| 【発明の名称】 |
内部発熱性をもつ流体の温度制御装置及び方法、並びにこれを用いたウェハ洗浄装置及び方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】板東 賢一
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| 【要約】 |
【課題】内部発熱性をもったウェハ洗浄用硫酸過水(硫酸と過酸化水素の混合液)を洗浄に適した設定温度までオーバーシュートなしに加熱できるようにする。
【解決手段】コントローラ33は、硫酸過水22の検出温度yを目標温度uに一致させるようヒータ27をPI制御又はPID制御するフィードバックコントローラ41と、硫酸過水22の内部発熱による温度上昇を、フィードバックコントローラ41の入力(目標温度u)に重畳される外乱に起因するものと考えの下に、その外乱を推定してこの外乱を補償するよう目標温度uを調整する外乱オブザーバ43とを有する。外乱オブザーバ43は、目標温度uを入力して、予め用意した制御システムモデルを用いて内部発熱が無いと仮定した場合の理想的な硫酸過水温度を計算し、この理想温度と検出温度yとの温度差から、推定外乱dを計算し、この推定外乱dを設定温度u´から減算することにより目標温度uを決定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部発熱性を有する流体の温度を制御する装置において、前記流体を加熱又は冷却する熱源装置と、前記流体の内部発熱による前記流体温度の変動を補償するような目標温度を決定する目標温度決定部と、前記目標温度決定部から前記目標温度を受け、前記流体温度が前記目標温度になるように、前記熱源装置に対し操作信号を出力して加熱又は冷却の熱量を制御するフィードバックコントローラと、を備えた、内部発熱性をもつ流体の温度制御装置。 【請求項2】 前記目標温度決定部が、前記フィードバックコントローラに入力された前記目標温度と、前記流体から検出された前記流体温度とに基づいて、前記流体内で発生した前記内部発熱を外乱として推定する外乱オブザーバを有し、この外乱オブザーバの推定した外乱に応じて前記フィードバックコントローラに入力すべき前記目標温度を調整する、請求項1記載の温度制御装置。 【請求項3】 外乱オブザーバが、前記フィードバックコントローラと前記熱源装置と前記流体とを含むフィードバック制御系統のモデルであって、前記流体で内部発熱が生じないと仮定したシステムモデルを有し、前記フィードバックコントローラに入力された前記目標温度を前記システムモデルに入力して、前記内部発熱が生じなければ達成されるであろう理想的な流体温度を計算し、前記理想的な流体温度と前記流体から検出された前記流体温度とから前記外乱を推定する、請求項2記載の温度制御装置。 【請求項4】 前記目標温度決定部が、制御の進行状態を示す値と、目標温度を決定するための値とを対応付けて記憶したルックアップテーブルを有し、時々の制御の進行状態に応じて前記ルックアップテーブルから対応する値を読み出し、読み出した値から前記目標温度を決定する、請求項1記載の温度制御装置。 【請求項5】 内部発熱性を有する流体の温度を制御する方法において、前記流体を加熱又は冷却するステップと、前記流体の内部発熱による前記流体温度の変動を補償するような目標温度を決定するステップと、前記目標温度を受け、前記流体温度が前記目標温度になるように、前記加熱又は冷却の熱量を制御するステップと、を備えた、内部発熱性をもつ流体の温度制御方法。 【請求項6】 設定温度付近で内部発熱を起こす流体を前記設定温度まで加熱して前記設定温度に維持する流体温度制御装置において、前記流体を加熱するヒータと、前記設定温度に対して、前記流体の内部発熱による前記流体温度の変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定する目標温度決定部と、前記目標温度決定部から前記目標温度を受け、前記流体温度が前記目標温度になるように、前記ヒータに対し操作信号を出力して加熱の熱量を制御するフィードバックコントローラと、を備えた、内部発熱性をもつ流体の温度制御装置。 