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【発明の名称】 空気調和機の熱交換器
【発明者】 【氏名】久 保 徹

【氏名】辰 巳 光 好

【要約】 【課題】冷媒封入量を増やす等の手段によらず、凝縮器となる場合の冷媒の過冷却度を大きく取れるような空気調和機の熱交換器の提供。

【解決手段】熱交換器は、凝縮器としての冷媒出口側の伝熱管7内に内挿体8が設けられている。この内挿体8は、伝熱管7内に同軸に配置された円柱状の内挿体本体80と、複数の突起部82とを有している。これらの突起部82は、内挿体本体80に対して軸線方向に延びると共に半径方向に突出して伝熱管7の内壁面に当接している。この内挿体本体80によって流路が伝熱管7の内壁面側に狭められ、冷媒の流速が増大すると共に、冷媒が伝熱管7の内壁面側だけを流れる。また、伝熱管7の内壁面に当接した突起部82によって、内挿体8を通じて、伝熱管7の内壁面と冷媒との間の熱伝達が図られる。従って、内挿体8が設けられた出口側の伝熱管7における熱伝達性能が、他の伝熱管7部分に比べて向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷媒の流れる伝熱管を備えた空気調和機の熱交換器において、当該熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の前記伝熱管内に内挿体が設けられ、この内挿体は、前記伝熱管内に略同軸に配置された略円柱状の内挿体本体と、この本体の表面に設けられ前記伝熱管の内壁面に当接する複数の突起部とを有することを特徴とする空気調和機の熱交換器。
【請求項2】前記内挿体の突起部は、前記内挿体本体の軸線方向に螺旋状に延びていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の熱交換器。
【請求項3】前記内挿体本体の表面に、略軸線方向に延びる複数の溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の熱交換器。
【請求項4】前記内挿体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の熱交換器。
【請求項5】冷媒の流れる伝熱管を備えた空気調和機の熱交換器において、前記伝熱管の内壁面に、略軸線方向に延びる複数の管内溝が形成されると共に、これらの管内溝の深さは、当該熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の方が、冷媒入口側よりも深くなっていることを特徴とする空気調和機の熱交換器。
【請求項6】熱交換器は、室内熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気調和機の熱交換器。
【請求項7】熱交換器は、室外熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の空気調和機の熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機の室内又は室外熱交換器に係り、とりわけ、凝縮器としての過冷却度を大きくとれるように伝熱管内の構造を改良した空気調和機の熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】図14は、空気調和機における冷凍サイクルを構成する熱交換器2,3の一般的な構成を示す模式図である。ここで、図15に示すように、一般的な空気調和機の冷凍サイクルは、圧縮機1、室内熱交換器2、絞り機構4、室外熱交換器3および四方弁5をそれぞれ冷媒配管で接続してなり、冷媒流れ方向が実線矢印のようになる暖房運転と、同じく破線矢印のようになる冷房運転とを四方弁5によって切り替えられるように構成されている。そして、このような空気調和機においては、暖房運転時に室内熱交換器2が、冷房運転時に室外熱交換器3がそれぞれ凝縮器(放熱側)となる。
【0003】これらの熱交換器2,3は一般に、図14に示すように、冷媒の流れる屈曲した伝熱管7と、この伝熱管7が貫通する多数のフィン6とを備えている。そして、凝縮器としての熱交換器2,3の伝熱管7内を流れる冷媒は、冷媒入口側から出口側へ至る過程で伝熱管7外を流れる空気等の流体と熱交換して放熱し、液冷媒に凝縮される。
【0004】このような凝縮器としての熱交換器2,3の性能向上、すなわち冷媒出口側での冷媒の過冷却度向上を図る手段としては、一般に冷凍サイクルへの冷媒封入量を増大させることが考えられる。
【0005】また従来、図16に示すような、いわゆる複数パス構成の熱交換器(この場合は2―1パス構成の室内熱交換器)2"も提案されている。図16において、円弧形熱交換器20と平形熱交換器22とを備えた室内熱交換器2"は、(矢印で示すように)凝縮器としての冷媒入口側で2パス構成となっている伝熱管7が、途中の合流部24から1パス構成となって出口側に至っている。
