トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法、および、空冷アンモニア吸収冷凍機
【発明者】 【氏名】町澤 健司

【氏名】福島 幸男

【氏名】岩尾 秀則

【氏名】加藤 功

【氏名】立花 慶二

【要約】 【課題】空冷アンモニア吸収冷凍機を改造して、冷凍機全体の形状寸法を著しく大きからしめることなく、気体燃料に代えて液体燃料を用い得るようにして、燃料コストを節減する。

【解決手段】発生器1の受熱部であるほぼ水平な伝熱フィン1aと、燃料油バーナの1例としての灯油バーナ8との間に、火焔バッファプレート13を立設して、屈曲した焔道14を形成する。灯油バーナ8は、ガスバーナ(図示せず)に比して長大な火焔を生じるが、前記の屈曲した焔道14の中を流動しつつ屈曲した長大な火焔9Kを生じる。火焔が屈曲しているので、長大な火焔であっても、その先端が伝熱フィン1aに接触してこれを過熱させたりする虞れが無い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンモニア溶液を加熱してアンモニア蒸気を発生させる発生器と、上記発生器の外周に設けられたほぼ水平な伝熱フィンと、上記伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスを生成させるバーナと、発生器で発生したアンモニア蒸気を液化させる凝縮器と、凝縮したアンモニア液を気化させてブラインを冷却する蒸発器とを有し、かつ、前記のバーナが気体燃料を燃焼せしめる方式である空冷アンモニア吸収冷凍機を改造して、液体燃料を用い得るようにする方法において、前記の気体燃料を燃焼せしめるガスバーナを取り外すとともに、液体燃料を燃焼せしめるガンタイプの燃料油バーナを取り付け、かつ、上記ガンタイプの燃料油バーナの火焔噴出口と前記発生器との間に、屈曲した焔道を設け、上記燃料油バーナから発生した火焔を迂回せしめて、該火焔の先端が発生器の伝熱フィンに触れないようにすることを特徴とする、空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項2】 前記ガンタイプの燃料油バーナによって、ほぼ水平方向に火焔を噴出せしめるとともに、上記火焔の噴出方向とほぼ直交せしめて、耐火性の火焔バッファプレートを配置し、上記の火焔バッファプレートに衝突した火焔を迂回せしめることを特徴とする、請求項1に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項3】 前記の火焔バッファプレートを、漢字の「凸」に類似した形状とし、焔道の左右の壁に接続し、もしくは該左右の壁に近接する本体部と、上記本体部から上方に延出し、焔道の天井壁に対して明確に離間している舌片状部と、前記本体部の右下部および左下部に、左右対称に設けられた火焔バイパス通路として作用する孔ないし切欠と、を設けて、燃料油バーナから噴出された火焔を、前記火焔バッファプレートの本体部に衝突せしめて、該火焔の大部分を舌片状部の上方に迂回せしめるとともに、上記火焔の残余の部分は舌片状部の側方、および火焔バイパス通路に迂回せしめることにより、発生器の伝熱フィンに対して、ほぼ均一な温度分布を有する燃焼ガス流を接触せしめることを特徴とする、請求項2に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項4】 前記の屈曲した焔道の外周部を形成している耐火材の壁の周囲の少なくとも一部を覆う金属板製の遮熱カバーを設けるとともに、前記焔道の壁と遮熱カバーとの間に冷却用の空気を流通せしめることにより、焔道の壁の外側面に接触しつつ流動する空気によって焔道壁を冷却するとともに、上記焔道の壁の外側面から放射される輻射熱を前記遮熱カバーで遮断することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れかに記載した空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項5】 前記遮熱カバーの下端部に近い箇所に、大気に連通する空気流入口を設けるとともに、該遮熱カバーの上端部付近から上方に突出する煙突を設けて、前記焔道壁と遮熱カバーとの間に、自然対流によって冷却用の空気流を発生せしめることを特徴とする、請求項4に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項6】 ガスバーナ、および該ガスバーナの付属部材を備えた既製の空冷アンモニア吸収冷凍機を用いて、上記ガスバーナおよび付属部材、並びに、冷凍機ケーシングの一部を取り外して改造対象機器を準備し、または、前記ガスバーナおよび付属品、並びに冷凍機ケーシングの一部が未だ装着されていない半製品を改造対象機器として、上記改造対象機器に対して、火焔バッファプレートを固着した焔道壁を装着するとともに燃料油バーナおよびその付属部材、並びに遮熱カバーを取り付け、かつ、上記遮熱カバーおよび燃料油バーナを覆うように形成された「冷凍機ケーシングの一部を構成するカバー部材」を装着して、一基の組立品として市場流通性を有する燃料油焚きの冷凍機を作り上げることを特徴とする、請求項4もしくは請求項5に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機の改造方法。
【請求項7】 アンモニア溶液を加熱してアンモニア蒸気を発生させる発生器と、上記発生器の外周に設けられたほぼ水平な伝熱フィンと、上記伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスを生成させるバーナと、発生器で発生したアンモニア蒸気を液化させる凝縮器と、凝縮したアンモニア液を気化させてブラインを冷却する蒸発器とを有し、かつ、前記のバーナは液体燃料を燃焼せしめるガンタイプの燃料油バーナであって、上記燃料油バーナの火焔噴出口と前記発生器の外周に設けられている伝熱フィンとの間に、屈曲した焔道が設けられていることを特徴とする、空冷アンモニア吸収冷凍機。
【請求項8】 前記の焔道が、その片方の端から燃料油バーナの火焔がほぼ水平方向に吹きこまれるようになっているとともに、上記燃料油バーナの火焔にほぼ直交せしめて、耐火材料製の火焔バッファプレートが設置されていて、この火焔バッファプレートによって直進を阻まれた火焔が、該火焔バッファプレートの外周部を迂回して発生器へ向かう途中で燃焼を完了して可視焔が消滅し、高温の燃焼ガスとなって焔道の他方の端から発生器に向かってほぼ水平方向に流動しつつ伝熱フィンに接触するようになっていることを特徴とする、請求項7に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機。
