| 【発明の名称】 |
極低温冷却装置の冷媒供給方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大場 章弘
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| 【要約】 |
【課題】ジュールトムソン冷却器を低温環境で使用する場合でも、その冷却能力の低下を防止し、さらには、冷却能力を増加させることもできる極低温冷却器の冷媒供給方法及び装置を提供する。
【解決手段】高圧容器15をヒーター19で加熱することにより冷媒温度を上昇させて圧力を高め、冷却器16で温度のみを低下させてからジュールトムソン冷却器11に供給する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧容器からの冷媒を、高圧冷媒導入管からジュールトムソン冷却器に供給して膨張させることにより低温を発生する極低温冷却装置の冷媒供給方法において、前記高圧容器内の冷媒を加熱しつつ前記ジュールトムソン冷却器に供給することを特徴とする極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項2】 前記高圧冷媒導入管の冷媒を冷却しつつ前記ジュールトムソン冷却器に供給することを特徴とする請求項1記載の極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項3】 前記高圧容器内の冷媒の加熱は、冷媒の温度を一定にするように調節しながら行うことを特徴とする請求項1記載の極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項4】 前記高圧容器内の冷媒の加熱は、前記高圧冷媒導入管の圧力を一定にするように調節しながら行うことを特徴とする請求項1記載の極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項5】 前記高圧冷媒導入管の冷媒の冷却は、大気を冷却源として行うことを特徴とする請求項2記載の極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項6】 前記高圧冷媒導入管の冷媒の冷却は、冷却用流体を冷却源として行うことを特徴とする請求項2記載の極低温冷却装置の冷媒供給方法。 【請求項7】 高圧容器からの冷媒を、高圧冷媒導入管からジュールトムソン冷却器に供給して膨張させることにより低温を発生する極低温冷却装置の冷媒供給装置において、前記高圧容器を加熱する加熱手段を設けるとともに、前記高圧容器の温度を検出する温度検出手段からの温度信号及び前記高圧冷媒導入管の圧力を検出する圧力検出手段からの圧力信号の少なくともいずれか一方の信号に基づいて前記加熱手段の加熱容量を制御する加熱容量制御手段を設けたことを特徴とする極低温冷却装置の冷媒供給装置。 【請求項8】 前記高圧冷媒導入管は、その途中に、大気又は冷却用流体を冷却源とした熱交換型冷却器を備えていることを特徴とする請求項7記載の極低温冷却装置の冷媒供給装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、極低温冷却装置の冷媒供給方法及び装置に関し、詳しくは、赤外線素子等の冷却に用いるジュールトムソン冷却器を使用した極低温冷却装置における冷媒の供給方法及び装置に関するものであって、特に、寒冷地や高層大気環境で用いられる極低温冷却装置に適した冷媒の供給方法及び装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】サーモグラフィ等の赤外線素子の冷却手段として、ジュールトムソン冷却器が用いられている。このジュールトムソン冷却器を用いた極低温冷却装置を図2に示す。ジュールトムソン冷却器1は、冷媒であるアルゴンや窒素等の高圧冷媒をオリフィス2から噴出させ、ジュールトムソン効果を利用して低温を発生することにより被冷却物3を冷却するものであって、高圧冷媒の供給手段としては、高圧容器4が一般に用いられている。 【0003】被冷却物3の冷却時、高圧容器4に充填された高圧冷媒は、供給元弁5が開かれることによって高圧冷媒導入管6を通り、ジュールトムソン冷却器1の熱交換器7の高圧側流路(管内)7aへ導かれ、さらにジュールトムソン冷却器1のオリフィス2から噴出して大気圧程度まで膨張し、ジュールトムソン効果により温度が降下して液化する。 