【0006】そして、このような複数パス構成の熱交換器2"において冷媒の過冷却度向上を図る手段として、図16に示すように出口側の1パス部分の伝熱管7を長く取るとこで冷媒の流速を上げると共に、冷媒封入量を増大させるという提案がなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の空気調和機の熱交換器には、以下のような問題点がある。すなわち、冷媒封入量を増やすと、圧縮機の信頼性が低下し、これを防ぐためにアキュムレータ(気液分離器)やレシーバ(受液器)等の補助的機器類を追加する必要が生ずる等の問題がある。
【0008】また、図16に示したような複数パス構成の熱交換器において、出口側の少パス部分の伝熱管7を長く取ると、熱伝達率の低い液冷媒の占める伝熱管7の部分が多くなって熱交換器全体の熱伝達性能が低下し、熱交換器温度が高くなってしまう。また、当該熱交換器が蒸発器となる場合に、入口側となる少パス部分の伝熱管7での冷媒の圧力損失が大きくなり、蒸発能力が低下してしまうという問題もある。
【0009】本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、冷媒封入量を増やしたり、複数パス構成の熱交換器において出口側の少パス部分の伝熱管を長く取ったりしなくても、凝縮器となる場合に冷媒の過冷却度を大きく取れるような空気調和機の熱交換器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の手段は、冷媒の流れる伝熱管を備えた空気調和機の熱交換器において、当該熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の前記伝熱管内に内挿体が設けられ、この内挿体は、前記伝熱管内に略同軸に配置された略円柱状の内挿体本体と、この本体の表面に設けられ前記伝熱管の内壁面に当接する複数の突起部とを有することを特徴とする空気調和機の熱交換器である。
【0011】この第1の手段によれば、内挿体が設けられた伝熱管の内部においては、内挿体本体によって流路が伝熱管の内壁面側に狭められ、冷媒の流速が増大すると共に、冷媒が伝熱管の内壁面側だけを流れるので、伝熱管の内壁面と冷媒との間の伝熱を促進させることができる。また、内挿体の複数の突起部が伝熱管の内壁面に当接しているので、内挿体を通じて、伝熱管の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達を図ることができる。これらのことにより、内挿体が設けられた伝熱管の内部における熱伝達性能を、他の伝熱管部分に比べて向上させることができる。第2の手段は、第1の手段において、前記内挿体の突起部は、前記内挿体本体の軸線方向に螺旋状に延びているものである。
【0012】この第2の手段によれば、第1の手段において、内挿体の突起部によって冷媒の流れを螺旋状に旋回させることで、内挿体が設けられた伝熱管の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0013】第3の手段は、第1の手段において、前記内挿体本体の表面に、略軸線方向に延びる複数の溝部が形成されているものである。
【0014】この第3の手段によれば、第1の手段において、内挿体本体の複数の溝部によって内挿体本体と冷媒との間の熱伝達を促進させることにより、内挿体を通じての伝熱管の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達量を増大させ、内挿体が設けられた伝熱管の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0015】第4の手段は、第1乃至第3の手段のいずれかにおいて、前記内挿体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作られているものである。
【0016】この第4の手段によれば、第1乃至第3の手段のいずれかにおいて、内挿体の熱伝導率を向上させることで、内挿体を通じての伝熱管の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達量を増大させ、内挿体が設けられた伝熱管の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0017】第5の手段は、冷媒の流れる伝熱管を備えた空気調和機の熱交換器において、前記伝熱管の内壁面に、略軸線方向に延びる複数の管内溝が形成されると共に、これらの管内溝の深さは、当該熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の方が、冷媒入口側よりも深くなっているものである。