【請求項9】 前記の火焔バッファプレートが垂直板状の、幅の広い十字架状をなしていて、十字形の中央部が燃料油バーナに正対して火焔の衝突を受けてこれを方向変換せしめるようになっており、十字形の左右に水平な部分は焔道の内面に達していて、火焔の水平面内での迂回を完全に、もしくは、ほとんど阻止しており、十字形の上方に突出する部分は、根本が幅広で、上方へ行くに従って幅狭になっているとともに、その上端は焔道の天井に対して明確に離間していて、火焔の大半を前記の中央部よりも上方へ迂回させるようになっており、十字形の下方に垂下する部分は幅広かつ短寸であって、当該火焔バッファプレートの左下隔と右下隔とに形成される火焔のバイパス通路の断面積が全通路面積の1/10以下であり、かつ、当該十字架状の火焔バッファプレートは、十字形の左右両端の部分と下端の部分とが、焔道を形成している耐火壁によって支持されていることを特徴とする、請求項8に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機。
【請求項10】 前記の屈曲した焔道が耐火材によって構成されており、かつ、該焔道の外周面の少なくとも大半を覆うとともに、該焔道外周面と離間して、金属板製の遮熱カバーが設けられていて、焔道から放射される輻射熱を阻止するようになっていることを特徴とする、請求項7ないし請求項9の何れかに記載した空冷アンモニア吸収冷凍機。
【請求項11】 前記遮熱カバーの下端部付近に、大気と連通する開口が設けられるとともに、該遮熱カバーの上端部付近に煙突が設けられており、焔道と遮熱カバーとの間の空気層に自然対流を生じて、この流動空気が焔道の外周面に接触し、焔道壁を冷却して過熱を防止するようになっていることを特徴とする、請求項10に記載した空冷アンモニア吸収冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空冷方式のアンモニア吸収冷凍機について、その加熱手段をガスバーナから燃料油バーナに変換する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、密閉循環系の中でアンモニア水溶液を循環せしめる方式の空冷形吸収式冷凍機の従来例を示す模式的な断面図に、流動方向を表す矢印を付記した構造,機能の説明図である。発生器1の中のアンモニア水溶液は、バーナ2によって加熱され、アンモニア蒸気とアンモニア水溶液とに分けられる。アンモニア蒸気を分離されたアンモニア水溶液の濃度は低くなる(説明の便宜上、これを希薄アンモニア水と呼ぶことにする)。アンモニア蒸気は凝縮器3に導かれ、熱交換器として作用する蛇行管路を流通しつつ冷却ファンFによって冷却され、凝縮してアンモニア液となる。このとき放出される潜熱は上記冷却ファンの風冷によって奪われる。上記凝縮器3内で液化せしめられたアンモニア液は膨張弁で減圧されて蒸発器4に送られ、熱交換器として作用するコイル状管路内で気化し、アンモニア蒸気となる。上記の気化によって気化潜熱が奪われ、アンモニア蒸気の温度が低下する。一方、発生器1の中でアンモニア蒸気を発生させて形成された希薄アンモニア水は、膨張弁を経て吸収器5の上部に導かれ、スプレー5sからシャワー状に雨下せしめられる。前記蒸発器4内で気化したアンモニア蒸気も上記の吸収器5内に導かれる。該吸収器4内を雨下する希薄アンモニア水は、蒸発器4から導入されたアンモニア蒸気を吸収する。この際、発生する吸収潜熱は冷却ファン4によって大気中に放散され、吸収器内の圧力上昇を防ぎ、蒸発器4で発生したアンモニア蒸気は吸収器5へ連続的に導入される。吸収器5内でアンモニア蒸気を吸収して濃厚となったアンモニア水溶液は、吸収器5の底部に溜まり、溶液ポンプPによって前記発生器1に返送される。返送されたアンモニア水溶液は先に述べたようにバーナ2で加熱されてアンモニア蒸気を発生し、以降、これらの作動を繰り返して冷凍サイクルが構成される。図4を参照して以上に説明した発生器1と、凝縮器3と、蒸発器4内のコイル管と、吸収器5とを連結して成る循環路は密閉系を形成し、厳格に気密が保たれる。上記密閉系の中でアンモニアと水とは気相と液相との間で相変化を繰り返し、これに伴って熱の吸収,放出が行なわれる。アンモニア蒸気の気化によって熱の吸収が行なわれる蒸発器4内に、ブライン(不凍液)が循環せしめられ、前記コイル管内の低温のアンモニア蒸気との間で熱交換が行なわれる。上記のブラインはブラインポンプP′に吸入されて矢印aのように圧送され、冷熱負荷(例えばファンコイルユニット28)に供給される。上記ファンコイルユニット28から矢印bのように還流したブラインは蒸発器4の頂部付近に導かれて雨下せしめられる。該ブラインは、アンモニア蒸気が流通しているコイル管の外周面に接触しつつ流下して熱を奪われて低温になる。上述のように、ブラインはブラインポンプP′によって循環せしめられつつ、蒸発器4で冷却されて低温になり、ファンコイルユニットで熱を吸収して昇温し、昇温したブラインは蒸発器4に戻って再び冷却され、この作用を連続的に繰り返すことにより、ファンコイルユニットを介して冷却目的物(例えば室内空気)の冷却(冷房)機能を果たす。
【0003】図5は、前掲の図4に模式的な循環系統を示した従来例の空冷アンモニア吸収冷凍機における構成部材の実形、特に発生器とバーナとの配設状態の実形を示すための断面図であって、熱搬送媒体の循環流動方向を表す矢印は省略して、空気および燃焼ガスの流動方向を表す矢印と、ブラインの循環流動方向を表す矢印とを付記してある。本図5に示した発生器1と、凝縮器3と、蒸発器4と、吸収器5とは、それぞれ前掲の図4について説明した構成機器である。ただし、この断面図において凝縮器3と吸収器5とは、それぞれの熱交換コイル部が現れている。ケーシング11によって全体を覆われており、このケーシング11によって1組の空冷アンモニア吸収冷凍機が、市場に流通する商品としての意匠が構成されている。11bは、ファンF′を覆うファンカバーであって、このファンF′は矢印aのように、いわゆる押出し通風をしている。このためケーシング11の内部は負圧となり、矢印bのように大気を吸い込む。吸い込まれた大気は凝縮器3および吸収器5の熱交換コイル部分を矢印cのように流通して、これらを冷却してファンF′の送出空気流(矢印a)に合流する。発生器1は、ほぼ垂直な円筒状をなし、その外周に、ほぼ水平な伝熱フィン1aが取り付けられている。これに正対してラインバーナ6が設けられ、都市ガスや石油液化ガスなどの気体燃料を燃焼せしめて火焔7が形成されている。従来例の空冷アンモニア吸収冷凍機においては一般に、この例のように気体燃料が用いられていて、液体燃料(例えば灯油)は用いられていない。次に、その理由について述べる。
