トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 吸収式ヒートポンプ装置およびその運転方法
【発明者】 【氏名】高田 浩行

【氏名】阿部 忠夫

【氏名】久保 敏男

【要約】 【課題】負荷変動に対する追従性の向上を図る。

【解決手段】凝縮器3で放熱して液化した冷媒液Aが蒸発器4に流量調節して供給できるように、口径を変えることができるオリフィス47を冷媒液供給管16が接続される凝縮器3の底に設け、オリフィス47の口径を、圧力センサ50が検出する蒸発器4における冷媒Aの蒸気圧が低下すると小さくし、上昇すると大きく開くようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収液を加熱して吸収液に含まれる冷媒を気化させて分離する加熱部を備えた精溜器と、この精溜器から供給される冷媒蒸気を第1の熱媒体と熱交換させて液化する凝縮器と、この凝縮器から供給される冷媒液を下降させながら第2の熱媒体と熱交換させて気化する蒸発器と、この蒸発器から供給される冷媒蒸気と精溜器から供給される吸収液とを反応させて吸収液に冷媒を吸収させると共に、この冷媒を吸収した吸収液を精溜器へ戻す吸収器とを備えた吸収式ヒートポンプ装置において、凝縮器から蒸発器に至る冷媒液管に流量調整手段を設け、冷媒にアルコール系流体を用いたことを特徴とする吸収式ヒートポンプ装置。
【請求項2】 請求項1記載の吸収式ヒートポンプ装置において、冷媒液管に設けた流量調整手段を、負荷または蒸発器内の圧力に基づいて制御することを特徴とする吸収式ヒートポンプ装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷暖房機や給湯器等に用いる吸収式ヒートポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の吸収式ヒートポンプ装置として、例えば図3に示す構造のものが提案されている。
【0003】図3において、符号1Xで示す吸収式ヒートポンプ装置は、熱交換用の冷媒Aを含む吸収液Cを加熱して、この吸収液Cから冷媒Aを気化させて冷媒Aと吸収液Bとに分離する精溜器2と、この精溜器2から供給された冷媒蒸気Aを凝縮して液化する凝縮器3と、この凝縮器3から供給される冷媒液Aが内部に供給されると共に、外面に強制接触させられる適宜の熱媒体、例えば外気Dから蒸発潜熱を奪って冷媒液Aを気化させる蒸発器4と、この蒸発器4から供給される冷媒蒸気Aと、精溜器2から供給される吸収液Bとを反応させることにより吸収液Bに冷媒Aを吸収させて冷媒Aを含む吸収液Cを生成すると共に、この吸収液Cを精溜器2へ循環させる吸収器5とを備えた概略構成となっている。
【0004】精溜器2は、立設された筒状の精溜塔6と、この精溜塔6の下方に連設され、冷媒Aを含む吸収液Cを加熱するためのバーナ7を備えて加熱部として機能する再生器8と、精溜塔6の上段部に設けられ、この精溜塔6内に冷媒液Aを散布する冷媒液散布手段9Aと、精溜塔6の略中間部に設けられ、この精溜塔6内に吸収液Cを散布する吸収液散布手段9Bと、冷媒液散布手段9Aと再生器8との間に介装された、金属製の不織布等からなる充填材10とで構成され、凝縮器3には凝縮した冷媒Aを貯留する冷媒液タンク11と冷媒液散布手段9Aとが連設されている。
【0005】蒸発器4は、立設された複数の伝熱管12と、これらの伝熱管12の上端を相互に連通状態に接続する上部ヘッダ13と、各伝熱管12の下端を相互に連通状態に接続する下部ヘッダ14と、伝熱管12の長さ方向に沿って間隔をおいて設けられ、且つ、これらの伝熱管12が貫通状態に固定された多数の伝熱フィン15とによって構成され、さらに、各伝熱管12の上端部に、冷媒液供給管16を介して冷媒液タンク11が連通すると共に、上部ヘッダ13が連通管17を介して吸収器5の上部に連通し、さらに、下部ヘッダ14が、連通管18を介して吸収器5の下端に設けられている吸収液タンク19へ連通している。
