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【発明の名称】 ガスサイクル冷凍装置でのピストン緩衝装置
【発明者】 【氏名】西谷 富雄

【氏名】川口 悦治

【氏名】足立 正人

【要約】 【課題】フリーピストン型のガスサイクル冷凍装置でのピストンのシリンダ壁面への衝突を緩衝し、振動発生を抑制する装置を提供する。

【解決手段】シリンダ(1)内にピストン(2)を往復摺動可能に装着し、シリンダ(1)内に可変容量室(7)を形成し、可変容量室(7)を圧縮機(14)の吐出側と吸込側とに切り替え接続可能に構成する。ピストン(2)の少なくとも大径側端面に第1マグネット(26)を装着する。ピストン(2)のマグネット装着端面と対向しているシリンダ壁面に第2マグネット(27)を第1マグネット(26)と反発する状態で装着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ(1)内に可変容量室(7)を圧縮機(14)の吐出側と吸込側とに切り替え接続可能に構成したガスサイクル冷凍装置において、段付きピストン(2)の少なくとも大径側端面に第1マグネット(26)を装着するとともに、ピストン(2)のマグネット装着端面と対向しているシリンダ壁面に第2マグネット(27)を第1マグネット(26)と反発する状態で装着したことを特徴とするガスサイクル冷凍装置でのピストン緩衝装置。
【請求項2】 シリンダ(1)の端面に装着した第2マグネット(27)をリング状マグネットで構成した請求項1に記載のガスサイクル冷凍装置でのピストン緩衝装置。
【請求項3】 シリンダ(1)の可変容量室(7)での周壁面にリング状のサイドマグネット(29)を装着した請求項1又は請求項2に記載のガスサイクル冷凍装置でのピストン緩衝装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は作業物質に気体を使用したガスサイクル冷凍装置でのピストンの緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリンダ内にピストンを往復摺動可能に装着し、このシリンダとピストンとで形成される空間内に圧縮機からの高圧ガスを導入し、この高圧ガスを断熱膨張させることにより、寒冷を得るようにした冷凍機として、例えば、図4に示されたものがある。
【0003】これは、シリンダ(51)内に大径部と小径部とを有する段付きピストン(52)を往復摺動可能に配置し、ピストン(52)の大径部(53)及び小径部(54)にそれぞれシールリング(55)(56)を嵌着し、ピストン(52)の大径部(53)に嵌着したシールリング(55)とシリンダ(51)の大径側端面との間に可変容量室(57)を形成するとともに、ピストン(52)の大径部(53)に嵌着したシールリング(55)と小径部(54)に嵌着したシールリング(56)との間に低圧室(58)を、小径側シールリング(56)とシリンダ(51)の小径側端面との間に高圧室(59)をそれぞれ形成し、可変容量室(57)に作動ガスを給排するガス給排路(60)を分岐させ、可変容量室(57)から分岐部までの間のガス給排路(60)にシリンダ(51)側から冷凍出力取出用熱交換器(61)と蓄冷器(62)とを順に配置し、一方の分岐管(63)を圧縮機(64)の吐出口(65)に高圧切換弁(66)を介して接続するとともに、他方の分岐管(67)を圧縮機(64)の吸込口(68)に低圧切換弁(69)を介して接続し、高圧室(59)を高圧ガス通路(70)で圧縮機(64)の吐出口(65)に、また低圧室(58)を低圧ガス通路(71)で圧縮機(64)の吸込口(68)にそれぞれ接続し、高圧・低圧両ガス通路(70)(71)にそれぞれ固定絞り弁(72)(73)を介装した構造になっている。なお高圧切換弁(66)と低圧切換弁(69)は同じ回転軸で切り換え作動されるロータリー弁で構成してあり、両切換弁が交互に開通するように構成してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種のガスサイクル冷凍機では、ピストン(52)の移動は可変容量室(57)の圧力と高圧室(59)及び低圧室(58)の圧力との差によって生じ、ピストン(52)の移動速度は上記の圧力差と両絞り弁(72)(73)の流体抵抗によって定まる。ここで、可変容量室(57)が圧縮機(64)の吐出口(65)に連通して高圧ガスが可変容量室(57)に流入すると、可変容量室(57)の圧力と高圧室(59)及び低圧室(58)の圧力との圧力差によってピストン(52)は高圧室(59)側に移動する。この移動時には、高圧室(59)の内圧がダンパーとして作用することから、ピストン(52)とシリンダ(51)との衝突は生じ難い。ところが、可変容量室(57)が圧縮機(64)の吸込口(68)に連通すると、高圧室(59)に作用している圧力がピストン(52)を可変容量室(57)側に移動させる力となり、可変容量室(57)ではこのピストン移動を緩衝するものがないことから、ピストン(52)がシリンダ(51)の可変容量室(57)の壁面に衝突して、振動を発生させるという問題があった。そして、この可変容量室(57)は低温状態となることから低温状態で十分な緩衝力を安定して発揮できるものがないことから、このピストンの衝突は放置されているのが実情である。