【0004】図6は、空冷アンモニア吸収冷凍機における熱源としての気体燃料と液体燃料との長短を説明するため各種のバーナを対比するよう模式的に描いてあり、(A)は1本のラインバーナの正面図、(B)は平行に水平に配列したラインバーナの斜視図、(C)は発生器に正対せしめて垂直に配置したラインバーナの正面図、(D)は上記のラインバーナに代えて灯油バーナを発生器に正対せしめた場合の正面図である。図6(A)に示したラインバーナ6は、管状部材の管壁に小さい孔を列設した構造であって、上記の孔を上に向けてガスを噴出させながら着火し、2次空気(図示せず)を供給すると、線状に並んだ火焔7が形成される。図6(B)のように、複数のラインバーナ6a〜6dを水平に、平行に配列すると、平面状に配列された多数の火焔7が形成される。図6(C)のように、ラインバーナ6vを垂直姿勢にして、燃焼用空気(矢印d)を水平方向に供給して火焔7を形成させると、生成された高温の燃焼ガスは前記矢印dの延長方向に流動して、発生器1のほぼ水平な伝熱フィン1aに接触し、これを加熱する。
【0005】図5の実形断面図と対比して諒解されるように、ラインバーナ6によって垂直面に沿った発熱面(垂直面状の熱源)を形成すると、発生器1の加熱に好都合であり、この熱源部分をケーシング11のバーナーカバー部11cで覆って、冷凍機の全体的形状をコンパクトならしめ、該冷凍機を設置するためのスペースが小さくて足りる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図5および図6(C)に示したように複数本のラインバーナを垂直に配置して気体燃料を燃焼させると、全体の形状をコンパクトならしめるために好都合である。しかしながら、気体燃料は一般にカロリー当たり価格が高くて不経済であるから、カロリー当たり価格の低廉な液体燃料(例えば灯油)に転換したいという要請が有る。こうした要請に副うことは、単に使用者一個人,一企業の経済的利益であるのみでなく、エネルギー消費の節減といった社会的要望にも合致するという、価値ある技術的向上である。ところが、気体燃料に比して液体燃料は比重や粘性が大きく、これを噴霧して空気と混合させねばならないので火焔が長大になる。火焔が長大であることは必ずしも欠点ではなく、例えば製鋼炉や火焔放射器においては液体燃料によって形成される長大な火焔を有効に利用している。しかしながら、空冷アンモニア吸収冷凍機の場合は、長大な火焔を形成するという液体燃料バーナの特性が不具合を招く。すなわち、前掲の図6(C)に示したように、発生器1の外周に設けられているほぼ水平な伝熱フィン1aに対して、ほぼ水平方向に流動する高温の燃焼ガスを生成するように液体燃料バーナ(例えば灯油バーナ8)を設けると、図6(D)のようになり、該灯油バーナ8の火焔噴出口から発生器1までの距離を大きくとらなければならない。この距離Lが過小であると、長大な火焔9の先端が伝熱フィン1aに接触して、該伝熱フィン1aの一部を局部的に過熱させたり、燃焼生成固形物(いわゆる煤など)を付着させて熱伝導を阻害したりするといった不具合を誘発する。
【0007】このため、前記の距離Lを適正に設定して、高温の燃焼ガス流10がほぼ水平な伝熱フィン1aに沿って、ほぼ水平に流動させなければならない。図7は前掲の図5に示した従来例の空冷アンモニア吸収冷凍機に、図6(D)に示した灯油バーナ8を装着するように改造した場合を想定した試案の冷凍機を描いた断面図である。このような改造を施すと、気体燃料に代えて液体燃料を用いることができ、カロリー当たり単価が低減され、ひいては空冷アンモニア吸収冷凍機のランニングコストが節減される。しかしながら、図7に示したように灯油バーナ8の火焔噴出口と発生器1とを結ぶ焔道16を設けなければならず、該焔道16および灯油バーナ8を覆う燃焼室カバー部12bを装着すると、ケーシング12が著しく巨大になる。ケーシング12が巨大になると、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の設置所要スペースが大きくなって、その設置に著しく制約を受ける。火焔が長大であれば焔道も長大となって、焔道壁を通って放出される熱量が大きくなって空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内が昇温し、耐熱性の低い制御用電子部材に悪影響を及ぼす。本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、気体燃料を用いるように設計,製作された空冷アンモニア吸収冷凍機を改造して、液体燃料の使用を可能ならしめる技術を提供することを目的とする。ただし、上記の「改造」の意味は広範であって、既設の、稼働経歴を有する空冷アンモニア吸収冷凍機を改造する場合や、既成の、新品の空冷アンモニア吸収冷凍機を改造する場合のみでなく、燃焼機器が未だ装着されていない半製品の空冷アンモニア吸収冷凍機を改造する場合も含み、さらに、気体燃料方式の空冷アンモニア吸収冷凍機の設計製作に関する技術的蓄積に基づいて、その燃焼機器以外の技術的知見を適用して液体燃料方式の空冷アンモニア吸収冷凍機を新たに設計,製作することも、本発明の目的に含まれるものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために創作した本発明の基本的原理について、その1実施形態に対応する図1を参照して略述すると次のとおりである。すなわち、空冷アンモニア吸収冷凍機の燃焼系機器を改造して、冷凍機全体の形状寸法を著しく大きからしめることなく、気体燃料に代えて液体燃料を用い得るようにして、燃料コストを節減するため、発生器1の受熱部であるほぼ水平な伝熱フィン1aと、燃料油バーナの1例としての灯油バーナ8との間に、火焔バッファプレート13を立設して、屈曲した焔道14を形成する。灯油バーナ8は、ガスバーナ(図示せず)に比して長大な火焔を生じるが、前記の屈曲した焔道14の中を流動しつつ屈曲した長大火焔9Kを生じる。火焔が屈曲しているので、長大火焔であっても、その先端が伝熱フィン1aに接触してこれを過熱させたりする虞れが無い。さらに、焔道が屈曲しているので灯油バーナ8を発生器1に接近せしめて配設することができ、当該液体燃料式空冷アンモニア吸収冷凍機全体がコンパクトである。本発明において焔道とは、燃焼室と、これに連続している煙道との内で、バーナから伝熱フィンまでの間を指す語である。
【0009】以上に説明した原理に基づいて、請求項1に係る発明の構成は、アンモニア溶液を加熱してアンモニア蒸気を発生させる発生器と、上記発生器の外周に設けられたほぼ水平な伝熱フィンと、上記伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスを生成させるバーナと、発生器で発生したアンモニア蒸気を液化させる凝縮器と、凝縮したアンモニア液を気化させてブラインを冷却する蒸発器とを有し、かつ、前記のバーナが気体燃料を燃焼せしめる方式である空冷アンモニア吸収冷凍機を改造して、液体燃料を用い得るようにする方法において、前記の気体燃料を燃焼せしめるガスバーナを取り外すとともに、液体燃料を燃焼せしめるガンタイプの燃料油バーナを取り付け、かつ、上記ガンタイプの燃料油バーナの火焔噴出口と前記発生器との間に、屈曲した焔道を設け、上記燃料油バーナから発生した火焔を迂回せしめて、該火焔の先端が発生器の伝熱フィンに触れないようにすることを特徴とする。以上に説明した請求項1の発明方法によると、既製の、もしくは既設計の気体燃料方式の空冷アンモニア吸収冷凍機の全体的な形状寸法を著しく大きからしめることなく、液体燃料方式に転換することができ、気体燃料に比して安価な液体燃料の使用によって運転経費が節減される。気体燃料に比して液体燃料は長大な火焔を生じるが、本発明を適用して屈曲した焔道を構成することにより、焔道の延べ長さを長くしても燃料油バーナを発生器に接近せしめて、全体形状をコンパクトならしめることができる。また、屈曲した焔道に沿って屈曲した火焔を生じるので、該火焔が長大であっても発生器に接触する虞れが無く、火焔の接触によって伝熱フィンが汚損したり焼損したりするといった不具合を誘発しない。
