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【発明の名称】 過冷却度制御式膨張弁
【発明者】 【氏名】広田 久寿

【要約】 【課題】高圧冷媒の温度変化に対する応答性のよい過冷却制御膨張弁を提供すること。

【解決手段】弁体5が進退方向にガタつきなく嵌合する弁体受け7を形成して、弁体5の弁体受け7との嵌合外周面に冷媒通過路5aを形成し、絞り部4より上流側の高圧冷媒がダイアフラム11面近傍に導かれるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】蒸発器に送り込まれる冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された絞り部に対向してその上流側に進退自在に弁体を配置し、上記絞り部より上流側の冷媒の過冷却度を検知して変位するダイアフラムにより上記弁体の位置を制御して、上記高圧冷媒を過冷却度が一定になる状態で断熱膨張させて上記蒸発器に向けて送り出すようにした過冷却度制御式膨張弁において、上記弁体が上記進退方向にガタつきなく嵌合する弁体受けを形成して、上記弁体の上記弁体受けとの嵌合外周面に冷媒通過路を形成し、上記絞り部より上流側の高圧冷媒が上記ダイアフラム面近傍に導かれるようにしたことを特徴とする過冷却度制御式膨張弁。
【請求項2】上記弁体受けが上記絞り部に隣接して設けられており、上記ダイアフラム面近傍を通過した高圧冷媒が、上記冷媒通過路を通って上記絞り部に導かれる請求項1記載の過冷却度制御式膨張弁。
【請求項3】上記弁体の上記弁体受けから上流側に出た部分の外周が、細く括れた形状に形成されている請求項2記載の過冷却度制御式膨張弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷凍サイクル中に用いられる過冷却度制御式膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】冷凍サイクルに用いられる膨張弁として、蒸発器から出た低圧冷媒の温度と圧力に対応して、蒸発器に入る冷媒の流量を制御するいわゆる温度式膨張弁が広く用いられている。
【0003】それに対して、蒸発器に送り込まれる前の高圧冷媒の過冷却度を検知して蒸発器に入る冷媒の流量を制御する過冷却度制御式膨張弁は、蒸発器の入口側だけで全てを処理することができるので、装置を非常にコンパクトに構成することができるメリットがある。
【0004】図6は、そのような従来の過冷却度制御式膨張弁を示しており、蒸発器に送り込まれる冷媒が通る冷媒流路2,3の途中を細く絞って本体ブロック1に形成された絞り部4に対向して、その上流側から進退自在に弁体5が配置されている。
【0005】そして、絞り部4より上流側の冷媒の過冷却度を検知して変位するダイアフラム11により弁体5の位置を制御し、過冷却度が一定になる状態で高圧冷媒を断熱膨張させて蒸発器に向けて送り出すようにしている。
【0006】ダイアフラム11は、凝縮性ガスが封入されたパワーエレメント10の壁面を構成しており、パワーエレメント10の外壁面は外気と熱的に遮断されるように断熱材20によって囲まれている。
【0007】弁体5の頭部には、ダイアフラム11の裏面に当接するダイアフラム受け盤6が配置されていて、弁体5は、それと反対側から、細径ロッド9を介して圧縮コイルスプリング8によって付勢されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】弁体5は、絞り部4より上流側の冷媒流路2内の高圧冷媒の温度によって変動するパワーエレメント10内の圧力と、冷媒流路2内の冷媒圧と、圧縮コイルスプリング8の付勢力とが釣り合う位置で静止するが、冷媒流によって振動しないように、本体ブロック1に形成された弁体受け7にガタつきなく嵌合させる必要がある。
【0009】そのため、弁体5と弁体受け7との狭い嵌合部を通過する高圧冷媒は極めて僅かであり、冷媒流路2内の冷媒温度は、主に弁体5を媒体とする熱伝導によってダイアフラム11に伝達される。その結果、高圧冷媒の温度変化に対して弁体5の変位に遅れが発生する欠点があった。
【0010】そこで本発明は、高圧冷媒の温度変化に対する応答性のよい過冷却度制御式膨張弁を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の過冷却度制御式膨張弁は、蒸発器に送り込まれる冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された絞り部に対向してその上流側に進退自在に弁体を配置し、上記絞り部より上流側の冷媒の過冷却度を検知して変位するダイアフラムにより上記弁体の位置を制御して、上記高圧冷媒を過冷却度が一定になる状態で断熱膨張させて上記蒸発器に向けて送り出すようにした過冷却度制御式膨張弁において、上記弁体が上記進退方向にガタつきなく嵌合する弁体受けを形成して、上記弁体の上記弁体受けとの嵌合外周面に冷媒通過路を形成し、上記絞り部より上流側の高圧冷媒が上記ダイアフラム面近傍に導かれるようにしたことを特徴とする。
【0012】なお、上記弁体受けが上記絞り部に隣接して設けられており、上記ダイアフラム面近傍を通過した高圧冷媒が、上記冷媒通過路を通って上記絞り部に導かれるようにしてもよい。