【0005】本発明はこのような点に着目してなされたもので、フリーピストン型のガスサイクル冷凍装置でのピストンのシリンダ壁面への衝突を緩衝し、振動発生を抑制する装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために本発明は、段付きピストンの少なくとも大径側端面に第1マグネットを装着するとともに、ピストンのマグネット装着端面に対向しているシリンダ壁面に第2マグネットを第1マグネットと反発する状態で装着したことを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】本発明では、往復移動する段付きピストンの少なくとも大径側端面に第1マグネットを装着し、このマグネット装着端面と対向しているシリンダ壁面に第2マグネットを第1マグネットと反発する状態に配置しているので、ピストンの往復移動時にピストン端面がシリンダ壁面に接近するにつれてピストン端面とシリンダ壁面との間に作用している磁性反発力が順次増大することになるから、この増大する磁性反発力が緩衝力となってピストンがシリンダ壁面に衝突することを抑制する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例を示す冷凍装置の模式図である。この冷凍装置は、ステンレス鋼製のシリンダ(1)の内部に段付きピストン(2)が往復摺動可能に挿嵌し、ピストン(2)の大径部(3)と小径部(4)にそれぞれシールリング(5)(6)を嵌着してある。そして、ピストン(2)の大径部(3)に嵌着したシールリング(5)とシリンダ(1)の大径側端面との間を可変容量室(7)に形成するとともに、大径部(3)と小径部(4)にそれぞれ嵌着した両シールリング(5)(6)間を低圧室(8)に形成し、ピストン(2)の小径部(4)に嵌着したシールリング(6)とシリンダ(1)の小径側端面との間を高圧室(9)に形成してある。
【0009】この可変容量室(7)に作動ガスを給排するガス給排路(10)を分岐させ、可変容量室(7)から分岐部までの間のガス給排路(10)にシリンダ側から冷凍出力取出用熱交換器(11)と蓄冷器(12)とを順に配置し、一方の分岐管(13)を圧縮機(14)の吐出口(15)から導出されている高圧ガス通路(16)に高圧切換弁(17)を介して接続するとともに、他方の分岐管(18)を圧縮機(14)の吸込口(19)から導出されている低圧ガス通路(20)に低圧切換弁(21)を介して接続してある。なお、この高圧切換弁(17)と低圧切換弁(21)とは、同じ駆動モータで作動されるロータリー弁で構成してある。
【0010】また、高圧ガス通路(16)は高圧室(9)に、低圧ガス通路(20)は低圧室(8)にそれぞれ連通接続してある。そして、高圧ガス通路(16)には高圧絞り弁(22)が、また、低圧ガス通路(20)には低圧絞り弁(24)が配設してある。
【0011】なお、実際の装置では高圧ガス通路(16)及び低圧ガス通路(17)に配置した高・低圧絞り弁(22)(24)はシリンダ(1)の壁面に透設されたオリフィスで形成してある。この実施例では、高・低圧絞り弁(22)(24)をオリイフィスで形成したが、各絞り弁(22)(24)をニードル弁で構成するようにしても良い。
【0012】このように構成した冷凍装置において本発明は、段付きピストン(2)の大径部の端面に第1のリング状マグネット(26)を埋設配置するとともに、可変容量室(7)における前記ピストン(2)のマグネット配設面と対向する壁面に第2のリング状マグネット(27)を同極同士が対面する状態で、両マグネットが同一円周上又はシリンダ側マグネットの方を大径の円周上に配設し、両マグネット(26)(27)間に作用する磁力による反発力でピストン(2)のシリンダ(1)の壁面への衝突を緩衝するようにしている。
【0013】そして、ピストン(2)の端面とその端面と対向するシリンダ(1)に壁面との間にそれぞれマグネット(26)(27)を配置して両マグネットに反発力を持たせた場合には、ピストン(2)の進退移動方向と直交する方向にいわゆる芯振れが生じることから、ピストン(2)の大径部周壁面での端部と、シリンダ(1)での可変容量室(7)の周壁面端部とにそれぞれリング状のサイドマグネット(28)(29)が磁力で反発力を生じる状態に埋設配置してある。このサイドマグネット(28)(29)に作用する磁力でピストン(2)の芯振れを抑制することができることになる。
【0014】図2はマグネットの配設位置の変形例を示し、これは可変容量室(7)でのシリンダ内周面にリング状サイドマグネット(29)を配置し、ピストン側のサイドマグネットを省略したものである。この場合、シリンダ(1)の可変容量室(7)での内周面に装着するサイドマグネット(29)は内・外周面部分を極面に形成したリング状マグネットで形成して、その磁力線がピストン(2)の端面に配置した第1マグネット(26)の磁力線に対向するようにしてある。