【0010】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記ガンタイプの燃料油バーナによって、ほぼ水平方向に火焔を噴出せしめるとともに、上記火焔の噴出方向とほぼ直交せしめて、耐火性の火焔バッファプレートを配置し、上記の火焔バッファプレートに衝突した火焔を迂回せしめることを特徴とする。以上に説明した請求項2の発明方法によると、ほぼ水平に設置されたガンタイプの燃料油バーナから噴出する長大な火焔が火焔バッファプレートに衝突し、これを迂回して裏側に流動する。これにより、火焔バッファプレートは焔道を屈曲させる作用を果たすが、該火焔バッファプレートは焔道内に位置していて外気に触れないので、この火焔バッファプレートを厚さ方向に伝導した熱がケーシング内の空気を昇温させる虞れが無い。これにより、耐熱性の低い制御用電子部材の熱的保護が容易になる。
【0011】請求項3に係る発明方法の構成は、前記の火焔バッファプレートを、漢字の「凸」に類似した形状とし、焔道の左右の壁に接触し、もしくは該左右の壁に近接する本体部と、上記本体部から上方に延出し、焔道の天井壁に対して明確に離間している舌状部と、前記本体部の右下部および左下部に、左右対称に設けられた火焔バイパス通路として作用する孔ないし切欠と、を設けて、燃料油バーナから噴出された火焔を、前記火焔バッファプレートの本体部に衝突せしめて、該火焔の大部分を舌片状部の上方に迂回せしめるとともに、上記火焔の残余の部分は舌片状部の側方、および火焔バイパス通路に迂回せしめることにより、発生器の伝熱フィンに対して、ほぼ均一な温度分布を有する燃焼ガス流を接触せしめることを特徴とする。以上に説明した請求項3の発明方法によると、火焔バッファプレートの本体部が焔道の左右方向について火焔の迂回を阻止するので、火焔の大半は該火焔バッファプレートの上方に突出している舌片状の部分を包みこむ形に流動して、主として上方に迂回する。さらに、火焔の一部分は火焔バイパス通路を通り、若干迂回して発生器に向かい、燃焼を完了して燃焼ガスとなってから発生器の伝熱フィンに接触しつつ流動する。上述のように、火焔が分散して火焔バッファプレートを迂回するので、発生器の受熱部に対して温度分布の均一な燃焼ガスを送給することができ、安定かつ高効率で発生器内のアンモニア水溶液を加熱して、円滑にアンモニア蒸気を発生させることが出来る。
【0012】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請求項1ないし同3の発明の構成要件に加えて、前記の屈曲した焔道の外周部を形成している耐火材の壁の周囲の少なくとも一部を覆う金属板製の遮熱カバーを設けるとともに、前記焔道の壁と遮熱カバーとの間に冷却用の空気を流通せしめることにより、焔道の壁の外側面に接触しつつ流動する空気によって焔道壁を冷却するとともに、上記焔道の壁の外側面から放射される輻射熱を前記遮熱カバーで遮断することを特徴とする。以上に説明した請求項4の発明方法によると、焔道壁から放散される熱を空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内に篭らせない。すなわち、液体燃料の使用によって火焔が長大になると、焔道の壁面積が大きくなる。このため、壁温がほぼ同じであっても焔道壁から伝導や輻射で放散される熱量が増加する。しかも、この焔道は空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内に収納されているので、該ケーシング内の温度を上昇せしめる。こうした観点から、本請求項4の発明を適用して、焔道壁からの伝導熱を空気流で運び去るとともに、輻射熱を遮熱カバーで阻止することにより、ケース内の気温上昇を防止することができる。
【0013】請求項5に係る発明方法の構成は、前記請求項4の発明方法の構成要件に加えて、前記遮熱カバーの下端部に近い箇所に、大気に連通する空気流入口を設けるとともに、該遮熱カバーの上端部付近から上方に突出する煙突を設けて、前記焔道壁と遮熱カバーとの間に、自然対流によって冷却用の空気流を発生せしめることを特徴とする。以上に説明した請求項5の発明方法によると、専用のファンやモータを設ける必要無く、焔道壁と遮熱カバーとに挟まれた空間内に自然対流を発生させることができ、しかも、空冷アンモニア吸収冷凍機ケーシング内の空気を吸入して焔道壁を空冷し、温度が上がった空気を該ケーシングの上方空間に放出することができて合理的である。その上、専用のファンやモータを設けないので騒音を増大させることなく、静粛に冷却し得る上に、ファンモータによる電力消費を発生させないのでエネルギー効率が高い。
【0014】請求項6に係る発明方法の構成は、前記請求項4もしくは同5の発明方法の構成要件に加えて、ガスバーナ、および該ガスバーナの付属部材を備えた既製の空冷アンモニア吸収冷凍機を用いて、上記ガスバーナおよび付属部材、並びに、冷凍機ケーシングの一部を取り外して改造対象機器を準備し、または、前記ガスバーナおよび付属品、並びに冷凍機ケーシングの一部が未だ装着されていない半製品を改造対象機器として、上記改造対象機器に対して、火焔バッファプレートを固着した焔道壁を装着するとともに燃料油バーナおよびその付属部材、並びに遮熱カバーを取り付け、かつ、上記遮熱カバーおよび燃料油バーナを覆うように形成された「冷凍機ケーシングの一部を構成するカバー部材」を装着して、一基の組立品として市場流通性を有する燃料油焚きの冷凍機を作り上げることを特徴とする。以上に説明した請求項6の発明方法によると、既製の新品のガス焚き形空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、既設で稼働中のガス焚き形空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、或いは未完成の半製品である空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、商品として完成した形の油焚き空冷アンモニア吸収冷凍機を構成することが出来る。