【0018】この第5の手段によれば、伝熱管の管内溝の深さが深くなるほど伝熱管の内壁面と冷媒との間の伝熱を促進させることができるので、当該熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管の内部における熱伝達性能を、入口側に比べて向上させることができる。
【0019】第6の手段は、第1乃至第5の手段のいずれかにおいて、熱交換器を室内熱交換器としたものである。
【0020】この第6の手段によれば、第1乃至第5の手段のいずれかにおいて、室内熱交換器が凝縮器となる空気調和機の暖房運転時に、当該室内熱交換器における冷媒の過冷却度を大きく取ることで、空気調和機の暖房能力を向上させることができる。
【0021】第7の手段は、第1乃至第5の手段のいずれかにおいて、熱交換器を室外熱交換器としたものである。
【0022】この第7の手段によれば、第1乃至第5の手段のいずれかにおいて、室外熱交換器が凝縮器となる空気調和機の冷房運転時に、当該室外熱交換器における冷媒の過冷却度を大きく取ることで、空気調和機の冷房能力を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図13は本発明による空気調和機の熱交換器の実施の形態を示す図である。なお、図1乃至図13に示す本発明の実施の形態において、図14および図15に示す一般的な空気調和機の熱交換器または図16に示す従来例と同一の構成部分には同一符号を付すと共に適宜、図14および図15も参照して説明する。
【0024】[第1の実施形態]まず、図1乃至図5により本発明の第1の実施形態について説明する。まず、図15に示す一般的な空気調和機の冷凍サイクルは、圧縮機1、室内熱交換器2、絞り機構4、室外熱交換器3および四方弁5をそれぞれ冷媒配管で接続してなり、冷媒流れ方向が実線矢印のようになる暖房運転と、同じく破線矢印のようになる冷房運転とを四方弁5によって切り替えられるように構成されている。そして、このような空気調和機においては、暖房運転時に室内熱交換器2が、冷房運転時に室外熱交換器3がそれぞれ凝縮器(放熱側)となる。
【0025】これらの熱交換器2,3は一般に、図14に示すように、冷媒の流れる屈曲した伝熱管7と、この伝熱管7が貫通する多数のフィン6とを備えている。このうち伝熱管7は一般に銅管であり、フィン6は一般にアルミ合金板である。そして、凝縮器としての熱交換器2,3の伝熱管7内を流れる冷媒は、冷媒入口側から出口側へ至る過程で伝熱管7外を流れる空気等の流体と熱交換して放熱し、液冷媒に凝縮される。
【0026】ここで、図1に示すように、本実施形態の熱交換器2,3は、当該熱交換器2,3が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管7内に内挿体8が設けられている。この内挿体8は、図2に示すように、伝熱管7内に同軸に配置された円柱状の内挿体本体80と、この本体80の表面に設けられた複数(この場合4つ)の突起部82とを有している。これらの突起部82は、内挿体本体80(および伝熱管7)に対して軸線方向に延びると共に半径方向に突出し、その先端部が伝熱管7の内壁面に当接している。
【0027】次に、このような構成よりなる本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、内挿体8が設けられた伝熱管7の内部においては、内挿体本体80によって流路が伝熱管7の内壁面側に狭められ、冷媒の流速が増大すると共に、冷媒が伝熱管7の内壁面側だけを流れるので、伝熱管7の内壁面と冷媒との間の伝熱を促進させることができる。また、内挿体8の複数の突起部82が伝熱管7の内壁面に当接しているので、内挿体8を通じて、伝熱管7の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達を図ることができる。これらのことにより、内挿体8が設けられた伝熱管7の内部における熱伝達性能を、他の伝熱管7部分に比べて向上させることができる。
【0028】従って、熱交換器2,3が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管7内の熱伝達性能を向上させ、冷媒封入量を特に増やさなくても、当該熱交換器2,3における冷媒の過冷却度を大きく取ることが可能となる。このため、冷媒封入量を増やすことに伴う圧縮機1の信頼性低下や補助的機器類の必要を回避しつつ、凝縮器の性能を向上させ、空気調和機の能力向上や小型化を図ることが可能となる。
【0029】具体的には、図15において、室内熱交換器2が凝縮器となる暖房運転時に、当該室内熱交換器2における冷媒の過冷却度を大きく取ることで、空気調和機の暖房能力を向上させることができる。一方、室外熱交換器3が凝縮器となる冷房運転時に、当該室外熱交換器3における冷媒の過冷却度を大きく取ることで、空気調和機の冷房能力を向上させることができる。