【0004】液化して低圧となった冷媒は、先端部で赤外線検知器等の被冷却物3を冷却した後、再びガス化して低圧冷媒となり、熱交換器7の低圧側流路(管外)7bを通って高圧側流路7aの高圧冷媒と熱交換を行い、熱交換器7に流入する高圧冷媒の温度に略近い温度まで上昇して温端から大気中に放出される。なお、ジュールトムソン冷却器1は、真空断熱容器(真空デュワ)8内に収納されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述のようなジュールトムソン冷却器1における発生寒冷は、前記熱交換器7の温端における高圧冷媒と低圧冷媒とのエンタルピー差、すなわち、熱交換器温端における低圧冷媒のエンタルピーから熱交換器温端における高圧冷媒のエンタルピーを差し引いた値に、オリフィス2から噴出する冷媒の質量を乗じた値で表されるが、このような冷却装置を、低温雰囲気、例えば寒冷地や高層大気中で用いた場合等には、高圧容器4が冷却されてしまうことにより、高圧容器4内の冷媒充填圧力が減少してしまい、熱交換器温端の高圧側に供給される高圧冷媒のエンタルピーが増加し、エンタルピー差の減少、即ち冷却能力の低下を招いてしまうという欠点があった。 【0006】そこで本発明は、このような低温環境で使用する場合であっても、ジュールトムソン冷却器の冷却能力の低下を防止し、さらには、冷却能力を増加させることもできる極低温冷却器の冷媒供給方法及び装置を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の極低温冷却装置の冷媒供給方法は、高圧容器からの冷媒を、高圧冷媒導入管からジュールトムソン冷却器に供給して膨張させることにより低温を発生する極低温冷却装置の冷媒供給方法において、前記高圧容器内の冷媒を加熱しつつ前記ジュールトムソン冷却器に供給することを特徴としている。 【0008】さらに、本発明の極低温冷却装置の冷媒供給方法は、前記高圧冷媒導入管の冷媒を冷却しつつ前記ジュールトムソン冷却器に供給することを特徴としている。また、前記高圧容器内の冷媒の加熱は、冷媒の温度を及び/又は前記高圧冷媒導入管の圧力を一定にするように調節しながら行うことを特徴とし、前記高圧冷媒導入管の冷媒の冷却は、大気あるいは低温液化ガス等の冷却用流体を冷却源として行うことを特徴としている。 【0009】また、本発明の極低温冷却装置の冷媒供給装置は、高圧容器からの冷媒を、高圧冷媒導入管からジュールトムソン冷却器に供給して膨張させることにより低温を発生する極低温冷却装置の冷媒供給装置において、前記高圧容器を加熱する加熱手段を設けるとともに、前記高圧容器の温度を検出する温度検出手段からの温度信号及び前記高圧冷媒導入管の圧力を検出する圧力検出手段からの圧力信号の少なくともいずれか一方の信号に基づいて前記加熱手段の加熱容量を制御する加熱容量制御手段を設けたことを特徴とし、さらに、前記高圧冷媒導入管の途中に、大気又は冷却用流体を冷却源とした熱交換型冷却器を備えていることを特徴としている。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は本発明を適用した極低温冷却装置の一形態例を示す系統図である。この極低温冷却装置は、従来の極低温冷却装置と同様に形成されているジュールトムソン冷却器11,真空デュワ12,供給元弁13,高圧冷媒導入管14,高圧容器15を備えるとともに、ジュールトムソン冷却器11における冷却給能力を向上させるための冷媒供給装置として、前記高圧冷媒導入管14に設けた冷却器16及び圧力検出手段17と、前記高圧容器15に設けた温度検出手段18及び加熱手段としてのヒーター19と、加熱容量制御手段としてのヒーター出力制御手段20とを備えている。 【0011】前記ヒーター19は、高圧容器15を外部から加熱するように、容器胴部に巻き付けられており、ヒーター出力制御手段20によってその加熱容量が制御されている。ヒーター出力制御手段20は、圧力検出手段17で検出した高圧冷媒導入管14内の冷媒圧力及び温度検出手段18で検出した高圧容器15の冷媒温度のいずれか一方の信号、あるいは双方の信号に基づいて前記ヒーター19に供給する電力を制御する。 