【0015】請求項7に係る発明の構成は、アンモニア溶液を加熱してアンモニア蒸気を発生させる発生器と、上記発生器の外囲に設けられたほぼ水平な伝熱フィンと、上記伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスを生成させるバーナと、発生器で発生したアンモニア蒸気を液化させる凝縮器と、凝縮したアンモニア液を気化させてブラインを冷却する蒸発器とを有し、かつ、前記のバーナは液体燃料を燃焼せしめるガンタイプの燃料油バーナであって、上記燃料油バーナの火焔噴出口と前記発生器の外周に設けられている伝熱フィンとの間に、屈曲した焔道が設けられていることを特徴とする。以上に説明した請求項7の発明によると、アンモニア溶液を加熱するための熱源として液体燃料を用いることができるので、燃料コストが安く、従って空冷アンモニア吸収冷凍機の冷房性能に悪影響を及ぼすこと無くランニングコストを節減することができる。液体燃料はガス燃料に比して、燃焼用空気と混合させることが難しいが、公知のガンタイプ燃料油バーナを用いると、液体燃料を噴霧して空気と混合させることにより、容易に、ほとんど完全燃焼に近い形で良好に燃焼せしめることができる。液体燃料は、噴霧されて長大な火焔を生じるが、焔道が屈曲しているため、空冷アンモニア吸収冷凍機全体を著しく大形化させる虞れが無い。焔道が屈曲しているので、その外形に比して流路が長い。このため、長大な火焔であっても焔道内で燃焼を完了し、高温の燃焼ガスとなって伝熱フィンに接触する。従って、火焔が伝熱フィンに接触せず、該伝熱フィンを局部的に過熱させたり、該伝熱フィンに固形燃焼生成物(煤)を付着させて熱伝導を妨げたりする虞れも無い。
【0016】請求項8の発明に係る冷凍機の構成は、前記請求項7の発明の構成要件に加えて、前記の焔道が、その片方の端から燃料油バーナの火焔がほぼ水平方向に吹きこまれるようになっているとともに、上記燃料油バーナの火焔にほぼ直交せしめて耐火材料製の火焔バッファプレートが設置されていて、この火焔バッファプレートによって直進を阻まれた火焔が、該火焔バッファプレートの外周部を迂回して発生器へ向かう途中で燃焼を完了して可視焔が消失し、高温の燃焼ガスとなって焔道の他方の端から発生器に向かってほぼ水平方向に流動しつつ伝熱フィンに接触するようになっていることを特徴とする。以上に説明した請求項8の発明によると、燃料油バーナに正対せしめて火焔バファプレートを立てるという簡単な構成で、屈曲した焔道が形成される。その上、火焔が火焔バッファプレートを迂回するようになっているので、該火焔バッファプレートの両方の面が焔道に面していて外気に露出しない。従って、火焔バッファプレートは焔道の通路を延長するという作用を果たし、焔道の外表面を増大させない。焔道の外表面を増加させないことによって焔道外表面からの熱の放散が抑制される。焔道からの熱の放散が抑制されると、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の熱効率が向上する上に、焔道から放散された熱によって耐熱性の低い構成部材(例えば制御用の電子部品)が熱的損傷を破る虞れを無からしめ、冷凍機全体の信頼性,耐久性が向上する。
【0017】請求項9に係る発明の構成は、前記請求項8に係る発明の構成要件に加えて、前記の火焔バッファプレートが垂直板状の、幅の広い十字架状をなしていて、十字形の中央部が燃料油バーナが正対して火焔の衝突を受けてこれを方向変換せしめるようになっており、十字形の左右に水平な部分は焔道の内面に達して、火焔の水平面内での迂回を完全に、もしくは、ほとんど阻止しており、十字形の上方に突出する部分は、根本が幅広で、上方へ行くに従って幅狭になっているとともに、その上端は焔道の天井に対して明確に離間していて、火焔の大半を前記の中央部よりも上方へ迂回させるようになっており、十字形の下方に垂下する部分は幅広かかつ短寸であって当該火焔バッファプレートの左下隅と右下隅とに形成される火焔のバイパス通路の断面積が全通路面積の1/10以下であり、かつ、当該十字架状の火焔バッファプレートは、十字形の左右両端の部分と下端の部分とが、焔道を形成している耐火壁によって支持されていることを特徴とする。以上に説明した請求項9の発明によると、火焔の大部分が火焔バッファプレートの上方を迂回し、その側方に迂回しない。このため、火焔通路が上方に湾曲した形となって左右(水平方向)には広がらない。このため、屈曲した焔道を構成しても、その水平投影図形の面積が比較的小さい。その結果、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の設置所要面積が比較的少なくて足りる。さらに、火焔の大部分は、十字状火焔バッファプレートの上方突出部の上方を迂回し、一部は上方突出部の側方(火焔に正対している部分に比べると斜上方)を通過する。そして、僅少部分が左右下方を通過する。このようにして火焔が上方と、左右上方と、左右下方とに分散して迂回するので、発生器の伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスの温度分布を均一ならしめる。これにより、発生器を均一に加熱することが出来る。
【0018】請求項10に係る発明の構成は、前記請求項7ないし同9の発明の構成要件に加えて、前記の屈曲した焔道が耐火材によって構成されており、かつ、該焔道の外周面の少なくとも大半を覆うとともに、該焔道外周面と離間して、金属板製の遮熱カバーが設けられていて、焔道から放射される輻射熱を阻止するようになっていることを特徴とする。以上に説明した請求項10の発明によると、高温(例えば800℃)になる焔道外周面から放射される輻射熱の大部分が、金属板製(例えばステンレススチール板)の遮熱カバーによって反射され、一部は進行を阻まれて顕熱となり、当該空冷アンモニア吸収冷凍機を構成している他の部材を発熱せしめず、ケーシング内の気温上昇が防止される。上記ケーシング内には、例えば制御用の電子部品などのように耐熱性の低い部材も有るので、ケーシング内気温の上昇が抑制されることは、空冷アンモニア吸収冷凍機全体の信頼性,耐久性向上に有効である。