【0013】また、上記弁体の上記弁体受けから上流側に出た部分の外周が、細く括れた形状に形成されていてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の過冷却度制御式膨張弁を示しており、図示されていない蒸発器に送り込まれる冷媒を通すように本体ブロック1に形成された冷媒流路2,3の途中を細く絞って絞り部4が形成されている。2は、絞り部4より上流側の管路、3は下流側の管路である。
【0015】絞り部4に上流側から対向して、絞り部4の軸線と同方向に進退自在に弁体5が配置されている。弁体5は、絞り部4の上流側に隣接して本体ブロック1に形成された弁体受け7にガタつきのないように嵌合しており、絞り部4に対向する先端部分はテーパ面に形成されている。
【0016】ただし、A−A断面を示す図2に示されるように、弁体5の弁体受け7との嵌合外周面には、溝状に凹んだ断面形状の複数の冷媒通過路5aが軸線と平行方向に形成されており、絞り部4より上流側の高圧冷媒が冷媒通過路5aを通って絞り部4に導かれる。
【0017】図1に戻って、弁体5の他端側が当接するダイアフラム受け盤6は熱伝導性のよい金属材料によって盆状に薄く広く形成されており、そのダイアフラム受け盤6の反対側の面がパワーエレメント10のダイアフラム11の裏面に当接している。
【0018】パワーエレメント10は、ダイアフラム受け盤6に当接する壁面が可撓性薄膜からなるダイアフラム11によって形成され、それ以外の部分は、金属製のハウジング12によって密閉状態に囲まれている。
【0019】そして、パワーエレメント10の圧力室13内には、冷媒流路2,3内を流れる冷媒と似た特性の凝縮性ガスと不活性の窒素ガスとが封止されており、ハウジング12の外面は、外気と熱的に遮断されるように断熱材20によって囲まれている。
【0020】弁体5は、絞り部4より下流側に配置された圧縮コイルスプリング8によって、絞り部4内に通された細径ロッド9を介してダイアフラム11側に向けて付勢されており、ダイアフラム11から受ける圧力室13内の圧力と、絞り部4より上流側の冷媒流路2内の冷媒圧と、圧縮コイルスプリング8から受ける付勢力とが釣り合う位置で静止する。
【0021】圧縮コイルスプリング8の付勢力は、圧縮コイルスプリング8の他端側を受ける状態で本体ブロック1に螺合して設けられたねじ込み検体19の締め込み量を変えることにより調整することができる。
【0022】本体ブロック1に対するパワーエレメント10のハウジング12の取り付け螺合部は、弁体5の外周面との間に十分な隙間ができる太さに形成されている。その結果、絞り部4より上流側の冷媒流路2内の高圧冷媒の一部は、相当量がダイアフラム受け盤6に直接触れてから冷媒通過路5aを通過して絞り部4に達する。
【0023】したがって、ダイアフラム11の裏面部分の空間の圧力は冷媒流路2内の高圧冷媒の圧力と常時同じになっている。また冷媒流路2内の冷媒の温度が薄いダイアフラム受け盤6を介して非常に短い時間でダイアフラム11の裏面に伝わり、圧力室13内の圧力がそれに対応して変化する。その結果、ダイアフラム11が絞り部4より上流側の冷媒の過冷却度に対応して変位し、それによって弁体5の位置が制御される。
【0024】このようにして、冷媒流路2に送り込まれてくる高圧冷媒の温度変化に対して反応が遅れることなく冷媒の流量が敏速に制御され、絞り部4より上流側の冷媒流路2内の高圧冷媒の過冷却度が一定に保たれた状態で、絞り部4より下流側において冷媒が断熱膨張しながら蒸発器に送り出される。
【0025】なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば冷媒通過路5aは、A−A断面を示す図3に示されるように、弁体5を多角形状の断面形状等にすることによっても形成することができる。
【0026】また、図4に示されるように、弁体5の中間部分(弁体受け7から上流側に出た冷媒流路2内にある部分)の外周を、細く括れた形状に形成すれば、冷媒流路2内において冷媒通過路5aへ向かう冷媒の流れ及びダイアフラム受け盤6側に向かう冷媒の流れをより滑らかにすることができる。
【0027】また、図5に示されるように、弁体受け7が従来と同様に冷媒流路2とパワーエレメント10との間に形成されている場合であっても、弁体5の外周嵌合面に冷媒通過路5aを形成することにより、冷媒流路2内の高圧冷媒がダイアフラム受け盤6の裏面に直接触れるので、弁動作の反応遅れをある程度解消することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、弁体がガタつきなく嵌合する弁体受けと弁体との嵌合面に冷媒通過路を形成し、絞り部より上流側の高圧冷媒がダイアフラム面の近傍に導かれるようにしたことにより、ダイアフラムが高圧冷媒の温度変化に敏速に反応して変位し、高圧冷媒の過冷却度を一定にした状態の流量制御を速い応答性で行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000133652
【氏名又は名称】株式会社テージーケー
【出願日】 平成10年8月5日(1998.8.5)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦
【公開番号】 特開2000−55512(P2000−55512A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−221201