【0012】例えば、通常は、圧力信号に基づいて、高圧冷媒導入管14内の冷媒圧力が所定の圧力まで上昇するように高圧容器15を加熱するとともに、高圧容器15の温度が上限に達したときに、温度信号によってヒーター19を停止するように設定することができる。一方、温度信号で所定の温度になるように高圧容器15を加熱し、高圧冷媒導入管14内の冷媒圧力が上限に達したときにヒーター19を停止するようにも設定することができる。また、高圧冷媒導入管14内の冷媒圧力が低下したときにヒーター19を作動させ、所定の圧力に達したときにヒーター19を停止させたり、高圧容器15の温度が低下したときにヒーター19を作動させ、所定の温度に達したときにヒーター19を停止させたりすることもできる。これらの設定は、極低温冷却装置の仕様や運転状態により、両者を適宜に組み合わせて制御を行うようにしてもよく、いずれか一方のみを設けて単独で制御を行うようにしてもよい。 【0013】前記冷却器16は、冷却源として大気や適宜な冷却用流体を使用して冷媒を冷却するものであって、ジュールトムソン冷却器11に導入する冷媒の温度を、圧力をほとんど低下させることなく冷媒に応じた最適な温度に冷却するために設けられている。すなわち、前記ヒーター19により加熱された冷媒がジュールトムソン冷却器11に導入されると、該ジュールトムソン冷却器11における冷却能力が低下することがあるので、加熱後の冷媒温度と、ジュールトムソン冷却器11への導入温度との関係により必要に応じて設けられる。この冷却器16の冷却源は、冷媒の種類,ジュールトムソン冷却器11への導入温度等に応じて任意に選択することができ、常温程度への冷却ならば大気や水を用いることができ、より低温に冷却する場合は、冷凍機の冷媒や低温液化ガスを冷却用流体として用いることができ、形式も熱交換型冷却器等、任意の形式を用いることができる。 【0014】次に、本形態例に示す冷媒供給による効果を、極低温冷却装置を高度20kmの高層大気中で用いた場合を例に挙げて説明する。まず、ジュールトムソン冷却器11の発生寒冷は、前述のように、ジュールトムソン冷却器11の熱交換器温端11aにおけるエンタルピー差に、オリフィス11bから噴出する冷媒の質量流量を乗じた値で表されるから、利用可能な冷媒の質量流量を同じとすると、本形態例と従来装置とにおける発生寒冷の違いは、エンタルピー差の違いで表される。したがって、以下の説明では、冷媒の質量流量を同じとしている。 【0015】高度20kmの大気の温度及び圧力は、それぞれ220K,0.06atm程度となる。図2に示す従来の極低温冷却装置において、高圧容器4が特別な断熱措置をなされることがない場合には、高圧容器4も大気温度と同じ220Kとなる。高圧容器4の地上における充填圧力を、温度300Kにおいて150atmとすると、高度20km、すなわち、220Kでジュールトムソン冷却器1へ供給される圧力は110atmとなる。 【0016】冷媒をアルゴンとした場合、ジュールトムソン冷却器1の熱交換器温端における高圧冷媒のエンタルピーは292J/gとなり、このときの低圧冷媒のエンタルピーは、温度を218K,圧力を0.06atmとすると306J/gとなり、ジュールトムソン冷却器1の熱交換器温端におけるエンタルピー差は14J/gとなる。 【0017】次に本形態例においては、高度20kmにおいて220Kまで温度の下がった高圧容器15内の高圧冷媒を、高圧容器15の外周に巻き付けたヒーター19で300Kまで加熱することにより、圧力を110atmから150atmまで上昇させることができる。この状態で高圧容器15の供給元弁13を開くと、冷媒であるアルゴンガスは、高圧冷媒導入管14を通り、冷却器16で冷却されてからジュールトムソン冷却器11の熱交換器高圧側へ導入される。 【0018】冷却器16が空冷の場合、冷媒アルゴンの温度は250Kまで降下するが、圧力は150atmに保たれたままとなる。このとき、熱交換器低圧側、すなわち、ジュールトムソン冷却器11から排出される低圧冷媒の温度は248K,圧力は0.06atmとなる。したがって、この状態におけるジュールトムソン冷却器11の熱交換器温端11aにおける高圧冷媒及び低圧冷媒のエンタルピーは、それぞれ284J/g、321.5J/gとなり、そのエンタルピー差は37.5J/gとなる。