【0019】請求項11に係る発明の構成は、前記請求項10の発明の構成要件に加えて、前記遮熱カバーの下端部付近に、大気に連通する開口が設けられるとともに、該遮熱カバーの上端部付近に煙突が設けられており、焔道と遮熱カバーとの間の空気層に自然対流を生じて、この流動空気が焔道の外周面に接触し、焔道壁を冷却して過熱を防止するようになっていることを特徴とする。以上に説明した請求項11の発明によると、前記請求項10の発明を適用して設置された輻射熱阻止用の遮熱カバーを利用して、空気取入用の間口と煙突とを設けることにより、該遮熱カバーと焔道壁との間に形成されている空気層に自然対流を生じさせて、焔道壁の熱を流動空気で奪うとともに、熱を奪って昇温した空気を煙突に導いて放出し、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の上方空間に発散せしめることができ、冷凍機ケーシング内の気温上昇抑制を一層有効に果たすことができる。上述の空冷作用を自然対流で行なわせるので、通風用のファンやモータを追加設置する必要が無いので、焔道冷却用ファン・モータの設置コストが掛からず、該ファン・モータによる電力消費が発生せず、しかも該ファン・モータによって振動や騒音を増加させる虞れも無い。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明方法を適用して改造した空冷アンモニア吸収冷凍機の1実施例を示す模式的な垂直断面図に、熱交換される流体の流動方向を表す矢印、および燃焼系機器の取付面zを付記した図である。本図1に符号zで示した面よりも左方は、先に説明した図5(従来例)の空冷アンモニア吸収冷凍機におけると同様ないし類似の構成である。図において発生機1の右方、すなわち、該発生機1の伝熱フィン1aに対して高温の燃焼ガスをほぼ水平方向に送給すべき上流例に、さらに換言すれば前掲の図5(従来例)においてガス燃焼用のラインバーナが設けられていた箇所に、該ラインバーナ6およびその付属機器を取り外して、灯油バーナ8を設置する。上記灯油バーナ8の設置は、既設で稼働中のガス焚き空冷アンモニア吸収冷凍機から、ガスバーナ(ラインバーナ)およびその付属部材、並びに、この付近を覆っているカバー部材を取り外してから行っても良く、もしくは、既製で新品のガス焚き空冷アンモニア吸収冷凍機からガスバーナ、およびその付属部材、並びにカバー部材を取り外してから行なっても良く、または、工場において製造されている空冷アンモニア吸収冷凍機であって、未だ燃焼系統の機器が組み付けられていない半製品に対して前記の灯油バーナ8を取り付けても良い。上記灯油バーナ8は、その火焔噴出口を発生器1の伝熱フィン1aに向けて、ほぼ水平方向に設置する。発生器1は、その基本的構造の関係から上下方向に縦長の機器であって、その上半部は気液分離部分になり、下半部が受熱区域であって伝熱フィンが設けられている。従って、前述のごとく灯油バーナ8を伝熱フィン1aに向けて水平に設置することにより、必然的に該灯油バーナ8の設置位置が低くなる。灯油バーナ8の設置位置が低いということは、一つには冷凍機全体の重心位置を低くからしめて安定を良くすることに有効である。さらにもう一つ、後述するごとく火焔バッファプレート13を立てて焔道を屈曲させることについて好都合となる。
【0021】前記灯油バーナ8と発生器1との間に、該灯油バーナ8の火焔噴出方向とほぼ直角に対向せしめて、耐熱材料製の火焔バッファプレート13を立設する。これにより、灯油バーナ8からほぼ水平に噴射された長大な火焔は前記の火焔バッファプレートに衝突し、強制的に迂回せしめられる。本実施形態においては、本図1に示したごとく、火焔を上方に迂回させるように導く屈曲した焔道14が構成されている。詳しくは、上方に屈曲した焔道が構成される。これにより、屈曲した長大な火焔9Kが形成される。本実施形態においては、合せ面z−zで取り付けるように成形された耐火材料製の屈曲した焔道外壁14に火焔バッファプレート13を固着し、この「火焔バッファプレート付き焔道」を、上記合せ面z−zに形成された取付フランジによって装着されている。図2は、前掲の図1に示した実施形態における空冷アンモニア吸収冷凍機の「火焔バッファプレート付き焔道」をz−z面で取り外し、伝熱フィン付きの発生器と対応せしめて描いた分解斜視図に、取外し・取付け操作を表す円弧矢印を付記した図である。
【0022】本図2に示した焔道外壁14′は前掲の図1に示した焔道外壁14′が取り外された状態を描いたものであり、符号f,f′を付して示したのは取付フランジである。火焔バッファプレート13は、概要的に見れば漢字の凸の字に類似していて、下半部はほぼ長方形で、その上方に舌片が突出している。もう少し詳しく見ると、幅の広い十字架状をなしているが、一般通念に比して言えば、むしろ逆立した十字架状であって、縦の画の内で上方に延出している部分が比較的長く、下方に延出している脚の部分は極端に短く、幅が広い。十字架の横の画と縦の画とが交って重なっている部分(十字形の中央部)は、前記の灯油バーナ8の火焔噴出口に正対し、この火焔バッファプレート13の本体部である。上方に突出する舌片13bは、根本の部分(すなわち下半部)が幅広で、先端へ行くに従ってテーパ状に幅が狭くなっていて、その先端(上端)と焔道外壁14′の天井との間は明確に離間している。この付近が、屈曲した火焔の主たる通路になる。この図2と前掲の図1とを対照して理解できるように、屈曲した火焔9Kの大部分は舌片13bの上方を通るが、その一部分は該舌片13bの側方を通る。上記舌片13bの両側の空間は、前記のバーナに正対する部分13aの斜上方に当たる。そして、該舌片13bの下半部は幅広で上半部が細くなっているので舌片側方の空隙は下方が狭く上方が広くなっている。ここを通過する火焔の配分は、次の事項の影響を受ける。
【0023】説明の便宜上、図2に示したU部付近(舌片の側方上部)と、D部付近とを定性的に比較して考察すると、D部よりもU部の方が広いことは、U部を通過する火焔を増加せしめるように作用する。D部を通る流路よりもD部の方が遠回りになることは、U部を通過する火焔を減少せしめるように作用する。火焔バッファプレート13の本体部13aに衝突して方向変換する火焔の慣性を考慮すると、比較的小さい回転半径で方向変換しなければならないU部は火焔通過量が減少せしめられ、同じく比較的大きい回転半径で方向変換すれば足りるD部は火焔通過量が増加せしめられる。以上に述べた影響を考慮に入れて、前記の舌片13b付近を流通する火焔の量的な分布を設計的に算出することは余り容易でない。しかし、実験的に求めることは当業者にとって格別の困難無く可能である。ただし、上述のように火焔の迂回路の各部における火焔の分布量を論じるのは、発生器1の伝熱フィンに送給される高温の燃焼ガス流の温度分布を均一ならしめるためである。
【0024】さすれば、必ずしも火焔量分布を理論的解明したり設計的に算出したりしなくても、火焔バッファプレートの形状を種々に変化させながら燃焼ガスの温度分布計測を繰り返して、所望の温度分布が得られるような火焔バッファプレート形状を実験的に求めることが実際的である。先に述べたごとく、十字架に類似した形状の火焔バッファプレート13における脚の部分(水平の辺から下方に突出する部分)は、図2に示すように著しく幅広で短寸である。幅広の水平な辺の左右両端と、幅広短寸の脚部の下端とが、焔道外壁14′に固着されている。本発明方法において燃焼系統を組み立てる際は、本図に例示したように「火焔バッファプレート13付きの焔道外壁14′」を装着することが望ましい。前述のごとく火焔バッファプレート13の脚が広幅短寸であるから、バーナに正対している本体部13aの左右下方に形成される火焔バイパス通路13cの流路面積は非常に小さい。このような火焔バイパス通路を設けるのは、先に説明した「伝熱フィン1aに送給される燃焼ガス流の温度分布の均一化」を図るためのものであるから、この火焔バイパス通路13cの位置や大きさ、および形状は実験的に求めることが望ましい。本図2における火焔バイパス通路13cは、火焔バッファプレート13の一部を切り欠かれた形になっているが、本発明を実施する際、この火焔バイパス通路の形成は、火焔バッファプレートに透孔ないし開口を設けることによって構成しても良い。本発明者らの実験によると、火焔バイパス通路13cの流路面積の合計は、該火焔バッファプレート13の上方に形成されている空隙を主とする全流路断面積の10%を越えないようにすることが適正である。10%を超えると、伝熱フィン周辺における燃焼ガスの温度分布で却って不均一になり、好ましくない結果となり易い。特に、バイパス通路を通る火焔量が大きくなるとバイパス火焔の長さが伸びて、該バイパス火焔の先端が伝熱フィンに接近するので、バイパス通路面積をあまり大きくは出来ない。