【請求項7】 前記目標温度決定部が、前記フィードバックコントローラに入力された前記目標温度と、前記流体から検出された前記流体温度とに基づいて、前記流体内で発生した前記内部発熱を外乱として推定する外乱オブザーバを有し、この外乱オブザーバの推定した外乱を用いて前記設定温度を補正することにより、前記外乱に応じて調整された前記目標値を決定する、請求項6記載の温度制御装置。 【請求項8】 設定温度付近で内部発熱を起こす流体を前記設定温度まで加熱して前記設定温度に維持する流体温度制御方法において、前記流体を加熱するステップと、前記設定温度に対して、前記流体の内部発熱による前記流体温度の変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定するステップと、前記目標温度を受け、前記流体温度が前記目標温度になるように、前記加熱の熱量を制御するステップと、を備えた、内部発熱性をもつ流体の温度制御方法。 【請求項9】 硫酸過水を設定温度まで加熱して、この設定温度において前記硫酸過水で半導体ウェハを洗浄するウェハ洗浄装置において、前記硫酸過水を加熱するヒータと、前記設定温度に対して、前記硫酸過水の内部発熱による前記硫酸過水の温度変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定する目標温度決定部と、前記目標温度決定部から前記目標温度を受け、前記硫酸過水の温度が前記目標温度になるように、前記ヒータに対し操作信号を出力して加熱の熱量を制御するフィードバックコントローラと、を備えたウェハ洗浄装置。 【請求項10】 前記目標温度決定部が、前記フィードバックコントローラに入力された前記目標温度と、前記流体から検出された前記流体温度とに基づいて、前記流体内で発生した前記内部発熱を外乱として推定する外乱オブザーバを有し、この外乱オブザーバの推定した外乱を前記設定温度を補正することにより、前記外乱に応じて調整された前記目標値を決定する、請求項9記載のウェハ洗浄装置。 【請求項11】 硫酸過水を設定温度まで加熱して、この設定温度において前記硫酸過水で半導体ウェハを洗浄するウェハ洗浄方法において、前記硫酸過水を加熱するステップと、前記設定温度に対して、前記硫酸過水の内部発熱による前記硫酸過水の温度変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定するステップと、前記目標温度決定部から前記目標温度を受け、前記硫酸過水の温度が前記目標温度になるように、前記加熱の熱量を制御するステップと、を備えたウェハ洗浄方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内部発熱を起こす性質をもった流体の温度制御装置及び方法に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の液体の一つに、半導体ウェハの洗浄液として広く用いられている硫酸と過酸化水素との混合液(以下、「硫酸過水」という)がある。硫酸過水をヒータで適温(典型的には135℃)まで加熱し、その中にウェハを浸してこれを洗浄する。従来、硫酸過水の温度制御法として、例えば135℃一定値を目標温度に設定し、実際の硫酸過水の温度を測定し、測定温度と目標温度との偏差にPID演算を行ない、その演算結果でヒータ電力(単位時間当たり出力熱量)を操作するというフィードバックPID制御法が行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】図1は、従来の温度制御法によるヒータ電力(単位時間当たり出力熱量)11と硫酸過水の温度13の時間的変化を示している。 【0004】最初に常温(例えば20℃)の硫酸を用意し、これに適量の過酸化水素を加入する。すると、化学変化により内部発熱が生じ、硫酸過水の温度は急激に上昇する(時間区間A)。約80℃まで一気に温度上昇したところで内部発熱が終わる。後はヒータ電力を100%としてヒータ加熱でほぼ定速に温度を上昇していくが(時間区間B)、温度が約120℃まで達すると再び内部発熱が発生して、温度が急に上昇し始める(区間C)。これに反応して制御装置はヒータ電力を今までの100%から0%へと一気に落とす。