【0030】ここで、図3乃至図5により、本実施形態の内挿体8の各種変形例について説明する。まず、図3に示す内挿体8Aは、上記突起部82が、内挿体本体80の軸線方向に螺旋状に延びているものである。この場合、内挿体8Aの突起部82によって冷媒の流れを螺旋状に旋回させることで、内挿体8Aが設けられた伝熱管7の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0031】次に、図4に示す内挿体8Bは、内挿体本体80の表面に、略軸線方向に延びる複数の溝部84が形成されている。この場合、内挿体本体80の複数の溝部84によって内挿体本体80と冷媒との間の熱伝達を促進させることにより、内挿体8Bを通じての伝熱管7の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達量を増大させ、内挿体8Bが設けられた伝熱管7の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0032】次に、図5に示す内挿体8Cは、上記突起部82に代えて、伝熱管7の内壁面に密着した複数(この場合4つ)の板状接触部88と、これらの接触部88と内挿体本体80とを各々連結する連結部86とを有している。この場合、複数の板状接触部88によって伝熱管7の内壁面と内挿体8Cとの接触面積を大きく取ることで、内挿体8Cを通じての伝熱管7の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達量を増大させ、内挿体8Cが設けられた伝熱管7の内部における熱伝達性能をより一層向上させることができる。
【0033】なお、以上のような内挿体8〜8Cは、熱伝導率の高いアルミニウムまたはアルミニウム合金から作られていることが、内挿体8〜8Cを通じての伝熱管7の内壁面と冷媒との間の間接的な熱伝達量を増大させ、内挿体8が設けられた伝熱管7の内部における熱伝達性能をより一層向上させる観点から好ましい。
【0034】[第2の実施形態]次に、図6乃至図13により本発明の第2の実施形態について説明する。なお、図6乃至図9に示す本実施形態において、図1および図2に示す上記第1の実施形態と同一の構成部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】図6には、本実施形態の室内熱交換器2′が示され、図7には、同じく室外熱交換器3′が示されている。これらの熱交換器2′,3′は、いわゆる複数パス構成の熱交換器であり、図6に示す室内熱交換器2′は2―1パス構成、図7に示す室外熱交換器3′は4―2パス構成となっている。
【0036】具体的には、図6に示す室内熱交換器2′は、上部で屈曲した円弧形熱交換器20と、この円弧形熱交換器20の後上方部分(図6の右側部分)の上に配置された平形熱交換器22とを備えている。また、室内熱交換器2′は、(矢印で示すように)凝縮器としての冷媒入口側で2パス構成となっている伝熱管7が、円弧形熱交換器20における途中の合流部24から1パス構成となり、さらに平形熱交換器22を通って出口側に至っている。この場合、室内熱交換器2′を構成する伝熱管7のうち、平形熱交換器22部分における伝熱管を、特に符号7aで示す。
【0037】また、図7に示す室外熱交換器3′は、(矢印で示すように)凝縮器としての冷媒入口側で2パス×2=4パス構成となっている伝熱管7が、途中の各合流部30から1パス×2=2パス構成となり、それぞれ出口側に至っている。この場合、室外熱交換器3′を構成する伝熱管7のうち、各パス毎に出口側から2本ずつ計4本の伝熱管7を、特に符号7bで示す。
【0038】次に、図8および図9により、各熱交換器2′,3′の伝熱管7,7a,7bについて説明する。まず、図8に示すように、における伝熱管7のうち、上記伝熱管7a,7bの内部にだけ内挿体8Dが設けられている。これらの内挿体8Dは、各伝熱管7a,7b内に同軸に配置された円柱状の内挿体本体80と、この本体80の表面に設けられ伝熱管7a,7bの内壁面に当接した2対の突起部83とを有している。
【0039】次に、図9に示すように、各熱交換器2′,3′における伝熱管7(伝熱管7a,7bを含む)の内壁面に、軸線方向に延びる多数の管内溝(リップル溝)70が形成されている。そして、各熱交換器2′,3′が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管7a,7bにおける管内溝70の深さCは、その他の伝熱管7における管内溝70の深さCよりも深くなっている。
【0040】次に、このような構成よりなる本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、内挿体8Dが設けられた伝熱管7a,7bの内部においては、内挿体本体80によって流路が伝熱管7a,7bの内壁面側に狭められ、冷媒の流速が増大すると共に、冷媒が伝熱管7a,7bの内壁面側だけを流れるので、伝熱管7a,7bの内壁面と冷媒との間の伝熱をより促進させることができる。