【0006】一方、吸収器5は、蒸発器4の上部ヘッダ13に連設している連通管17が接続された吸収液滴下手段20と、この吸収液滴下手段20の下方に間隔をおいて配設され、冷媒蒸気Aとの反応により冷媒を吸収した吸収液B、すなわち吸収液Cを貯留する吸収液タンク19と、吸収液滴下手段20と吸収液タンク19とを連通する複数の伝熱管21と、これらの伝熱管21を取り囲んで設けられると共に、吸収液滴下手段20と吸収液タンク19との間に冷却水流路22を形成する外装体23とによって構成されており、その内部圧力を下げることにより、蒸発器4の伝熱管12において気化した冷媒Aを吸引するようになっている。
【0007】また、吸収液滴下手段20は、その上部に、再生器8において濃縮した吸収液Bを供給する吸収液供給管24が接続され、また、内部には、この内部を上下方向に2分割するように配設された分散板25が装着され、この分散板25よりも下方には、伝熱管21が貫通して固定されると共に、吸収液滴下手段20と冷却水流路22とを分離する隔壁26が設けられ、この隔壁26と分散板25との間に連通管17が接続されており、この連通管17によって、蒸発器4から気化した冷媒Aが送り込まれるようになっている。
【0008】さらに、吸収液タンク19は、吸収液戻し管27を介して精溜器2の吸収液散布手段9Bへ連通しており、この吸収液戻し管27の途中には、吸収液タンク19に貯留されている吸収液Cを吸収液散布手段9Bへ送り込むための吸収液循環ポンプ28が設けられている。
【0009】吸収器5の外装体23の上端部と凝縮器3との間には冷却水管29が設けられて両者の連通が図られていると共に、凝縮器3と吸収器5の外装体23の下端部との間には冷却水管30が設けられてこれらの連通が図られており、これらの外装体23、冷却水管29、凝縮器3、および、冷却水管30によって冷却水循環用の閉回路が形成され、冷却水管30の途中には、暖房用の室内機31と、冷却水Eの循環を行うための冷却水循環ポンプ32が設けられている。
【0010】また、符号33は、吸収液供給管24と吸収液戻し管27それぞれを流れる吸収液同士に熱交換を行わせるための熱交換器を示し、符号34は、蒸発器4に対して外気Dを供給する送風ファンを示し、さらに、符号35は、吸収器5へ供給される冷却水Eと吸収液滴下手段20へ供給される吸収液Bとの熱交換を行なう熱交換器を示す。
【0011】このように構成された吸収式ヒートポンプ装置1Xでは、凝縮器3で液化した冷媒液の一部は冷媒液散布手段9Aから精溜塔6の上部に戻され、大半は冷媒液タンク11に入って溜る。そして、精溜塔6に冷媒液散布手段9Aから散布されて戻された冷媒液Aは、ここで再気化し、凝縮器3に入る蒸気に含まれる冷媒蒸気Aの純度を高めるようになっている。
【0012】一方、冷媒液タンク11に溜った冷媒液Aは、冷媒液供給管16を介して各伝熱管12に供給され、それぞれの内壁面に沿って流下し、このとき伝熱フィン15および伝熱管12の表面に送風ファン34が供給する外気Dが接触しているので、この外気Dと伝熱管12の内壁面を流下する冷媒液Aとの間で熱交換が行なわれ、冷媒液Aが外気Dから気化潜熱を奪って気化すると共に、このようにして生成された冷媒蒸気Aが各伝熱管12内を上方へ移動し、伝熱管12の上端に設けられている上部ヘッダ13によって集められ、吸収器5に流入する。
【0013】吸収器5に流入した冷媒蒸気Aは、再生器8から供給される吸収液Bと接触して吸収液Bに吸収され、冷媒Aを吸収した吸収液Cが伝熱管21を経て下方の吸収液タンク19へ回収され、さらに、この吸収液Cが吸収液循環ポンプ28によって精溜器2に搬送され、吸収液散布手段9Bから精溜塔6内に散布される。
【0014】精溜塔6に送り込まれた吸収液Cは充填材10の間を通って流下する間に、バーナ7が生成する燃焼熱によって加熱され、吸収している冷媒Aを気化分離し、吸収液Bが再生器8に溜る。
【0015】そして、精溜器2で分離生成された冷媒蒸気Aは、凝縮器3を通過するときに冷却水Eと熱交換を行なってこれに放熱し、また、吸収器5を通過するときは冷媒Aが蒸発することで外気Dから吸収した熱が冷却水Eに移される。
【0016】すなわち、冷却水Eは吸収器5、および、凝縮器3へと循環する間に徐々に加熱され、その後室内機31へ送り込まれて暖房に供される。