しかし、内部発熱のために温度は目標温度の135℃を若干超える、つまりオーバーシュートが生じ、このオーバーシュートの状態はしばらく続く(区間C)。 【0005】内部発熱によりオーバシュート状態となっている区間Cでは、硫酸過水内で化学反応が発生している。ウェハの洗浄は、その原理上、この化学反応が終わらないうちに行われなくてはならない。従って、ウェハの洗浄は、オーバシュート状態の間に、つまり適温よりも若干高い温度のときに行わざるを得ない。 【0006】従って、本発明の目的は、内部発熱を起こす性質をもつ流体の温度を精度良く目標温度に制御することにある。 【0007】本発明の別の目的は、目標温度近傍で内部発熱を起こす性質をもつ流体を低温から目標温度まで加熱するに際して、内部発熱によるオーバーシュートなしに目標温度に到達できるようにすることにある。 【0008】本発明の更に別の目的は、ウェハ洗浄用の硫酸過水を洗浄に適した目標温度までオーバーシュートなしに加熱できるようにすることにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点に従う内部発熱性を有する流体の温度制御装置は、流体を加熱又は冷却する熱源装置と、流体の内部発熱による流体温度の変動を補償するような目標温度を決定する目標温度決定部と、目標温度決定部から目標温度を受け、流体温度が目標温度になるように、熱源装置に対し操作信号を出力して加熱又は冷却の熱量を制御するフィードバックコントローラとを備える。 【0010】この温度制御装置によれば、流体の内部発熱を補償するように目標温度が決定され、この目標温度を用いて流体温度が制御されるので、流体内で内部発熱が発生しても精度良く温度制御ができる。 【0011】好適な実施形態では、目標温度決定部が、フィードバックコントローラに入力された目標温度と、流体から検出された流体温度とに基づいて、流体内で発生した内部発熱を外乱として推定する外乱オブザーバを有しており、この外乱オブザーバの推定した外乱の大きさに応じて、フィードバックコントローラに入力すべき目標温度を調整する。 【0012】また、好適な実施形態では、外乱オブザーバが、フィードバックコントローラと熱源装置と流体とを含むフィードバック制御系統のモデルであって、流体で内部発熱が生じないと仮定したシステムモデルを有しており、フィードバックコントローラに入力された目標温度をシステムモデルに入力して、内部発熱が生じなければ達成されるであろう理想的な流体温度を計算し、そして、この計算した理想的な流体温度と、流体から検出された実際の流体温度とから外乱を推定する。 【0013】また、別の好適な実施形態っでは、目標温度決定部が、制御の進行状態を示す値と、目標温度を決定するための値とを対応付けて記憶したルックアップテーブルを有しており、時々の制御の進行状態に応じてルックアップテーブルから対応する値を読み出し、読み出した値から目標温度を決定する。 【0014】本発明の第2の観点に従う流体温度制御装置は、設定温度付近で内部発熱を起こす流体を設定温度まで加熱して設定温度に維持するためのものであって、流体を加熱するヒータと、設定温度に対して、流体の内部発熱による流体の温度変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定する目標温度決定部と、目標温度決定部から目標温度を受け、流体温度が目標温度になるように、ヒータに対し操作信号を出力して加熱の熱量を制御するフィードバックコントローラとを備える。 【0015】本発明の第3の観点に従うウェハ洗浄装置は、硫酸過水を設定温度まで加熱して、この設定温度において硫酸過水で半導体ウェハを洗浄するためのものであって、硫酸過水を加熱するヒータと、設定温度に対して、硫酸過水の内部発熱による硫酸過水の温度変動を補償するような補正を施すことにより、目標温度を決定する目標温度決定部と、目標温度決定部から目標温度を受け、硫酸過水の温度が目標温度になるように、ヒータに対し操作信号を出力して加熱の熱量を制御するフィードバックコントローラとを備える。 【0016】 【発明の実施の形態】図2は、本発明の一実施形態にかかるウェハ洗浄装置の要部の構成を示す。 