【0025】図3は、本発明に係る空冷アンモニア吸収冷凍機の1実施例における発生器および屈曲した焔道、並びに、上記屈曲した焔道を覆う遮熱カバーを抽出して描いた外観斜視図である。ただし、模式化して描いてあるので必ずしも実体の投影形状を表していない。符号14′を付して示したのは、前掲の図1において同じ符号を付した屈曲した焔道の外壁である。この外壁14′に対して、空隙を介して対向する遮熱カバー15を設ける。この遮熱カバーは金属板で成形する。本実施形態においては非塗装のステンレススチール板を用いた。この遮熱カバー15は、内側の面に鏡面光沢を有していることが望ましい。屈曲した焔道14は図1から理解されるように、空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内に配置されているので、この焔道14から放散される熱はケーシング内の気温を上昇させる。このケーシング内には制御系の電子部品(図示省略)が配置されているので、ケーシング内の気温が過度に上昇すると電子部品が熱的損傷を受ける虞れが有り、ケーシング内の気温上昇はなるべく抑制されなければならない。本実施形態においては、焔道の外壁14′が300℃〜800℃になるので、この外壁14′から放射される輻射熱によるケーシング内の昇温が無視できない。上記の輻射熱は遮熱カバー15によって阻止される。特に、該遮熱カバー15の内面が鏡面光沢を有していると輻射線が反射されるので、遮熱カバー15の昇温も抑制されて好都合である。
【0026】さらに、前記遮熱カバー15の下端部の付近に冷却空気取入口15bとして作用する開口ないし透孔を設けるとともに、該遮熱カバー15の上端付近から上方に突出させて煙突15dを設ける。図1においては遮熱カバー15の図示を省略してあるが、前記の煙突15dは当該空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシングを貫通して上方に突出せしめ、冷凍機の上方の空間に連通せしめる。冷凍機ケーシング内の空気は冷却空気取入口15b(図3)に吸入されて焔道外壁14′に接触し、その熱を受け取って冷却作用を果たす。熱を受け取って昇温した空気は膨張して軽くなり、自然対流を生じて上昇し、煙突15dから放出される。このようにして遮熱カバー15は、焔道の外壁14′からの輻射熱を阻止するとともに、該焔道外壁14′を伝導・対流によって冷却し、ケーシング内の気温上昇を抑制する。上述の構造・機能から明らかなように、本実施形態における遮熱カバー15による焔道外壁14′の冷却は、冷却ファン・モータを設置する必要が無いので、改造工事の機材費を著しく増加せしめず、冷却ファン・モータを設けないので焔道外壁冷却のために電力を消費せず、冷却ファン・モータを設けないので焔道冷却手段から振動や騒音を発生せしめる虞れが無く、静粛,円滑,かつ確実に焔道外壁の冷却を行なうことができる。本発明において、上述のごとく焔道の冷却を重視するのは、本発明の適用によって屈曲した焔道が設けられると、該焔道の屈曲によって表面積が増加し、該焔道からの熱の放散が増加する傾向を生じるので、こうした欠点を補うため、焔道からの熱放散抑制に意を用いたものである。
【0027】図5に示した従来例のガス焚き形空冷アンモニア吸収冷凍機に広義の改造(設計改良を含む)を施して図1(実施例)に示した油焚き形の空冷アンモニア吸収冷凍機を構成する際、ラインバーナ6(図5)に比して灯油バーナ8は若干大形であり、かつ、焔道の屈曲によって焔道の外形が大形になる。このため、従来例のケーシング11に装着されていたバーナカバー部11cを取り外し、改造ケーシング11′を構成するために作られた灯油バーナカバー11dを装着する。この改造ケーシング11′の構成部材のうち、図示の面z−zよりも左方は従来例のケーシング11の構成部材と同様であるから、本発明に係る改造に伴うケーシング加工費用は僅少で足りる。上述のように灯油バーナカバー部11dを装着して改造ケーシング11′(図1)を組み上げることにより、油焚きに改造された空冷アンモニア吸収冷凍機は一基の設備機器としての外観的風格を整えて、纒った意匠を構成して市場流通性を持ち得る形態となる。なお、本発明は空冷アンモニア吸収冷凍機を適用の対照とするものであるが、これに若干の構成機器を追加することにより、冷房専用でなく冷暖房兼用とすることが可能である。従って、空冷アンモニア吸収冷暖房機であっても、その中に空冷アンモニア吸収冷凍機として機能し得る構成部分を具備していれば本発明の適用対象とすることができる。すなわち、暖房手段が併設されていても、その空冷アンモニア吸収冷凍機部分に本発明を適用してガス焚き形を油焚き形に改造する方法、および、油焚き形に改造された空冷アンモニア吸収冷凍機は本発明の技術的範囲に属するものである。
【0028】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明によると、既製の、もしくは既設計の気体燃料方式の空冷アンモニア吸収冷凍機の全体的な形状寸法を著しく大きからしめることなく、液体燃料方式に転換することができ、気体燃料に比して安価な液体燃料の使用によって運転経費が節減される。気体燃料に比して液体燃料は長大な火焔を生じるが、本発明を適用して屈曲した焔道を構成することにより、焔道の延べ長さを長くしても燃料油バーナを発生器に接近せしめて、全体形状をコンパクトならしめることができる。また、屈曲した焔道に沿って屈曲した火焔を生じるので、該火焔が長大であっても発生器に接触する虞れが無く、火焔の接触によって伝熱フィンが汚損したり焼損したりするといった不具合を誘発しない。
【0029】請求項2の発明方法によると、ほぼ水平に設置されたガンタイプの燃料油バーナから噴出する長大な火焔が火焔バッファプレートに衝突し、これを迂回して裏側に流動する。これにより、火焔バッファプレートは焔道を屈曲させる作用を果たすが、該火焔バッファプレートは焔道内に位置していて外気に触れないので、この火焔バッファプレートを厚さ方向に伝導した熱がケーシング内の空気を昇温させる虞れが無い。これにより、耐熱性の低い制御用電子部材の熱的保護が容易になる。