【0015】図3はマグネットの配設位置の別の変形例を示し、これはピストン(2)の端面に埋設配置する第1マグネット(26)を円盤状又はリング状のマグネットで構成するとともに、可変容量室(7)のシリンダ端面に埋設配置する第2マグネット(27)を第1マグネット(26)よりも大きな内径を有するリング状マグネットで構成したものである。このようにすることにより、両マグネット(26)(27)に作用する磁力線の関係からサイドマグネットを配設することなく芯振れを抑制することが可能になる。
【0016】なお、本発明に使用するマグネットとしては、ネオジム系、セリウム系、サマリウム系等の希土類磁石で形成した磁石が好ましい。
【0017】また、上記実施形態では、可変容量室(7)でのピストン(2)とシリンダ(1)との間にマグネットを配置したものについて説明したが、高圧室(9)や低圧室(8)でのピストン(2)とシリンダ(1)にマグネットを配置して、ピストン(2)とシリンダ(1)との衝突を緩衝するようにしてもよい。
【0018】上述の構成からなる冷凍機では、ピストン(2)が下降位置にある状態で、高圧切換弁(17)が開かれ、低圧切換弁(21)が閉じられると圧縮機(14)からの高圧ガスが可変容量室(7)に流入してピストン(2)を押し上げる。このとき、高圧室(9)にも高圧ガスの圧力が作用しているが、受圧面積差によって、ピストン(2)は押し上げられることになり、その移動速度は高圧室(9)及び低圧室(8)への高・低圧ガス通路(16)(20)に介装されている高・低圧絞り弁(22)(24)の開度によって制御される。
【0019】そして、ピストン(2)が上端に達すると、高圧切換弁(17)が閉じられ低圧切換弁(21)が開かれると、可変容量室(7)が圧縮機(14)の吸込口(19)に連通することになるからピストン(2)が下降し、可変容量室(7)内の高圧ガスが断熱膨張して、寒冷を生じる。なお、本例の場合シリンダ(1)の肉壁が冷凍出力取出用熱交換器として作用している。
【0020】高圧室(9)への高圧ガス通路(16)及び低圧室(8)への低圧ガス通路(17)にそれぞれ高・低圧絞り弁(22)(24)が配置されており、圧縮機(14)からの高圧ガスが可変容量室(7)に流入してピストン(2)が可変容量室(7)の容積を増大する側に移動する際には、高圧ガス通路(16)及び低圧ガス通路(17)はそれぞれ高・低圧絞り弁(22)(24)だけで連通することになって、ピストン(2)の移動速度はゆっくりする。しかも高圧室(9)は圧縮機(14)の吐出口(15)に連通されていることから高圧室(9)には高圧ガスが流入していることから、この高圧ガスがガスクッションとして作用することになるから、ピストン(2)の可変容量室(7)の容量を増大させる移動時(上昇移動時)にピストン(2)がシリンダ(1)の壁面と衝突することはほとんど無い。
【0021】一方、可変容量室(7)が圧縮機(14)の吸込口(19)に連通してピストン(2)が可変容量室(7)の容積を減少させる側に移動する際(下降移動時)には、高圧ガス通路(16)及び低圧ガス通路(17)は高・低圧絞り弁(22)(24)が連通して、高圧ガスが高圧室(9)に円滑に流入するとともに、可変容量室(7)から排出されたガスの一部が低圧室(8)に円滑に流入することになる。この結果、低温出力時でもピストン(2)をフルストロークで作動させることができ、冷凍出力取出用熱交換器(11)部分に安定した寒冷が発生し、冷凍機としての到達温度を下げることができる。このとき、ピストン(2)の大径側端面及びその端面に対向するシリンダ壁にそれぞれマグネット(26)(27)が反発する状態で配置してあるから、ピストン(2)の大径端が可変容量室(7)内でのシリンダ壁に接近すると、反発方向に作用している両マグネット(26)(27)の磁力でピストン(2)に対してブレーキをかける状態となることから、ピストン(2)がシリンダ壁に衝突することを抑制することになる。
【0022】これにより、シリンダ(1)内を往復移動するピストン(2)がシリンダ(1)の壁面に衝突することがなくなるから、振動や騒音を防止することができることになる。なお、磁力影響を嫌う装置の冷却に使用する場合には、シリンダ(1)の外周を磁気シールドすることになる。
【0023】
【発明の効果】本発明では、往復移動する段付きピストンの少なくとも大径側端面に第1マグネットを装着し、このマグネット装着端面と対向しているシリンダ壁面に第2マグネットを第1マグネットと反発する状態に配置しているので、ピストンの往復移動時にピストン大径側端面がシリンダ壁面に接近するにつれてピストン端面とシリンダ壁面との間に作用している磁性反発力が順次増大することになるから、この増大する磁性反発力が緩衝力となってピストンがシリンダ壁面に衝突することを抑制することができる。この結果、衝突に伴う振動や騒音の発生を抑制できるから、振動を注視する分析計や冷却試験体の測定を可能にすることができるとともに性能を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
【識別番号】000158301
【氏名又は名称】岩谷瓦斯株式会社
【出願日】 平成10年8月11日(1998.8.11)
【代理人】 【識別番号】100068892
【弁理士】
【氏名又は名称】北谷 寿一
【公開番号】 特開2000−55493(P2000−55493A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−226397