【0017】硫酸過水22を蓄えるためのタンク20があり、このタンク20は、石英製のオーバーフロー槽21と、これを包囲しオーバーフロー液槽21から溢れ出た液を受ける外輪槽23とから構成される。このタンク20内の硫酸過水22は、循環ポンプ31の作用により、外輪槽23から配管25を通じて電気ヒータ27へ送られ、ヒータ27から配管29を通じてタンク20のオーバーフロー槽21へ戻るという順序で、タンク20とヒータ27との間を循環する。温度センサ35がオーバフロー槽21内の硫酸過水22中に入っており、それが検出した液温を示す信号はコントローラ33に入力される。コントローラ33は、温度センサ35の検出した液温に基づいて、この液温が洗浄に適した設定温度(例えば、135℃)になるようにヒータ27の電力(単位時間当たり出力熱量)を制御する。コントローラ33は、コンピュータ、専用ハードウェア回路又はそれらの組み合わせを用いて実現することができる。 【0018】ウェハ洗浄の基本的な手順を、図2に示した構成と図8に示した液温変化のグラフ(参照番号73)参照して説明する。まず、タンク20に硫酸を入れ、これに過酸化水素を加入して硫酸過水22を作りこれを循環させる。最初に過酸化水素を加入したときに化学反応が生じ、その反応熱(内部発熱)により液温が80℃程度まで急速に上昇する(図8、区間A)。液温が80℃程度に達した段階でヒータ27による加熱を開始し(図8、区間Bの開始)、コントローラ33により本発明の原理に従ってヒータ27の電力(単位時間当たり出力熱量)を制御する。コントローラ33によるヒータ制御により、液温は実質的にオーバーシュートすることなく設定温度(例えば、135℃)に到達する(図8、区間Bから区間E)。液温が設定温度に達する前に120℃程度に達した時点で再び硫酸過水22内で化学反応が発生し、この化学反応は液温が設定温度に達した後もしばらく続く(図8、区間E)。液温が設定温度に達してからその化学反応が終わるまでの間に(図8、区間F)、オーバーフロー槽21内の硫酸過水22中にウェハを漬けてこれを洗浄する。 【0019】図3は、コントローラ33を中心とした制御系統の構成を構成を示す。 【0020】コントローラ33はヒータ27に対しその電力(単位時間当たり出力熱量)を調節するための操作信号cを与え、ヒータ27は操作信号cに従った時間当たり熱量qをタンク内の硫酸過水22に供給する。そして、硫酸過水22の温度yが温度センサ35によって検出されてコントローラ33にフィードバックされる。コントローラ33は、フィードバックコントローラ41と外乱オブザーバ43を有する。フィードバックコントローラ41は、目標温度uと検出温度yを入力し、検出温度yを目標温度uに一致させるために、目標温度uと検出温度yとの偏差に対してPI演算又はPID演算を行ない、その演算結果を操作信号cとして出力するというフィードバック制御動作を行なう。外乱オブザーバ43は、硫酸過水22の内部発熱をフィードバックコントローラ41の入力uに重畳される外乱(図4、参照番号u´)と考え、この外乱の大きさを推定し、推定した外乱dを内部発熱の外乱を補償する(相殺する)ように目標温度uに加味する。すなわち、外乱オブザーバ43は、目標温度uと検出温度yを入力し、これらに基づき外乱(典型的には硫酸過水22の内部発熱による温度変動であるが、これに限られるわけではなく、様々な誤差要素も一緒に含まれる)の大きさを推定し、この推定外乱dを加減算器45に与える。加減算器45は、ウェハ洗浄の適正温度を示した所定の設定温度(例えば、135℃)u´から、上記推定外乱dを減算することにより目標温度uを決定する。このようにして決定された目標温度uは、内部発熱などの外乱(図4、参照番号u´)を補償した値であるため、これをフィードバックコントローラ41に与えることにより、内部発熱が発生してもこれを補償してオーバシュート無く硫酸過水22の温度yを設定温度u´まで到達させることができる。 【0021】図4は、外乱オブザーバ43の構成を示す。 【0022】外乱オブザーバ43は、システムモデル51を有する。このシステムモデル51は、図3に示したフィードバックコントローラ41、ヒータ27及び硫酸過水22からなる基本的なフィードバック制御系統(その入力は目標温度uであり、その出力は硫酸過水22の温度yである)57を数式モデルで表現したものであり、そこでは硫酸過水22が内部発熱を生じないものと仮定してある。