭化水素ガスが混合されたものを用いても構わない。これらの炭化水素ガス容器15は大気圧よりも高い圧力を有する炭化水素タンクを用いるのが好ましく、圧縮して液化させたボンベをサービスバルブに接続して用いるのが、炭化水素ガスの取り扱いおよび運搬の点で最適である。導入する炭化水素ガスは水分含有量が500wtppm以下が最適である。水分含有量が500wtppm以上の場合は炭化水素ガスを流通させる配管部分および熱交換器内壁に付着した過剰の水分が、冷凍システム運転後にコンプレッサ内の冷凍機油を加水分解してしまい、好ましくない。
【0041】次に本発明の第2の実施の形態の施工方法について説明する。
【0042】1番目のような手順だけで施工を行っても、フロン冷媒のような地球温暖化効果が高いガスの放出を抑止できる漏洩検出手段を備えた施工方法を提供することはできるが、室内ユニット6並びに接続管11に予め存在した空気がそのまま冷凍サイクル内に封入され、冷媒や冷凍機油などの材料の信頼性を低下させる恐れがある。
【0043】そこで、室内ユニットおよび作動媒体の配管の一端から常温・常圧で気体である炭化水素を注入する際に、炭化水素漏洩の有無を検知する前または後に熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、予め熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放することを特徴とする空気調和機の施工方法とする。
【0044】具体的には、炭化水素漏洩の有無を検知する前に、熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の他端から、予め熱交換器を有するユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放する場合には、図2におけるフレアナット10bを緩和した状態で、炭化水素ガス容器15からの炭化水素の注入を行うことにより、室内ユニットおよび作動媒体の配管の内部に存在した空気を冷凍サイクル内部から駆逐し、炭化水素に置換することが可能となる。
【0045】空気を炭化水素に置換するために導入する炭化水素の量は、大気圧気体換算で置換されるべき室内ユニット6並びに接続管11部分の容積の1倍以上であり、十分に置換するために好ましくは2倍以上である。
【0046】空気の駆逐を完了した段階で、緩和していたフレアナット10bを完全に締め、その状態でさらに炭化水素を常圧以上に注入し、そこ後漏洩検知を行う。
【0047】漏洩検知が完了したら、既に空気は駆逐されているので、後述する室外ユニット5内に充填された作動媒体を前記熱交換器を有するユニット6および作動媒体の配管11へ流通させる工程を行うことで施工を完了することができる。
【0048】なお、本発明の第3の実施の形態として、炭化水素を注入した後、炭化水素漏洩の有無を検知し、その後に、熱交換器を有するユニット6および作動媒体の配管11の他端から、熱交換器を有するユニット6および作動媒体の配管11の内部に予め存在した空気及び注入した炭化水素の一部を解放することもできる。つまり具体的には、漏洩検知後の常圧以上に炭化水素が注入された状態で、図2におけるフレアナット10bを少し緩和することによって常圧以上の内部のガスが冷凍サイクル内部より放出することができる。このとき二方弁7側は炭化水素の注入を行った三方弁8側に対して正反対の位置にあり、比較的細い管で室内ユニット6と配管11は構成されているので完全なガスの混合は起こっていないため、空気を優先的に放出することができる。
【0049】このようにして余剰なガスを排出することによって、冷凍サイクルに有害な空気の混入量を低減することが可能になる。
【0050】また、余剰の炭化水素を放出するポートに炭化水素を捕集する装置または燃焼する装置を接続することによって大気中に可燃性ガスを放出する危険性を減らすこともできる。炭化水素を捕集する装置としてはゼオライト等が、燃焼させる装置としては触媒燃焼装置等が挙げられる。
【0051】以上のように、炭化水素の注入が完了し、漏洩も無いことを確認した後、炭化水素ガス容器15を取り外し、密閉栓などでサービスポート14を保護・密栓した後、二方弁7、三方弁8のバルブを開栓することによって、冷凍圧縮機と熱交換器を有するユニット5内に充填された作動媒体を室内ユニット6並びに接続管7へ流通させる。
【0052】
【発明の効果】上記述べたように本発明によれば、長期間に渡って安定に動作させるために特定手順を実施し、配管や接続部の漏洩を検知可能とすると共に、冷凍サイクル中への空気の混入を防止出来る。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年8月10日(1998.8.10)
【代理人】 【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
【公開番号】 特開2000−55515(P2000−55515A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−263629