【0041】また、伝熱管7,7a,7bの管内溝70の深さCが深くなるほど伝熱管7,7a,7bの内壁面と冷媒との間の伝熱がより促進されるので、管内溝70の深さCの深い方の伝熱管7a,7bにおける内壁面と冷媒との間の伝熱を、その他の伝熱管7に比べて向上させることができる。
【0042】従って、当該熱交換器2′,3′が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管7a,7bの内部における熱伝達性能を、その他の伝熱管7に比べて向上させることができるので、複数パス構成の熱交換器2′,3′において出口側の少パス部分(室内熱交換器2′では1パス部分、室外熱交換器3′では2パス部分)の伝熱管7を長く取ったり、冷媒封入量を増やしたりしなくても、当該熱交換器2′,3′における冷媒の過冷却度を大きく取ることが可能となる。
【0043】このため、凝縮器出口側の上記少パス部分の伝熱管7を特に長く取らなくても、過冷却度を大きくすることができるので、熱伝達率の低い液冷媒の占める伝熱管7の部分が多くなって熱交換器全体の熱伝達性能が低下することを防止し、熱交換器温度を低く保つことができる。また、当該熱交換器2′,3′が蒸発器となる場合に、入口側となる少パス部分の伝熱管7での冷媒の圧力損失が大きくなることを防止し、蒸発能力の低下を回避することができる。
【0044】また、冷媒封入量を増やすことに伴う圧縮機の信頼性低下や補助的機器類の必要を回避しつつ、凝縮器の性能を向上させ、空気調和機の能力向上や小型化を図ることが可能となる。
【0045】
【実施例】次に、図8および図9並びに図10乃至図13により上記第2の実施形態における実施例について説明する。本実施例は、図9に示す上記伝熱管7,7a,7bの外径A、肉厚Bおよび管内溝深さC、並びに図8に示す上記内挿体本体80の外径Dの各寸法を、それぞれ図10に示すように設定したものである。
【0046】なお、図10において、「平形熱交換器」とあるのは、室内熱交換器2′において平形熱交換器22を構成する上記伝熱管7aを表し、「円弧形熱交換器」とあるのは、室内熱交換器2′において円弧形熱交換器20を構成するその他の伝熱管7を表している。また、同じく「室外熱交換器の出口2本」とあるのは、室外内熱交換器3′において各パスの出口側の2本ずつの伝熱管を構成する上記伝熱管7bを表し、「室外熱交換器」とあるのは、室外熱交換器3′のその他の伝熱管7を表している。
【0047】また、従来例として、上記伝熱管7a,7bを用いないで、単に凝縮器出口側の上記少パス部分の伝熱管7を長く取ることで、本実施例の熱交換器2′,3′と同じ過冷却度(この場合は、図11および図12に示す凝縮器出口温度d)が得られるようにした室内および室外熱交換器を用意した。そして、実際の空気調和機について、これらの従来例と本実施例との熱交換器温度の比較を行った。
【0048】その比較結果が、図11乃至図13に示されている。ここで、図11は、凝縮器入口から出口にかけての熱交換器温度(熱交温度)の変化を示すグラフ、図12は、冷媒のエンタルピ-圧力変化を示すモリエル線図を、図11の温度変化との関係で示すグラフ、図13は、凝縮器としての各熱交換器の各段階における温度を、図11および図12に対応して示す表である。
【0049】図11乃至図13から分かるように、凝縮器の入口と出口との間における熱交換器の中間部分の温度は、本実施例の温度c(=39℃/43℃)の方が、従来例の温度b(=40℃/44℃)に比べて1℃程低くなっている。このことからも、本実施形態によれば、従来例に対して同じ過冷却度(凝縮器出口温度d)を得るのに要する上記少パス部分の伝熱管長さをより短くでき、熱交換器温度を低く保つことができることが裏付けられた。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、熱交換器が凝縮器となる場合の冷媒出口側の伝熱管内の熱伝達性能を向上させることにより、冷媒封入量を増やしたり、複数パス構成の熱交換器において出口側の少パス構成の伝熱管の部分を長く取ったりしなくても、当該熱交換器における冷媒の過冷却度を大きく取ることが可能となる。このため、冷媒封入量を増やすことに伴う圧縮機の信頼性低下や補助的機器類の必要を回避しつつ、凝縮器の性能を向上させ、空気調和機の能力向上や小型化を図ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年8月4日(1998.8.4)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2000−55509(P2000−55509A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−220757