このシステムモデル51の入力は、上記基本的なフィードバック制御系統の入力と同様に目標温度uであり、その出力は、上記基本的なフィードバック制御系統において硫酸過水22が内部発熱を生じなければ達成されるであろう硫酸過水22の温度y´である(以下、「理想温度という」)。なお、この理想温度y´は、不本意ながら、実際の制御系統を数式モデル化するに当たり生じざる得ない多少の誤差要因も含んではいるが、実質的には、実際の基本的フィードバック制御系統で内部発熱が無ければ現実に達成されるであろう温度を表しているとみなすことができる。システムモデル51から出力された理想温度y´は加減算器53に入力され、ここで、温度センサ35からの検出温度yと減算されて温度差Δyが求められる。この温度差Δyは、硫酸過水22内での内部発熱による温度変動を主な要素として含んでいる。外乱オブザーバ43は、内部発熱を基本的フィードバック制御システム57の入力に加えられる外乱d´(実際は、内部発熱だけでなく非線形に起因するものを全て含む)として取り扱う。すなわち、数学的システムモデル51と実際のシステム57との間の出力誤差(温度差Δy)は全てシステム57の入力uに重畳した外乱d´に起因するという考えの下に、温度差Δyを推定アルゴリズム55に入力して推定外乱dを計算する。推定アルゴリズム55としては、温度差Δyにゲインを乗じるという比例演算、温度差Δyを時間で積分してゲインを乗じる積分演算、又は、温度差Δyを時間で微分してゲインを乗じる微分演算などを適当に組み合わせたp演算、PI演算又はPID演算などを用いることもできる。そして、その推定外乱dを加減算器45によって外乱d´を打ち消すようにシステム入力(目標温度)uに加味することにより、内部発熱の影響を効果的に抑制した制御を実現することができる。 【0023】システムモデル51の具体例を以下に示す。 【0024】 【数1】
ここで、tは時間、x(t)は状態変数(ベクトル)、y´(t)は上述した理想温度(スカラー)、u(t)は上述した目標温度(スカラー)である。A,B,Cは係数であり、その要素であるωnは、制御対象系統(つまり、図3に示すヒータ27と硫酸過水22の系統であって、その入力はヒータ27の操作信号c、その出力は硫酸過水22の温度yである)の固有角周波数であり、これは上記制御対象系統の応答性(応答の速さの程度)を示す固有値であって、後述するように実測により求めることができる。 【0025】因みに、このシステムモデル51は、これをラプラス変換することで、次式のように表現される。 【0026】 【数2】
ここで、G(s)は伝達関数であり、ζは減衰係数であって典型的には値1である(因みに、ζが1より小さいと、モデルの応答性は良くなるがy´にオーバシュートが現われてくる)。 【0027】システムモデル51は、(7)式に示した伝達関数G(s)の形から分かるように上記基本的フィードバック制御系統を2次遅れ要素とみなしてモデル化したものであるが、これは一例であって、別の形にモデル化してもよい。 【0028】図5は、上記モデル51の固有各周波数ωnを求める一例を示す。 【0029】硫酸過水22の温度yが所定の初期温度(例えば20℃)にある状態で、ヒータ27に対し100%の操作量uをステップ状に印加し、その後の硫酸過水22の温度yの上昇をモニタする。そして、温度yの上昇量が初期温度と設定温度(例えば135℃)の差aの90%に達する(つまり、温度yが「初期温度+0.9a」に達する)のに要する時間(立ち上がり時間)trを計測する。そして、次式ωn=2π/trにより固有角周波数ωnを決定する。 【0030】この固有角周波数ωnの決定は、人間がマニュアルで行ってその結果をコントローラ33に設定することもできるが、これをコントローラ33が自動的に行うようにすることもできる。例えば、コントローラ33は、運転を開始したときの初期設定動作において図5に示した方法を自動的に実行して固有角周波数ωnを決定し、これを外乱オブザーバ43のシステムモデル51に設定し、その後に、図3,4を参照して説明したような温度制御動作に入る。 