【0017】このような吸収式ヒートポンプ装置1Xにおいては、外気Dの熱エネルギを吸収して冷却水Eの加熱の補助を行なうことになり、バーナ7の発熱量に対する室内機31からの放熱量を1.3倍以上に高めることが可能となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の吸収式ヒートポンプ装置においては、主に精溜器に設置してあるバーナの火力調節によって負荷の変動に対応し、凝縮器から蒸発器に供給する冷媒液の流量制御は行われていなかったので、負荷の変動に対する追従性が劣ると云った問題点があり、これが解決すべき課題となっていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の課題を解決するため、吸収液を加熱して吸収液に含まれる冷媒を気化させて分離する加熱部を備えた精溜器と、この精溜器から供給される冷媒蒸気を第1の熱媒体と熱交換させて液化する凝縮器と、この凝縮器から供給される冷媒液を下降させながら第2の熱媒体と熱交換させて気化する蒸発器と、この蒸発器から供給される冷媒蒸気と精溜器から供給される吸収液とを反応させて吸収液に冷媒を吸収させると共に、この冷媒を吸収した吸収液を精溜器へ戻す吸収器とを備えた吸収式ヒートポンプ装置において、凝縮器から蒸発器に至る冷媒液管に流量調整手段を設け、冷媒にアルコール系流体を用いるようにした吸収式ヒートポンプ装置と、【0020】前記第1の構成の吸収式ヒートポンプ装置において、冷媒液管に設けた流量調整手段を、負荷または蒸発器内の圧力に基づいて制御するようにした吸収式ヒートポンプ装置の運転方法を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図1と図2に基づいて本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、理解を容易にするため、これらの図においても前記図3において説明した部分と同様の機能を有する部分には、同一の符号を付した。
【0022】本発明の吸収式ヒートポンプ装置1は、臭化リチウム水溶液を吸収液としたときに冷媒として使用される水より沸点が遥かに低い流体、例えば沸点が74.5℃の2,2,2,−トリフルオロエタノール(TFE)などを冷媒に使用し、吸収液に沸点が例えば204℃のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを使用するものである。
【0023】また、この場合の吸収式ヒートポンプ装置1においては、冷却水管30には冷却水タンク41が設置されている。
【0024】また、この場合の吸収式ヒートポンプ装置1は、蒸発器4が多数の伝熱管12を内蔵したタイプであり、これらの伝熱管12の内部に冷水タンク42に貯溜された水Fが、途中に冷水循環ポンプ43と開閉弁44とを備えた冷水管45を介して循環供給できるように構成されている。
【0025】一方、蒸発器4の内側上部には冷媒液散布手段46が設置され、この冷媒液散布手段46には凝縮器3で凝縮して底部に溜った冷媒液Aが流量調節されて供給できるように、凝縮器3の底部に設けられた口径が可変なオリフィス47から延設された冷媒液供給管16が接続され、冷媒液散布手段46から散布された冷媒液Aが伝熱管12の外面を伝って流れ落ちる際に管内を流れる水Fから熱を奪って気化するように構成されている。
【0026】また、凝縮器3の底と冷媒液散布手段9Aとを連結する冷媒液戻し管48には開閉弁49が設置されている。
【0027】さらに、蒸発器4内部の圧力、すなわち冷媒Aの蒸気圧を検出するための、圧力センサ50が設置されている。
【0028】上記構成の吸収式ヒートポンプ装置1においては、吸収器5から吸収液循環ポンプ28によって精溜塔6に送られ、吸収液散布手段9Bから塔内に散布された吸収液Cは、充填材10の間を縫って下降しながら、バーナ7が生成する熱により加熱されて冷媒蒸気Aと吸収液Bとに分離し、冷媒蒸気Aは凝縮器3に入って冷却水Eに放熱して凝縮液化し、吸収液Bは再生器8に溜まり、吸収液供給管24を介して吸収器5に送られる。