したがって、従来と比べ発生寒冷が約2.7倍に増加する。 【0019】また、本形態例において、冷却器16による冷却が十分に行われなかった場合、例えば、極端な例として、ジュールトムソン冷却器11に供給される熱交換器温端11aにおける高圧冷媒の温度が300K,圧力が150atmであり、低圧冷媒の温度が298K,圧力が0.06atmである場合でも、エンタルピーは、それぞれ323J/g、349J/gとなり、エンタルピー差は26J/gとなるので、従来と比べて発生寒冷が約1.8倍に増加する。 【0020】上述の説明では、冷媒としてアルゴンを用いたが、冷媒としてネオンを用いた場合は次の通りとなる。ネオンは、1atmにおける沸点が28Kであり、冷媒としてアルゴンや窒素を用いた場合に比べて被冷却物をより低温に冷却することができる。ネオンを冷媒として用いる場合、ジュールトムソン効果によってネオンを液化するためには、膨張前に逆転温度以下までネオンを予冷する必要がある。すなわち、ジュールトムソン冷却器11に導入する前にネオンを十分に冷却しておく必要がある。このような場合、冷却器16を熱交換型に形成するとともに、冷却用流体として液体窒素等の低温液化ガスを使用することにより、冷媒であるネオンを80K程度まで予冷することができる。 【0021】この場合も、上述のアルゴンを用いた場合と同様に、高圧容器15を300Kまで加熱することにより、ジュールトムソン冷却器11に供給するネオンの圧力を、常温における充填圧力に保ったまま、温度を80K程度まで冷却することが可能となり、高度20kmで使用した場合の冷却能力の低下を防止できる。 【0022】このように、冷却用流体は、冷媒の種類に応じて種々選択することができる。冷媒と冷却用流体との組み合わせは、他に、水素と窒素,水素とアルゴン,水素とヘリウム,ネオンとヘリウム等を挙げることができる。 【0023】なお、上記説明では、ジュールトムソン冷却器11を、地表面に比べて冷却能力が低下する高層大気中で用いる際に、高圧容器15を300Kに加熱することによって冷却能力の低下を防止する場合について説明したが、300K以上に加熱して冷媒圧力を更に高めることにより、ジュールトムソン冷却器11における冷却能力を向上させることができる。同様に、通常の地上大気中でも、高圧容器15を常温以上に加熱して冷媒圧力を上昇させることにより、ジュールトムソン冷却器11の冷却能力を高めることができる。 【0024】また、加熱手段としては、前記ヒーター19の他、スチームや温水,加熱ガス流体等を用いることもできる。この場合の加熱容量制御手段は、スチーム,温水,加熱ガス流体等の導入管に流量調節弁を設け、該流量調節弁の開度を前記温度信号や圧力信号で調節するように形成すればよい。 【0025】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の極低温冷却装置の冷媒供給方法及び装置によれば、ジュールトムソン冷却器へ冷媒を供給する高圧容器を加熱して冷媒圧力を高めることにより、ジュールトムソン冷却器の冷却能力を増加させることができる。特に、ジュールトムソン冷却器を、寒冷地や高層大気中等の低温雰囲気で用いる場合に有効であり、簡単な構成で効率よくジュールトムソン冷却器の冷却能力を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231235 【氏名又は名称】日本酸素株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年8月4日(1998.8.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086210 【弁理士】 【氏名又は名称】木戸 一彦 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−55490(P2000−55490A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月25日(2000.2.25) |
| 【出願番号】 |
特願平10−220860 |
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