【0031】図6と図7は、上気のシステムモデル51の式を用いて外乱オブザーバ43が計算した推定外乱(図3、図4の参照番号d)の例を示す。図6は、硫酸過水22内で内部発熱が生じなかった場合(つまり、化学反応が全て終わりこれ以上もう化学反応が生じない状態の硫酸過水を用いて常温から設定温度まで加熱した場合)の推定外乱61を示す。図7は、内部発熱が生じた場合(つまり、実際のウェハ洗浄作業工程と全く同様に常温の硫酸に過酸化水素を加入して設定温度まで加熱した場合)の推定外乱63を示す。図7の推定外乱63を図6の推定外乱61と比較して、相違する部分つまり図7のハッチングで示した部分65が、硫酸過水22の内部発熱を表す外乱に相当する部分である。特に図7に示す区間Eで明確な内部発熱が検出されており、この区間Eは図1に示した内部発熱の生じている区間CとD(つまり、温度13が約120℃に達してから設定温度135℃に静定するまでの区間)に良好に一致する。従って、内部発熱が外乱として精度良く推定されていることがわける。 【0032】図8は、実際のウェハ洗浄作業工程と全く同様に常温の硫酸に過酸化水素を加入して設定温度まで加熱した場合の、コントローラ33の制御によるヒータ電力71と硫酸過水22の温度(y)73の時間変化を示す。 【0033】硫酸過水22の温度(y)73はオーバーシュート無く設定温度(135℃)に到達することがわかる。硫酸過水22の温度(y)73が約120℃に達した時から始まる区間Eで内部発熱が生じているが、これをいち早く検出してヒータ電力71を急速に減少させている(これは、図1に示した従来技術によるヒータ電力11と比較すると良く分かる)。これにより、内部発熱の影響を効果的に相殺して、硫酸過水22の温度73をオーバーシュート無く設定温度(135℃)に到達させている。温度73が設定温度135℃に達してから化学反応が終わるまでの区間Fの間に、設定温度135℃の下でウェハ洗浄を行うことができる。 【0034】以上、本発明の一実施形態を説明したが、上記の実施形態はあくまで本発明の説明のための例示であり、本発明を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。従って、本発明は、上記実施形態以外の様々な形態でも実施することができるものである。例えば、内部発熱を補償するための目標温度を補正する方法としては、上述したシステムモデルを使って内部発熱を外乱として推定して目標温度を調整する方法の他に、様々な方法を採用することができる。例えば、制御の進行状態を示す値(例えば、制御開始からの経過時間、硫酸過水温度、又は制御開始からの温度上昇量など)と、目標温度を決定するための値(例えば、目標温度そのもの、目標温度補正値、内部発熱量又は内部発熱による温度変動量など)とを対応付けて記憶したルックアップテーブルを予め用意しておき、このルックアップテーブルから、時々刻々の制御進行状態に対応した値を読み出し、その値を用いて目標温度を決定する方法などを用いることができる。本発明は、ウェハ洗浄用硫酸過水の温度制御だけでなく、他の内部発熱性をもった流体の温度制御にも適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所
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| 【出願日】 |
平成11年2月26日(1999.2.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095371 【弁理士】 【氏名又は名称】上村 輝之 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−249401(P2000−249401A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月14日(2000.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願平11−50047 |
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