【0029】凝縮器3で冷却水Eに放熱して液化した冷媒液Aは、冷媒液戻し管48、冷媒液散布手段9Aを介して精溜塔6の上部に戻され、ここで再気化されるので、凝縮器3に入る蒸気に含まれる冷媒Aの純度は速やかに高くなる。
【0030】そして、凝縮器3で液化した冷媒純度の高い液、すなわち単に冷媒液と呼ばれている液がオリフィス47によって流量制御されて、蒸発器4に供給される。
【0031】オリフィス47の口径は、圧力センサ50が検出する蒸発器4内の冷媒蒸気圧に基づいて、例えば図2のように制御される。
【0032】すなわち、圧力センサ50が検出する冷媒蒸気圧が所定の設定値、例えば2.5kPaより高いときにはオリフィス47の口径を設定値より大きくし、前記冷媒蒸気圧が設定値2.5kPaより低いときにはオリフィス47の口径を設定値より小さくするので、凝縮器3から蒸発器4に供給散布される冷媒液Aの量は、蒸発器4の内圧が高いときには増加し、低いときには減少する。
【0033】そして、上記構成の吸収式ヒートポンプ装置1においては、例えば冷却水タンク41の部分に図3に示した室内機31を設置すれば、吸収器5と凝縮器3の内部を冷却し、自身の温度を高めた冷却水Eが冷却水管29、30を介して室内機31に循環供給されるので、室内機31において暖房作用がなされる。
【0034】一方、冷水タンク42の部分に図3に示した室内機31を設置すれば、蒸発器4の内部で冷媒液Aを気化させて放熱し、自身の温度を下げた水Fが冷水管45を介して室内機31に循環供給されるので、室内機31において冷房作用がなされる。
【0035】したがって、例えば冷房運転時に負荷が減少(増加)して、冷水管45を介して蒸発器4に戻された水Fが所定の温度より低く(高く)なり、蒸発器4で蒸発する冷媒液Aの量が減少(増加)し、冷媒蒸気圧が減少(増加)して圧力センサ50が設定値より低い(高い)圧力を検出すると、バーナ7の火力を下げ(上げ)て精溜塔6における冷媒蒸気Aの気化量を減少(増加)させるだけでなく、オリフィス47の口径が直接絞られ(開けられ)て冷媒液散布手段46から蒸発器4に散布する冷媒液Aの量が減少(増加)するので、蒸発器4で気化する量も減少(増加)し、伝熱管12の内部を流れる水Fを冷却する作用が減少(増加)するため、負荷の減少(増加)に対する速やかな対応が可能となる。
【0036】ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0037】例えば、オリフィス47の口径は、本装置の負荷が大きいときには大きく開け、負荷が小さいときには小さく絞るように制御することもできる。
【0038】また、オリフィス47は蒸発器4の入口部に設けるようにしても良いし、冷媒液供給管16の途中に設ける流量調整弁によって代替することもできる。
【0039】また、精溜塔6に充填する充填材10としては、ステンレス鋼製の金網や、細い線材をより合わせたものであっても良い。
【0040】また、冷水系回路(符号42、45)にチラーなどの熱交換器を設け、外気や排熱水などから熱回収(ヒートポンプ)して暖房効率を上げることができる。
【0041】さらに、本発明の吸収式ヒートポンプ装置1においては、沸点が120℃以下のフッ化アルコール系流体が冷媒として使用でき、吸収液としてはエーテル類、エステル類、ポリオール類、アミド類、アミン類、イミド類、ケトン類、アルデヒド類、ニトリル類などが使用できる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、精溜器に設置してあるバーナの火力を調節すると共に、凝縮器から蒸発器に供給する冷媒液の流量制御が行われるので、負荷の変動に対する追従性が向上し、室温の変動が抑えられる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年8月4日(1998.8.4)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2000−55501(P2000−55501A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−220859