【0030】請求項3の発明方法によると、火焔バッファプレートの本体部が焔道の左右方向について火焔の迂回を阻止するので、火焔の大半は該火焔バッファプレートの上方に突出している舌片状部分を包みこむ形に流動して、主として上方に迂回する。さらに、火焔の一部分は火焔バイパス通路を通り、若干迂回して発生器に向かい、燃焼を完了して燃焼ガスとなってから発生器の伝熱フィンに接触しつつ流動する。上述のように、火焔が分散して火焔バッファプレートを迂回するので、発生器の受熱部に対して温度分布の均一な燃焼ガスを送給することができ、安定かつ高効率で発生器内のアンモニア水溶液を加熱して、円滑アンモニア蒸気を発生させることが出来る。
【0031】請求項4の発明方法によると、焔道壁から放散される熱を空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内に篭らせない。すなわち、液体燃料の使用によって火焔が長大になると、焔道の壁面積が大きくなる。このため、壁温がほぼ同じであっても焔道壁から伝導や輻射で放散される熱量が増加する。しかも、この焔道は空冷アンモニア吸収冷凍機のケーシング内に収納されているので、該ケーシング内の温度を上昇せしめる。こうした観点から、本請求項4の発明を適用して、焔道壁からの伝導熱を空気流で運び去るとともに、輻射熱を遮熱カバーで阻止することにより、ケース内の気温上昇を防止することができる。
【0032】請求項5の発明方法によると、専用のファンやモータを設ける必要無く、焔道壁と遮熱カバーとに挟まれた空間内に自然対流を発生させることができ、しかも、空冷アンモニア吸収冷凍機ケーシング内の空気を吸入して焔道壁を空冷し、温度が上がった空気を該ケーシングの上方空間に放出することができて合理的である。その上、専用のファンやモータを設けないので騒音を増大させることなく、静粛に冷却し得る上に、ファンモータによる電力消費を発生させないのでエネルギー効率が高い。
【0033】請求項6の発明方法によると、既製の新品のガス焚き形空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、既設で稼働中のガス焚き形空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、或いは未完成の半製品である空冷アンモニア吸収冷凍機を改造の対象としても、商品として完成した形の油焚き空冷アンモニア冷凍機を構成することができる。
【0034】請求項7の発明によると、アンモニア溶液を加熱するための熱源として液体燃料を用いることができるので、燃料コストが安く、従って空冷アンモニア吸収冷凍機の冷房性能に悪影響を及ぼすこと無くランニングコストを節減することができる。液体燃料はガス燃料に比して、燃焼用空気と混合させることが難しいが、公知のガンタイプ燃料油バーナを用いると、液体燃料を噴霧して空気と混合させることにより、容易に、ほとんど完全燃焼に近い形で良好に燃焼せしめることができる。液体燃料は、噴霧されて長大な火焔を生じるが、焔道が屈曲しているため、空冷アンモニア吸収冷凍機全体を著しく大形化させる虞れが無い。焔道が屈曲しているので、その外形に比して流路が長い。このため、長大な火焔であっても焔道内で燃焼を完了し、高温の燃焼ガスとなって伝熱フィンに接触する。従って、火焔が伝熱フィンに接触せず、該伝熱フィンを局部的に過熱させたり、該伝熱フィンに固形燃焼生成物(煤)を付着させて熱伝導を妨げたりする虞れも無い。
【0035】請求項8の発明によると、燃料油バーナに正対せしめて火焔バッファプレートを立てるという簡単な構成で、屈曲した焔道が形成される。その上、火焔が火焔バッファプレートを迂回するようになっているので、該火焔バッファプレートの両方の面が焔道に面していて外気に露出しない。従って、火焔バッファプレートは焔道の通路を延長するという作用を果たし、焔道の外表面を増大させない。焔道の外表面を増加させないことによって焔道外表面からの熱の放散が抑制される。焔道からの熱の放散が抑制されると、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の熱効率が向上する上に、焔道から放散された熱によって耐熱性の低い構成部材(例えば制御用の電子部品)が熱的損傷を被る虞れを無からしめ、冷凍機全体の信頼性,耐久性が向上する。
【0036】請求項9の発明によると、火焔の大部分が火焔バッファプレートの上方を迂回し、その側方に迂回しない。このため、火焔通路が上方に湾曲した形となって左右(水平方向)には広がらない。このため、屈曲した焔道を構成しても、その水平投影図形の面積が比較的小さい。その結果、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の設置所要面積が比較的少なくて足りる。
【0037】さらに、火焔の大部分は、十字状火焔バッファプレートの上方突出部の上方を迂回し、一部は上方突出部の側方(火焔に正対している部分に比べると斜上方)を通過する。そして、僅少部分が左右下方を通過する。このようにして火焔が上方と、左右上方と、左右下方とに分散して迂回するので、発生器の伝熱フィンに接触しつつ流動する燃焼ガスの温度分布を均一ならしめる。これにより、発生器を均一に加熱することができる。
【0038】請求項10の発明によると、高温(例えば800℃)になる焔道外周面から放射される輻射熱の大部分が、金属板製(例えばステンレススチール板)の遮熱カバーによって反射され、一部は進行を阻まれて顕熱となり、当該空冷アンモニア吸収冷凍機を構成している他の部材を発熱せしめず、ケーシング内の気温上昇が防止される。上記ケーシング内には、例えば制御用の電子部品などのように耐熱性の低い部材も有るので、ケーシング内気温の上昇が抑制されることは、空冷アンモニア吸収冷凍機全体の信頼性,耐久性向上に有効である。
【0039】請求項11の発明によると、前記請求項10の発明を適用して設置された輻射熱阻止用の遮熱カバーを利用して、空気取入用の開口と煙突とを設けることにより、該遮熱カバーと焔道壁との間に形成されている空気層に自然対流を生じさせて、焔道壁の熱を流動空気で奪うとともに、熱を奪って昇温した空気を煙突に導いて放出し、当該空冷アンモニア吸収冷凍機の上方空間に発散せしめることができ、冷凍機ケーシング内の気温上昇抑制を一層有効に果たすことができる。
【出願人】 【識別番号】391048050
【氏名又は名称】日立ビル施設エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成10年8月17日(1998.8.17)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2000−55507(P2000−55507A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−230925